検査装置
【課題】 次数域波形や回転数域波形を用い、良品と不良品の判別を高精度に行なうことができる検査装置を提供すること
【解決手段】 入力された検査対象物から発生する音,振動等の時間域波形と、検査対象物の回転数情報と、を関連付ける結合部と、その関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、回転数域波形と次数域波形を求める波形変換部と、関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、設定された1又は複数の次数成分を抽出及び又は除去する次数フィルタと、回転数域波形と次数域波形と次数フィルタから出力される波形と、を取得し、その取得した情報に基づいて特徴量を求める特徴量演算手段と、その特徴量演算手段で求めた特徴量に基づいて前記検査対象物が良品か否かを判定する判定部とを備える。
【解決手段】 入力された検査対象物から発生する音,振動等の時間域波形と、検査対象物の回転数情報と、を関連付ける結合部と、その関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、回転数域波形と次数域波形を求める波形変換部と、関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、設定された1又は複数の次数成分を抽出及び又は除去する次数フィルタと、回転数域波形と次数域波形と次数フィルタから出力される波形と、を取得し、その取得した情報に基づいて特徴量を求める特徴量演算手段と、その特徴量演算手段で求めた特徴量に基づいて前記検査対象物が良品か否かを判定する判定部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された検査対象物から発生する音,振動等の波形情報等に基づいて、その検査対象物が良品か否かを判定する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や家電製品などには、モータが組み込まれた回転機器が非常に多く用いられている。例えば自動車を例にとってみると、エンジン,パワーステアリング,パワーシート,ミッションその他の至る所に回転機器が実装されている。また、家電製品は、冷蔵庫,エアコン,洗濯機その他各種の製品がある。係る回転機器が実際に稼働した場合、モータ等の回転に伴って音が発生する。
【0003】
係る音は、正常な動作に伴い必然的に発生するものもあれば、不良に伴い発生する音もある。不良に伴う異常音の発生原因は、ベアリングの異常,内部の異常接触,アンバランス,異物混入などがある。例えば、ギヤが1回転するたびに1度の頻度で異常音が発生する原因は、ギヤの欠け,異物のかみ込み,スポット傷,モータ内部の回転部と固定部が回転中の一瞬だけこすれ合うことなどがある。係る不良に伴う異常音は、さらなる故障を発生させるおそれもある。
【0004】
人が不快と感じる音は、例えば人間の可聴範囲である20Hzから20kHzの中で様々な音がある。不快と感じる音の周波数の一例としては、例えば約15kHzのものがある。係る15kHzの周波数成分の音が発生している場合、製品の故障ではないが、不快を感じる音が発生する製品は、ユーザから見ると品質が悪いと感じてしまう。よって、係る不快と感じる音も異常音となる。異常音の周波数は、15kHzに限らない。
【0005】
そこで、それら各製品に対する品質保証を目的とし、生産工場においては、検査員による聴覚や触覚などの五感に頼った「官能検査」を行ない、異常音の有無の判断を行なっている。具体的には、検査員が、稼働中の検査対象の製品を耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりすることによって行なっている。ここで官能検査とは、人間の感覚器官が感知できる属性を人間の感覚器官そのものによっておこなう検査のことである。
【0006】
係る検査員の五感に頼った官能検査では、熟練した技術を要するばかりでなく、判定結果に個人差や時間による変化などのばらつきが大きい。そこで、係る問題を解決するため、定量的かつ明確な基準による安定した検査を目的とした異音検査システムが開発されている。この異音検査システムは、「官能検査」工程の自動化を目的とした装置であり、製品駆動部の振動や音をセンサで測定し、得られた波形データから特徴量を抽出し、抽出した特徴量の値に基づいて良品か不良品かの判断を行なう。
【0007】
その判断を行なう際に用いられる特徴量の一つとして、ある周波数帯域のパワーがある。上述したとおり、15kHzの音が異常音と判定したい場合、FFTアナライザを用いて周波数解析を行ない、15kHzを含む周波数帯域のパワーが予め設定した閾値を越えている場合には、不良品と判断する。
【0008】
別の特徴量としては、次数成分のパワーに着目したものもある。これは、故障・異常を生じている場合、検査対象の回転数のn次成分のパワーが大きくなるということがわかっている場合、得られた波形データに対して次数域波形に変換をして目的のn次成分のパワーを取得し、その取得した値が予め設定した閾値を越えている場合には、不良品と判断する。係る次数域波形を利用した異音検査システムは、たとえば特許文献1等に開示されている。
【特許文献1】特開平10−82689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したn次成分のパワーに着目して良品と不良品の判別を行なうようにした場合、以下に示す問題を生じる。たとえば、2つの波形データを、それぞれn次成分を抽出する次数フィルタに通過させて得られた波形信号が、図1(a),(b)に示すようになっているとする。図1(a)が良品の波形データであり、図1(b)が不良品の波形データである。各図において、波形データを波線の四角で囲んだブロックに分割して考えてみる。
【0010】
図1(a),(b)に示す次数フィルタ通過後の2つの波形は、波形を構成する6つのブロックからなる要素は等しく、その順番が異なる。つまり、図1(a)に示す波形は、振幅の大きい波形からなるブロックと、振幅の小さい波形からなるブロックとが交互に出現しているが、図1(b)に示す波形は、振幅の大きい波形からなるブロックが3つ連続して出現し、続いて振幅の小さい波形からなるブロックが3つ連続して出現している。良品か否かの判定アルゴリズムが、このn次成分の波形データから、6ブロック分のパワー(実効値)を求め、そのパワーが閾値を越えた場合に異常と判断する場合、2つの波形データのパワーは等しくなり、両者を分離することはできない。
【0011】
さらに、従来の異音検査システムは、検査対象を等速回転させた状態で取得した波形データに基づいて判断をしていた。従って、たとえば、自動車のエンジン等において、回転を加速した場合や、減速した場合に発生する異常を検出することはできなかった。
【0012】
この発明は、次数域波形や回転数域波形を用い、良品と不良品との判別を高精度に行なうことができる検査装置を提供することを目的とする。また、検査対象が回転運動するもの場合、加減速状態でも分析可能にすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するため、本発明の検査装置は、入力された検査対象物から発生する音,振動等の時間域波形と、前記検査対象物の回転数情報と、を関連付ける結合手段と、その関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて回転数域波形と次数域波形の少なくとも一方を求める波形変換手段と、前記関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、設定された1又は複数の次数成分を抽出及び又は除去する次数フィルタの少なくとも一方と、前記回転数域波形と、次数域波形と、前記次数フィルタから出力される波形の少なくともひとつを取得し、その取得した情報に基づいて特徴量を求める特徴量演算手段と、その特徴量演算手段で求めた特徴量に基づいて前記検査対象物が良品か否かを判定する判定手段と、を備え、前記特徴量演算手段は、少なくとも取得した波形の形状から特徴量を算出する機能を有するように構成した。次数フィルタによるフィルタリング処理をしていない時間域波形は、いったん特徴量演算部で受け取ったものを波形変換手段に渡して波形変換を行なうようにしても良いし、波形変換手段経由で特徴量演算部に入力させるようにしても良い。
【0014】
特徴量演算手段は、実施の形態ではフレーム分割部25とフレーム特徴量演算部26と最終特徴量演算部27とから構成される。実施の形態では、フレーム分割を行なうようにしたが、本発明は、フレーム分割を行なうことなく、特徴量を求めるものも含む。
【0015】
本発明は、ある注目次数成分に対して閾値処理を行なうのではなく、特徴量演算部が、回転数域波形及び又は次数域波形や、次数フィルタから出力される波形の形状から特徴量を算出するため、より精度の高い判別を行なうことができる。つまり、本発明の検査装置は、特徴量を適宜に設定することで、閾値処理では分離できなかった良品と不良品を識別することができる。
【0016】
前記波形変換手段は、前記回転数情報に基づき、与えられた時間域波形の振幅値を正規化する手段を備えることができる。この正規化は、実施の形態では、入力波形の振幅値を回転数で除算することで求める。本発明では、検査対象物から発生する音や振動などの波形データを計測中に、その検査対象物の回転数が変化した場合でも、回転数情報に基づいて時間域波形の振幅値を正規化しているため、各波形の振幅値は、回転数の変動の影響を受けない。検査装置は、検査対象が加減速状態でも分析が可能で、正確な判定を行える。
【0017】
前記次数フィルタの出力を、前記波形変換手段を介して前記特徴量演算手段に与えるように構成してもよい。本発明では、次数フィルタの出力に基づいて特徴量を求めることもできるし、次数フィルタから出力される時間域波形を波形変換手段により変換して得られた回転数域波形や次数域波形に基づいて特徴量を求めることもできる。このように、多類類の特徴量を用いることで、検査装置は、より高精度な判定を行なうことができる。
【0018】
前記回転数情報が関連付けられた時間域波形をフィルタリング処理する周波数フィルタを設け、その周波数フィルタの出力を、前記次数フィルタと、前記波形変換部の少なくとも一方に与えるように構成することもできる。本発明によれば、周波数フィルタによって、不要な周波数成分が除去されたり、必要とされる周波成分を抽出されるため、その後段における各種の演算処理は、不要な情報がカットされたものに基づいて行なわれるため、高精度な判定を行える。
【0019】
前記特徴量演算手段は、フレーム単位に分割されていない波形データをフレーム分割するフレーム分割手段と、前記フレーム分割手段でフレーム分割された波形データを、直接あるいは前記波形変換手段を介して与えられたフレーム単位の波形データからフレーム特徴量を求めるフレーム特徴量演算手段と、前記フレーム特徴量演算手段で求めた同一の検査対象物についての複数のフレーム特徴量から、前記判定手段に与える前記特徴量を求める最終特徴量演算手段と、を備えるようにすることができる。本発明では、与えられた波形をフレーム分割し、各フレームごとのフレーム特徴量を求め、同一の検査対象物についての複数のフレーム特徴量から、最終的な特徴量を求めるため、より詳細な分析が行え、従来、良品と不良品が分離できなかったものも判定可能となる。
【0020】
フレーム分割は、回転数域で等間隔になるように分割するようにするとよい。たとえば、検査対象物が1回転するごとに異音を発生するような不良の場合、回転数が変化すると異音の発生タイミングも変化する。この場合、回転数域波形での異音の発生タイミングは一定である。そこで、フレーム分割を回転数域で等間隔になるように分割することで、検査装置は、検査対象が増減速状態でも分析が可能で、正確な判定を行える。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、次数域波形、回転数域波形およびまたは次数フィルタから出力される波形を用い、良品と不良品を判別を高精度に行なうことができる。また、検査対象が回転運動するもの場合、等速回転状態はもちろんのこと、増減速状態でも分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図2は、本発明の好適な一実施の形態を示している。まず、検査対象物1に接近してマイク2を配置すると共に、その検査対象物1に加速度ピックアップ3を接触させる。マイク2は、検査対象物1から発生する音を検出し、加速度ピックアップ3は検査対象物1の振動を検出する。マイク2,加速度ピックアップ3等のセンサで検出した信号は、それぞれアンプ4で増幅し、A/D変換器5にてデジタルデータに変更後、検査装置10に与えられる。
【0023】
検査対象物1は、エンジン等の回転運動を行なうものである。その検査対象物1には、回転数を検出する回転数検出装置が取り付けられている。その回転数検出装置から出力される回転数情報も、検査装置10に与えられる。回転数検出装置から出力される回転数情報がアナログデータの場合、回転数検出装置の出力は、A/D変換器5にてデジタルデータに変更後、検査装置10に与えられるように構成する。
【0024】
なお、図2では、A/D変換器5は検査装置10の外部に設けるように記載したが、検査装置10の内部に設置してもよい。検査対象物1に具体的な回転数を検出する回転数検出装置が取り付けられておらず、エンコーダのように回転数に応じた信号(例えば、パルス列)を出力するセンサが取り付けられている場合もある。その場合、そのエンコーダ等の出力を検査装置10に入力するように構成するとともに、検査装置10内に、入力された回転数に応じた信号から回転数を算出する回転数算出部を設ける。
【0025】
検査装置10は、マイク2で収集した音データや加速度ピックアップ3で収集した振動データに基づく波形データと、検査対象物1の回転数情報と、を取得し、その波形データと回転数情報を用いて特徴量を抽出するとともに、検査対象物1が良品か否かの判定を行なう。検査装置10は、コンピュータから構成され、CPU本体10aと、キーボード,マウス等の入力装置10bと、ディスプレイ10cとを備えている。CPU本体10aは図示しないが、一般的に中央演算装置(CPU)、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(メモリ)から構成される。図3、図4で示す検査装置の内部構成は主にCPU本体10aに記憶され、実行されるソフトウェアで実現される。
【0026】
図3に示すように、検査装置10は、A/D変換器5を介して取得した波形データから特徴量を演算する特徴量演算部11と、その特徴量演算部11で演算した特徴量に基づいて、良否判断を行なう判定部12とを備えている。この判定部12の判定結果は、例えばディスプレイ10cにリアルタイムで表示したり、記憶装置に格納したりすることができる。図示省略するが、特徴量演算部11において演算する特徴量の種類や、その特徴量のパラメータ等は、特徴量パラメータ記憶部に格納されている。特徴量演算部11は、その特徴量パラメータ記憶部に格納された情報に従って、特徴量演算を行ない、特徴量の値を求める。判定部12は、特徴量演算部11から与えられた特徴量の値に基づき、ファジィ推論などの判定アルゴリズムを実行して良品か否かを判定する。
【0027】
図4は、特徴量演算部11の内部構成を示すブロック図である。特徴量演算部11は、結合部21と、周波数フィルタ22と、次数フィルタ23と、波形変換部24と、フレーム分割部25と、フレーム特徴量演算部26と、最終特徴量演算部27と、を備えている。
【0028】
結合部21は、与えられた波形データと回転数情報とを関連づけ、その関連づけたデータを周波数フィルタ22,次数フィルタ23,フレーム分割部25にそれぞれ与える。本実施の形態では、検査対象物1は、等速回転している場合もあれば、加速運転や減速運転のように回転数が時々刻々と変化している場合もある。結合部21に与えられる波形データは、サンプリング周期でサンプリングされたデジタルデータ(振幅値)の集合から構成される。そこで、その振幅値がサンプリングされた時の回転数情報を取得し、振幅値と関連づける。この関連づけは、例えば、振幅値と回転情報を対応づけたテーブルを作成し、記憶する。また、波形データを構成する各振幅値には、波形データを特定するための情報や、波形データを再現するために必要となるその波形データの時間軸のどの位置の振幅値かを特定するレコード番号等が付与されたデータ構造となっている場合、その振幅値の後ろに、回転数情報のデータを付加したデータ構造に変換するようにしてもよい。
【0029】
周波数フィルタ22は、結合部21から与えられた波形データ(時間域波形)から、所定の周波数成分を抽出あるいは除去するものである。この周波数フィルタ22は、例えば、バンドパスフィルタから構成され、抽出する周波数帯域はパラメータとして設定された1又は複数の領域である。周波数フィルタ22を通過した波形データは、次数フィルタ23と、波形変換部24に与えられる。このとき与えられるフィルタリング後の波形データを構成する各振幅値に対しても回転数情報が関連づけられている。つまり、周波数フィルタ22は、回転数情報に関係なく、単純に与えられた波形データから所定の周波数成分を抽出したり、除去したりするもので、フィルタリング後の時間軸における各振幅値が変換されるものの、時間軸上のある点に着目した場合には、回転数情報は変わらない。よって、結合部21で関連づけられた回転数情報と振幅値のうち、フィルタリング処理により振幅値のみ変更されたデータが、次数フィルタ23や、波形変換部24に与えられる。
【0030】
次数フィルタ23は、与えられた波形データと回転数情報とに基づき、n次数成分を抽出あるいは除去するものである。ここでnは、ある1つの値の場合もあれば、複数の値の場合もある。具体的には、nが1つの値の例としては、4次成分のみを抽出するようなフィルタリング処理を行なうものがある。nの値が複数の例としては、3次成分以上を抽出する(2次成分以下を除去する)や、4次成分から6次成分を抽出するというように複数の次数成分を指定してフィルタリング処理をするものがある。
【0031】
ここで、次数とは、周波数を基本回転数で正規化した値であり、具体的には、下記式により規定されるものである。下記式において基本回転数は、回転数情報として与えられる検査対象物1の回転数である。
次数 =周波数/基本回転数
【0032】
次数フィルタ23によるフィルタリング処理を行なうと、例えば図5(a)に示すような波形データが、図5(b)に示すような波形データに変換される。図から明らかなように、この次数フィルタ23を通過した波形データも、時間軸領域での波形データ(時間域波形)である。周波数フィルタ22の場合と同様に、次数フィルタ23から出力される情報も、波形データと回転数情報とを関連づけた情報である。この次数フィルタ23の出力(波形データ+回転数情報)は、波形変換部24とフレーム分割部25に与えられる。
【0033】
次数フィルタ23は、周波数フィルタ22にてフィルタリング処理された所定周波数成分の波形データと、周波数フィルタ22を通過しない生データの波形データとに対し、それぞれフィルタリング処理を行なう。また、どの次数成分を抽出,除去するかは、パラメータとして設定される。この点は、周波数フィルタ22の場合と同様である。
【0034】
フレーム分割部25は、設定された条件に従って、与えられた波形データをフレーム分割し、分割したフレーム単位の波形データを出力する。このフレーム分割するための設定条件としては、フレーム幅(1フレームの時間)や、1フレームを構成するデータサイズや、前後のフレームの重なりの程度(重なり0を含む)などがある。両フィルタ22,23におけるパラメータと同様に、フレーム分割するための設定条件もパラメータとして特徴量・パラメータ記憶部に記憶保持しておき、フレーム分割部25に与える。
【0035】
このフレーム分割部25に与えられるデータには、次数フィルタ23から与えられたフィルタリング処理をした波形データと、結合部21から与えられる生データの波形データの場合がある。与えられる波形データは異なるものの、時間域波形である点では同じであるため、フレーム分割部25は、いずれの波形データに対しても同様のフレーム分割するための設定条件に従って実行できる。
【0036】
フレーム分割された波形データ(回転数情報が関連づけられている)は、波形変換部24や、フレーム特徴量演算部26に与えられる。いずれの処理部に渡すかは、このフレーム分割部25に至るデータの経路により決定される。すなわち、次数フィルタ23や結合部21から受け取った波形データをフレーム分割部25でフレーム分割した場合、フレーム分割部25は、その分割したフレーム単位の波形データを波形変換部24に渡す。一方、周波数フィルタ22や次数フィルタ23の出力を波形変換部24に与え、そこにおいて波形変換されたデータをフレーム分割部25が受け取った場合には、フレーム分割したデータをフレーム特徴量演算部26に渡す。また、波形変換を行なう必要がない場合、フレーム分割部25は、次数フィルタ23や結合部21から受け取った波形データをフレーム分割し、フレーム特徴量演算部26に渡す場合もある。
【0037】
図6に示すように、波形変換部24は、時間域波形と回転数情報の2つの情報の入力を受け、回転数域波形や、次数域波形を算出し、算出した波形を出力するものである。回転数域波形は、横軸に回転数をとり、縦軸に振幅値をとった波形データである。次数域波形は、図7に示すように、横軸に次数をとり、縦軸に振幅値をとったものである。なお、2つの入力情報に基づいて回転数域波形や次数域波形を求める演算アルゴリズム自体は公知であるため、具体的なアルゴリズムの記載は省略する。
【0038】
フレーム特徴量演算部26は、フレーム分割部25で分割された各フレーム単位の波形データならびに波形変換部24にて変換されたデータ(フレーム単位)に基づき、フレーム単位の特徴量(フレーム特徴量)を算出するものである。図8に示すように、フレーム特徴量演算部26は、回転数域波形が入力された場合には回転数域特徴量を求め、次数域波形が入力された場合には次数域特徴量を求める。回転数域特徴量としては、RMS(実効値),ピークtoピーク値,平均値等を用いることができる。次数域特徴量としては、たとえば図7に示すように複数の次数成分の各振幅値を結んで形成される形状(図中、波線で示す)を特徴量化したもの用いることができる。例えば単純に、n次成分と(n+1)次成分の振幅値の大小関係の組み合わせから構成しても良いし、複数の次数成分の比(例えば、2次成分と、3次成分の比)を用いるようにしても良く、各種の方法が採れる。
【0039】
フレーム特徴量演算部26で求めた各フレーム特徴量は、次段の最終特徴量演算部27に与えられる。最終特徴量演算部27は、複数のフレームから得られたフレーム特徴量に基づき、検査対象の波形データを代表する特徴量を求める。一例を示すと、フレーム分割部25でフレーム分割した各フレームごとの波形データを波形変換部24で求めた回転数域波形が、図9(a)に示すようになっているものとする。この図9(a)の回転数域波形は、6つのフレームから構成されている。各フレームのフレーム特徴量がRMSとすると、図9(b)中、黒丸で示すように、RMSは大小を交互に繰り返すようになる。従って、隣接するフレーム間のRMSは、図9(b)中矢印で示すように、増減を繰り返すようになる。代表特徴量演算は、たとえばRMSの変化量のトップ3の平均を求めるものとし、求めた平均値をその波形の特徴量とする。
【0040】
図9(a)に示した回転数域波形データが良品のものとし、図10(a)に示した回転数域波形データが不良品のものとすると、図10(b)から明らかなように、不良品の特徴量の値は小さくなり、良品のものと区別することができる。
【0041】
上述した例では、フレーム特徴量演算部26は、波形変換部24にて得られた次数域波形や回転数域波形に対してフレーム特徴量を求めるようにしたが、本発明は此に限ることはない。例えば、次数フィルタ23にてフィルタリング処理をして得られた時間域波形(図5(b)参照)を、フレーム分割部25に与え、フレームごとに分割する。そして、各フレームをフレーム特徴量演算部26に与え、次数フィルタリング処理をして得られたフレームごとの時間データの形状に基づいてフレーム特徴量を求めてもよい。このフレーム特徴量も、例えば、RMSやピークtoピーク値等を用いることができる。このようにして得られたフレーム特徴量は、最終特徴量演算部27に与えられる。
【0042】
回転数が変化する場合、検出される波形データに影響が与えられることがある。例えば、図11(a)に示すように、回転数が増加している場合には、図11(b)に示すように、回転数が小さいA領域に比べ、回転数の大きいB領域の方が、発生する音も大きくなる。音に基づく波形データの振幅値が小さいと良品で、振幅値が大きいと不良品とする判定を行なうものとすると、以下に示す問題を生じる。図12(a)は、回転数Xにおける良品の振幅値を示し、図12(b)は、回転数Xにおける不良品の振幅値を示している。図12(c)は、回転数Y(Y>X)における良品の振幅値を示し、図12(b)は、回転数Yにおける不良品の振幅値を示している。図から明らかなように、同一回転数においては、良品の振幅値が、不良品の振幅値よりも小さいという大小関係か保たれているとする。しかし、回転数が時々刻々と変化する場合、図12(b)と図12(c)のように、良品の振幅値の方が不良品の振幅値よりも大きくなるといった逆転現象を生じてしまい、誤判定のおそれがある。
【0043】
そこで、波形変換部24は、波形振幅値を正規化する機能を備えた。これにより、例えば図13(a)に示すような時間域波形が与えられた場合、図13(b)に示すように振幅値が正規化された時間域波形が求められる。具体的な波形変換処理は、例えば、
振幅値/回転数
により求めることができる。すなわち、振幅値は回転数に比例するため、上述した式のように振幅値を回転数で除算することで正規化ができる。
【0044】
波形変換部24は、このようにして正規化した時間域波形を出力してもよいし、その正規化した時間域波形と回転数情報に基づいて回転数域波形や次数域波形を算出し、出力するようにしてもよい。
【0045】
図14に示すように、ギヤ30の歯30aの一部に欠陥30a′がある場合、ギヤ30が1回転するごとに異音が発生する。ギヤ30が等速回転している場合には、一定の時間間隔ごとに異音が発生する。ギヤ30が加速回転運動している場合には、図15(a)に示すように、欠陥30a′に伴い発生する異音の発生間隔が、徐々に短くなる。この図15(a),に示すように、フレーム分割部25が、この時間域波形に対して時間域で等間隔にフレーム分割を行なった後、波形変換部24が各フレームの時間域波形を回転数域波形に変換すると、図15(b)に示すようになる。図15(b)から明らかなように、回転数域波形を構成する各フレームのフレーム幅が異なり、このフレームに基づいてフレーム特徴量を求めると、異音の発生現象を精度よく捉えられないおそれがある。
【0046】
そこで、図16に示すように、回転数域で等間隔にフレーム分割を行なうようにした。これにより、図16(b)に示すように、各フレームにおいて、同一タイミングで異音が発生するようにフレーム分割することができる。よって、異音の発生現象を精度よく捉えることができ、高精度な判定を行える。
【0047】
この回転数域で等間隔にフレーム分割する手法は、例えば、フレーム分割部24が、回転数情報を利用して図16(a)に示すように時間域で不等間隔にフレーム分割することで対応できる。具体的には、回転数が大きいものほど時間域でのフレーム幅を短くするような関数によりフレーム分割を行なうことで対応できる。また、波形変換部24にて回転数域波形に変換後にフレーム分割部24に渡し、そこにおいて回転数域波形を等間隔にフレーム分割するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の問題点を説明する図である。
【図2】本発明の検査装置を含む検査システムの一例を示す図である。
【図3】本発明の検査装置の一実施の形態を示す図である。
【図4】検査装置10の要部となる特徴量抽出部の内部構造の一例を示す図である。
【図5】次数フィルタの機能を説明する示す図である。
【図6】波形変換部24を説明する図である。
【図7】次数域波形の一例を示す図である。
【図8】フレーム特徴量演算部26を説明する図である。
【図9】フレーム特徴量演算部26の機能を説明する図である。
【図10】フレーム特徴量演算部26の機能を説明する図である。
【図11】増速運転をしている場合の波形データの一例を示す図である。
【図12】回転数が与える特徴量への影響を説明する図である。
【図13】回転数情報に基づき振幅値を正規化する機能を説明する図である。
【図14】検査対象物であるギア(不良品)の一例を示す図である。
【図15】時間軸での等間隔でフレーム分割する際の問題点を説明する図である。
【図16】回転数軸で等間隔にフレーム分割する機能を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
10 検査装置
11 特徴量演算部
12 判定部
21 結合部
22 周波数フィルタ
23 次数フィル
24 波形変換部
25 フレーム分割部
26 フレーム特徴量演算部
27 最終特徴量演算部
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された検査対象物から発生する音,振動等の波形情報等に基づいて、その検査対象物が良品か否かを判定する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や家電製品などには、モータが組み込まれた回転機器が非常に多く用いられている。例えば自動車を例にとってみると、エンジン,パワーステアリング,パワーシート,ミッションその他の至る所に回転機器が実装されている。また、家電製品は、冷蔵庫,エアコン,洗濯機その他各種の製品がある。係る回転機器が実際に稼働した場合、モータ等の回転に伴って音が発生する。
【0003】
係る音は、正常な動作に伴い必然的に発生するものもあれば、不良に伴い発生する音もある。不良に伴う異常音の発生原因は、ベアリングの異常,内部の異常接触,アンバランス,異物混入などがある。例えば、ギヤが1回転するたびに1度の頻度で異常音が発生する原因は、ギヤの欠け,異物のかみ込み,スポット傷,モータ内部の回転部と固定部が回転中の一瞬だけこすれ合うことなどがある。係る不良に伴う異常音は、さらなる故障を発生させるおそれもある。
【0004】
人が不快と感じる音は、例えば人間の可聴範囲である20Hzから20kHzの中で様々な音がある。不快と感じる音の周波数の一例としては、例えば約15kHzのものがある。係る15kHzの周波数成分の音が発生している場合、製品の故障ではないが、不快を感じる音が発生する製品は、ユーザから見ると品質が悪いと感じてしまう。よって、係る不快と感じる音も異常音となる。異常音の周波数は、15kHzに限らない。
【0005】
そこで、それら各製品に対する品質保証を目的とし、生産工場においては、検査員による聴覚や触覚などの五感に頼った「官能検査」を行ない、異常音の有無の判断を行なっている。具体的には、検査員が、稼働中の検査対象の製品を耳で聞いたり、手で触って振動を確認したりすることによって行なっている。ここで官能検査とは、人間の感覚器官が感知できる属性を人間の感覚器官そのものによっておこなう検査のことである。
【0006】
係る検査員の五感に頼った官能検査では、熟練した技術を要するばかりでなく、判定結果に個人差や時間による変化などのばらつきが大きい。そこで、係る問題を解決するため、定量的かつ明確な基準による安定した検査を目的とした異音検査システムが開発されている。この異音検査システムは、「官能検査」工程の自動化を目的とした装置であり、製品駆動部の振動や音をセンサで測定し、得られた波形データから特徴量を抽出し、抽出した特徴量の値に基づいて良品か不良品かの判断を行なう。
【0007】
その判断を行なう際に用いられる特徴量の一つとして、ある周波数帯域のパワーがある。上述したとおり、15kHzの音が異常音と判定したい場合、FFTアナライザを用いて周波数解析を行ない、15kHzを含む周波数帯域のパワーが予め設定した閾値を越えている場合には、不良品と判断する。
【0008】
別の特徴量としては、次数成分のパワーに着目したものもある。これは、故障・異常を生じている場合、検査対象の回転数のn次成分のパワーが大きくなるということがわかっている場合、得られた波形データに対して次数域波形に変換をして目的のn次成分のパワーを取得し、その取得した値が予め設定した閾値を越えている場合には、不良品と判断する。係る次数域波形を利用した異音検査システムは、たとえば特許文献1等に開示されている。
【特許文献1】特開平10−82689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したn次成分のパワーに着目して良品と不良品の判別を行なうようにした場合、以下に示す問題を生じる。たとえば、2つの波形データを、それぞれn次成分を抽出する次数フィルタに通過させて得られた波形信号が、図1(a),(b)に示すようになっているとする。図1(a)が良品の波形データであり、図1(b)が不良品の波形データである。各図において、波形データを波線の四角で囲んだブロックに分割して考えてみる。
【0010】
図1(a),(b)に示す次数フィルタ通過後の2つの波形は、波形を構成する6つのブロックからなる要素は等しく、その順番が異なる。つまり、図1(a)に示す波形は、振幅の大きい波形からなるブロックと、振幅の小さい波形からなるブロックとが交互に出現しているが、図1(b)に示す波形は、振幅の大きい波形からなるブロックが3つ連続して出現し、続いて振幅の小さい波形からなるブロックが3つ連続して出現している。良品か否かの判定アルゴリズムが、このn次成分の波形データから、6ブロック分のパワー(実効値)を求め、そのパワーが閾値を越えた場合に異常と判断する場合、2つの波形データのパワーは等しくなり、両者を分離することはできない。
【0011】
さらに、従来の異音検査システムは、検査対象を等速回転させた状態で取得した波形データに基づいて判断をしていた。従って、たとえば、自動車のエンジン等において、回転を加速した場合や、減速した場合に発生する異常を検出することはできなかった。
【0012】
この発明は、次数域波形や回転数域波形を用い、良品と不良品との判別を高精度に行なうことができる検査装置を提供することを目的とする。また、検査対象が回転運動するもの場合、加減速状態でも分析可能にすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するため、本発明の検査装置は、入力された検査対象物から発生する音,振動等の時間域波形と、前記検査対象物の回転数情報と、を関連付ける結合手段と、その関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて回転数域波形と次数域波形の少なくとも一方を求める波形変換手段と、前記関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、設定された1又は複数の次数成分を抽出及び又は除去する次数フィルタの少なくとも一方と、前記回転数域波形と、次数域波形と、前記次数フィルタから出力される波形の少なくともひとつを取得し、その取得した情報に基づいて特徴量を求める特徴量演算手段と、その特徴量演算手段で求めた特徴量に基づいて前記検査対象物が良品か否かを判定する判定手段と、を備え、前記特徴量演算手段は、少なくとも取得した波形の形状から特徴量を算出する機能を有するように構成した。次数フィルタによるフィルタリング処理をしていない時間域波形は、いったん特徴量演算部で受け取ったものを波形変換手段に渡して波形変換を行なうようにしても良いし、波形変換手段経由で特徴量演算部に入力させるようにしても良い。
【0014】
特徴量演算手段は、実施の形態ではフレーム分割部25とフレーム特徴量演算部26と最終特徴量演算部27とから構成される。実施の形態では、フレーム分割を行なうようにしたが、本発明は、フレーム分割を行なうことなく、特徴量を求めるものも含む。
【0015】
本発明は、ある注目次数成分に対して閾値処理を行なうのではなく、特徴量演算部が、回転数域波形及び又は次数域波形や、次数フィルタから出力される波形の形状から特徴量を算出するため、より精度の高い判別を行なうことができる。つまり、本発明の検査装置は、特徴量を適宜に設定することで、閾値処理では分離できなかった良品と不良品を識別することができる。
【0016】
前記波形変換手段は、前記回転数情報に基づき、与えられた時間域波形の振幅値を正規化する手段を備えることができる。この正規化は、実施の形態では、入力波形の振幅値を回転数で除算することで求める。本発明では、検査対象物から発生する音や振動などの波形データを計測中に、その検査対象物の回転数が変化した場合でも、回転数情報に基づいて時間域波形の振幅値を正規化しているため、各波形の振幅値は、回転数の変動の影響を受けない。検査装置は、検査対象が加減速状態でも分析が可能で、正確な判定を行える。
【0017】
前記次数フィルタの出力を、前記波形変換手段を介して前記特徴量演算手段に与えるように構成してもよい。本発明では、次数フィルタの出力に基づいて特徴量を求めることもできるし、次数フィルタから出力される時間域波形を波形変換手段により変換して得られた回転数域波形や次数域波形に基づいて特徴量を求めることもできる。このように、多類類の特徴量を用いることで、検査装置は、より高精度な判定を行なうことができる。
【0018】
前記回転数情報が関連付けられた時間域波形をフィルタリング処理する周波数フィルタを設け、その周波数フィルタの出力を、前記次数フィルタと、前記波形変換部の少なくとも一方に与えるように構成することもできる。本発明によれば、周波数フィルタによって、不要な周波数成分が除去されたり、必要とされる周波成分を抽出されるため、その後段における各種の演算処理は、不要な情報がカットされたものに基づいて行なわれるため、高精度な判定を行える。
【0019】
前記特徴量演算手段は、フレーム単位に分割されていない波形データをフレーム分割するフレーム分割手段と、前記フレーム分割手段でフレーム分割された波形データを、直接あるいは前記波形変換手段を介して与えられたフレーム単位の波形データからフレーム特徴量を求めるフレーム特徴量演算手段と、前記フレーム特徴量演算手段で求めた同一の検査対象物についての複数のフレーム特徴量から、前記判定手段に与える前記特徴量を求める最終特徴量演算手段と、を備えるようにすることができる。本発明では、与えられた波形をフレーム分割し、各フレームごとのフレーム特徴量を求め、同一の検査対象物についての複数のフレーム特徴量から、最終的な特徴量を求めるため、より詳細な分析が行え、従来、良品と不良品が分離できなかったものも判定可能となる。
【0020】
フレーム分割は、回転数域で等間隔になるように分割するようにするとよい。たとえば、検査対象物が1回転するごとに異音を発生するような不良の場合、回転数が変化すると異音の発生タイミングも変化する。この場合、回転数域波形での異音の発生タイミングは一定である。そこで、フレーム分割を回転数域で等間隔になるように分割することで、検査装置は、検査対象が増減速状態でも分析が可能で、正確な判定を行える。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、次数域波形、回転数域波形およびまたは次数フィルタから出力される波形を用い、良品と不良品を判別を高精度に行なうことができる。また、検査対象が回転運動するもの場合、等速回転状態はもちろんのこと、増減速状態でも分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図2は、本発明の好適な一実施の形態を示している。まず、検査対象物1に接近してマイク2を配置すると共に、その検査対象物1に加速度ピックアップ3を接触させる。マイク2は、検査対象物1から発生する音を検出し、加速度ピックアップ3は検査対象物1の振動を検出する。マイク2,加速度ピックアップ3等のセンサで検出した信号は、それぞれアンプ4で増幅し、A/D変換器5にてデジタルデータに変更後、検査装置10に与えられる。
【0023】
検査対象物1は、エンジン等の回転運動を行なうものである。その検査対象物1には、回転数を検出する回転数検出装置が取り付けられている。その回転数検出装置から出力される回転数情報も、検査装置10に与えられる。回転数検出装置から出力される回転数情報がアナログデータの場合、回転数検出装置の出力は、A/D変換器5にてデジタルデータに変更後、検査装置10に与えられるように構成する。
【0024】
なお、図2では、A/D変換器5は検査装置10の外部に設けるように記載したが、検査装置10の内部に設置してもよい。検査対象物1に具体的な回転数を検出する回転数検出装置が取り付けられておらず、エンコーダのように回転数に応じた信号(例えば、パルス列)を出力するセンサが取り付けられている場合もある。その場合、そのエンコーダ等の出力を検査装置10に入力するように構成するとともに、検査装置10内に、入力された回転数に応じた信号から回転数を算出する回転数算出部を設ける。
【0025】
検査装置10は、マイク2で収集した音データや加速度ピックアップ3で収集した振動データに基づく波形データと、検査対象物1の回転数情報と、を取得し、その波形データと回転数情報を用いて特徴量を抽出するとともに、検査対象物1が良品か否かの判定を行なう。検査装置10は、コンピュータから構成され、CPU本体10aと、キーボード,マウス等の入力装置10bと、ディスプレイ10cとを備えている。CPU本体10aは図示しないが、一般的に中央演算装置(CPU)、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(メモリ)から構成される。図3、図4で示す検査装置の内部構成は主にCPU本体10aに記憶され、実行されるソフトウェアで実現される。
【0026】
図3に示すように、検査装置10は、A/D変換器5を介して取得した波形データから特徴量を演算する特徴量演算部11と、その特徴量演算部11で演算した特徴量に基づいて、良否判断を行なう判定部12とを備えている。この判定部12の判定結果は、例えばディスプレイ10cにリアルタイムで表示したり、記憶装置に格納したりすることができる。図示省略するが、特徴量演算部11において演算する特徴量の種類や、その特徴量のパラメータ等は、特徴量パラメータ記憶部に格納されている。特徴量演算部11は、その特徴量パラメータ記憶部に格納された情報に従って、特徴量演算を行ない、特徴量の値を求める。判定部12は、特徴量演算部11から与えられた特徴量の値に基づき、ファジィ推論などの判定アルゴリズムを実行して良品か否かを判定する。
【0027】
図4は、特徴量演算部11の内部構成を示すブロック図である。特徴量演算部11は、結合部21と、周波数フィルタ22と、次数フィルタ23と、波形変換部24と、フレーム分割部25と、フレーム特徴量演算部26と、最終特徴量演算部27と、を備えている。
【0028】
結合部21は、与えられた波形データと回転数情報とを関連づけ、その関連づけたデータを周波数フィルタ22,次数フィルタ23,フレーム分割部25にそれぞれ与える。本実施の形態では、検査対象物1は、等速回転している場合もあれば、加速運転や減速運転のように回転数が時々刻々と変化している場合もある。結合部21に与えられる波形データは、サンプリング周期でサンプリングされたデジタルデータ(振幅値)の集合から構成される。そこで、その振幅値がサンプリングされた時の回転数情報を取得し、振幅値と関連づける。この関連づけは、例えば、振幅値と回転情報を対応づけたテーブルを作成し、記憶する。また、波形データを構成する各振幅値には、波形データを特定するための情報や、波形データを再現するために必要となるその波形データの時間軸のどの位置の振幅値かを特定するレコード番号等が付与されたデータ構造となっている場合、その振幅値の後ろに、回転数情報のデータを付加したデータ構造に変換するようにしてもよい。
【0029】
周波数フィルタ22は、結合部21から与えられた波形データ(時間域波形)から、所定の周波数成分を抽出あるいは除去するものである。この周波数フィルタ22は、例えば、バンドパスフィルタから構成され、抽出する周波数帯域はパラメータとして設定された1又は複数の領域である。周波数フィルタ22を通過した波形データは、次数フィルタ23と、波形変換部24に与えられる。このとき与えられるフィルタリング後の波形データを構成する各振幅値に対しても回転数情報が関連づけられている。つまり、周波数フィルタ22は、回転数情報に関係なく、単純に与えられた波形データから所定の周波数成分を抽出したり、除去したりするもので、フィルタリング後の時間軸における各振幅値が変換されるものの、時間軸上のある点に着目した場合には、回転数情報は変わらない。よって、結合部21で関連づけられた回転数情報と振幅値のうち、フィルタリング処理により振幅値のみ変更されたデータが、次数フィルタ23や、波形変換部24に与えられる。
【0030】
次数フィルタ23は、与えられた波形データと回転数情報とに基づき、n次数成分を抽出あるいは除去するものである。ここでnは、ある1つの値の場合もあれば、複数の値の場合もある。具体的には、nが1つの値の例としては、4次成分のみを抽出するようなフィルタリング処理を行なうものがある。nの値が複数の例としては、3次成分以上を抽出する(2次成分以下を除去する)や、4次成分から6次成分を抽出するというように複数の次数成分を指定してフィルタリング処理をするものがある。
【0031】
ここで、次数とは、周波数を基本回転数で正規化した値であり、具体的には、下記式により規定されるものである。下記式において基本回転数は、回転数情報として与えられる検査対象物1の回転数である。
次数 =周波数/基本回転数
【0032】
次数フィルタ23によるフィルタリング処理を行なうと、例えば図5(a)に示すような波形データが、図5(b)に示すような波形データに変換される。図から明らかなように、この次数フィルタ23を通過した波形データも、時間軸領域での波形データ(時間域波形)である。周波数フィルタ22の場合と同様に、次数フィルタ23から出力される情報も、波形データと回転数情報とを関連づけた情報である。この次数フィルタ23の出力(波形データ+回転数情報)は、波形変換部24とフレーム分割部25に与えられる。
【0033】
次数フィルタ23は、周波数フィルタ22にてフィルタリング処理された所定周波数成分の波形データと、周波数フィルタ22を通過しない生データの波形データとに対し、それぞれフィルタリング処理を行なう。また、どの次数成分を抽出,除去するかは、パラメータとして設定される。この点は、周波数フィルタ22の場合と同様である。
【0034】
フレーム分割部25は、設定された条件に従って、与えられた波形データをフレーム分割し、分割したフレーム単位の波形データを出力する。このフレーム分割するための設定条件としては、フレーム幅(1フレームの時間)や、1フレームを構成するデータサイズや、前後のフレームの重なりの程度(重なり0を含む)などがある。両フィルタ22,23におけるパラメータと同様に、フレーム分割するための設定条件もパラメータとして特徴量・パラメータ記憶部に記憶保持しておき、フレーム分割部25に与える。
【0035】
このフレーム分割部25に与えられるデータには、次数フィルタ23から与えられたフィルタリング処理をした波形データと、結合部21から与えられる生データの波形データの場合がある。与えられる波形データは異なるものの、時間域波形である点では同じであるため、フレーム分割部25は、いずれの波形データに対しても同様のフレーム分割するための設定条件に従って実行できる。
【0036】
フレーム分割された波形データ(回転数情報が関連づけられている)は、波形変換部24や、フレーム特徴量演算部26に与えられる。いずれの処理部に渡すかは、このフレーム分割部25に至るデータの経路により決定される。すなわち、次数フィルタ23や結合部21から受け取った波形データをフレーム分割部25でフレーム分割した場合、フレーム分割部25は、その分割したフレーム単位の波形データを波形変換部24に渡す。一方、周波数フィルタ22や次数フィルタ23の出力を波形変換部24に与え、そこにおいて波形変換されたデータをフレーム分割部25が受け取った場合には、フレーム分割したデータをフレーム特徴量演算部26に渡す。また、波形変換を行なう必要がない場合、フレーム分割部25は、次数フィルタ23や結合部21から受け取った波形データをフレーム分割し、フレーム特徴量演算部26に渡す場合もある。
【0037】
図6に示すように、波形変換部24は、時間域波形と回転数情報の2つの情報の入力を受け、回転数域波形や、次数域波形を算出し、算出した波形を出力するものである。回転数域波形は、横軸に回転数をとり、縦軸に振幅値をとった波形データである。次数域波形は、図7に示すように、横軸に次数をとり、縦軸に振幅値をとったものである。なお、2つの入力情報に基づいて回転数域波形や次数域波形を求める演算アルゴリズム自体は公知であるため、具体的なアルゴリズムの記載は省略する。
【0038】
フレーム特徴量演算部26は、フレーム分割部25で分割された各フレーム単位の波形データならびに波形変換部24にて変換されたデータ(フレーム単位)に基づき、フレーム単位の特徴量(フレーム特徴量)を算出するものである。図8に示すように、フレーム特徴量演算部26は、回転数域波形が入力された場合には回転数域特徴量を求め、次数域波形が入力された場合には次数域特徴量を求める。回転数域特徴量としては、RMS(実効値),ピークtoピーク値,平均値等を用いることができる。次数域特徴量としては、たとえば図7に示すように複数の次数成分の各振幅値を結んで形成される形状(図中、波線で示す)を特徴量化したもの用いることができる。例えば単純に、n次成分と(n+1)次成分の振幅値の大小関係の組み合わせから構成しても良いし、複数の次数成分の比(例えば、2次成分と、3次成分の比)を用いるようにしても良く、各種の方法が採れる。
【0039】
フレーム特徴量演算部26で求めた各フレーム特徴量は、次段の最終特徴量演算部27に与えられる。最終特徴量演算部27は、複数のフレームから得られたフレーム特徴量に基づき、検査対象の波形データを代表する特徴量を求める。一例を示すと、フレーム分割部25でフレーム分割した各フレームごとの波形データを波形変換部24で求めた回転数域波形が、図9(a)に示すようになっているものとする。この図9(a)の回転数域波形は、6つのフレームから構成されている。各フレームのフレーム特徴量がRMSとすると、図9(b)中、黒丸で示すように、RMSは大小を交互に繰り返すようになる。従って、隣接するフレーム間のRMSは、図9(b)中矢印で示すように、増減を繰り返すようになる。代表特徴量演算は、たとえばRMSの変化量のトップ3の平均を求めるものとし、求めた平均値をその波形の特徴量とする。
【0040】
図9(a)に示した回転数域波形データが良品のものとし、図10(a)に示した回転数域波形データが不良品のものとすると、図10(b)から明らかなように、不良品の特徴量の値は小さくなり、良品のものと区別することができる。
【0041】
上述した例では、フレーム特徴量演算部26は、波形変換部24にて得られた次数域波形や回転数域波形に対してフレーム特徴量を求めるようにしたが、本発明は此に限ることはない。例えば、次数フィルタ23にてフィルタリング処理をして得られた時間域波形(図5(b)参照)を、フレーム分割部25に与え、フレームごとに分割する。そして、各フレームをフレーム特徴量演算部26に与え、次数フィルタリング処理をして得られたフレームごとの時間データの形状に基づいてフレーム特徴量を求めてもよい。このフレーム特徴量も、例えば、RMSやピークtoピーク値等を用いることができる。このようにして得られたフレーム特徴量は、最終特徴量演算部27に与えられる。
【0042】
回転数が変化する場合、検出される波形データに影響が与えられることがある。例えば、図11(a)に示すように、回転数が増加している場合には、図11(b)に示すように、回転数が小さいA領域に比べ、回転数の大きいB領域の方が、発生する音も大きくなる。音に基づく波形データの振幅値が小さいと良品で、振幅値が大きいと不良品とする判定を行なうものとすると、以下に示す問題を生じる。図12(a)は、回転数Xにおける良品の振幅値を示し、図12(b)は、回転数Xにおける不良品の振幅値を示している。図12(c)は、回転数Y(Y>X)における良品の振幅値を示し、図12(b)は、回転数Yにおける不良品の振幅値を示している。図から明らかなように、同一回転数においては、良品の振幅値が、不良品の振幅値よりも小さいという大小関係か保たれているとする。しかし、回転数が時々刻々と変化する場合、図12(b)と図12(c)のように、良品の振幅値の方が不良品の振幅値よりも大きくなるといった逆転現象を生じてしまい、誤判定のおそれがある。
【0043】
そこで、波形変換部24は、波形振幅値を正規化する機能を備えた。これにより、例えば図13(a)に示すような時間域波形が与えられた場合、図13(b)に示すように振幅値が正規化された時間域波形が求められる。具体的な波形変換処理は、例えば、
振幅値/回転数
により求めることができる。すなわち、振幅値は回転数に比例するため、上述した式のように振幅値を回転数で除算することで正規化ができる。
【0044】
波形変換部24は、このようにして正規化した時間域波形を出力してもよいし、その正規化した時間域波形と回転数情報に基づいて回転数域波形や次数域波形を算出し、出力するようにしてもよい。
【0045】
図14に示すように、ギヤ30の歯30aの一部に欠陥30a′がある場合、ギヤ30が1回転するごとに異音が発生する。ギヤ30が等速回転している場合には、一定の時間間隔ごとに異音が発生する。ギヤ30が加速回転運動している場合には、図15(a)に示すように、欠陥30a′に伴い発生する異音の発生間隔が、徐々に短くなる。この図15(a),に示すように、フレーム分割部25が、この時間域波形に対して時間域で等間隔にフレーム分割を行なった後、波形変換部24が各フレームの時間域波形を回転数域波形に変換すると、図15(b)に示すようになる。図15(b)から明らかなように、回転数域波形を構成する各フレームのフレーム幅が異なり、このフレームに基づいてフレーム特徴量を求めると、異音の発生現象を精度よく捉えられないおそれがある。
【0046】
そこで、図16に示すように、回転数域で等間隔にフレーム分割を行なうようにした。これにより、図16(b)に示すように、各フレームにおいて、同一タイミングで異音が発生するようにフレーム分割することができる。よって、異音の発生現象を精度よく捉えることができ、高精度な判定を行える。
【0047】
この回転数域で等間隔にフレーム分割する手法は、例えば、フレーム分割部24が、回転数情報を利用して図16(a)に示すように時間域で不等間隔にフレーム分割することで対応できる。具体的には、回転数が大きいものほど時間域でのフレーム幅を短くするような関数によりフレーム分割を行なうことで対応できる。また、波形変換部24にて回転数域波形に変換後にフレーム分割部24に渡し、そこにおいて回転数域波形を等間隔にフレーム分割するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の問題点を説明する図である。
【図2】本発明の検査装置を含む検査システムの一例を示す図である。
【図3】本発明の検査装置の一実施の形態を示す図である。
【図4】検査装置10の要部となる特徴量抽出部の内部構造の一例を示す図である。
【図5】次数フィルタの機能を説明する示す図である。
【図6】波形変換部24を説明する図である。
【図7】次数域波形の一例を示す図である。
【図8】フレーム特徴量演算部26を説明する図である。
【図9】フレーム特徴量演算部26の機能を説明する図である。
【図10】フレーム特徴量演算部26の機能を説明する図である。
【図11】増速運転をしている場合の波形データの一例を示す図である。
【図12】回転数が与える特徴量への影響を説明する図である。
【図13】回転数情報に基づき振幅値を正規化する機能を説明する図である。
【図14】検査対象物であるギア(不良品)の一例を示す図である。
【図15】時間軸での等間隔でフレーム分割する際の問題点を説明する図である。
【図16】回転数軸で等間隔にフレーム分割する機能を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
10 検査装置
11 特徴量演算部
12 判定部
21 結合部
22 周波数フィルタ
23 次数フィル
24 波形変換部
25 フレーム分割部
26 フレーム特徴量演算部
27 最終特徴量演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された検査対象物から発生する音,振動等の時間域波形と、前記検査対象物の回転数情報と、を関連付ける結合手段と、
その関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて回転数域波形と次数域波形の少なくとも一方を求める波形変換手段と、前記関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、設定された1又は複数の次数成分を抽出及び又は除去する次数フィルタの少なくとも一方と、
前記回転数域波形と、次数域波形と、前記次数フィルタから出力される波形の少なくともひとつを取得し、その取得した情報に基づいて特徴量を求める特徴量演算手段と、
その特徴量演算手段で求めた特徴量に基づいて前記検査対象物が良品か否かを判定する判定手段と、を備え、
前記特徴量演算手段は、少なくとも取得した波形の形状から特徴量を算出する機能を有するように構成したことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記波形変換手段は、前記回転数情報に基づき、与えられた時間域波形の振幅値を正規化する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記次数フィルタの出力を、前記波形変換手段を介して前記特徴量演算手段に与えるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記回転数情報が関連付けられた時間域波形をフィルタリング処理する周波数フィルタを設け、
その周波数フィルタの出力を、前記次数フィルタと、前記波形変換部の少なくとも一方に与えるように構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記特徴量演算手段は、
フレーム単位に分割されていない波形データをフレーム分割するフレーム分割手段と、
前記フレーム分割手段でフレーム分割された波形データから直接あるいは前記波形変換手段を介して与えられたフレーム単位の波形データからフレーム特徴量を求めるフレーム特徴量演算手段と、
前記フレーム特徴量演算手段で求めた同一の検査対象物についての複数のフレーム特徴量から、前記判定手段に与える前記特徴量を求める最終特徴量演算手段と、を備えるようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
フレーム分割は、回転数域で等間隔になるように分割することを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【請求項1】
入力された検査対象物から発生する音,振動等の時間域波形と、前記検査対象物の回転数情報と、を関連付ける結合手段と、
その関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて回転数域波形と次数域波形の少なくとも一方を求める波形変換手段と、前記関連付けられた時間域波形と回転数情報に基づいて、設定された1又は複数の次数成分を抽出及び又は除去する次数フィルタの少なくとも一方と、
前記回転数域波形と、次数域波形と、前記次数フィルタから出力される波形の少なくともひとつを取得し、その取得した情報に基づいて特徴量を求める特徴量演算手段と、
その特徴量演算手段で求めた特徴量に基づいて前記検査対象物が良品か否かを判定する判定手段と、を備え、
前記特徴量演算手段は、少なくとも取得した波形の形状から特徴量を算出する機能を有するように構成したことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記波形変換手段は、前記回転数情報に基づき、与えられた時間域波形の振幅値を正規化する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記次数フィルタの出力を、前記波形変換手段を介して前記特徴量演算手段に与えるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記回転数情報が関連付けられた時間域波形をフィルタリング処理する周波数フィルタを設け、
その周波数フィルタの出力を、前記次数フィルタと、前記波形変換部の少なくとも一方に与えるように構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記特徴量演算手段は、
フレーム単位に分割されていない波形データをフレーム分割するフレーム分割手段と、
前記フレーム分割手段でフレーム分割された波形データから直接あるいは前記波形変換手段を介して与えられたフレーム単位の波形データからフレーム特徴量を求めるフレーム特徴量演算手段と、
前記フレーム特徴量演算手段で求めた同一の検査対象物についての複数のフレーム特徴量から、前記判定手段に与える前記特徴量を求める最終特徴量演算手段と、を備えるようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
フレーム分割は、回転数域で等間隔になるように分割することを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−101244(P2007−101244A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288528(P2005−288528)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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