説明

検査装置

【課題】曲面を有し該曲面に第1部材と第2部材との接合部が形成されている検査対象の不具合を検査しやすい。
【解決手段】接合焼結体検査装置20は、曲面を有しこの曲面に本体部材42同士の接合部44が形成されている接合焼結体40へ第1偏光板32により偏光した光を照射すると共に、接合焼結体40の曲面を介して入射した光を第2偏光板34により偏光してカメラ35が受光する。このように、照射された光を偏光して接合焼結体40に入射し、接合焼結体40を透過して散乱した光を更に偏光してカメラ35で受光することにより、曲面を介した光によって撮影画像の周縁が暗くなってしまうのを抑制可能である。したがって、接合焼結体40のより広い範囲を検査可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関し、詳しくは曲面を有し該曲面に第1部材と第2部材との接合部が形成されている検査対象の不具合を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査装置としては、偏光素子を介して検査対象へ光源から光を照射し検査対象及び検光素子を透過した光をカメラで撮影し、液体が詰められた容器に混入した固形異物を検査することにより、液体中に存在する屈折率の異なる泡などを偏光素子と検光素子とによりフィルタリングして異物として誤検出するのを抑制したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−19799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載された検査装置では、容器内部に混入した固形異物の有無を検査することは考慮されていたが、曲面を有し2つの部材が接合した部材における、例えば接合部分の検査については検討されていなかった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、曲面を有し該曲面に第1部材と第2部材との接合部が形成されている検査対象の不具合を検査しやすい検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
即ち、本発明の検査装置は、
検査対象の不具合を検査する検査装置であって、
曲面を有し該曲面に第1部材と第2部材との接合部が形成されている前記検査対象を固定する固定手段と、
光を照射する照射手段と、
光を受光する受光部を有し該受光した光に基づいて画像を生成する画像生成手段と、
前記照射手段によって照射された光を偏光して前記固定された検査対象へ入射させる第1偏光手段と、
前記固定された検査対象を透過した光を偏光して前記画像生成手段の受光部へ受光させる第2偏光手段と、
を備えたものである。
【0007】
この検査装置では、曲面を有し該曲面に第1部材と第2部材との接合部が形成されている検査対象へ偏光した光を照射すると共に、検査対象の曲面を介して入射した光を偏光して受光部に受光する。このように、照射された光を偏光して検査対象に入射し、検査対象を透過して散乱した光を更に偏光して受光部で受光することにより、曲面を介した光によって得られた検査対象の画像の一部が明るくなり一部が暗くなるのを抑制可能である。したがって、検査対象のより広い範囲を検査可能であるため、曲面を有する検査対象の接合部での不具合を検査しやすい。
【0008】
本発明の検査装置において、前記固定手段は、直線透過率が低い物質、例えば乳白色で透光性を有するセラミックス(直線透過率10%〜35%)により形成されている検査対象を固定するものとしてもよい。直線透過率が低い物質には、検査用の光を均一とする本発明を適用する意義が高い。このとき、検査対象は、メタルハライド用発光管であるものとしてもよいし、高圧ナトリウムランプ用発光管であるものとしてもよい。
【0009】
本発明の検査装置において、前記固定手段は、開口端を有するカップ形状の前記第1部材と開口端を有するカップ形状の前記第2部材とを対向し該開口端同士が前記接合部で接合して中空状に形成されている前記検査対象を固定するものとしてもよい。即ち、第1及び第2部材の円周方向に形成されている接合部において、検査対象の周縁部に向けて接合部の状態が確認しにくくなることを抑制することができる。このとき、前記固定手段は、前記カップ形状の底部に貫通して形成された筒状部を有する検査対象を該筒状部で固定するものとしてもよい。こうすれば、検査対象を固定しやすいし、検査時に検査対象の向きを変えやすい。
【0010】
本発明の検査装置において、前記第2偏光手段は、前記固定された検査対象を透過した光を前記第1偏光手段と同様の方向に偏光して前記受光部へ受光させるものとしてもよい。
【0011】
本発明の検査装置は、前記固定手段に固定された検査対象を該検査対象の中心軸を中心として回転させる回転駆動手段、を備えたものとしてもよい。こうすれば、検査対象の接合部の全体を検査しやすい。
【0012】
本発明の検査装置において、前記固定手段は、前記検査対象の上方を固定するものとしてもよい。あるいは、前記検査対象の下方を固定するものとしてもよいし、前記検査対象の上方と下方とを固定するものとしてもよい。
【0013】
本発明の検査装置において、前記照射手段は、面照射により光を照射するものとしてもよい。こうすれば、検査対象の全体に均一な光を照射可能であるため、検査対象の全体を検査しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である接合焼結体検査装置20の構成の概略を示す構成図であり、図1(a)が側面図、図1(b)が上方から見た説明図であり、図2は、接合焼結体40の説明図であり、図2(a)が偏光板32,34を使用しないときの図、図2(b)が偏光板32,34を使用したときの図である。本実施形態の接合焼結体検査装置20は、接合焼結体40の接合部44などにクラックや気泡などの不具合の発生を検査する装置である。
【0015】
まず、検査対象である接合焼結体40から説明する。接合焼結体40は、メタルハライド用発光管であり、図1及び図2に示すように、開口端を有すると共に曲面を有するカップ形状の本体部材42の2つを対向し、この開口端同士が接合部44で接合して中空部40aが形成されている形状を有している。この接合焼結体40は、その曲面即ち本体部材42の円周方向に本体部材42同士の接合部44が形成されている。この本体部材42には、カップ形状の底部に貫通した筒状部43が形成されている。この筒状部43は、カップ形状部分よりも直径が小さく形成されている。また、接合焼結体40は、乳白色で透光性を有するセラミックス(直線透過率10%〜35%、例えばアルミナなど)により形成されている。この接合焼結体40の不具合には、図2(b)の拡大図に示すように、接合部44内部でのクラックや、接合部44と本体部材42との間のクラック、接合部44内部に生じた気泡、接合部44と本体部材42との間に生じた気泡など、接合部44に関する不具合のほか、本体部材42でのクラックや異物の混入、気泡の発生などが含まれる。なお、接合焼結体40を高圧ナトリウムランプ用発光管であるものとしてもよい。
【0016】
接合焼結体検査装置20は、図1に示すように、矩形状の平板として形成され接合焼結体検査装置20を支える固定台としてのベース台21と、ベース台21の一端に立設された支持部材22と、支持部材22の上端に固定されベース台21の中央側に向かって形成された上部ユニット23とを備えている。この上部ユニット23には、ベース台21の略中央上方から下方に向かって配設された固定用ロッド25と、この固定用ロッド25の先端に設けられ接合焼結体40を固定する固定部26と、が設けられている。この固定部26は、接合焼結体40に設けられた上側の筒状部43を吸引により吸着させることにより接合焼結体40を固定するように構成されている。また、上部ユニット23には固定用ロッド25を軸中心で回転させる駆動モータ24が設けられており、筒状部43を中心軸として接合焼結体40を回転可能となっている(矢印A参照)。
【0017】
また、接合焼結体検査装置20は、固定部26に固定された接合焼結体40へ光を照射する照射ユニット31と、照射ユニット31と接合焼結体40との間に固定された第1偏光板32と、接合焼結体40を透過した光を受光するカメラ35と、接合焼結体40とカメラ35との間に固定された第2偏光板34と、を備えている。照射ユニット31は、面照射により接合焼結体40全体へ光を照射可能に構成されており、図示しないダイヤルを操作することにより照射光量を調節可能となっている。第1偏光板32は、所定方向に振動する光のみを透過する板であり、照射ユニット31から照射された光がカメラ35の方向へ入射するように配置されている。第2偏光板34は、第1偏光板32と同じく所定方向に振動する光のみを透過する板であり、接合焼結体40で散乱した光を第1偏光板32と同じ方向に偏光してカメラ35へ入射させるように配置されている。カメラ35は、受光した光を信号に変換して情報処理装置38へ出力するものである。情報処理装置38は、カメラ35から入力した信号に基づいて画像を生成し、ディスプレイ39へ表示させる装置である。
【0018】
次に、このように構成された接合焼結体検査装置20の動作、特に、接合焼結体40の接合部44を検査する動作について説明する。まず、検査者は、接合焼結体40を固定部26へ装着し、図示しないダイヤルを操作して、駆動モータ24を駆動し、接合焼結体40をゆっくり回転させる。次に、検査者は、図示しない操作パネルのダイヤルを操作し、照射ユニット31から光を照射させる。すると、照射ユニット31から照射された光が第1偏光板32で偏光され接合焼結体40へ入射し、接合焼結体40を透過して第2偏光板34で更に偏光されカメラ35へ入射する(図1の矢印B参照)。この入射した光をカメラ35が検出し、この信号に基づいて、情報処理装置38が撮影画像へ処理し、この撮影画像をディスプレイ39に表示する。ここで、例えば、第1偏光板32及び第2偏光板34を装着せずに接合焼結体40をカメラ35で撮影した場合には、図2(a)に示すように、接合焼結体40で光が散乱し、周縁部が暗くなると共に軸方向の中心部が明るくなり、視認可能な範囲が狭い状態となる。この場合は、クラック45や気泡46などを視認可能なように接合焼結体40の回転速度をより遅くするなどが必要になるため、1つのサンプルを検査する時間が長くなってしまう。ここでは、第1偏光板32及び第2偏光板34を装着し光を偏光させるため、接合焼結体40での光の散乱の影響を抑制可能である。この結果、図2(b)に示すように、周縁部と中心部との明るさの差の発生が抑制され、接合焼結体40の全体を視認可能な撮影画像を得ることができる。この撮影画像を検査者がチェックし、接合焼結体40の検査を行うのである。
【0019】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の接合焼結体40が本発明の検査対象に相当し、固定部26が固定手段に相当し、照射ユニット31が照射手段に相当し、カメラ35及び情報処理装置38が画像生成手段に相当しこのうちカメラ35が受光部に相当し、第1偏光板32が第1偏光手段に相当し、第2偏光板34が第2偏光手段に相当し、駆動モータ24が回転駆動手段に相当する。
【0020】
以上詳述した本実施形態の接合焼結体検査装置20によれば、曲面を有しこの曲面に本体部材42同士の接合部44が形成されている接合焼結体40へ第1偏光板32により偏光した光を照射すると共に、接合焼結体40の曲面を介して入射した光を第2偏光板34により偏光してカメラ35が受光する。このように、照射された光を偏光して接合焼結体40に入射し、接合焼結体40を透過して散乱した光を更に偏光してカメラ35で受光することにより、曲面を介した光によって撮影画像の周縁が暗くなってしまうのを抑制可能である。したがって、接合焼結体40のより広い範囲を検査可能であるため、接合部44での不具合を検査しやすい。また、接合焼結体40がメタルハライド用発光管である乳白色で透光性を有するセラミックスにより形成されているため、検査用の光を均一とする本発明を適用する意義が高い。更に、本体部材42の円周方向に接合部44が形成されているため、接合焼結体40の周縁部に向けて接合部の状態を確認しにくくなることを抑制することができる。更にまた、筒状部43で固定部26が固定するため、接合焼結体40を固定しやすいし、検査時に接合焼結体40の向きを変えやすい。また、固定部26が吸引により接合焼結体40を固定するため、把持により接合焼結体40を固定するものに比して接合焼結体40に傷などを付けにくい。そして、駆動モータ24により接合焼結体40が軸回転するため、接合焼結体40の接合部44の全体を検査しやすい。そしてまた、照射ユニット31が接合焼結体40へ面照射により光を照射するため、接合焼結体40の全体に均一な光を照射可能であり、接合焼結体40の全体を検査しやすい。
【0021】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0022】
例えば、上述した実施形態では、上側の筒状部43を固定部26によって固定するものとしたが、接合焼結体40の下側の筒状部43で固定するものとしてもよいし、上側と下側との両方の筒状部43で固定するものとしてもよい。また、固定部26は、筒状部43で固定するものとしたが、本体部材42で固定するものとしてもよい。
【0023】
上述した実施形態では、照射ユニット31は、光を面照射するものとしたが、点照射や線照射するものでもかまわない。こうしても、接合焼結体40のより広い範囲を検査可能であるため、接合部44での不具合を検査しやすい。
【0024】
上述した実施形態では、駆動モータ24により接合焼結体40を軸回転可能なものとしたが、これを省略してもかまわない。なお、接合焼結体40を回転可能とすることが、接合焼結体40の全体を検査するのに好ましい。
【0025】
上述した実施形態では、検査対象は、中空部40aを有するものとしたが、特にこれに限定されず、検査する曲面に接合部が形成されているものであればどのような形状であってもかまわない。また、筒状部43が形成されているものとしたが、これを形成していないものとしてもよい。
【0026】
上述した実施形態では、カメラ35が光を受光し情報処理装置38で画像を生成するものとしたが、光を信号に変換し画像として表示可能なものであれば特に限定されずに用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、接合体の検査分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】接合焼結体検査装置20の構成の概略を示す構成図であり、図1(a)が側面図、図1(b)が上方から見た説明図である。
【図2】接合焼結体40の説明図であり、図2(a)が偏光板32,34を使用しないときの図、図2(b)が偏光板32,34を使用したときの図である。
【符号の説明】
【0029】
20 接合焼結体検査装置、21 ベース台、22 支持部材、23 上部ユニット、24 駆動モータ、25 固定用ロッド、26 固定部、31 照射ユニット、32 第1偏光板、34 第2偏光板、35 カメラ、38 情報処理装置、39 ディスプレイ、40 接合焼結体、40a 中空部、42 本体部材、43 筒状部、44 接合部、45 クラック、46 気泡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の不具合を検査する検査装置であって、
曲面を有し該曲面に第1部材と第2部材との接合部が形成されている前記検査対象を固定する固定手段と、
光を照射する照射手段と、
光を受光する受光部を有し該受光した光に基づいて画像を生成する画像生成手段と、
前記照射手段によって照射された光を偏光して前記固定された検査対象へ入射させる第1偏光手段と、
前記固定された検査対象を透過した光を偏光して前記画像生成手段の受光部へ受光させる第2偏光手段と、
を備えた検査装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−232713(P2008−232713A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70451(P2007−70451)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】