説明

検査装置

【課題】容器を上下方向から挟み込む形式の検査装置において、容器を確実に検査ロータに搭載することができる検査装置を提供する。
【解決手段】内容物を充填した略円筒状の複数容器を外周に沿って設けられた検査ユニットに給送する検査ロータと、検査ロータ上で前記容器を上下方向から着脱自在に挟んで回転可能に保持する保持装置と、前記検査ロータに複数容器を搬入する容器収納部を有する搬入ロータと、検査後の容器を検査ロータから搬出する搬出ロータと、搬入ロータから検査ロータへの容器の搭載を案内するガイド部材を有し、前記検査ユニットで容器または容器内容物の状態を検査する検査装置において、搬入ロータに容器をガイド部材と搬入ロータの容器収納部に押圧する押圧部材を設け、押圧部材は前記容器を姿勢制御して検査ロータへ搭載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に液体、粉体、固体等を充填した複数容器の欠陥や異常を検査してこれを選別する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の検査装置は、複数の壜をロータに搬入する搬入スターホイールと、壜を照明装置およびカメラ部に回転給送して壜の外観および内容物の状態を検査するロータと、検査後の壜をロータから搬出する搬出スターホイールを備えている(例えば特許文献1参照)。ここで、搬入スターホイールからロータへの壜の搭載の際、ロータでの保持方式によっては問題が生じる場合がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−322235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器を台座とキャップからなる保持装置で上下方向から挟み込んで保持する検査装置では、容器直径の公差のばらつき等を吸収するために台座やキャップにテーパが形成され、保持と同時に容器中心軸を保持装置の回転軸に一致させるセンタリングが行われていた。しかし、搬入ロータから検査ロータへの容器搭載の際に通常は搬入ロータとガイド部材の案内により容器が移送されるが、所定範囲を越えた容器傾きや揺れが生じると、台座とキャップによる挟み込みが確実に行われず、容器が保持装置中心に載置されずに偏心して回転しロータから脱落する恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、容器の形状誤差を吸収してセンタリングを行い、搭載不良をほぼ完全に無くすために、容器を上下方向から挟み込む形式の検査装置において容器を確実に検査ロータに搭載することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を充填した略円筒状の複数容器を外周に沿って設けられた検査ユニットに給送する検査ロータと、検査ロータ上で前記容器を上下方向から着脱自在に挟んで回転可能に保持する保持装置と、前記検査ロータに複数容器を搬入する容器収納部を有する搬入ロータと、検査後の容器を検査ロータから搬出する搬出ロータと、搬入ロータから検査ロータへの容器の搭載を案内するガイド部材を有し、前記検査ユニットで容器または容器内容物の状態を検査する検査装置において、容器を前記ガイド部材と搬入ロータの容器収納部に押圧する押圧部材を設け、押圧部材は前記容器を姿勢制御して検査ロータへ搭載することを特徴とする。
【0007】
また、前記押圧部材は搬入ロータから送り出された容器側面を押圧し、容器中心軸を前記保持装置のほぼ回転軸方向に揃えることを特徴とする。前記押圧部材は圧縮スプリングを有することができる。
【0008】
前記押圧部材は前記搬入ロータの各収納部に設けられ、容器に対し進退自在に接触することができる。また、前記押圧部材は搬入ロータの各収納部に設けられ、容器の搬送方向前方に傾斜面を有する。また、押圧部材は搬入ロータの各収納部に設けられ、弾性体から形成される。
【0009】
さらに、前記押圧部材は容器の搬送方向前方に傾斜して接触する単一の押圧部材からなることを特徴とする。また、前記押圧部材は振動減衰作用を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器の形状誤差を吸収して、検査ロータの保持装置に確実にセンタリングを行うことができ、容器を上下方向から挟み込む形式の検査装置において、容器を確実にロータに搭載することにより、容器搭載不良をはぼ解消した検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態を図を用いて説明する。
【0012】
図1は本発明の検査装置の実施形態を示す模式図である。図において、搬入ロータ1に搭載される内容物を充填した容器2は、連続的に検査ロータ3の保持装置4に挟みこまれ、保持装置4により内容物を回転させつつ検査ロータの回転に従い、複数の図示しない検査ユニットを通過する。各検査ユニットでは例えばカメラを利用し、液体内容物の場合は液中異物の検出や容器表面異常の検出等を行う。検査後の容器は搬出ロータ5に移送された後、良品、不良品に選別され、後工程で処理される。6は容器2のガイド部材、7は搬入ロータ1に設けられた容器2の収納部である。PCDは、検査ロータ3外周の保持装置4の中心を結んだピッチサークル直径を示す。
【0013】
図2は検査ロータの保持装置を示す模式図である。保持装置4は、上下動および回転可能なキャップ部材8と図示しない駆動系により回転可能な台座9とからなり、この間に円筒状の容器2を保持する。キャップ部材8と台座9の内側にはテーパ面が形成され、容器2を挟み込んだ際に容器2の中心軸が自動的に保持装置4の回転軸に一致するように構成されている。
【0014】
図3は、搬入ロータ1と検査ロータ3の容器搭載部分を示す模式図である。容器2の搭載を円滑にするために、前記ガイド部材6が設けられている。図3においてガイド部材6の上部内側案内面は、検査ロータのPCDより容器半径分小さい半径の円弧を持ち、下部内側案内面は、搬入ロータの容器PCDより容器半径分大きい半径の円弧を持つ。搬入ロータ1の容器2は収納部7の内壁とガイド部材6により保持されており、搬入ロータ1中心側を板状の樹脂材料等からなる押圧部材10により押圧されている。ここで、樹脂材料はそれ自体弾性を持ち、かつ一定の振動吸収減衰作用を持つ。押圧部材はこのほかに板状スプリング、または剛性の高い板状部材とスプリング等で構成されても良い。
【0015】
図4は、容器2の搬入ロータ1から検査ロータ3への搭載過程を示す模式図である。容器2は点P1で押圧部材10と接し、P2でガイド部材6と接し、P3で搬入ロータ1の収納部7内壁と接している。各点には各々垂直方向の力が作用する。容器2が検査ロータ3に移送されるとき保持装置4は徐々に容器2を挟み込み(チャッキング動作)搭載を完了するが、このチャッキングの開始から完了までのチャッキングゾーンにおいて、押圧部材による押圧力により容器2は収納部7内壁とガイド部材6に保持されてその中心軸が傾斜せず、保持装置4の回転軸に一致するように案内される。
【0016】
板状の押圧部材10を搬入ロータ1の回転方向前方に沿ってくさび状に狭まる傾斜面を設けることにより、弾性部材の変位が容器の搭載に悪影響を与えることがない。押圧部材10の押圧力はガイド部材6の縦方向の厚さの中央部分に作用することが望ましく、その場合容器2の安定した姿勢制御を行うことができる。各収納部毎に押圧部材10を設けることにより、確実で安定した押圧が実現される。また、押圧部材10は傾斜して容器2に接触しており、ガイド部材6との間でソフトな姿勢制御と開放が可能となる。
【0017】
図5は第2の実施形態を示す。図において圧縮スプリング11がピース12を介して容器2をP2とP3とに押圧している。これにより、第1の実施形態と同様に容器2は収納部7内壁とガイド部材6に保持されてその中心軸が傾斜せず、保持装置の回転軸に一致するように案内される。
【0018】
図6は第3の実施形態を示す。搬入ロータ1の回転方向前方に沿ってくさび状に狭まる傾斜面を有する単一の押圧部材13を回動自在に設け、図示しないスプリングまたはアクチュエータでチャッキングゾーンで容器2をガイド部材6に押圧し、容器2の安定した姿勢制御を行うことにより、ほぼ第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の検査装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の検査装置の検査ロータにおける保持装置を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す部分破断平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の原理を示す模式図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0020】
1:搬入ロータ、2:容器、3:検査ロータ、4:保持装置、5:搬出ロータ
6:ガイド部材、7:収納部、8:キャップ部材、9:台座、10:押圧部材
11:圧縮スプリング、12:ピース、13:押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填した複数容器を外周に沿って設けられた検査ユニットに給送する検査ロータと、検査ロータ上で前記容器を上下方向から着脱自在に挟んで回転可能に保持する保持装置と、前記検査ロータに複数容器を搬入する容器収納部を有する搬入ロータと、検査後の容器を検査ロータから搬出する搬出ロータと、搬入ロータから検査ロータへの容器の搭載を案内するガイド部材を有し、前記検査ユニットで容器または容器内容物の状態を検査する検査装置において、
容器を前記ガイド部材と搬入ロータの容器収納部に押圧する押圧部材を設け、押圧部材は前記容器を姿勢制御して検査ロータへ搭載することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1の検査装置において、前記押圧部材は搬入ロータから送り出された容器側面を押圧し、容器中心軸を前記保持装置の回転軸方向に揃えることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1または2の検査装置において、前記押圧部材は圧縮スプリングを有することを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1または2の検査装置において、前記押圧部材は前記搬入ロータの各収納部に設けられ、容器に対し進退自在に接触することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項4の検査装置において、前記押圧部材は搬入ロータの各収納部に設けられ、容器の搬送方向前方にくさび状に狭まる傾斜面を有することを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項4の検査装置において、前記押圧部材は搬入ロータの各収納部に設けられ、弾性体から形成されることを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項1または2の検査装置において、前記押圧部材は容器の搬送方向前方にくさび状に狭まる傾斜面により接触する単一の押圧部材からなることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
請求項1または2の検査装置において、前記押圧部材は振動減衰作用を有することを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−286533(P2009−286533A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138938(P2008−138938)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】