説明

検知装置と画像形成装置

【課題】 ユーザによる動作に基いて発電した電力によって装置内の箇所の状態を検知する手段から無線通信で検知結果を確実に伝達先へ通信できるようにする。
【解決手段】 検知装置1の発電部2はユーザの作業による主装置7の各所の部材の動作に連動して電力を発電し、蓄電部3がその発電された電力を蓄電する。
検知部4が、ユーザの作業による主装置7の各所の部材の状態が変えられたことを検知すると、その検知結果に応じた検知信号をトリガスイッチ部6へ送り、トリガスイッチ部6は、検知部4からの検知信号をトリガとして無線信号送信部5に対する蓄電部3の電力を供給する。無線信号送信部5は、トリガスイッチ部6を介して蓄電部3から電力が得られると動作し、検知部4での検知結果に応じて予め決められた信号を無線通信で主装置7へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装置内の各所の状態を検知する検知装置と、その検知装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器内の各所の状態をセンサ、電気的接続手段を用いて検知し、電気機器内の中央制御部が上記検知された状態に基いて動作方法を変化させる技術が知られている。
例えば、ファクシミリ装置、プリンタ、複写機、それらの機能を備えた複合機を含む画像形成装置において、装置筐体のカバーが開いている状態を検知すると印刷動作を不可とし、装置内部でのレーザ照射、定着ローラの加熱、機構の動作、その他の不具合を起こさないようにしている。
【0003】
また、装置筐体内の複数箇所の状態を単一のフォトセンサによって検知する検知装置(例えば、特許文献1参照)があった。
上記検知装置を、例えば、画像形成装置内の各所の状態を検知する検知装置として設けた場合、検知結果の通知先である中央制御部への配線が必要であり、装置の低コスト化と装置ユニットのレイアウトの自由度の向上を図ることが難しい。
また、検知装置に給電しなければならないので、省エネルギーの観点からも課題が残る。
【0004】
近年、画像形成装置内の各所の状態を検知する検知装置から中央制御部へ直接配線を行わず、無線によって各箇所の状態検知の情報を通知する技術が提案されている。
また、画像形成装置に対してユーザが加える動作に基いて発電し、検知装置が使用する電力に使用する技術が提案されている。
【0005】
例えば、ユーザによるカセットの着脱、装置カバーの開閉動作時の動作に基いて発電する発電手段を設け、その発電手段からカセットの着脱、装置カバーの開閉の状態を検知する検知装置へ給電し、検知装置から状態の検知結果を無線通信によって中央制御部へ通知する画像形成装置(例えば、特許文献2参照)があった。
また、ユーザによる操作入力を検知し、その検知した操作入力に応じた操作信号を制御装置に無線通信で伝達するスイッチ端末において、太陽光や振動に基いて発電する発電部を設け、その発電部から給電するスイッチ端末(例えば、特許文献3参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように、ユーザによる動作の動力によって発電した電力をそのまま使用するのでは、ユーザに依り動作にはばらつきが大きく、例えば動作が非常にゆっくりであった場合、検知装置が無線通信するのに必要最小限の電力を安定的に得ることができないおそれがある。
また、ユーザによる操作入力を検知するためには常時給電が必要であり、太陽光や振動に基いて発電する発電部の発電量が微小な場合、制御装置へ無線通信するのに必要最小限の電力を安定的に得ることができないおそれがある。
【0007】
したがって、従来のいずれの技術でも、状態の検知結果を通知するための無線通信が正常に行われる保障がないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザによる動作に基いて発電した電力によって装置内の箇所の状態を検知する手段から無線通信で検知結果を確実に伝達先へ通信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記の目的を達成するため、部材の状態が変えられることによって得た動作エネルギーに基いて電力を発電する発電手段と、発電手段によって発電された電力を蓄電する蓄電手段と、上記部材の状態が変えられたことを検知する検知手段と、蓄電手段から供給される電力によって動作し、検知手段によって上記部材の状態が変えられたことを検知したことを示す信号を無線送信する無線送信手段と、検知手段によって上記部材の状態が変えられたことを検知した場合に蓄電手段に蓄電された電力を無線送信手段に供給する電力供給制御手段を備えた検知装置を提供する。
また、上記検知装置を備え、上記検知装置によって当該画像形成装置の部材の状態が変えられたことを検知する画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
この発明による検知装置と画像形成装置は、ユーザによる動作に基いて発電した電力によって装置内の箇所の状態を検知する手段から無線通信で検知結果を確実に伝達先へ通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施形態である検知装置とその検知装置と無線通信する主装置のそれぞれの主要部の機能構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の検知装置の他の機能構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す蓄電部、検知部、およびトリガスイッチ部の内部構成例を示すブロック図である。
【図4】図2に示す蓄電部、検知兼トリガスイッチ部の内部構成例を示すブロック図である。
【図5】図1と図2に示す検知装置の発電部の発電量と蓄電部の蓄電量と無線信号送信部に出力される電力量の変化の一例を示す波形図である。
【図6】図1に示す構成の検知装置を画像形成装置に設けた場合の主要部の構成を示す図である。
【図7】図2に示す構成の検知装置を画像形成装置に設けた場合の主要部の構成を示す図である。
【図8】図6と図7に示す中央制御部が複数の状態変化を識別する処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、発明の一実施形態である検知装置とその検知装置と無線通信する主装置のそれぞれの主要部の機能構成を示すブロック図である。
主装置7は、例えば、ファクシミリ装置、プリンタ、複写機、ならびにそれらの装置の機能を備えた複合機を含む画像形成装置、各種の情報処理装置を含む。
この主装置7は、中央制御部8と無線信号受信部9を備えている。その他の機能部や主装置7のカバー、ユニットを含む部材の図示は省略する。
【0012】
中央制御部8は、CPU、ROM及びRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、主装置7の全体の制御を司る。また、無線信号受信部9から受け取った信号に基いて主装置7の各所の状態に基づく各種の制御処理を行う。
無線信号受信部9は、検知装置1から無線通信で送信される信号を受信し、中央制御部8へ送信する。
一方、検知装置1は、主装置7に設ける。
この検知装置1は、主装置7内の各所の状態を検知し、その検知結果に基づく信号を無線通信で主装置7に送信する。
【0013】
例えば、主装置7が画像形成装置の場合、その画像形成装置のカバーの開閉の状態を検知し、開状態または閉状態に応じた信号を無線通信で画像形成装置に通知する。
こうして、画像形成装置は、検知装置1から受信した信号に基いて自装置の各所の状態を監視し、各所の状態に応じた処理を実行する。
例えば、画像形成装置の正面カバーが開状態のときには、画像形成動作を実行しないように制御処理する。
検知装置1は、発電部2、蓄電部3、検知部4、無線信号送信部5、およびトリガスイッチ部6を備えている。
【0014】
発電部2は、ユーザの作業による主装置7の各所の部材の動作に連動して電力を発電する。
例えば、主装置7のカバーの開閉動作、ユニットの着脱動作の動作エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を発電する。
すなわち、この発電部2は、主装置7の部材の状態が変えられることによって得た動作エネルギーに基いて電力を発電する発電手段の機能を果たす。
蓄電部3は、例えば、蓄電池であり、発電部2によって発電された電力を蓄電する蓄電手段の機能を果たす。
【0015】
検知部4は、ユーザの作業による主装置7の各所の部材の状態が変えられたことを検知するセンサ又はスイッチである。
例えば、主装置7のカバーの開状態と閉状態、ユニットが取り付けられた状態と取り外された状態をそれぞれ検知する。
そして、その検知結果に応じた検知信号をトリガスイッチ部6へ送る。
すなわち、この検知部4は、主装置7の部材の状態が変えられたことを検知する検知手段の機能を果たす。
【0016】
無線信号送信部5は、トリガスイッチ部6を介して蓄電部3から電力が得られると動作し、検知部4での検知結果に応じて予め決められた信号を無線通信で主装置7へ送信する。
例えば、検知部4が、主装置7のカバーの開状態を検知する場合、主装置7へはカバーの開状態を示す信号を無線送信する。
すなわち、無線信号送信部5は、蓄電部3から供給される電力によって動作し、検知部4によって主装置7の部材の状態が変えられたことを検知したことを示す信号を無線送信する無線送信手段の機能を果たす。
【0017】
トリガスイッチ部6は、検知部4からの検知信号をトリガとして無線信号送信部5に対する蓄電部3の電力の供給と遮断を切り替えるスイッチである。
すなわち、このトリガスイッチ部6は、検知部4によって主装置7の部材の状態が変えられたことを検知した場合に蓄電部3に蓄電された電力を無線信号送信部5に供給する電力供給制御手段の機能を果たす。
この検知装置1は、無線信号送信部5が無線通信するための電力を、ユーザが主装置7の各所の部材を動かすことによって発生する動作エネルギーに基いて発電するので、省エネルギーに寄与することができる。
【0018】
また、主装置7の部材に対するユーザ動作が非常にゆっくりであった場合、無線信号送信部5が無線通信するのに必要最小限の電力を十分に得ることができないおそれがある。
しかし、この実施形態の検知装置1は、発電部2によって発電した電力を蓄電部3に蓄電し、無線信号送信部5が動作するときに給電することにより、無線信号送信部5が動作するために必要な電力を安定供給することができる。
【0019】
次に、実施形態の検知装置の他の構成例について説明する。
図2は、実施形態の検知装置の他の機能構成例を示すブロック図である。
図1と共通する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図2の検知装置1′の検知兼トリガスイッチ部10は、図1に示した検知部4とトリガスイッチ部6の機能を1つにまとめた機能を果たす。
【0020】
この検知兼トリガスイッチ部10は、主装置7の部材の状態が変えられたことを検知する検知手段と、主装置7の部材の状態が変えられたことを検知した場合に蓄電部3に蓄電された電力を無線信号送信部5に供給する電力供給制御手段の機能を果たす。
このようにすれば、検知装置1′の機能構成数を少なくすることができ、検知装置製造のコストを低減することができる。
【0021】
次に、上記蓄電部3、検知部4、およびトリガスイッチ部6の内部構成例について説明する。
図3は、図1に示した蓄電部3、検知部4、およびトリガスイッチ部6の内部構成例を示すブロック図である。
蓄電部3は、コンデンサ11を有すると良い。このコンデンサ11によって発電部2から供給される電力を蓄電する。
また、検知部4は、圧電素子12を有すると良い。この圧電素子12は、圧電体に加えられた力を電圧に変換して出力する素子であり、主装置7の部材の状態が変えられることによって生じる圧力が加わると電圧を出力する。
【0022】
さらに、トリガスイッチ部6は、MOSトランジスタ13を有すると良い。このMOSトランジスタ13は、ゲート(G)端子に電圧が加えられた場合、ドレイン(D)端子とソース(S)端子との間の電流を流し、G端子に電圧が加わらない場合、D端子とS端子との間の電流を流さないように切り換えるスイッチである。
例えば、検知部4を主装置7に備えられたカバーと干渉するように取り付ける。
圧電素子12は、ユーザがカバーを開ける際にカバーのストッパを外すために一旦カバーを押し込んでカバーが開けられた場合、カバーから加わった圧力によってMOSトランジスタ13のG端子に電圧を一定時間印加する。
【0023】
すると、MOSトランジスタ13のD端子とS端子との間の電流が流れるように切り替えられ、蓄電部3のコンデンサ11に蓄電された電力が上記一定時間だけ無線信号送信部5に供給される。
そして、無線信号送信部5は、電力の供給と共に上記一定時間だけ動作し、カバーが開けられたことを示す信号を無線送信する。
一方、主装置7の無線信号受信部9は、無線信号送信部5から送信された信号を受信すると中央制御部8へ送信する。
【0024】
そして、中央制御部8は、その信号に基いて自装置の筐体のカバーが開けられた状態であると判断し、自装置の動作を中断する制御処理を行う。
次に、圧電素子12は、カバーが閉じられた場合、カバーから再度圧力が加わったことによってMOSトランジスタ13のG端子に電圧を一定時間印加する。
すると、MOSトランジスタ13のD端子とS端子との間の電流が流れるように切り替えられ、蓄電部3のトランジスタ11に蓄電された電力が上記一定時間だけ無線信号送信部5に供給される。
【0025】
そして、無線信号送信部5は、電力の供給と共に上記一定時間だけ動作し、カバーが閉じられたことを示す信号を無線送信する。
一方、主装置7の無線信号受信部9は、無線信号送信部5から送信された信号を受信すると中央制御部8へ送信する。
そして、中央制御部8は、自装置の動作を中断後、無線信号受信部9から受信した信号に基いて自装置の筐体のカバーが閉じられた状態であると判断し、自装置の動作を再開する制御処理を行う。
【0026】
次に、上記検知兼トリガスイッチ部10の内部構成例について説明する。
図4は、図2に示した蓄電部3、検知兼トリガスイッチ部10の内部構成例を示すブロック図である。
図3と共通する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0027】
検知兼トリガスイッチ部10は、主装置7の部材の動作に応じて端子aとbを接続又は切断するスイッチである。
この検知兼トリガスイッチ部10は、主装置7の部材の状態が変えられたことによって端子aとbを一定時間接続し、その間は蓄電部3に蓄電された電力を無線信号送信部5に供給する。
このようにすれば、検知装置の部品点数を少なくすることができ、検知装置製造のコストを低減することができる。
【0028】
図5は、上記検知装置1、1′の発電部2の発電量と蓄電部3の蓄電量と無線信号送信部5に出力される電力量の変化の一例を示す波形図である。
図5の(a)は、発電部2の発電量について2つの例を示している。
波形20は、無線信号送信部5が無線通信するのに必要な十分な発電量dを超える発電がされた場合の発電量の変化の一例を示している。
一方、波形21は、例えば、主装置7の部材を動かすユーザの動作が非常にゆっくりとした場合の発電量の変化を示している。
【0029】
この波形21の発電量では、無線信号送信部5が無線通信するのに必要な十分な発電量dまで届かず、そのまま供給しても無線通信に必要な電力が安定して供給できない。
しかし、実施形態の検知装置1、1′では、上述したように発電部2で発電した電力を蓄電部3に蓄電する。
例えば、図5の(b)は、蓄電部3が発電部2によって発電された電力を蓄電したときの蓄電量の変化の一例を示している。
波形22は、波形20で示した発電量の電力を蓄電した場合の変化の一例を示している。
【0030】
また、波形23は波形21で示した発電量の電力を蓄電した場合の変化の一例を示している。
このように、発電部2の発電量が少なくても、それを蓄電することにより、無線信号送信部5が無線通信するのに必要な十分な発電量dを超える蓄電量にすることができる。
そして、図5の(b)の時間t1のときに放電し、図5の(c)の波形24に示すように、無線信号送信部5が無線通信するのに必要な十分な発電量dを超える電力量の電力を供給することができる。
【0031】
また、発電量が少ない場合でも、図5の(b)の時間t2のときに放電し、図5の(c)の波形25に示すように、無線信号送信部5が無線通信するのに必要な十分な発電量dを超える電力量の電力を供給することができる。
このように、無線通信に必要な電力を供給できるので、中央制御部8への無線通知を安定して行うことができる。
このようにして、主装置7の各所の状態に変化があり、主装置7への無線通信が必要なときにのみ無線信号送信部5に安定した電力を供給することができる。
したがって、ユーザによる動作に基いて発電した電力によって装置内の箇所の状態を検知する手段から無線通信で検知結果を確実に伝達先へ通信することができる。
【0032】
次に、上述した検知装置1、1′を画像形成装置に設けた場合について説明する。
図6は、図1に示した構成の検知装置1を画像形成装置に設けた場合の主要部の構成を示す図である。
なお、この画像形成装置30の公知の画像形成、用紙搬送等に係る構成部分については図示を省略し、その説明を省略する。
画像形成装置30は、例えば、筐体にカバー31が取り付けられている場合、検知装置1の各部を図6に示すように実装する。
【0033】
カバー31のヒンジ部32にはギア33が、発電部34のモータの回転軸(いずれも図示を省略)にはギア35がそれぞれ設けている。
ギア33と35はそれぞれの歯がかみ合うように配置され、カバー31の開閉動作の動力が発電部34のモータの回転軸に設けられたギア35を通じてモータに伝達されるように配置している。
【0034】
そして、ユーザがカバー31を開閉することにより、その運動エネルギーによって発電部34のモータを駆動する。こうして、発電部34は電力を発電し、蓄電部36に蓄電する。
カバー31としては、感光部、露光部、定着部を含む画像形成に係る部分のカバー、用紙の搬送路のカバーなどがある。
【0035】
また、この画像形成装置30には、オプションユニット40を装着可能である。
オプションユニット40には直線歯車(歯を直線状に配置したギア)41を設けている。
この直線歯車41は、オプションユニット40を画像形成装置30の筐体内に挿入又は引き出した際に、もう一つの発電部42のモータの回転軸(いずれも図示を省略)に設けられたギア43と互いの歯がかみ合うように配置されている。
【0036】
そして、ユーザがオプションユニット40を出し入れすることにより、その運動エネルギーによって発電部42のモータを駆動する。こうして、発電部42も電力を発電し、蓄電部44に蓄電する。
オプションユニット40としては、給紙トレイがある。また、トナーカートリッジにも適用すると良い。
【0037】
例えば、検知部37は、カバー31が完全に閉じたときにトリガスイッチ部(TS部)39に検知信号を送信し、その検知信号の受信がトリガとなってTS部39は無線信号送信部38に蓄電部36に蓄電された電力を供給する。
これにより、無線信号送信部38は、カバー31が閉じたことを示す信号を無線送信する。
また、カバー31が開いたときを検知するには、検知部37を、カバー31が開いたときに動作する位置に配置すればよい。
【0038】
一方、検知部45は、オプションユニット40が取り外されたときにトリガスイッチ部(TS部)47に検知信号を送信し、その検知信号の受信がトリガとなってTS部47は無線信号送信部46に蓄電部44に蓄電された電力を供給する。
また、オプションユニット40が取り付けられたことを検知して無線信号送信部46に給電を開始するようにするとよい。
これにより、無線信号送信部46は、オプションユニット40が取り外されたことを示す信号、取り付けられたことを示す信号をそれぞれ無線送信する。
【0039】
上記無線信号送信部38と無線信号送信部46がそれぞれ出力信号の区別には、送信時間を異ならせるようにすれば、中央制御部48で識別することができる。
また、無線信号送信部38と46がそれぞれ複数の状態を通知する場合、それぞれの通知に用いる信号の周波数を異ならせるようにすれば、中央制御部48で識別することができる。
こうして、中央制御部48は無線信号受信部49を介して受信した信号に基いて、カバー31の開閉状態、オプションユニット40が取り外された状態又は取り付けられた状態をそれぞれ認識し、その認識に応じて適切な制御処理を実行することができる。
【0040】
なお、画像形成装置30の図示を省略した不揮発性メモリに電源がオフにされていても給電するようにし、無線信号受信部49は無線信号送信部38、46から信号を受信すると、上記不揮発性メモリに信号を保存するようにすれば、画像形成装置30内の各所の状態変化を示す信号が保存され、画像形成装置30がオフの期間に装置内のある部分で状態変化が起こったとしてもその状態を起動時に中央制御部48は知ることができる。
【0041】
次に、上述した検知装置1′を画像形成装置に設けた場合について説明する。
図7は、図2に示した構成の検知装置1′を画像形成装置に設けた場合の主要部の構成を示す図である。図6と共通する部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
この画像形成装置30′では、検知兼TS部50がカバー31の閉じた状態を検知すると蓄電部36の電力を無線信号送信部38へ給電する点が上述のものとは異なる。
【0042】
また、検知兼TS部51がオプションユニット40の取り付けられた状態又は取り外された状態を検知すると蓄電部44の電力を無線信号送信部46へ給電する点が上述のものとは異なる。
その他の動作については図6で説明した処理と同様である。
【0043】
次に、例えば、無線信号送信部38が複数の箇所のカバーの開閉状態を通知する場合、一方のカバーの状態を示す信号の無線通信の動作中に他のカバーの状態の通知をすることができない。
そこで、検知部37とTS部39の間に排他用スイッチを設ける。
【0044】
このように、無線信号送信部38が2つ以上の箇所の状態を示す信号の送信に使用する場合、いずれかの検知部がオン(ON)することにより無線信号送信部38への給電を開始すると、無線信号送信部38は排他用スイッチをオフ(OFF)することにより、他の検知部からの検知信号によって無線信号送信部38への給電が開始されないようにする。
このようにして、2つ以上の信号の無線通信処理が重ならないようにする。
【0045】
例えば、画像形成装置30′の前カバーと上カバーの2つの箇所の検知の際、無線信号送信部38がそれぞれの信号の無線送信をする場合、無線信号送信部38は、前カバーの状態変化の検知により前カバーの動きによる発電で蓄電された電力の供給が開始されると、排他用スイッチをオフにする。
その際、上カバーは変化しない状態にしても構わないし、検知部が圧電素子であった場合、電流は流れないため電圧は保たれるので状態変化を記憶することができる。
【0046】
そして、前カバーの状態変化があったことを知らせる無線信号を送信後、排他用スイッチをオンにすることにより、上カバーの動きによる発電で蓄電された電力の供給が開始し、上カバーの状態変化があったことを中央制御部48へ確実に通知することができる。
また、2つ以上の無線信号送信部が1つの機器内で使用されている場合、他の無線信号が出ている際に排他用スイッチをオフすることにより、複数の無線信号送信部の無線通信が重ならないようにすることが可能である。
これにより、2つ以上の状態変化が起こったとしても中央制御部48に確実に通知することができる。
【0047】
次に、上記中央制御部48が複数の状態変化を識別する処理について説明する。
図8は、図6と図7に示した中央制御部48が複数の状態変化を識別する処理を示すフローチャート図である。
画像形成装置において、状態を検知している箇所は1箇所ではなく複数の場合が多い。
その場合にどの箇所がどの状態に変化したかを識別する処理として、信号発生時間、信号周波数をそれぞれの箇所で変化させればそれぞれ個々にどの箇所がどの状態へ変化したかを識別することができる。
【0048】
ここでは、一例として、画像形成装置の前カバーのオープンとクローズ、上カバーのオープンとクローズを検知するための中央制御部48の処理を示す。
無線信号送信部38に対して、事前にコンデンサ容量等を調整し、前カバーの状態変化の場合は無線信号を2.5秒発信し、上カバーの状態変化の場合は1.5秒発信するようにしておく。
さらに、それぞれのカバーのオープン時には100Hzの無線信号を、カバーのクローズ時には200Hzの無線信号をそれぞれ発生するようにチューニングしておく。
【0049】
これにより、信号を受け取った中央制御部48はそれぞれの信号の内容から、どの箇所がどの状態に変化したかを判断可能となる。
図6又は図7の中央制御部48は、次のステップ(図中「S」で示す)1〜9の各手順の処理を実行する。
ステップ1で、無線信号受信部49から無線信号を受信したか否かを判断する。
無線信号を受信したと判断したら、ステップ2へ進み、無線信号を受信しなかったと判断したらステップ1の判断処理を繰り返す。
【0050】
ステップ2で、無線信号の受信時間は1秒以上か否かを判断する。
無線信号の受信時間が1秒以上と判断したら、ステップ3へ進み、無線信号の受信時間が1秒以上ではないと判断したら、ステップ1へ戻る。
ステップ3で、無線信号の受信時間は2秒以上か否かを判断する。
無線信号の受信時間が2秒以上と判断したら、ステップ4へ進み、無線信号の受信時間が2秒以上ではないと判断したら、ステップ7へ進む。
ステップ4で、無線信号の周波数は100Hzか否かを判断する。
【0051】
無線信号の周波数が100Hzと判断したら、ステップ5で前カバーオープン(前カバーが開いた状態)と判定し、この処理を終了する。
また、無線信号の周波数が100Hzではないと判断したら、ステップ6で前カバークローズ(前カバーが閉じた状態)と判定し、この処理を終了する。
一方、ステップ7で、無線信号の周波数は100Hzか否かを判断する。
無線信号の周波数が100Hzと判断したら、ステップ8で上カバーオープン(上カバーが開いた状態)と判定し、この処理を終了する。
【0052】
また、無線信号の周波数が100Hzではないと判断したら、ステップ9で上カバークローズ(上カバーが閉じた状態)と判定し、この処理を終了する。
このようにして、中央制御部48は、自装置の前カバーと上カバーのそれぞれの開閉状態を認識することができ、その認識結果に応じて適切な制御処理を実行することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、1′:検知装置 2、34、42:発電部 3、36、44:蓄電部 4、37、45:検知部 5、38、46:無線信号送信部 6、39、47:トリガスイッチ部(TS部) 7:主装置 8、48:中央制御部 9、49:無線信号受信部 10、50、51:検知兼トリガスイッチ部(検知兼TS部) 11:コンデンサ 12:圧電素子 13:MOSトランジスタ 14:スイッチ 30、30′:画像形成装置 31:カバー 32:ヒンジ部 33、35、43:ギア 40:オプションユニット 41:直線歯車
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開平05−270004号公報
【特許文献2】特開2005−329545号公報
【特許文献3】特開2004−350019号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材の状態が変えられることによって得た動作エネルギーに基いて電力を発電する発電手段と、
前記発電手段によって発電された電力を蓄電する蓄電手段と、
前記部材の状態が変えられたことを検知する検知手段と、
前記蓄電手段から供給される電力によって動作し、前記検知手段によって前記部材の状態が変えられたことを検知したことを示す信号を無線送信する無線送信手段と、
前記検知手段によって前記部材の状態が変えられたことを検知した場合に前記蓄電手段に蓄電された電力を前記無線送信手段に供給する電力供給制御手段とを備えたことを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記検知手段は、部材の状態が変えられることによって生じる圧力が加わると電圧を出力する圧電素子を有することを特徴とする請求項1記載の検知装置。
【請求項3】
前記検知手段は、複数箇所の部材の状態がそれぞれ変えられたことを検知する手段を有し、
前記無線送信手段は、前記各箇所毎に部材の状態が変えられたことを検知したことを示す信号の無線信号の長さ、又は周波数を異ならせる手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の検知装置。
【請求項4】
前記検知手段は、複数箇所の部材の状態がそれぞれ変えられたことを検知する手段を有し、
前記無線送信手段が前記いずれかの箇所の部材の状態が変えられたことを検知したことを示す信号の無線送信中は、前記他の箇所の部材の状態が変えられたことを検知したことを示す信号の無線送信を待機させる手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の検知装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検知装置を備え、前記検知装置によって当該画像形成装置の部材の状態が変えられたことを検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記検知装置によって当該画像形成装置のカバーが開状態に変えられたこと又は閉状態に変えられたことを検知することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知装置によって当該画像形成装置のオプションユニットが取り付け状態に変えられたこと又は取り外し状態に変えられたことを検知することを特徴とする請求項5又は6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−18194(P2013−18194A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153531(P2011−153531)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】