説明

検知装置

【課題】中空管への加圧を検知する検知精度を維持可能な検知装置を提供する。
【解決手段】チューブ51内を伝わる音を集音するマイク52及びスピーカ53は、チューブ51の一端の開口に配設され、制御装置54に接続される。第1異常判断部61は、マイク52に異常音が入力した場合、異常が発生したと判断する。確認音出力制御部62は、マイク52に異常音が入力していない場合、スピーカ53から確認音を出力させる。第2異常判断部64は、確認音の反射音がマイク52に入力した場合、確認音と反射音との比較に応じて、チューブ51の異常の有無を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、中空管の内部にマイクを設け、中空管に伝わる振動音をマイクで検出する検知装置がある(例えば特許文献1参照)。具体的には、例えば、フェンス支柱にマイクを設け、侵入者がフェンスを登る際に発生する振動がフェンス支柱に伝わって生ずる音をマイクで拾って検知装置が検出することで、侵入者を検知することができる。また、中空管として一端を閉塞したチューブの開口側にマイクを設け、チューブに外力が加わってチューブが加圧されたときにチューブ内に発生する音を検知する感知装置がある(例えば特許文献2参照)。例えば、侵入者や進入車両が通過すると思われる場所にチューブを設置し、チューブが踏みつけられたことを感知装置が音で判断することで、侵入者等を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−129863号公報
【特許文献2】特開2008−76124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2の技術においては、以下のような問題が発生する恐れがあった。例えば、1つは、チューブが踏みつけられた状態で、踏みつけられた位置よりもマイクから離れた側でチューブが新たな踏みつけ等があってもそれを検知できないことである。これは、踏みつけられた位置で振動が伝わりにくくなり、その先で発生した音がマイクに伝わりにくくなるためである。また1つは、チューブが踏みつけられた状態が続いた場合、その状態を検知できないことである。これは、一定の力が加わりチューブが潰れたままの状態では、新たな音が生じないためである。また1つは、チューブが破断した状態を検知できないことである。このように、従来の技術では、チューブが最初に踏みつけられたときはそれを異常として検知することができるものの、その後の異常を検知できない恐れがあった。
【0005】
補足すると、一般的な警備システムにおいては、侵入者を検知するための検知装置からの検知信号を基に異常の有無を判断するのは、警備モードに設定されている場合である。警備モードに設定されている時に検知装置から検知信号が出力されると、異常検知した旨が通報されて警備員が駆けつけるなどして現場確認が行われる。その際、検知装置の状態も確認されるので、チューブが変形や破断など正常な検知を行えない状態であれば、正常な状態に復旧される。それに対して、警備モードが解除されている場合は、人の出入が制限されていない状況、あるいは正当な権限を持つ人が出入している状況であるので、検知装置から検知信号が出力されても異常検知と判断せず通報が行われない。そのため、警備モードが解除されている間に、チューブに何らかの外力が加わりチューブが潰れたままの状態となるか、妨害工作によりチューブが潰れたままの状態にされても、通報が行われないことから検知装置の状態は確認されず、正常な検知が行えない状態であることを把握できない恐れがあった。このため、検知装置において、侵入者等を検知する精度が維持できない恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、中空管を利用した侵入者等の検知装置において、正常な検知が行えない状態であることを把握可能な検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、検知装置であって、少なくとも一端が開口された中空管の一端に、前記中空管を伝わる音を集音する集音手段が配設され、前記中空管の一端及び他端のうち少なくとも一方に、音を出力させる音出力手段が配設されており、前記中空管が加圧されたときに発生した異常音を前記集音手段が集音した場合、異常が発生したと判断する第1異常判断手段と、前記異常音を前記集音手段が集音していない場合、所定音を前記音出力手段から出力させる音出力制御手段と、前記所定音が前記集音手段により集音されたか否か及び前記集音手段が集音した前記所定音と前記音出力手段から出力された前記所定音との比較に応じて、前記中空管の異常を判断し、又は前記所定音の反射音が前記集音手段により集音されたか否か及び前記反射音と前記音出力手段から出力された前記所定音との比較に応じて、前記中空管の異常の発生を判断する第2異常判断手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、中空管への加圧を検知する検知精度を維持可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施の形態にかかる検知装置50の構成を例示する図である。
【図2】図2は、制御装置54の機能的構成を例示する図である。
【図3】図3は、検知装置50の行う異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、チューブ51が完全に踏みつけられている状態を例示する図である。
【図5】図5は、チューブ51が途中で半端に潰れていたり変形していたりする状態を例示する図である。
【図6】図6は、閉塞されているべき一端が破断されており開口されている状態を例示する図である。
【図7】図7は、従来の検知装置の構成を例示する図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態にかかる検知装置50の構成を例示する図である。
【図9】図9は、制御装置54の機能的構成を例示する図である。
【図10】図10は、検知装置50の行う異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、第3の実施の形態にかかる検知装置50の構成を例示する図である。
【図12】図12は、制御装置54の機能的構成を例示する図である。
【図13】図13は、検知装置50の行う異常検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、一変形例にかかる検知装置50の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる検知装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施の形態]
図1は、検知装置50の構成を例示する図である。検知装置50は、チューブ51と、マイク52と、スピーカ53と、制御装置54とを備える。チューブ51は、可撓性を有する中空状の管(中空管という)である。チューブ51の一端は開口され、他端は閉塞されている。マイク52及びスピーカ53は、チューブ51の一端の開口に配設され、制御装置54に接続される。マイク52は、チューブ51内を伝わる音を集音してこれを制御装置54に出力する。即ち、マイク52に入力した音が制御装置54に入力される。スピーカ53は、制御装置54の制御の下、音を出力する。制御装置54は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の主記憶部と、各種データや各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)ドライブ装置等の補助記憶部と、これらを接続するバスとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。制御装置54は、マイク52に入力した音に基づいて、異常の有無を判断する。
【0012】
ここで、制御装置54のCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される各種機能について図2を用いて説明する。図2は、制御装置54の機能的構成を例示する図である。制御装置54は、異常音検知部60と、第1異常判断部61と、確認音出力制御部62と、反射音検知部63と、第2異常判断部64とを有する。これらの各部は、CPUのプログラム実行時にRAMなどの主記憶部上に生成されるものである。
【0013】
異常音検知部60は、チューブ51が踏み付けられる、歩行により生じた振動が伝わるなどチューブ51に外力が加わってチューブ51が加圧されたときに発生した音(異常音という)がマイク52に入力されたか否かを常時検知する。尚、チューブ51の材質や大きさや長さなどに応じて、チューブ51が加圧されてチューブ51の一部が閉じた状態となったときの音の周波数や音量などを予め把握することができる。このため、このような音に該当する音を異常音として異常音検知部60は検知する。第1異常判断部61は、異常音検知部60の検知の結果、マイク52に異常音が入力したと検知された場合、異常が発生したと判断する。確認音出力制御部62は、異常音検知部60の検知の結果、マイク52に異常音が入力していないと検知された場合、スピーカ53から所定の音(確認音という)を定期的又は連続して出力させる。確認音は、周波数や音量など予め定められた音であり、上述の異常音とは異なる音である。反射音検知部63は、スピーカ53から出力された確認音の反射音がマイク52で集音されてマイク52に入力したか否かを検知する。第2異常判断部64は、反射音検知部63の検知の結果、反射音が出力されたと検知された場合、確認音と反射音との比較に応じて、チューブ51の異常の有無を判断する。具体的には、例えば、確認音を出力させてから反射音が返ってくるまでの応答時間(応答時間の変化)や、確認音と反射音との減衰比(音量の変化)や、確認音と反射音とのS/N比(ノイズの変化)などである。第2異常判断部64は、このような確認音と反射音との比較に応じて、チューブ51が途中で半端に潰れていたり変形していたりする等の異常が発生したと判断する。チューブ51が途中で半端に潰れている状態とは、チューブ51の一部が中空状を保った状態で加圧されている状態である。また、第2異常判断部64は、反射音検知部63の検知の結果、反射音が入力していないと検知された場合、チューブ51が破断している等の異常が発生したと判断する。
【0014】
次に、本実施の形態にかかる検知装置50の行う異常検知処理の手順について図3を用いて説明する。検知装置50の備える制御装置54は、マイク52に異常音が入力したか否かを常時検知しており(ステップS1)、異常音が入力したと検知した場合(ステップS1:YES)、異常が発生したと判断する(ステップS2)。また、制御装置54は、マイク52に異常音が入力していないと検知した場合(ステップS1:NO)、スピーカ53から確認音を出力させる(ステップS3)。そして、制御装置54は、スピーカ53から出力した確認音の反射音がマイク52で集音されてマイク52に入力したか否かを検知し(ステップS4)、反射音が入力したと検知された場合(ステップS4:YES)、制御装置54は、確認音を出力させてから反射音が返ってくるまでの応答時間が所定時間か否か及び反射音の音量が所定レベルか否かを判断する(ステップS6)。応答時間が所定時間である及び反射音の音量が所定レベルである場合(ステップS6:YES)、制御装置54は、正常であると判断する(ステップS8)。この場合、反射音について応答時間が所定時間である及びその音量が所定レベルであることから、チューブ51が途中で半端に潰れていたり変形していたり破断していたりする等の異常は発生していないと判断することができる。
【0015】
一方、応答時間が所定時間ではない又は反射音の音量が所定レベルではない場合(ステップS6:NO)、制御装置54は、チューブ51が途中で半端に潰れていたり変形していたりする等の異常が発生したと判断する(ステップS7)。例えば、図4に例示されるように、チューブ51が既に潰れている状態では新たに異常音は発生しないが、この状態で確認音が出力されると、チューブ51が潰れている位置で確認音が反射するので、確認音を出力してから反射音が戻ってくるまでの応答時間が通常より短時間となる。また、図5に例示されるように、チューブ51が既に途中で半端に潰れていたり変形していたりする場合にも、新たに異常音は発生しないが、この状態で確認音が出力されるとチューブ51が潰れたり変形している部分で減衰するので、反射音の音量が所定レベルより小さくなる。このように、反射音の応答時間や音量の変化をもとに、チューブ51が途中で完全に潰れている、潰れかけている、変形している等の異常な状態であることを判断することができる。
【0016】
また、反射音が入力していないと検知された場合(ステップS4:NO)、制御装置54は、チューブ51に破断などの異常が発生したと判断する(ステップS5)。例えば、図6に例示されるように、閉塞されているべき一端が破断されており開口されている場合にも、新たに異常音は発生しないが、この状態で確認音を出力しても開口部から確認音が発散されて反射音はほとんど返ってこない。従って、確認音がマイク52に入力していない場合には、チューブ55が破断している等の異常が発生したと判断することができる。
【0017】
従来では、図7に例示されるように、チューブが既に踏みつけられてその一部が閉じている状態で、踏みつけられて閉じている位置から、閉塞されている他端までの間の位置で、チューブが更に踏みつけられたとしても、それにより発生した異常音は、マイクにより集音することができない。従って、異常音が検知されていない状況において、チューブが正常に検知を行える状態なのか、チューブが既に踏みつけられていたり、チューブが途中で半端に潰れていたり変形していたり破断していたりする等の異常が発生している状態なのかを検知することができなかった。
【0018】
一方、本実施の形態においては、以上のような構成により、異常音が検知されていない状況において、チューブ51が途中で半端に潰れていたり変形していたり破断していたりする等の異常が発生している状態なのかを検知することができる。チューブ51に異常が発生した状態では、チューブ51の踏み付けやチューブ51に伝わる振動を検知する検知精度が低くなる。このため、チューブ51の異常を検知することで、チューブ51の異常を解消することが可能になり、検知精度を維持することが可能になる。
【0019】
なお、前述のようなチューブが潰れる、あるいはチューブが破断する状況としては、チューブの劣化によるもの、チューブの上に重量物が乗せられることによるもの、検知に対する妨害工作として細工されることによるもの、などが考えられる。
【0020】
また、本実施の形態において、確認音を出力させてから反射音が返ってくるまでの応答時間は、チューブ51が踏みつけられた位置によって差が出るため、この差を利用して、チューブ51が踏みつけられた位置を特定することもできる。
【0021】
さらに、本実施の形態において、マイク52に異常音が入力していないと検知した場合(ステップS1:NO)にスピーカ53から確認音を出力(ステップS3)させるのは、定期的または警備開始時など任意のタイミングで行うようにしてもよい。
【0022】
[第2の実施の形態]
次に、検知装置の第2の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
【0023】
図8は、本実施の形態にかかる検知装置50の構成を例示する図である。検知装置50は、チューブ55と、マイク52と、スピーカ53と、制御装置54とを備える。チューブ55は、可撓性を有する中空管である。チューブ55の両端は開口されている。マイク52及びスピーカ53は対向するように、マイク52はチューブ55の一端の開口に配設され、スピーカ53は他端の開口に配設され、これらは制御装置54に接続される。マイク52、スピーカ53及び制御装置54のハードウェア構成は上述の第1の実施の形態と同様である。
【0024】
ここで、本実施の形態にかかる制御装置54のCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される各種機能について図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態にかかる制御装置54の機能的構成を例示する図である。制御装置54は、異常音検知部60と、第1異常判断部61と、確認音出力制御部62と、確認音検知部65と、第2異常判断部64とを有する。
【0025】
異常音検知部60、第1異常判断部61及び確認音出力制御部62は上述の第1の実施の形態と同様である。確認音検知部65は、スピーカ53から出力された確認音が、スピーカ53に対向するマイク52に集音されてマイク52に入力したか否かを検知する。第2異常判断部64は、確認音検知部65の検知の結果、確認音が出力されたと検知された場合、確認音の変化をもとに、チューブ55の異常の有無を判断する。確認音の変化とは、例えば、スピーカ53から出力された確認音と、マイク52に入力した確認音との変化のことであり、例えば、確認音の減衰比(音量の変化)である。第2異常判断部64は、このような確認音の変化により、チューブ55が途中で半端に潰れていたり変形していたりする等の異常が発生したと判断する。また、第2異常判断部64は、確認音検知部65の検知の結果、確認音が出力されていないと検知された場合、チューブ55が途中で完全に潰れていたり破断していたりする等の異常が発生したと判断する。
【0026】
次に、本実施の形態にかかる検知装置50の行う異常検知処理の手順について図10を用いて説明する。ステップS1〜S3は上述の第1の実施の形態と同様である。ステップS14では、検知装置50の備える制御装置54は、スピーカ53から出力された確認音がマイク52で集音されてマイク52に入力したか否かを検知し、確認音が入力したと検知された場合(ステップS14:YES)、制御装置54は、マイク52に入力した確認音の音量が所定レベルか否かを判断する(ステップS16)。マイク52に入力した確認音の音量が所定レベルである場合(ステップS16:YES)、制御装置54は、正常であると判断する(ステップS8)。例えば、チューブ55が全く踏みつけられていない状態では、異常音は発生しないが、この状態で確認音が出力されると、スピーカ53から出力された確認音はあまり減衰することなく、スピーカ53に対向するマイク52に集音される。従って、その音量が所定レベルである場合には、チューブ55が途中で潰れていたり変形していたり破断していたりする等の異常は発生していないと判断することができる。
【0027】
一方、マイク52に入力した確認音の音量が所定レベルではない場合(ステップS16:NO)、制御装置54は、チューブ55が途中で半端に潰れていたり変形していたりする等の異常が発生したと判断する(ステップS17)。例えば、チューブ55が途中で半端に潰れていたり変形していたりする場合にも、新たに異常音は発生しないが、この状態で出力された確認音は減衰して、スピーカ53に対向するマイク52に集音される。従って、この確認音の音量は所定レベルではなくなるため、この場合に、チューブ55が途中で半端に潰れていたり変形していたりする等の異常が発生したと判断することができる。
【0028】
また、確認音がマイク52に入力していないと検知された場合(ステップS14:NO)、制御装置54は、チューブ55が途中で完全に潰れていたり破断していたりする等の異常が発生したと判断する(ステップS15)。例えば、チューブ55が途中で完全に潰れていたり破断していたりする場合にも、新たに異常音は発生しないが、この状態で出力された確認音は、スピーカ53に対向するマイク52には到達せず集音されない。従って、確認音がマイク52に入力していない場合には、チューブ55が破断している等の異常が発生したと判断することができる。
【0029】
以上のような構成によれば、異常音を集音できない場合、チューブ55が途中で潰れていたり変形していたり破断していたりする等の異常が発生している状態なのかを検知することができる。従って、チューブ55の踏み付けを検知する検知精度を維持することが可能になる。
【0030】
[第3の実施の形態]
次に、検知装置の第3の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態又は第2の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
【0031】
図11は、本実施の形態にかかる検知装置50の構成を例示する図である。検知装置50は、チューブ55と、マイク52と、2つのスピーカ53A,53Bと、制御装置54とを備える。マイク52及びスピーカ53Aは同じ一端になり、マイク52及びスピーカ53Bは対向するように、マイク52及びスピーカ53Aはチューブ55の一端の開口に配設され、スピーカ53Bは他端の開口に配設され、これらは制御装置54に接続される。スピーカ53Bは、制御装置54の制御の下、所定の音(確認音1という)を出力させる。スピーカ53Aは、制御装置54の制御の下、所定の音(確認音2という)を出力させる。確認音1と確認音2とは同じであっても良いし異なっても良いし、上述の第1の実施の形態における確認音と同じであっても良いし異なっても良い。チューブ55の構成、マイク52及び制御装置54のハードウェア構成は上述の第1の実施の形態と同様である。
【0032】
ここで、本実施の形態にかかる制御装置54のCPUが主記憶部や補助記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される各種機能について図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態にかかる制御装置54の機能的構成を例示する図である。制御装置54は、異常音検知部60と、第1異常判断部61と、確認音出力制御部62と、確認音検知部65と、反射音検知部63と、第2異常判断部64とを有する。
【0033】
異常音検知部60及び第1異常判断部61は上述の第1の実施の形態と同様である。確認音出力制御部62は、異常音検知部60の検知の結果、マイク52に異常音が入力していないと検知された場合、マイク52と対向するスピーカ53Bから確認音1を定期的又は連続して出力させる。また、確認音出力制御部62は、確認音検知部65の検知の結果、マイク52に確認音1が入力していないと検知された場合、マイク52と同じ一端にあるスピーカ53Aから確認音2を定期的又は連続して出力させる。確認音検知部65は、スピーカ53Bから出力された確認音1が、マイク52に集音されてマイク52に入力したか否かを検知する。反射音検知部63は、スピーカ53Aから発生した確認音2の反射音が、マイク52に集音されてマイク52に入力したか否かを検知する。
【0034】
第2異常判断部64は、確認音検知部65の検知の結果、確認音1が入力したと検知された場合、確認音1の変化に応じて、チューブ55の異常の有無を判断する。確認音1の変化は、上述の第2の実施の形態と略同様である。第2異常判断部64は、このような確認音1の変化により、チューブ55が途中で半端に潰れていたり変形していたりする等の異常が発生したと判断する。また、第2異常判断部64は、反射音検知部63の検知の結果、確認音2の反射音が入力したか否かに応じて、チューブ51の異常の有無を判断する。第2異常判断部64は、反射音検知部63の検知の結果、確認音2の反射音が入力したと検知された場合、チューブ55が途中で完全に潰れている等の異常が発生したと判断する。チューブ55が途中で完全に潰れている状態とは、チューブ55の一部が閉じている状態である。また、第2異常判断部64は、反射音検知部63の検知の結果、確認音2の反射音が入力していないと検知された場合、チューブ55が破断している等の異常が発生したと判断する。
【0035】
次に、本実施の形態にかかる検知装置50の行う異常検知処理の手順について図13を用いて説明する。ステップS1〜S2は上述の第1の実施の形態と同様である。ステップS20では、検知装置50の備える制御装置54は、スピーカ53Bから確認音1を出力させる。なお、スピーカ53Bからの確認音1の出力は、定期的または警備開始時など任意のタイミングで行うようにしてもよい。そして、制御装置54は、スピーカ53Bから出力された確認音1がマイク52で集音されてマイク52に入力したか否かを検知し(ステップS21)、確認音1が入力したと検知された場合(ステップS21:YES)、制御装置54は、マイク52に入力した確認音1の音量が所定レベルか否かを判断する(ステップS22)。マイク52に入力した確認音1の音量が所定レベルである場合(ステップS22:YES)、制御装置54は、上述の第2の実施の形態と同様に、正常であると判断する(ステップS8)。一方、マイク52に入力した確認音1の音量が所定レベルではない場合(ステップS22:NO)、制御装置54は、上述の第2の実施の形態と同様に、チューブ55が途中で半端に潰れていたり変形していたりする等の異常が発生したと判断する(ステップS17)。
【0036】
一方、確認音1がマイク52に入力していないと検知された場合(ステップS21:NO)、制御装置54は、スピーカ53Aから確認音2を定期的又は連続して出力させる(ステップS24)。そして、制御装置54は、スピーカ53Aから出力された確認音2の反射音がマイク52で集音されてマイク52に入力したか否かを検知し(ステップS25)、確認音2の反射音が入力したと検知された場合(ステップS25:YES)、制御装置54は、チューブ55が途中で完全に潰れている等の異常が発生したと判断する(ステップS26)。例えば、チューブ55が途中で完全に潰れている場合にも、新たな異常音は発生しないが、この状態で出力された確認音1は、マイク52には到達せず集音されない。しかし、この状態で出力された確認音2は反射して、マイク52には集音される。従って、確認音1はマイク52に入力しないものの、確認音2の反射音がマイク52に入力される場合には、チューブ55が途中で完全に潰れている等の異常が発生したと判断することができる。
【0037】
また、確認音2の反射音が入力していないと検知された場合(ステップS25:NO)、制御装置54は、上述の第1の実施の形態と同様に、チューブ55が破断している等の異常が発生したと判断する(ステップS5)。例えば、チューブ55が破断している場合にも、新たな異常音は発生しないが、この状態で出力された確認音1は、マイク52には到達せず集音されない。また、確認音2は反射せず、従って、確認音2の反射音はマイク52に集音されない。従って、確認音1及び確認音2の反射音がマイク52に入力しない場合には、チューブ55が破断している等の異常が発生したと判断することができる。
【0038】
以上のような構成によれば、異常音を集音できない場合、チューブ55が潰れていたり変形していたり破断していたりする等の異常が発生している状態なのかを検知することができる。従って、チューブ55の踏み付けを検知する検知精度を維持することが可能になる。
【0039】
尚、本実施の形態において、確認音を出力させてから反射音が返ってくるまでの応答時間は、チューブ55が踏みつけられた位置によって差が出るため、この差を利用して、チューブ55が踏みつけられた位置を特定することもできる。
【0040】
また、スピーカ53Bが故障したとしても、侵入等の異常の発生やチューブ55における異常の発生を検知することができるため、検知装置50の機能を維持することができる。
【0041】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0042】
上述した各実施の形態において、制御装置54で実行される各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該各種プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供するように構成しても良い。
【0043】
上述した各実施の形態においては、検知装置50は、マイク及びスピーカをそれぞれ複数備えるようにしても良い。図14は、本変形例にかかる検知装置50の構成を例示する図である。検知装置50は、チューブ55と、2つのマイク52A,52Bと、2つのスピーカ53A,53Bと、制御装置54とを備える。マイク52A及びスピーカ53Aは同じ一端になり、マイク52B及びスピーカ53Bは同じ他端になるように、チューブ55の開口に各々配設され、これらは制御装置54に接続される。このような構成によれば、マイク52A,52Bのいずれか、スピーカ53A,53Bのいずれかが故障したとしても、侵入等の異常の発生やチューブ55における異常の発生を検知することができるため、検知装置50の機能を維持することができる。
【0044】
上述した各実施の形態においては、第1異常判断部61は、例えば、マイク52に入力した音の音量が所定レベル以上である場合や所定の範囲内である場合に、異常が発生したと判断するようにしても良いし、当該音の周波数が所定の範囲内である場合に、異常が発生したと判断するようにしても良い。
【0045】
上述した各実施の形態においては、マイク52とスピーカ53とはコイルと振動板で構成され、構造が同じである。このため、第1の実施の形態及び第3の実施の形態においては、チューブ51又はチューブ55において同じ一端の開口に配設されたマイク52及びスピーカ53を兼用するようにしても良い。
【0046】
上述した各実施の形態においては、検知装置50は、監視センタと接続され、異常が発生したと判断した場合、その旨を示す異常発生警報を監視センタに送信するようにしても良い。また、異常が発生したと判断した場合にその旨を示す異常発生警報を監視センタに送信する警備モードと、異常発生したと判断した場合であってもその旨を示す異常発生警報を監視センタに送信しない警備解除モードとに、異常検知処理の実行やステップS2における異常の検知や確認音の出力を連動させるようにしても良い。例えば、警備モードが設定されたときに、検知装置50は、異常検知処理を実行するようにしても良いし、警備解除モードが設定されたときに、ステップS3で確認音を出力させるようにしても良い。
【0047】
また、制御装置54は、ステップS1で、異常音を検知した場合に(ステップS1:YES)、警備モードが設定されているか否かを判断し、当該判断結果が肯定的である場合に、ステップS2で、異常が発生したと判断して、異常発生警報を監視センタに送信するようにしても良い。
【0048】
上述した各実施の形態においては、中空管として可撓性を有するチューブを用いた場合について説明しているが、侵入者や進入車両により生ずる音(振動)を伝達できるものであれば、材質は何でもよい。また、中空管の内部を液体で満たし、液体を媒体として音(振動)が伝わるようにしてもよい。
【0049】
さらに、マイク52およびスピーカ53の代わりにそれぞれ、振動を検知可能な手段および振動を発生可能な手段として任意の手段を用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
50 検知装置
51,55 チューブ
52,52A,52B マイク
53,53A,53B スピーカ
54 制御装置
60 異常音検知部
61 第1異常判断部
62 確認音出力制御部
63 反射音検知部
64 第2異常判断部
65 確認音検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端が開口された中空管の一端に、前記中空管を伝わる音を集音する集音手段が配設され、前記中空管の一端及び他端のうち少なくとも一方に、音を出力させる音出力手段が配設されており、
前記中空管が加圧されたときに発生した異常音を前記集音手段が集音した場合、異常が発生したと判断する第1異常判断手段と、
前記異常音を前記集音手段が集音していない場合、所定音を前記音出力手段から出力させる音出力制御手段と、
前記所定音が前記集音手段により集音されたか否か及び前記集音手段が集音した前記所定音と前記音出力手段から出力された前記所定音との比較に応じて、前記中空管の異常を判断し、又は前記所定音の反射音が前記集音手段により集音されたか否か及び前記反射音と前記音出力手段から出力された前記所定音との比較に応じて、前記中空管の異常の発生を判断する第2異常判断手段とを備える
ことを特徴とする検知装置。
【請求項2】
前記一端に前記音出力手段が配設されており、前記他端が閉塞され、
前記第2異常判断手段は、前記所定音の反射音が前記集音手段により集音されない場合、前記中空管に第1異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記第2異常判断手段は、前記所定音の反射音が前記集音手段により集音された場合、前記反射音と前記音出力手段から出力された前記所定音との比較に応じて、前記中空管に第2異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記第2異常判断手段は、前記所定音の反射音が前記集音手段により集音された場合且つ前記比較の結果が所定範囲内である場合、前記中空管は正常であると判断し、前記所定音の反射音が前記集音手段により集音された場合且つ前記比較の結果が所定範囲内ではない場合、前記中空管に第2異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記他端に前記音出力手段が配設されており、
前記第2異常判断手段は、前記所定音が前記集音手段により集音されない場合、前記中空管に第1異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項6】
前記第2異常判断手段は、前記所定音が前記集音手段により集音された場合、前記集音手段が集音した前記所定音と前記音出力手段から出力された前記所定音との比較に応じて、前記中空管に第2異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項5に記載の検知装置。
【請求項7】
前記第2異常判断手段は、前記所定音が前記集音手段により集音された場合且つ前記比較の結果が所定範囲内である場合、前記中空管は正常であると判断し、前記所定音の反射音が前記集音手段により集音された場合且つ前記比較の結果が所定範囲内ではない場合、前記中空管に第2異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項6に記載の検知装置。
【請求項8】
前記一端に第1音出力手段が配設され、前記他端に第2音出力手段が配設されており、
前記音出力制御手段は、前記異常音が前記集音手段により集音されない場合、第1所定音を前記第1音出力手段から出力させ、前記第1所定音が前記集音手段により集音されない場合、第2所定音を前記第2音出力手段から出力させ、
前記第2異常判断手段は、前記第2所定音の反射音が前記集音手段により集音されない場合、前記中空管に第1異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の検知装置。
【請求項9】
前記第2異常判断手段は、前記第2所定音の反射音が前記集音手段により集音された場合、前記中空管に第2異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項8に記載の検知装置。
【請求項10】
前記第2異常判断手段は、前記第1所定音が前記集音手段により集音された場合、前記集音手段が集音した前記第1所定音と前記音出力手段から出力された前記第1所定音との比較に応じて、前記中空管に第3異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の検知装置。
【請求項11】
前記第2異常判断手段は、前記第1所定音が前記集音手段により集音された場合且つ前記比較の結果が所定範囲内である場合、前記中空管は正常であると判断し、前記所定音の反射音が前記集音手段により集音された場合且つ前記比較の結果が所定範囲内ではない場合、前記中空管に第3異常が発生したと判断する
ことを特徴とする請求項10に記載の検知装置。
【請求項12】
少なくとも一端が開口された中空管と、
前記中空管の一端に配設され、前記中空管を伝わる音を集音する集音手段と、
前記中空管の一端及び他端のうち少なくとも一方に配設され、音を出力させる音出力手段とを更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の検知装置。
【請求項13】
前記中空管の一端及び他端に、前記集音手段及び前記音出力手段が複数配設される
ことを特徴とする請求項12に記載の検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−108106(P2011−108106A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264184(P2009−264184)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】