説明

検知距離設定装置及びこの検知距離設定装置を備えた自動水栓装置

【課題】判定距離が非常に短い値となって、使い勝手が悪化してしまうことを防止できる検知設定部及びこの検知距離設定装置を備えた自動水栓装置を提供する。
【解決手段】自動水栓装置1はスパウト4とカバー17と検知距離設定装置6とを備えている。スパウト4の先端部4bには吐水口8と検知センサ9が設けられている。カバー17は吐水口8に係止し検知センサ9を覆ってスパウト4の先端部4bに取り付けられる。検知距離設定装置6はスパウト4の先端部4bに検知物が近付いたか否かを検出する検知センサ9と制御装置を備えている。制御装置は赤外線発光素子に鉢の底面に向かって発光させて位置検出素子からの値と予め定められた設定動作開始距離に応じた設定動作開始値とを比較して検知物が設定動作開始距離外に位置していると判定すると判定値の設定を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動水栓装置などの位置検出素子から判定距離内に検知物が位置すると吐水などの動作を開始する際に基準となる判定値を定める検知距離設定装置及びこの検知距離設定装置を備えた自動水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から位置検出素子から判定距離内に検知物が位置すると吐水などの動作を開始する装置の一例として、自動水栓装置(例えば、特許文献1参照)が用いられている。この特許文献1などに示された自動水栓装置は、先端部に鉢やシンクなどの水受けの底に相対する吐水口が設けられたスパウトと、給水源からの水を前記吐水口に導く配管と、前記配管内の水の流れの吐水と止水とを変更して前記吐水口からの水の吐水と止水とを変更可能な開閉弁と、検知距離設定装置とを備えている。
【0003】
検知距離設定装置は、前記スパウトに設けられかつこのスパウトの先端部に人体の手などの検知物が近づいたか否かを検知する検知センサと、前記検知センサが検出した値に基づいて前記開閉弁を制御する制御装置とを備えている。
【0004】
前記検知センサは、互いに並設された発光素子と位置検出素子とを備えている。発光素子は、例えば水受けの底に向かって発光する。検知センサは、検知物からの反射光を受光しかつこの受光した反射光の位置に応じた値を制御装置に向かって出力する。検知センサは、発光素子が発光しかつ検知物からの反射光を位置検出素子が受光し、この位置検出素子が受光した反射光の位置に応じた値を制御装置に向かって出力することで、検知物までの距離を検出する。
【0005】
制御装置は、位置検出素子が検出した検知物までの距離が判定距離以下であるか否かを判定し、位置検出素子が検出した検知物までの距離が判定距離以下であると判定すると、開閉弁を開いて、吐水口から吐水させる。制御装置は、位置検出素子が検出した検知物までの距離が判定距離以下ではないと判定すると、開閉弁を閉じて又は開閉弁を閉じたままに維持して、吐水口から吐水させない。
【0006】
また、制御装置即ち検知距離設定装置は、例えば、電源としての電池からの電力が供給されると、前述した判定距離を設定する。制御装置は、発光素子に水受けの底に向かって発光させて、検知センサに人体の手や食器類などの検知物が無い状態での水受けの底面までの距離を検出させる。そして、制御装置は、水受けの底面までの距離よりも予め定められた所定距離(例えば10cm程度)短い距離を判定距離として設定する。
【0007】
前述した自動水栓装置は、検知物が検知センサに近づいて、検知距離設定装置が設定した判定距離内に位置すると、開閉弁を開いて、吐水口から吐水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−194783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1などに記載されている自動水栓装置は、建造物に設置後に電源としての電池を取り付けることが推奨されている。建造物の設置前に電源としての電池が取り付けられると、制御装置即ち検知距離設定装置が前述した判定距離の設定動作を開始してしまうため、検知センサを覆うカバーまでの距離に応じた非常に短い距離や、水受けの底面よりも遠い検知物までの距離に応じた非常に長い距離を判定距離としてしまうことがある。この場合、人体の手などを検知センサの極近くまで近づけないと吐水できなくなってしまう事などが生じ、使い勝手が悪化してしまう。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、判定距離を適切な距離にでき、使い勝手が悪化してしまうことを防止できる検知距離設定装置及びこの検知距離設定装置を備えた自動水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る検知距離設定装置は、電源を取り付ける本体と、前記本体に取り付けられ、かつ、前記電源から電力が供給されると直ちに所定時間間隔で発光する発光素子と、前記発光素子が発光して検知物からの反射光を受光するとともに前記検知物までの距離に応じて値が変化する値を出力する位置検出素子と、を有した検知センサと、前記位置検出素子が検出した前記検知物までの距離に応じた値と、判定距離に位置する前記検知物からの反射光を受光した際に前記位置検出素子が出力する判定値と、を比較して、前記検知物が前記判定距離内に位置しているか否かを判定する判定部と、を備えた検知距離設定装置において、前記電源から電力が供給されると、直ちに前記位置検出素子からの値と、予め定められた設定動作開始値と、を比較して、前記検知物が前記設定動作開始値に対応した設定動作開始距離外に位置していると判定すると、前記判定値の設定を開始する設定部と、前記本体に着脱自在で、かつ、前記本体に取り付けられると前記発光素子と前記位置検出素子とを覆うとともに、前記発光素子からの光を反射する反射部の前記検知センサからの距離が前記設定動作開始距離よりも短い距離に取り付けられるカバーと、を備え、前記設定部が、前記位置検出素子からの値と、前記設定動作開始値と、を比較して、前記検知物が前記設定動作開始距離内に位置していると判定すると、前記判定値の設定を禁止する、ことを特徴とする。
【0012】
前記検知距離設定装置では、位置検出素子からの値と、カバーの反射部と検知センサとの間の距離よりも長い設定動作開始距離に応じた値とを比較して、位置検出素子が距離を検出した検知物が設定動作開始距離外に位置していると判定するまで、判定距離の設定動作を開始しない。このために、カバーが取り付けられた状態では、判定値の設定を開始しないので、判定距離が極短いに設定されてしまうことを防止できる。位置検出素子が距離を検出した検知物が設定動作開始距離外に位置していると判定するまで、判定距離の設定動作を開始しないので、カバーが梱包箱内で脱落しても、判定値の設定を開始しなくなり、判定距離が極短いに設定されてしまうことを防止できる。さらに、位置検出素子が距離を検出した検知物が設定動作開始距離外に位置しているか否かを判定した後に、判定値の設定を開始するので、カバーが取り外されて、建造物に設置された後には、直ちに、判定値の設定を開始することとなる。よって、判定距離が非常に短い値となって人体の手などを検知センサの極近くまで近づけないと吐水できなくなることを防止でき、判定距離を適切な距離にすることができ、使い勝手が悪化してしまうことを防止できる。
【0013】
また、前記検知距離設定装置では、前記電源が、前記本体に取り付けられると、前記発光素子と前記判定部と前記設定部に電力を供給する電池であることが好ましい。
【0014】
この検知距離設定装置では、電源として、本体に取り付けられると発光素子などに電力を直ちに供給する電池を用いているので、従来、電源設備が設けられていない場所にも設置することができる。
【0015】
また、本発明に係る自動水栓装置は、請求項2記載の検知距離設定装置を備え、かつ、前記発光素子と前記位置検出素子を水受けに相対して、前記本体としてのスパウトに設けかつ前記発光素子が前記水受けに向かって発光するとともに、前記検知物が前記判定距離内に位置していると前記判定部が判定すると、前記スパウトから吐水させる自動水栓装置であって、前記カバーが、前記スパウトの吐水口に係止する係止部を備えたことを特徴とする。
【0016】
この自動水栓装置では、前述した検知距離設定装置を備え、かつ、カバーがスパウトの吐水口に係止する係止部を備えているので、カバーが不意にスパウトから脱落することを防止でき、建造物への設置の前などに判定値の設定が開始されることを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る検知距離設定装置及び自動水栓装置は、判定距離が非常に短い値となって人体の手などを検知センサの極近くまで近づけないと吐水できなくなることを防止でき、使い勝手が悪化してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施形態に係る自動水栓装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態に係る自動水栓装置が設置された状態を説明する側面図である。
【図3】図3は、実施形態に係る自動水栓装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施形態に係る自動水栓装置のスパウトの電池収容部を分解して示す斜視図である。
【図5】図5は、実施形態に係る自動水栓装置のスパウトの主に電池収容部を示す斜視図である。
【図6】図6は、実施形態に係る自動水栓装置のスパウトの主に電池収容部を示す他の斜視図である。
【図7】図7は、実施形態に係る自動水栓装置の制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施形態に係る自動水栓装置の制御装置の判定値を設定する状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る検知距離設定装置及び自動水栓装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0020】
図1は、実施形態に係る自動水栓装置を示す斜視図、図2は、実施形態に係る自動水栓装置が設置された状態を説明する側面図、図3は、実施形態に係る自動水栓装置の構成を示すブロック図、図4は、実施形態に係る自動水栓装置のスパウトの電池収容部を分解して示す斜視図、図5は、実施形態に係る自動水栓装置のスパウトの主に電池収容部を示す斜視図、図6は、実施形態に係る自動水栓装置のスパウトの主に電池収容部を示す他の斜視図、図7は、実施形態に係る自動水栓装置の制御装置の処理を示すフローチャート、図8は、実施形態に係る自動水栓装置の制御装置の判定値を設定する状況を示す説明図である。
【0021】
図1、図2に示す本実施形態の自動水栓装置1は、典型的には、建造物の流し台や洗面台に設置されて、給水源としての上水道2(図3に示す)からの水を、前述した流し台のシンクや洗面台等の水受けとしての鉢3(図2に示す)に向けて吐水(吐出)させるものである。
【0022】
自動水栓装置1は、図1及び図3に示すように、本体としてのスパウト4(図1に示す)と、配管15と、開閉弁としての電磁弁5(図3に示す)と、検知物としてのカバー17と、検知距離設定装置6(図3に示す)とを備えている。
【0023】
スパウト4は、図1及び図2に示すように、その基端部4aが建造物の壁面7などに設置されている。スパウト4は、その長手方向が壁面7に対して略直交しかつ水平方向と平行な柱状に形成されている。スパウト4は、壁面7に設置された水受けとしての鉢3の上方に設置されている。スパウト4は、壁面7から鉢3の中央の上方に向かって延びている。なお、鉢3は、後述する検知センサ9の位置検出素子13と相対する相対検知物をなしている。本実施形態では、鉢3の底面3aは、鉛直方向に沿って検知センサ9の位置検出素子13と相対する。
【0024】
また、スパウト4の先端部4bには、図1に示すように、吐水口8が設けられている。吐水口8は、スパウト4の下面から凸の円筒状に形成されている。吐水口8の平面形状は、丸形に形成されている。吐水口8は、スパウト4の幅方向の中央に設けられている。吐水口8内には、吐水する水を泡沫させるフィルタが設けられている。
【0025】
さらに、スパウト4内には、配管15と接続する内部配管部材16が設けられている。内部配管部材16は、例えば、真鍮などの金属で構成されており、その内部に長手方向に沿って伸びかつ吐水口8に連通する流路が形成されている。また、流路は、スパウト4の基端部4aにも開口している。
【0026】
さらに、スパウト4の先端部4bには、電池収容部18が設けられている。電池収容部18は、図4に示すように、スパウト4の先端面に開口部19aが設けられた電池収容空間19と、電池ホルダ20と、電源としての電池21と、着脱蓋22と、を備えている。電池収容空間19は、スパウト4の長手方向に沿って延び、かつ、スパウト4内に設けられた空間である。電池ホルダ20は、電池21を保持する。電池ホルダ20は、開口部19aを通して電池収容空間19内即ちスパウト4内に出し入れ自在となっている。電池ホルダ20は、開口部19aを通して電池収容空間19内即ちスパウト4内に出し入れ自在となっていることで、電池21を電池収容空間19内即ちスパウト4内に出し入れする。本実施形態では、電池21として、単3形の電池21が2本設けられているとともに、電池ホルダ20は、ねじ30によりスパウト4に固定される。
【0027】
着脱蓋22は、本実施形態では薄い円板状に形成されており、スパウト4に着脱自在となっている。着脱蓋22は、スパウト4に取り付けられると、前記開口部19aを塞ぐ。本実施形態では、着脱蓋22は、ワイヤ23によりスパウト4と連結されており、スパウト4からの完全な分離が防止されている。電池収容部18は、電池21を保持した電池ホルダ20が開口部19aを通して電池収容空間19内に収容され、図5に示すように、スパウト4に取り付けられた着脱蓋22により開口部19aが塞がれて、電池21をスパウト4に取り付ける(収容する)。電池収容部18は、電池収容空間19即ちスパウト4内に電池ホルダ20に保持された電池21を収容すると、当該電池21に直ちに後述する制御装置10、検知センサ9の赤外線発光素子12などに電力を供給させる。
【0028】
配管15は、一端が給水源としての上水道2に接続しているとともに、建造物の壁面7内に通されて、他端がスパウト4の内部配管部材16に接続して、内部配管部材16の流路と連通している。配管15は、上水道2からの水を吐水口8に導く。
【0029】
電磁弁5は、スパウト4の基端部4a内に設けられ、後述する制御装置10からの命令により作動状態が変化されて、内部配管部材16内の流路の開閉即ち吐水口8を通して流される水の吐水と止水を行なう。
【0030】
カバー17は、合成樹脂や紙で構成されている。カバー17は、図1及び図6に示すように、U字状部24と、筒状部25と、係止部としての係止片26とを備えている。U字状部24は、中央部が湾曲したU字状に形成されており、内側にスパウト4の先端部4bを通すことができる。U字状部24は、内側にスパウト4の先端部4bを通して、このスパウト4の先端部4bの外周に取り付けられる。
【0031】
筒状部25は、反射部としての底壁27と、この底壁27の外縁から立設した複数の周壁28とを備えて、有底筒状に形成されている。本実施形態では、筒状部25は、四角筒状に形成されている。筒状部25の互いに相対する二つの周壁28は、U字状部24の両端に連なっている。筒状部25は、U字状部24がスパウト4の先端部の外周に取り付けられると、底壁27が検知センサ9と相対するとともに、周壁28が検知センサ9の周りを囲む。筒状部25の底壁27は、赤外線発光素子12が発光した光を位置検出素子13に向かって反射する。底壁27の検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13からの距離Lが後述する設定動作開始距離Bよりも短い。即ち、底壁27の距離Lが設定動作開始距離Bよりも短い距離となる位置に、カバー17がスパウト4の先端部4bに取り付けられる。
【0032】
係止片26は、平板状に形成され、かつ、その中央に吐水口8を通すことのできる丸孔29が設けられている。係止片26は、U字状部24がスパウト4の先端部4bの外周に取り付けられ、かつ、底壁27が検知センサ9に相対すると、筒状部25の周壁28からスパウト4の基端部4aに向かって延びている。係止片26は、丸孔29内に吐水口8を通した状態で、スパウト4の下面に重ねられる。係止片26は、丸孔29内に吐水口8を通して、この吐水口8に係止する。また、係止片26は、周壁28から離れた側の縁がスパウト4の下面から接離するように、周壁28に連なる縁が変形自在となっている。係止片26は、周壁28から離れた側の縁がスパウト4の下面から接離するように、周壁28に連なる縁が変形することで、吐水口8に係脱自在となっている。
【0033】
カバー17は、U字状部24が内側にスパウト4の先端部4bを通すことができ、係止片26が吐水口8に係脱自在であることにより、スパウト4に着脱自在となっている。
【0034】
検知距離設定装置6は、図3に示すように、検知センサ9と、判定部と設定部との双方をなす制御装置10とを備えている。検知センサ9は、図1及び図2に示すように、スパウト4の先端部4bに設けられている。また、検知センサ9は、スパウト4の前述した下面に露出して設けられ、かつ吐水口8よりもこのスパウト4の先端寄りに設けられている。検知センサ9は、図3に示すように、受発光レンズ11と、発光素子としての赤外線発光素子12と、位置検出素子13とを備えている。
【0035】
受発光レンズ11は、透光性を有する合成樹脂で構成され、かつ平板状に形成されている。受発光レンズ11は、スパウト4の下面と略面一の状態で、このスパウト4の下面に取り付けられている。赤外線発光素子12と位置検出素子13は、スパウト4の先端部4b内に収容されているとともに、受発光レンズ11と重なる位置に設けられている。赤外線発光素子12と位置検出素子13は、スパウト4の幅方向に互いに間隔をあけて並べられている(並設されている)。
【0036】
赤外線発光素子12は、受発光レンズ11を通して、人体の手14などの検知物や相対検知物としての鉢3の底面3aに向かって赤外線などを発光する。位置検出素子13は、周知のPSD(Position Sensitive Detector)であって、人体の手14などの検知物や鉢3の底面3aから反射された反射光を受光する。位置検出素子13は、人体の手14などの検知物や鉢3の底面3aから反射された反射光を受光すると、制御装置10に向かって信号を出力する。位置検出素子13は、人体の手14などの検知物や鉢3の底面3aから反射された反射光を受光する位置が、検知物や鉢3の底面3aとの距離が異なると変化する。位置検出素子13は、反射光を受光した位置が変化すると、制御装置10に向かって出力する信号の電流値や電圧値(値に相当する)が変化する。
【0037】
このように、位置検出素子13は、検知物や鉢3の底面3aとの距離が異なると、反射光を受光する位置が変化し、受光した位置が変化すると制御装置10に向かって出力する信号の電流値や電圧値が変化することで、検知物や鉢3の底面3aまでの距離に応じて電流値や電圧値などの値が変化する信号を制御装置10に向かって出力する。こうして、検知センサ9は、赤外線発光素子12及び位置検出素子13からの検知物や鉢3の底面3aまでの距離に応じて電流値や電圧値が変化する信号を出力する。なお、本実施形態では、検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と検知物や鉢3の底面3aとの間の距離が長くなるのにしたがって、位置検出素子13が出力する信号の電圧値が徐々に低くなるようになっている。
【0038】
制御装置10は、電源としての電池21や図示しないコンデンサに蓄えられた電力により駆動する。制御装置10は、スパウト4内に収容されているとともに、図示しないRAM、ROM、CPU、入出力ポート及び記憶装置を備えた演算装置である。制御装置10の入力ポートには、少なくとも検知センサ9の位置検出素子13が接続している。制御装置10の出力ポートには、少なくとも電磁弁5と検知センサ9の赤外線発光素子12が接続している。制御装置10は、検知センサ9が検出したスパウト4に手14などの検知物が近付いたことを示す値に基づいて、自動水栓装置1全体の制御をつかさどる。
【0039】
制御装置10は、電源としての電池21などから電力が供給されて、RAMなどに後述する判定値が書き込まれている場合には、検知センサ9の赤外線発光素子12を所定時間間隔毎発光させる。即ち、制御装置10は、電池21がスパウト4に取り付けられて電力が供給されると、直ちに駆動して、赤外線発光素子12を所定時間間隔毎に発光させる。そして、制御装置10は、検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13からの検知物までの距離に応じた信号と、RAMなどに書き込まれた判定値とを比較して、検知物が判定距離H(図2に示す)内に位置しているか否かを判定する。本実施形態では、位置検出素子13からの信号の電圧値が判定値よりも小さい場合、検知物が検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13から判定距離H外に位置していると判定し、位置検出素子13からの信号の電圧値が判定値以上である場合、検知物が赤外線発光素子12及び位置検出素子13から判定距離H内に位置していると判定する。そして、制御装置10は、検知物が検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13から判定距離H外に位置していると判定すると、電磁弁5を閉じ又は閉じたままに維持し、検知物が検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13から判定距離H内に位置していると判定すると、電磁弁5を開いて、吐水口8から水を吐水する。こうして、制御装置10は、電池21がスパウト4に取り付けられて電力が供給されると、直ちに駆動して、検知物が判定距離H内に位置しているか否かを判定する。
【0040】
なお、判定値とは、検知物が検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13からの距離が判定距離Hとなる位置に位置付けられた際に、検知センサ9の位置検出素子13が出力する信号の電圧値をいう。判定距離Hとは、手14などの検知物がスパウト4の先端部4bに近づいて吐水口8から水を吐水する際に、検知センサ9が鉢3の底面3aを検知物として検出することなく、吐水口8から吐水した水が手14などの検知物に直ちにかかる実用上問題が生じない距離をいう。即ち、判定距離Hは、検知センサ9と鉢3の底面3aとの間の距離よりも短くなっているとともに、吐水口8から吐水した水が直ちに検知物にかかる、実用上、検知センサ9即ちスパウト4の先端部4bから離れ過ぎない距離となっている。
【0041】
また、制御装置10は、電磁弁5を閉じている時の赤外線発光素子12を発光させる間隔である所定時間よりも、電磁弁5を開いている時の赤外線発光素子12を発光させる間隔である所定時間を十分に短くして、検知物の動きに応じて、吐水口8からの水の吐水を直ちに追従できるようにしている。即ち、吐水口8から水を吐水している状態では、検知物がスパウト4の先端部から判定距離Hよりも離れると、直ちに、止水できるようになっている。
【0042】
また、制御装置10は、スパウト4から電源としての電池21が取り外されると、RAMなどに書き込まれた判定値が揮発して、判定値を失う。
【0043】
前述した構成の自動水栓装置1は、以下のように、建造物の壁面7に取り付けられる。スパウト4の先端部4bにカバー17が取り付けられた状態で、図4に示すように、スパウト4の先端部4bから着脱蓋22が取り外され、電池ホルダ20が電池収容空間19外に引き出される。そして、電池ホルダ20に電池21が取り付けられる。電池21が取り付けられた電池ホルダ20が電池収容空間19内に収容され、電池ホルダ20がねじ30によりスパウト4に固定され、図5に示すように、着脱蓋22が開口部19aを塞いでスパウト4に取り付けられる。すると、電池21の電力が直ちに制御装置10及び検知センサ9の赤外線発光素子12などに供給されて、制御装置10が直ちに所定時間間隔に赤外線発光素子12を発光させる。
【0044】
そして、内部配管部材16に配管15が接続されるとともに、スパウト4の基端部4aが壁面7に取り付けられる。こうして、スパウト4が壁面7に取り付けられる。スパウト4が壁面7に取り付けられた後、周壁28から離れた側の縁がスパウト4の下面から離されて、係止片26の吐水口8の係止が解除される。その後、カバー17がスパウト4の先端部4bから取り外される。
【0045】
また、制御装置10は、電源としての電池21などからの電力が供給されていると、前述した所定時間間隔毎の赤外線発光素子12を発光させることなどに加え、図7に一例が示されるフローチャートを繰り返し実行する。
【0046】
ステップS1では、制御装置10は、RAMなどに判定値が書き込まれているか否かを判定し、判定値が書き込まれていると判定するとステップS2に進み、判定値が書き込まれていないと判定するとステップS3に進む。ステップS2では、検知センサ9が検知物を検出していない状態が例えば1時間30分などの所定時間続いたか否かを判定し、所定時間経過したと判定すると、ステップS3に進み、所定時間経過していないと判定すると、ステップS1に戻る。こうして、判定値が書き込まれている場合には、検知センサ9が検知物を検出していない状態が所定時間続くまで、ステップS3以降の判定値を設定する動作を行なわない。即ち、制御装置10が頻繁に電磁弁5を開閉している状態では、ステップS3以降の判定値を設定する動作を行なわない。また、ステップS1では、判定値が書き込まれていないと判定するとステップS3に進むので、判定値が書き込まれていない場合には、ステップS3以降の判定値を設定する動作を直ちに行なう。
【0047】
ステップS3では、制御装置10は、検知センサ9の位置検出素子13からの信号の電圧値(検出値)が、予め定められた設定動作開始値以上か否かを判定し、以上であると判定するとステップS3を繰り返し、設定動作開始値を下回ると判定すると、ステップS4に進む。
【0048】
なお、設定動作開始値とは、検知センサ9がカバー17により覆われているか否かを判定できる値をいう。設定動作開始値とは、スパウト4の先端部4bに取り付けられたカバー17の底壁27と検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13との間の距離L(図3に示す)よりも長くかつ後述する定格距離R1よりも短い例えば70mmなどの設定動作開始距離B(図8に示す)離れた検知物からの反射光を受光した位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。即ち、設定動作開始値は、設定動作開始距離Bに応じた値となっている。
【0049】
即ち、設定動作開始値とは、カバー17が取り付けられている時に赤外線発光素子12が発光してカバー17の底壁27から反射された反射光を受光した位置検出素子13からの信号の電圧値よりも十分に小さく、カバー17が取り外された時に赤外線発光素子12が発光して鉢3の底面3aや検知物から反射された反射光を受光した位置検出素子13からの信号の電圧値よりも十分に大きな値をいう。こうして、制御装置10は、スパウト4から検知センサ9を保護するカバー17が取り外されるまで、ステップS3を繰り返す。こうして、制御装置10は、位置検出素子13からの値と、カバー17の底壁27と検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13との間の距離Lよりも長い設定動作開始距離Bに応じた値とを比較して、検知物が設定動作開始距離B外に位置していると判定すると、判定値の設定を開始する。即ち、制御装置10は、位置検出素子13からの値と、設定動作開始距離Bに対応した設定動作開始値とを比較して、検知物が設定動作開始距離B内に位置していると判定すると、判定値の設定を禁止する。
【0050】
ステップS4では、制御装置10は、検知センサ9の位置検出素子13からの信号の電圧値(検出値)が、定格値以上か否かを判定し、以上であると判定するとステップS7に進み、定格値を下回ると判定すると、ステップS5に進む。なお、この定格値とは、仮に、検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と鉢3の底面3aとの間の距離が後述する基準判定距離J(図8に示す)よりも十分に短い例えば90mmなどの定格距離R1(図8に示す)である場合に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。即ち、定格値とは、予め定められて、基準判定距離Jよりも十分に短い定格距離R1離れて位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。
【0051】
ステップS7では、制御装置10は、定格値に基いて、判定値を定めて、定めた判定値をRAMなどに書き込んで、ステップS1に戻る。なお、本実施形態では、仮に検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13から定格距離R1よりも予め定められた例えば20mmなどの所定距離P(図8に示す)短い例えば70mmなどの短縮距離S1(図8に示す)離れて、鉢3の底面3aが位置した時に、検知センサ9の位置検出素子13が検知する短縮値を、判定値と定める。短縮値とは、仮に検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と鉢3の底面3aとの間の距離が、定格距離R1よりも予め定められた所定距離P短い短縮距離S1である場合に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。即ち、短縮値とは、定格距離R1よりも予め定められた所定距離P短い短縮距離S1離れて位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。なお、後述するように、ステップS4からステップS6を繰り返した後に、ステップS7に進んだ場合には、定格距離R2,R3・・・(図8に示す)よりも所定距離P短い短縮距離S2,S3・・・(図8に示す)に応じた短縮値を判定値に定める。
【0052】
このように、ステップS7では、検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と鉢3の底面3aとの間の距離が、定格距離R1よりも短い場合には、定格距離R1に基いて、判定距離Hを設定する。こうして、制御装置10は、判定値を設定する際に、赤外線発光素子12にこの赤外線発光素子12が相対した鉢3の底面3aに向かって発光させて、位置検出素子13からの値と、予め定められかつ例えば125mmなどの基準判定距離Jよりも短い定格距離R1に位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際に位置検出素子13が出力する定格値と、を比較して、鉢3の底面3aが定格距離R1内に位置していると判定すると、定格値に基づいて判定値を定める。
【0053】
ステップS5では、制御装置10は、定格距離R1を予め定められた例えば10mmなどの延伸距離E(図8に示す)伸ばして、新たな定格距離R2として、ステップS6に進む。ステップS6では、制御装置10は、基準判定値が、新たな定格値以上か否かを判定し、以上であると判定するとステップS8に進み、新たな定格値を下回ると判定すると、ステップS4に戻る。なお、この新たな定格値とは、仮に、検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と鉢3の底面3aとの間の距離が新たな定格距離R2である場合に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。即ち、新たな定格値とは、新たな定格距離R2離れて位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。
【0054】
ステップS8では、制御装置10は、基準判定値に基いて、判定値を定めて、定めた判定値をRAMなどに書き込んで、ステップS1に戻る。なお、本実施形態では、仮に検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13から例えば125mmなどの基準判定距離Jよりも予め定められた例えば20mmなどの所定距離P短い例えば105mmなどの短縮距離S(図8に示す)離れて、鉢3の底面3aが位置した時に、検知センサ9の位置検出素子13が検知する短縮値を、判定値と定める。短縮値とは、仮に検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と鉢3の底面3aとの間の距離が、基準判定距離Jよりも予め定められた所定距離P短い短縮距離Sである場合に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。即ち、短縮値とは、基準判定距離Jよりも予め定められた所定距離P短い短縮距離S離れて位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際に、位置検出素子13が出力する信号の電圧値となっている。
【0055】
このように、ステップS8では、検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と鉢3の底面3aとの間の距離が、基準判定距離Jよりも長い場合には、基準判定距離Jに基いて、判定距離Hを設定する。こうして、制御装置10は、判定値を設定する際に、赤外線発光素子12にこの赤外線発光素子12が相対した鉢3の底面3aに向かって発光させて、位置検出素子13からの値と、予め定められた基準判定距離Jに位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際に位置検出素子13が出力する基準判定値と、を比較して、鉢3の底面3aが基準判定距離J外に位置していると判定すると、基準判定値に基づいて判定値を定める。
【0056】
また、制御装置10は、基準判定値が新たな定格値よりも大きくなるまで、即ち、定格距離R2,R3・・・RN(図8に示す)が基準判定距離Jよりも長くなるまで、定格距離R1,R2,R3・・・を段階的に延伸距離Eずつ伸ばしながら、ステップS4からステップS6までを繰り返すこととなる。制御装置10は、定格距離R1,R2,R3・・・を段階的に延伸距離Eずつ伸ばしながら、ステップS4からステップS6までを繰り返すことにより、判定値を設定する際に、鉢3の底面3aが定格距離R1,R2,R3・・・外に位置していると判定すると、定格距離R1,R2,R3・・・を段階的に伸ばして、この段階的に伸ばされた定格距離R2,R3・・・RNに位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際に位置検出素子13が出力する定格値と、位置検出素子13からの値と、を比較して、定格値に基づいて判定値に定める。こうして、制御装置10は、電池21から電力が供給されると、直ちに位置検出素子13からの値と、予め定められた設定動作開始値と、を比較して、前記検知物が前記設定動作開始値に対応した設定動作開始距離B外に位置していると判定すると、判定値の設定を開始する。
【0057】
前述した構成の自動水栓装置1は、スパウト4の先端部に設けられた検知センサ9の判定距離H内に人体の手14などの検知物が位置すると、制御装置10が電磁弁5を開いて、吐水口8から水を連続して吐水する。また、自動水栓装置1は、検知センサ9が検知物を検出していない状態が例えば1時間30分などの所定時間経過すると、図7に示すフローチャートを実行して、再度、判定値を制御装置10のRAMなどに書き込む。
【0058】
前述した構成の検知距離設定装置6は、位置検出素子13からの値と、カバー17の底壁27と検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13との間の距離Lよりも長い設定動作開始距離Bに応じた設定動作開始値とを比較して、位置検出素子13が距離を検出した検知物や水受け3の底面3aが設定動作開始距離B外に位置していると判定するまで、判定距離Hの設定動作を開始しない。このために、カバー17が取り付けられた状態では、判定値の設定を開始しないので、判定距離Hが極短いに設定されてしまうことを防止できる。また、検知距離設定装置6は、位置検出素子13が距離を検出した検知物や水受け3の底面3aが設定動作開始距離B外に位置していると判定するまで、判定距離Hの設定動作を開始しないので、カバー17が梱包箱内で脱落しても、判定値の設定を開始しなくなり、判定距離Hが極短いに設定されてしまうことを防止できる。さらに、位置検出素子13が距離を検出した検知物や水受け3の底面3aが設定動作開始距離B外に位置しているか否かを判定した後に、判定値の設定を開始するので、カバー17が取り外されて、建造物に設置された後には、直ちに、判定値の設定を開始することとなる。よって、判定距離Hが非常に短い値となって人体の手14などを検知センサ9の極近くまで近づけないと吐水できなくなることを防止でき、判定距離Hを適切な距離にすることができ、使い勝手が悪化してしまうことを防止できる。
【0059】
また、検知距離設定装置6は、電源として、スパウト4に取り付けられると赤外線発光素子12などに電力を直ちに供給する電池21を用いているので、従来、電源設備が設けられていない場所にも設置することができる。
【0060】
また、前述した構成の検知距離設定装置6は、制御装置10が判定値即ち判定距離Hを設定する際に、位置検出素子13からの値と、予め定められた基準判定距離Jに位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際の基準判定値とに基づいて、鉢3の底面3aが基準判定距離J外に位置しているか否かを判定する。そして、制御装置10は、鉢3の底面3aが基準判定距離J外に位置していると判定すると、判定距離Hを基準判定距離Jに基づいて定めるので、判定距離Hが基準判定距離Jからかけ離れた値即ち例えば1m程度の比較的長い値等となることを防止できる。したがって、位置検出素子13が、検知センサ9から比較的遠くの検知物などを検知してしまうことを防止できる。よって、この検知距離設定装置6を備えて、判定距離H内に検知物が位置すると動作する装置としての自動水栓装置1等の意図しない動作を防止することができ、この自動水栓装置1等の使い勝手を向上することができる。
【0061】
また、検知距離設定装置6は、制御装置10が判定値即ち判定距離Hを設定する際に、位置検出素子13からの値と比較する値として、基準判定距離Jよりも短い定格距離R1,R2,R3・・・に位置する鉢3の底面3aからの反射光を受光した際の定格値を用いる。そして、鉢3の底面3aが定格距離R1,R2,R3・・・内に位置していると判定すると定格値に基づいて判定値を定める。このために、赤外線発光素子12及び位置検出素子13と鉢3の底面3aとの間の距離が、基準判定距離Jよりも短い場合であっても、判定距離Hを基準判定距離Jよりも確実に短くすることができ、検知距離設定装置6を備えた装置としての自動水栓装置1等の誤作動を確実に防止できる。さらに、鉢3の底面3aが定格距離R1,R2,R3・・・外に位置していると判定すると定格距離R1,R2,R3・・・を段階的に伸ばして、判定値を定めるので、判定距離Hを最小の定格距離R1から基準判定距離Jまでの距離に基いて適切な距離とすることができる。よって、検知距離設定装置6を備えた装置としての自動水栓装置1等の意図しない動作を確実に防止することができ、この自動水栓装置1等の使い勝手を確実に向上することができる。
【0062】
自動水栓装置1は、前述した検知距離設定装置6を備え、かつ、カバー17がスパウト4の吐水口8に係止する係止片26を備えているので、カバー17が不意にスパウト4から脱落することを防止でき、建造物への設置の前などに判定値の設定が開始されることを防止できる。
【0063】
また、前述した構成の自動水栓装置1は、前述した検知距離設定装置6を備え、定格距離R1,R2,R3・・・が段階的に伸びると水受けとしての鉢3の底面3aに段階的に近づくこととなるので、判定距離Hを最小の定格距離R1から基準判定距離Jまでの距離に基いて適切な距離とすることができるとともに、位置検出素子13から判定距離H内の自動水栓装置1が吐水を開始する範囲を、位置検出素子13と鉢3との間に確実に設定することができ、自動水栓装置1の意図しない動作即ち意図しない吐水を確実に防止することができる。
【0064】
さらに、自動水栓装置1は、定格値又は基準判定値に基いて判定値を定める際に、定格距離R1,R2,R3・・・又は基準判定距離Jよりも短い短縮距離S1,S2,S3・・・に応じた短縮値を判定値に定めるので、意図しない動作即ち意図しない吐水をより確実に防止することができる。
【0065】
前述した実施形態では、判定距離Hを、定格距離R1,R2,R3・・・又は基準判定距離Jよりも所定距離P短い短縮距離S1,S2,S3・・・としているが、本発明では、これに限定する必要がない。即ち、本発明では、自動水栓装置1は、検知センサ9の赤外線発光素子12及び位置検出素子13と水受け3の底面3aとの間の距離よりも短ければ、判定距離Hを、定格距離R1,R2,R3・・・又は基準判定距離Jと等しくしてもよく、定格距離R1,R2,R3・・・又は基準判定距離Jよりも長くしても良い。また、前述した実施形態では、延伸距離Eを一定にしたが、本発明は、これに限定する必要がない。さらに、前述した実施形態では、制御装置10が、図7に一例が示されたフローチャートを繰り返し実行しているが、本発明の目的を達成できる範囲内で、制御装置10が繰り返し実行するフローチャートを適宜変更しても良いことは勿論である。また、前述した実施形態では、位置検出素子13からの値としての信号の電圧値に基いて、設定動作を開始したり、判定値を定めているが、本発明では、例えば、電圧値に限定することなく、電流値などの他の値に基いても良い。
【0066】
また、前述した実施形態では、自動水栓装置1に用いられる検知距離設定装置6を示しているが、本発明は、これに限定されることなく、本発明は、腰掛大便器の蓋を自動に開放するための検知距離設定装置や、男子用小便器の自動水栓に用いるための検知距離設定装置などに適用することができる。なお、この場合、相対検出物は、勿論、鉢3の底面3aに限定されることがない。また、本発明では、電源として、電池21以外に商用電源などの他の電源を用いても勿論良い。
【0067】
なお、上述した本発明の実施形態に係る検知距離設定装置6及び自動水栓装置1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用の可能性】
【0068】
以上のように、本発明は、自動水栓装置などの人体の一部などの検知物が近づくと自動的に動作する装置に用いられる検知距離設定装置及びこの検知距離設定装置を備えた自動水栓装置に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 自動水栓装置
3 鉢(水受け)
4 スパウト(本体)
6 検知距離設定装置
10 制御装置(判定部,設定部)
12 赤外線発光素子(発光素子)
13 位置検出素子
14 手(検知物)
17 カバー(検知物)
21 電池(電源)
26 係止片(係止部)
27 底壁(反射部)
B 設定動作開始距離
H 判定距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を取り付ける本体と、
前記本体に取り付けられ、かつ、前記電源から電力が供給されると直ちに所定時間間隔で発光する発光素子と、前記発光素子が発光して検知物からの反射光を受光するとともに前記検知物までの距離に応じて値が変化する値を出力する位置検出素子と、を有した検知センサと、
前記位置検出素子が検出した前記検知物までの距離に応じた値と、判定距離に位置する前記検知物からの反射光を受光した際に前記位置検出素子が出力する判定値と、を比較して、前記検知物が前記判定距離内に位置しているか否かを判定する判定部と、を備えた検知距離設定装置において、
前記電源から電力が供給されると、直ちに前記位置検出素子からの値と、予め定められた設定動作開始値と、を比較して、前記検知物が前記設定動作開始値に対応した設定動作開始距離外に位置していると判定すると、前記判定値の設定を開始する設定部と、
前記本体に着脱自在で、かつ、前記本体に取り付けられると前記発光素子と前記位置検出素子とを覆うとともに、前記発光素子からの光を反射する反射部の前記検知センサからの距離が前記設定動作開始距離よりも短い距離に取り付けられるカバーと、を備え、
前記設定部が、前記位置検出素子からの値と、前記設定動作開始値と、を比較して、前記検知物が前記設定動作開始距離内に位置していると判定すると、前記判定値の設定を禁止する、
ことを特徴とする検知距離設定装置。
【請求項2】
前記電源が、前記本体に取り付けられると、前記発光素子と前記判定部と前記設定部に電力を供給する電池である、
ことを特徴とする請求項1記載の検知距離設定装置。
【請求項3】
請求項2記載の検知距離設定装置を備え、かつ、
前記発光素子と前記位置検出素子を水受けに相対して、前記本体としてのスパウトに設けかつ前記発光素子が前記水受けに向かって発光するとともに、
前記検知物が前記判定距離内に位置していると前記判定部が判定すると、前記スパウトから吐水させる自動水栓装置であって、
前記カバーが、前記スパウトの吐水口に係止する係止部を備えた、
ことを特徴とする自動水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11570(P2013−11570A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145986(P2011−145986)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】