説明

業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物

【課題】 洗浄力を維持しつつ、業務用自動洗浄機の洗浄槽内におけるスケールの付着を効果的に抑制し得る業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】 (A)NaOH、KOH、およびM2O/SiO2(式中、Mは、NaまたはKを示す。)>1(モル比)で示される珪酸塩より選ばれる少なくとも1種を10〜50質量%、(B)下記一般式(1)で表される化合物を10〜50質量%、並びに(C)カルボキシル基含有水溶性ポリマーを0.5〜10質量%含む業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【化1】


(式中、M1〜M4は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物に関し、例えば、食器類、食缶類、コンテナ類、トレー類等の硬表面の洗浄に用いられる業務用自動食器洗浄機用として好適な洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホテル、レストラン、ケータリング等において使用後の食器、食缶などを一度に多量に洗浄するために、業務用自動食器洗浄機が使用されている。
この洗浄機では、洗浄力を高めるためにNaOHに代表される強アルカリ剤を多量に配合した固体状や液体状の洗浄剤が一般的に用いられている。
【0003】
このような強アルカリ剤を多量に含む洗浄剤は空気中の二酸化炭素を吸収し易いという性質を有し、その吸収の結果、炭酸イオンが生成することが知られている。業務用自動食器洗浄機による洗浄時間は長くて数分間と短時間ではあるが、生成した炭酸イオンは、水道水に含まれるマグネシウムイオン、カルシウムイオン等と結合して、水不溶性の炭酸塩を生成し、これらが自動洗浄機内にスケールとして付着するという問題がある。
【0004】
特許文献1に記載の洗浄剤のように、強アルカリ剤の配合量を少なくすれば、上述のようなスケールの発生および洗浄機の洗浄浴槽内への付着を抑制することができるが、充分な洗浄力が得られないという問題がある。
また、特許文献2に記載の洗浄剤のように、強アルカリ剤の代替として、炭酸ナトリウム等に代表される比較的アルカリ性の弱いアルカリ剤を用いる場合もやはり洗浄力に劣るという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−302691号公報
【特許文献2】特開平11−61185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、洗浄力を維持しつつ、業務用自動洗浄機の洗浄槽内におけるスケールの付着を効果的に抑制し得る業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の強アルカリ剤、下記式(1)で示されるキレート剤、および水溶性ポリマーを所定量で配合してなる洗浄剤組成物を用いることで、高い洗浄力を維持しつつ、業務用自動洗浄機の洗浄浴槽内におけるスケールの付着を抑制し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
1.(A)NaOH、KOH、およびM2O/SiO2(式中、Mは、NaまたはKを示す。)>1(モル比)で示される珪酸塩より選ばれる少なくとも1種を10〜50質量%、
(B)下記一般式(1)で表される化合物を10〜50質量%、並びに
【化1】

(式中、M1〜M4は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムを示す。)
(C)カルボキシル基含有水溶性ポリマーを0.5〜10質量%含むことを特徴とする業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物、
2.(A)NaOH、KOH、およびM2O/SiO2(式中、Mは、NaまたはKを示す。)>1(モル比)で示される珪酸塩より選ばれる少なくとも1種を3〜30質量%、
(B)下記一般式(1)で表される化合物を5〜35質量%、
【化2】

(式中、M1〜M4は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムを示す。)
(C)カルボキシル基含有水溶性ポリマーを0.5〜10質量%、並びに
(D)水を残部含むことを特徴とする業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物、
3.前記水溶性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)/マレイン酸共重合体(塩)、マレイン酸(塩)とα−オレフィンとの共重合体(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)/(メタ)アクリルアミドプロパンスルフォン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アリルスルホン酸(塩)との共重合体(塩)、スチレンと無水マレイン酸(塩)との共重合体(塩)、およびスチレンとマレイン酸(塩)との共重合体(塩)から選ばれる少なくとも1種のポリマーであることを特徴とする1または2の業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物
4. 有機リン系キレート剤を含むことを特徴とする1〜3のいずれかの業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物によれば、(A)成分の強アルカリ剤と、(B)成分の式(1)で示されるキレート剤と、(C)成分の水溶性ポリマーとを所定割合で含んでいるから、強アルカリによって高洗浄力が発揮されるとともに、(B)成分と(C)成分との併用により、水不溶性の炭酸塩、珪酸塩などのスケール発生およびその自動洗浄機の洗浄浴槽内における付着を効果的に抑制できる。
また、(B)成分のキレート剤は高い生分解性を有しているため、環境中に排出された際の環境負荷をも軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る第1の業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物(以下、第1の洗浄剤組成物という)は、(A)NaOH、KOH、およびM2O/SiO2(式中、Mは、NaまたはKを示す。)>1(モル比)で示される珪酸塩より選ばれる少なくとも1種を10〜50質量%、(B)下記一般式(1)で表される化合物を10〜50質量%、並びに(C)カルボキシル基含有水溶性ポリマーを0.5〜10質量%含む固形洗浄剤組成物である。なお、ここで、固形とは、固体、粉体、粒体等の各種形態を意味する。
【0011】
【化3】

(式中、M1〜M4は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムを示す。)
【0012】
また、本発明の第2の業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物(以下、第2の洗浄剤組成物という)は、(A)NaOH、KOH、およびM2O/SiO2(式中、Mは、NaまたはKを示す。)>1(モル比)で示される珪酸塩より選ばれる少なくとも1種を3〜30質量%、(B)上記一般式(1)で表される化合物を5〜35質量%、(C)カルボキシル基含有水溶性ポリマーを0.5〜10質量%、並びに(D)水を残部含む液体洗浄剤組成物である。
【0013】
上記第1および第2の洗浄剤組成物における(A)成分は、NaOH、KOH、Na2O/SiO2>1(モル比)の珪酸塩およびK2O/SiO2>1(モル比)の珪酸塩から選ばれるものであり、これらを単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。洗浄剤に充分な洗浄力を付与し得ることから、NaOHおよび/またはKOHを用いることが好ましい。
2O/SiO2のモル比は、アルカリ度を高めることを考慮すると、1.1〜3.0程度が好ましい。具体的な珪酸塩としては、オルト珪酸ナトリウムおよびその水和物等が好適である。
【0014】
第1の洗浄剤組成物中における(A)成分の含有量は、10〜50質量%(以下、単に「%」と略記する)であり、10%未満では、充分な洗浄力が発揮されない可能性が高く、一方、50%を超えると、スケールの発生および付着が顕著になることが多い。これらの点を考慮すると、(A)成分の含有量は、10〜45%が好ましく、20〜45%がより好ましい。
第2の洗浄剤組成物中における(A)成分の含有量は、3〜30%であり、3%未満では、充分な洗浄力が発揮されない可能性が高く、一方、30%を超えると、液体組成系の経日安定性が低下し、沈殿、液分離等の問題が生じる可能性が高い。
【0015】
上記式(1)で示される(B)成分は、3−ヒドロキシ−2,2′−イミノジコハク酸(塩)(以下、HIDSという)であり、第1の洗浄剤組成物中で、キレート剤として作用するものである。
式(1)において、M1〜M4は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムを示すが、アンモニア臭が無く、水溶性が良好であるということから、水素原子、Na,K等のアルカリ金属が好ましく、中でも、Na,K等のアルカリ金属が好適である。
【0016】
第1の洗浄剤組成物中における(B)成分の含有量は、10〜50%であり、10%未満では、スケール付着抑制効果が不充分となる可能性が高く、一方、50%を超えると、高コストになるのみならず、製剤化に問題が生じる可能性が高い。これらの点を考慮すると、(B)成分の含有量は、20〜45%が好ましく、25〜40%がより好ましい。
第2の洗浄剤組成物中における(B)成分の含有量は、5〜35%であり、5%未満では、スケール付着抑制効果が不充分となる可能性が高く、一方、35%を超えると、液体組成の経日安定性が低下し、沈殿、液分離等の問題が生じる可能性が高い。これらの点を考慮すると、(B)成分の含有量は、10〜25%が好ましく、10〜15%がより好ましい。
【0017】
(C)成分は、カルボキシル基含有水溶性ポリマーであり、カルボキシル基を含み、水溶性を示すポリマーであれば、特に限定されるものではないが、(B)成分との相乗効果により、スケールの発生および付着抑制効果をより一層高めることを考慮すると、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)/マレイン酸共重合体(塩)、マレイン酸(塩)とα−オレフィンとの共重合体(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)/(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アリルスルホン酸(塩)との共重合体(塩)、スチレンと無水マレイン酸(塩)との共重合体(塩)、スチレンとマレイン酸(塩)との共重合体(塩)が好ましく、特に、マレイン酸(塩)とα−オレフィンとの共重合体(塩)が好適である。これらのカルボキシル基含有水溶性ポリマーは1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。なお、(メタ)アクリルは、メタアクリルまたはアクリルを、(メタ)アリルは、メタアリルまたはアリルを表す。
【0018】
カルボキシル基含有水溶性ポリマーの重量平均分子量としては、通常、1,000〜90,000程度であり、好ましくは3,000〜50,000程度である。
カルボキシル基含有水溶性ポリマーとして塩を用いる場合、水溶性が良好であり、アルカリ性を示すことから、ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩が好適である。なお、塩の場合、カルボキシル基の全部が中和されていてもよく、一部のみが中和されていてもよい。
【0019】
第1および第2の洗浄剤組成物中における(C)成分の含有量は、0.5〜10%であり、0.5%未満では、スケール発生および付着抑制効果が不充分となる可能性が高く、一方、10%を超えても性能のさらなる向上は望めないだけでなく、コスト増を招来してしまう。これらのことを考慮すると、(C)成分の含有量は、0.5〜5%であることが好ましく、1〜5%がより好ましい。
本発明の洗浄剤組成物においては、(B)成分と(C)成分との併用による相乗効果により、スケール付着抑制効果がより一層高まるものである。
【0020】
また、第1および第2の洗浄剤組成物には、有機リン系キレート剤を配合することもでき、当該成分を配合することで、洗浄剤組成物のスケール抑制能をより高めることができる。
この場合、その配合量は特に限定されるものではないが、0.1〜20%であることが好ましく、5〜15%がより好ましい。配合量が0.1%未満では、スケール付着抑制効果が十分に向上しない場合がある。一方、配合量が20%を超えると、高コストになるのみならず、製剤化に問題が生じたり、液体組成の経日安定性が低下したりする可能性が高い。
有機リン系キレート剤としては、ホスホン酸誘導体が好適であり、例えば、イミノジメチルホスホン酸等のイミノジアルキルホスホン酸またはその塩、アルキルジホスホン酸またはその塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)またはその塩、および1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)等のヒドロキシアルキリデンジホスホン酸またはその塩から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
【0021】
なお、第1および第2の洗浄剤組成物には、上記(B)成分のキレート剤および有機リン系キレート剤に加え、洗浄剤組成物に用いられるその他の一般的なキレート剤を配合することもできる。このようなキレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)(塩),ニトリロトリ酢酸(NTA)(塩)などのアミノカルボン酸塩、クエン酸(塩)などのヒドロキシ多価カルボン酸(塩)、縮合リン酸(塩)等が挙げられる。これらのキレート剤の塩を用いる場合も、ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩が好適であり、この場合、酸性基の全部が中和されていてもよく、一部のみが中和されていてもよい。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物の使用にあたっては、水道水等に溶かしたり、適宜希釈したりして使用すればよい。その際の洗浄剤組成物の濃度は、洗浄剤組成物として0.1〜1%の範囲が好適であるが、被洗浄物の状態などに応じて適宜調整することができる。
なお、上述した第1および第2の洗浄剤組成物中には、本発明の作用効果を損なわない限りにおいて、無機ビルダー、漂白剤、香料、着色剤、腐食防止剤、消泡剤、界面活性剤等のその他の成分を適宜な量で配合することができる。
【0023】
界面活性剤は、洗浄力向上のために用いられるものであるが、本発明においては、特に、低泡性のものが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、エチレンジアミンのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0025】
[実施例1〜7,比較例1〜5]粉体洗浄剤組成物
1000mlのステンレスビーカーに無水硫酸ナトリウム(A−6、四国化成工業(株)製)を添加し、スリーワンモーターで撹拌しながら界面活性剤(プロロニックTR−913R、旭電化工業(株)製)をまぶし、必要に応じて粉末状の水溶性高分子(1)〜(3)のいずれか1種、パール水酸化ナトリウム(東ソー(株)製),炭酸ナトリウム(旭硝子(株)製)またはオルトケイ酸ナトリウム(Na2O/SiO2モル比2、広栄化学工業(株)製)の順に添加した後、必要に応じて粉体のHIDS((株)日本触媒製:40%水溶液から水を留去して調製したもの)、必要に応じてHEDP4Na(デイクエスト2016D、ソルーシア社製)、およびその他の成分を添加して充分に攪拌し、各実施例および比較例の粉体洗浄剤組成物を調製した。各成分の配合割合(%)を表1に示す。
【0026】
[実施例8〜14,比較例6〜11]液体洗浄剤組成物
500mlガラスビーカーにイオン交換水を添加した後、必要に応じてHIDS((株)日本触媒製:40%水溶液)、必要に応じてHEDP(BRIQUEST ADPA 60A、オルブライト ウイルソン社製)を添加し、充分にマグネットスターラーで撹拌した。続いて48%水酸化ナトリウム水溶液(鶴見曹達(株)製)または48%水酸化カリウム水溶液(旭硝子(株)製)、必要に応じて液体状の高分子(1)(40%水溶液)およびその他の成分を添加し、液体洗浄剤組成物を調製した。各成分の配合割合(%)(水溶液のものについては有効成分量を表す。)を表2に示す。なお、実施例14のKOH水溶液の配合割合はKOHとして25%であるが、HEDPの中和で5%消費されるため、真の有効量は20%である。
【0027】
上記各実施例および比較例で調製した各洗浄剤組成物について、スケール付着性および洗浄力を下記方法により測定・評価した。結果を表1および表2に併せて示す。
[1]スケール付着性
上記各実施例および比較例で得られた洗浄剤組成物に、アメリカ硬度90ppmの水道水(東京都江戸川区)を加えて洗浄剤組成物として0.15%に希釈調整(固形、液体とも)した洗浄剤水溶液75mlを、100mlステンレス製ビーカーに加えた。さらに、このビーカーに、ステンレス板(SUS304、厚さ×幅×長さ=1.0×25×75mm)を入れて、ウォーターバスで加熱して溶液を蒸発させていき、液量が20〜30mlになったところで、洗浄剤水溶液の残液を捨て、ステンレスビーカーにイオン交換水を約100ml入れ、10分間加熱し、すすぎを行った。
その後、ステンレス板をビーカーから取り出し、この板に付着しているスケールの量を目視判定し、下記基準にて評価した。
◎:スケールが全く付着していない
○:スケールがほとんど付着していない
△:スケールが少し付着している
×:スケールが多量に付着している
【0028】
[2]洗浄力
〈洗浄条件〉
使用洗浄機:ドアタイプ業務用自動食器洗浄機(JWD−6型、石川島播磨重工(株)製、洗浄剤水溶液が回転ノズルから噴射され、その噴射軌道上面に設置された食器類を洗浄し、洗浄機内上方4角から仕上げすすぎを行なう形式のもの)
洗浄温度:60℃
仕上げすすぎ温度:80〜85℃
洗浄用水:アメリカ硬度90ppmの水道水
洗浄濃度:0.1%(洗浄剤組成物としての濃度)
洗浄時間:40秒
仕上げすすぎ時間:12秒
【0029】
〈洗浄力評価〉蛋白汚れ洗浄力測定法
市販されている鶏卵をビーカーに割卵し、卵白、卵黄を充分均一になるまで撹拌した後、攪拌した卵3gを直径25cmの磁器皿に薄く伸ばして塗布し、室温で20時間風乾したものを4枚洗浄に供した。
洗浄後の皿に残留しているタンパク質を確認するため、タンパク質と反応するエリスロシンを用い、洗浄後の皿が着色するか否かを目視で確認し、下記基準により評価した。
○:タンパク質が完全に除去された
△:皿全面の半分程度にタンパク質の残留(着色)が認められた
×:全く洗浄されなかった
【0030】
【表1】

NaOH:パール水酸化ナトリウム、東ソー(株)製
オルトケイ酸Na:広栄化学工業(株)製
EDTA4Na:キレスト400、キレスト(株)製
NTA3Na:キレスト700、キレスト(株)製
HIDS:(株)日本触媒製
HEDP4Na:デイクエスト2016D、ソルーシア社製
クエン酸3Na:扶桑化学工業(株)製
高分子(1):C5オレフィン/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(クインフロー750、日本ゼオン(株)製)
高分子(2):ポリアクリル酸重合体ナトリウム塩(アキュソール445ND、ローム&ハース社製)
高分子(3):アクリル酸/アクリルサルフェート共重合体ナトリウム塩(アロンA−6017、東亞合成(株)製)
界面活性剤:脂肪族アルコールアルコキシレート(PlurafacLF431、BASF社製)
無水硫酸ナトリウム:四国化成工業(株)製
【0031】
【表2】

NaOH:48%水酸化ナトリウム水溶液、鶴見曹達(株)製
KOH:48%水酸化カリウム水溶液、旭硝子(株)製
EDTA4Na:キレスト400、キレスト(株)製
NTA3Na:キレスト700、キレスト(株)製
HIDS:(株)日本触媒製
HEDP:BRIQUEST ADPA 60A、オルブライトアンドウイルソン社製
高分子(1):C5オレフィン/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(クインフロー750、日本ゼオン(株)製)
【0032】
表1および2に示されるように、(A)〜(C)成分の3成分を含む各実施例の洗浄剤組成物では、比較例の洗浄剤組成物に比べ、スケール抑制能および洗浄力に優れていることがわかる。
【0033】
[実施例13]固体洗浄剤組成物
1000mlのステンレスビーカーに、48%水酸化ナトリウム水溶液(旭硝子(株)製)38.5質量部、粉体のHIDS((株)日本触媒製)25質量部、およびパール水酸化ナトリウム(東ソー(株)製)21.5質量部を添加し、70℃に加温しつつ、スリーワンモーターで攪拌しながら、粉末の水溶性高分子(1)5質量部、界面活性剤(プロロニックTR−913R、旭電化工業(株)製)2質量部、および無水硫酸ナトリウム(四国化成工業(株)製)8質量部を添加混合してスラリー化した後、これをポリプロピレン製の容器に移し、室温まで冷却して固化させて、固体洗浄剤組成物を得た。
この固体洗浄剤組成物のNaOH含有量は40%、HIDS含有量は25%、水溶性高分子含有量は5%である。
この洗浄剤組成物の洗浄力およびスケール付着性について、先の実施例と同様に評価したところ、いずれの評価結果も「○」であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)NaOH、KOH、およびM2O/SiO2(式中、Mは、NaまたはKを示す。)>1(モル比)で示される珪酸塩より選ばれる少なくとも1種を10〜50質量%、
(B)下記一般式(1)で表される化合物を10〜50質量%、並びに
【化1】

(式中、M1〜M4は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムを示す。)
(C)カルボキシル基含有水溶性ポリマーを0.5〜10質量%含むことを特徴とする業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)NaOH、KOH、およびM2O/SiO2(式中、Mは、NaまたはKを示す。)>1(モル比)で示される珪酸塩より選ばれる少なくとも1種を3〜30質量%、
(B)下記一般式(1)で表される化合物を5〜35質量%、
【化2】

(式中、M1〜M4は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムを示す。)
(C)カルボキシル基含有水溶性ポリマーを0.5〜10質量%、並びに
(D)水を残部含むことを特徴とする業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)/マレイン酸共重合体(塩)、マレイン酸(塩)とα−オレフィンとの共重合体(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)/(メタ)アクリルアミドプロパンスルフォン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)と(メタ)アリルスルホン酸(塩)との共重合体(塩)、スチレンと無水マレイン酸(塩)との共重合体(塩)、およびスチレンとマレイン酸(塩)との共重合体(塩)から選ばれる少なくとも1種のポリマーであることを特徴とする請求項1または2記載の業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物。
【請求項4】
有機リン系キレート剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の業務用自動洗浄機用洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2006−124646(P2006−124646A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189748(P2005−189748)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000115429)ライオンハイジーン株式会社 (11)
【Fターム(参考)】