業務管理システム、及び、業務処理実行方法
【課題】 複数の手順を有する業務処理を効率的に実行する業務管理システム、及び、業務処理実行方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 業務管理システム2が備えるサーバ20の業務実行受付部21は、業務処理の実行命令を受け付ける。業務シナリオ解析部22は業務シナリオを解析する。業務処理実行部23は、業務シナリオの解析結果に基づいて、業務処理を実行すべきサーバ20に対して業務処理の実行命令を行う。
【解決手段】 業務管理システム2が備えるサーバ20の業務実行受付部21は、業務処理の実行命令を受け付ける。業務シナリオ解析部22は業務シナリオを解析する。業務処理実行部23は、業務シナリオの解析結果に基づいて、業務処理を実行すべきサーバ20に対して業務処理の実行命令を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務処理を効率的に行う業務管理システム、及び、業務処理実行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信網に存在するネットワークエレメント(Network Element、以降、「NE」という)等のオペレーションにおいて、ファイル更新を始めとする業務フロー化が可能な業務をシステム化するための業務管理技術のひとつとして、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載されているファイル更新方法では、ファイル更新の手順をコマンド投入処理とコマンド応答判定処理とに分離し、これらの処理を指定するステップと指定された処理の実行を制御するステップとを有することに代表される特徴を持っている。
【0003】
また、コマンド投入処理等で投入される部品と称されるプログラムの一部は変更容易な簡易言語で記述され、柔軟性を持たせている。また、ファイル更新の業務を、作業項目に当たる部品と、部品を指定する手順に当たるシナリオとで成立させることでも柔軟性も持たせている。このように、特許文献1においては、部品をシナリオで指定することで、変化に柔軟なファイル更新方法を実現している。
【0004】
図12は、特許文献1に開示されているシステムの構成図である。ファイル更新操作端末100、及び、ファイル更新装置200は汎用的なコンピュータである。これらの装置において上記の技術に従った専用のプログラムを動作させることにより、ファイル更新システム500は、NE監視制御装置300を介してNE400と通信回線で接続し、NE400に対するファイル更新の業務機能を実現させている。
【0005】
また、シナリオを利用した他のシステムとして、特許文献2には、プログラムの実行順序が記述されたシナリオを用いてサービスを実行するサービス実行制御システムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−289381号公報
【特許文献2】特開平9−146765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、プログラム構造的に柔軟性を持たせる工夫を行っている。しかし、特許文献1に記載の技術は、単一マシンを用いた集中型システムの中でプログラムを動作させることを念頭に置いた技術である。同様に、特許文献2に記載の技術も集中型システムを前提としており、シナリオには単一装置内のプログラム格納部に格納されているプログラムのみが記述されている。
【0007】
現在、複数機器をネットワークに接続して構成する分散システムが提案され、開発が盛んに行われている。分散システムにおいては、安価なハードウェアを用いることができることや、たくさんのマシンを用いることによってシステムの大規模故障が発生しないといったメリットがある。このように、ハードウェア構成に柔軟性を持つ分散環境において、ファイル更新を初めとする、業務フロー化が可能な業務を対象とした業務管理システムの構築が要求されている。
【0008】
特許文献1においてはNEのファイル更新について触れているが、通信網のオペレーション業務においては、ファイル更新に限らず、業務フロー化できる業務が複数存在する。これらも含め、効率的なシステム構築が課題である。
その業務の中のひとつとして、個々のNEが正確に動作するために必要なデータ(以降、「局データ」という)をNEに設定する方法についての課題がある。
【0009】
局データをNEに設定する場合には、通常は、あらかじめ作成した局データファイルをNEに投入する。ただし、このようにあらかじめ局データファイルを作成する場合には、局データを作成するまでにいくつかの工程が必要であり、効率的でない場合もある。しかし、現状ではこのあらかじめ作成しておくという考え方に基づいたNE仕様が多数である。
【0010】
一方、局データ一つ一つをNEへのデータ設定命令と捕らえることで、いくつかの局データ作成工程やシステムを縮小し、必要最小限の命令のみを作成することで、実質的に必要なデータをNEへ投入することができるNE仕様も存在する。このNE仕様を用いた場合、先に触れた一括投入形式の局データを作成するまでのいくつかの工程は効率化される。その代わりに、その局データが複数種あり、また複数種を同じタイミングでシーケンシャルに、またはパラレルに設定するような場合、これらのデータが重要なデータであるために、NEへの投入前後でデータ種別毎に異なる確認作業が必要となるという設定上の課題が発生する。このように、データを個々に投入する業務において、投入前後でデータ種別毎に異なる確認作業があり、かつ、複数かつ複数種の投入すべき局データがあるような手順の多い業務である場合には、業務処理の効率化が必要である。
【0011】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、複数の手順を有する業務処理を効率的に実行する業務管理システム、及び、業務処理実行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムにおいて、前記通信装置は、業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付手段と、前記業務実行受付手段により受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析手段と、前記業務シナリオ解析手段による解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行手段とを備えることを特徴とする業務管理システムを提供する。
【0013】
この構成によれば、業務管理システムは、業務シナリオデータの解析結果に基づいて、業務処理を実行すべき通信装置に対して業務処理の実行命令を行うため、実行命令を受けた通信装置が自動的に業務処理を実行することができ、複数の手順を有する業務処理であっても効率的に業務処理を遂行することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータには、前記単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラムと、解析すべき他の業務シナリオデータと、の少なくとも1を識別するための情報が記述されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、業務シナリオデータに、単機能処理を表す情報として、プログラムを識別するための情報のみならず、他の業務シナリオデータを識別するための情報も記述することができ、複雑な手順の業務処理にも柔軟に対応することができる。このような多次元構造の業務シナリオデータを利用して多次元構造の業務フローを実現し、業務シナリオデータ間の再利用性を最大限に生かした業務管理システムを構築することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の業務管理システムにおいて、前記業務処理実行手段は、前記業務シナリオデータに記述された実行順序に従って、前記単機能処理の実行命令を、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して順次送信することを特徴とする。
この構成によれば、1つの通信装置が、業務シナリオデータに記述された実行順序に従って、単機能処理の実行命令を該単機能処理を実行すべき通信装置に対して順次送信するため、複数の手順を有する業務処理であっても、複数の通信装置において効率的に業務処理を行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務処理実行手段は、前記単機能処理の実行命令を含んだ前記業務シナリオデータを、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して送信することを特徴とする。
この構成によれば、業務シナリオデータが業務処理の実行順序に従って通信装置間を巡回し、業務シナリオを受信した通信装置が単機能処理の実行制御を行うことができる。これにより、業務管理システム内における業務処理の負荷分散を行ことができ、複数の手順を有する業務処理であっても、複数の通信装置において効率的に業務処理を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務処理の実行制御を行う実行制御手段をさらに備え、
前記実行制御手段は、前記業務処理の中断と再試行とを制御することを特徴とする。
この構成によれば、業務管理システムは、業務処理の実行を柔軟に制御することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の業務管理システムにおいて、前記実行制御手段は、中断された業務処理を、外部より指示された箇所から再試行することを特徴とする。
この構成によれば、業務管理システムは、中断された業務処理を外部からの指示により任意の箇所から再試行することができ、業務処理の実行を柔軟に制御し、効率的に業務処理を行うことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータには、階層的なグループに分類された単機能処理が記述されており、前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されているグループ分けに基づいて、前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする。
この構成によれば、業務管理システムは、単機能処理をグループ毎に管理することができ、グループ毎に各種操作や設定を行うことにより、業務処理の実行制御を行い易い。また、階層的にグループ化することにより、柔軟性のある多次元の業務フローを容易に実現することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項5から7のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータには、前記単機能処理の実行結果に基づいて次に実行すべき単機能処理を決定するための制御文が記述されており、前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されている制御文に従って前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、業務管理システムは、制御文に従って柔軟に業務処理の実行手順を制御することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータと業務キーワードとを対応付けて記憶する業務キーワード記憶手段と、外部からの指示に対応する業務キーワードと対応付けられて前記業務キーワード記憶手段に記憶されている業務シナリオデータに基づいて、1又は複数の業務シナリオデータを含む一連の業務処理手順を表す情報を生成する業務シナリオ生成部とを備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、外部からの指示に対応する業務キーワードから容易に一連の業務処理手順を表す情報を生成することができ、多くの制御を必要とする業務処理についての業務効率化が可能となる。
請求項10に記載の発明は、複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムが行う業務処理実行方法において、業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付ステップと、前記業務実行受付ステップにおいて受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析ステップと、前記業務シナリオ解析ステップにおける解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行ステップとを有することを特徴とする業務処理実行方法を提供する。
この方法による作用、効果は、請求項1と同様である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、業務管理システムは、業務シナリオデータの解析結果に基づいて、業務処理を実行すべき通信装置に対して業務処理の実行命令を行うため、実行命令を受けた通信装置が自動的に業務処理を実行することができ、複数の手順を有する業務処理であっても効率的に業務処理を遂行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施の形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同等部分に同一符号が付されている。
図1は、本発明の実施の形態に係る業務管理システム2の構成を示す図である。同図に示すように、業務管理システム2は、ユーザ操作用の通信端末である業務管理システム端末1と、交換機等のネットワーク設備であるNE4と、NE4を監視及び制御するNE監視制御装置3と、に通信ネットワークを介して接続されている。
【0025】
次に、業務管理システム2の構成について説明する。業務管理システム2は分散型のシステムであり、分散配備された複数のサーバ20により構成されている。サーバ20は、例えば、小型IAサーバである。サーバ20同士は、ギガビットイーサネット(登録商標)等の通信ネットワークで接続されている。業務管理システム2は、通信網オペレーションに関わる各種業務を管理及び実行する。
【0026】
サーバ20は、ハードウェア構成として、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とハードディスク装置を含む記憶部、及び、通信ネットワークを介してデータの授受を制御する通信インターフェースとを備えている。
サーバ20の記憶部には、各種ソフトウェアが記憶されている。各種ソフトウェアには、OS(Operating System)と、Java(登録商標)実行環境を構築するためのソフトウェアと、業務シナリオデータ(以下「業務シナリオ」という)を解析するためのプログラムと、D3A(Distributed Data Driven Architecture;分散型データ駆動アーキテクチャ)シナリオデータ(以下「D3Aシナリオ」という)を解析するためのプログラムとが含まれている。
【0027】
図2は、サーバ20の記憶部に記憶されるソフトウェアやCPUの動作により実現されるソフトウェア環境の一例を説明するための図である。
同図に示すように、ソフトウェア環境は、D3A層と業務アプリケーション層とで構成されている。D3A層は、Java(登録商標)VMと、当該Java(登録商標)VM上で動作するD3A基盤と、D3Aシナリオとを含んで構成される。D3A基盤は、D3Aシナリオを解析し、解析結果に従った処理の実行を制御する。D3A基盤はJava(登録商標)でコーディングされており、D3AシナリオはXML(eXtensible Markup Language)で記述されている。
【0028】
ここで、D3Aシナリオとは、システム内部の処理命令の手順が記述され、処理命令を与えるための記述と、処理結果として返されたデータ格納場所とをもつデータである。また、D3A基盤とは、D3Aシナリオを解析し駆動させる役目を持つエンジンプログラムである。
このように、サーバ20のソフトウェア環境は、分散システム用に開発された分散型データ駆動型アーキテクチャ(D3A)をベースとする。集中型システムが、単一マシンにおいてメインプログラムを動作させ、そこから単機能プロセスを呼び出して処理を実行していくのに対し、D3Aでは、図3に示すように、従来のメインプログラムに変わる部分となるシナリオが単機能プロセスを経由して処理を実行していく。
【0029】
D3Aにおいては、D3Aシナリオが処理を実行するのでははく、XMLで書かれたD3Aシナリオの実行条件をD3A基盤が解析し、単機能プロセスに指示を出す。単機能プロセスで処理を行った結果はD3Aシナリオにデータとして格納され、次の単機能プロセスにD3Aシナリオが駆動される。D3Aシナリオには単機能プロセスを経由する順番が記述されており、ネットワークで接続され分散配備されたマシン間を経由していくことも可能である。指定された単機能プロセスを全て経由し終わると一連の処理が完了したことになる。シナリオによる駆動動作の変更は、単機能プロセスがすでに存在していれば、D3Aシナリオに記述する経路を変更すればよいし、単機能プロセスが存在しない、または、既存にある単機能プロセスを変更するような場合には、その単機能プロセスを実現するためのプログラムを適当なマシンに配備し、経路を変更することで対応可能である。ユーザの指示により、D3Aで構築されたシステムに命令が送られると、システムが命令を受け取り、命令を解析してD3Aシナリオを生成し動作することになる。
【0030】
また、サーバ20が備えるソフトウェア環境においては、D3A層の上位層として、図2に示すように業務アプリケーション層が設けられている。業務アプリケーション層は、Java(登録商標)VMと、当該Java(登録商標)VM上で動作する業務解析エンジンと、業務シナリオとを含んで構成される。業務解析エンジンは、業務シナリオの記述を解析し、解析結果に従って処理を実行するためのプログラムである。業務解析エンジンはJava(登録商標)でコーディングされており、業務シナリオはXMLで記述されている。
【0031】
D3A層を内部処理的なシナリオとするならば、業務アプリケーション層は、D3Aをベースにしながら、上位層アーキテクチャとして、シナリオと個々の処理プログラムとを組み合わせた構造をとる。
ここで、システムの内部処理で使用されるD3Aシナリオと、業務管理システム2において業務効率化のために使用される業務シナリオとの違いを整理する。両者ともXMLで記述されたテキストベースの定義ファイルであり、技術的には共通のものであるが、定義体が異なっている。従って、D3A基盤は業務シナリオを解析することができない。このため、本実施形態に係る業務管理システム2においては、D3A基盤とは別に、上位アプリケーションとしての業務解析エンジンを設ける構成とした。なお、このような業務解析エンジンを設ける構成は一例であり、例えば、D3A基盤が理解可能な定義体で業務シナリオを作成してもよいし、または、D3A基盤を改造して、業務シナリオを理解できるようにしてもよい。
【0032】
このように、D3Aシナリオと業務シナリオとは同一の技術を利用した言語を用いて記述されているため、システム変更、構築上の柔軟性、及び、選択性を確保することができる。なお、本実施形態においては、ソフトウェア環境をD3A層と業務アプリケーション層との2段階に構築したが、このような関係の層を複数段階に構築することもできる。段階数はシナリオと解析エンジンの開発の仕方による。
【0033】
[業務シナリオ]
次に、業務シナリオについて説明する。業務シナリオには業務処理の一連の手順が記述される。業務処理の手順は、業務処理の手順毎の処理内容である単機能処理と、当該単機能処理の実行順序とで表すことができる。
【0034】
ここで、ユーザがシステムに対して命令を行い、XMLで記述されたD3Aシナリオにより単機能としてのプログラムが次々と処理されて、処理が完結するまでをひとつの単シナリオとする。この単シナリオは、ユーザに取ってみれば、ひとつの単機能と捉えることもできる。本実施形態においては、人が行う業務手順を業務シナリオという形で定義し、業務シナリオに沿って、ユーザにとっての単機能つまり単シナリオを動作させる。
【0035】
業務シナリオの記述においては、D3Aシナリオの記述と異なり、実行すべきプログラム名の代わりに他の業務シナリオ名や単シナリオ名を記述することが可能である。すなわち、業務シナリオには、単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラムと、解析すべき単シナリオと、解析すべき他の業務シナリオと、の少なくとも1を識別するための情報を記述することができる。従って、ある業務シナリオが単機能として扱う処理は、プログラムにより実行される処理と、D3Aシナリオ(単シナリオ)を解析することにより実行される処理と、他の業務シナリオを解析することにより実行される処理を含むこととなる。
【0036】
図4には、業務シナリオの記述例を示す。同図に示すように、業務シナリオAには、単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラム名と、解析すべき他の業務シナリオ名と、解析すべき単シナリオ名とが記述されている。また、単機能処理の実行順序を表す情報として、手順の番号が記述されている。
このように、業務シナリオに他の業務シナリオを記述することができるため、業務シナリオやプログラムの多段階の再利用が可能となり、すなわちこれが業務シナリオの多次元構造となる。
【0037】
また、D3Aシナリオは、単機能として主にプログラムを使用するが、業務シナリオは、他の業務シナリオが動作し他の単機能や単シナリオの連続実施により得られた結果を次の処理に渡すことが可能である。このため、業務シナリオを定義するときに、実際の単機能を意識することなく、3DAシナリオや別の業務シナリオを単機能として扱って業務シナリオを定義することができる。そして、業務シナリオによって定義された業務処理の実行手順において、同一の処理についてはシナリオやプログラムを再利用可能であるという利点が得られる。このように、本実施形態に係る業務シナリオを用いることで、同一手順を複数回行うような業務において業務効率化を図ることが可能となる。
【0038】
図4には2次元構造に近い例を示したが、実際の扱い方は、多段構造または、多次元構造といえる。処理が完結した業務シナリオは再利用が可能であり、また、互いに独立したシナリオ間において上下関係は存在しない。互いに直接関係するときに、使う側なのか使われる側なのかでその処理においての上下関係があるだけであり、多次元構造によるこれらの業務シナリオの再利用性は多次元にわたる。よって、これらの形態において、業務シナリオは次元が互いに変わる多次元シナリオということができる。
【0039】
また、図5に示すように、業務シナリオには、単機能処理の処理結果に応じて、次に実行すべき単機能処理を決定するための制御文を含めることができる。制御文としては、例えば、分岐、ループ、並列処理等が考えられる。
また、XMLのような簡易な言語を用いて業務シナリオを記述していることにより、経路、プログラム、単シナリオ、他の業務シナリオ等の選択実行指示について、変更、追加及び削除を容易に行うことができる。指示される側のシナリオや単機能についても同様なことがいえる。単機能としてのプログラムは、あくまでも単機能としての最小限プログラムであるため、変更等によるシステム全体としての影響範囲を小さくすることができる。
【0040】
[機能構成]
次に、サーバ20の機能構成について説明する。サーバ20が備える上述したハードウェア及びソフトウェアにより、図6に示す機能部が実現される。
【0041】
同図に示す業務実行受付部21は、業務管理システム端末1や他のサーバ20から、業務処理の実行命令を受け付ける。
業務シナリオ解析部22は、業務実行受付部21が受け付けた業務処理を行うための業務シナリオを記憶部より取得し、当該取得した業務シナリオを解析する。なお、業務シナリオ解析部22は、記憶部から取得した業務シナリオを解析する以外に、他のサーバ20から送信されてきた業務シナリオを解析する場合もあるし、また、業務処理の実行命令に応じて新たに生成した業務シナリオを解析する場合もある。
【0042】
業務処理実行部23は実行命令を受けた業務処理を実行する。具体的には、業務処理実行部23は、業務シナリオ解析部22が業務シナリオを解析した結果に基づいて、業務処理を実行すべきサーバ20に業務処理の実行命令を行う。業務処理を実行すべきサーバ20は、複数の他のサーバ20である場合も自サーバ20である場合もある。業務処理を実行すべきサーバ20の決定方法としては、例えば、業務シナリオに記述されている内容や、サーバ20が予め保持している経路指定情報や、受信した実行命令に含まれる情報から決定される。
【0043】
ここで、業務管理システム2は、D3Aのアーキテクチャをベースに、D3Aシナリオの部分を業務の手順レベルに発展させたものである。業務管理システム2は、業務シナリオを解析エンジンで解析させ、実行すべきプログラムを選択し、実行命令をだす、という基本的な処理方式の基に構築される。この基本的な処理方式を実現するためのシステム構成には2つの構成がある。
【0044】
第1の構成は、D3Aとは異なる構成である。具体的には、業務管理システム2において使用する業務シナリオが複数あっても、ある1つのサーバ20の業務シナリオ解析部22が業務シナリオを解析し、順次、実行させるべきプログラムや業務シナリオを選択及び実行し、処理結果をシナリオのデータ格納部分に格納するという処理を繰り返す。このように、第1の構成は、はじめに担当した解析エンジンが、業務処理が完了するまで全てを担うシステム構成である。
【0045】
この第1の構成においては、サーバ20の業務処理実行部23は、業務シナリオに記述された実行順序に従って、単機能処理の実行命令を当該単機能処理を実行すべきサーバ20に対して順次送信することとなる。
図7を参照しながら、第1の構成における業務処理の実行手順を説明する。
まず、サーバ20の業務実行受付部21は、業務管理システム端末1から業務処理の実行命令を受け付ける(ステップS11)。
【0046】
業務シナリオ解析部22は、業務実行受付部21により受け付けられた業務処理を行うための業務シナリオを解析する(ステップS12)。
業務処理実行部23は、業務シナリオに記述された実行順序に従って、単機能処理の実行命令を、当該単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。
【0047】
業務処理実行部23は、業務シナリオに記述された単機能処理分全て実行命令を送信し終わるまで(ステップS13;Yes)、単機能処理の実行命令の送信を繰り返す。
次に、図4及び図7を参照しながら、第1の構成において、サーバ20が業務管理システム端末1から、業務シナリオAに対応する業務処理Aの実行命令を受けた時の動作について説明する。
【0048】
サーバ20の業務実行受付部21が業務処理Aの実行命令を受け付けると(ステップS11)、業務シナリオ解析部22は、業務実行受付部21が受け付けた業務処理Aを行うための業務シナリオAを記憶部より読み出して、業務シナリオAの記述内容を解析する(ステップS12)。
業務処理実行部23は、業務シナリオAに記述された実行順序に従って、まず、手順1のプログラムAの実行命令を、当該処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。
【0049】
業務処理実行部23は、プログラムAの実行処理終了の応答メッセージを受信すると、次に実行すべき手順2の処理が存在するため(ステップS13;No)、手順2の単シナリオAの実行命令を、当該単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。業務処理実行部23は、単シナリオAの実行処理終了の応答メッセージを受信すると、次に実行すべき手順3の処理が存在するため(ステップS13;No)、手順3の業務シナリオBの実行命令を、当該処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。
【0050】
業務処理実行部23は、以上のようにして、業務シナリオに記述された手順n個の単機能処理について全て実行命令を送信し終わるまで(ステップS13;Yes)、単機能処理の実行命令の送信を繰り返す。
次に、第2の構成について説明する。第2の構成は、D3Aと同様な構成であり、業務管理システム2で使用する業務シナリオを分散データ駆動型にした構成である。すなわち、分散配置されたサーバ20の業務シナリオ解析部22が、他のサーバ20から受け取った業務シナリオを解析し、業務処理実行部23が、解析結果に基づいて自サーバ20内のプログラムを起動して自サーバ20が担当する処理を行い、処理結果を業務シナリオのデータ格納部分に格納した後、当該業務シナリオを次の処理を行うべきサーバ20(シナリオ解析エンジン)に渡すというシステム構成である。
【0051】
この第2の構成では、サーバ20の業務処理実行部23は、次の単機能処理の実行命令を含み、かつ、ある単機能処理の処理結果を格納した業務シナリオを、当該次の単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信することとなる。
第2の構成における業務処理の実行手順を、図8を参照しながら説明する。まず、あるサーバ20の業務処理実行部23は、ある単機能処理の実行命令を含んだ業務シナリオを、当該ある単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信する。
【0052】
ある単機能処理を実行すべきサーバ20の業務実行受付部21が、ある単機能処理の実行命令を含んだ業務シナリオを受信すると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22が、受信した業務シナリオを解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、実行命令を受けた単機能処理を実行し、実行結果を業務シナリオに格納する。業務処理実行部23は、次の単機能処理を実行すべきサーバ20に対して、次の単機能処理の実行命令を含んだ業務シナリオを送信する(ステップS23)。
【0053】
次に、図4及び図8を参照しながら、サーバ20が、業務シナリオAに対応する業務処理Aの実行命令を受け付けた時の動作について説明する。
サーバ20の業務実行受付部21が、業務管理システム端末1から業務処理Aの実行命令を受け付けると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22が、業務処理Aを処理するための業務シナリオAを記憶部より読み出して解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、解析結果に基づいて、手順1を実行すべきサーバ20に対して、手順1の実行命令を含んだ業務シナリオAを送信する(ステップS23)。
【0054】
手順1を実行すべきサーバ20の業務実行受付部21が、手順1の実行命令を含んだ業務シナリオAを受信すると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22が業務シナリオAを解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、実行命令を受けた手順1のプログラムAを記憶部より読み出して実行する。そして、業務処理実行部23は、業務シナリオAにプログラムAの実行結果を格納して、次の手順2を実行すべきサーバ20に対して、次の手順2の実行命令を含んだ業務シナリオAを送信する(ステップS23)。
【0055】
手順2を実行すべきサーバ20の業務実行受付部21が、手順2の実行命令を含んだ業務シナリオAを受信すると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22は、受信した業務シナリオAを解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、実行命令を受けた手順2の単シナリオAを記憶部より読み出して解析する。そして、業務処理実行部23は、単シナリオAに記述されたプログラムを順次自サーバ20又は他サーバ20で実行する。業務処理実行部23は、単シナリオAに記述されたプログラムの処理が全て終了した場合に、処理結果を業務シナリオAに格納する。業務処理実行部23は、次の手順3の単機能処理を実行すべきサーバ20に対して、次の手順3の実行命令を含んだ業務シナリオAを送信する(ステップS23)。同様に、手順3、・・・、手順nを実行すべきサーバ20も、手順2を実行すべきサーバ20と同じ処理手順を繰り返すことにより、業務処理Aを遂行する。
【0056】
次に、図6に示す実行制御部25について説明する。実行制御部25は、業務処理の実行を制御する。制御のひとつとして、実行制御部25は、業務シナリオに記述されているグループ分けに基づいて、業務処理の実行制御を行う。
ここで、業務シナリオに記述された単機能処理は、階層的なグループに分類することが可能である。階層的なグループ分けとは、例えば、業務シナリオに記述された単位機能処理のグループを規定し、また、そのグループ内におけるグループを規定するといったグループ分けをいう。
【0057】
図9には業務シナリオにおけるグループ分けの一例を示す。同図に示すフェーズ番号と作業項目番号とは実行順序に対応し、「警報確認」、「系構成確認」等の作業項目は単機能処理に対応する。同図に示すように作業項目はフェーズでグループ化されている。
また、フェーズというグループを多次元構造化することも可能である。図9に示す例においては、作業項目1の作業項目定義に部品名が記述されており、業務解析エンジンによって当該部品名に対応するプログラムが呼び出される仕組みとなっている。このように、作業項目定義の中に、部品名、プログラム名、業務シナリオ名、又は、単シナリオ名を記述することで、多次元構造化したグループを作成することができ、シナリオやプログラムの再利用が可能となる。
【0058】
また、実行制御部25は、実行中の業務処理の中断と再試行とを制御する。
具体的には、実行制御部25は、業務処理を実行している途中で、外部からの指示や故障を検知したときに、業務処理の中断点についての情報をメモリに保持した上で、業務処理を中断する。このように中断点をメモリに保持しておくことで、実行制御部25は業務シナリオによる業務処理がどこまで進んだかを把握することができ、中断点からの再試行が可能となる。また、業務シナリオが通過すべきプログラムに関するハード故障を含む故障が起こったことを検知すると、実行制御部25は、業務シナリオによる業務処理を中断し、中断点を保持する。故障修理等によりシステムが正常に戻ったことを検知すると、実行制御部25は、中断点から業務処理を再試行する。
【0059】
なお、実行制御部25は、再試行の際には、ユーザ入力等によって外部より指示された箇所から、中断された業務処理を再試行することも可能である。このように、再試行の際に、実行する手順やどの箇所から業務処理を開始するかはユーザが任意に指定することが可能である。
また、図5に示すように、業務シナリオの中に制御文が記述されている場合には、実行制御部25は、当該制御文に従って業務処理の実行制御を行う。例えば、実行制御部25は、ある手順において単機能処理を実行することにより得られた結果を分析し、次に行うべき単機能処理を選択する。これにより、分岐、ループ、並列処理等の各種処理を制御することができ、業務シナリオ自体を動的に変化させることができる。また、実行制御部25は、業務処理の即時起動も制御し、システム操作性としての柔軟性も確保する。このように、実行制御部25により操作の柔軟性を確保することができるため、ユーザ主導の業務が可能である。
【0060】
これらの業務シナリオは、あらかじめ生成して記憶部に記憶しておく他に、ユーザが端末を用いて編集することができる。ユーザが業務シナリオを編集する場合には、業務管理システム2の記憶部に、業務シナリオのデフォルトフォーマットをあらかじめ記憶させておく。端末からのユーザ指示により、デフォルトフォーマットが端末に表示される。ユーザが、表示されたデフォルトフォーマットの中の指定すべき部分を埋めることにより、業務シナリオを編集する。ユーザが指定可能な情報の一例としては、発動日時、終了日時等の基本的な情報や、業務シナリオ内部のグループ及び単機能処理各々についての処理ステータスである。処理ステータスとしては、自動進行、確認、スキップ等が存在する。図10には、業務シナリオへの処理ステータス設定の一例を示す。同図に示すように、処理ステータスは業務シナリオ内のフェーズや作業項目毎に設定されている。また、D3Aのアーキテクチャに従って、業務シナリオ編集専用のクライアント端末も用意してもよい。
【0061】
このように、デフォルトで用意されているシナリオが、業務シナリオ作成の補助となる。また、業務シナリオに従った業務処理の起動時刻の指定や、業務シナリオ内部に記述されている手順(グループ、単機能処理)の処理ステータス、制御文等を記述し、記述内容を柔軟に変えることができるようにすることで、一連の業務処理について柔軟性を確保することができる。
【0062】
次に、図6に示す業務キーワード記憶部26について説明する。業務キーワード記憶部26は、ハードディスク装置等の記憶部に、業務キーワードと業務シナリオとを対応付けて記憶する。業務キーワード記憶部26により記憶される情報は、業務シナリオの生成に用いられる。業務キーワードと業務シナリオとの対応付け方法としては、1対1の対応付けであっても、多対1の対応付けであってもよい。
【0063】
業務シナリオ生成部27は、業務シナリオを生成する。具体的な業務シナリオの生成方法としては、業務シナリオ生成部27は、ユーザ入力等により、外部から業務キーワードが入力された場合に、当該入力された業務キーワードと一致する業務キーワードと対応付けられて業務キーワード記憶部26に記憶されている業務シナリオを取得する。取得された業務シナリオが複数存在する場合には、業務シナリオ生成部27は、複数の業務シナリオで構成される一連の業務処理手順を示す情報を生成する。
【0064】
このように、業務シナリオ生成部27は、自動的に業務シナリオを組み合わせた一連の業務処理手順を示す情報を生成することができ、業務管理システム2はこの情報を用いて業務処理を行うことができるため、複雑な多制御の業務処理についての業務効率化が可能となる。
例えば、個々のNE4に投入する局データを、コマンドによるNEへのデータ設定命令と捕らえることができるようなNE4の場合、個々データの設定方法は大幅に簡素化されているが、複数種かつ複数のデータをNE4に設定する場合には大きな稼動を要することになる。このときに業務シナリオを使用することで、容易に複数種かつ複数のデータを容易にNE4に設定することが可能となる。
【0065】
局データ投入業務に関する業務シナリオ生成処理について、図11を参照しながら説明する。まず、ユーザは、業務管理システム端末1を操作して、設定したい局データを定義するファイル(ここでは、キーワードB、キーワードA及びキーワードCが記述されたファイル)を作成する(ステップS31)。この作成処理は、事前に局データを作成するために使用する局データ作成システムを使用する必要がなく、非常に簡素なものになる。
【0066】
業務管理システム2の業務実行受付部21は、ユーザの指示によりそのファイルを読み込む(ステップS32)。業務管理システム2の業務キーワード記憶部26では、局データの種類によって、前後処理や前後処理から得られる結果の判定ロジックをあらかじめ業務シナリオとして記憶している。業務シナリオ生成部27は、業務キーワード記憶部26に記憶されている業務シナリオを含んだ、一連の業務シナリオを自動生成する(ステップS33)。ここにおいても業務シナリオの多次元構造化の有効性が得られる。
【0067】
ここで、複数の局データを投入するときには、個々の局データにより生成される業務シナリオを組み合わせたものが一連の業務シナリオ(一連の業務処理手順を示す情報)になる。また、ひとつの局データを投入する場合には、ひとつの局データから生成される業務シナリオそのものが、一連の業務処理手順を示す情報となる。
以上説明したように、業務管理システム2は、業務シナリオに基づいて業務処理を順次自動的に実行することができ、複数の手順を有する業務処理を効率的に実行することができる。特に、業務管理システム2は、ユーザが業務管理システム2に対して行う作業のうち、業務フロー化可能な業務の効率化を行うことができる。また、業務シナリオに多次元構造をとることにより、多次元構造の業務フローを実現することができ、業務シナリオ間の再利用性を最大限に生かすことができる。このように、本発明により、分散コンピューティングによるハードウェア構成の柔軟性とプログラム構造の柔軟性とを併せ持つ業務管理システム2を構築することができる。
【0068】
なお、以上の説明では、業務シナリオをXMLで記述し、業務管理システム2を構成する複数のサーバ20にはIAサーバ、サーバ20間にはギガビットイーサネット(登録商標)を使用する例で説明したが、業務管理システム2に使用するプログラム言語、通信装置、及び、ネットワーク環境は、D3Aの思想、形態をベースにできればよく、その範囲においては同様の効果が得られる。
【0069】
また、本発明を利用可能な分野は通信網オペレーションの業務管理システム2にとどまらない。D3Aは多様なシステムに対応できる基盤アーキテクチャであり、その基盤の上での業務シナリオの多次元構造化は共通的な思想となる。
なお、D3Aをベースとする以外に、D3A基盤を業務シナリオ解析エンジンとして使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
複数の手順を有する業務処理全般に利用することができる。特に、パターン化され、かつ、複数の同一手順を有する業務処理についての効率化を図ることができる。例えば、通信網オペレーションの業務管理システムにおけるファイル更新、局データ更新、ファームダウンロード、マクロ機能等の業務処理が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係る業務管理システムの構成を示す図である。
【図2】同実施の形態に係るサーバが備えるソフトウェア環境の一例を説明するための図である。
【図3】同実施の形態に係る分散データ駆動型アーキテクチャを説明するための図である。
【図4】同実施の形態に係る業務シナリオの多次元構造化の概念を示す図である。
【図5】同実施の形態に係る業務シナリオのさまざまな制御文挿入例を示す図である。
【図6】同実施の形態に係るサーバの機能構成を示す図である。
【図7】同実施の形態に係る業務処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態に係る業務処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態に係る業務シナリオのグループ分けの一例を示す図である。
【図10】同実施の形態に係る業務シナリオへの処理ステータス設定の一例を示す図である。
【図11】同実施の形態に係る局データ投入業務に関する業務シナリオ自動生成処理を説明するための図である。
【図12】従来のファイル更新システムとNEとを含んだシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0072】
1 業務管理システム端末
2 業務管理システム
3 NE監視制御装置
4 NE(ネットワークエレメント)
20 サーバ
21 業務実行受付部
22 業務シナリオ解析部
23 業務処理実行部
25 実行制御部
26 業務キーワード記憶部
27 業務シナリオ生成部
100 ファイル更新操作端末
200 ファイル更新装置
300 NE監視制御装置
400 NE
500 ファイル更新システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務処理を効率的に行う業務管理システム、及び、業務処理実行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信網に存在するネットワークエレメント(Network Element、以降、「NE」という)等のオペレーションにおいて、ファイル更新を始めとする業務フロー化が可能な業務をシステム化するための業務管理技術のひとつとして、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載されているファイル更新方法では、ファイル更新の手順をコマンド投入処理とコマンド応答判定処理とに分離し、これらの処理を指定するステップと指定された処理の実行を制御するステップとを有することに代表される特徴を持っている。
【0003】
また、コマンド投入処理等で投入される部品と称されるプログラムの一部は変更容易な簡易言語で記述され、柔軟性を持たせている。また、ファイル更新の業務を、作業項目に当たる部品と、部品を指定する手順に当たるシナリオとで成立させることでも柔軟性も持たせている。このように、特許文献1においては、部品をシナリオで指定することで、変化に柔軟なファイル更新方法を実現している。
【0004】
図12は、特許文献1に開示されているシステムの構成図である。ファイル更新操作端末100、及び、ファイル更新装置200は汎用的なコンピュータである。これらの装置において上記の技術に従った専用のプログラムを動作させることにより、ファイル更新システム500は、NE監視制御装置300を介してNE400と通信回線で接続し、NE400に対するファイル更新の業務機能を実現させている。
【0005】
また、シナリオを利用した他のシステムとして、特許文献2には、プログラムの実行順序が記述されたシナリオを用いてサービスを実行するサービス実行制御システムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−289381号公報
【特許文献2】特開平9−146765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、プログラム構造的に柔軟性を持たせる工夫を行っている。しかし、特許文献1に記載の技術は、単一マシンを用いた集中型システムの中でプログラムを動作させることを念頭に置いた技術である。同様に、特許文献2に記載の技術も集中型システムを前提としており、シナリオには単一装置内のプログラム格納部に格納されているプログラムのみが記述されている。
【0007】
現在、複数機器をネットワークに接続して構成する分散システムが提案され、開発が盛んに行われている。分散システムにおいては、安価なハードウェアを用いることができることや、たくさんのマシンを用いることによってシステムの大規模故障が発生しないといったメリットがある。このように、ハードウェア構成に柔軟性を持つ分散環境において、ファイル更新を初めとする、業務フロー化が可能な業務を対象とした業務管理システムの構築が要求されている。
【0008】
特許文献1においてはNEのファイル更新について触れているが、通信網のオペレーション業務においては、ファイル更新に限らず、業務フロー化できる業務が複数存在する。これらも含め、効率的なシステム構築が課題である。
その業務の中のひとつとして、個々のNEが正確に動作するために必要なデータ(以降、「局データ」という)をNEに設定する方法についての課題がある。
【0009】
局データをNEに設定する場合には、通常は、あらかじめ作成した局データファイルをNEに投入する。ただし、このようにあらかじめ局データファイルを作成する場合には、局データを作成するまでにいくつかの工程が必要であり、効率的でない場合もある。しかし、現状ではこのあらかじめ作成しておくという考え方に基づいたNE仕様が多数である。
【0010】
一方、局データ一つ一つをNEへのデータ設定命令と捕らえることで、いくつかの局データ作成工程やシステムを縮小し、必要最小限の命令のみを作成することで、実質的に必要なデータをNEへ投入することができるNE仕様も存在する。このNE仕様を用いた場合、先に触れた一括投入形式の局データを作成するまでのいくつかの工程は効率化される。その代わりに、その局データが複数種あり、また複数種を同じタイミングでシーケンシャルに、またはパラレルに設定するような場合、これらのデータが重要なデータであるために、NEへの投入前後でデータ種別毎に異なる確認作業が必要となるという設定上の課題が発生する。このように、データを個々に投入する業務において、投入前後でデータ種別毎に異なる確認作業があり、かつ、複数かつ複数種の投入すべき局データがあるような手順の多い業務である場合には、業務処理の効率化が必要である。
【0011】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、複数の手順を有する業務処理を効率的に実行する業務管理システム、及び、業務処理実行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムにおいて、前記通信装置は、業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付手段と、前記業務実行受付手段により受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析手段と、前記業務シナリオ解析手段による解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行手段とを備えることを特徴とする業務管理システムを提供する。
【0013】
この構成によれば、業務管理システムは、業務シナリオデータの解析結果に基づいて、業務処理を実行すべき通信装置に対して業務処理の実行命令を行うため、実行命令を受けた通信装置が自動的に業務処理を実行することができ、複数の手順を有する業務処理であっても効率的に業務処理を遂行することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータには、前記単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラムと、解析すべき他の業務シナリオデータと、の少なくとも1を識別するための情報が記述されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、業務シナリオデータに、単機能処理を表す情報として、プログラムを識別するための情報のみならず、他の業務シナリオデータを識別するための情報も記述することができ、複雑な手順の業務処理にも柔軟に対応することができる。このような多次元構造の業務シナリオデータを利用して多次元構造の業務フローを実現し、業務シナリオデータ間の再利用性を最大限に生かした業務管理システムを構築することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の業務管理システムにおいて、前記業務処理実行手段は、前記業務シナリオデータに記述された実行順序に従って、前記単機能処理の実行命令を、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して順次送信することを特徴とする。
この構成によれば、1つの通信装置が、業務シナリオデータに記述された実行順序に従って、単機能処理の実行命令を該単機能処理を実行すべき通信装置に対して順次送信するため、複数の手順を有する業務処理であっても、複数の通信装置において効率的に業務処理を行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務処理実行手段は、前記単機能処理の実行命令を含んだ前記業務シナリオデータを、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して送信することを特徴とする。
この構成によれば、業務シナリオデータが業務処理の実行順序に従って通信装置間を巡回し、業務シナリオを受信した通信装置が単機能処理の実行制御を行うことができる。これにより、業務管理システム内における業務処理の負荷分散を行ことができ、複数の手順を有する業務処理であっても、複数の通信装置において効率的に業務処理を行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務処理の実行制御を行う実行制御手段をさらに備え、
前記実行制御手段は、前記業務処理の中断と再試行とを制御することを特徴とする。
この構成によれば、業務管理システムは、業務処理の実行を柔軟に制御することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の業務管理システムにおいて、前記実行制御手段は、中断された業務処理を、外部より指示された箇所から再試行することを特徴とする。
この構成によれば、業務管理システムは、中断された業務処理を外部からの指示により任意の箇所から再試行することができ、業務処理の実行を柔軟に制御し、効率的に業務処理を行うことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータには、階層的なグループに分類された単機能処理が記述されており、前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されているグループ分けに基づいて、前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする。
この構成によれば、業務管理システムは、単機能処理をグループ毎に管理することができ、グループ毎に各種操作や設定を行うことにより、業務処理の実行制御を行い易い。また、階層的にグループ化することにより、柔軟性のある多次元の業務フローを容易に実現することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項5から7のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータには、前記単機能処理の実行結果に基づいて次に実行すべき単機能処理を決定するための制御文が記述されており、前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されている制御文に従って前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、業務管理システムは、制御文に従って柔軟に業務処理の実行手順を制御することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の業務管理システムにおいて、前記業務シナリオデータと業務キーワードとを対応付けて記憶する業務キーワード記憶手段と、外部からの指示に対応する業務キーワードと対応付けられて前記業務キーワード記憶手段に記憶されている業務シナリオデータに基づいて、1又は複数の業務シナリオデータを含む一連の業務処理手順を表す情報を生成する業務シナリオ生成部とを備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、外部からの指示に対応する業務キーワードから容易に一連の業務処理手順を表す情報を生成することができ、多くの制御を必要とする業務処理についての業務効率化が可能となる。
請求項10に記載の発明は、複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムが行う業務処理実行方法において、業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付ステップと、前記業務実行受付ステップにおいて受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析ステップと、前記業務シナリオ解析ステップにおける解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行ステップとを有することを特徴とする業務処理実行方法を提供する。
この方法による作用、効果は、請求項1と同様である。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、業務管理システムは、業務シナリオデータの解析結果に基づいて、業務処理を実行すべき通信装置に対して業務処理の実行命令を行うため、実行命令を受けた通信装置が自動的に業務処理を実行することができ、複数の手順を有する業務処理であっても効率的に業務処理を遂行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施の形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同等部分に同一符号が付されている。
図1は、本発明の実施の形態に係る業務管理システム2の構成を示す図である。同図に示すように、業務管理システム2は、ユーザ操作用の通信端末である業務管理システム端末1と、交換機等のネットワーク設備であるNE4と、NE4を監視及び制御するNE監視制御装置3と、に通信ネットワークを介して接続されている。
【0025】
次に、業務管理システム2の構成について説明する。業務管理システム2は分散型のシステムであり、分散配備された複数のサーバ20により構成されている。サーバ20は、例えば、小型IAサーバである。サーバ20同士は、ギガビットイーサネット(登録商標)等の通信ネットワークで接続されている。業務管理システム2は、通信網オペレーションに関わる各種業務を管理及び実行する。
【0026】
サーバ20は、ハードウェア構成として、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とハードディスク装置を含む記憶部、及び、通信ネットワークを介してデータの授受を制御する通信インターフェースとを備えている。
サーバ20の記憶部には、各種ソフトウェアが記憶されている。各種ソフトウェアには、OS(Operating System)と、Java(登録商標)実行環境を構築するためのソフトウェアと、業務シナリオデータ(以下「業務シナリオ」という)を解析するためのプログラムと、D3A(Distributed Data Driven Architecture;分散型データ駆動アーキテクチャ)シナリオデータ(以下「D3Aシナリオ」という)を解析するためのプログラムとが含まれている。
【0027】
図2は、サーバ20の記憶部に記憶されるソフトウェアやCPUの動作により実現されるソフトウェア環境の一例を説明するための図である。
同図に示すように、ソフトウェア環境は、D3A層と業務アプリケーション層とで構成されている。D3A層は、Java(登録商標)VMと、当該Java(登録商標)VM上で動作するD3A基盤と、D3Aシナリオとを含んで構成される。D3A基盤は、D3Aシナリオを解析し、解析結果に従った処理の実行を制御する。D3A基盤はJava(登録商標)でコーディングされており、D3AシナリオはXML(eXtensible Markup Language)で記述されている。
【0028】
ここで、D3Aシナリオとは、システム内部の処理命令の手順が記述され、処理命令を与えるための記述と、処理結果として返されたデータ格納場所とをもつデータである。また、D3A基盤とは、D3Aシナリオを解析し駆動させる役目を持つエンジンプログラムである。
このように、サーバ20のソフトウェア環境は、分散システム用に開発された分散型データ駆動型アーキテクチャ(D3A)をベースとする。集中型システムが、単一マシンにおいてメインプログラムを動作させ、そこから単機能プロセスを呼び出して処理を実行していくのに対し、D3Aでは、図3に示すように、従来のメインプログラムに変わる部分となるシナリオが単機能プロセスを経由して処理を実行していく。
【0029】
D3Aにおいては、D3Aシナリオが処理を実行するのでははく、XMLで書かれたD3Aシナリオの実行条件をD3A基盤が解析し、単機能プロセスに指示を出す。単機能プロセスで処理を行った結果はD3Aシナリオにデータとして格納され、次の単機能プロセスにD3Aシナリオが駆動される。D3Aシナリオには単機能プロセスを経由する順番が記述されており、ネットワークで接続され分散配備されたマシン間を経由していくことも可能である。指定された単機能プロセスを全て経由し終わると一連の処理が完了したことになる。シナリオによる駆動動作の変更は、単機能プロセスがすでに存在していれば、D3Aシナリオに記述する経路を変更すればよいし、単機能プロセスが存在しない、または、既存にある単機能プロセスを変更するような場合には、その単機能プロセスを実現するためのプログラムを適当なマシンに配備し、経路を変更することで対応可能である。ユーザの指示により、D3Aで構築されたシステムに命令が送られると、システムが命令を受け取り、命令を解析してD3Aシナリオを生成し動作することになる。
【0030】
また、サーバ20が備えるソフトウェア環境においては、D3A層の上位層として、図2に示すように業務アプリケーション層が設けられている。業務アプリケーション層は、Java(登録商標)VMと、当該Java(登録商標)VM上で動作する業務解析エンジンと、業務シナリオとを含んで構成される。業務解析エンジンは、業務シナリオの記述を解析し、解析結果に従って処理を実行するためのプログラムである。業務解析エンジンはJava(登録商標)でコーディングされており、業務シナリオはXMLで記述されている。
【0031】
D3A層を内部処理的なシナリオとするならば、業務アプリケーション層は、D3Aをベースにしながら、上位層アーキテクチャとして、シナリオと個々の処理プログラムとを組み合わせた構造をとる。
ここで、システムの内部処理で使用されるD3Aシナリオと、業務管理システム2において業務効率化のために使用される業務シナリオとの違いを整理する。両者ともXMLで記述されたテキストベースの定義ファイルであり、技術的には共通のものであるが、定義体が異なっている。従って、D3A基盤は業務シナリオを解析することができない。このため、本実施形態に係る業務管理システム2においては、D3A基盤とは別に、上位アプリケーションとしての業務解析エンジンを設ける構成とした。なお、このような業務解析エンジンを設ける構成は一例であり、例えば、D3A基盤が理解可能な定義体で業務シナリオを作成してもよいし、または、D3A基盤を改造して、業務シナリオを理解できるようにしてもよい。
【0032】
このように、D3Aシナリオと業務シナリオとは同一の技術を利用した言語を用いて記述されているため、システム変更、構築上の柔軟性、及び、選択性を確保することができる。なお、本実施形態においては、ソフトウェア環境をD3A層と業務アプリケーション層との2段階に構築したが、このような関係の層を複数段階に構築することもできる。段階数はシナリオと解析エンジンの開発の仕方による。
【0033】
[業務シナリオ]
次に、業務シナリオについて説明する。業務シナリオには業務処理の一連の手順が記述される。業務処理の手順は、業務処理の手順毎の処理内容である単機能処理と、当該単機能処理の実行順序とで表すことができる。
【0034】
ここで、ユーザがシステムに対して命令を行い、XMLで記述されたD3Aシナリオにより単機能としてのプログラムが次々と処理されて、処理が完結するまでをひとつの単シナリオとする。この単シナリオは、ユーザに取ってみれば、ひとつの単機能と捉えることもできる。本実施形態においては、人が行う業務手順を業務シナリオという形で定義し、業務シナリオに沿って、ユーザにとっての単機能つまり単シナリオを動作させる。
【0035】
業務シナリオの記述においては、D3Aシナリオの記述と異なり、実行すべきプログラム名の代わりに他の業務シナリオ名や単シナリオ名を記述することが可能である。すなわち、業務シナリオには、単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラムと、解析すべき単シナリオと、解析すべき他の業務シナリオと、の少なくとも1を識別するための情報を記述することができる。従って、ある業務シナリオが単機能として扱う処理は、プログラムにより実行される処理と、D3Aシナリオ(単シナリオ)を解析することにより実行される処理と、他の業務シナリオを解析することにより実行される処理を含むこととなる。
【0036】
図4には、業務シナリオの記述例を示す。同図に示すように、業務シナリオAには、単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラム名と、解析すべき他の業務シナリオ名と、解析すべき単シナリオ名とが記述されている。また、単機能処理の実行順序を表す情報として、手順の番号が記述されている。
このように、業務シナリオに他の業務シナリオを記述することができるため、業務シナリオやプログラムの多段階の再利用が可能となり、すなわちこれが業務シナリオの多次元構造となる。
【0037】
また、D3Aシナリオは、単機能として主にプログラムを使用するが、業務シナリオは、他の業務シナリオが動作し他の単機能や単シナリオの連続実施により得られた結果を次の処理に渡すことが可能である。このため、業務シナリオを定義するときに、実際の単機能を意識することなく、3DAシナリオや別の業務シナリオを単機能として扱って業務シナリオを定義することができる。そして、業務シナリオによって定義された業務処理の実行手順において、同一の処理についてはシナリオやプログラムを再利用可能であるという利点が得られる。このように、本実施形態に係る業務シナリオを用いることで、同一手順を複数回行うような業務において業務効率化を図ることが可能となる。
【0038】
図4には2次元構造に近い例を示したが、実際の扱い方は、多段構造または、多次元構造といえる。処理が完結した業務シナリオは再利用が可能であり、また、互いに独立したシナリオ間において上下関係は存在しない。互いに直接関係するときに、使う側なのか使われる側なのかでその処理においての上下関係があるだけであり、多次元構造によるこれらの業務シナリオの再利用性は多次元にわたる。よって、これらの形態において、業務シナリオは次元が互いに変わる多次元シナリオということができる。
【0039】
また、図5に示すように、業務シナリオには、単機能処理の処理結果に応じて、次に実行すべき単機能処理を決定するための制御文を含めることができる。制御文としては、例えば、分岐、ループ、並列処理等が考えられる。
また、XMLのような簡易な言語を用いて業務シナリオを記述していることにより、経路、プログラム、単シナリオ、他の業務シナリオ等の選択実行指示について、変更、追加及び削除を容易に行うことができる。指示される側のシナリオや単機能についても同様なことがいえる。単機能としてのプログラムは、あくまでも単機能としての最小限プログラムであるため、変更等によるシステム全体としての影響範囲を小さくすることができる。
【0040】
[機能構成]
次に、サーバ20の機能構成について説明する。サーバ20が備える上述したハードウェア及びソフトウェアにより、図6に示す機能部が実現される。
【0041】
同図に示す業務実行受付部21は、業務管理システム端末1や他のサーバ20から、業務処理の実行命令を受け付ける。
業務シナリオ解析部22は、業務実行受付部21が受け付けた業務処理を行うための業務シナリオを記憶部より取得し、当該取得した業務シナリオを解析する。なお、業務シナリオ解析部22は、記憶部から取得した業務シナリオを解析する以外に、他のサーバ20から送信されてきた業務シナリオを解析する場合もあるし、また、業務処理の実行命令に応じて新たに生成した業務シナリオを解析する場合もある。
【0042】
業務処理実行部23は実行命令を受けた業務処理を実行する。具体的には、業務処理実行部23は、業務シナリオ解析部22が業務シナリオを解析した結果に基づいて、業務処理を実行すべきサーバ20に業務処理の実行命令を行う。業務処理を実行すべきサーバ20は、複数の他のサーバ20である場合も自サーバ20である場合もある。業務処理を実行すべきサーバ20の決定方法としては、例えば、業務シナリオに記述されている内容や、サーバ20が予め保持している経路指定情報や、受信した実行命令に含まれる情報から決定される。
【0043】
ここで、業務管理システム2は、D3Aのアーキテクチャをベースに、D3Aシナリオの部分を業務の手順レベルに発展させたものである。業務管理システム2は、業務シナリオを解析エンジンで解析させ、実行すべきプログラムを選択し、実行命令をだす、という基本的な処理方式の基に構築される。この基本的な処理方式を実現するためのシステム構成には2つの構成がある。
【0044】
第1の構成は、D3Aとは異なる構成である。具体的には、業務管理システム2において使用する業務シナリオが複数あっても、ある1つのサーバ20の業務シナリオ解析部22が業務シナリオを解析し、順次、実行させるべきプログラムや業務シナリオを選択及び実行し、処理結果をシナリオのデータ格納部分に格納するという処理を繰り返す。このように、第1の構成は、はじめに担当した解析エンジンが、業務処理が完了するまで全てを担うシステム構成である。
【0045】
この第1の構成においては、サーバ20の業務処理実行部23は、業務シナリオに記述された実行順序に従って、単機能処理の実行命令を当該単機能処理を実行すべきサーバ20に対して順次送信することとなる。
図7を参照しながら、第1の構成における業務処理の実行手順を説明する。
まず、サーバ20の業務実行受付部21は、業務管理システム端末1から業務処理の実行命令を受け付ける(ステップS11)。
【0046】
業務シナリオ解析部22は、業務実行受付部21により受け付けられた業務処理を行うための業務シナリオを解析する(ステップS12)。
業務処理実行部23は、業務シナリオに記述された実行順序に従って、単機能処理の実行命令を、当該単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。
【0047】
業務処理実行部23は、業務シナリオに記述された単機能処理分全て実行命令を送信し終わるまで(ステップS13;Yes)、単機能処理の実行命令の送信を繰り返す。
次に、図4及び図7を参照しながら、第1の構成において、サーバ20が業務管理システム端末1から、業務シナリオAに対応する業務処理Aの実行命令を受けた時の動作について説明する。
【0048】
サーバ20の業務実行受付部21が業務処理Aの実行命令を受け付けると(ステップS11)、業務シナリオ解析部22は、業務実行受付部21が受け付けた業務処理Aを行うための業務シナリオAを記憶部より読み出して、業務シナリオAの記述内容を解析する(ステップS12)。
業務処理実行部23は、業務シナリオAに記述された実行順序に従って、まず、手順1のプログラムAの実行命令を、当該処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。
【0049】
業務処理実行部23は、プログラムAの実行処理終了の応答メッセージを受信すると、次に実行すべき手順2の処理が存在するため(ステップS13;No)、手順2の単シナリオAの実行命令を、当該単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。業務処理実行部23は、単シナリオAの実行処理終了の応答メッセージを受信すると、次に実行すべき手順3の処理が存在するため(ステップS13;No)、手順3の業務シナリオBの実行命令を、当該処理を実行すべきサーバ20に対して送信する(ステップS14)。
【0050】
業務処理実行部23は、以上のようにして、業務シナリオに記述された手順n個の単機能処理について全て実行命令を送信し終わるまで(ステップS13;Yes)、単機能処理の実行命令の送信を繰り返す。
次に、第2の構成について説明する。第2の構成は、D3Aと同様な構成であり、業務管理システム2で使用する業務シナリオを分散データ駆動型にした構成である。すなわち、分散配置されたサーバ20の業務シナリオ解析部22が、他のサーバ20から受け取った業務シナリオを解析し、業務処理実行部23が、解析結果に基づいて自サーバ20内のプログラムを起動して自サーバ20が担当する処理を行い、処理結果を業務シナリオのデータ格納部分に格納した後、当該業務シナリオを次の処理を行うべきサーバ20(シナリオ解析エンジン)に渡すというシステム構成である。
【0051】
この第2の構成では、サーバ20の業務処理実行部23は、次の単機能処理の実行命令を含み、かつ、ある単機能処理の処理結果を格納した業務シナリオを、当該次の単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信することとなる。
第2の構成における業務処理の実行手順を、図8を参照しながら説明する。まず、あるサーバ20の業務処理実行部23は、ある単機能処理の実行命令を含んだ業務シナリオを、当該ある単機能処理を実行すべきサーバ20に対して送信する。
【0052】
ある単機能処理を実行すべきサーバ20の業務実行受付部21が、ある単機能処理の実行命令を含んだ業務シナリオを受信すると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22が、受信した業務シナリオを解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、実行命令を受けた単機能処理を実行し、実行結果を業務シナリオに格納する。業務処理実行部23は、次の単機能処理を実行すべきサーバ20に対して、次の単機能処理の実行命令を含んだ業務シナリオを送信する(ステップS23)。
【0053】
次に、図4及び図8を参照しながら、サーバ20が、業務シナリオAに対応する業務処理Aの実行命令を受け付けた時の動作について説明する。
サーバ20の業務実行受付部21が、業務管理システム端末1から業務処理Aの実行命令を受け付けると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22が、業務処理Aを処理するための業務シナリオAを記憶部より読み出して解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、解析結果に基づいて、手順1を実行すべきサーバ20に対して、手順1の実行命令を含んだ業務シナリオAを送信する(ステップS23)。
【0054】
手順1を実行すべきサーバ20の業務実行受付部21が、手順1の実行命令を含んだ業務シナリオAを受信すると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22が業務シナリオAを解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、実行命令を受けた手順1のプログラムAを記憶部より読み出して実行する。そして、業務処理実行部23は、業務シナリオAにプログラムAの実行結果を格納して、次の手順2を実行すべきサーバ20に対して、次の手順2の実行命令を含んだ業務シナリオAを送信する(ステップS23)。
【0055】
手順2を実行すべきサーバ20の業務実行受付部21が、手順2の実行命令を含んだ業務シナリオAを受信すると(ステップS21)、業務シナリオ解析部22は、受信した業務シナリオAを解析する(ステップS22)。業務処理実行部23は、実行命令を受けた手順2の単シナリオAを記憶部より読み出して解析する。そして、業務処理実行部23は、単シナリオAに記述されたプログラムを順次自サーバ20又は他サーバ20で実行する。業務処理実行部23は、単シナリオAに記述されたプログラムの処理が全て終了した場合に、処理結果を業務シナリオAに格納する。業務処理実行部23は、次の手順3の単機能処理を実行すべきサーバ20に対して、次の手順3の実行命令を含んだ業務シナリオAを送信する(ステップS23)。同様に、手順3、・・・、手順nを実行すべきサーバ20も、手順2を実行すべきサーバ20と同じ処理手順を繰り返すことにより、業務処理Aを遂行する。
【0056】
次に、図6に示す実行制御部25について説明する。実行制御部25は、業務処理の実行を制御する。制御のひとつとして、実行制御部25は、業務シナリオに記述されているグループ分けに基づいて、業務処理の実行制御を行う。
ここで、業務シナリオに記述された単機能処理は、階層的なグループに分類することが可能である。階層的なグループ分けとは、例えば、業務シナリオに記述された単位機能処理のグループを規定し、また、そのグループ内におけるグループを規定するといったグループ分けをいう。
【0057】
図9には業務シナリオにおけるグループ分けの一例を示す。同図に示すフェーズ番号と作業項目番号とは実行順序に対応し、「警報確認」、「系構成確認」等の作業項目は単機能処理に対応する。同図に示すように作業項目はフェーズでグループ化されている。
また、フェーズというグループを多次元構造化することも可能である。図9に示す例においては、作業項目1の作業項目定義に部品名が記述されており、業務解析エンジンによって当該部品名に対応するプログラムが呼び出される仕組みとなっている。このように、作業項目定義の中に、部品名、プログラム名、業務シナリオ名、又は、単シナリオ名を記述することで、多次元構造化したグループを作成することができ、シナリオやプログラムの再利用が可能となる。
【0058】
また、実行制御部25は、実行中の業務処理の中断と再試行とを制御する。
具体的には、実行制御部25は、業務処理を実行している途中で、外部からの指示や故障を検知したときに、業務処理の中断点についての情報をメモリに保持した上で、業務処理を中断する。このように中断点をメモリに保持しておくことで、実行制御部25は業務シナリオによる業務処理がどこまで進んだかを把握することができ、中断点からの再試行が可能となる。また、業務シナリオが通過すべきプログラムに関するハード故障を含む故障が起こったことを検知すると、実行制御部25は、業務シナリオによる業務処理を中断し、中断点を保持する。故障修理等によりシステムが正常に戻ったことを検知すると、実行制御部25は、中断点から業務処理を再試行する。
【0059】
なお、実行制御部25は、再試行の際には、ユーザ入力等によって外部より指示された箇所から、中断された業務処理を再試行することも可能である。このように、再試行の際に、実行する手順やどの箇所から業務処理を開始するかはユーザが任意に指定することが可能である。
また、図5に示すように、業務シナリオの中に制御文が記述されている場合には、実行制御部25は、当該制御文に従って業務処理の実行制御を行う。例えば、実行制御部25は、ある手順において単機能処理を実行することにより得られた結果を分析し、次に行うべき単機能処理を選択する。これにより、分岐、ループ、並列処理等の各種処理を制御することができ、業務シナリオ自体を動的に変化させることができる。また、実行制御部25は、業務処理の即時起動も制御し、システム操作性としての柔軟性も確保する。このように、実行制御部25により操作の柔軟性を確保することができるため、ユーザ主導の業務が可能である。
【0060】
これらの業務シナリオは、あらかじめ生成して記憶部に記憶しておく他に、ユーザが端末を用いて編集することができる。ユーザが業務シナリオを編集する場合には、業務管理システム2の記憶部に、業務シナリオのデフォルトフォーマットをあらかじめ記憶させておく。端末からのユーザ指示により、デフォルトフォーマットが端末に表示される。ユーザが、表示されたデフォルトフォーマットの中の指定すべき部分を埋めることにより、業務シナリオを編集する。ユーザが指定可能な情報の一例としては、発動日時、終了日時等の基本的な情報や、業務シナリオ内部のグループ及び単機能処理各々についての処理ステータスである。処理ステータスとしては、自動進行、確認、スキップ等が存在する。図10には、業務シナリオへの処理ステータス設定の一例を示す。同図に示すように、処理ステータスは業務シナリオ内のフェーズや作業項目毎に設定されている。また、D3Aのアーキテクチャに従って、業務シナリオ編集専用のクライアント端末も用意してもよい。
【0061】
このように、デフォルトで用意されているシナリオが、業務シナリオ作成の補助となる。また、業務シナリオに従った業務処理の起動時刻の指定や、業務シナリオ内部に記述されている手順(グループ、単機能処理)の処理ステータス、制御文等を記述し、記述内容を柔軟に変えることができるようにすることで、一連の業務処理について柔軟性を確保することができる。
【0062】
次に、図6に示す業務キーワード記憶部26について説明する。業務キーワード記憶部26は、ハードディスク装置等の記憶部に、業務キーワードと業務シナリオとを対応付けて記憶する。業務キーワード記憶部26により記憶される情報は、業務シナリオの生成に用いられる。業務キーワードと業務シナリオとの対応付け方法としては、1対1の対応付けであっても、多対1の対応付けであってもよい。
【0063】
業務シナリオ生成部27は、業務シナリオを生成する。具体的な業務シナリオの生成方法としては、業務シナリオ生成部27は、ユーザ入力等により、外部から業務キーワードが入力された場合に、当該入力された業務キーワードと一致する業務キーワードと対応付けられて業務キーワード記憶部26に記憶されている業務シナリオを取得する。取得された業務シナリオが複数存在する場合には、業務シナリオ生成部27は、複数の業務シナリオで構成される一連の業務処理手順を示す情報を生成する。
【0064】
このように、業務シナリオ生成部27は、自動的に業務シナリオを組み合わせた一連の業務処理手順を示す情報を生成することができ、業務管理システム2はこの情報を用いて業務処理を行うことができるため、複雑な多制御の業務処理についての業務効率化が可能となる。
例えば、個々のNE4に投入する局データを、コマンドによるNEへのデータ設定命令と捕らえることができるようなNE4の場合、個々データの設定方法は大幅に簡素化されているが、複数種かつ複数のデータをNE4に設定する場合には大きな稼動を要することになる。このときに業務シナリオを使用することで、容易に複数種かつ複数のデータを容易にNE4に設定することが可能となる。
【0065】
局データ投入業務に関する業務シナリオ生成処理について、図11を参照しながら説明する。まず、ユーザは、業務管理システム端末1を操作して、設定したい局データを定義するファイル(ここでは、キーワードB、キーワードA及びキーワードCが記述されたファイル)を作成する(ステップS31)。この作成処理は、事前に局データを作成するために使用する局データ作成システムを使用する必要がなく、非常に簡素なものになる。
【0066】
業務管理システム2の業務実行受付部21は、ユーザの指示によりそのファイルを読み込む(ステップS32)。業務管理システム2の業務キーワード記憶部26では、局データの種類によって、前後処理や前後処理から得られる結果の判定ロジックをあらかじめ業務シナリオとして記憶している。業務シナリオ生成部27は、業務キーワード記憶部26に記憶されている業務シナリオを含んだ、一連の業務シナリオを自動生成する(ステップS33)。ここにおいても業務シナリオの多次元構造化の有効性が得られる。
【0067】
ここで、複数の局データを投入するときには、個々の局データにより生成される業務シナリオを組み合わせたものが一連の業務シナリオ(一連の業務処理手順を示す情報)になる。また、ひとつの局データを投入する場合には、ひとつの局データから生成される業務シナリオそのものが、一連の業務処理手順を示す情報となる。
以上説明したように、業務管理システム2は、業務シナリオに基づいて業務処理を順次自動的に実行することができ、複数の手順を有する業務処理を効率的に実行することができる。特に、業務管理システム2は、ユーザが業務管理システム2に対して行う作業のうち、業務フロー化可能な業務の効率化を行うことができる。また、業務シナリオに多次元構造をとることにより、多次元構造の業務フローを実現することができ、業務シナリオ間の再利用性を最大限に生かすことができる。このように、本発明により、分散コンピューティングによるハードウェア構成の柔軟性とプログラム構造の柔軟性とを併せ持つ業務管理システム2を構築することができる。
【0068】
なお、以上の説明では、業務シナリオをXMLで記述し、業務管理システム2を構成する複数のサーバ20にはIAサーバ、サーバ20間にはギガビットイーサネット(登録商標)を使用する例で説明したが、業務管理システム2に使用するプログラム言語、通信装置、及び、ネットワーク環境は、D3Aの思想、形態をベースにできればよく、その範囲においては同様の効果が得られる。
【0069】
また、本発明を利用可能な分野は通信網オペレーションの業務管理システム2にとどまらない。D3Aは多様なシステムに対応できる基盤アーキテクチャであり、その基盤の上での業務シナリオの多次元構造化は共通的な思想となる。
なお、D3Aをベースとする以外に、D3A基盤を業務シナリオ解析エンジンとして使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
複数の手順を有する業務処理全般に利用することができる。特に、パターン化され、かつ、複数の同一手順を有する業務処理についての効率化を図ることができる。例えば、通信網オペレーションの業務管理システムにおけるファイル更新、局データ更新、ファームダウンロード、マクロ機能等の業務処理が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係る業務管理システムの構成を示す図である。
【図2】同実施の形態に係るサーバが備えるソフトウェア環境の一例を説明するための図である。
【図3】同実施の形態に係る分散データ駆動型アーキテクチャを説明するための図である。
【図4】同実施の形態に係る業務シナリオの多次元構造化の概念を示す図である。
【図5】同実施の形態に係る業務シナリオのさまざまな制御文挿入例を示す図である。
【図6】同実施の形態に係るサーバの機能構成を示す図である。
【図7】同実施の形態に係る業務処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態に係る業務処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態に係る業務シナリオのグループ分けの一例を示す図である。
【図10】同実施の形態に係る業務シナリオへの処理ステータス設定の一例を示す図である。
【図11】同実施の形態に係る局データ投入業務に関する業務シナリオ自動生成処理を説明するための図である。
【図12】従来のファイル更新システムとNEとを含んだシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0072】
1 業務管理システム端末
2 業務管理システム
3 NE監視制御装置
4 NE(ネットワークエレメント)
20 サーバ
21 業務実行受付部
22 業務シナリオ解析部
23 業務処理実行部
25 実行制御部
26 業務キーワード記憶部
27 業務シナリオ生成部
100 ファイル更新操作端末
200 ファイル更新装置
300 NE監視制御装置
400 NE
500 ファイル更新システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムにおいて、
前記通信装置は、
業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付手段と、
前記業務実行受付手段により受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析手段と、
前記業務シナリオ解析手段による解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行手段と
を備えることを特徴とする業務管理システム。
【請求項2】
前記業務シナリオデータには、前記単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラムと、解析すべき他の業務シナリオデータと、の少なくとも1を識別するための情報が記述されていることを特徴とする
請求項1に記載の業務管理システム。
【請求項3】
前記業務処理実行手段は、
前記業務シナリオデータに記述された実行順序に従って、前記単機能処理の実行命令を、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して順次送信することを特徴とする
請求項1又は2に記載の業務管理システム。
【請求項4】
前記業務処理実行手段は、
前記単機能処理の実行命令を含んだ前記業務シナリオデータを、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して送信することを特徴とする
請求項1から3のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項5】
前記業務処理の実行制御を行う実行制御手段をさらに備え、
前記実行制御手段は、前記業務処理の中断と再試行とを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項6】
前記実行制御手段は、中断された業務処理を、外部より指示された箇所から再試行することを特徴とする
請求項5に記載の業務管理システム。
【請求項7】
前記業務シナリオデータには、階層的なグループに分類された単機能処理が記述されており、
前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されているグループ分けに基づいて、前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする
請求項5又は6に記載の業務管理システム。
【請求項8】
前記業務シナリオデータには、前記単機能処理の実行結果に基づいて次に実行すべき単機能処理を決定するための制御文が記述されており、
前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されている制御文に従って前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする
請求項5から7のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項9】
前記業務シナリオデータと業務キーワードとを対応付けて記憶する業務キーワード記憶手段と、
外部からの指示に対応する業務キーワードと対応付けられて前記業務キーワード記憶手段に記憶されている業務シナリオデータに基づいて、1又は複数の業務シナリオデータを含む一連の業務処理手順を表す情報を生成する業務シナリオ生成部とを備えることを特徴とする
請求項1から8のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項10】
複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムが行う業務処理実行方法において、
業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付ステップと、
前記業務実行受付ステップにおいて受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析ステップと、
前記業務シナリオ解析ステップにおける解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行ステップと
を有することを特徴とする業務処理実行方法。
【請求項1】
複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムにおいて、
前記通信装置は、
業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付手段と、
前記業務実行受付手段により受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析手段と、
前記業務シナリオ解析手段による解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行手段と
を備えることを特徴とする業務管理システム。
【請求項2】
前記業務シナリオデータには、前記単機能処理を表す情報として、実行すべきプログラムと、解析すべき他の業務シナリオデータと、の少なくとも1を識別するための情報が記述されていることを特徴とする
請求項1に記載の業務管理システム。
【請求項3】
前記業務処理実行手段は、
前記業務シナリオデータに記述された実行順序に従って、前記単機能処理の実行命令を、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して順次送信することを特徴とする
請求項1又は2に記載の業務管理システム。
【請求項4】
前記業務処理実行手段は、
前記単機能処理の実行命令を含んだ前記業務シナリオデータを、該単機能処理を実行すべき通信装置に対して送信することを特徴とする
請求項1から3のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項5】
前記業務処理の実行制御を行う実行制御手段をさらに備え、
前記実行制御手段は、前記業務処理の中断と再試行とを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項6】
前記実行制御手段は、中断された業務処理を、外部より指示された箇所から再試行することを特徴とする
請求項5に記載の業務管理システム。
【請求項7】
前記業務シナリオデータには、階層的なグループに分類された単機能処理が記述されており、
前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されているグループ分けに基づいて、前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする
請求項5又は6に記載の業務管理システム。
【請求項8】
前記業務シナリオデータには、前記単機能処理の実行結果に基づいて次に実行すべき単機能処理を決定するための制御文が記述されており、
前記実行制御手段は、前記業務シナリオデータに記述されている制御文に従って前記業務処理の実行制御を行うことを特徴とする
請求項5から7のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項9】
前記業務シナリオデータと業務キーワードとを対応付けて記憶する業務キーワード記憶手段と、
外部からの指示に対応する業務キーワードと対応付けられて前記業務キーワード記憶手段に記憶されている業務シナリオデータに基づいて、1又は複数の業務シナリオデータを含む一連の業務処理手順を表す情報を生成する業務シナリオ生成部とを備えることを特徴とする
請求項1から8のいずれか1項に記載の業務管理システム。
【請求項10】
複数の通信装置を含む分散型の業務管理システムが行う業務処理実行方法において、
業務処理の実行命令を受け付ける業務実行受付ステップと、
前記業務実行受付ステップにおいて受け付けられた業務処理を行うための単機能処理と該単機能処理の実行順序とが記述された業務シナリオデータを解析する業務シナリオ解析ステップと、
前記業務シナリオ解析ステップにおける解析結果に基づいて、前記業務処理を実行すべき通信装置に対して該業務処理の実行命令を行う業務処理実行ステップと
を有することを特徴とする業務処理実行方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−65637(P2006−65637A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248506(P2004−248506)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]