説明

楽器収容ケース

【課題】狭い場所であっても楽器を容易に出し入れすることができると共に、楽器の落下を抑制でき、しかも、軽量化を図ることができる楽器収容ケースを提供する。
【解決手段】この楽器収容ケース10は、一方向に長い楽器1を収容するものであって、その長手方向を上下にして設置した状態で、楽器1を出し入れできるように構成されており、上端面及び一側面の上部が開口された有底筒状の本体ケース20と、この本体ケースの上端面開口部26に適合する天板31及び前記本体ケース20の一部側面開口部28に適合する側板33を有し、前記側板33の下端部を前記本体ケース20にヒンジ40を介して回動可能に取付けられ、前記本体ケース20の上端面及び一側面の開口部26,28を開閉可能に覆う蓋体30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオリンやチェロ等の楽器を、狭い場所でも容易に出し入れすることができる楽器収容ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の楽器は所定のケースに収容されて持ち運びされている。楽器の中でも、弦が張られて一方向に長いバイオリンやチェロ等の楽器は、次のようなケースに収容されることが一般的である。
【0003】
すなわち、楽器の長手方向に沿って伸びる縦長箱状の本体ケースと、該ケースの長手方向に沿った一側辺にヒンジを介して開閉可能に取付けられた蓋体とを有するケースが広く用いられている。そして、本体ケースに対して、蓋体を横方向に開くことにより、本体ケースが開口して楽器を出し入れできるようになっている。
【0004】
上記の横開きのケースとして、例えば、下記特許文献1には、上部開口を有する本体ケース(箱体)と、該上部開口を覆う蓋体と、楽器の本体部側面形状に略合わせた形状の側壁を有する収納部が形成され、該箱体内に収容される緩衝材とを備えた楽器収納ケースであって、前記箱体内に収納された楽器の本体部側面に接近及び離反する方向に移動可能な、前記緩衝材の収納部側壁の一部である移動部を、該楽器の本体部側面に接近する方向に移動させる緩衝材移動装置を備えた楽器収納ケースが開示されている。この楽器収納ケースにおいても、前記本体ケースに対して蓋体を横開きした後、楽器が出し入れされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−220945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本体ケースに対して蓋体を横開きする態様のケースでは、次のような問題があった。すなわち、楽器奏者が演奏会場等において、楽器を取出す際には、縦長の本体ケースを適当な箇所に置いた後、蓋体を横開きする必要がある。しかし、演奏会場等は、他の楽器奏者や楽器等で狭いことが多い。そのため、本体ケースを置くのに適当なスペースを確保しにくく、取出しにくいことがあった。
【0007】
また、上記ケースには、通常、本体ケースに対して蓋体を閉じた状態に保持する止め具が設けられている。しかし、この止め具を掛け忘れた状態でケースを持ち上げたり、或いは、止め具が搬送途中で外れたりした場合、本体ケースに対して蓋体が大きく横開きして、本体ケースから楽器が落下してしまう虞れがあった。
【0008】
更に、上記ケースは、本体ケースに対して蓋体が大きく横開きし、本体ケースの開口部周縁に蓋体の周縁部が当接して閉じる構造となっている。しかし、このような開閉して互いに当接する周壁部分は比較的剛性が確保しにくいので、その部分で肉厚を厚くすることが多く、ケースの重量増加の原因となっていた。
【0009】
したがって、本発明の目的は、狭い場所であっても楽器を容易に出し入れすることができると共に、楽器の落下を抑制でき、しかも、軽量化を図ることができる楽器収容ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の楽器収容ケースは、一方向に長い楽器を収容する楽器収容ケースであって、その長手方向を上下にして設置した状態で、楽器を出し入れできるようにしたものにおいて、
上端面及び一部側面の上部が開口された有底筒状の本体ケースと、
前記本体ケースの上端面開口部に適合する天板及び前記本体ケースの一部側面開口部に適合する側板を有し、前記側板の下端部を前記本体ケースにヒンジを介して回動可能に取付けられ、前記本体ケースの上端面及び一部側面の開口部を開閉可能に覆う蓋体とを備えることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、一方向に長い楽器を収容する楽器収容ケースであって、その長手方向を上下にして設置した状態で、楽器を出し入れできるようにしたので、演奏会場などの狭い場所でも無理な体勢をとることなく、楽器を出し入れすることができる。
【0012】
また、本体ケースと蓋体との間に設けられる止め具を掛け忘れて楽器収容ケースを持ち上げたり、止め具が外力によって搬送途中で外れたりしたような場合でも、楽器が内部から落下する虞れを少なくすることができる。
【0013】
更に、本体ケースはその開口部より下方部分が筒状をなすため、強度・剛性を高めることができ、壁厚等を薄くしても充分な強度が得られるので、楽器収容ケースを軽量化することが可能となる。
【0014】
本発明の楽器収容ケースは、前記蓋体を開いて下方に回動させたとき、前記本体ケースの底部と前記蓋体の天板とがほぼ同一平面上に位置し、それぞれを着地させて設置することができるように構成されていることが好ましい。この態様によれば、蓋体を開いて下方に回動させたとき、本体ケースの底部と蓋体の天板とがほぼ同一平面上に位置し、それぞれを着地させて設置することができるようにしたので、楽器の出し入れの際に楽器収容ケースを安定して支持することができる。
【0015】
本発明の楽器収容ケースは、前記一部側面開口部から見たとき、前記蓋体と前記本体ケースとの合わせ目の両側を結ぶ、本体ケース水平方向に沿った幅は、下方に向かうほど狭くなる形状をなしていることが好ましい。この態様によれば、蓋体と本体ケースとの合わせ目の両側を結ぶ、本体ケース水平に沿った幅が、下方に向かうほど狭くなるように形成されているので、本体ケースの剛性をできるだけ高めることができると共に、楽器収容ケースを横向きにして把持するための取っ手を本体ケースの長さ方向のほぼ中央に取付ける際、取っ手取付部の強度を高めることができる。
【0016】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースは、一対の対向面が幅広でそれと直交する対向面が幅狭の形状をなし、前記一部側面の開口部は、一方の幅広の面と、それに隣接する両側の面とに亘って形成されていることが好ましい。この態様によれば、本体ケースの剛性を損なわずに、開口部をできるだけ広くとって、楽器の出し入れをしやすくすることができる。また、蓋体の側板が、本体ケースの上端面開口部と、本体ケースの幅広の面に形成された開口部と、それに隣接する両側の面に形成された開口部を覆う形状になるので、蓋体の剛性を高めることができる。
【0017】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースの幅広の対向面の両側部が仕切壁で連結され、前記本体ケースの内部の両側部に楽器付属品の収容部が形成されていることが好ましい。この態様によれば、例えば擦弦楽器などに本ケースを適用した場合、弓等の付属品を収容部に収容することができると共に、仕切壁によって本体ケースの剛性をより高めることができる。
【0018】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースの側面中央部に、楽器収容ケースを横向きにして把持するための取っ手が取付けられると共に、本体ケースの上下部分、又は、本体ケースの下部及び蓋体の上部に、前記本体ケースの長手方向を上下にして背負うための背負いバンドが取付けられていることが好ましい。この態様によれば、本体ケースの取っ手を持って楽器収容ケースを横向きにして保持できるだけでなく、背負いバンドを肩に掛けることによって楽器収容ケースを縦向きにして保持することもできる。また、楽器収容ケースを縦向きにして保持した場合には、蓋体の天板が上方に向くので、雨等が楽器収容ケース内部に入りにくくすることができる。
【0019】
本発明の楽器収容ケースは、炭素繊維の織布で補強された樹脂で形成されていることが好ましい。この態様によれば、軽量で剛性の高い楽器収容ケースを提供できる。
【0020】
本発明の楽器収容ケースは、前記楽器が、本体部と、この本体部から延出されたネックと、前記本体部の表側に配置された駒部と、この駒部を介して前記本体部及び前記ネックの表側に張設された弦と、前記本体部のネックと反対側の端部にエンドピンを介して取付けられたあご当てとを有する擦弦楽器からなり、前記本体ケースの底部内面に、前記エンドピン近傍を支持する第1保持部が設けられ、前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面と、前記蓋体の側板の内面とに、前記ネックを挟持する第2保持部が設けられ、前記楽器の塗装面が楽器収容ケース内面に接触する面積が、塗装面全体の10%以下とされていることが好ましい。この態様によれば、楽器を、エンドピン近傍を支持する第1保持部と、ネックを挟持する第2保持部とで保持し、楽器の塗装面がケース内面にできるだけ接触しないようにしたので、塗装面に傷が付いたり、クッション材の付着痕が付いたりする不都合を回避できる。
【0021】
本発明の楽器収容ケースは、前記第2保持部は、前記蓋体の側板内面に取付けられた、前記ネックの背面部を押える第1押え部材と、前記本体ケースの内面に取付けられ、前記ネックの表側に設けられた指板が当接する第2押え部材とからなり、前記指板が前記本体ケースの内面に対してほぼ平行に支持されるように構成されていることが好ましい。この態様によれば、第1押え部材でネックの背面部(塗装されていない部分)を押えると共に、第2押え部材で指板(傷や痕が付きにくい材質からなる部分)を押えることにより、塗装面に触らずに保持することができる。また、指板が本体ケースの内面に対してほぼ平行に支持されるようにすることにより、無駄な空間を少なくして、ケース内に擦弦楽器を効率よく収容できると共に、より安定して保持することができる。
【0022】
更に、楽器のネックの背面部が第1押え部材により押えられ、同ネックの表側の指板が第2押え部材に当接するので、ネック表側に張設された弦の表側が、第2押え部材に弾性的に当接することとなる。その結果、ケース外部から衝撃や振動等が作用しても、第2押え部材に当接した弦の弾性力によって、それらを吸収して楽器に悪影響を与えることが抑制される。
【0023】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面の、前記第1保持部と前記第2保持部との間には、前記擦弦楽器の駒部をケース内面に接触しないように配置させるための凹部が形成されていることが好ましい。この態様によれば、第1保持部及び第2保持部間に、擦弦楽器の駒部をケース内面に接触しないように配置させるための凹部が形成されているので、ケースに擦弦楽器を出し入れするときに、駒部をケース内面に接触しにくくすることができると共に、ケース収容時に、駒部がケース内面に接触しないように保持することができ、駒部を効果的に保護することができる。
【0024】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面の、前記第1保持部より上方には、下方に向かうほど前記本体ケースの内方に突出して、前記第1保持部に至る斜面が形成されていることが好ましい。この態様によれば、ケース内に擦弦楽器をエンドピン側から収容していくときに、同擦弦楽器のエンドピン側が上記斜面により案内されて徐々にケース内方へと移動し、本体部から延出した細いネック側がケース本体内面にほぼ沿って配置されると共に、エンドピン側がネック側よりケース内方側に持ち上げられた状態となり、ケース内に擦弦楽器をバランス良く安定した姿勢で収容保持することができる。
【0025】
本発明の楽器収容ケースは、前記蓋体を閉めるとき、前記第1押え部材が、前記楽器の本体部のエンドピンと反対側の縁部に背面側から当接して、該本体部を前記第1保持部に向けて押さえ付けるように構成されていることが好ましい。この態様によれば、楽器の本体部のエンドピン近傍が第1保持部で支持され、エンドピンと反対側の縁部が、第1押え部材で第1保持部に向けて押さえ付けられて保持されるようになっているので、楽器の本体部両端がしっかりと支持されて、ケース内において楽器をより安定して保持させることができる。
【0026】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面の両側に、弓の両側位置を規制するガイド壁部と、弓を前記内面に着脱可能に固定する固定具とからなる弓保持部が設けられ、前記ガイド壁部の少なくとも1つは、内部が空洞になっていて、そこに部品が収納できるように構成されていることが好ましい。この態様によれば、弓保持部により弓を保持することができると共に、ガイド壁部内部の空洞に、弦等の部品を収納することができるので、ケースの使用者の利便性を向上させることができる。
【0027】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースの少なくとも底部角部に、弾性樹脂からなる保護層が形成されていることが好ましい。この態様によれば、楽器収容ケースを落として、衝撃力が加わった場合等に、それを緩和してケースの破損を防止することができる。
【0028】
本発明の楽器収容ケースは、前記蓋体と前記本体ケースとの合わせ目は、前記本体ケースの上端面から前記幅狭の両側面に沿って下方に伸びた後、前記一方の幅広の面の中央部を水平に横切るような形状をなしていることが好ましい。この態様によれば、合わせ目は、本体ケースの上端面から幅狭の両側面に沿って下方に伸びた後、一方の幅広の面の中央部を水平に横切るような形状をなしているので、本体ケースから蓋体を開いたときの、開口部の開口面積を最大限に確保することができ、ケースに対する楽器の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0029】
本発明の楽器収容ケースは、前記本体ケースは、その上下端面側から見たとき、前記蓋体の側板と対向する壁部の両側角部が面取りされた形状をなしていることが好ましい。この態様によれば、本体ケースの、蓋体の側板と対向する壁部の両側角部が面取りされているので、本体ケース全体を細くスマートな形状として、軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、一方向に長い楽器を収容する楽器収容ケースであって、その長手方向を上下にして設置した状態で、楽器を出し入れできるようにしたので、演奏会場などの狭い場所でも無理な体勢をとることなく、楽器を出し入れすることができる。
【0031】
また、本体ケースと蓋体との間に設けられる止め具を掛け忘れて楽器収容ケースを持ち上げたり、止め具が外力によって搬送途中で外れたりしたような場合でも、楽器が内部から落下する虞れを少なくすることができる。
【0032】
更に、本体ケースはその開口部より下方部分が筒状をなすため、強度・剛性を高めることができ、壁厚等を薄くしても充分な強度が得られるので、楽器収容ケースを軽量化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の楽器収容ケースの一実施形態を示す斜視図である、
【図2】同楽器収容ケースにおいて、蓋体をほぼ90°下方に回動させて、開口部を半開きにした状態での斜視図である。
【図3】同楽器収容ケースにおいて、蓋体をほぼ180°下方に回動させて、開口部を完全に開いた状態での斜視図である。
【図4】同楽器収容ケースにおいて、蓋体をほぼ180°下方に回動させて、開口部を完全に開いた状態での側面図である。
【図5】同楽器収容ケースの合わせ目近傍における部分拡大説明図である。
【図6】同楽器収容ケースにおいて、蓋体が上方に回動させて、開口部を閉じた状態での断面斜視図である。
【図7】同楽器収容ケースにおいて、蓋体が上方に回動させて、開口部を閉じた状態での側面図である。
【図8】同楽器収容ケースに収容される楽器の一例を示す斜視図である。
【図9】同楽器収容ケースの持ち運び時の一例を示す説明図である。
【図10】本発明の楽器収容ケースの他の実施形態を示しており、(a)はその斜視図、(b)は平面図である。
【図11】同楽器収容ケースの底面図である。
【図12】同楽器収容ケースを透視した場合の要部斜視図である。
【図13】同楽器収容ケースを透視した場合の要部側面図である。
【図14】同楽器収容ケースの使用状態を示す斜視図である。
【図15】本発明の楽器収容ケースの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明の楽器収容ケースの一実施形態について説明する。
【0035】
この楽器収容ケースは、一方向に長い楽器を収容するもので、その長手方向を上下にして設置した状態で、楽器を出し入れできるようにしたものである。図1〜3に示すように、この楽器収容ケース10は、上端面及び一部側面の上部が開口された有底筒状の本体ケース20と、該本体ケース20にヒンジ40を介して回動可能に取付けられ、本体ケース20の上端面及び一部側面の開口部を開閉可能に覆う蓋体30とを備えている。なお、以下の説明において、「上方」、「下方」とは、図1〜4に示すように、本体ケース20の底部21を設置面に置いて、本体ケース20を長手方向に立てた状態(縦向きに置いた状態)にしたときにおける方向を意味している。
【0036】
また、この楽器収容ケース10に収容される一方向に長い楽器としては、例えば、バイオリン、チェロ、コントラバス等のいわゆる擦弦楽器や、ギター、琴、琵琶等のいわゆる撥弦楽器が挙げられる。この中でも図8に示すような、本体部2と、該本体部2の長手方向一側から延出されたネック3と、該ネック3の表面側及び本体部2の表面側に亘って所定長さで配設された指板4と、本体部2の表面側のほぼ中央に取付けられた駒部8と、該駒部8に支持されると共に、前記指板4の長手方向に沿って張設された複数の弦4aと、本体部2のネック3と反対側の端部にエンドピン5を介して取付けられたあご当て6とを有する、擦弦楽器であることが好ましい。擦弦楽器である楽器1は、スティック7a及び該スティック7aの長手方向に沿って平行に張設された弓毛7bからなる弓7(図2,3,5参照)を備えている。
【0037】
前記本体ケース20は、一方向に長く伸びる横長の板状をなし、その四隅が面取りされて横長八角形状とされた底部21と、該底部21の長手方向に沿った両側辺(長辺)の周縁から立設された前後一対の幅広壁22,23と、前記底部21の長手方向に直交する両側辺(短辺)の周縁から立設され、前記一対の幅広壁22,23に直交して配置された左右一対の幅狭壁24,25とを有している。一対の幅広壁22,23の幅方向両側部は、前記底部21の形状に対応して、幅狭壁24,25に向けて斜めに折曲された形状となっている(図2,3参照)。上記幅広壁22,23と、幅狭壁24,25とが、本発明における側面を構成している。また、以下に説明する実施形態では、本体ケース20の幅広壁23の内面が、本発明における「本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面」を意味している。
【0038】
上記構造の本体ケース20の上端面には、後述する蓋体30の天板31に適合する形状をなす上端面開口部26が形成されている。更に、一方の幅広壁22及び左右一対の幅狭壁24,25が所定形状に切欠かれて、本体ケース20の一部側面が開口して、一部側面開口部28が形成されている。この一部側面開口部28は、後述する蓋体30の側板33に適合する形状をなしている。
【0039】
すなわち、図2,3に示すように、前面側の幅広壁22の幅方向中央の上端面(言い換えると一部側面開口部28の下端縁)28aは、底部21に対して平行でかつ本体ケース20の高さのほぼ中間部に形成されている。また、一対の幅狭壁24,25の上方部分は、下方部分の半分の板幅とされ、蓋体30の側板33に適合する半割り状をなし、それらの内側端面28b,28bが、長手方向に沿って平行に形成されている。更に、上端面28aの両端及び各内側端面28b,28bの下端は、一部側面開口部28の開口幅を底部21に向かって次第に狭くするように、斜めに形成された斜め端面28c,28cによりそれぞれ連結されている。各斜め端面28cは、幅広壁22及び両幅狭壁24,25に亘って形成されている。そして、これらの上端面28a、内側端面28b,28b、及び斜め端面28c,28cで囲まれた本体ケース20の内側部分が、本発明における一部側面開口部28をなしている。
【0040】
以上のように、この実施形態における本体ケース20は、一対の対向面(幅広壁22,23)が幅広でそれと直交する対向面(幅狭壁24,25)が幅狭の、全体としてフラットな形状をなしていると共に、一部側面開口部28は、一方の幅広の面(幅広壁22)と、それに隣接する両側の面(幅狭壁24,25)とに亘って形成されている。ここで全体としてフラットな形状をなしているとは、平面的に見て一方向に細長く伸びると共に平べったい形状をなすことを意味しており、例えば、底部を、横長の四角形状や、長径及び短径を有する楕円形状にし、それに対応した形状で幅広壁及び幅狭壁を長く延設させた構造等を意味している。
【0041】
一方、この実施形態における蓋体30は、本体ケース20の上端面開口部26に適合する天板31と、同本体ケース20の一部側面開口部28に適合して半割り形状をなす側板33とを有している。天板31は、本体ケース20の底部21と同一形状の横長八角形状をなしており、この天板31の長辺及びそれに隣接する両短辺の中間部に至る周縁から側板33が延設されている(図3参照)。そして、図1に示すように、蓋体30を上方に回動させて、本体ケース20の両開口部26,28を閉じたとき、側板33の前方部分が、本体ケース20の幅広壁22に対して、段差がなく平滑な同一面となるように形成され、同側板33の両側部分も、左右の両幅狭壁24,25に対して段差なく平滑な同一面となるように形成されている。
【0042】
側板33の幅方向中央の下端面33aは、天板31に対して平行に形成され、同側板33の両側の内側端面33b,33bは、長手方向に沿って平行に形成され、更に、下端面33aの両端及び各内側端面33b,33bは、斜め端面33cにより連結されている。また、図1に示すように、前記幅広壁22の表面側の上端面28a周縁、及び、前記側板33の表面側の下端面33a周縁には、所定間隔を設けて2組のヒンジ40,40がそれぞれ固設されている。その結果、本体ケース20に対して蓋体30が上下方向に回動可能に取付けられるようになっている。なお、ヒンジ40は、蓋体30を上方に回動させて開口部を閉じたときに外部から見えないように、本体ケース20及び蓋体30の裏側に配置してもよく、その構造も特に限定されるものではない。
【0043】
そして、蓋体30を上方に回動させると、本体ケース20の上端面28a、両内側端面28b,28b、斜め端面28c,28cに、蓋体30の下端面33a、両内側端面33b,33b、斜め端面33c,33cがそれぞれ当接して、両開口部26,28が閉塞される。このとき、一部側面開口部28の各端面と側板33の各端面とが互いに当接してなる合わせ目41(図1参照)は、下方に向かうほど一部側面開口部28及び側板33の幅が狭くなる形状をなしている。言い換えると、一部側面開口部28から見たとき、蓋体30と本体ケース20との合わせ目41の両側を結ぶ、本体ケース水平方向に沿った幅は、下方に向かうほど狭くなる形状をなしている。
【0044】
一方、蓋体30を下方に回動させると、本体ケース20の両開口部26,28が開くようになっている。このとき、この実施形態では、蓋体30を開いて下方に回動させたとき、本体ケース20の底部21と蓋体30の天板31とがほぼ同一平面上に位置し、それぞれを着地させて設置することができるように構成されている(図3,4参照)。
【0045】
これについて図4の楽器収容ケース10の側面図を併せて参照すると、この実施形態においては、本体ケース20の底部21から幅広壁22の上端面28aまでの長さL1と、蓋体30の天板31から側板33の下端面33aまでの長さL2とを同じ長さとすること、すなわち、楽器収容ケース10の長手方向の開閉する一部側面を均等な長さで2分割した構造とすることにより、ヒンジ40を介して蓋体30が下方に回動したときに、底部21と蓋体30の天板31とがほぼ同一平面上に位置するようになっている。
【0046】
ただし、上記L1を本体ケースの高さLの半分よりも長くし、上記L2を本体ケースの高さLの半分よりも短くして、高さ方向における開口部の長さを短くしてもよく、その場合には、蓋体30を下方に回動させたとき、蓋体30の天板31を着地させることができないので、蓋体30を開いたときの楽器収容ケース10の安定性がやや損なわれるが、本体ケース20の強度を高めることができるというメリットがある。
【0047】
また、図4に示すように、前記合わせ目41を構成する各端面のうち、本体ケース20における底部21に対する斜め端面28cの角度θ、及び、蓋体30における天板31に対する斜め端面33cの角度θは、0〜75°であることが好ましく、45〜70℃であることがより好ましい。上記角度θが小さいほど開口部28が大きくなるので、楽器を取出しやすくなるが、本体ケース20の強度が低下する傾向がある。逆に上記角度θが大きいほど、本体ケース20の強度は向上するが、楽器を取出しにくくなる。なお、斜め端面28c,33cの角度を規定する線分は、各斜め端面の内側端面に対する連結部及び上下端面に対する連結部(共に黒丸●で示す)を結ぶ線分を意味する。斜め端面28c,33cは、図4の部分拡大図において想像線で示すように、水平面と垂直面を繰り返すジグザグ面であってもよいし、円弧状等に屈曲した面を含んでいてもよい。
【0048】
ところで、上述したように、蓋体30を上方に回動させて開口部を閉じると、本体ケース20及び蓋体30の各端面がそれぞれ当接して、合わせ目41をなすように構成されているが、この合わせ目41には次の部材が装着されていることが好ましい。すなわち、図5は、一例として、本体ケース20の幅狭壁24,25の内側端面28b,28bと、蓋体30の内側端面33bとの合わせ目を平面断面にして見た図であるが、それぞれの端面にエラストマーやゴム等からなる弾性部材41a、41bが装着されている。そして、本体ケース20の内側端面28b,28bに装着された弾性部材41aの当接面は凹んでおり、蓋体30の内側端面33bに装着された弾性部材41bの当接面は、弾性部材41aの凹み部分に適合する凸状をなしている。このような弾性部材41a、41bが、前記合わせ目41の全周に形成されている。なお、この実施形態では、図1〜4及び図6,7では便宜上、弾性部材41a,41bを省略している。
【0049】
したがって、蓋体30を上方に回動させると、弾性部材41aの凹み部分に弾性部材41bの凸部分が弾性的に嵌合し、合わせ目41が密接した状態で、本体ケース20の両開口部26,28が閉塞されるようになっている。このように、2つの弾性部材41a,41bにより合わせ目41が密接した状態で、蓋体30が閉じられるので、開口部26,26の密閉性をより向上させることができ、外部からの水分等の侵入を防止できるようになっている。なお、弾性部材41a,41bの凹凸は逆であってよく、更に弾性部材の形状は図5に示すものに限定されるものでもなく、他の構造を採用することもできる。
【0050】
また、上記本体ケース20及び蓋体30には、蓋体30を上方に回動させて開口部を閉じたときに、蓋体30を閉じた状態にロックする止め具43が設けられている。この実施形態では、楽器収容ケース10の、長手方向上方の両側の合わせ目41,41に、雌雄嵌合する止め具43,43がそれぞれ取付けられている(図1〜3及び図6参照)。各止め具43は、本体ケース20の内側端面28bの上方周縁に固設され、段部を有する第1金具43aと、蓋体30の内側端面33bの上方周縁に固設され、第1金具43aの段部に嵌合する舌片を有する第2金具43bとからなっている。
【0051】
更に、本体ケース20の幅狭壁25の長手方向中央部には、楽器収容ケース10を横向きにして把持するための取っ手44が取付けられている。それと共に、本体ケース20の幅広壁22の下部、及び、蓋体30の側板33の上部に、本体ケース20の長手方向を上下にして背負うための背負いバンド45が取付けられている。図1に示すように、この実施形態では、側板33の左右幅方向の一側(図中右側)に、背負いバンド45の上端が連結され、幅広壁22の幅方向他側(図中右側)に、同背負いバンド45の下端が連結され、楽器収容ケース10の上下方向に沿って斜めに背負いバンド45が設けられている。なお、背負いバンド45は、本体ケース20の背面側の幅広壁23(幅広壁22の反対側)の上下部分に斜めに配設してもよく、特に限定されるものではない。
【0052】
図2,3に示すように、本体ケース20における幅広の対向面の両側部が仕切壁47,47で連結されており、本体ケース20の内部の両側部に、楽器付属品である前記弓7の収容部48,48が形成されている。すなわち、本体ケース20の幅広壁22,23の幅方向両側部が、板状の仕切壁47,47でそれぞれ連結されていて、左右一対の収容部48,48が形成されている。各仕切壁47の上端の一部側面開口部28側は、斜めにカットされた形状をなしている。
【0053】
上記収容部48に関連して、本体ケース20の両幅狭壁24,25の上方内側面には、収容部48に収容される弓7を、ケース内面に着脱可能に固定するための、固定具49が配設されている。図2,3,6,7を参照すると、この固定具49は、各幅狭壁24,25の内側面に固設された板状の基部49aと、該基部49aに対して回転可能に取付けられた板状の回転引掛部49bとからなる(図6参照)。そして、常時は基部49aに対して回転引掛部49bを同じ向きに回転させておき、収容部48に収容された弓7を保持する際には、弓7のスティック7aと弓毛7bとの間に回転引掛部49bを挿入した後、同回転引掛部49bを基部49aに対して90°回転させることにより、弓7を保持固定できるようになっている(図7参照)。
【0054】
上記本体ケース20及び蓋体30は、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ナイロン、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂等で形成することができる。この場合、補強繊維で強化された樹脂で形成することが好ましく、炭素繊維からなる織布で補強された樹脂で形成することがより好ましい。上記のような繊維強化樹脂を用いることにより、軽量で剛性の高い楽器収容ケース10を提供することができる。
【0055】
上記構造をなした楽器収容ケース10には、前述したように、図8に示す本体部2、ネック3、指板4、駒部8、あご当て6等を有する擦弦楽器である楽器1を、好ましく収容することができるようになっている。このような楽器1には、音響特性を改善したり、湿気から保護したりすることを目的として、ニスやポリウレタン等の塗料が多重に塗られている。このような塗料は、完全に乾くのに少なくとも数ヶ月は必要とされており、それまでの間、塗装面に他の部材が接触しないように収容することが望まれる。
【0056】
上記問題を解決するため、この実施形態の楽器収容ケース10においては、次の構造を採用している。すなわち、図2,3,6,7に示すように、本体ケース20の底部21の内面中央に、楽器1のエンドピン近傍を第1保持部50が設けられている。この第1保持部50の上面には、楽器1のエンドピン5が入り込む凹部50aが形成され(図6参照)、図7に示すように、楽器1のエンドピン5近傍が第1保持部50に支持されるようになっている。
【0057】
更に図6に示すように、本体ケース20における蓋体30の側板33と対向する内面と、蓋体30の側板33の内面とに、楽器1のネック3を挟持する第2保持部52が設けられている。この第2保持部52は、蓋体30の側板33の内面に取付けられた、楽器1のネック3の背面部を押える第1押え部材53と、本体ケース20の内面に取付けられ、楽器1のネック3の表側に設けられた指板4が当接する第2押え部材54とからなり、指板4が本体ケース20の内面に対してほぼ平行に支持されるように構成されている。前記第1押え部材53は、蓋体30の側板33の、下端側の幅方向中央の内面に固設されており、その突出端面にはネック3の形状に対応した押え凹部53a(図6参照)が形成されている。更に、前記第2押え部材54は、前記本体ケース20の幅広壁23の幅方向中央に、長手方向に沿って延設された板状をなしている(図6参照)。
【0058】
そして、楽器1は、その底部が第1保持部50に支持されると共に、ネック3が第1押え部材53及び第2押え部材54からなる第2保持部52により挟持され、楽器1の塗装面が楽器収容ケース10の内面に接触する面積が、塗装面全体の好ましくは10%以下、より好ましくは3%以下となるように、楽器収容ケース10内に楽器1が収容保持されるようになっている(図7参照)。また、各保持部50,52は、発泡ポリウレタン等の柔軟でクッション性を有する材料で形成されている。
【0059】
次に、上記構造からなる本発明の楽器収容ケース10の使用方法及び作用効果について説明する。
【0060】
楽器1を楽器収容ケース10内に収容する際には、本体ケース20の底部21を所定箇所に設置して、ケース長手方向を上下にした状態で、蓋体30を下方に回動させて、上端面開口部26及び一部側面開口部28を開く(図2,3参照)。
【0061】
そして、楽器1の付属品である弓7を、本体ケース20の両側部に仕切壁47に画成された各収容部48,48に挿入し、固定具49の回転引掛部49bを、弓7のスティック7aと弓毛7bとの間に挿入後、同回転引掛部49bを基部49aに対して90°回転させて弓7を保持固定する(図7参照)。このように、仕切壁47により画成された各収容部48に、バイオリン等の擦弦楽器の付属品である弓7等を収容することができるので、持ち運び時の利便性を高めることができると共に、同仕切壁47によって本体ケース20の剛性をより高めることができる。
【0062】
その後、開口した両開口部26,28から、楽器1を、その底部側から本体ケース20内に挿入していき、楽器1底部のエンドピン5を凹部50aに挿入して、エンドピン近傍を第1保持部50に支持させる。それと共に、楽器1の指板4を板状の第2押え部材54に当接させ、同第2押え部材54の上方に設けられた固定糸T(図6参照)で、指板4及びネック3外周を軽く縛って、ネック3を仮固定する。
【0063】
次いで、蓋体30を上方に回動させて、図5に示す本体ケース20及び蓋体30の各端面に装着された弾性部材41a,41bを互いに嵌合させて、本体ケース20の各端面28a,28b,28cに、蓋体30の各端面33a,33b,33cをそれぞれ間接的に当接させることにより、合わせ目41を閉じて両開口部26,28を閉塞する。このとき、蓋体30の側板33の内面中央に設けた、第1押え部材53の押え凹部53aが楽器1のネック3の背面部に当接して押えられ、ネック3の表面側の指板4を押える前記第2押え部材54と相まって、ネック3が第2保持部52により挟持される。こうして、図7に示すように、第1保持部50及び第2保持部52により、楽器収容ケース10内に楽器1が収容保持される。このとき、この実施形態では、楽器1の塗装面が楽器収容ケース10内面に接触する面積が、塗装面全体の10%以下とされている。
【0064】
その結果、楽器1を、エンドピン5を嵌合させて支持する第1保持部50と、ネック3を挟持する第2保持部52とで保持し、楽器1の塗装面がケース内面にできるだけ接触しないようにしたので、塗装面に傷が付いたり、クッション材の付着痕が付いたりする不都合を回避することができる。
【0065】
また、前記第2保持部52は、ネック3の背面部を押える第1押え部材53と、ネック3表側の指板4が当接する第2押え部材54とからなり、該指板4が本体ケース20の内面に対してほぼ平行に支持されるように構成されているので、第1押え部材53でネック3の背面部(塗装されていない部分)を押えると共に、第2押え部材54で指板4(傷や痕が付きにくい材質からなる部分)を押えることにより、塗装面に触らずに保持することができる。また、指板4が本体ケース20の内面に対してほぼ平行に支持されるようにすることにより、無駄な空間を少なくして、楽器収容ケース10内に楽器1を効率よく収容できると共に、より安定して保持することができる。
【0066】
更に図7に示すように、ケース内に楽器1が収容保持された状態では、楽器1のネック3の背面部が第1押え部材53により押えられ、同ネック3の表側の指板4が第2押え部材54に当接するので、ネック表側に張設された弦4aの表側が、第2押え部材54に弾性的に当接するようになっている。そのため、例えば、ケース外部から衝撃や振動等が作用しても、第2押え部材54に弾性的に当接した弦4aの弾性力によって、それらが吸収されるので、楽器1の本体部2等に悪影響を与えることを最大限抑制することができる。
【0067】
また、この実施形態における楽器収容ケース10は、一対の対向面(幅広壁22,23)が幅広でそれと直交する対向面(幅狭壁24,25)が幅狭の、全体としてフラットな形状をなしていると共に、一部側面開口部28は、一方の幅広の面(幅広壁22)と、それに隣接する両側の面(幅狭壁24,25)とに亘って形成されている。その結果、本体ケース20の剛性を損なわずに、両開口部26,28の開口幅をできるだけ広くとって、楽器1の出し入れをしやすくすることができる。また、蓋体30の側板33が、本体ケース20の上端面開口部26と、本体ケース20の幅広の面に形成された開口部及びそれに隣接する両側の面に形成された開口部(すなわち一部側面開口部28)とを覆う形状になるので、蓋体30の剛性を高めることができる。
【0068】
更に、この実施形態の楽器収容ケース10において、本体ケース20の一部側面開口部28と蓋体30の側板33との合わせ目41は、下方に向かうほど一部側面開口部28及び側板33の幅が狭くなるような形状をなしている(図2,3参照)。すなわち、一部側面開口部28から見たとき、蓋体30と前記本体ケース20との合わせ目41の両側を結ぶ、本体ケース水平方向に沿った幅は、下方に向かうほど狭くなる形状をなしている。このように本体ケース20の一部側面開口部28の幅が、下方に向かうほど狭くなるように形成されているので、本体ケース20の剛性をできるだけ高めることができると共に、楽器収容ケース10を横向きにして把持するための取っ手44を、本体ケース20の長さ方向のほぼ中央に取付ける際、取っ手取付部の強度を高めることができる。
【0069】
以上のように、蓋体30を上方に回動させて、両開口部26,28を閉じた後、本体ケース20側の第1金具43aと、蓋体30側の第2金具43bとを互いに嵌合させて、止め具43により蓋体30を閉じた状態にロックする。その結果、本体ケース20に対して蓋体30が開かないように保持されるので、取っ手44を把持して、楽器収容ケース10を横向きにした状態で持ち運ぶことができる。或いは、図9に示すように、背負いバンド45をたすき掛けのように肩に引き掛けて、楽器収容ケース10を長手方向を上下にして背負った状態で持ち運んだりすることができる。
【0070】
このように、この楽器収容ケース10では、本体ケース20の取っ手44を持って、楽器収容ケース10を横向きにして保持できるだけでなく、背負いバンド45を肩に掛けることによって、楽器収容ケース10を縦向きにして保持することもでき、2つの持ち運び方法を適宜用いることができるので、使用者の利便性を向上させることができる。楽器収容ケース10を縦向きにして保持した場合には、蓋体30の天板31が上方に向くので、雨等が楽器収容ケース内部に入りにくくすることができる。
【0071】
そして、楽器収容ケース10から楽器1を取り出す際には、まず、本体ケース20の底部21を所定箇所に設置する。その後、前記止め具43のロックを解除して、蓋体30を下方に回動させて縦方向に開く。その結果、図2,3に示すように、本体ケース20の両開口部26,28が開くと共に、本体ケース20の底部21と蓋体30の天板31とを、それぞれ着地させて設置することができる(図3,4参照)。
【0072】
したがって、この状態で、固定糸Tを解いた後、楽器1のネック3や本体部2の上方を把持して、上方に持ち上げることにより、本体ケース20内から楽器1を抜き出すことができる。また、演奏終了後、楽器1をケース10内に収容するときは、前述したように楽器1の底部から収容する。
【0073】
このように、この楽器収容ケース10においては、ケース長手方向を上下にして設置した状態で、楽器1を出し入れできるようにしたので、演奏会場などの狭い場所でも無理な体勢をとることなく、楽器1を出し入れすることができる。また、本体ケースの底部と蓋体の天板とを、それぞれを着地させて設置することができるようにしたので、楽器1の出し入れの際に楽器収容ケース10を安定して支持することができる。
【0074】
更に、この楽器収容ケース10においては、上述したように本体ケース20の両開口部26,28に対して、蓋体30を縦開きできるように構成したので、前記止め具43を掛け忘れて蓋体30を閉じた状態にロックしない状態で、楽器収容ケース10を持ち上げたり、或いは、止め具43が外力によって搬送途中で外れたりしたような場合でも、楽器1が内部から落下する虞れを少なくすることができる。
【0075】
更に、本体ケース20はその開口部より下方部分が筒状をなすため、強度・剛性を高めることができ、壁厚等を薄くしても充分な強度が得られるので、楽器収容ケース10を軽量化することが可能となる。
【0076】
なお、この楽器収容ケース10は、前述したように、ケース長手方向を上下にして設置した状態で、楽器1を出し入れできるようにしたことを特徴にしているが、スペースが広くとれるところでは、楽器収容ケース10を横に寝かせた状態で、蓋体30を開いて楽器1を出し入れしてもよいことは勿論であり、楽器収容ケース10を横に寝かせた状態で楽器1を出し入れする方が、より安定させて作業を行うことができる。
【0077】
図10〜14には、本発明の楽器収容ケースの他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0078】
この実施形態の楽器収容ケース10aは、前記実施形態と同様に、有底筒状の本体ケース20aと、同本体ケース20aにヒンジ40を介して回動可能に取付けられた蓋体30aとを有している。
【0079】
前記実施形態の楽器収容ケース10は、横断面が略横長八角形状の細長ケース状をなしていたが、この実施形態の楽器収容ケース10aは、横断面が略長方形状の細長ケース状をなしている。更に詳しくは、図10(b)及び図11に示すように、この本体ケース20aは、その上下端面側から見たとき、幅広壁23(蓋体30aの側板33と対向する壁部)の両側角部23a,23aが、所定角度で面取りされた形状となっている。このように、本体ケース20aの幅広壁23の両側角部23a,23aが面取りされているので、本体ケース20a全体を細くスマートな形状として、軽量化及びコンパクト化を図ることができる。一方、本体ケース20aの幅広壁22(蓋体30aの側板33側の壁部)の両側角部22a,22a、及び、蓋体30aの側板33の両側角部33d,33dは、丸みを帯びた円弧状をなしている。
【0080】
また、蓋体30aと本体ケース20aとの合わせ目41は、本体ケース20aの上端面から、幅狭の両側面に沿って下方に伸びた後、一方の幅広の面の中央部を水平に横切るような形状をなしている。すなわち、この合わせ目41は、本体ケース20aの上端面から、両幅狭壁24,25の幅方向中間部に沿って下方(底部21側)に伸び、本体ケース20aの高さ方向中間部の手前側から、一方の幅広壁22に向けてテーパ状に立ち上がり、本体ケース20aの高さ方向中間部を水平(底部21と平行)に横切る形状をなしている(図10(a)参照)。このような合わせ目41とすることにより、本体ケース20aから蓋体30aを開いたときの、開口部の開口面積を最大限に確保することができ、楽器収容ケース10aに対する楽器1の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0081】
また、前記実施形態の図5と同様に、本体ケース20aの端面及び蓋体30aの端面の両者には、それぞれエラストマーやゴム等からなる弾性部材41c,41cが装着されており(図14参照)、本体ケース20aの一部側面開口部28を蓋体30aで閉じたときに、その合せ目41が密接して、防水性が向上するようになっている。
【0082】
更に、図11に示すように、本体ケース20aの少なくとも底部角部には、ウレタン樹脂や、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の弾性樹脂からなる保護層70が形成されている。ここでは、底部21外周に弾性樹脂からなる枠体71が装着され、この角部から底部21の中央に向けて保護層70が延設されて、底部21の各角部が保護されるようになっている。また、図10(a),(b)に示すように、蓋体30aの天板31外周にも、枠体71が装着され、その角部から延設された保護層70により、天板31の各角部が保護されている。このような保護層70を設けることにより、楽器収容ケース10aを落下したり、何かがぶつかる等したりして、衝撃力が加わった場合に、それを緩和して楽器収容ケース10aの破損を防止することができる。
【0083】
図11に示すように、本体ケース20aの底部21の外面からは、複数の突部21aが、前記保護層70及び枠体71の厚さよりも高く突設されている。これによれば、楽器収容ケース10aを床等に縦向きに置いたときに(前記実施形態の図1〜3参照)、楽器収容ケース10aを安定して立設させることができると共に、本体ケース20aの底部21を床等から浮かせることが可能なため、底部21が汚れるのを抑制することができるようになっている。
【0084】
また、図10(a),(b)に示すように、蓋体30aの天板31の中央には、引出し式の取っ手32が取付けられており、楽器収容ケース10aを縦向きで把持可能となっている。更に、蓋体30aと本体ケース20aとの合わせ目41には、前記実施形態と同様な止め具43、43が設けられている。
【0085】
一方、この実施形態の楽器収容ケース10aの内部構造は、次のような構造となっている。
【0086】
図12及び図13に示すように、本体ケース20aの底部21の内面であって、幅広壁22,23の幅方向中央には、楽器1のエンドピン5近傍を支持する第1保持部51が設けられている。この第1保持部51の幅広壁23側の端部からは、同幅広壁23に沿って、第1保持部51よりも上方となるように、延長部51aが延設され、この延長部51aの内面に、下方の底部21に向かうほど、本体ケース20aの内方に突出して、第1保持部51に至る斜面51bが形成されている。すなわち、本体ケース20aの幅広壁23の内面(蓋体30aの側板33と対向する内面)であって、第1保持部51より上方には、下方に向かうほど、本体ケース20aの内方に突出して、第1保持部51に至る斜面51bが形成されている。また、第1保持部51の幅広壁22側の端部から、リブ状の係合部51cが突設されており、楽器1のエンドピン5の裏側に係合する部分となっている(図13参照)。
【0087】
また、楽器1のネック3を挟持する第2保持部52は、蓋体30aの側板33の内面に取付けられた第1押え部材53bと、本体ケース20aの、蓋体30aの側板33と対向する内面に取付けられた第2押え部材54aとからなる。
【0088】
この実施形態における第2押え部材54aは、本体ケース20aの幅広壁23の幅方向中央に、前記第1保持部51及び延長部51aと同一幅で板状に伸び、前記延長部51aよりも上方に、凹部56を介して配置固定されている。すなわち、本体ケース20aの幅広壁23の内面の、第1保持部51と第2保持部52との間に凹部56が形成されている。この凹部56により、ケースに擦弦楽器を出し入れするとき、或いは、ケース内に擦弦楽器を収容保持したときに、その駒部8がケース内面に接触しないようになっている。また、第2押え部材54の下方側端面は、テーパ面54bをなしており、駒部8のケース内面への接触防止効果が高められている。
【0089】
更に、第2押え部材54aの上記テーパ面54b近傍であって、ケース内方側の面には、一対のネック保持部55,55が突設されている。これら一対のネック保持部55,55が、ケース収容時における楽器1のネック3の両側部を保持して、ネック3の横ずれ等を防止できるようになっている。なお、各ネック保持部55の内面はテーパ状をなし、一対のネック保持部55,55内にネック3を受け入れやすくなっている。
【0090】
一方、この実施形態における第1押え部材53bは、図14に示すように、その基部が蓋体30aの側板33の幅方向両側に固定されていると共に、ケース内方に向けて所定高さで突出し、その突出端部にネック形状に対応した押え凹部53aが形成され、同押え凹部53aの両側は、円弧状に丸みを帯びた肩部53d,53dをなしている。この第1押え部材54aは、蓋体30aを閉めるときに、楽器1の本体部2のエンドピン5と反対側の縁部に背面側から当接して、該本体部2を第1保持部51に向けて押さえ付けるようにするものである。
【0091】
図12に示すように、本体ケース20aの幅広壁23の内面の両側部には、弓7の両側位置を規制するガイド壁部60が取付けられている。各ガイド壁部60は、内部が空洞61となった角柱状をなしており、前記第1保持部51から第2保持部52の下端を少し超えた位置に至るまで伸びている。各ガイド壁部60の下端と、前記第1保持部51の両側部との間には、ケース内方側に突部を設けた弓支持部62,62が配置されている。
【0092】
また、前述した板状の第2押え部材54の上端部両側には、ケース内方側に向けて開口した凹部が形成された弓支持部63,63が取付けられている。これらの弓支持部63,63よりも下方側には、弓7をケース内面に着脱可能に固定するために、前記実施形態と同様の固定具49が取付けられている。この固定具49及び上記ガイド壁部60により、本発明における弓保持部が構成されている。
【0093】
次に、上記実施形態の楽器収容ケース10aの作用効果について説明する。
【0094】
すなわち、本体ケース20aに対して蓋体30aを開いて、ケース内に楽器1をその背面を開口部側に向けてその本体部2側から挿入していくと、第1保持部51よりも上方に設けた斜面51bにより、楽器1のエンドピン5側が案内されて、徐々にケース内方へと移動していき、第1保持部51にエンドピン5が当接するまで押し込むと、図13に示すように、斜面51bに沿って楽器1のエンドピン5側が持ち上げられた状態で、エンドピン5近傍が第1保持部51に支持される。それと共に、楽器1のネック3を、第2押え部材54a上の一対のネック保持部55,55内に挿入して、同楽器1の指板4を板状の第2押え部材54aに当接させる。このように、この実施形態においては、上記のような斜面51bを設けたことにより、本体部2から延出した細いネック3側がケース本体内面にほぼ沿って配置されると共に、エンドピン5側がネック3側よりケース内方側に持ち上げられた状態となり、ケース内に楽器1をバランス良く安定した姿勢で収容保持することができる。また、上記状態では、リブ状の係合部51cが、楽器1のエンドピン5の裏側に係合して、楽器1の浮き上がりが防止されるようになっている(図13参照)。
【0095】
また、図12に示すように、弓保持部内に弓7を挿入して、その下端部を弓支持部62に突き当たるまで挿入すると共に、同弓7のスティック7aの上端部を弓支持部63の凹部に嵌入し、その後、固定具49の回転引掛部49bを基部49aに対して90°回転させることにより、弓保持部内に弓7を保持することができる。なお、弓保持部を構成するガイド壁部60の空洞61内には、弓7の予備の弦等の部品を収容することができるので、利便性がよい。
【0096】
その後、図14に示すように蓋体30aを閉じると、第1押え部材53bの押え凹部53a内に、楽器1のネック3が入り込むと共に、同第1押え部材53bの両肩部53d,53dが、楽器1の本体部2の、エンドピン5と反対側の縁部に背面側から当接して、本体部2が第1保持部50に向けて押し込まれて、第1押え部材53b及び第2押え部材54aによりネック3が挟持された状態で、本体ケース20aの開口部が閉塞されて、ケース内に楽器1が収容保持される(図13参照)。
【0097】
このように、エンドピン5と反対側の縁部が、第1押え部材53bで第1保持部51に向けて押されて挿入されるようになっているので、ケース10内に楽器1を容易かつ確実に挿入することができる。
【0098】
そして、この実施形態では、第1保持部51及び第2保持部52の間に、楽器1の駒部8をケース内面に接触しないように配置させるための凹部56が形成されていることにより、ケース内に楽器1を収容保持した状態では、凹部56内に駒部8が位置することによって、駒部8をケース内面に接触しないように保持することができる(図13参照)。また、この凹部56を設けたことにより、楽器収容ケース10aから楽器1を出し入れするときにも、駒部8をケース内面に接触しにくくすることができる。このように、凹部56を設けたことにより、ケース内に楽器1を収容したときや、ケース内に楽器1を出し入れするときに、駒部8がケース内部に強く接触することを防止して、駒部8を効果的に保護することができる。
【0099】
図15には、本発明の楽器収容ケースの更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0100】
この実施形態の楽器収容ケース10bは、蓋体30bの側板34が、本体ケース20bの開口部に向けて近接して、楽器収容ケース10bの厚さを部分的に減少させるような形状をなしている。すなわち、この蓋体30bの側板34は、本体ケース20bの上端面から下方に向けて、幅狭の両側面に沿って、一方の幅広面に平行に伸びるフラット面34aと、同フラット面34aから他方の幅広面に向けて斜めに伸びるテーパ面34bとからなっている。この形態では、楽器収容ケース10bを、より細くスマートに形成して、更なる軽量化及びコンパクト化を達成することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 楽器
2 本体部
3 ネック
4 指板
4a 弦
5 エンドピン
7 弓
7a スティック
7b 弓毛
8 駒部
10,10a,10b 楽器収容ケース
20,20a,20b 本体ケース
21 底部
21a 突部
22,23 幅広壁
22a,22a 両側角部
23a,23a 両側角部
24,25 幅狭壁
26 上端面開口部
28 一部側面開口部
28a 上端面
28b 内側端面
28c 斜め端面
30,30a,30b 蓋体
31 天板
32 取っ手
33 側板
33a 下端面
33b 内側端面
33c 斜め端面
33d,33d 両側角部
40 ヒンジ
41 合わせ目
41a,41b,41c 弾性部材
43 止め具
43a 第1金具
43b 第2金具
44 取っ手
45 背負いバンド
47 仕切壁
48 収容部
49 固定具
49a 基部
49b 回転引掛部
50,51 第1保持部
50a 凹部
51a 延長部
51b 斜面
51c 係合部
52 第2保持部
53,53b 第1押え部材
53a 押え凹部
53d 肩部
54,54a 第2押え部材
54b テーパ面
55 ネック保持部
56 凹部
60 ガイド壁部
61 空洞
62 弓支持部
63 弓支持部
T 固定糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長い楽器を収容する楽器収容ケースであって、その長手方向を上下にして設置した状態で、楽器を出し入れできるようにしたものにおいて、
上端面及び一部側面の上部が開口された有底筒状の本体ケースと、
前記本体ケースの上端面開口部に適合する天板及び前記本体ケースの一部側面開口部に適合する側板を有し、前記側板の下端部を前記本体ケースにヒンジを介して回動可能に取付けられ、前記本体ケースの上端面及び一部側面の開口部を開閉可能に覆う蓋体とを備えることを特徴とする楽器収容ケース。
【請求項2】
前記蓋体を開いて下方に回動させたとき、前記本体ケースの底部と前記蓋体の天板とがほぼ同一平面上に位置し、それぞれを着地させて設置することができるように構成されている請求項1記載の楽器収容ケース。
【請求項3】
前記一部側面開口部から見たとき、前記蓋体と前記本体ケースとの合わせ目の両側を結ぶ、本体ケース水平方向に沿った幅は、下方に向かうほど狭くなる形状をなしている請求項1又は2記載の楽器収容ケース。
【請求項4】
前記本体ケースは、一対の対向面が幅広でそれと直交する対向面が幅狭の形状をなし、前記一部側面の開口部は、一方の幅広の面と、それに隣接する両側の面とに亘って形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。
【請求項5】
前記本体ケースの幅広の対向面の両側部が仕切壁で連結され、前記本体ケースの内部の両側部に楽器付属品の収容部が形成されている請求項4記載の楽器収容ケース。
【請求項6】
前記本体ケースの側面中央部に、楽器収容ケースを横向きにして把持するための取っ手が取付けられると共に、本体ケースの上下部分、又は、本体ケースの下部及び蓋体の上部に、前記本体ケースの長手方向を上下にして背負うための背負いバンドが取付けられている請求項1〜5のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。
【請求項7】
炭素繊維の織布で補強された樹脂で形成されている請求項1〜6のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。
【請求項8】
前記楽器が、本体部と、この本体部から延出されたネックと、前記本体部の表側に配置された駒部と、この駒部を介して前記本体部及び前記ネックの表側に張設された弦と、前記本体部のネックと反対側の端部にエンドピンを介して取付けられたあご当てとを有する擦弦楽器からなり、前記本体ケースの底部内面に、前記エンドピン近傍を支持する第1保持部が設けられ、前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面と、前記蓋体の側板の内面とに、前記ネックを挟持する第2保持部が設けられ、前記楽器の塗装面が楽器収容ケース内面に接触する面積が、塗装面全体の10%以下とされている請求項1〜7のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。
【請求項9】
前記第2保持部は、前記蓋体の側板内面に取付けられた、前記ネックの背面部を押える第1押え部材と、前記本体ケースの内面に取付けられ、前記ネックの表側に設けられた指板が当接する第2押え部材とからなり、前記指板が前記本体ケースの内面に対してほぼ平行に支持されるように構成されている請求項8記載の楽器収容ケース。
【請求項10】
前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面の、前記第1保持部と前記第2保持部との間には、前記擦弦楽器の駒部をケース内面に接触しないように配置させるための凹部が形成されている請求項8又は9記載の楽器収容ケース。
【請求項11】
前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面の、前記第1保持部より上方には、下方に向かうほど前記本体ケースの内方に突出して、前記第1保持部に至る斜面が形成されている請求項8〜10のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。
【請求項12】
前記蓋体を閉めるとき、前記第1押え部材が、前記楽器の本体部のエンドピンと反対側の縁部に背面側から当接して、該本体部を前記第1保持部に向けて押さえ付けるように構成されている請求項9記載の楽器収容ケース。
【請求項13】
前記本体ケースの前記蓋体の側板と対向する内面の両側に、弓の両側位置を規制するガイド壁部と、弓を前記内面に着脱可能に固定する固定具とからなる弓保持部が設けられ、前記ガイド壁部の少なくとも1つは、内部が空洞になっていて、そこに部品が収納できるように構成されている請求項1〜12のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。
【請求項14】
前記本体ケースの少なくとも底部角部に、弾性樹脂からなる保護層が形成されている請求項1〜13のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。
【請求項15】
前記蓋体と前記本体ケースとの合わせ目は、前記本体ケースの上端面から前記幅狭の両側面に沿って下方に伸びた後、前記一方の幅広の面の中央部を水平に横切るような形状をなしている請求項4記載の楽器収容ケース。
【請求項16】
前記本体ケースは、その上下端面側から見たとき、前記蓋体の側板と対向する壁部の両側角部が面取りされた形状をなしている請求項1〜15のいずれか1つに記載の楽器収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−271698(P2010−271698A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57653(P2010−57653)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000105899)サカイ・コンポジット株式会社 (11)
【Fターム(参考)】