説明

楽曲再生装置

【課題】楽曲を長時間連続再生している場合においても、ユーザの手を煩わせることなく嗜好に基づいた選曲することができる楽曲再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】楽曲を再生する際の構成単位である複数の楽曲を一まとめにした楽曲集合の指定手段と、前記楽曲集合に含まれる複数の楽曲の中から1楽曲を選曲する選曲手段と、複数の楽曲集合の中から1楽曲集合を選択する選択手段と、前記選択手段の出力と現在選択されている楽曲集合に含まれる楽曲の前記選曲手段の出力との組合せによって定める選曲組合せ手段と、を有することにより、楽曲集合が切り替わるごとにユーザの好みの選曲手段に変更する手間を軽減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲再生装置に関し、さらに詳しくは、再生のために選曲する楽曲集合を指定可能な楽曲再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の楽曲再生装置では、複数の楽曲の中から再生する楽曲集合を指定する手段を備え、選択された楽曲集合に含まれる複数の楽曲を正順(ノーマル)や順不同(ランダム)や繰り返し(リピート)などの順番で選曲する選曲手段を指定可能である。さらに、記憶媒体の大容量化や音響データの圧縮技術の向上に伴い、記憶媒体に保存できる楽曲数が増大し、複数の楽曲集合が定義されていることが多い。
【0003】
特許文献1に記載された音響再生装置では、アルバムやフォルダを一単位としてアルバム毎やフォルダ毎にランダム再生を行うことを可能にするために、複数のミュージックファイルが階層的に記録された音響ソース源においてミュージックファイルを一まとめに再生するミュージックファイル群の単位を指定し、指定された単位でミュージックファイル群をランダムに選択して、この選択されたミュージックファイル群に含まれるミュージックファイルの全てを再生することを特徴としている。
【特許文献1】特開2004−241062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の従来の構成では、複数の楽曲集合の選択手段や楽曲集合に含まれる複数楽曲の選曲手段がランダムに特化されており、また、楽曲集合に含まれる複数楽曲の選曲手段を各々の楽曲集合ごとに自動的に切り替えることはできない。このことは、記憶媒体内にアルバムやアーティストなど、特徴付けられた楽曲集合を定義しているユーザにとって、記憶媒体内にライブアルバムやノンストップアルバムなど楽曲同士がシームレスに連続する楽曲集合や、ユーザの好みの選曲手段が決まっている楽曲集合が混在する場合において、違和感無く連続的に再生を続けるためには、楽曲集合ごとに楽曲集合に含まれる複数楽曲の選曲手段を手動で切り替える必要があり、特に運転中などは楽曲再生装置を操作することが困難である場合など、ユーザにとって煩わしさを感じさせる要因となっているという問題点を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、楽曲を長時間連続再生している場合においても、ユーザの手を煩わせることなく嗜好に基づいた選曲することができる楽曲再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の楽曲再生装置は、楽曲を再生する際の構成単位である複数の楽曲を一まとめにした楽曲集合の指定手段と、前記楽曲集合に含まれる複数の楽曲の中から1楽曲を選曲する選曲手段と、複数の楽曲集合の中から1楽曲集合を選択する選択手段と、前記選択手段の出力と現在選択されている楽曲集合に含まれる楽曲の前記選曲手段の出力との組合せによって定める選曲組合せ手段とを備えた構成を有している。
【0007】
また、選曲手段は、楽曲集合ごとに記憶媒体内に記憶させる構成を有している。
【0008】
さらに、選曲組合せ手段は、ユーザ操作可能である構成を有している。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、楽曲を長時間連続再生している場合においても、ユーザの手を煩わせることなく嗜好に基づいた選曲することができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態1における楽曲再生装置の構成を示すブロック図である。この楽曲再生装置は、大容量の記憶媒体10と、楽曲再生装置1全体の動作を制御する制御システム20と、ユーザが楽曲再生装置の状態を把握でき、操作することができるユーザインタフェース40と、制御システム20から音響信号を外部へ出力する出力装置30を備えている。
【0012】
大容量の記憶媒体10は、再生対象である楽曲の音響データである楽曲オブジェクトの群と、楽曲集合を定義する楽曲集合定義オブジェクトを記憶している。図2は本発明の実施の形態1における楽曲集合の説明図である。楽曲集合は図2に示すとおり、1または複数の楽曲を一まとめにした楽曲群を形成した集合をいい、楽曲再生装置で、複数の楽曲を再生する際に用いる構成単位である。すべての楽曲集合には選択の際に使用する順序関係が設定されている。また、順序関係を用いて、先頭の楽曲集合が一意に決定され、任意の楽曲集合に対し一意に次の楽曲集合を決定できるものとする。
【0013】
楽曲集合は、楽曲のアーティスト名やアルバム名などの楽曲オブジェクトと関連付けられた楽曲管理情報から一定の条件に基づいて機械的に形成、あるいは、ユーザの嗜好に基づいた楽曲を一まとめにするなど自由に構成してよい。
【0014】
図3は本発明の実施の形態1における楽曲集合の説明図である。図3に示すとおり、記憶媒体に記憶されているすべての楽曲の群を全楽曲集合として特殊な楽曲集合とみなす。楽曲集合定義オブジェクトに定義されたすべての楽曲集合は、全楽曲集合の部分集合であり、任意の2つの楽曲集合に共通する楽曲が含まれていてもよい。複数の楽曲集合をカテゴライズし、共通するカテゴリーに属する楽曲集合の群を、新たにカテゴリーを代表する代表楽曲集合として特殊な楽曲集合とみなしてもよい。この場合、代表楽曲集合は全楽曲集合の部分集合になり、代表楽曲集合が代表するカテゴリーに属する楽曲集合は、代表楽曲集合の部分集合となる。
【0015】
記憶媒体10に記憶されているすべての楽曲には選曲の際に使用する順序関係が設定されている。また、順序関係を用いて、先頭の楽曲、および、最後の楽曲が一意に決定され、最後の楽曲以外の楽曲の場合は一意に次の楽曲を決定できるものとする。
【0016】
各々の楽曲集合に含まれる楽曲オブジェクトは、楽曲集合定義オブジェクトに定義されている。また、前記楽曲集合定義オブジェクトには、定義している楽曲集合に含まれる楽曲の選曲の際に使用する順序関係が設定されている。この楽曲集合に含まれる楽曲の選曲に関する順序関係は、前記すべての楽曲の選曲に関する順序関係とは別に設定してもよい。
【0017】
制御システム20は、マイクロコンピュータで構成されており、楽曲再生装置の状態を制御する。ユーザインタフェース40を通して伝達されたユーザの操作を、楽曲再生装置の状態に反映させるとともに、記憶媒体10に記憶されている楽曲の中から、再生する楽曲を選曲し、楽曲オブジェクトの信号を出力装置30に伝達する。また、制御システム20は、楽曲再生装置の状態をユーザインタフェース40、あるいは出力装置30を通して、ユーザへ分かりやすく提示するために、ユーザインタフェース40、あるいは、出力装置30に、楽曲再生装置の状態を示す信号を伝達してもよい。このように、制御システム20は楽曲再生装置全体を制御する。
【0018】
本発明の楽曲再生装置の制御システム20が行う楽曲の選曲方法は、楽曲集合の選択手段、および、現在選択されている楽曲集合に含まれる楽曲の選曲手段の組み合わせによって定まることを特徴とする。
【0019】
楽曲集合の選択手段は、前記選択に関する順序関係に従った順番に選択する方法(Nm・ノーマル)と、順不同に選択する方法(Rd・ランダム)と、特定の1楽曲集合のみを繰り返し選択する方法(Rp・リピート)の3種類とする。同様に、楽曲集合に含まれる楽曲の選曲手段は、前記選曲に関する順序関係に従った順番に選曲する方法(Nm・ノーマル)と、順不同に選曲する方法(Rd・ランダム)と、特定の1楽曲のみを繰り返し選曲する方法(Rp・リピート)の3種類とする。
【0020】
本発明の楽曲再生装置の記憶媒体10に記憶されている楽曲集合に含まれる楽曲の選曲手段は、楽曲集合ごとに設定可能であり、記憶媒体10に記憶できることを特徴とする。
【0021】
前記選曲手段は、記憶媒体10に記憶されている楽曲集合定義オブジェクトに、追加で記憶してもよい。
【0022】
図4は本発明の実施の形態1における制御システムの処理フローチャートである。現在選曲している楽曲の再生を行い(S101)、楽曲の再生が完了したかどうか判断し(S102)、楽曲の再生が完了していない場合は、楽曲の再生を継続するためにステップS101へ戻る。完了した場合は、現在選択している楽曲集合の含まれるすべての楽曲の再生が完了したか判断し(S103)、すべての楽曲の再生が完了していない場合は、現在選択している楽曲集合に設定されている楽曲の選曲手段に従って次の楽曲を選曲し(S104)、新たに選曲された楽曲の先頭から再生を始める準備をし(S100)、ステップS101へ戻る。すべての楽曲の再生が完了している場合は、設定されている楽曲集合の選択手段に従って次の楽曲集合を選択し(S105)、新たに選択された楽曲集合の選曲手段に従って楽曲を選曲し(S106)、ステップS100へ遷移する。
【0023】
図5はユーザの操作による、楽曲や楽曲集合のスキップ処理を追加した、本発明の実施の形態1における制御システムの処理フローチャートである。ステップS101とステップS102の間に、ユーザの操作を監視し(S107)、強制的な楽曲のスキップが発生したか判断し(S108)、楽曲のスキップが発生した場合はステップS103へ遷移する。楽曲のスキップが発生していない場合は、強制的な楽曲集合のスキップが発生したか判断し(S109)、楽曲集合のスキップが発生した場合はステップS105へ遷移し、楽曲集合のスキップが発生していない場合はステップS102へ戻る処理を追加してもよい。
【0024】
図6はユーザの操作による、楽曲の選曲手段や楽曲集合の選択手段の変更処理を追加した、本発明の実施の形態1における制御システムの処理フローチャートである。ユーザの操作監視処理ステップS107で、楽曲集合の選択手段、あるいは、楽曲集合に含まれる楽曲の選曲手段の変更が発生したか判断し(S110)、変更があった場合は、楽曲集合の選択手段、または、楽曲集合に含まれる楽曲の選曲手段を更新し(S111)、ステップS102へ戻る処理を追加してもよい。
【0025】
図7は楽曲の選曲手順の説明図であり、ステップS104、および、ステップS106の楽曲の選曲処理について説明したフローチャートである。まず、選択されている楽曲集合に設定されている楽曲の選曲手段が、ランダムであるか判断する(S201)。ランダムである場合、まだ再生をしていない楽曲群の中から、選曲に関する順序関係には関わりなく順不同で新たに楽曲を選曲する(S202)。ランダムでない場合、さらに、選曲手段がリピートであるか判断し(S203)、リピートである場合、現在選曲している楽曲の選曲を維持する(S204)。リピートでない場合、選曲に関する順序関係に従って、次の楽曲を選曲する(S205)。
【0026】
図8は楽曲集合の選択手順の説明図であり、ステップS105の楽曲の選曲処理について説明したフローチャートである。まず、楽曲集合の選択手段が、ランダムであるか判断する(S301)。ランダムである場合、選択に関する順序関係には関わりなく順不同で新たに楽曲集合を選択する(S302)。ランダムでない場合、さらに、選択手段がリピートであるか判断し(S303)、リピートである場合、現在選択している楽曲集合の選択を維持する(S304)。リピートでない場合、選択に関する順序関係に従って、次の楽曲集合を選択する(S305)。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の楽曲再生装置によれば、記憶媒体10に保存できる楽曲数が増大しても、ユーザの簡単な操作のみで、単調な繰り返しや違和感のある楽曲のつながり無しに長時間連続再生を続けることができるので、長時間移動の続くビジネスマン向けのポータブルオーディオプレイヤーや、車載搭載のオーディオプレーヤー、バックグラウンドミュージックを流す環境にある店頭や施設などのオーディオプレーヤー、航空機の客席搭載のオーディオ配信サービスなど、数多くの楽曲の中から長時間再生を続ける要望において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1における楽曲再生装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における楽曲集合の説明図
【図3】本発明の実施の形態1における楽曲集合の説明図
【図4】本発明の実施の形態1における制御システムの処理フローチャート
【図5】ユーザの操作による、楽曲や楽曲集合のスキップ処理を追加した、本発明の実施の形態1における制御システムの処理フローチャート
【図6】ユーザの操作による、楽曲の選曲手段や楽曲集合の選択手段の変更処理を追加した、本発明の実施の形態1における制御システムの処理フローチャート
【図7】楽曲の選曲手順の説明図
【図8】楽曲集合の選択手順の説明図
【符号の説明】
【0029】
10 記憶媒体
20 制御システム
30 出力装置
40 ユーザインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲を再生する際の構成単位である複数の楽曲を一まとめにした楽曲集合の指定手段と、
前記楽曲集合に含まれる複数の楽曲の中から1楽曲を選曲する選曲手段と、
複数の楽曲集合の中から1楽曲集合を選択する選択手段と、
前記選択手段の出力と現在選択されている楽曲集合に含まれる楽曲の前記選曲手段の出力との組合せによって定める選曲組合せ手段と、
を有する楽曲再生装置。
【請求項2】
前記選曲手段は、楽曲集合ごとに記憶媒体内に記憶させる請求項1に記載の楽曲再生装置。
【請求項3】
前記選曲組合せ手段は、ユーザ操作可能である請求項1乃至2のいずれかに記載の楽曲再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−129521(P2009−129521A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305409(P2007−305409)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】