説明

楽音装置及び楽音装置の生産方法

【課題】楽音装置の響板と他の側とが連結体で繋がれ、響板の振動/音が他の側によく伝わり、楽音装置全体としてよく音が出る。
【解決手段】響板11の内面中心と、響板11と反対側の前面板6の内面との間には、両内面を繋ぐ真直ぐな連結棒16が挟まれている。この連結棒16によって、響板11の振動/音が円滑に前面板6に伝わり、楽音装置全体から楽音が発せられる。電磁駆動ユニット14に全周波数帯域信号を送り込んで響板11を全周波数帯域で振動させ、響板11の周波数特性を測定する。このうち、レベルの大きい凸部分の周波数の楽音信号を上記電磁駆動ユニット14に送り込み、連結棒16の響板11への繋ぐ位置を順次切り換えていく。レベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる位置を検索し、この検索された位置が上記連結棒16の繋がれる位置とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、楽音装置に関し、特に、楽器の響板を振動させて、この響板から楽音を発音・放音させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような響板(振動板)を振動させるものでは、ピアノの響板に電磁駆動体を接合し、この電磁駆動体に楽音信号を送り込んで、電磁駆動体ではなく、響板を振動させて、この響板から楽音を発音・放音させている。
【0003】
【特許文献1】実開昭60−150894号公報
【特許文献2】特開平8−146949号公報
【特許文献3】特開平8−111896号公報
【特許文献4】特開平4−156799号公報
【特許文献5】特開昭53−69624号公報
【特許文献6】特開平4−56996号公報
【特許文献7】特開平5−80748号公報
【特許文献8】特開平5−73039号公報
【特許文献9】特願2006−181135号(未公開)
【特許文献10】特願2006−160054号(未公開)
【特許文献11】特願2006−151287号(未公開)
【特許文献12】特願2006−141954号(未公開)
【特許文献13】特願2006−135899号(未公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような響板(振動板)で音を出してみると、実際のアコースティックな楽器の楽音と若干異なる楽音となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本件発明は、振動されて音を放射する平板状の楽器の響板と、複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる変換体と、響板の内面と、楽音装置における当該響板と異なる面の内面との間に取り付けられた、両内面を繋ぐ細長い連結体とを備えた。
【0006】
また、本件発明は、上記連結体が取り付けられる前の上記響板の周波数特性を測定する工程と、この測定された凹凸のある周波数特性のうち、凹部分または凸部分の周波数で当該響板を振動させて周波数特性を測定する工程と、上記連結体が上記響板に当接する位置を切り換えて、この凹部分の周波数特性のレベルが増加する、またはこの凸部分の周波数特性のレベルが減少する位置を検索する工程と、この検索された位置を上記連結体が繋がれる位置とする工程とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
これにより、響板の振動/音が響板と異なる面によく伝わり、響板と異なる面からも音が良くでる。また、響板の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板から発せられる楽音が不用意に変異してしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0008】
さらに、響板の周波数特性が平坦となり、響板から出力される音の周波数/音高が変化しても、音量が不用意に変化してしまうことがなくなり、全周波数/全音高にわたって均一な音量特性を達成できる。
【0009】
なお、本件明細書において、共振とは、楽音装置から発生される楽音に変異を与えてしまう異常な共振を意味し、共鳴とは異なり、本楽音装置の響板11、前面板6、底板2、当接枠3、右下内側板4、左下内側板5、中天板7などの各部において、共鳴は積極的にまたは消極的に許容される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)楽音装置
図1は楽音装置の背面、図2は楽音装置の正面、図3、図4及び図5は楽音装置の縦断面、横断面を示す。楽音装置の細長い一対の木製などの足部1、1は水平方向に互いに平行に配置されている。この足部1、1の間を架渡すように木製などの底板2が木ねじ、ボルトまたは接着剤などで固定されている。
【0011】
この底板2は水平に配置される細長い方形状であり、後縁には方形状の木製などの当接枠3が垂直方向に木ねじ、ボルトまたは接着剤などで固定されている。この底板2の左右両端と方形状の当接枠3の左右両縁面には、木ねじ、ボルトまたは接着剤などで垂直な木製などの右側板4と左側板5とが取り付けられている。
【0012】
この底板2の前縁と右下内側板4と下内側板5の前縁には、木ねじ、ボルトまたは接着剤などで垂直な木製などの前面板6が取り付けられている。これら垂直な右下内側板4、下内側板5、前面板6、上記当接枠3の上縁は同じ高さとなっていて、これらの上には蓋をするように木製などの中天板7が木ねじ、ボルトまたは接着剤などで取り付けられている。
【0013】
上記当接枠3の後面(背面も含む。以下同じ。)には、可撓性、弾性または/及びクッション性を有する介在帯8を間に挟んで、木製などの響板11の縁の前面が当接される。響板11の外縁は上記当接枠3の外縁より小さいまたはわずかに小さいので、響板11は楽音装置本体つまり上記底板2、当接枠3、右下内側板4、下内側板5、前面板6、中天板7に全く接触しない状態となる。したがって、響板11の音/振動が楽音装置本体に直接伝わらず、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0014】
上記響板11は当接枠3に木ねじ23などで押し付けて固定される。この場合、上記介在帯8の厚さは、0%乃至90%圧縮する状態とされる。したがって、上記介在帯8、当接枠3及び響板11の間に隙間がない状態とされる。これにより、上記介在体、当接体及び響板の間で、互いが振動でぶつかりあうことがなくなり、異常振動/異常音が発生してしまうことがなくなり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0015】
上記響板11及び当接枠3の全周縁には上記介在帯8が隙間なく介在されている。また響板11が取り付けられる楽音装置本体の、響板11が取り付けられる側/後側、上側、下側、右側、左側、つまり上記底板2、当接枠3、右下内側板4、下内側板5、前面板6、中天板7との間は隙間がなく密封されている。
【0016】
したがって、響板11の上下左右前の全周縁と楽音装置本体つまり上記当接枠3の間には隙間がなく密封される。これにより、響板11の周囲から音が漏れることがなく、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0017】
響板11の周囲から音が漏れると、この漏れ音は響板11の内側から放射されたものであり、響板11の外側からの音波とは位相が反転しているので、響板11の周囲から音が漏れると響板11の外面からの音を打ち消してしまうが、このような密封によってこの打消しは防止され、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0018】
上記前面板6の高さは低く上縁は切欠されて上記中天板7との間に隙間が形成され、水平方向に延びる挿通穴9が形成され、この挿通穴9内には両端と中に柱が4本立てられ、3つの挿通穴9に分割され、この挿通穴9はメッシュ状の布で覆われている。この挿通穴9は、響板11が取り付けられる楽音装置本体の、響板11が取り付けられる側と反対側に位置する。
【0019】
これにより、響板11からの音が挿通穴9より放射される。この挿通穴9からの音は響板11の内側から放射されたもので、響板11の外側からの音とは位相が反転されているが、挿通穴9からの音は響板11の外面と反対側に放射され、響板11の外面と同じ方向には放射されないので、これらの音は互いに打ち消しあったり悪影響を及ぼしあったりすることがなく、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0020】
上記中天板7の上には機構箱21が設置されている。この機構箱21の前面には鍵盤22及びパネルスイッチ群などが取り付けられている。この機構箱21の左右両側面及び上記右下内側板4、左下内側板5の外側には、右外側板24、左外側板25が接合されている。この機構箱21の中には、鍵盤22及びパネルスイッチ群の操作に応じた楽音信号を生成するための楽音制御回路、フィルタ、アンプ、スピーカーなどが内蔵されている。
【0021】
したがって、上記楽音装置は鍵盤楽器であり、上記響板11は、この鍵盤楽器の楽音装置の後面側/背面側に取り付けられていることになり、楽音装置の正面側の鍵盤22の下側に上記挿通穴9が形成されていることになる。これにより、挿通穴9から放射された音(振動も含む。以下及び以上同じ)が、鍵盤22などにも伝わり、実際のアコースティックな楽器、例えばグランドピアノやアップライトピアノのような演奏の感触を得ることができる。
【0022】
(2)響板11(背面放音体)
図3及び図5は楽音装置の縦断面を示す。振動されて音を放射する楽器の木製などの響板11(背面放音体)は方形の平板状で、響板11の外縁は上記当接枠3の外縁より小さいまたはわずかに小さい。響板11の外周縁の後面側には四辺の木製などの枠棒12…が木ねじ、ボルトまたは接着剤などで固定されている。これにより、響板11の音が響板11の四隅にまで円滑に伝わり、全体に均一に広がり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0023】
この響板11の後面には2本乃至8本、望ましくは3本乃至7本、より望ましくは4本乃至6本、さらに望ましくは5本の木製などの響棒13…が木ねじ、ボルトまたは接着剤などで固定されている。これにより、響板11の音が響板11の一部に偏ることなく、全体に均一に広がり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0024】
上記響棒13…は、水平方向に対して20度乃至70度、望ましくは30度乃至60度、より望ましくは40度ないし50度傾斜している。これにより、響板11の音が水平方向または/及び垂直方向に偏ることなく、全体に均一に広がり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。なお、響板11は長方形状なので、響板11の音は水平方向または/及び垂直方向にもともと偏る性質がある。
【0025】
上記響板11には柾目があり、この柾目は斜め方向にそろっている。上記各響棒13…は、これらの柾目とほぼ直交する方向に配置されている。これにより、響板11の音は柾目に沿って伝播し易いが、各響棒13…によって、柾目を跨いで音が伝播され、響板11の音が偏ることなく、全体に均一に広がり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0026】
この響棒13…の両端縁は、上記枠棒12…まで達している。これにより、上述の響板11の音が水平方向または/及び垂直方向に偏ることが無いことが、響板11の端縁まで達成でき、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。響棒13…の両端は厚さが薄くなっている。これにより、響棒13…自身の共振が防止され、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0027】
上記響棒13…の各間隔は、10cm乃至30cmであり、等間隔ではなく、不等間隔となっている。これにより、響棒13…が振動の節となって、各響棒13…の間で同じ周波数の音が共振してしまうことがなくなり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。このような響棒13…は響板11の後面側以外に前面側に取り付けられてもよい。
【0028】
上記響棒13…の間隔は、楽音装置の左方、つまり図1の右方へ行くほど広くなっている。また、響板11の図1の右下隅の三角形の大きさは、響板11の図1の左上隅の三角形の大きさより大きい。これにより、響板11の右方に行くにしたがって、音高の低い低音がより多く放射される。
【0029】
上記鍵盤22は、高音域から低音域までの音高の異なる複数の楽音の出力を指示するものであり、鍵盤22の図2の左方、図1の右方へいくほど、より低い音高の楽音の低音が出力される。これにより、鍵盤22の低音を出力する操作を行なう側に近い響板11部分から、低音がより多く放射される。したがって、実際のピアノなどのアコースティック楽器に近い操作感触が得られる。
【0030】
実際のピアノなどのアコースティック楽器では、操作している鍵盤22自体に、発音している楽音の振動が直に伝わってくる。この伝達振動は、鍵盤22の低音域を操作していると、この低音域の鍵に低音の振動が伝わってくるし、鍵盤22の高音域を操作していると、この高音域の鍵に高音の振動が伝わってくるし、鍵盤22の中音域を操作していると、この中音域の鍵に中音の振動が伝わってくる。これは、弦楽器、管楽器、打楽器でも同様である。このようなアコースティック楽器の生の演奏感覚を本楽音装置では得ることができる。
【0031】
また、上述のように響棒13…の各間隔は不均一であるから、響棒13…の各間隔の響板11部分から発せられる楽音に高さに違いが生じ、響板11の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0032】
響板11の縦:横の比率は「1:2.5」であるが、「1:0.25乃至5」、望ましくは「1:0.5乃至4」、より望ましくは「1:1乃至3」、さらに望ましくは「1:2乃至2.5」となる。響棒13の間隔は、電磁駆動ユニット14の直径の「1乃至3倍」、望ましくは「1乃至2倍」、より望ましくは「1乃至1.5倍」、さらに望ましくは「1乃至1.3倍」、よりさらに望ましくは「1乃至1.2倍」、さらにより望ましくは「1乃至1.1倍」とされる。響棒13の本数が多くなると、響板11の発生音量が低下するが、逆に響棒13の本数が少なくなると、響板11の音質が向上する。
【0033】
(3)響棒13の取り付け方法
上記響棒13…の響板11への取り付け位置は以下のようにして決定される。まず、響棒13…が取り付けられる前の響板11の周波数特性が測定される。この場合、楽音装置に響板11が取り付けられている状態で、響板11に取り付けられている上記電磁駆動ユニット14に種々の周波数/音高の楽音信号、全周波数帯域/全音高の楽音信号またはホワイトノイズ信号を送り込んで響板11を全周波数帯域で振動させる。
【0034】
この響板11の振動/音をマイクで拾い、拾った音を周波数帯域分析器(公知)で分析して響板11の周波数特性を測定する。このような周波数特性はたとえば図9のような特性となる。この図9の周波数特性においては、通常は平坦になることはなく、レベルが異なって凹凸があり、レベルの大きい凸部分とレベルの小さい凹部分とができる。
【0035】
このうち、レベルの大きい凸部分の中心周波数またはこの凸部分付近のみの複数の周波数を合成した楽音信号を上記電磁駆動ユニット14に送り込み、この状態で、響棒13の響板11への当接位置/取り付け位置を順次切り換えていく。そうすると、このレベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが大きくなったり小さくなったりする。
【0036】
ここで、図9の周波数特性が図6のように平坦になるように、上記レベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる位置を検索し、この検索された位置が上記響棒13の取り付けられる/当接される位置とされ、響棒13の取り付け位置が決定される。
【0037】
また、レベルの小さい凹部分の中心周波数またはこの凹部分付近のみの複数の周波数を合成した楽音信号を上記電磁駆動ユニット14に送り込み、この状態で、響棒13の響板11への当接位置/取り付け位置を順次切り換えていく。そうすると、このレベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなったり小さくなったりする。
【0038】
ここで、図9の周波数特性が図6のように平坦になるように、上記レベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなる位置を検索し、この検索された位置が上記響棒13の取り付けられる/当接される位置とされ、響棒13の取り付け位置が決定される。
【0039】
このような工程が順次繰り返され、複数の響棒13…の取り付け位置が順次決定されていく。このようにして響棒13…の取り付け位置を決定し、響棒13…及び響板11の材質、寸法を変えずに、響棒13…及び響板11並びに楽音装置を生産していけば、これらは同様の平坦に補正/修正された周波数特性となる。
【0040】
(4)電磁駆動ユニット(変換体/電磁駆動体/背面放音体)14
図1及び図4などには電磁駆動ユニット14の響板11への取り付け位置が示されている。上記響板11の響棒13…の間の前面(上/表面)には、電磁駆動ユニット(変換体/電磁駆動体/背面放音体)14が木ねじ、ボルトなどで取り付けられている。この取り付け機構は、特願2006−181135号、特願2006−160054号、特願2006−151287号、特願2006−141954号、特願2006−135899号などに示されている。
【0041】
電磁駆動ユニット14の外形は円柱状の本体ケースとこの本体ケースの側面に設けられている円形の平坦な振動板とからなっている。電磁駆動ユニット14の中にはコイルと磁石とが内蔵され、上記本体ケース及び振動板の一方にコイルが連結され他方に磁石が連結される。
【0042】
上記コイルに複数種類の楽音からなる楽音信号が流れると、コイルに生じる磁界と磁石の磁界との相互作用によって、コイルまたは磁石が振動/駆動/変位し、本体ケースに対して振動板が振動/駆動/変位する。振動板を上記響板11に直接または連結部材を介して接合(取付け/連結/接着を含む)させる。したがって、電磁駆動ユニット14は、複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、楽器の響板11を駆動させて音を放射させる。
【0043】
これにより、振動板及び響板11を電磁駆動させて振動させることができる。電磁駆動ユニット11は、スピーカーとは異なり、それ自体は発音/放音せず、接合された他の物体を電磁駆動させて振動させ発音/放音させるものである。このような電磁駆動ユニット11は、特開平8−146949号公報、特開平8−111896号公報などに開示されている。
【0044】
この電磁駆動ユニット14からは、上述のように低音が主に出力放射される。この電磁駆動ユニット14は、図1において響板11の中心からやや右上にずれた位置の内面、響棒13…と反対側に取り付けられていて、上記鍵盤22の低音域側に寄った位置の響板11にこの電磁駆動ユニット14が取り付けられている。
【0045】
これにより、響板11の中心から図1の右方にずれて寄った位置から低音が出力放射される。これにより、鍵盤22の低音を出力する操作を行なう側に近い響板11部分から、低音がより多く放射される。したがって、実際のピアノなどのアコースティック楽器に近い操作感触が得られる。
【0046】
また、電磁駆動ユニット14は、響板11の中心から図1の上方にずれて寄った位置に取り付けられているから、響板11のやや上方から低音が出力放射され、実際のピアノなどのアコースティック楽器に近い発音状態が得られる。なぜなら、実際のグランドピアノやアップライトピアノでは、楽器の下の方ではなく、中央付近に弦が配置され、この中央付近から音が出るようになっているからである。
【0047】
また、電磁駆動ユニット14が響板11の中心からずれた位置に取り付けられているので、響板11の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0048】
この電磁駆動ユニット14は、響棒13の間に取り付けられている。これにより、響板11を電磁駆動ユニット14で振動させてから、この響板11の振動が響棒13…を通じて響板11全体に伝達され、響板11より響棒13の方が先に音が伝達されることがなくなり、響板11全体に音が均一に伝わることができる。
【0049】
この電磁駆動ユニット14を挟む上記2つの響棒13、13のうち、上側の響棒13に若干近い位置に取り付けられている。これにより、2つの響棒13、13の間の響板11部分の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板11部分から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0050】
この電磁駆動ユニット14は、響板11の中心から図1の上方にずれて寄った位置に取り付けられているから、楽音装置の前の前面板6の上方の挿通穴9に近い位置に取り付けられることになる。これにより、挿通穴9から放射される音/楽音がより大きくなる。なお、電磁駆動ユニット14は挿通穴9に対向する位置に取り付けられてもよい。
【0051】
(5)上面スピーカー31L、31R、32L、32R(上面放音体)
図7は楽音装置の上面を示す。上記楽音装置の上面であって、鍵盤22の近傍には平板状の譜面台36が取り付けられ、楽音装置の上面上で倒されたり起立されたりできるようになっている。この譜面台36の長さは、楽音装置の上面の幅のほぼ半分で、譜面台36の高さは、機構箱21の高さとほぼ同じまたは楽音装置の上面の奥行きよりやや小さくなっている。この譜面台36が起立されたとき、背側/後方へ若干傾斜している。
【0052】
楽音装置の上面の背側の機構箱21内には、4つの穴があけられて、4つの上面スピーカー(上面放音体)31L、31R、32L、32Rが一列に並んで上向きに取り付けられている。この4つの上面スピーカー31L、31R、32L、32Rのうち、内側の2つ31L、31Rは、上記譜面台36の後方/背側で、譜面台36の左右縁より内側であって、譜面台36の背後に位置し、外側の2つ32L、32Rは、上記譜面台36の後方/背側で、譜面台36の左右縁より外側であって、譜面台36の側部に位置している。
【0053】
したがって、4つの上面スピーカー31L、31R、32L、32Rのうち内側の2つ31L、31Rからの音は、起立された譜面台36で反射して背側/後方へ主に放射され、4つの上面スピーカー31L、31R、32L、32Rのうち外側の2つ32L、32Rからの音は、起立された譜面台36にあまり関係なく、上方へ主に放射される。これにより、楽音装置の後方と上方とに音が放射されて拡散され、臨場感のある演奏を実現できる。
【0054】
しかも、4つの上面スピーカー31L、31R、32L、32Rのうち内側の2つ31L、31Rには、音像を形成するための複数のチャンネル信号がそれぞれ送られるので、内側の2つ31L、31Rで音像が形成され、外側の2つ32L、32Rにも、同様に音像を形成するための複数のチャンネル信号がそれぞれ送られるので、外側の2つ32L、32Rで音像が形成され、楽音装置の後方と上方とに音像が形成され、臨場感のある演奏を実現できる。
【0055】
この4つの上面スピーカー31L、31R、32L、32Rには同じ周波数帯域の楽音信号が送り込まれる。したがって、楽音装置の後方と上方とに同じ周波数帯域における音像が形成され、臨場感のある演奏を実現できる。しかし、内側の2つ31L、31Rと外側の2つ32L、32Rとで、異なる周波数帯域の楽音信号が送り込まれてもよい。これにより、楽音装置の後方と上方とに異なる周波数帯域における音像が形成され、臨場感のある演奏を実現できる。
【0056】
なお、上面スピーカー31L、31R、32L、32Rの数は増えても良い。この場合、譜面台31の背側/後方の上面スピーカー31L、31Rの数が増えてもよいし、譜面台32の側部の上面スピーカー32L、32Rの数が増えてもよい。また、上面スピーカー31L、31R、32L、32Rのいずれかまたは両方は省略されても良い。
【0057】
さらに、上面スピーカー31L、31R、32L、32Rは譜面台36の手前に設けられてもよいし、楽音装置の前面側または後面側/背面側に設けられてもよい。上面スピーカー31L、31R、32L、32Rはツィーターであってもよい。なお、スピーカーはツィーターも含む概念である。
【0058】
(6)前面ツィーター33L、33R(前面放音体)
上記楽音装置の前面の機構箱21内には、2つの穴があけられて、2つの前面ツィーター33L、33Rが左右に離間されて前向きに取り付けられている。この2つの前面ツィーター33L、33Rには、音像を形成するための複数のチャンネル信号がそれぞれ送られるので、2つの前面ツィーター33L、33Rで、楽音装置の前方に音像が形成され、臨場感のある演奏を実現できる。
【0059】
この前面ツィーター33L、33Rは、上記外側の上面スピーカー32L、32Rよりさらに外側に位置している。したがって、上面スピーカー31L、31R、32L、32Rによって形成される音像より、前面ツィーター33L、33Rによって形成される音像の方が、楽音装置からより離間されて形成され、楽音装置に対して垂直方向より水平方向により音像の拡がりが達成される。
【0060】
この前面ツィーター33L、33Rに送り込まれる楽音信号の周波数帯域は、上記4つの上面スピーカー31L、31R、32L、32Rに送り込まれる楽音信号の周波数帯域より高い。これにより、楽音装置の前方と上方/後方とに異なる周波数帯域における音像が形成され、臨場感のある演奏を実現できる。しかも放射方向によって、音の周波数帯域が異なるから、楽音装置からの方向によって、聞こえる音/音高が異なり、拡散性と臨場感のある演奏を実現できる。
【0061】
なお、前面ツィーター33L、33Rは、上記外側の上面スピーカー31L、31R、32L、32Rまたは上面スピーカー31L、31Rよりさらに内側に位置していてもよい。また、前面ツィーター33L、33Rの数は増えても良い。さらに、前面ツィーター33L、33Rは省略されても良い。前面ツィーター33L、33Rは、スピーカーであってもよい。
【0062】
上記上面スピーカー31L、31R、32L、32Rの前上は段差になっていて、上記機構箱21のこの段差部分の縦面には放熱網37が取り付けられている。この放熱網37からは、機構箱21内の楽音制御回路(駆動回路)、フィルタ、アンプ、上面スピーカー31L、31R、32L、32R、前面ツィーター33L、33Rからの熱が放射される。
【0063】
(7)連結棒16(連結体)
上記響板11の内面中心と、響板11と反対側の前面板6の内面との間には、両内面を繋ぐ真直ぐな連結棒16が挟まれている。この連結棒16は、響板11の内面と前面板6の内面とに対して、接着剤、木ねじ、ボルトなどで固定されたり、響板11と前面板6とで挟持されたりされる。
【0064】
この連結棒16は、上記響棒13と同じ材質または異なる材質とされ、木材のほか、金属、樹脂などからなり、細長い正方形柱状となっている。この連結棒16によって、響板11の振動/音が円滑に前面板6に伝わり、響板11の振動/音を打ち消したり障害となったりするように、前面板6が振動してしまうのが防止され、楽音装置全体から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0065】
響板11の中心は、前面板6の中心とはずれているので、連結棒16を響板11の中心または前面板6の中心に取り付けても、響板11と前面板6とが共振してしまうことがなく、楽音装置全体から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0066】
このような連結棒16は、響板11の中心のほか、前面板6の中心、響板11/前面板6の中心より上/下/左/右/左上/左下/右上/右下にずれた位置、上縁/下縁/左縁/右縁/左上隅/左下隅/右上隅/右下隅に取り付けられてもよい。このように、連結棒16が響板11の中心及び前面板6の中心からずれていれば、響板11と前面板6とが共振してしまうことがなく、楽音装置全体から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0067】
さらに、この連結棒16は、挿通穴9の下側の中央/中央やや右/中央やや左/右端/左端にとりつけられてもよい。このように、連結棒16が挿通穴9付近に設けられていれば、挿通穴9からの放射音量が大きくなる。
【0068】
このような連結棒16は、響板11の響棒13の裏側に取り付けられてもよい。これにより、響板11の振動/音がより速く前面板6に伝播される。また、この連結棒16は、電磁駆動ユニット14の背面と前面板6内面とを繋ぐように取り付けられてもよいし、電磁駆動ユニット14の上/下/左/右/左上/左下/右上/右下に取り付けられてもよい。これにより、電磁駆動ユニット14の振動/音がより速く前面板6に伝播される。
【0069】
このような連結棒16は、響板11、前面板6、電磁駆動ユニット14、底板2、右下内側板4、左下内側板5、中天板7、鍵盤22、右外側板24、左外側板25に対して垂直に設けられるほか、斜めに設けられてもよいし、複数本も受けられてもよい。連結棒16は響棒13より太くても細くてもよい。連結棒16は、真直ぐなもののほか、湾曲していてもよい。
【0070】
さらに、連結棒16は、上記響棒13…のいずれかに連結されるように設けられてもよいし、響棒13と連結されないように、響棒13…の間に取り付けられてもよい。また、連結棒16は、響棒13…のいずれかが取り付けられている位置の響板11の反対側面に取り付けられてもよいし、響棒13…が取り付けられていない位置つまり響棒13…の間の響板11の反対側面に取り付けられてもよい。
【0071】
また、連結棒16は、響板11内面、前面板6内面のほか、底板2、右下内側板4、左下内側板5、中天板7、鍵盤22、右外側板24、左外側板25などの内面に繋がれて連結されてもよい。
【0072】
連結棒16の断面形状は方形、三角形、多角形、円形、楕円、半円形、かまぼこ形、扇形など細長ければどのような形状でもよい。連結棒16の太さは均一でもよいし、細い太いが交互に入れ換わったり、中央が細くなったり太くなったり、端が太くなったり細くなったりしていてもよい。
【0073】
このような連結棒16が連結される響板11と楽音装置本体との間は、可撓性、弾性または/及びクッション性のある介在帯8が挟まれているので、響板11の振動/音が連結棒16を通じて楽音装置本体に伝播されても、介在帯8によって響板11にこの振動/音が再び伝わるのが防止され、響板11が共振するのが防止され、楽音装置全体から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0074】
連結棒16の両端と響板11または/及び前面板6との間にも、介在帯8が挟まれてもよい。また、連結棒16が長手方向に分割され、この複数の連結棒16の間にも介在帯8が挟まれてもよい。これにより、響板11の振動に抵抗/ブレーキがかかることがなくなる。
【0075】
この連結棒16で繋がれて連結される響板11と前面板6とは、響板11の方が柔らかく前面板6の方が硬い。これにより、響板11の方が音/振動に対して即応性/応答性が良くなり、前面板6の方の残響が長くなる。なお、逆に響板11の方が硬く前面板6の方が柔らかくてもよいし、両者同じ硬さでもよい。
【0076】
(8)連結棒16(連結体)の取り付け方法
上記連結棒16の取り付け位置は以下のようにして決定される。まず、連結棒16が取り付けられる前の響板11の周波数特性が測定される。この場合、楽音装置に響板11が取り付けられている状態で、響板11に取り付けられている上記電磁駆動ユニット14に種々の周波数/音高の楽音信号、全周波数帯域/全音高の楽音信号またはホワイトノイズ信号を送り込んで響板11を全周波数帯域で振動させる。
【0077】
この響板11の振動/音をマイクで拾い、拾った音を周波数帯域分析器(公知)で分析して響板11の周波数特性を測定する。このような周波数特性はたとえば図10のような特性となる。この図10の周波数特性においては、通常は平坦になることはなく、レベルが異なって凹凸があり、レベルの大きい凸部分とレベルの小さい凹部分とができる。
【0078】
このうち、レベルの大きい凸部分の中心周波数またはこの凸部分付近のみの複数の周波数を合成した楽音信号を上記電磁駆動ユニット14に送り込み、この状態で、連結棒16の響板11への当接位置/連結位置/繋ぐ位置を順次切り換えていく。そうすると、このレベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが大きくなったり小さくなったりする。
【0079】
ここで、図10の周波数特性が図6のように平坦になるように、上記レベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる位置を検索し、この検索された位置が上記連結棒16の繋がれる/連結される/当接される位置とされ、連結棒16の取り付け位置が決定される。
【0080】
また、レベルの小さい凹部分の中心周波数またはこの凹部分付近のみの複数の周波数を合成した楽音信号を上記電磁駆動ユニット14に送り込み、この状態で、連結棒16の響板11への当接位置/連結位置/繋ぐ位置を順次切り換えていく。そうすると、このレベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなったり小さくなったりする。
【0081】
ここで、図10の周波数特性が図6のように平坦になるように、上記レベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなる位置を検索し、この検索された位置が上記連結棒16の繋がれる/連結される/当接される位置とされ、連結棒16の取り付け位置が決定される。
【0082】
このようにして、連結棒16の取り付け位置が決定されるが、上述のうちレベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる位置、レベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなる位置、いずれが選ばれるかは、レベルの大きい凸部分とレベルの小さい凹部分とのいずれがより突出しているかなどの所定の条件によって決定される。
【0083】
この場合、両方の位置に連結棒16が取り付けられてもよいし、さらに他のレベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる位置、他のレベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなる位置にも連結棒16が取り付けられてもよい。
【0084】
このようにして連結棒16の取り付け位置を決定し、連結棒16及び響板11の材質、寸法を変えずに、連結棒16及び響板11並びに楽音装置を生産していけば、これらは同様の平坦に補正/修正された周波数特性となる。
【0085】
上記響棒13…は、主にレベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる響板11の位置に取り付けられ、連結棒16は、主にレベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなる響板11の位置に取り付けられる。なぜなら、響棒13…は、音を響板11全体に分散させる機能が比較的高く、連結棒16は、響板11の音を前面板6に共鳴させて楽音装置全体の音量を増大させる機能が比較的高いからである。
【0086】
むろん、上記響棒13…は、主にレベルの小さい凹部分の周波数特性のレベルが大きくなる響板11の位置に取り付けられ、連結棒16は、主にレベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる響板11の位置に取り付けられてもよい。
【0087】
上記連結棒16は、響棒13と連結されないように、響棒13…の間に取り付けられたり、響棒13…が取り付けられていない位置つまり響棒13…の間の響板11の反対側面に取り付けられたりする。これにより、響板11全体の音/振動をほぼ均一に前面板6に伝えることができる。
【0088】
これに対して、連結棒16は、上記響棒13…のいずれかに連結されるように設けられてもよいし、響棒13…のいずれかが取り付けられている位置の響板11の反対側面に取り付けられてもよい。これにより、当該連結される響棒13で補正されるレベルの小さい凹部分またはレベルの大きい凸部分の周波数が前面板6に主によく伝達される。
【0089】
上記響棒13…が上記響板11に取り付けられた後に、上記連結棒16は当該響板11と前面板6との間に繋げられ取り付けられる。これにより、響棒13…である程度平坦にしたまたは凸部分を均した周波数特性の音響を前面板6に伝えることができる。つまり、響棒13…の調整で響板11の周波数特性を整えた後に、連結棒16の調整で楽音装置全体の周波数特性を整えることができる。
【0090】
これに対して、上記響棒13…が上記響板11に取り付けられる前に、上記連結棒16は当該響板11と前面板6との間に繋げられ取り付けられてもよい。これにより、連結棒16である程度平坦にしたまたは凹部分を均した周波数特性の音響を響板11の周波数特性とすることができる。つまり、連結棒16の調整で楽音装置全体の周波数特性を整えた後に、響棒13…の調整で響板11の周波数特性を整えることができる。
【0091】
(9)介在帯(介在体)8
上記介在帯(介在体)8は、発泡ウレタン樹脂、ゴム、発泡ウレタン製、ウレタンエラストマー製、スチレン系ポリマー、エポキシ、塩化ビニール、酢酸ビニール、合成ゴムなどの可撓性、弾性または/及びクッション性のある軟質樹脂製、布、紙、パルプなどからなっている。
【0092】
この介在帯8の密度は例えば240kg/m3、25%圧縮荷重は例えば0.04Mpa、引張り強度は例えば0.54Mpa、伸びは例えば115%、引裂強度は例えば1.8N/mm、圧縮残留歪は例えば2.7%(70℃×22hr、50%圧縮にて測定)、圧縮永久歪みは例えば7.6%、厚み公差は例えば±10%である。この介在帯8の厚さは例えば1.0mm乃至10.0mm、望ましくは2.0mm乃至7.0mm、より望ましくは3.0mm乃至4.0mmである。
【0093】
次述する圧縮された状態においては、介在帯8の厚みは少なくとも0.5mm以上必要となる。次述する0%圧縮のときは、介在帯8の厚みは少なくとも0.5mm以上必要となる。次述する90%圧縮のときは、介在帯8の厚みは少なくとも5.0mm以上必要となる。
【0094】
上記響板11は当接枠3に木ねじなどで押し付けて固定される。この場合、上記介在帯8の厚さは、0%乃至90%、望ましくは0%乃至80%、より望ましくは0%乃至70%、さらに望ましくは0%乃至60%、よりさらに望ましくは0%乃至50%、さらにより望ましくは0%乃至45%、よりさらに望ましくは0%乃至40%、さらにより望ましくは0%乃至35%、よりさらに望ましくは0%乃至30%、さらにより望ましくは0%乃至25%、よりさらに望ましくは0%乃至20%、さらにより望ましくは0%乃至15%、よりさらに望ましくは0%乃至10%圧縮する状態とされる。
【0095】
または、上記介在帯8の厚さは、0%乃至90%、望ましくは0%乃至80%、より望ましくは1%乃至70%、さらに望ましくは1%乃至60%、よりさらに望ましくは2%乃至50%、さらにより望ましくは2%乃至45%、よりさらに望ましくは3%乃至40%、さらにより望ましくは3%乃至35%、よりさらに望ましくは4%乃至30%、さらにより望ましくは4%乃至25%、よりさらに望ましくは5%乃至20%、さらにより望ましくは5%乃至15%、よりさらに望ましくは6%乃至10%圧縮する状態とされる。
【0096】
この介在帯8の厚さの圧縮率が小さいと、上記介在帯8、当接枠3及び響板11の間で、互いが振動でぶつかりあう可能性が高くなるが、0%でも振動でぶつかりあう可能性はあまりない。この介在帯8の厚さの圧縮率が大きいと、上記響板11から当接枠3へ振動が伝わり易くなって、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまう可能性が高くなるが、圧縮率が90%を超えず、厚みが0.5mm以上であれば、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことが防止される効果は維持される。
【0097】
したがって、上記介在帯8、当接枠3及び響板11の間に隙間がない状態とされる。これにより、上記介在帯8、当接枠3及び響板11の間で、互いが振動でぶつかりあうことがなくなり、異常振動/異常音が発生してしまうことがなくなり、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0098】
上記楽音装置本体の当接枠3と響板11との間には、この可撓性、弾性または/及びクッション性のある介在帯8が介在されているので、響板11は楽音装置本体つまり当接枠3に直接接触しない状態となる。
【0099】
したがって、響板11の音/振動が楽音装置本体に直接伝わらず、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。このような介在帯8が無いと、響板11の振動に抵抗/ブレーキがかかって音量が低下してしまうが、このような介在帯8があると、響板11の振動に抵抗/ブレーキがかからず、音量が大きくなる。
【0100】
(10)挿通穴9
図6は響板11から放射される音の周波数特性を示す。図6の実線は挿通穴9があるときの特性で、同図の破線は挿通穴9がないときの特性を示す。挿通穴9を楽音装置本体の前面に設けると、響板11の周波数特性において、130Hz乃至150Hz(140Hz付近)から180Hz付近の音量が増加する。
【0101】
この挿通穴9からの音と響板11からの音は同じ音であるが、挿通穴9からの音は響板11の内側から放射されたもので、響板11の外側からの音とは位相が反転されているが、挿通穴9からの音は響板11の外面と反対側に放射され、響板11の外面と同じ方向には放射されないので、これらの音は互いに打ち消しあったり悪影響を及ぼしあったりすることがなく、響板11から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0102】
このような挿通穴9は前面板6の上縁であって、鍵盤22の下または上といった、鍵盤22により近い箇所が望ましい。これにより、演奏者自身が自分の弾いている音に包み込まれるような感触が得られ、実際のアコースティックな楽器に近い演奏感触が得られる。
【0103】
この挿通穴9は上述のように三分割されて挿通穴9の個数は3個であり、各挿通穴9の縦は約7cmで、各挿通穴9の横は前面板6の幅のほぼ1/3である。この挿通穴9の縦または横の寸法を大きくしたり挿通穴9の個数を増やしたりすると、上記130Hz乃至150Hz(140Hz付近)から180Hz付近より低音の音量が増加するなど、特定の周波数成分が増減するといったように、周波数特性が様々に変化する。
【0104】
この挿通穴9の縦または横の寸法を小さくしたり挿通穴9の個数を減らしたりすると、上記130Hz乃至150Hz(140Hz付近)から180Hz付近より、より高音の音量が増加するなど、特定の周波数成分が増減するといったように、周波数特性が様々に変化する。このようにして、図6の周波数特性全体をフラットにするまたはイコライザー化するように、この挿通穴9の寸法と個数が決定される。
【0105】
この挿通穴9は、前面板6の中央、左側、右側、下側、中央やや左側、中央やや右側、中央やや下側、中央やや上側などに設けられてもよい。また挿通穴9の形状は垂直方向、斜め方向、円形、楕円形、多角形などどのような形状でもよい。さらに、挿通穴9は単数または複数いずれでもよく、挿通穴9の一部または全体が省略されても良い。
【0106】
(11)駆動回路
図8は、電磁駆動ユニット14、上面スピーカー31L、31R、32L、32R、前面ツィーター33L、33Rの駆動回路(楽音制御回路)を示す。パンポット回路41からは、デジタルから変換されたアナログの、音像を形成するための複数の左右のチャンネル楽音信号が出力される。
【0107】
パンポット回路41からの左の楽音信号Lは、左DSPフィルタ42Lでフィルタ制御され、図6に示すように、左4バンドイコライザー43Lで周波数特性が平坦にされ、左アンプ44Lで増幅されて、左側の2つの上面スピーカー31L、32Lから放音出力される。また、左アンプ44Lの出力は、左ネットワークフィルタ45Lでフィルタ制御され、左側の前面ツィーター33Lから放音出力される。「DSP」はデジタルシグナルプロセッサを意味する。
【0108】
パンポット回路41からの右の楽音信号Rは、右DSPフィルタ42Rでフィルタ制御され、図6に示すように、右4バンドイコライザー43Rで周波数特性が平坦にされ、右アンプ44Rで増幅されて、右側の2つの上面スピーカー31R、32Rから放音出力される。また、右アンプ44Rの出力は、右ネットワークフィルタ45Rでフィルタ制御され、右側の前面ツィーター33Rから放音出力される。
【0109】
また、パンポット回路41からの左の楽音信号Lと右の楽音信号Lは合成されて、図6に示すように、3バンドイコライザー46で周波数特性が平坦にされ、アンプ47で増幅されて、上記電磁駆動ユニット14に送られ、上記響板11から放音出力される。
【0110】
ネットワークフィルタ45L、45Rでは、高音が抽出され、中音と低音がカットされ、図6に示すように、6kHz乃至15kHzの音が、左4バンドイコライザー43L及び右4バンドイコライザー43Rで、周波数特性が平坦にされ、前面ツィーター33L、33Rから出力される。
【0111】
左DSPフィルタ42L及び右DSPフィルタ42Rでは、レジスタ48から送られてくるフィルタ設定データに基づいて、カットオフ周波数または/及び減衰量が制御され、図6に示すように、180Hz乃至6kHzの音が、左4バンドイコライザー43L及び右4バンドイコライザー43Rで、周波数特性が平坦にされ、上面スピーカー31L、31R、32L、32Rから出力される。
【0112】
また、左DSPフィルタ42L及び右DSPフィルタ42Rでは、レジスタ48から送られてくるフィルタ設定データに基づいて、カットオフ周波数または/及び減衰量が制御され、図6に示すように、50Hz乃至180Hzの音が、3バンドイコライザー46で、周波数特性が平坦にされ、電磁駆動ユニット14及び響板11から出力される。
【0113】
楽音装置前面のパネルスイッチ群には、本楽音装置が壁に接近して設置されたときに、操作される切換スイッチ49が設けられている。この切換スイッチ49のオンデータは、デコーダ50でカットオフ周波数変更または/及び減衰量変更のフィルタ制御データに変換され、上記レジスタ48にストアされる。
【0114】
また、本楽音装置の背面または上面には、超音波センサーまたは細長い突起などによる壁接近センサー51が設けられている。この壁接近センサー51のオンデータは、デコーダ50でカットオフ周波数変更または/及び減衰量変更のフィルタ制御データに変換され、上記レジスタ48にストアされる。
【0115】
このフィルタ制御データは、例えば、180Hz〜6kHzの中音の成分の減衰量/レベルを下げるものであり、これにより、本楽音装置が壁に接近して設置されたとき、上面スピーカー31L、31R、32L、32Rからの中音域の放音量が低下される。
【0116】
このような左DSPフィルタ42L及び右DSPフィルタ42Rは、内側の上面スピーカー31L、31Rの入力端だけに設けられても良い。これにより譜面台36の背面の中音域の音量のみを減少させ、壁に反射する音量を低下させることができる。また、このような左DSPフィルタ42L及び右DSPフィルタ42Rは、外側の上面スピーカー32L、32Rの入力端だけに設けられても良い。これにより譜面台36の外横の中音域の音量のみを減少させ、壁に反射する音量を低下させることができる。
【0117】
さらに、このような左DSPフィルタ42Lまたは右DSPフィルタ42Rは、電磁駆動ユニット14の入力端だけに設けられても良い。これにより楽音装置の背面の響板11から放射される低音域の音量のみを減少させ、壁に反射する音量を低下させることができる。また、このような左DSPフィルタ42L及び右DSPフィルタ42Rは、前面ツィーター33L、33Rの入力端だけに設けられても良い。これにより楽音装置の前面の高音域の音量のみを減少させ、壁に反射する音量を低下させることができる。
【0118】
図6の周波数特性は、前面ツィーター33L、33R、上面スピーカー31L、31R、32L、32R、電磁駆動ユニット14に送り込まれる楽音信号の周波数特性ではなく、前面ツィーター33L、33R、上面スピーカー31L、31R、32L、32R、響板11から実際に放射される音の周波数特性を測定したものである。
【0119】
(12)他の実施の形態
本件発明は上記実施例に限定されず、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、電磁駆動ユニット(変換体/電磁駆動体/背面放音体)14は、響板11の下方、右方、左方、右上隅、右下隅、左下隅、左上隅に取り付けられてもよい。
【0120】
電磁駆動ユニット14及び響板11は、本楽音装置の上面、前面、左側面または右側面などに設けられてもよいし、ツィーターまたはスピーカーで代用可能である。上面スピーカー31L、31R、32L、32Rは、本楽音装置の前面、背面、左側面または右側面などに設けられてもよいし、電磁駆動ユニットまたはツィーターで代用可能である。前面ツィーター33L、33Rは、本楽音装置の上面、背面、左側面または右側面などに設けられてもよいし、電磁駆動ユニットまたはスピーカーで代用可能である。
【0121】
前面ツィーター33L、33R、上面スピーカー31L、31R、32L、32Rは単数とされてもよく、送り込まれる楽音信号はモノラル信号でもよい。電磁駆動ユニット14は複数とされてもよく、送り込まれる楽音信号はステレオ信号/音像を形成するための複数のチャンネル信号でもよい。
【0122】
上記レベルの大きい凸部分は、図9及び図10における縦軸がプラスマイナス逆になれば、レベルの小さい凹部分に入れ替わることになるし、上記レベルの小さい凹部分は、図9及び図10における縦軸がプラスマイナス逆になれば、レベルの大きい凸部分に入れ替わることになる。
【0123】
当接枠3は省略されて、底板2、右下内側板4、左下内側板5、中天板7の後縁に介在帯8を介して響板11が取り付けられるなどされてもよく、また右外側板24、左外側板25等の後縁に介在帯8を介して響板11が取り付けられるなどされてもよく、当接体は楽音装置本体の一部であってもよい。
【0124】
介在帯8は、可撓性、弾性またはクッション性があれば、どのような素材からなっていてもよい。響板11前面と当接枠3後面とは一部または全部重複していたが、全く重複しなくてもよい。この場合、介在帯8の一部に、響板11前面と当接枠3後面とで挟まれない箇所ができることになる。
【0125】
響板11は楽音装置本体(底板2、当接枠3、右下内側板4、左下内側板5、前面板6、中天板7)に全く接触しない状態であるが、一部接触してもよい。響板11の全周縁には介在帯8が一部隙間あるように介在されてもよく、響板11の全周縁と楽音装置本体との間には隙間が少々あってもよい。
【0126】
上記響板11が取り付けられる楽音装置本体の、響板11が取り付けられる側、上側、下側、右側、左側の一部に隙間があってもよい。響板11が取り付けられる楽音装置本体の、響板11が取り付けられる側と反対側の挿通穴9は省略されてもよい。右下内側板4及び左下内側板5または右外側板24及び左外側板25の一方が一部または全体が省略されてもよい。
【0127】
響板11の枠棒12の一部または全部が省略されても良いし、響板11の響棒13…または枠棒12の一部または全部が省略されても良い。響板11の響棒13…または枠棒12の断面形状は方形、三角形、多角形、円形、楕円、半円形、かまぼこ形、扇形など細長ければどのような形状でもよい。響棒13…または枠棒12の太さは均一でもよいし、細い太いが交互に入れ換わったり、中央が細くなったり太くなったり、端が太くなったり細くなったり、真直ぐなもののほか湾曲していてもよい。
【0128】
響棒13…は、等間隔に取り付けられてもよいし、垂直方向/縦向きに取り付けられてもよいし、水平方向/横向きに取り付けられてもよいし、これらが混在してもよい。響棒13…は響板11の外面/後面/背面ではなく、内面/前面/正面にも取り付けられてもよいし、両面に取り付けられても良い。この場合、響板11の柾目と垂直方向に延びるように取り付けられるが、柾目と平行に延びるように取り付けられてもよいし、柾目に斜めに延びるように取り付けられてもよい。
【0129】
響棒13…の各間隔は、電磁駆動ユニット14の直径より小さくてもよい。この場合、電磁駆動ユニット14は響棒13…の間に位置せず、響棒13…の一本または複数に重なって取り付けられることになる。電磁駆動ユニット14は響板11の中心に取り付けられてもよい。響棒13…の各間隔は、鍵盤22の中の低音域の楽音が出力指示される側に近づくにしたがって徐々に広くなっても、徐々に狭くってなってもよい。
【0130】
楽音装置本体(底板2、当接枠3、右下内側板4、左下内側板5、前面板6、中天板7)は、箱型であったが、八面体、十二面体、円筒、円柱、テーパ状、ラッパ状、球形、湾曲立体など、どのような形状であってもよい。響板の形状は方形以外に、円形、多角形、環状など、平坦であればどのような形状でもよい。
【0131】
上記響板11は、平坦であるが、凹条に湾曲していても良いし、凸状に湾曲していてもよい。これにより、響板11から発生される楽音の波形は平面波ではなく、球面波になる。電磁駆動ユニット(電磁駆動体)14は、スピーカー、ツィーターなどに置き換えられても良い。
【0132】
また、本件発明の装置を取り付ける楽器は、アップライトピアノ、グランドピアノ、電子ピアノ、電子オルガン、チェンバロ、電子チェンバロ、ピアニカ、電子ピアニカなど鍵盤があればどのような楽器でもよい。この場合、響板11はほぼ垂直方向/ほぼ縦向きではなくほぼ水平方向/ほぼ横向きに配置されるので、電磁駆動ユニット14もほぼ横向き/水平方向向きにされて取り付けられる。
【0133】
さらに、電磁駆動ユニット14の取付け位置は、響板11の端部ではなく、中央に近いところまたは中央でも良い。電磁駆動ユニット14は、1つの響板11に複数取り付けられてもよい。この場合、電磁駆動ユニット14は、響板11の両端部の互いに対称な位置に取り付けられる。電磁駆動ユニット14からは低音ではなく、高音、中音などが出力されてもよい。
【0134】
さらに、上記複数種類の楽音からなる楽音信号は、複数種類の楽器、音色、音高または/及びタッチの楽音の信号からなっており、ポリフォニックに発音される楽音の信号であり、低音、中音、高音の各周波数帯域の楽音が含まれている。このような楽音信号には、楽器の弦自体、管自体、打自体の部分の楽音の信号ほか、響板部分の楽音の信号も含まれるが、弦自体、管自体、打自体の部分の楽音の信号のみでもよいし、実際のアコースティック楽器の響板部分の楽音の信号のみでもよいし、上記複数種類の楽音からなる楽音信号はPCMなどのデジタル信号でも良い。
【0135】
(13)他の発明の効果
[1]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる変換体と、 上記響板の内面と、楽音装置における当該響板と反対側の面の内面との間に取り付けられた、両内面を繋ぐ細長い連結体とを備えた楽音装置につき、 上記連結体が取り付けられる前の上記響板の周波数特性を測定する工程と、 この測定されたレベルの異なる周波数特性のうち、レベルの大きい部分または小さい部分の周波数で当該響板を振動させて周波数特性を測定する工程と、 上記連結体が上記響板に当接する位置を切り換えて、このレベルの小さい部分の周波数特性のレベルが増加する、またはこのレベルの大きい部分の周波数特性のレベルが減少する位置を検索する工程と、 この検索された位置を上記連結体が繋がれる位置とする工程とを備えたことを特徴とする楽音装置の生産方法。
【0136】
[2]上記響板の周波数特性を測定する工程と、 この測定されたレベルの異なる周波数特性のうち、レベルの大きい部分または小さい部分の周波数で当該響板を振動させて周波数特性を測定する工程と、 上記響板表面に取り付けられる響棒につき、この響棒が上記響板に当接する位置を切り換えて、このレベルの小さい部分の周波数特性のレベルが増加する、またはこのレベルの大きい部分の周波数特性のレベルが減少する位置を検索する工程と、 この検索された位置を上記響棒が取り付けられる位置とする工程とを備えたことを特徴とする請求項1記載の楽音装置の生産方法。これにより、響板の周波数特性が平坦となり、響板から出力される音の周波数/音高が変化しても、音量が不用意に変化してしまうことがなくなり、全周波数/全音高にわたって均一な音量特性を達成できる。
【0137】
[3]上記響板表面に取り付けられる響棒が上記響板に取り付けられた後に、上記連結体は当該響板に繋げられることを特徴とする請求項1または2記載の楽音装置の生産方法。
【0138】
[4]上記連結体は、レベルの小さい部分の周波数特性のレベルが増加する響板の位置に取り付けられ、上記響板表面に取り付けられる響棒は、レベルの大きい部分の周波数特性のレベルが減少する響板の位置に取り付けられることを特徴とする請求項2または3記載の楽音装置の生産方法。音を響板全体に分散させる響棒の機能を発揮させることができ、響板の音を前面板に共鳴させて楽音装置全体の音量を増大させる連結棒の機能を発揮させることができる。
【0139】
[5]振動されて音を放射する平板状の楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる変換体と、 上記響板の内面と、楽音装置における当該響板と反対側の面の内面との間に取り付けられた、両内面を繋ぐ細長い連結体とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【0140】
[6]上記響板は上記楽音装置の後面に取り付けられ、上記連結体は上記響板内面と当該楽音装置の前板内面との間に取り付けられることを特徴とする請求項5記載の楽音装置。これにより、響板の振動/音が響板と反対側によく伝わり、響板と反対側からも音が良くでる。また、響板の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板から発せられる楽音が不用意に変異してしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0141】
[7]上記響板の表面には複数の細長い響棒が取り付けられ、この響棒の各間隔は不均一であり、上記連結体または変換体はこの各響棒の間に取り付けられていることを特徴とする請求項5または6記載の楽音装置。これにより、響棒の各間隔の響板部分から発せられる楽音に高さに違いが生じ、響板の各部分の振動が共振しなくなる。
【0142】
[8]上記楽音装置は、高音域から低音域までの音高の異なる複数の楽音の出力を指示する鍵盤を備え、 上記変換体からは主に低音域の楽音が出力されることを特徴とする請求項5、6または7記載の楽音装置。これにより、鍵盤の低音域側の方から実際に低音域の楽音が放射され、実際の鍵盤楽器の演奏状態に近い振動・感触が得られる。
【0143】
[9]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側、上側、下側、右側、左側は隙間なく密封されていることを特徴とする請求項5、6、7または8記載の楽音装置。これにより、響板の左右上下から響板からの音が漏れず、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0144】
[10]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側と反対側には挿通穴が形成されていることを特徴とする請求項5、6、7、8または9記載の楽音装置。これにより、楽音装置の響板とは反対側に響板の音が放射され、この放射音と響板からの音とは互いに打ち消しあったり悪影響を及ぼしあったりすることがなく、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、響板の振動が楽音装置の前面にも放射され、実際のアコースティックな鍵盤楽器のような感触が得られる。
【0145】
[11]高音域から低音域までの音高の異なる複数の楽音の出力の指示をする鍵盤と、 この鍵盤に対して背面側に設けられた、音を放射する背面放音体と、 この鍵盤に対して上面側に設けられ、上記背面放音体と周波数帯域の異なる周波数帯域の音を放射する上面放音体と、 この鍵盤に対して前面側に設けられ、上記背面放音体及び上面放音体と周波数帯域の異なる音を放射する前面放音体とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【0146】
[12]上記鍵盤の近傍には譜面台が設けられ、 上記上面放音体は複数設けられ、この複数の上面放音体の一部は、上記譜面台の背後に配置され、この複数の上面放音体の他の一部は、上記譜面台の手前または側部に配置されていることを特徴とする楽音装置。
【0147】
[13]楽音装置の背面に壁が接近していることを検出して、上記上面放音体、前面放音体または背面放音体から放射される音の周波数成分のうち、高音域、中音域または低音域の成分を減少させることを特徴とする請求項11または12記載の楽音装置。これにより、壁から反射されてくる周波数帯域の成分を減少させて、全帯域にわたって均一な音量特性を実現できる。
【0148】
[14]上記背面放音体、上面放音体及び前面放音体の少なくとも1つは、振動されて音を放射する楽器の響板であり、 この響板が取り付けられる側と反対側には挿通穴が形成されていることを特徴とする請求項11、12または13記載の楽音装置。これにより、楽音装置の響板とは反対側に響板の音が放射され、この放射音と響板からの音とは互いに打ち消しあったり悪影響を及ぼしあったりすることがなく、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、響板の振動が楽音装置の前面にも放射され、実際のアコースティックな鍵盤楽器のような感触が得られる。
【0149】
[15]上記背面放音体、上面放音体及び前面放音体の少なくとも1つは、 振動されて音を放射する楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させ、上記響板に取り付けられる電磁駆動体とから構成される、 他の少なくとも1つは、スピーカーから構成されることを特徴とする請求項11、12、13または14記載の楽音装置。これにより、響板とスピーカーとで複合的でバランスの取れた発音体を提供できる。
【0150】
[16]上記背面放音体、上面放音体及び前面放音体の少なくとも1つは、振動されて音を放射する楽器の響板であり、他の少なくとも1つは複数のスピーカーであり、 この複数のスピーカーには、音像を形成するための複数のチャンネル信号が、それぞれ送られることを特徴とする請求項11、12、13、14または15記載の楽音装置。これにより、響板とスピーカーとで複合的でバランスの取れた発音体を提供でき、しかも音像も形成できる。
【0151】
[17]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側と反対側の内面と響板の内面との間には、両内面を繋ぐ細長い連結体が取り付けられていることを特徴とする請求項11、12、13、14、15または16記載の楽音装置。これにより、響板の振動/音が響板と反対側によく伝わり、響板と反対側からも音が良くでる。また、響板の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板から発せられる楽音が不用意に変異してしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0152】
[21]振動されて音を放射する楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる電磁駆動体であって、この電磁駆動体は上記響板の中心からずれた位置に取り付けられ、 上記響板の表面に取り付けられた複数の細長い響棒であって、この響棒の各間隔は不均一であり、上記電磁駆動体はこの各響棒の間に取り付けられていることを特徴とする楽音装置。
【0153】
[22]上記楽音装置は、高音域から低音域までの音高の異なる複数の楽音の出力を指示する鍵盤を備え、上記電磁駆動体は、上記響板上の上記鍵盤における低音域側に寄った位置に取り付けられていることを特徴とする請求項21記載の楽音装置。これにより、鍵盤の低音域側に寄った位置から主に楽音が放射され、低音に重点を置いた楽音装置を実現できる。
【0154】
[23]上記楽音装置は、高音域から低音域までの音高の異なる複数の楽音の出力を指示する鍵盤を備え、 上記響棒の各間隔は、上記鍵盤の低音域側に寄るにしたがって広くなっていることを特徴とする請求項21または22記載の楽音装置。これにより、響板において、鍵盤の低音域側に寄るほど、低音域の楽音の割合が増加し、実際の鍵盤楽器の演奏状態に近い振動・感触が得られる。
【0155】
[24]上記楽音装置は、高音域から低音域までの音高の異なる複数の楽音の出力を指示する鍵盤を備え、 上記電磁駆動体からは主に低音域の楽音が出力されることを特徴とする請求項21、22または23記載の楽音装置。これにより、鍵盤の低音域側の方から実際に低音域の楽音が放射され、実際の鍵盤楽器の演奏状態に近い振動・感触が得られる。
【0156】
[25]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側と反対側の内面と響板の内面との間には、両内面を繋ぐ細長い連結体が取り付けられていることを特徴とする請求項21、22、23または24記載の楽音装置。これにより、響板の振動/音が響板と反対側によく伝わり、響板と反対側からも音が良くでる。また、響板の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板から発せられる楽音が不用意に変異してしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0157】
[26]上記電磁駆動体は、上記響板の中心から上方にずれた位置に取り付けられていることを特徴とする請求項21、22、23、24または25記載の楽音装置。これにより、響板の振動が共振したりしてしまうことがなくなり、響板から発せられる楽音が不用意に変異してしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【0158】
[27]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側、上側、下側、右側、左側は隙間なく密封されていることを特徴とする請求項21、22、23、24、25または26記載の楽音装置。これにより、響板の左右上下から響板からの音が漏れず、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0159】
[28]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側と反対側には挿通穴が形成されていることを特徴とする請求項21、22、23、24、25、26または27記載の楽音装置。これにより、楽音装置の響板とは反対側に響板の音が放射され、この放射音と響板からの音とは互いに打ち消しあったり悪影響を及ぼしあったりすることがなく、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、響板の振動が楽音装置の前面にも放射され、実際のアコースティックな鍵盤楽器のような感触が得られる。
【0160】
[31]振動されて音を放射する楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる電磁駆動体と、 楽音装置本体に設けられた、上記響板の縁が当接される当接体と、 この当接体と上記響板の縁との間に挟まれる可撓性を有する介在体とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【0161】
[32]振動されて音を放射する楽器の響板と、 複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる電磁駆動体と、 楽音装置本体に設けられた、上記響板の縁が当接される当接体と、 この当接体と上記響板の縁との間に挟まれる可撓性を有する介在体と、 上記響板は楽音装置本体に全く接触しない状態であって、上記介在体、当接体及び響板の間に隙間がない状態であり、当該介在体の厚さを0%乃至90%圧縮する状態で、響板を当接体に押し付けて固定する固定機構とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【0162】
[33]上記響板の全周縁には上記介在体が隙間なく介在され、当該響板の全周縁と楽音装置本体との間には隙間がなく密封されていることを特徴とする請求項31または32記載の楽音装置。これにより、響板の周囲から響板からの音が漏れず、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0163】
[34]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側、上側、下側、右側、左側は隙間なく密封されていることを特徴とする請求項31、32または33記載の楽音装置。これにより、響板の左右上下から響板からの音が漏れず、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0164】
[35]上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側と反対側には挿通穴が形成されていることを特徴とする請求項31、32、33または34記載の楽音装置。楽音装置の響板とは反対側に響板の音が放射され、この放射音と響板からの音とは互いに打ち消しあったり悪影響を及ぼしあったりすることがなく、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなり、響板の振動が楽音装置の前面にも放射され、実際のアコースティックな鍵盤楽器のような感触が得られる。
【0165】
[36]上記介在体は、上記可撓性のほか、弾性または/及びクッション性も有することを特徴とする請求項31、32、33、34または35記載の楽音装置。これにより、響板の音が楽音装置本体に伝わらず、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0166】
[37]上記介在体の厚さは、0%乃至90%、望ましくは0%乃至80%、より望ましくは0%乃至70%、さらに望ましくは0%乃至60%、よりさらに望ましくは0%乃至50%、さらにより望ましくは0%乃至45%、よりさらに望ましくは0%乃至40%、さらにより望ましくは0%乃至35%、よりさらに望ましくは0%乃至30%、さらにより望ましくは0%乃至25%、よりさらに望ましくは0%乃至20%、さらにより望ましくは0%乃至15%、よりさらに望ましくは0%乃至10%圧縮されることを特徴とする請求項31、32、33、34、35または36記載の楽音装置。
【0167】
これにより、当接体、介在体及び/または響板の間に隙間ができず、これらの間で異常な振動/音/共振が発生せず、響板から発せられる楽音が不用意に変異したり音量が減少したりしてしまうことがなくなる。
【0168】
[38]上記楽音装置は鍵盤楽器であり、上記響板は、この鍵盤楽器の楽音装置の背面側に取り付けられ、楽音装置の正面側の鍵盤の下側に挿通穴が形成されていることを特徴とする請求項31、32、33、34、35、36または37記載の楽音装置。これにより、響板の振動が鍵盤に伝播され、実際のアコースティックな鍵盤楽器のような感触が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
楽音装置の響板と他の側とが連結体で繋がれ、響板の振動/音が他の側によく伝わり、楽音装置全体としてよく音が出る。響板11の内面中心と、響板11と反対側の前面板6の内面との間には、両内面を繋ぐ真直ぐな連結棒16が挟まれている。この連結棒16によって、響板11の振動/音が円滑に前面板6に伝わり、楽音装置全体から楽音が発せられる。
【0170】
電磁駆動ユニット14に全周波数帯域信号を送り込んで響板11を全周波数帯域で振動させ、響板11の周波数特性を測定する。このうち、レベルの大きい凸部分の周波数の楽音信号を上記電磁駆動ユニット14に送り込み、連結棒16の響板11への繋ぐ位置を順次切り換えていく。レベルの大きい凸部分の周波数特性のレベルが小さくなる位置を検索し、この検索された位置が上記連結棒16の繋がれる位置とされる。
【0171】
楽音装置の背面、上面または/及び前面から、周波数帯域の異なる音が分けて放射され、楽音装置から全方向へ音が放射されて拡散され、臨場感のある演奏が実現される。鍵盤22の背面側(後面側も含む。他でも同じ。)に設けられた電磁駆動ユニット14及び響板11から低音域の楽音が放射され、鍵盤22の上面側に設けられた上面スピーカー31L、31R、32L、32Rから中音域の楽音が放射され、鍵盤22の前面側に設けられた前面ツィーター33L、33Rから高音域の楽音が放射される。
【0172】
響板の振動が共振せず、響板から発せられる楽音が不用意に変異してしまうことがなく、実際のアコースティックな楽器の楽音が実現される。電磁駆動ユニット14が響板11の中心からずれた位置に取り付けられ、響板11の振動が共振しなくなる。
【0173】
響板11の表面に取り付けられた複数の細長い響棒13の各間隔は不均一で、響棒13の各間隔の響板11部分から発せられる楽音に高さに違いが生じ、響板11の振動が共振しなくなる。電磁駆動ユニット14は各響棒13の間に取り付けられ、響板11が電磁駆動ユニット14によって振動されてから、この響板11の振動が響棒13を通じて響板11全体に伝達され、響板11より響棒13の方が先に音が伝達されず、響板11全体に音が均一に伝わる。
【0174】
響板が楽音装置本体に接触せず、当該介在体の厚さを圧縮する状態で、響板を当接体に押し付けて固定することにより、響板からの振動が楽音装置全体に直接伝わってしまうことがなくなる。
【0175】
楽音装置の垂直な方形の当接枠3の後面と響板11の外周縁野前面との間には、可撓性、弾性及びクッション性を有する介在帯8が挟まれ、響板11が当接枠3に押し付けられる。これにより、響板11からの振動が楽音装置全体に直接伝わってしまうことがないし、介在帯8、当接枠3及び響板11の間で共振が生じることもなく、響板11から発せられる楽音が不用意に変異してしまうことがなくなり、実際のアコースティックな楽器の楽音に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】楽音装置の背面を示す。
【図2】楽音装置の正面を示す。
【図3】楽音装置の縦断面を示す。
【図4】楽音装置の縦断面を示す。
【図5】楽音装置の横断面を示す。
【図6】響板11、上面スピーカー31L、31R、32L、32R、前面ツィーター33L、33Rの周波数特性を示す。
【図7】楽音装置の上面を示す。
【図8】電磁駆動ユニット14、上面スピーカー31L、31R、32L、32R、前面ツィーター33L、33Rの駆動回路(楽音制御回路)を示す。
【図9】響棒13…が取り付けられる前の響板11の周波数特性の一例を示す。
【図10】連結棒16が取り付けられる前の響板11の周波数特性の一例を示す。
【符号の説明】
【0177】
1…足部、2…底板、3…当接枠、
4…右下内側板、5…左下内側板、
6…前面板、7…中天板、
8…介在帯(介在体)、9…挿通穴、
11…響板(背面放音体)、12…枠棒、13…響棒、
14…電磁駆動ユニット(電磁駆動体/背面放音体)、
16…連結棒(連結体)、
21…機構箱、22…鍵盤、23…木ねじ、
24…右外側板、25…左外側板、
31L…左上面スピーカー(内側)(上面放音体)、
31R…右上面スピーカー(内側)(上面放音体)、
32L…左上面スピーカー(外側)(上面放音体)、
32R…右上面スピーカー(外側)(上面放音体)、
33L…左前面ツィーター(前面放音体)、
33R…右前面ツィーター(前面放音体)、
36…譜面台、37…放熱網、41…パンポット回路、
42L…左DSPフィルタ、42R…右DSPフィルタ、
43L…左4バンドイコライザー、43R…4バンドイコライザー、
44L…左アンプ、44R…右アンプ、
45L…左ネットワークフィルタ、45R…右ネットワークフィルタ、
46…3バンドイコライザー、47…アンプ、
48…レジスタ、49…切換スイッチ、
50…デコーダ、51…壁接近センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動されて音を放射する平板状の楽器の響板と、
複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる変換体と、
上記響板の内面と、楽音装置における当該響板と反対側の面の内面との間に取り付けられた、両内面を繋ぐ細長い連結体とを備えた楽音装置につき、
上記連結体が取り付けられる前の上記響板の周波数特性を測定する工程と、
この測定されたレベルの異なる周波数特性のうち、レベルの大きい部分または小さい部分の周波数で当該響板を振動させて周波数特性を測定する工程と、
上記連結体が上記響板に当接する位置を切り換えて、このレベルの小さい部分の周波数特性のレベルが増加する、またはこのレベルの大きい部分の周波数特性のレベルが減少する位置を検索する工程と、
この検索された位置を上記連結体が繋がれる位置とする工程とを備えたことを特徴とする楽音装置の生産方法。
【請求項2】
上記響板の周波数特性を測定する工程と、
この測定されたレベルの異なる周波数特性のうち、レベルの大きい部分または小さい部分の周波数で当該響板を振動させて周波数特性を測定する工程と、
上記響板表面に取り付けられる響棒につき、この響棒が上記響板に当接する位置を切り換えて、このレベルの小さい部分の周波数特性のレベルが増加する、またはこのレベルの大きい部分の周波数特性のレベルが減少する位置を検索する工程と、
この検索された位置を上記響棒が取り付けられる位置とする工程とを備えたことを特徴とする請求項1記載の楽音装置の生産方法。
【請求項3】
上記響板表面に取り付けられる響棒が上記響板に取り付けられた後に、上記連結体は当該響板に繋げられることを特徴とする請求項1または2記載の楽音装置の生産方法。
【請求項4】
上記連結体は、レベルの小さい部分の周波数特性のレベルが増加する響板の位置に取り付けられ、
上記響板表面に取り付けられる響棒は、レベルの大きい部分の周波数特性のレベルが減少する響板の位置に取り付けられることを特徴とする請求項2または3記載の楽音装置の生産方法。
【請求項5】
振動されて音を放射する平板状の楽器の響板と、
複数種類の楽音からなる楽音信号を機械的変化に変換して、上記楽器の響板を駆動させて音を放射させる変換体と、
上記響板の内面と、楽音装置における当該響板と異なる面の内面との間に取り付けられた、両内面を繋ぐ細長い連結体とを備えたことを特徴とする楽音装置。
【請求項6】
上記響板は上記楽音装置の後面に取り付けられ、上記連結体は上記響板内面と当該楽音装置の前板内面との間に取り付けられることを特徴とする請求項5記載の楽音装置。
【請求項7】
上記響板の表面には複数の細長い響棒が取り付けられ、この響棒の各間隔は不均一であり、上記連結体または変換体はこの各響棒の間に取り付けられていることを特徴とする請求項5または6記載の楽音装置。
【請求項8】
上記楽音装置は、高音域から低音域までの音高の異なる複数の楽音の出力を指示する鍵盤を備え、
上記変換体からは主に低音域の楽音が出力されることを特徴とする請求項5、6または7記載の楽音装置。
【請求項9】
上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側、上側、下側、右側、左側は隙間なく密封されていることを特徴とする請求項5、6、7または8記載の楽音装置。
【請求項10】
上記響板が取り付けられる楽音装置本体の、響板が取り付けられる側と反対側には挿通穴が形成されていることを特徴とする請求項5、6、7、8または9記載の楽音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−175866(P2008−175866A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6863(P2007−6863)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】