構造強度が改善された非対称ハニカム・ウォールフロー・フィルタ
ハニカム・フィルタは、第1の通路(208)と第2の通路(210)のアレイを画成する相互に連結した多孔質壁(206)のアレイを含む。第1の通路(208)は、第2の通路と側面で隣接し、第2の通路(210)よりも大きい水力直径を有する。第1の通路(208)は正方形の断面を有し、第1の通路の角部は、第1の通路(208)の角部に隣接する多孔質壁(206)の厚さ(t3)が第1と第2の通路(208,210)の縁に隣接する多孔質壁(206)の厚さ(t4)と同等であるような形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム・ウォールフロー・フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム・ウォールフロー・フィルタは、ディーゼル機関の排気ガスから炭質煤を除去するために用いられる。図1Aは、入口端102、出口端104、および入口端102から出口端104に長手方向に延在する相互に連結した多孔質壁106のアレイを有する従来のハニカム・ウォールフロー・フィルタ100を示している。相互に連結した多孔質壁106は、入口通路108と出口通路110の格子を画成する。入口端102では、出口通路110は充填材料112で端部が塞がれており、一方で、入口通路108は端部が塞がれていない。図面からは見えないが、出口端104では、入口通路108は充填材料112で端部が塞がれており、一方で、出口通路110は端部が塞がれていない。各入口通路108は全側面で出口通路110と隣接しており、またその逆も同様である。図1Bは、ハニカム・フィルタに用いられるセル構造の拡大図を示している。入口および出口通路(またはセル)108,110を画成している多孔質壁106は真っ直ぐであり、入口および出口通路108,110は、正方形の断面および等しい水力直径を有している。
【0003】
図1Aに戻る。ディーゼルの排気ガスが、入口通路108の塞がれていない端部を通ってハニカム・フィルタ100に流入し、出口通路110の塞がれていない端部を通ってハニカム・フィルタから流出する。ハニカム・フィルタ100の内部では、ディーゼルの排気ガスは、入口通路108から、多孔質壁106を通って出口通路110中に押し通される。ディーゼルの排気ガスがハニカム・フィルタ100を流通するときに、煤と灰の粒子が多孔質壁106上に蓄積し、入口通路108の有効流動面積が減少する。有効流動面積が減少すると、ハニカム・フィルタを横切って圧力降下が発生し、これにより、ディーゼル機関に対する背圧が徐々に上昇してしまう。圧力降下が許容できなくなると、熱再生を用いて、ハニカム・フィルタ中に捕捉された煤粒子を除去する。金属酸化物粒子、潤滑油からの添加剤、硫酸塩などを含む灰粒子は、可燃性ではなく、熱再生によって除去することができない。熱再生中、過度の温度上昇が生じる。これは、ハニカム・フィルタに熱衝撃を与えたり、亀裂を生じたり、溶融さえすることがある。
【0004】
ハニカム・フィルタが、熱再生に耐えるのに十分な構造強度を有することが望ましい。頻繁に熱再生を行う必要をなくすために、ハニカム・フィルタの、煤および灰の粒子を貯蔵する能力が高いことも望ましい。入口および出口通路が等しい水力直径を有するセラミック構造体について、入口通路の有効流動面積は、出口通路のものよりもずっと小さくなり、ハニカム・フィルタを横切って大きな圧力降下が生じ得る。この圧力降下を減少させることに対して提案された解決策の1つは、入口通路の水力直径(または有効流動断面積)を出口通路のものよりも大きくする工程を含む。このようにして、煤と灰の粒子が多孔質壁の入口部分に蓄積するにつれ、入口通路の有効流動面積は、出口通路のものと等しくなる傾向にある。
【0005】
図1Bに示した従来のハニカム・セル構造について、入口通路108の水力直径は、出口通路110の水力直径を減少させることによって、出口通路110のものより大きくすることができる。図1Cは、出口通路110が入口通路108と比較して小さな水力直径を有するように出口通路110の水力直径を減少させた後の図1Bのハニカム・セル構造を示している。実施できる別の改変は、入口通路108の水力直径を増加させることである。この改変には、ハニカム・フィルタの入口部分において煤と灰の粒子を収集するのに利用できる有効表面積を増加させるという利点がある。これにより、ハニカム・フィルタの全体の貯蔵能力が最終的に増加する。図1Dは、入口通路108の水力直径を増加させた後の図1Cのハニカム・セル構造を示している。ハニカム・フィルタのセル密度を変更せずに、入口通路108の水力直径を増加させると、入口通路108の隣接する角部の間の壁厚がそれに対応して減少する(図1Dのt2を図1Cのt1と比較する)。入口通路の角部の間の壁がより薄くなるので、ハニカム・フィルタの構造強度が減少し、ハニカム・フィルタが、熱再生中に熱衝撃と亀裂形成をより受けやすくなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した点に鑑みて、ハニカム・フィルタの構造強度を著しく減少させずに、ハニカム・フィルタを通る流量を良好に維持しながら、ハニカム・フィルタの貯蔵能力を改善する方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ある態様において、第1の通路と第2の通路のアレイを画成する相互に連結した多孔質壁のアレイを含むハニカム・フィルタに関する。第1の通路は、第2の通路と側面で隣接し、第2の通路よりも大きい水力直径を有する。第1の通路は正方形の断面を有し、第1の通路の角部は、第1の通路の角部に隣接する多孔質壁の厚さが第1と第2の通路の縁に隣接する多孔質壁の厚さと同等であるような形状を有する。
【0008】
本発明は、別の態様において、正方形断面を持つ第1の通路および正方形断面を持つ第2の通路のアレイを画成する、相互に連結した多孔質壁のアレイを有してなるハニカム・フィルタに関する。第1の通路は、その縁で第2の通路と隣接している。第1の通路の縁は、隣接する第2の通路の縁とアライメントされている。第1の通路は、第2の通路よりも大きい水力直径を有する。
【0009】
本発明は、さらに別の態様において、中央領域および周辺領域を有するセル形成ダイを備えた、ハニカム・フィルタを製造するための押出ダイ・アセンブリに関する。この中央領域は、第1と第2のピンのアレイを画成するように切り込まれた吐出スロットのアレイ、および吐出スロットのアレイと繋がった第1の供給孔のアレイを含む。周囲領域は少なくとも第2の供給孔を含む。第1のピンは第2のピンよりも大きい断面積を有する。第1のピンの断面形状は、吐出スロットの幅が実質的に均一になるように選択される。押出ダイ・アセンブリは、少なくとも第2の供給孔と選択的に繋がっている表皮スロットを画成するように、セル形成ダイと同軸に取り付けられ、セル形成ダイから半径方向に離れて置かれた表皮形成マスクも備えている。
【0010】
本発明の他の特徴と利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここで、添付の図面に示したいくつかの好ましい実施の形態を参照して、本発明を詳しく説明する。以下の説明において、本発明を完全に理解できるように、数々の特別な詳細を述べる。しかしながら、これらの特別な詳細の内のいくつかまたは全てを含まずに、本発明を実施してもよいことが当業者には明らかであろう。他の例において、本発明の不必要に分かりにくくしないように、よく知られた特徴および/またはプロセスの工程は、詳しく説明していない。本発明の特徴および利点は、図面および以下の説明を参照して、よりよく理解されるであろう。
【0012】
説明目的のために、図2Aは、本発明の実施の形態によるハニカム・ウォールフロー・フィルタ200を示している。ハニカム・フィルタ200は、表皮(または周囲壁)204により断面形状が画成された円柱体202を有する。表皮204の外形は、一般に、円形または楕円形であるが、本発明は、いずれの特定の表皮外形にも制限されない。円柱体202は、相互に連結した多孔質壁206のアレイを有し、これらのアレイは表皮204と交差している。多孔質壁206は、円柱体202内に入口通路208と出口通路210の格子を画成する。入口通路208と出口通路210は、円柱体202の長手方向に延在する。一般に、円柱体202は押出しにより製造される。一般に、円柱体202は、コージエライトや炭化ケイ素などのセラミック材料から製造されるが、ガラス、ガラスセラミック、プラスチック、および金属などの他の押出可能な材料から製造することもできる。
【0013】
ハニカム・フィルタ200は、流れ、例えば、排気ガス流を受け入れるための入口端212、および濾過された流れがそこを通ってハニカム・フィルタから流出できる出口端214を有する。入口端212では、出口通路210の端部部分が充填材料216により塞がれており、一方で、入口通路208の端部部分は塞がれていない。一般に、充填材料216は、コージエライトや炭化ケイ素などのセラミック材料から製造される。図面からは見えないが、出口端214では、入口通路208の端部部分が充填材料216により塞がれており、一方で、出口通路210の端部部分は塞がれていない。表皮204の周囲に近い部分セルは、一般に、充填材料により塞がれている。ハニカム・フィルタ200の内部では、相互に連結した多孔質壁206により、入口通路208から出口通路210中に流れが生じる。多孔質壁206の気孔率は様々であってよい。一般に、気孔率は、ハニカム・フィルタの構造健全性が損なわれないようなものであるべきである。ディーゼル排気微粒子の濾過のためには、多孔質壁206は、1から60μmの範囲、より好ましくは10から50μmの範囲の平均直径を有する細孔を含む。
【0014】
図2Bは、ハニカム・フィルタ200のセル構造の拡大図を示している。各入口通路208は出口通路210と隣接し、またその逆もまた同様である。ハニカム・フィルタ200の使用中に流量を良好に維持するために、入口通路208は、出口通路210よりも大きい水力直径を有するように製造されている。図面において、入口通路208は正方形の形状を有しているが、その正方形の角部は丸み218も帯びている。丸み218の目的の1つは、入口通路208の隣接する角部の間の厚さ(t3)を、入口通路208と出口通路210との間の厚さ(t4)と同等にすることにある。ある実施の形態において、厚さt3は、厚さt4の約0.8から1.2倍の範囲にある。丸み218の半径は、多孔質壁の厚さが通路の周りで実質的に均一であるように選択される。丸み218の半径は、入口通路208の水力直径が、選択されたセル密度および閉じた前面面積について最大であるように選択してもよい。
【0015】
以下の表1は、200セル/平方インチ(約31セル/cm2)のセル密度および47%の閉じた前面面積を有するセル構造の例を示している。セル構造AおよびBは、図2Bに示された本発明のセル構造の特別な例である。セル構造CおよびDは、図1Cに示した従来技術のセル構造の特別な例である。
【表1】
【0016】
セルの水力直径DHは、以下のように定義される:
DH=4A/P (1)
ここで、Aはセルの断面積であり、Pはセルのぬれ周囲である。正方形のセルについて、水力直径はセルの幅である。角部が丸まった正方形について、水力直径は、セルの幅よりも大きい。
【0017】
上記表1から、本発明のセル構造AおよびBの入口通路の水力直径は、それぞれ、従来技術のセル構造CおよびDの入口通路の水力直径よりも大きい。従来技術のセル構造CおよびDと同じセル密度と閉じた前面面積を維持しながら、セル構造AおよびBの水力直径を大きくできた。図2Eは、所定の通路幅に関する丸み半径の関数として水力直径がどのように変化するかを示している。セル構造A,B,CおよびDの位置がグラフに示されている。このグラフは、水力直径が、丸み半径と非線形関係にあることを示している。実際に、入口通路は、選択された通路幅に達成できる最大の水力直径に対応する丸み半径を有するように製造できる。
【0018】
図2Bに戻る。本発明は、入口通路208の角部に丸み218を帯びさせることに制限されるものではない。入口通路208の角部は、例えば、斜面を含んでいてもよい。図2Cは、入口通路208の角部が斜面220を含むセル構造を示している。この実施の形態において、入口通路208は、(対角状に)隣接する入口通路208の縁が実質的にアライメントされているように大きくされている。これにより、ハニカム・フィルタを通る流量を良好に維持しながら、ハニカム・フィルタの全体の貯蔵容量が増加する。斜面220(または斜面の代わりに用いられる場合には、丸み)によって、通路の周りの多孔質壁206の厚さを均一にすることができる。図2Bおよび2Cに示したセル構造について、特に図2Cにおいて、多孔質壁206は真っ直ぐではない。これにより、ハニカム構造の耐熱衝撃性が増加する。図2Cに示した設計において、多孔質壁のある部分、例えば、多孔質壁206aは、入口通路208のみに共通する。入口通路208のみに共通するこれらの多孔質壁の部分によって、熱再生中にある入口通路から別の入口通路への熱伝達を促進できる。
【0019】
丸みおよび斜面を用いて、所望の閉じた前面面積、セル密度、および入口通路の水力直径対出口通路の水力直径の比を維持しながら、ハニカム・フィルタ全体に亘って多孔質壁の厚さを実質的に均一にすることができる。一般に、1.1から2.0、好ましくは1.3から2.0,より好ましくは1.7から2.0の範囲の入口通路の水力直径対出口通路の水力直径の比が望ましい。ディーゼル排気微粒子の濾過について、10から300セル/平方インチ(約1.5から46.5セル/cm2)の範囲、より一般的には100から200セル/平方インチ(約15.5から31セル/cm2)の範囲のセル密度を有するハニカムが、小型の構造で十分な薄壁表面積を提供するのに有用であると考えられている。相互に連結した多孔質壁の厚さは、構造健全性を提供する約0.002インチ(0.05mm)の最小寸法以上でまちまちであって差し支えないが、一般に、フィルタ容積を最小にするために約0.060インチ(1.5mm)未満である。約0.010から0.030インチ(約0.25から0.76mm)の範囲、好ましくは約0.010から0.025インチ(約0.25から0.64mm)の範囲の多孔質壁の厚さが、好ましいセル密度で、選択されることが最も多い。
【0020】
図2Dは、入口通路208の縁が出口通路210の縁にアライメントされており、入口通路208の角部に斜面も丸みも使用せずに、多孔質壁206の厚さがハニカム・フィルタ全体に亘って均一である別のセル構造を示している。しかしながら、入口通路208の角部に丸みまたは斜面を設けることによって、ハニカム・フィルタの構造強度をさらに改善できる。この実施の形態における多孔質壁206は、先に説明した実施の形態における多孔質壁206よりさらに真っ直ぐではなく、耐熱衝撃性がさらに改善される。
【0021】
上述したハニカム・フィルタの製造に適したハニカム押出ダイは、サイズが交互になったピンを含むピン・アレイを有する。交互のピンの角部は、丸まっていても面取りされていても差し支えない。説明目的のために、図3は、押出ダイ・アセンブリ300の垂直断面を示している。押出ダイ・アセンブリ300は、セル形成ダイ302および表皮成形マスク304を含む。セル形成ダイ302は、ハニカム・フィルタの入口通路および出口通路を画成する相互に連結した多孔質壁を形成するために用いられる。セル形成ダイ302は、表皮形成マスク304と協働して、ハニカム・フィルタの表皮の形状と厚さを画成する。セル形成ダイ302は中央領域306を有する。吐出スロット308のアレイが、中央領域306内に切り込まれて、入口ピンと出口ピン310,312のアレイを画成する。ある実施の形態において、入口ピンと出口ピン310,312の横方向の断面は正方形であり、入口ピン310の各角部は丸みまたは斜面を含む。
【0022】
セル形成ダイ302の中央領域306は、中央供給孔314のアレイをさらに含む。これらの供給孔は、ダイの入口面315から吐出スロット308のアレイへと延在している。中央供給孔314は、バッチ材料を吐出スロット308に供給する。吐出スロット308に対する中央供給孔314のサイズと位置は、吐出スロット308を通る流量を所望にするように選択される。例として、中央供給孔314は、各または1つおきの吐出スロット308に対応しても、吐出スロット308の各または1つおきの交点に対応してもよい。
【0023】
セル形成ダイ302は、中央領域306と隣接して形成された周辺領域316も含む。周辺領域316は、表皮形成マスク304のための取付面318を提供し、セル形成ダイ302の周りの空間にバッチ材料を供給するための供給孔318を含む。ある実施の形態において、周辺領域316と表皮形成マスク304との間に表皮形成リザーバ322を画成するために、取付面318と表皮形成マスク304との間に詰め物が置かれている。周辺領域316にある供給孔318が、表皮形成リザーバ322にバッチ材料を供給する。表皮形成マスク304は、中央領域306から半径方向に間が置かれ、表皮スロット324を画成している。このスロットは、表皮形成リザーバ322と繋がっている。バッチ材料は、表皮スロット324を通して押し出されて、ハニカム・フィルタの表皮を形成する。リザーバ322の容積は、表皮スロット324中に供給されるバッチ材料の流量を制御するように調節できる。
【0024】
動作中、バッチ材料は、セル形成ダイ302中の供給孔314,318に供給され、吐出スロット308および表皮形成スロット324を通して押し出される。表皮形成リザーバ322中のバッチ材料の容積は、表皮形成リザーバ322に亘る表皮形成マスク304の半径方向の張出しの程度による。表皮形成スロット中へのバッチ材料の流量が、表皮の特徴を決定し、一方で、吐出スロット中へのバッチ材料の流量が、多孔質壁の特徴を決定する。
【0025】
上述した押出ダイ・アセンブリは、押出ダイを製造するための既存の方法を用いて製造できる。セル形成ダイは、機械加工用材料から製造されたブロックの下側部分に機械加工により孔を開けることによって製造してもよい。これらの孔は、供給孔として働くであろう。プランジ放電加工などのプロセスを用いて、ブロックの上側部分に吐出スロットを切り込んでも差し支えない。スロットが切り込まれた後に、ブロックの上側部分にピンが残ったままである。ブロックの周囲にあるピンは、表皮形成マスクのための取付面を提供するために、短くしても、完全に除去しても差し支えない。吐出スロットは、ハニカム・フィルタのセル構造と共に、上述した幾何学形状のいずれを有していても差し支えない。
【0026】
限られた数の実施の形態に関して本発明を説明してきたが、この開示の恩恵を受けた当業者には、ここに開示された本発明の範囲から逸脱しない他の実施の形態を考え出せることが認識されるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって制限される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】従来技術のハニカム・ウォールフロー・フィルタの斜視図
【図1B】水力直径が等しい入口通路と出口通路を持つ標準的なハニカム・セル構造の部分拡大図
【図1C】出口通路の水力直径を減少させた後の図1Bのハニカム・セル構造の部分拡大図
【図1D】入口通路の水力直径を増加させた後の図1Cのハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2A】本発明の実施の形態によるハニカム・ウォールフロー・フィルタの斜視図
【図2B】本発明のある実施の形態による、独自の水力直径を持つ入口通路と出口通路を有し、入口通路の角に丸みが付けられているハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2C】本発明の別の実施の形態による、独自の水力直径を持つ入口通路と出口通路を有し、入口通路の角が斜面を含むハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2D】本発明のさらに別の実施の形態による、独自の水力直径を持ち、縁がアライメントされた入口通路と出口通路を有するハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2E】丸み半径と通路幅の関数としての通路の水力直径のグラフ
【図3】本発明のある実施の形態による押出ダイ・アセンブリの断面図
【符号の説明】
【0028】
100,200 ハニカム・ウォールフロー・フィルタ
102,202 円柱体
104,204 表皮
106,206 多孔質壁
108,208 入口通路
110,210 出口通路
300 押出ダイ・アセンブリ
302 セル形成ダイ
304 表皮形成マスク
306 中央領域
316 周辺領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム・ウォールフロー・フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム・ウォールフロー・フィルタは、ディーゼル機関の排気ガスから炭質煤を除去するために用いられる。図1Aは、入口端102、出口端104、および入口端102から出口端104に長手方向に延在する相互に連結した多孔質壁106のアレイを有する従来のハニカム・ウォールフロー・フィルタ100を示している。相互に連結した多孔質壁106は、入口通路108と出口通路110の格子を画成する。入口端102では、出口通路110は充填材料112で端部が塞がれており、一方で、入口通路108は端部が塞がれていない。図面からは見えないが、出口端104では、入口通路108は充填材料112で端部が塞がれており、一方で、出口通路110は端部が塞がれていない。各入口通路108は全側面で出口通路110と隣接しており、またその逆も同様である。図1Bは、ハニカム・フィルタに用いられるセル構造の拡大図を示している。入口および出口通路(またはセル)108,110を画成している多孔質壁106は真っ直ぐであり、入口および出口通路108,110は、正方形の断面および等しい水力直径を有している。
【0003】
図1Aに戻る。ディーゼルの排気ガスが、入口通路108の塞がれていない端部を通ってハニカム・フィルタ100に流入し、出口通路110の塞がれていない端部を通ってハニカム・フィルタから流出する。ハニカム・フィルタ100の内部では、ディーゼルの排気ガスは、入口通路108から、多孔質壁106を通って出口通路110中に押し通される。ディーゼルの排気ガスがハニカム・フィルタ100を流通するときに、煤と灰の粒子が多孔質壁106上に蓄積し、入口通路108の有効流動面積が減少する。有効流動面積が減少すると、ハニカム・フィルタを横切って圧力降下が発生し、これにより、ディーゼル機関に対する背圧が徐々に上昇してしまう。圧力降下が許容できなくなると、熱再生を用いて、ハニカム・フィルタ中に捕捉された煤粒子を除去する。金属酸化物粒子、潤滑油からの添加剤、硫酸塩などを含む灰粒子は、可燃性ではなく、熱再生によって除去することができない。熱再生中、過度の温度上昇が生じる。これは、ハニカム・フィルタに熱衝撃を与えたり、亀裂を生じたり、溶融さえすることがある。
【0004】
ハニカム・フィルタが、熱再生に耐えるのに十分な構造強度を有することが望ましい。頻繁に熱再生を行う必要をなくすために、ハニカム・フィルタの、煤および灰の粒子を貯蔵する能力が高いことも望ましい。入口および出口通路が等しい水力直径を有するセラミック構造体について、入口通路の有効流動面積は、出口通路のものよりもずっと小さくなり、ハニカム・フィルタを横切って大きな圧力降下が生じ得る。この圧力降下を減少させることに対して提案された解決策の1つは、入口通路の水力直径(または有効流動断面積)を出口通路のものよりも大きくする工程を含む。このようにして、煤と灰の粒子が多孔質壁の入口部分に蓄積するにつれ、入口通路の有効流動面積は、出口通路のものと等しくなる傾向にある。
【0005】
図1Bに示した従来のハニカム・セル構造について、入口通路108の水力直径は、出口通路110の水力直径を減少させることによって、出口通路110のものより大きくすることができる。図1Cは、出口通路110が入口通路108と比較して小さな水力直径を有するように出口通路110の水力直径を減少させた後の図1Bのハニカム・セル構造を示している。実施できる別の改変は、入口通路108の水力直径を増加させることである。この改変には、ハニカム・フィルタの入口部分において煤と灰の粒子を収集するのに利用できる有効表面積を増加させるという利点がある。これにより、ハニカム・フィルタの全体の貯蔵能力が最終的に増加する。図1Dは、入口通路108の水力直径を増加させた後の図1Cのハニカム・セル構造を示している。ハニカム・フィルタのセル密度を変更せずに、入口通路108の水力直径を増加させると、入口通路108の隣接する角部の間の壁厚がそれに対応して減少する(図1Dのt2を図1Cのt1と比較する)。入口通路の角部の間の壁がより薄くなるので、ハニカム・フィルタの構造強度が減少し、ハニカム・フィルタが、熱再生中に熱衝撃と亀裂形成をより受けやすくなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した点に鑑みて、ハニカム・フィルタの構造強度を著しく減少させずに、ハニカム・フィルタを通る流量を良好に維持しながら、ハニカム・フィルタの貯蔵能力を改善する方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ある態様において、第1の通路と第2の通路のアレイを画成する相互に連結した多孔質壁のアレイを含むハニカム・フィルタに関する。第1の通路は、第2の通路と側面で隣接し、第2の通路よりも大きい水力直径を有する。第1の通路は正方形の断面を有し、第1の通路の角部は、第1の通路の角部に隣接する多孔質壁の厚さが第1と第2の通路の縁に隣接する多孔質壁の厚さと同等であるような形状を有する。
【0008】
本発明は、別の態様において、正方形断面を持つ第1の通路および正方形断面を持つ第2の通路のアレイを画成する、相互に連結した多孔質壁のアレイを有してなるハニカム・フィルタに関する。第1の通路は、その縁で第2の通路と隣接している。第1の通路の縁は、隣接する第2の通路の縁とアライメントされている。第1の通路は、第2の通路よりも大きい水力直径を有する。
【0009】
本発明は、さらに別の態様において、中央領域および周辺領域を有するセル形成ダイを備えた、ハニカム・フィルタを製造するための押出ダイ・アセンブリに関する。この中央領域は、第1と第2のピンのアレイを画成するように切り込まれた吐出スロットのアレイ、および吐出スロットのアレイと繋がった第1の供給孔のアレイを含む。周囲領域は少なくとも第2の供給孔を含む。第1のピンは第2のピンよりも大きい断面積を有する。第1のピンの断面形状は、吐出スロットの幅が実質的に均一になるように選択される。押出ダイ・アセンブリは、少なくとも第2の供給孔と選択的に繋がっている表皮スロットを画成するように、セル形成ダイと同軸に取り付けられ、セル形成ダイから半径方向に離れて置かれた表皮形成マスクも備えている。
【0010】
本発明の他の特徴と利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
ここで、添付の図面に示したいくつかの好ましい実施の形態を参照して、本発明を詳しく説明する。以下の説明において、本発明を完全に理解できるように、数々の特別な詳細を述べる。しかしながら、これらの特別な詳細の内のいくつかまたは全てを含まずに、本発明を実施してもよいことが当業者には明らかであろう。他の例において、本発明の不必要に分かりにくくしないように、よく知られた特徴および/またはプロセスの工程は、詳しく説明していない。本発明の特徴および利点は、図面および以下の説明を参照して、よりよく理解されるであろう。
【0012】
説明目的のために、図2Aは、本発明の実施の形態によるハニカム・ウォールフロー・フィルタ200を示している。ハニカム・フィルタ200は、表皮(または周囲壁)204により断面形状が画成された円柱体202を有する。表皮204の外形は、一般に、円形または楕円形であるが、本発明は、いずれの特定の表皮外形にも制限されない。円柱体202は、相互に連結した多孔質壁206のアレイを有し、これらのアレイは表皮204と交差している。多孔質壁206は、円柱体202内に入口通路208と出口通路210の格子を画成する。入口通路208と出口通路210は、円柱体202の長手方向に延在する。一般に、円柱体202は押出しにより製造される。一般に、円柱体202は、コージエライトや炭化ケイ素などのセラミック材料から製造されるが、ガラス、ガラスセラミック、プラスチック、および金属などの他の押出可能な材料から製造することもできる。
【0013】
ハニカム・フィルタ200は、流れ、例えば、排気ガス流を受け入れるための入口端212、および濾過された流れがそこを通ってハニカム・フィルタから流出できる出口端214を有する。入口端212では、出口通路210の端部部分が充填材料216により塞がれており、一方で、入口通路208の端部部分は塞がれていない。一般に、充填材料216は、コージエライトや炭化ケイ素などのセラミック材料から製造される。図面からは見えないが、出口端214では、入口通路208の端部部分が充填材料216により塞がれており、一方で、出口通路210の端部部分は塞がれていない。表皮204の周囲に近い部分セルは、一般に、充填材料により塞がれている。ハニカム・フィルタ200の内部では、相互に連結した多孔質壁206により、入口通路208から出口通路210中に流れが生じる。多孔質壁206の気孔率は様々であってよい。一般に、気孔率は、ハニカム・フィルタの構造健全性が損なわれないようなものであるべきである。ディーゼル排気微粒子の濾過のためには、多孔質壁206は、1から60μmの範囲、より好ましくは10から50μmの範囲の平均直径を有する細孔を含む。
【0014】
図2Bは、ハニカム・フィルタ200のセル構造の拡大図を示している。各入口通路208は出口通路210と隣接し、またその逆もまた同様である。ハニカム・フィルタ200の使用中に流量を良好に維持するために、入口通路208は、出口通路210よりも大きい水力直径を有するように製造されている。図面において、入口通路208は正方形の形状を有しているが、その正方形の角部は丸み218も帯びている。丸み218の目的の1つは、入口通路208の隣接する角部の間の厚さ(t3)を、入口通路208と出口通路210との間の厚さ(t4)と同等にすることにある。ある実施の形態において、厚さt3は、厚さt4の約0.8から1.2倍の範囲にある。丸み218の半径は、多孔質壁の厚さが通路の周りで実質的に均一であるように選択される。丸み218の半径は、入口通路208の水力直径が、選択されたセル密度および閉じた前面面積について最大であるように選択してもよい。
【0015】
以下の表1は、200セル/平方インチ(約31セル/cm2)のセル密度および47%の閉じた前面面積を有するセル構造の例を示している。セル構造AおよびBは、図2Bに示された本発明のセル構造の特別な例である。セル構造CおよびDは、図1Cに示した従来技術のセル構造の特別な例である。
【表1】
【0016】
セルの水力直径DHは、以下のように定義される:
DH=4A/P (1)
ここで、Aはセルの断面積であり、Pはセルのぬれ周囲である。正方形のセルについて、水力直径はセルの幅である。角部が丸まった正方形について、水力直径は、セルの幅よりも大きい。
【0017】
上記表1から、本発明のセル構造AおよびBの入口通路の水力直径は、それぞれ、従来技術のセル構造CおよびDの入口通路の水力直径よりも大きい。従来技術のセル構造CおよびDと同じセル密度と閉じた前面面積を維持しながら、セル構造AおよびBの水力直径を大きくできた。図2Eは、所定の通路幅に関する丸み半径の関数として水力直径がどのように変化するかを示している。セル構造A,B,CおよびDの位置がグラフに示されている。このグラフは、水力直径が、丸み半径と非線形関係にあることを示している。実際に、入口通路は、選択された通路幅に達成できる最大の水力直径に対応する丸み半径を有するように製造できる。
【0018】
図2Bに戻る。本発明は、入口通路208の角部に丸み218を帯びさせることに制限されるものではない。入口通路208の角部は、例えば、斜面を含んでいてもよい。図2Cは、入口通路208の角部が斜面220を含むセル構造を示している。この実施の形態において、入口通路208は、(対角状に)隣接する入口通路208の縁が実質的にアライメントされているように大きくされている。これにより、ハニカム・フィルタを通る流量を良好に維持しながら、ハニカム・フィルタの全体の貯蔵容量が増加する。斜面220(または斜面の代わりに用いられる場合には、丸み)によって、通路の周りの多孔質壁206の厚さを均一にすることができる。図2Bおよび2Cに示したセル構造について、特に図2Cにおいて、多孔質壁206は真っ直ぐではない。これにより、ハニカム構造の耐熱衝撃性が増加する。図2Cに示した設計において、多孔質壁のある部分、例えば、多孔質壁206aは、入口通路208のみに共通する。入口通路208のみに共通するこれらの多孔質壁の部分によって、熱再生中にある入口通路から別の入口通路への熱伝達を促進できる。
【0019】
丸みおよび斜面を用いて、所望の閉じた前面面積、セル密度、および入口通路の水力直径対出口通路の水力直径の比を維持しながら、ハニカム・フィルタ全体に亘って多孔質壁の厚さを実質的に均一にすることができる。一般に、1.1から2.0、好ましくは1.3から2.0,より好ましくは1.7から2.0の範囲の入口通路の水力直径対出口通路の水力直径の比が望ましい。ディーゼル排気微粒子の濾過について、10から300セル/平方インチ(約1.5から46.5セル/cm2)の範囲、より一般的には100から200セル/平方インチ(約15.5から31セル/cm2)の範囲のセル密度を有するハニカムが、小型の構造で十分な薄壁表面積を提供するのに有用であると考えられている。相互に連結した多孔質壁の厚さは、構造健全性を提供する約0.002インチ(0.05mm)の最小寸法以上でまちまちであって差し支えないが、一般に、フィルタ容積を最小にするために約0.060インチ(1.5mm)未満である。約0.010から0.030インチ(約0.25から0.76mm)の範囲、好ましくは約0.010から0.025インチ(約0.25から0.64mm)の範囲の多孔質壁の厚さが、好ましいセル密度で、選択されることが最も多い。
【0020】
図2Dは、入口通路208の縁が出口通路210の縁にアライメントされており、入口通路208の角部に斜面も丸みも使用せずに、多孔質壁206の厚さがハニカム・フィルタ全体に亘って均一である別のセル構造を示している。しかしながら、入口通路208の角部に丸みまたは斜面を設けることによって、ハニカム・フィルタの構造強度をさらに改善できる。この実施の形態における多孔質壁206は、先に説明した実施の形態における多孔質壁206よりさらに真っ直ぐではなく、耐熱衝撃性がさらに改善される。
【0021】
上述したハニカム・フィルタの製造に適したハニカム押出ダイは、サイズが交互になったピンを含むピン・アレイを有する。交互のピンの角部は、丸まっていても面取りされていても差し支えない。説明目的のために、図3は、押出ダイ・アセンブリ300の垂直断面を示している。押出ダイ・アセンブリ300は、セル形成ダイ302および表皮成形マスク304を含む。セル形成ダイ302は、ハニカム・フィルタの入口通路および出口通路を画成する相互に連結した多孔質壁を形成するために用いられる。セル形成ダイ302は、表皮形成マスク304と協働して、ハニカム・フィルタの表皮の形状と厚さを画成する。セル形成ダイ302は中央領域306を有する。吐出スロット308のアレイが、中央領域306内に切り込まれて、入口ピンと出口ピン310,312のアレイを画成する。ある実施の形態において、入口ピンと出口ピン310,312の横方向の断面は正方形であり、入口ピン310の各角部は丸みまたは斜面を含む。
【0022】
セル形成ダイ302の中央領域306は、中央供給孔314のアレイをさらに含む。これらの供給孔は、ダイの入口面315から吐出スロット308のアレイへと延在している。中央供給孔314は、バッチ材料を吐出スロット308に供給する。吐出スロット308に対する中央供給孔314のサイズと位置は、吐出スロット308を通る流量を所望にするように選択される。例として、中央供給孔314は、各または1つおきの吐出スロット308に対応しても、吐出スロット308の各または1つおきの交点に対応してもよい。
【0023】
セル形成ダイ302は、中央領域306と隣接して形成された周辺領域316も含む。周辺領域316は、表皮形成マスク304のための取付面318を提供し、セル形成ダイ302の周りの空間にバッチ材料を供給するための供給孔318を含む。ある実施の形態において、周辺領域316と表皮形成マスク304との間に表皮形成リザーバ322を画成するために、取付面318と表皮形成マスク304との間に詰め物が置かれている。周辺領域316にある供給孔318が、表皮形成リザーバ322にバッチ材料を供給する。表皮形成マスク304は、中央領域306から半径方向に間が置かれ、表皮スロット324を画成している。このスロットは、表皮形成リザーバ322と繋がっている。バッチ材料は、表皮スロット324を通して押し出されて、ハニカム・フィルタの表皮を形成する。リザーバ322の容積は、表皮スロット324中に供給されるバッチ材料の流量を制御するように調節できる。
【0024】
動作中、バッチ材料は、セル形成ダイ302中の供給孔314,318に供給され、吐出スロット308および表皮形成スロット324を通して押し出される。表皮形成リザーバ322中のバッチ材料の容積は、表皮形成リザーバ322に亘る表皮形成マスク304の半径方向の張出しの程度による。表皮形成スロット中へのバッチ材料の流量が、表皮の特徴を決定し、一方で、吐出スロット中へのバッチ材料の流量が、多孔質壁の特徴を決定する。
【0025】
上述した押出ダイ・アセンブリは、押出ダイを製造するための既存の方法を用いて製造できる。セル形成ダイは、機械加工用材料から製造されたブロックの下側部分に機械加工により孔を開けることによって製造してもよい。これらの孔は、供給孔として働くであろう。プランジ放電加工などのプロセスを用いて、ブロックの上側部分に吐出スロットを切り込んでも差し支えない。スロットが切り込まれた後に、ブロックの上側部分にピンが残ったままである。ブロックの周囲にあるピンは、表皮形成マスクのための取付面を提供するために、短くしても、完全に除去しても差し支えない。吐出スロットは、ハニカム・フィルタのセル構造と共に、上述した幾何学形状のいずれを有していても差し支えない。
【0026】
限られた数の実施の形態に関して本発明を説明してきたが、この開示の恩恵を受けた当業者には、ここに開示された本発明の範囲から逸脱しない他の実施の形態を考え出せることが認識されるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって制限される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】従来技術のハニカム・ウォールフロー・フィルタの斜視図
【図1B】水力直径が等しい入口通路と出口通路を持つ標準的なハニカム・セル構造の部分拡大図
【図1C】出口通路の水力直径を減少させた後の図1Bのハニカム・セル構造の部分拡大図
【図1D】入口通路の水力直径を増加させた後の図1Cのハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2A】本発明の実施の形態によるハニカム・ウォールフロー・フィルタの斜視図
【図2B】本発明のある実施の形態による、独自の水力直径を持つ入口通路と出口通路を有し、入口通路の角に丸みが付けられているハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2C】本発明の別の実施の形態による、独自の水力直径を持つ入口通路と出口通路を有し、入口通路の角が斜面を含むハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2D】本発明のさらに別の実施の形態による、独自の水力直径を持ち、縁がアライメントされた入口通路と出口通路を有するハニカム・セル構造の部分拡大図
【図2E】丸み半径と通路幅の関数としての通路の水力直径のグラフ
【図3】本発明のある実施の形態による押出ダイ・アセンブリの断面図
【符号の説明】
【0028】
100,200 ハニカム・ウォールフロー・フィルタ
102,202 円柱体
104,204 表皮
106,206 多孔質壁
108,208 入口通路
110,210 出口通路
300 押出ダイ・アセンブリ
302 セル形成ダイ
304 表皮形成マスク
306 中央領域
316 周辺領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通路と第2の通路のアレイを画成する交互に連結した多孔質壁のアレイを含むハニカム・フィルタであって、
前記第1の通路が、前記第2の通路と側部で隣接し、かつ該第2の通路よりも大きい水力直径を有しており、前記第1の通路が正方形断面を有し、該第1の通路の角部が、該第1の通路の角部に隣接する前記多孔質壁の厚さが、前記第1と第2の通路の縁に隣接する該多孔質壁の厚さと同等になるような形状を有することを特徴とするハニカム・フィルタ。
【請求項2】
前記形状が丸みを含むことを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項3】
前記形状が斜面を含むことを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項4】
対角的に隣接する前記第1の通路の縁が実質的にアライメントされていることを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項5】
前記第2の通路が正方形断面を有することを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項6】
前記第1の通路の水力直径対前記第2の通路の水力直径の比が1.1から2.0の範囲にあることを特徴とする請求項5記載のハニカム・フィルタ。
【請求項7】
前記第1の通路の水力直径対前記第2の通路の水力直径の比が1.7から2.0の範囲にあることを特徴とする請求項6記載のハニカム・フィルタ。
【請求項8】
前記第1の通路中への流れが、前記多孔質壁を通り、次いで、前記第2の通路を通って該ハニカム・フィルタから流出するように、前記第1の通路が、前記ハニカム・フィルタの第1の端部で塞がれており、前記第2の通路が、前記ハニカム・フィルタの第2の端部で塞がれていることを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項9】
ハニカム・フィルタを製造するための押出ダイ・アセンブリにおいて、
中央領域および周辺領域を有するセル形成ダイであって、前記中央領域が、第1と第2のピンのアレイを画成するように切り込まれた吐出スロットのアレイおよび該吐出スロットのアレイと繋がった第1の供給孔のアレイを含み、前記周辺領域が少なくとも第2の供給孔を含み、前記第1のピンが前記第2のピンよりも大きい断面積を有し、該第1のピンの断面形状が、前記吐出スロットの幅が実質的に均一であるように選択されているセル形成ダイ、および
前記少なくとも第2の供給孔と選択的に繋がった表皮スロットを画成するように、前記セル形成ダイと同軸で取り付けられ、該セル形成ダイから半径方向に間が置かれた表皮形成マスク、
を備えたことを特徴とする押出ダイ・アセンブリ。
【請求項10】
前記第1のピンの断面形状が、丸まった角部を持つ正方形を含むことを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のピンの断面形状が、斜面角部を持つ正方形を含むことを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【請求項12】
前記セル形成ダイと前記表皮形成マスクとの間に画成されたリザーバをさらに含み、該リザーバが、前記少なくとも第2の供給孔と前記表皮スロットと繋がっていることを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【請求項13】
前記リザーバの容積が、前記表皮スロットへのバッチ材料の流量を制御するように調節されることを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【請求項1】
第1の通路と第2の通路のアレイを画成する交互に連結した多孔質壁のアレイを含むハニカム・フィルタであって、
前記第1の通路が、前記第2の通路と側部で隣接し、かつ該第2の通路よりも大きい水力直径を有しており、前記第1の通路が正方形断面を有し、該第1の通路の角部が、該第1の通路の角部に隣接する前記多孔質壁の厚さが、前記第1と第2の通路の縁に隣接する該多孔質壁の厚さと同等になるような形状を有することを特徴とするハニカム・フィルタ。
【請求項2】
前記形状が丸みを含むことを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項3】
前記形状が斜面を含むことを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項4】
対角的に隣接する前記第1の通路の縁が実質的にアライメントされていることを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項5】
前記第2の通路が正方形断面を有することを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項6】
前記第1の通路の水力直径対前記第2の通路の水力直径の比が1.1から2.0の範囲にあることを特徴とする請求項5記載のハニカム・フィルタ。
【請求項7】
前記第1の通路の水力直径対前記第2の通路の水力直径の比が1.7から2.0の範囲にあることを特徴とする請求項6記載のハニカム・フィルタ。
【請求項8】
前記第1の通路中への流れが、前記多孔質壁を通り、次いで、前記第2の通路を通って該ハニカム・フィルタから流出するように、前記第1の通路が、前記ハニカム・フィルタの第1の端部で塞がれており、前記第2の通路が、前記ハニカム・フィルタの第2の端部で塞がれていることを特徴とする請求項1記載のハニカム・フィルタ。
【請求項9】
ハニカム・フィルタを製造するための押出ダイ・アセンブリにおいて、
中央領域および周辺領域を有するセル形成ダイであって、前記中央領域が、第1と第2のピンのアレイを画成するように切り込まれた吐出スロットのアレイおよび該吐出スロットのアレイと繋がった第1の供給孔のアレイを含み、前記周辺領域が少なくとも第2の供給孔を含み、前記第1のピンが前記第2のピンよりも大きい断面積を有し、該第1のピンの断面形状が、前記吐出スロットの幅が実質的に均一であるように選択されているセル形成ダイ、および
前記少なくとも第2の供給孔と選択的に繋がった表皮スロットを画成するように、前記セル形成ダイと同軸で取り付けられ、該セル形成ダイから半径方向に間が置かれた表皮形成マスク、
を備えたことを特徴とする押出ダイ・アセンブリ。
【請求項10】
前記第1のピンの断面形状が、丸まった角部を持つ正方形を含むことを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のピンの断面形状が、斜面角部を持つ正方形を含むことを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【請求項12】
前記セル形成ダイと前記表皮形成マスクとの間に画成されたリザーバをさらに含み、該リザーバが、前記少なくとも第2の供給孔と前記表皮スロットと繋がっていることを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【請求項13】
前記リザーバの容積が、前記表皮スロットへのバッチ材料の流量を制御するように調節されることを特徴とする請求項9記載の押出ダイ・アセンブリ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【公表番号】特表2007−519505(P2007−519505A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528065(P2006−528065)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030406
【国際公開番号】WO2005/030365
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/030406
【国際公開番号】WO2005/030365
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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