説明

構造粘性水性分散液、その製法及びその使用

本発明は、連続水性相(W)中に分散している固体及び/又は高粘性の貯蔵及び使用条件下で寸法安定性粒子(P)を含有する構造粘性水性分散液、その製法及びその使用に関するが、その際、寸法安定性粒子(P)は、その表面がほぼ完全にか又は完全に、(G1)結合官能基(a)を介して表面と共有結合しておりかつスペーサー不活性基(b)及び変性すべき表面の反応性官能基に対して不活性である、基(b)を介して基(a)と結合している反応性官能基(c)を含有する変性基及び(G2)珪素原子少なくとも1個を含有する結合官能基(a)を介して表面と結合している不活性基(e)を含有しかつ変性基(G1)より小さい流体力学容量Vを有する変性基で覆われている表面変性されたナノ粒子(N)を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規構造粘性水性分散液に関する。更に本発明は、構造粘性水性分散液の新規製法に関する。更に本発明は、新規構造粘性水性分散液及び新規方法により製造した構造粘性水性分散液の移動手段の車体及びその部品、構造物及びその部品、ドア、窓、家具、工業部品、機械的、光学的及び電気工学的部品、コイル、容器、包装、ガラス中空体及び日用品の塗装、接着及び密閉用の塗料材料、接着剤及びシーラントとしての使用に関する。
【0002】
固体及び/又は高粘性の貯蔵−及び使用条件下で寸法安定性粒子を連続水性相中に含有する構造粘性水性分散液は、例えばドイツ特許出願DE10027292A1又はDE101359976A1から公知である(例えばこれに関して特にDE10027292A1、2頁[0013]項から3頁[0019]項又はDE10135997、4頁[0034]〜[0041]項参照)。構造粘性水性分散液は粉末スラリーとも称される。これは、塗料材料、接着剤及びシーラントとして、特に塗料材料として、特には粉末スラリー−クリアラッカーとして有利に使用することができる。これは液体塗料のように噴霧塗布により塗布することができる。これに対して、生じた層の乾燥及び硬化挙動は粉末ラッカー塗料と同じである、即ち塗膜形成及び硬化は2段階の不連続工程で行われる。もちろん粉末塗料の場合のように塗布、塗膜形成及び硬化の際に揮発性有機溶剤は遊離しない。簡単に言えば粉末スラリーは液体塗料と粉末塗料の主要な利点を合わせ持つものであり、それによって特に有利となる。
【0003】
ナノ粒子を含有する粉末スラリーは、ドイツ特許出願DE10027267A1、DE10027290A1、DE10027292A1、DE10115605A1又はDE10126649A1から公知である。公知粉末スラリーは、非常に良好な使用特性を有し、広く使用することができる不透明及び透明な塗膜を生じる。しかしながら、市場、特に自動車工業の絶えず拡大する要求を満たすために、不透明及び透明な塗膜の表面硬度、引掻強さ及び研磨性を更に改善する必要がある。しかし特にこれらの特性は澄明及び透明塗装、特に透明塗装では、流展性、光沢、透明性及び耐薬品性を損なうことなく、更に改良する必要がある。
【0004】
本発明の課題は、公知技術の欠点をもはや有さず、簡単に良好な再現性で製造することができ、輸送及び貯蔵安定である新規構造粘性水性分散液、特に粉末スラリーを見出することであった。
【0005】
新規構造粘性水性分散液、特に粉末スラリーは広く使用することが可能でなければならない。特にこれは塗膜、接着層及びシールを製造するための塗料材料、接着剤及びシーラントとして好適でなければならない。特に不透明及び透明な塗膜、特に澄明で透明な塗膜を製造するための塗料材料として役立つべきである。
【0006】
新規塗膜、塗装、接着層及びシールは、耐引掻性、硬質及び研磨可能であるだけでなく、耐薬品性及び耐酸性でなければならない。更に新規塗膜、塗装、接着層及びシールは必要な場合には完全に透明で澄明であり、曇り又は斑点を何も有してはならない。更に表面は平滑であり、表面疵を有してはならない。
【0007】
それに応じて、連続水性相(W)中に分散している固体及び/又は高粘性の貯蔵−及び使用条件下で寸法安定性粒子(P)を含有する新規構造粘性水性分散液を見出したが、その際、寸法安定性粒子(P)は、その表面がほぼ完全にか又は完全に、(G1)結合官能基(a)を介して表面と共有結合しておりかつスペーサー不活性基(b)及び変性すべき表面の反応性官能基に対して不活性である、基(b)を介して基(a)と結合している反応性官能基(c)を含有する変性基及び(G2)珪素原子少なくとも1個を含有する結合性官能基(a)を介して表面と結合しており、不活性基(e)を含有しかつ変性基(G1)より小さい流体力学容量Vを有する変性基で覆われている表面変性されたナノ粒子(N)を含有する。
【0008】
以下で新規構造粘性水性分散液は“本発明による分散液”と称する。
【0009】
更に本発明による分散液の製法を見出したが、その際、その表面がほぼ完全にか又は完全に変性基(G1)及び変性基(G2)で覆われている表面変性されたナノ粒子(N)の非プロトン性液体有機媒体(O)中の少なくとも1種の分散液(D)を、寸法安定性粒子(P)の残りの成分と混合し、生じた混合物(P)を水性相(W)中に分散させて、寸法安定性粒子(P)が生じるようにする。
【0010】
以下で本発明による分散液の新規製法を“本発明による製法”と称する。
【0011】
本発明のもう一つの目的は詳細な説明から明らかとなる。
【0012】
公知技術に鑑みて、本発明の根底をなす課題が本発明による分散液及び本発明による製法により解決することができたことは、意外でありかつ当業者にとって予期しえないことであった。
【0013】
本発明による分散液、特に本発明による粉末スラリーは、特に本発明による製法を用いて簡単に非常に良好な再現性で製造することができかつ輸送及び貯蔵安定性であった。
【0014】
本発明による分散液、特に本発明による粉末スラリーは、特に広範囲に使用することが可能であった。特にこれは塗膜、接着層及びシールを製造するため塗料材料、接着剤及びのシーラントとして好適であった。特に不透明及び透明な塗膜、特に澄明で透明な塗膜を製造するための塗料材料として非常に好適であった。
【0015】
本発明による分散液、特に本発明による粉末スラリーを用いて製造した本発明による不透明及び透明な塗膜、接着層及びシールは、耐引掻性が高く、非常に硬質でありかつ非常に研磨性が優れているだけでなく、耐薬品性及び耐酸性が極めて良好であった。更に本発明による塗膜、接着層及びシールは、必要な場合には完全に透明かつ澄明であり、曇り又は斑点を全く有さなかった。更に表面は非常に平滑であり、表面疵を全く有さなかった。
【0016】
本発明による分散液は固体及び/又は高粘性の貯蔵−及び使用条件下で寸法安定性粒子(P)を含有する。その際、有利にはドイツ特許出願DE10027292A1、2頁[0013]〜[0015]項に定義されているような寸法安定性粒子(P)が該当する。
【0017】
これは有利には本発明による分散液中で各々本発明による分散液に対して5〜70質量%、有利には10〜65質量%、特に有利には10〜60質量%及び特に10〜55質量%の量で含有されている。これは有利にはドイツ特許出願DE10027292A1、3頁[0017]及び[0018]項に記載の粒度及び3頁[0019]項に記載の溶剤含量を有する。
【0018】
寸法安定性粒子(P)は本発明により重要である表面変性されたナノ粒子(N)を含有する。
【0019】
表面変性されたナノ粒子(N)に関して、その表面がほぼ完全にか又は完全に変性基により覆われていることが重要である。“ほぼ完全にか又は完全に覆われている”とは、表面変性されたナノ粒子(N)の表面が個々の変性基の立体的要求により許容されるように十分に覆われており、場合によりなお本発明によるナノ粒子の表面に存在する反応性官能基が立体的に遮蔽され、従って例えばポリイソシアネートとの反応が阻止されることを意味する。
【0020】
表面変性されたナノ粒子(N)の表面は少なくとも2種の異なる種類の変性基(G1)及び(G2)により覆われている。これは付加的に更に変性基(G3)で覆われていてもよい。
【0021】
第1の種類には、少なくとも1個、有利には少なくとも2個及び特には3個の結合官能基(G1a)を介して表面と共有結合している変性基(G1)が該当する。有利には基(G1a)は、本発明によるナノ粒子の使用条件下で不活性である。有利には結合官能基(G1a)は少なくとも1個、有利には1個の珪素原子を含有する。結合官能基(G1a)は特に有利にはシラン基である。
【0022】
基(G1)は少なくとも1個、特に1個のスペーサー不活性基(G1b)を含有する。
【0023】
ここで及び以下で“不活性”とは基(G1b)に関して、ここで及び下記で、これが表面変性されたナノ粒子(N)の製造及び使用条件下で反応を起こさないことを意味する(Roempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2002≫Inert≪参照)。
【0024】
有利にはスペーサー不活性基(G1b)は、有利には脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族及び脂肪族−脂環式−芳香族基からなる群から選択した少なくとも2結合性の、特に2結合性の有機基Rである。その際基Rは、1個以上の前記構造単位を含有することができる。
【0025】
基Rは更に少なくとも1個の2結合性の、特に2結合性の、官能基及び/又は少なくとも1個の置換基を含有することができる。2結合性の官能基及び置換基は前記した意味で不活性であることが重要である。好適な2結合性の官能基は有利には、エーテル−、チオエーテル−、カルボン酸エステル−、チオカルボン酸エステル−、カーボネート−、チオカーボネート−、燐酸エステル−、チオ燐酸エステル−、ホスホン酸エステル−、チオホスホン酸エステル−、ホスファイト−、チオホスファイト−、スルホン酸エステル−、アミド−、アミン−、チオアミド−、燐酸アミド−、チオ燐酸アミド−、ホスホン酸アミド−、チオホスホン酸アミド−、スルホン酸アミド−、イミド−、ヒドラジド−、ウレタン−、尿素−、チオ尿素−、カルボニル−、チオカルボニル−、スルホン−又はスルホキシド基から成る群から選択する。エーテル基が特に有利である。好適な置換基の例は、ハロゲン原子、特に弗素原子及び塩素原子、ニトリル基、ニトロ基又はアルコキシ基である。有利には基Rは置換されていない。
【0026】
変性基(G1)は更に、表面変性されたナノ粒子(N)の製造条件下で変性すべき表面の反応性官能基に対して不活性である、少なくとも1個の、特に1個の、基(G1b)を介して基(G1a)と結合している反応性官能基(G1c)を含有する(Roempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2002≫Inert≪参照)。しかし反応性官能基(Gc1)は本発明によるナノ粒子の使用条件下で不活性ではなく、反応性である。特にこれは熱及び/又は化学線を用いて活性化させることができるので、ラジカル性、カチオン性又はアニオン性機構により進行しうる、熱及び/又は化学線を用いて開始される反応、例えば縮合反応又は付加反応を起こすことができる。
【0027】
ここ及び以下で化学線とは電磁線、例えば近赤外線(NIR)、可視光線、紫外線、X線又はγ線、特に紫外線及び粒子線、例えばα線、β線、中性子線、陽子線及び電子線、特に電子線のことである。
【0028】
好適な熱により活性化可能な反応性官能基(G1c)の例は、エポキシド基及びブロクトイソシアネート基、特に一般式I
【0029】
【化1】

[式中、変数Xは酸素原子又は硫黄原子、特に酸素原子であり、変数Rは通常イソシアネート基のブロック用に使用されるようなブロック剤の基である]のブロクトイソシアネート基である。好適なブロック剤の例は、i)フェノール、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、t−ブチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、これら酸のエステル又は2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;ii)ラクタム、例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム又はβ−プロピオラクタム;iii)活性メチレン性化合物、例えばジエチルマロネート、ジメチルマロネート、アセト酢酸エチル−又はメチルエステル又はアセチルアセトン;iv)アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、乳酸、乳酸エステル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−シクロヘキシルジメタノール又はアセトシアンヒドリン;v)メルカプタン、例えばブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール又はエチルチオフェノール;vi)酸アミド、例えばアセトアニリド、アセトアニシジンアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド又はベンズアミド;vii)イミド、例えばスクシンイミド、フタールイミド又はマレイミド;viii)アミン、例えばジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン又はブチルフェニルアミン;ix)イミダゾール、例えばイミダゾール又は2−エチルイミダゾール;x)尿素、例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素又は1,3−ジフェニル尿素;xi)カルバメート、例えばN−フェニルカルバミド酸フェニルエステル又は2−オキサゾリドン;xii)イミン、例えばエチレンイミン;xiii)オキシム、例えばアセトンオキシム、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジイソブチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム又はクロロヘキサノンオキシム;xiv)亜硫酸の塩、例えば亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸カリウム;xv)ヒドロキサム酸エステル、例えばベンジルメタクリロヒドロキサメート(BMH)又はアリルメタクリロヒドロキサメート;又はxvi)置換されたピラゾール、特にジメチルピラゾール、イミダゾール又はチアゾール;並びにxvii)これらブロック剤の混合物、特にジメチルピラゾール及びスクシンイミドである。
【0030】
好適な化学線で活性化可能な反応性官能基(G1c)の例は、少なくとも1個、特に1個の化学線で活性化可能な結合を含有する基である。好適な化学線で活性化可能な結合の例は、炭素−水素−単結合又は炭素−炭素−、炭素−酸素−、炭素−窒素−、炭素−燐−又は炭素−珪素−単結合又は二重結合及び炭素−炭素−三重結合である。この中、二重結合、特に炭素−炭素二重結合(以下で“二重結合”と称する)を使用するのが有利である。
【0031】
特に好適な二重結合は、例えば(メタ)アクリレート−、エタクリレート−、クロトネート−、シンナメート−、ビニルエーテル−、ビニルエステル−、エテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプロペニル−、アリル−又はブテニル基;エテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプロペニル−、アリル−又はブテニルエーテル基又はエテニルアリーレン−、ジシクロペンタジエニル−、ノルボルネニル−、イソプロペニル−、アリル−又はブテニルエステル基中に存在する。これらの中で(メタ)アクリレート基、特にアクリレート基が特に有利であり、従って極めて特に有利に使用される。
【0032】
第2の種類には、少なくとも1個、特に1個の結合官能基(G2a)を介して表面変性されたナノ粒子(N)の表面と共有結合している変性基(G2)が該当する。有利には基(G2a)は表面変性されたナノ粒子(N)の使用条件下で不活性である。有利には結合官能基(G2a)は少なくとも1個、特に1個の珪素原子を含有する。特に有利には結合官能基(G2a)はシラン基である。
【0033】
更に変性基(G2)は少なくとも1個、有利には少なくとも2個及び特には少なくとも3個の基(G2a)を介して表面と結合した不活性基(G2e)を含有する。基(G2e)は基(G1a)又は下記の基(G3d)と同様に表面変性されたナノ粒子(N)の製造及び使用条件下で不活性である。有利には基(G2e)は1結合性有機基Rである。有利には、脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族又は脂肪族−脂環式−芳香族基から成る群から選択する。これは前記の少なくとも2価の官能基及び/又は置換基を含有してもよい。
【0034】
基(G2)が変性基(G1)より小さい流体力学容積Vを有することが重要である。流体力学容積Vは光子相関分光法を用いて測定するか又は関係
=(rcont/2)
[式中、rcontは、分子の有効輪郭長さを表す]から見積もることができる。更に詳細はH.−G.Eliasの教本“Makromolekuele”、Huethig&Wepf Verlag、Basel、第1巻、“Grundlagen”51頁を参照にされたい。
【0035】
場合による第3の種類には、少なくとも1個の結合官能基(G3a)を介して表面変性されたナノ粒子(N)の表面と共有結合している変性基(G3)が該当する。
【0036】
有利には表面変性されたナノ粒子(N)の使用条件下で不活性である基(G3a)を使用する。有利には基(G3a)は、エーテル−、チオエーテル−、カルボン酸エステル−、チオカルボン酸エステル−、カーボネート−、チオカーボネート−、燐酸エステル−、チオ燐酸エステル−、ホスホン酸エステル−、チオホスホン酸エステル、ホスファイト−、チオホスファイト−、スルホン酸エステル−、アミド−、アミン−、チオアミド−、燐酸アミド−、チオ燐酸アミド−、ホスホン酸アミド−、チオホスホン酸アミド−、スルホン酸アミド−、イミド−、ヒドラジド−、ウレタン−、尿素−、チオ尿素−、カルボニル−、チオカルボニル−、スルホン−又はスルホキシド基から成る群から選択する。エーテル基が特に有利である。
【0037】
更に変性基(G3a)は少なくとも1個、特に1個の基(G3a)を介して表面と結合した不活性基(G3d)を含有する。基(G3d)は基(G1b)と同様に本発明によるナノ粒子の製造及び使用条件下で不活性である。有利には基(G3d)は1結合性有機基Rである。有利には、脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族又は脂肪族−脂環式−芳香族基から成る群から選択する。これは前記の少なくとも2結合性官能基及び/又は置換基を含有してもよい。
【0038】
不活性基(G3d)がスペーサーの不活性基(G1b)より小さい流体力学容積Vを有することが重要である。
【0039】
変性基(G1):(G2)の質量比は非常に広い範囲で変化してよく、個々の場合の要求に従う。質量比は有利には200:1〜1:10、有利には100:1〜1:5及び特に50:1〜1:1である。
【0040】
表面変性されたナノ粒子(N)は、有機及び有機珪素化学の通常の公知方法により、例えば好適なシランを加水分解基と一緒に加水分解し、縮合させるか又は変性させるべきナノ粒子を好適な有機化合物及び加水分解基を有するシランと反応させることによって製造することができる。
【0041】
有利には表面変性されたナノ粒子(N)を変性すべきナノ粒子(N’)の表面の反応性官能基を下記変性剤(M1)及び(M2)並びに場合により(M3)と反応させることによって製造する。好適な反応性官能基の例は酸基、例えばカルボキシル基、スルホン酸基又は燐酸基又はヒドロキシル基、特にヒドロキシル基である。
【0042】
変性すべきナノ粒子(N’)を少なくとも1種の変性剤(M1)と反応させる。
【0043】
変性剤(M1)は少なくとも1個の反応性官能基及び変性すべき表面の反応性官能基に対して反応性である有利には少なくとも2個の、特に少なくとも3個の反応性官能基(M1a)を含有する。有利には反応性官能基(M1a)は少なくとも1個、特に1個の珪素原子を含有する。反応性官能基(M1a)は一般的で公知であり、当業者により変性すべき表面上の補助的な反応性官能基に基づき選択することができる。
【0044】
変性剤(M1)は更に少なくとも1個、有利には1個の前記スペーサーの不活性基(G1b)を含有する。これらは反応性官能基(G1a)と共有結合している。
【0045】
更に変性剤(M1)は少なくとも1個、特には1個の前記した、基(G1b)を介して基(M1a)と結合した、変性すべき表面の反応性官能基に対して不活性である、反応性官能基(G1c)を含有する。
【0046】
更に変性すべきナノ粒子をなお変性剤(M1)より小さな流体力学容積Vを有する少なくとも1種の変性剤(M2)と反応させる。
【0047】
変性剤(M2)は、少なくとも1個、特には1個の珪素原子を含有しかつ変性すべき表面の反応性官能基に対して反応性である少なくとも1個の、特に1個の反応性官能基(M2a)を含有する。
【0048】
更に変性剤(M2)は少なくとも1個の前記不活性基(G2e)及び有利には反応性官能基(M2a)と直接結合している有利には少なくとも2個の、特には3個の基(G2e)を含有する。
【0049】
更に変性すべきナノ粒子(N’)を少なくとも1種の変性剤(M3)と反応させることができる。
【0050】
変性剤(M3)は、場合により変性すべき表面の反応性官能基に対して反応性である少なくとも1個の、特に1個の反応性官能基(M3a)を含有する。それ自体反応性官能基(M3a)は前記した反応性官能基(M1a)であってよい。しかし有利には反応性官能基(M3a)は、結合官能基(G3a)の先駆物質、有利にはエーテル−、チオエーテル−、カルボン酸エステル−、チオカルボン酸エステル−、カーボネート−、チオカーボネート−、燐酸エステル−、チオ燐酸エステル−、ホスホン酸エステル−、チオホスホン酸エステル、ホスファイト−、チオホスファイト−、スルホン酸エステル−、アミド−、アミン−、チオアミド−、燐酸アミド−、チオ燐酸アミド−、ホスホン酸アミド−、チオホスホン酸アミド−、スルホン酸アミド−、イミド−、ヒドラジド−、ウレタン−、尿素−、チオ尿素−、カルボニル−、チオカルボニル−、スルホン−又はスルホキシド基(G3a)、特にエーテル基(G3a)から成る群から選択する。反応性官能基(M3a)は有機化学で通常の公知反応性官能基であり、従って当業者はその専門知識に基づき容易に選択することができる。
【0051】
変性剤(M3)は更に、前記スペーサー不活性基(G1b)より小さな流体力学容積Vを有する少なくとも1個、特に1個の前記不活性基(G3d)を含有する。有利には基(G3d)は反応性官能基(M3a)と直接結合している。
【0052】
有利には変性剤(M1)は、一般式II
【0053】
【化2】

[式中、指数及び変数は下記のものを表す:m及びnは整数1〜6,有利には1〜5及び特には1〜3;oは0、1又は2、特に0;G1cは、前記したような熱及び/又は化学線により活性化可能な基、;Rは前記したような少なくとも2結合性有機基;Rは前記したような1結合性有機基及びRは加水分解可能な原子又は加水分解基]のシランから成る群から選択する。
【0054】
有利には加水分解可能な原子Rは、水素原子、弗素原子、塩素原子及び臭素原子から選択し、加水分解基Rはヒドロキシル基及び1結合性有機基Rから成る群から選択する。
【0055】
有利には1結合性有機基Rは、一般式III
【0056】
【化3】

[式中、変数Yは酸素原子又はカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミノ基−NH−又は第2アミノ基−NR−、特に酸素を表し、変数Rは前記したものを表す]の基から成る群から選択する。
【0057】
有利には加水分解1結合性有機基Rは、アルキル基中に炭素原子1〜4個を有する非置換アルコキシ基から成る群から選択する。
【0058】
シラン(M1)は自体公知の化合物であり、有機珪素化学で常用の公知方法により製造することができる。
【0059】
有利にはシラン(M1)は、(1)ポリイソシアネートを前記したようなブロック剤及び一般式IV
【0060】
【化4】

[式中、変数Zはイソシアネート反応性官能基、有利にはヒドロキシル基、チオール基又は第1又は第2アミノ基、特にヒドロキシル基を表し、変数R、R及びRは前記したものを表す]のシランと反応させるか又は(2)一般式V
【0061】
【化5】

[式中、指数n及び変数G1c、R及びZは前記したものを表す]の化合物を一般式VI
【0062】
【化6】

[式中、指数m及び変数R、R及びRは前記したものを表す]のシランと反応させることによって得られる。
【0063】
一般式IVの好適なシランの例は、例えば米国特許US5998504A1、3欄37行から4欄29行又は欧州特許出願EP1193278A1、3頁27〜43頁から公知である。
【0064】
好適なポリイソシアネートの例は、ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート(=5−イソシアネート−1−イソシアネートメチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン)、5−イソシアネート−1−(2−イソシアネートエト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアネート−1−(3−イソシアネートプロプ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアネート−(4−イソシアネートブト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、1−イソシアネート−2−(3−イソシアネートプロプ−1−イル)−シクロヘキサン、1−イソシアネート−2−(3−イソシアネートエト−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアネート−2−(4−イソシアネートブト−1−イル)−シクロヘキサン、1,2−ジイソシアネートシクロブタン、1,3−ジイソシアネートシクロブタン、1,2−ジイソシアネートシクロペンタン、1,3−ジイソシアネートシクロペンタン、1,2−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート又はHenkel社から商標名DDI1410として市販されており、特許明細書WO97/49745及びWO97/49747に記載されているような二量体脂肪酸から誘導したジイソシアネート、特に2−ヘプチル−3,4−ビス(9−イソシアネートノニル)−1−ペンチル−シクロヘキサン又は1,2−、1,4−又は1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,2−、1,4−又は1,3−ビス(イソシアネートエト−1−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3−イソシアネートプロプ−1−イル)シクロヘキサン、1,2−、1,4−又は1,3−ビス(4−イソシアネートブト−1−イル)シクロヘキサン又は特許出願DE4414032A1、GB1220717A1、DE1618795A1又はDE1793785A1に記載されているような30質量%まで、有利には25質量%及び特に20質量%のトランス/トランス含量の液体ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、有利にはイソホロンジイソシアネート、5−イソシアネート−1−(2−イソシアネートエト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアネート−1−(3−イソシアネートプロプ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアネート−(4−イソシアネートブト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、1−イソシアネート−2−(3−イソシアネートプロプ−1−イル)−シクロヘキサン、1−イソシアネート−2−(3−イソシアネートエト−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアネート−2−(4−イソシアネートブト−1−イル)−シクロヘキサン又はHDI、特にHDI;又はイソシアヌレート−、ビウレット−、アロファネート−、イミノオキサジアジンジオン−、ウレタン−、尿素−カルボジイミド及び/又は前記ジイソシアネートから通常の公知方法で製造されるウレトジオン基を有するポリイソシアネートであり;好適な製法及びポリイソシアネートの例は、例えば特許明細書CA2163591A、US4419513A、US4454317A、EP0646608A、US4801675A、EP0183976A1、DE4015155A1、EP0303150A1、EP0496208A1、EP0524500A1、EP0566037A1、US5258482A、US5290902A、EP0649806A1、DE4229183A1又はEP0531820A1から公知である。
【0065】
好適なポリイソシアネートのその他の例は、米国特許US5998504A、5欄21行から6欄2行から公知である。
【0066】
特に有利にはイソホロンジイソシアネートをベースとするイソシアネートをシラン(M1)を製造するために使用する。
【0067】
一般式Vの好適な化合物の例は、グリシドール及び常用の公知ヒドロキシル基含有のオレフィン性不飽和モノマー、例えばα,β−オレフィン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えばヒドロキシアルキル基が20個までの炭素原子を含有するアクリル酸、メタクリル酸及びエタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば2−ヒドロキシエチル−、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル−、4−ヒドロキシブチルアルキレート、−メタクリレート又は−エタクリレート;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン−、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンジメタノール−又はメチルプロパンジオールモノアクリレート、−モノエタクリレート、−モノエタクリレート又は−モノクロトネート又は環状エステルからの反応生成物、例えばε−カプロラクトン及びこれらのヒドロキシアルキルエステル;オレフィン性不飽和アルコール、例えばアリルアルコール;ポリオールのアリルエーテル、例えばトリメチロールプロパンモノアリルエーテル又はペンタエリスリットモノ−、ジ−又は−トリアリルエーテル;α,β−オレフィン性不飽和カルボン酸の分子中に炭素原子5〜18個を有するα位で枝分れしたモノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物である。アクリル−及び/又はメタクリル酸のVersatic(R)酸のグリシジルエステルとの反応生成物を使用するのが有利である。このグリシジルエステルはCardura(R)E10の名称で市販されている。詳細はRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、605及び606頁を参照にされたい;α,β−オレフィン性不飽和カルボン酸及びα,β−不飽和カルボン酸アミドのアミノアルキルエステルのホルムアルデヒド付加生成物、例えばN−メチロールアミノエチルアクリレート、−アミノエチルメタクリレート、−アクリルアミド及び−メタクリルアミド;並びに、ヒドロキシ官能性シランとエピクロルヒドリンを反応させ、引き続き中間生成物をα,β−オレフィン性不飽和カルボン酸、特にアクリル酸及びメタクリル酸と反応させることによって製造可能なアクリルオキシシラン基及びヒドロキシル基を含有するオレフィン性不飽和モノマー又はそれらのヒドロキシアルキルエステルである。
【0068】
好適な一般式VIのシランの例は、例えばドイツ特許出願DE19910876A1から公知である。
【0069】
有利には変性剤(M2)は、一般式VII
【0070】
【化7】

[式中、指数p=1、2又は3、特に1でありかつ変数R及びRは前記したものを表す]のシランから成る群から選択する。
【0071】
好適なシラン(M2)の例は、米国特許US5998504A、4欄30行から5欄20行に記載されている。トリメチルエトキシシランを使用するのが特に有利である。
【0072】
有利には変性剤(M3)は、一般式VIII
【0073】
【化8】

[式中、変数Rは前記したものを表す]のヒドロキシル基含有化合物から成る群から選択する。米国特許US4652470A1、9欄59行から10欄5行に記載されているような脂肪族、特に第1、アルコールを使用するのが特に有利である。極めて特に有利にはn−ヘキサノールを使用する。
【0074】
変性すべきナノ粒子(N’)としては全ての通常の公知ナノ粒子を選択することができる。有利には金属、金属の化合物及び有機化合物から成る群から選択する。
【0075】
元素の周期系の第3から第5主族、第3から第6並びに第1及び第2副族並びにランタニドからの金属、有利には硼素、アルミニウム、ガリウム、珪素、ゲルマニウム、錫、砒素、アンチモン、銀、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン及びセリウムから成る群から選択するのが有利である。特にアルミニウム及び珪素を使用する。
【0076】
有利には金属の化合物は、酸化物、酸化水和物、硫酸塩、水酸化物又は燐酸塩、特に酸化物、酸化水和物及び水酸化物である。
【0077】
好適な有機化合物の例はリグニン及び澱粉である。
【0078】
変性すべきナノ粒子(N’)は一次粒子粒度<50、有利には5〜50、特に10〜30nmを有する。
【0079】
有利には表面変性されたナノ粒子(N)は、変性すべきナノ粒子(N’)を第1工程で少なくとも1種の、特に1種の変性剤(M1)と反応させ、第2工程で少なくとも1種、特に1種の変性剤(M2)と反応させることによって製造することができる。
【0080】
更に表面変性されたナノ粒子(N)は、変性すべきナノ粒子(N’)を第1工程で少なくとも1種、特に1種の変性剤(M1)と並びに第2工程で少なくとも1種、特に1種の変性剤(M3)と及び第3工程で少なくとも1種、特に1種の変性剤(M2)と反応させるか又は第2工程で少なくとも1種、特に1種の変性剤(M2)と及び第3工程で少なくとも1種、特に1種の変性剤(M3)と反応させるか又は第2工程で少なくとも1種、特に1種の変性剤(M2)及び少なくとも1種、特に1種の変性剤(M3)と反応させることによって製造可能である。
【0081】
有利には変性剤(M1)及び(M2)並びに場合により(M3)を変性すべきナノ粒子(N’)の表面をほぼ完全にか又は完全に覆うために十分である量で使用する。その際変性剤(M1)及び(M2)は有利には変性基(G1):(G2)の前記質量比が生じるような質量比で使用する。
【0082】
更に、表面変性されたナノ粒子(N)は、少なくとも1種、特に1種の一般式IIの変性剤(M1)及び少なくとも1種、特に1種の一般式VIIの変性剤(M2)をゾル−ゲル法により相互に加水分解し、縮合させ、その後生成した表面変性されたナノ粒子(N)を更に少なくとも1種、特に1種の変性剤(M3)と反応させることによって製造することができる(Roempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、2002、》Sol−Gel−Prozess《参照)。
【0083】
有利にはシラン(M1)及び(M2)と変性すべきナノ粒子(N’)との反応の際又は表面変性されたナノ粒子(N)を得るために、通常の公知加水分解用の触媒、例えば有機及び無機酸を使用する。
【0084】
有利には表面変性されたナノ粒子(N)の製造は低沸点のプロトン性有機溶剤、例えば低沸点アルコール、特にイソプロパノール中で行う。
【0085】
寸法安定性粒子(P)中の表面変性されたナノ粒子(N)の含量は非常に広い範囲で変えることができる。有利には含量は各々(P)に対して1〜40質量%、有利には5〜35質量%及び特に10〜30質量%である。
【0086】
更に寸法安定粒子(P)は、少なくとも1種、特に1種のポリマー及び/又はオリゴマーの結合剤を含有することができる。更に、架橋剤、有色及び/又は効果顔料、有機及び無機、透明又は不透明充填剤、表面変性されたナノ粒子(N)とは異なるその他のナノ粒子、反応性希釈剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカルスカベンジャー、脱気剤、スリップ剤、重合防止剤、光重合開始剤、ラジカル又はカチオン重合開始剤、脱泡剤、乳化剤、湿潤−及び分散剤、接着助剤、流展剤、塗膜形成剤、流動性調整添加物(増粘剤)、難燃剤、ドライヤー、乾燥剤、皮張り防止剤、腐蝕防止剤、ワックス及び艶消し剤から成る群から選択した少なくとも1種の添加物を有効量で含有することができ、その際、脱泡剤、乳化剤、湿潤−及び分散剤、流動性調整添加物(増粘剤)及び皮張り防止剤は有利には主として、特には完全に、下記水性相(W)中に存在する。特に寸法安定性粒子(P)中の添加物は、架橋剤、反応性希釈剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカルスカベンジャー及び光重合開始剤から成る群から選択する。
【0087】
従って寸法安定粒子(P)の原料組成は非常に広い範囲で変えることができ、個々の要求に合わせる。好適な原料組成の例は、ドイツ特許出願DE19613547A1、1欄50行から3欄52行;DE19841842A1、3頁45行から4頁44行;DE19959923A1、4頁37行から10頁34行及び11頁10〜36行;DE10027292A1、6頁[056]項から12頁[0099]項;及びDE10027267A1、3頁[0030]項から13頁[0122]項から公知である。
【0088】
連続水性相(W)としては、通常粉末スラリー製造用に使用されるような全ての水性相が好適である。好適な水性相(W)の例は、ドイツ特許出願DE10126649A1、12頁[0099]項、12頁[0110]から16頁[0146]項又はドイツ特許出願DE19613547A1、3欄66行から4欄45行に記載されている。特に水性相(W)はドイツ特許出願DE19841842A1、4頁45行から5頁4行に記載の増粘剤を含有し、それによってそこに記載の、本発明による分散液の構造粘性挙動を調整することができる。
【0089】
方法的に本発明による分散液の製造は特別なものではなく、当業界で通常の公知方法を用いて行うことができる。その際、前記寸法安定性粒子(P)を連続水性相(W)中に分散させ、その際表面変性されたナノ粒子(N)を寸法安定性粒子(P)の残りの成分と混合し、生成した混合物(P)を水相(W)中に分散させる。
【0090】
例えば本発明による分散液は、ドイツ特許出願DE19613547A1、DE19618657A1、DE19814471A1又はDE19920141A1に記載されているように、寸法安定性粒子(P)の成分から押出及び粉砕によって先ず粉末塗料(P)を製造し、これを水又は水性相(W)中で湿式粉砕することによって製造することができる。
【0091】
本発明による分散液は、例えばドイツ特許出願DE19841842A1、DE10001442A1、DE10055464A1、DE10135997A1、DE10135998A1又はDE10135999A1に記載されているように、粒子(P)の成分並びに水を有機溶剤中に乳化させ、それによって水中油型の乳濁液を生成し、その後これから有機溶剤除去し、それによって乳化させた小滴(P)を完成させる、いわゆる第2分散液法を用いて製造することもできる。
【0092】
更に本発明による分散液は、例えばドイツ特許出願DE19959923A1に記載されているように、オレフィン性不飽和モノマーを乳濁液中で重合させる、いわゆる第1分散液法を用いて製造することもできる。そこに記載の成分に加えて乳濁液は本発明によれば表面変性されたナノ粒子(N)を含有する。
【0093】
更に本発明による分散液は、例えばドイツ特許出願DE10006673A1、DE10126649A1、DE10126651A1又はDE10126652A1から公知であるように、粒子(P)の成分の溶融物を乳化装置中に有利には水及び安定剤の添加下で装入し、得られた小滴(P)の乳濁液を冷却して、粒子(P)の懸濁液を生成し、これを濾過するいわゆる溶融乳化法を用いて製造することもできる。
【0094】
特に本発明による分散液は第2分散液法により製造する。
【0095】
本発明による分散液を製造するために、その製造で生じた表面変性されたナノ粒子(N)を使用することができる。しかし本発明によれば本発明による分散液を製造するために本発明による製法を使用するのが有利である。
【0096】
本発明による製法では表面変性されたナノ粒子(N)を非プロトン性、特に非プロトン性で非極性の、液体有機媒体(O)中のその分散液(D)の形で使用する。
【0097】
有利には非プロトン性液体有機媒体(O)は主として又は完全に、非プロトン性、特に非プロトン性で非極性の溶剤及び/又は反応性希釈剤から成る。
【0098】
非プロトン性溶剤とは、プロトリシス可能な水素原子を全く含まない、即ちプロトンドナーではない有機溶剤のことである。これに関して詳細は、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York 1998、41頁、》Aprotische Loesemittle《又はRoempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2002、》Aprotische Loesemittle《を参照にされたい。好適な非プロトン性溶剤の例は、Dieter Stoye及びWerner Freitag(編集者)の本》Paints,Coatings and Solvents《(第2、完全改訂版、Wiley−VCH、Weinheim、New York、1998、327〜373頁)から公知である。
【0099】
反応性希釈剤とは、反応性の希釈剤又は反応性の溶剤のことであり、その際これはDIN55945:1996〜09による長い名称を簡略化した概念であり、化学反応によって塗膜形成に際して結合剤の成分となる希釈剤を記載している。化学反応は熱によるか又は化学線によって開始させることができる。従って、熱による架橋用の反応性希釈剤、化学線を用いる架橋用の反応希性釈剤又は熱による架橋及び化学線を用いる架橋用の反応性希釈剤であってよい。
【0100】
熱による架橋用に好適な反応性希釈剤の例は、少なくとも2個のヒドロキシル−又はチオール基又は少なくとも1個のヒドロキシル−及び少なくとも1個のチオール基で官能性にされた枝分れ、環式及び/又は非環式C〜C16−アルカン、特にジエチルオクタンジオールである。
【0101】
熱による架橋用に好適な反応性希釈剤のもう一つの例は、オリゴマーのポリオールであり、これは非環式モノオレフィン及び環式モノオレフィンの複分解によって得られるオリゴマーからヒドロホルミル化し、次いで水素添加することによって得られる;好適な環式モノオレフィンの例は、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロヘプテン、ノルボネン又は7−オキサノルボネンである;好適な非環式モノオレフィンの例は、石油加工で分解によって得られる炭化水素混合物中に含まれている(C−留分);好適なオリゴマーのポリオールの例は、ヒドロキシル価(OHZ)200〜450、数平均分子量Mn400〜1000及び質量平均分子量M600〜1100を有する。
【0102】
化学線を用いる架橋用の好適な反応性希釈剤の例は、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York 1998、》Reaktivverduenner《491及び492頁、ドイツ特許出願DE19908013A1、6欄63行から8欄65行、ドイツ特許出願DE19908018A1、11頁31〜33行、ドイツ特許出願DE19818735A1、7欄1〜35行又はドイツ特許出願DE19709467C1、4頁36行から5頁56行に詳細に記載されている。有利にはペンタエリスリットテトラアクリレート及び/又は分子中にアクリレート基6個を有する脂肪族ウレタンアクリレートを使用する。
【0103】
熱による架橋及び化学線を用いる架橋用に好適な反応性希釈剤の例は、欧州特許EP0928800A1、3頁17〜54行及び4頁41〜54行又はドイツ特許DE19818735A1、3欄16行から6欄33行に詳細に記載されている。
【0104】
特に有利には非プロトン性溶剤及び/又は反応性希釈剤は変性基(G1)並びに場合により(G3)に関して、フローリー・ハギンス・パラメーターχ>0.5を有する(これに関してはK.Kehr、Mittlere Feldtheorie von Polymerloesungen、Schmelzen und Mischungen;Random Phase Approximation、in Physik der Polymere、22、IFF−Ferienkurs、Forschungszentrum Juelich GmbH、Juelich、1991)。
【0105】
有利には分散液(D)は、沈殿又はゲル形成を引き起こすことなしに、その全量に対して>30、有利には>40及び特には>50質量%の固体含量を有する。
【0106】
表面変性されたナノ粒子(N)の非プロトン性液体有機媒体(O)、有利には非プロトン性、特に非プロトン性非極性溶剤及び反応性希釈剤中への移動は蒸留により行う。従って非プロトン性溶剤及び/又は反応性希釈剤は、蒸留に際して一緒に留出しないように選択する。方法を最適化するために表面変性されたナノ粒子(N)の製造で使用されるプロトン性溶剤と低沸点共沸混合物を生成する特定の共沸剤を使用することができる。この方法により1質量%より少ないプロトン性溶剤の残量を有する分散液(D)の製造が可能になる(GC分析による)。
【0107】
分散液(D)はなお少なくとも1種の前記添加物を含有してよい。有利には添加物を含まない。
【0108】
分散液(D)の製造は、方法に関して特別な要求はなく、分散液の製造の通常の公知方法により前記成分を好適な混合装置、例えば攪拌釜、溶解機、インライン溶解機、攪拌機ミル又は押出機中で混合することによって行う。
【0109】
本発明による製法では分散液(D)を寸法安定性粒子(P)の残りの成分と混合する。生じた混合物(P)を水性相(W)中に分散させ、寸法安定性粒子(P)が生成する。本発明による製法は本発明による分散液の製造用の前記方法を用いて行うことができる。特に第2分散液法を使用する。
【0110】
本発明による分散液は、塗料材料、接着剤及びシーラントとして特に好適である。特にあらゆる種類の移動手段の車体(特に筋力で動かす移動手段、例えば自転車、馬車又は保線係用トロッコ、航空機、例えば飛行機又はツェッペリーン、浮遊物体、例えば船又はブイ、鉄道車両及び原動機付き車、例えばオートバイ、バス、LKW又はPKW)又はその部品;屋内−及び屋外分野の建造物;家具、窓及びドア;工業部品、コイル、容器及び包装;白色物;シート;光学的、電気工学的及び機械的部品並びにガラス中空体及び日用品の塗装、接着及び密閉用に特に好適である。
【0111】
本発明による分散液は有利には塗料材料、特に有利には粉末スラリーとして使用される。特にこれは、ドイツ特許出願DE10027292A1、13頁[0109]項〜14頁[0118]項に記載されているような、特にウェット・オン・ウェット法で、有色−及び/又は効果付与多層塗装で透明塗料を製造するために好適である。
【0112】
通常の公知粉末スラリーと同様に本発明による分散液も、例えばドイツ特許出願DE10027292A1、14頁[0121]項〜[0126]項に記載されているように、通常の公知噴霧塗布法を用いて該当する支持体上に塗布することができる。
【0113】
その都度使用される硬化法は、本発明による分散液の材料組成に合わせて、例えばドイツ特許出願DE10027292A1、14頁[0128]項から15頁[0136]項に記載されているように、行うことができる。
【0114】
全ての使用に際して塗布された本発明による分散液はその硬化後に、高い層厚でも表面瑕疵、特にアバタを有さず、湿度負荷後にかぶりをもはや生じず、優れた硬度、耐引掻性、接着力及び耐薬品性を有する塗膜、接着層及びシールを生じる。更に、塗膜、接着層及びシールは全く問題なく上塗りすることができ、これは例えば自動車修理塗装にとって特に重要である。
【0115】
実施例
製造例1
変性剤(M1)の製造
欧州特許EP1193278A1の製造例1による部分ブロックされ、約40%まで部分的にシラン化されたイソホロンジイソシアネート三量体80.2gを、還流冷却器及びサーモメーターを有する三首フラスコ中で3,5−ジメチルピラゾール13.97gと一緒にし、50℃に加熱したが、その際攪拌した。反応の変換率をIR分光法により追跡した。13時間後にブロック反応は完全に終了した:遊離イソシアネート基はIR分光法によりもはや全く検出されなかった。
【0116】
製造例2
表面変性されたナノ粒子(N)及び紫外線を用いて架橋するための非プロトン性有機溶剤及び反応性希釈剤中のその分散液(D)の製造
製造例1による変性剤M1 31.7質量部を70℃に加熱し、イソプロパノール中のSiOのコロイド状溶液(IPA−ST−S、Nissan Chemical社で市販)42.5質量部並びに0.1N酢酸2.9質量部を徐々に加えた。こうして得た混合物をなお3時間70℃で攪拌し、次いで徐々に少なくとも30分間の時間をかけてトリメチルエトキシシラン2質量部を加えた。その後溶剤ナフサ10.3質量部及びヘキサノール1.6質量部を添加し、得られた溶液を更に3時間70℃で攪拌した。引き続き分子中にアクリレート基6個を有する市販の脂肪族ウレタンアクリレート(UCB社のEbecryl(R)1290)29.8質量部を加えた。
【0117】
低沸点成分を分離するために、冷却した反応混合物を回転蒸発器で65℃よりもはや高くない浴温度で真空中で低沸点成分から分離した。
【0118】
得られた反応性希釈剤中の表面変性されたナノ粒子(N)の分散液をなおメチルエチルケトンに加えて、固体含量80質量%の分散液(D)が生じた。Ebecryl(R)1290の含量は29.8質量%であった。ブロクトイソシアネート基の含量は1.9質量%であった。分散液(D)は灼熱残渣14.6質量%を有し、室温で少なくとも3ヶ月間の期間、粘度上昇が観察されることなく、安定であった。
【0119】
製造例3
ブロクトポリイソシアネートの製造
攪拌機、還流冷却器、サーモメーター及び窒素導入管を具備した好適な実験室用反応器中で、市販のポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするイソシアヌレート、BayerAG社のDesmodur(R)N3300)1068質量部及びメチルエチルケトン380質量部を前装入し、徐々に40℃に加熱した。引き続き2,5−ジメチルピラゾール合計532質量部を反応混合物の温度が80℃より高く上昇しないように少量宛添加した。反応混合物を、遊離イソシアネートがもはや検出されなくなるまで80℃に保ち、次いで冷却した。生じたブロクトポリイソシアネートの溶液は、固体含量79.3質量%を有した。
【0120】
例1
寸法安定性粒子(P)の構造粘性水性分散液の製造
高速攪拌機を具備した好適なガラス製攪拌容器中に、通常結合剤として塗料材料中に使用されるメタアクリレートコポリマーのメチルエチルケトン溶液(A)(固体含量:メチルエチルケトン中57.6質量%;酸価:KOH29mg/固体樹脂g;ヒドロキシル価:KOH150mg/固体樹脂g;OH当量:374g/モル)194.17質量部、製造例3のブロクトポリイソシアネートの溶液81.87質量部、製造例2の分散液(D)83.89質量部及びジメチルエタノールアミン2.07質量部を量り入れ、強力に相互に混合した。生じた混合物に、質量比5:1のIrgacure(R)184(Ciba Specialty Chemicals社の市販光重合開始剤)及びLucirin(R)TPO(BASF AG社の市販光重合開始剤)から成る光重合開始剤混合物1質量部、市販の紫外線吸収剤(Tinuvin(R)400)2.32質量部及び市販の可逆性ラジカルスカベンジャー(HALS;Tinuvin(R)123)2.32質量部を添加し、同じくよく混合した。混合物(P)が生じた。
【0121】
混合物(P)に脱イオン水を構造粘性水性分散液の所望の固体含量に応じて36〜37質量%の量で攪拌下で徐々に添加した(約422質量部)。水の完全な添加後に、生じた分散液を1μmのCuno(R)圧濾機で濾過した。次いでメチルエチルケトンを真空中で最高35℃で蒸留により除去した。
【0122】
分散液を市販の流展剤(Bayer AG社のBaysilone(R)Al3468)0.33質量部並びに市販の増粘剤(Rohm&Haas社のAcrysol(R)RM−8W)19.67質量部の添加によって完成させた。次いで1μmのCuno(R)圧濾機で濾過した。
【0123】
構造粘性水性分散液は固体含量36.2質量%を有し、貯蔵安定性であり、簡単に塗布可能であった。
【0124】
例2
例1の構造粘性水性分散液を用いる着色多層塗膜の製造
例1の構造粘性水性分散液を空気式でフローカップガンを用いて、−記載順序で相互に存在する−電着塗装、サーフェーサーコート及び黒色水性下塗で下塗した鋼板上に塗布した。塗布した層の未乾燥塗膜厚は、硬化させた透明塗膜が乾燥塗膜厚40μmを有するように選択した。塗布した層は10分間室温で空気に曝し、5分間60℃で乾燥させ、30分間150℃で熱により硬化させた。熱による硬化用にHeraeus社の空気循環炉を使用した。
【0125】
表は、実施した通常の公知試験及びその際得られた結果の概観を表す。これは例2の新規透明塗膜が特に高い表面硬度及び特に高い耐引掻性を有することを示す。その際、例2の塗膜は、透明かつ高光沢性であり、表面瑕疵、例えばクレーター、斑点及び微小泡を有さず、耐化学薬品性であり、高い接着強さを有する。更に研磨性が非常に良好である。
【0126】
表:例2の透明塗膜の使用技術特性
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続水性相(W)中に分散している固体及び/又は高粘性の貯蔵及び使用条件下で寸法安定性粒子(P)を含有する構造粘性水性分散液において、寸法安定性粒子(P)が、その表面がほぼ完全にか又は完全に、(G1)結合官能基(a)を介して表面と共有結合しておりかつスペーサー不活性基(b)及び変性すべき表面の反応性官能基に対して不活性である、基(b)を介して基(a)と結合している反応性官能基(c)を含有する変性基及び(G2)珪素原子少なくとも1個を含有する結合官能基(a)を介して表面と結合しており、不活性基(e)を含有しかつ変性基(G1)より小さい流体力学容量Vを有する変性基で覆われている表面変性されたナノ粒子(N)を含有していることを特徴とする、構造粘性水性分散液。
【請求項2】
ナノ粒子(N)の表面がなお、(G3)少なくとも1個の結合官能基(a)を介して表面と共有結合しておりかつ基(a)を介して表面と結合した、スペーサー不活性基(G1b)より小さい流体力学容量Vを有する少なくとも1個の不活性基(d)を含有する変性基で覆われていることを特徴とする、請求項1に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項3】
流体力学容積Vが光子相関分光法を用いて測定するか又は関係
=(rcont/2)
[式中、rcontは、分子の有効輪郭長さを表す]から見積もることができることを特徴とする、請求項1又は2に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項4】
変性すべき表面の反応性官能基がヒドロキシル基であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項5】
結合官能基(G1a)が珪素原子少なくとも1個を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項6】
スペーサー不活性基(G1b)が少なくとも2結合性有機基Rであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項7】
反応性官能基(G1c)が熱及び/又は化学線を用いて活性化可能であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項8】
熱によって活性化可能な反応性官能基(G1c)がブロクトイソシアネート基であり、化学線を用いて活性化可能な反応性官能基(G1c)が少なくとも1個の炭素−炭素多重結合を含有する基から成る群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項9】
結合官能基(G3a)が、エーテル−、チオエーテル−、カルボン酸エステル−、チオカルボン酸エステル−、カーボネート−、チオカーボネート−、燐酸エステル−、チオ燐酸エステル−、ホスホン酸エステル−、チオホスホン酸エステル、ホスファイト−、チオホスファイト−、スルホン酸エステル−、アミド−、アミン−、チオアミド−、燐酸アミド−、チオ燐酸アミド−、ホスホン酸アミド−、チオホスホン酸アミド−、スルホン酸アミド−、イミド−、ヒドラジド−、ウレタン−、尿素−、チオ尿素−、カルボニル−、チオカルボニル−、スルホン−又はスルホキシド基から成る群から選択されたものである ことを特徴とする、請求項2から8までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項10】
不活性基(G3d)及び不活性基(G2e)が1結合性有機基Rであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項11】
1結合性有機基Rを、脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族又は脂肪族−脂環式−芳香族基から成る群から選択することを特徴とする、請求項10に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項12】
不活性基(G1b)、(G2e)及び(G3d)が少なくとも2結合性官能基少なくとも1個及び/又は置換基少なくとも1個を含有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項13】
表面変性されたナノ粒子(N)が、変性すべきナノ粒子(N’)の表面の反応性官能基を、(M1)変性すべき表面の反応性官能基に対して反応性である少なくとも1個の反応性官能基(M1a)、少なくとも1個のスペーサーの不活性基(G1b)及び変性すべき表面の反応性官能基に対して不活性である、基(G1b)を介して基(M1a)と結合している少なくとも1個の反応性官能基(G1c)を含有する少なくとも1種の変性剤、(M2)珪素原子少なくとも1個を含有し、変性すべき表面の反応性官能基に対して反応性である少なくとも1個の反応性官能基(M2a)及び少なくとも1個の不活性基(G2e)を含有する、変性剤(M1)より小さい流体力学容量Vを有する少なくとも1種の変性剤と反応させることによって製造可能であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項14】
表面変性されたナノ粒子(N)を、変性すべきナノ粒子(N’)の表面の反応性官能基を付加的に、(M3)変性すべき表面の反応性官能基に対して反応性である少なくとも1個の反応性官能基(M3a)及びスペーサーの不活性基(G1b)より小さい流体力学容量Vを有する少なくとも1個の不活性基(G3d)を含有する少なくとも1種の変性剤と反応させることによって製造可能であることを特徴とする、請求項13に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項15】
変性剤(M1)が、一般式II
【化1】

[式中、指数及び変数は下記のものを表す:m及びnは整数1〜6;oは0、1又は2;G1cは、前記したような熱及び/又は化学線により活性化可能な基;Rは前記したような少なくとも2結合性有機基;Rは前記したような1結合性有機基及びRは加水分解可能な原子又は加水分解基]のシランから成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項13又は14に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項16】
加水分解可能な原子Rが、水素原子、弗素原子、塩素原子及び臭素原子から選択され、加水分解基Rがヒドロキシル基及び1結合性有機基Rから成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項15に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項17】
1結合性有機基Rが、一般式III
【化2】

[式中、変数Yは酸素原子又はカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミノ基−NH−又は第2アミノ基−NR−を表し、変数Rが前記したものを表す]の基から成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項16に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項18】
一般式IIのシラン(M1)が、(1)ポリイソシアネートをブロック剤及び一般式IV
【化3】

[式中、変数Zはイソシアネート反応性官能基を表し、変数R、R及びRは前記したものを表す]のシランと反応させるか又は(2)一般式V
【化4】

[式中、指数n及び変数G1c、R及びZは前記したものを表す]の化合物を一般式VI
【化5】

[式中、指数m及び変数R、R及びRは前記したものを表す]のシランと反応させることによって得られることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項19】
変性剤(M2)が、一般式VII
【化6】

[式中、指数p=1、2又は3でありかつ変数R及びRは前記したものを表す]のシランから成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項13から18までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項20】
変性剤(M3)が、一般式VIII
【化7】

[式中、変数Rは前記したものを表す]のヒドロキシル基含有化合物から成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項14から19までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項21】
一般式VIIIのヒドロキシル基含有化合物が第1脂肪族アルコールであることを特徴とする、請求項20に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項22】
変性すべきナノ粒子(N’)が金属、金属の化合物及び有機化合物から成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項23】
金属を元素の周期系の第3から第5主族、第3から第6並びに第1及び第2副族並びにランタニドから選択することを特徴とする、請求項22に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項24】
金属の化合物が、酸化物、酸化物水和物、硫酸塩、水酸化物又は燐酸塩であることを特徴とする、請求項22又は23に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項25】
表面変性されたナノ粒子(N)が、変性すべきナノ粒子(N’)を第1工程で少なくとも1種の変性剤(M1)と反応させ、第2工程で少なくとも1種の変性剤(M2)と反応させることによって製造可能であることを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項26】
表面変性されたナノ粒子(N)が、変性すべきナノ粒子(N’)を第1工程で変性剤(M1)と並びに第2工程で少なくとも1種の変性剤(M3)と及び第3工程で少なくとも1種の変性剤(M2)と反応させるか又は第2工程で少なくとも1種の変性剤(M2)と及び第3工程で少なくとも1種の変性剤(M3)と反応させるか又は第2工程で少なくとも1種の変性剤(M2)及び少なくとも1種の変性剤(M3)と反応させることによって製造可能であることを特徴とする、請求項25に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項27】
変性剤(M1)及び(M2)並びに場合により(M3)を変性すべきナノ粒子(N’)の表面をほぼ完全にか又は完全に覆うために十分である量で使用することを特徴とする、請求項25又は26に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項28】
表面変性されたナノ粒子(N)が、少なくとも1種の一般式IIの変性剤(M1)及び少なくとも1種の一般式VIIの変性剤(M2)を相互に加水分解し、縮合させることによって製造可能であることを特徴とする、請求項15から21までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項29】
表面変性されたナノ粒子(N)を、生じた表面変性されたナノ粒子(N)を更に少なくとも1種の変性剤(M3)と反応させることによって製造可能であることを特徴とする、請求項28に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項30】
寸法安定性粒子(P)が表面変性されたナノ粒子(N)を(P)に対して1〜40質量%の量で含有することを特徴とする、請求項1から29までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項31】
寸法安定粒子(P)が、少なくとも1種のポリマー及び/又はオリゴマーの結合剤を含有することを特徴とする、請求項1から30までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項32】
構造粘性水性分散液が、寸法安定性粒子(P)及び/又は水性相(W)中に、架橋剤、有色及び/又は効果顔料、有機及び無機、透明又は不透明充填剤、表面変性されたナノ粒子(N)とは異なるその他のナノ粒子、反応性希釈剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ラジカルスカベンジャー、脱気剤、スリップ剤、重合防止剤、光重合開始剤、ラジカル又はカチオン重合開始剤、脱泡剤、乳化剤、湿潤−及び分散剤、接着助剤、流展剤、塗膜形成剤、流動性調整添加物(増粘剤)、難燃剤、ドライヤー、乾燥剤、皮張り防止剤、腐蝕防止剤、ワックス及び艶消し剤から成る群から選択した少なくとも1種の添加物を含有することを特徴とする、請求項1から31までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項33】
寸法安定性粒子(P)を構造粘性水性分散液に対して5〜70質量%の量で含有することを特徴とする、請求項1から32までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液。
【請求項34】
その表面がほぼ完全にか又は完全に変性基(G1)及び変性基(G2)で覆われている表面変性されたナノ粒子(N)の非プロトン性、液体有機媒体(O)中の少なくとも1種の分散液(D)を寸法安定性粒子(P)の残りの成分と混合し、生じた混合物(P)を水相(W)中に分散させて、寸法安定性粒子(P)を生成することを特徴とする、請求項1から33までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液の製法。
【請求項35】
表面変性されたナノ粒子(N)がなお付加的に変性基(G3)で覆われていることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
非プロトン性の液体有機媒体(O)が少なくとも1種の非プロトン性有機溶剤及び/又は少なくとも1種の反応性希釈剤を含有するか又はこれから成ることを特徴とする、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
非プロトン性有機溶剤及び/又は反応性希釈剤が、変性基(M1)並びに場合により(M3)に関してフローリー・ハギンス・パラメーターχ>0.5を有することを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
分散液(D)が、少なくとも30質量%の表面変性されたナノ粒子(N)の含量を有することを特徴とする、請求項34から37までのいずれか1項に記載方法。
【請求項39】
請求項1から33までのいずれか1項に記載の構造粘性水性分散液並びに請求項34から38までのいずれか1項に記載の方法により製造した構造粘性水性分散液の、不透明及び透明な塗膜、接着層及びシールの製造用の塗料材料、接着剤及びシーラントとしての使用。

【公表番号】特表2007−510770(P2007−510770A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537321(P2006−537321)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052817
【国際公開番号】WO2005/042647
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】