説明

標的細胞への遺伝子の導入方法

【課題】 本発明は、遺伝子を組み込んだベクターを用いて標的細胞へ遺伝子を導入する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の方法は、
1)標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させ、そして
2)低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの条件下において、前記ベクターを細胞に感染させる
ことを含む、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温下、低酸素下又は短時間での感染という悪条件下で、遺伝子の導入を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子導入は、細胞、動物への遺伝子操作の基本的技術である。ある遺伝子・遺伝子産物の機能を調べるために、あるいは機能の判明した遺伝子・遺伝子産物を用いて疾患を予防又は治療するために遺伝子導入のための技術が開発・改良されている。ヒトに対しては、遺伝子治療として遺伝子導入による疾患の治療が検討されている。
【0003】
遺伝子導入法としては、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、遺伝子銃による方法等の物理化学的方法と、ウイルスベクターを用いた導入法等の生物学的方法がある。生物学的方法による遺伝子導入は、一般的には常温、酸素下で比較的長時間、細胞を遺伝子と接触させることにより実施される。しかし、臨床では、低温、低酸素、短時間の接触という特殊な環境下での遺伝子導入が要求されるケースがある。例えば、移植臓器血管系への遺伝子操作は、移植臓器を臓器提供者から摘出し、臓器障害を起こさないために低温、低酸素下で短時間の臓器保存中に免疫抑制遺伝子などを遺伝子導入する必要がある。この臓器を患者に移植することで免疫抑制剤を使わない臓器移植が可能となる。
【0004】
例えば、ウイルスベクターのうちアデノウイルスベクターは、分裂・非分裂細胞両方に非常に効率よく遺伝子を導入することが可能であることや、また非常に高濃度のウイルス液を調製可能であることなど、生体へのインビボ遺伝子導入の条件を満たしている。アデノウイルベクターは特に、現存する遺伝子導入ベクターの中では、血管系への遺伝子導入効率に優れているベクターの一つである(Lemarchand P et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 89(14), 6482−6486 (1992))。しかしながら、上記の低温、低酸素下、短時間での感染という悪条件の典型例である移植臓器への遺伝子導入効率で調べた所、常温下と比較して低温下では遺伝子導入効率・発現量とも有意に低いことが明らかになっている。よって、このような悪条件下で効率よく遺伝子導入をするための方法が希求される。
【非特許文献1】Lemarchand P et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 89(14), 6482−6486 (1992)
【非特許文献2】Watkins SJ et al., Gene Ther. 4, 1004−1012 (1997)
【非特許文献3】Haisma HJ. et al., Cancer Gene Ther. 7, 901−904 (2000)
【非特許文献4】Dmitriev I. et al., J. Viol. 74, 6875−6884 (2000)
【非特許文献5】Wesseling JG. et al., Gene Ther. 8, 969−976 (2001)
【非特許文献6】Nieklin SA. et al., Circulation 102, 231−237 (2000)
【非特許文献7】Nettelbeck DM. et al., Mol. Ther. 3, 882−891 (2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、遺伝子を組み込んだベクターを用いて標的細胞へ遺伝子を導入する方法を提供することを目的とする。
本発明の方法は、
遺伝子を組み込んだベクターを用いて標的細胞へ遺伝子を導入する方法において、
1)標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させ、そして
2)低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの条件下において、前記ベクターを細胞に感染させる
ことを含む、ことを特徴とする。
【0006】
本発明はまた、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとベクター表面タンパク質との結合体、並びに当該結合体の、上記本発明の遺伝子導入方法への使用も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題の解決のために鋭意研究に努めた結果、血管系において血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor(VEGF))に対するレセプターが高発現していることに着目して、本願発明を想到した。具体的には、VEGFタンパク質をアデノウイルスベクターのfiber knobに対する抗体を介してfiber knobタンパク質と結合させ、VEGFレセプターを介してベクターの細胞への結合・導入がなされるように改良した。その結果、低温、低酸素、及び/又は短時間という特殊な悪条件下でもVEGFレセプターを介した遺伝子導入が有効に機能し、遺伝子発現効率・発現量共に向上させることが可能になった。
【0008】
なお、タンパク質のリガンドをアデノウイルスベクターのfiber knobに対する抗体とカップリングし、ターゲッティングする方法については、既にEGFタンパク質について報告されている(Watkins SJ et al., Gene Therapy 4, 1004−1012 (1997))。本発明の方法は、その方法を低温などの悪条件下での遺伝子導入の目的のために改良したものである。具体的には、本発明は、低温等の悪条件下でも、VEGFタンパク質を使用し、特に移植臓器の血管内皮への遺伝子を可能にしたものである。
【0009】
よって、本発明の方法は、遺伝子を組み込んだベクターを用いて標的細胞へ遺伝子を導入する方法において、
1)標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させ、そして
2)低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの条件下において、前記ベクターを細胞に感染させる
ことを含む、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の方法は、その一態様において、
1)ベクターの表面タンパク質を認識する物質と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドの結合体とベクターとを混和させて、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させ、そして
2)低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの条件下において、前記ベクターを細胞に感染させる
ことを含む。
【0011】
本発明のベクター
本発明におけるベクターは、生物学的な方法で細胞に所望の遺伝子を発現し、所望のタンパク質を産生する機能を有するものであれば特に限定されない。本発明は、ベクターの表面タンパク質と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドの結合体を利用するものである。よって、表面タンパク質を利用可能なベクター、例えば、ウイルスベクター、ファージベクター、プラスミド、リポソーム等は、本発明において適用可能である。
【0012】
本発明の一態様において、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドのベクターの表面タンパク質への結合は、先ず、ベクターの表面タンパク質を認識する物質、好ましくは抗体、と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドの結合体を調製し、このような結合体をベクターと混和させてもよい。ベクターの表面タンパク質を認識する物質を介して、細胞表面レセプターに対するリガンドがベクターの表面タンパク質へ結合する。あるいは、表面タンパク質を認識する物質を介さなくても、ベクターの表面タンパク質と標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドを融合タンパク質として、ベクターの粒子表面に発現させてもよい。このような融合タンパク質を発現可能なベクターも、標的細胞の細胞表面レセプターに特異的に標的化できるため、本発明の範囲に含まれる。あるいは、ベクターの表面タンパク質と標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとの融合タンパク質を調製し、当該融合タンパク質をベクターに化学的に共有結合させてもよい。
【0013】
本発明のベクターは、好ましくは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、センダイウイルスベクターを含むパラミクロウイルスベクター、インフルエンザウイルスを含むオルソミクソウイルスベクター、並びに、アデノウイルスベクター/アデノ随伴ウイルスハイブリッドベクターからなるグループから選択されるウイルスベクターである。好ましくは、アデノウイルスベクターである。
【0014】
ウイルスベクターを用いた遺伝子導入法及び遺伝子発現のための一般的な方法は、例えば、村松・山本編集、「実験医学別冊 新訂 新遺伝子工学ハンドブック」改訂版(羊土社)、1999年、p.202−215;あるいは、仲嶋一範、北村義浩編、「実験医学別冊 必ずうまくいく 遺伝子導入と発現解析プロトコール」 (羊土社) 2003年9月、p.79−130に準じて行うことができる。
【0015】
また、本発明の方法はリポソームなどの非ウイルスベクターでも用いることが可能である。例えば、リポソーム、ファージベクタ及びプラスミド等の非ウイルスベクターも利用可能である。リポソームを利用した遺伝子導入、遺伝子発現の一般的な手法は、例えば、ライフサイエンスにおけるリポソーム実験マニュアル、寺田弘、吉村哲郎編著、シュプリンガー・フェアラーク東京(1992)、並びにMiller A.D.,Methods Mol.Med.90, 107−137、(2004)等の文献に記載されている。ファージベクターは、例えば、ラムダファージベクター、M13ベクターを含む。
【0016】
本発明において、ベクターに組み込まれ、標的細胞へ導入される遺伝子の種類は特に限定されず、任意の遺伝子を用いることができる。疾患の予防及び/又は治癒、組織・器官の維持および/または修復に直接的若しくは間接的に関与する遺伝子等が含まれる。疾患としては、例えば、移植臓器の他に癌の新生血管に対する遺伝子導入や、心筋梗塞などの虚血性心血管疾患に対する遺伝子導入などでも臨床応用が可能である。あるいは、免疫抑制に関与する因子をコードする遺伝子も利用可能である。本明細書において「免疫抑制に関与する遺伝子とは、免疫反応を弱める、回避する、あるいは積極的に免疫寛容を導く活性を有するタンパク質、ペプチドをいう。あるいは、特定の細胞、例えば、癌細胞を攻撃するための毒性遺伝子、例えば、リシン、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV−tk)、酵母シチジンデアミナーゼ等をコードする遺伝子も利用可能である。
【0017】
本発明に使用しうる遺伝子の一態様として、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)、Tie−1、Tie−2、CD34(PECAM)、E−セレクチン、VE−カドヘリン、フォンビレブランド(von Willebrand)因子、CD146、CD36、トロンボモデュリン、インデグリン(V(3、アンギオポエチン、角質細胞増殖因子(KGF)、表皮増殖因子(EGF)及び繊維芽細増殖因子(FGF)からなるグループから選択されるタンパク質をコードする遺伝子が含まれる。こうした遺伝子の核酸配列の情報は、遺伝子データベース(例えば、NCBI)から入手可能である。従って、当業者は、入手した遺伝子情報を利用することにより、発現ベクター等に組み込むことが可能である。
【0018】
本発明においてベクターに組み込まれる遺伝子は、「マーカー遺伝子」であってもよい。本明細書において、「マーカー」とは、組織または細胞の免疫組織学的染色または直接または間接免疫蛍光染色に適したタンパク質をコードする遺伝子をいう。これらのマーカー遺伝子は、形質転換された細胞において発現され、マーカー遺伝子の種類に応じた公知の検出方法によって検出可能である。よって、直接または間接免疫蛍光染色によって、形質転換細胞の組織における局在を蛍光顕微鏡を用いて観察することができる。公知のフローサイトメトリー(FCM)、FACS(flororescenc activated cell sorter)を用いて検出、観察するこことも可能である。
【0019】
ベクターに組み込むことが可能な遺伝子の大きさ(長さ)は、ベクターの種類に応じて適宜選択される。例えば、ウイルスベクターの場合、6bp−5kbpの長さの遺伝子を組み込むことが可能である。例えば、アデノウイルスベクターの場合には、好ましくは18bp−2kbpである。ファージベクターの場合、6bp−40kbpの長さの遺伝子を組み込むことが可能である。リポソームの場合、6bp−20kbpの長さの遺伝子を組み込むことが可能である。
【0020】
本発明の結合体
本発明は、上記ベクターを標的細胞に感染させる前に、又は感染と同時に、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させる工程を含む。
【0021】
本明細書において、「ベクターの表面タンパク質」とは、ベクターの表面上に存在しており、好ましくは、表面タンパク質を特異的に認識する物質(例えば、特異的な抗体)によって認識可能なタンパク質である。ベクターの種類に応じて適宜、適切なベクター表面タンパク質が利用可能である。例えば、アデノウイルスの場合、表面タンパク質として線維タンパク質「ノブ(knob)」、ヘキソン(hexon)、ペントンベース(penton base)等が利用可能である。ノブタンパク質は、アデノウイルスの表面に存在する線維状のタンパク質であって、アデノウイルス受容体に対する高い結合親和性によってアデノウイルスへの感染を開始させることが知られている。
【0022】
その他のウイルスについてベクターの表面タンパク質として、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターはカプシドタンパク質(VP1、VP2、VP3)、レトロウイルスベクターはエンベロープタンパク質(Env)、ヘルペスウイルスベクターはエンベロープに存在するgB及びgC、センダイウイルスベクターは融合タンパク質(F)、HNタンパク質(HN)、そしてアデノウイルスベクター/アデノ関連ウイルスハイブリッドベクターはアデノウイルスの「ノブ(knob)」、ヘキソン(hexon)、ペントンベース(penton base)等が利用可能である。
【0023】
リポソームベクターの場合は、リポソームの表面タンパク質、例えば、センダイウイルスの膜融合能を利用して構築したHVJ−リポソームの場合は、センダイウイルスの融合タンパク質(F)及びHNタンパク質(HN)が利用可能である。
【0024】
「標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンド」は、遺伝子導入を行う標的細胞の種類に応じて、適宜選択ことが可能である。例えば、血管系において血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor(VEGF))に対するレセプターが高発現していることが知られている。よって、VEGFは、本発明において遺伝子を含んだベクターを血管系の細胞に標的するために利用可能である。また、Tie−1、Tie−2、CD34(PECAM)、E−セレクチン、VE−カドヘリン、フォンビレブランド(von Willebrand)因子、CD146、CD36、トロンボモデュリン、インデグリン(V(3、アンギオポエチン、表皮増殖因子(EGF)及び繊維芽細増殖因子(FGF)も血管系の細胞を標的する。角質細胞増殖因子(KGF)は上皮、特に肺気道を標的する。
【0025】
本発明の一態様において、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドのベクターの表面タンパク質への結合は、先ず、ベクターの表面タンパク質を認識する物質、好ましくは抗体、と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドの結合体を調製し、このような結合体をベクターと混和させることによって達成してもよい。ベクターの表面タンパク質を認識する物質を介して、細胞表面レセプターに対するリガンドがベクターの表面タンパク質へ結合する。
【0026】
よって、本発明の方法は、その一態様において、
1)ベクターの表面タンパク質を認識する物質と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドの結合体とベクターとを混和させて、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させ、そして
2)低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの条件下において、前記ベクターを細胞に感染させる
ことを含む。
【0027】
本発明において、ベクターの表面タンパク質を認識する物質は、ベクターの表面タンパク質を特異的に認識できるものであれば特に限定されない。抗体、ベクターが認識する細胞側のレセプターの細胞外ドメイン等が含まれる。好ましくは抗体である。
【0028】
本明細書において、「抗体」は前記「ベクターの表面タンパク質」を認識できる、好ましくはモノクローナル抗体である。ベクターの表面タンパク質に特異的な抗体は、公知の方法を用いて作成することができる。例えば、ベクターの表面タンパク質で免疫化した免疫化動物(例えばマウス)の脾臓から、ファージ提示ライブラリーを作成して、抗原に特異的な抗体をスクリーニングすることによって得ることも可能である。「抗体」は、下記を含めた無傷の(intact)抗体を表わす:ポリクローナル抗体(たとえばAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(編),Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988)参照)、およびモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies:A New Dimension in Biological Analysis,Plenum Press,Kennet,McKearn and Bechtol(編)(1980)参照)。
【0029】
「抗体」は、組換えDNA法、または無傷抗体の酵素的もしくは化学的開裂により生成る抗体フラグメント、たとえばF(ab)、F(ab’)、F(ab’)2、Fv、Fc、および一本鎖抗体をも表わす。用語”抗体”は、2つの異なる重/軽鎖対および2つの異なる結合部位をもつ人工的ハイブリッド抗体である二特異性または二機能性抗体をも表わす。二特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの結合を含めた多様な方法で調製できる(Songsivilai et al.,1990,Clin.Exp.Immunol.,79:315−321;Kostelny et al.,1992,J.Immunol.,148:1547−1553参照)。
【0030】
「抗体」は、キメラ抗体、すなわちヒト抗体免疫グロブリン定常ドメインが1以上の非ヒト抗体免疫グロブリン可変ドメインに結合した抗体、またはそのフラグメントをも表わす。抗体は、「ヒト化抗体」、「ミニボディー」、並びにヒト抗体を産生しうるトランスジェニック動物であって、ある割合のヒト抗体産生遺伝子を含むが内因性抗体を産生しないトランスジェニック動物が産生する抗体も含む。
【0031】
一般に抗体の重鎖、軽鎖の可変領域は抗原結合部位を含み、両領域のDNAをリンカーで繋ぎ、宿主細胞内で発現させることにより、抗原結合能を持った一本鎖のFv蛋白質(sFv)が得られることが知られている。よって、例えば、本発明において抗体の重鎖および軽鎖の双方の可変領域をコードする遺伝子を大腸菌等の宿主細胞内で発現させることにより、ベクターの細胞表面タンパク質に結合能を持った抗体蛋白質を大量に得ることが可能である。これは、血清を必要とする培地で培養することにより得られるモノクローナル抗体の維持より安価であり、酵素免疫測定法への応用が期待出来る。本発明の一態様において、抗体は好ましは一本鎖のFv蛋白質(sFv)である。
【0032】
ベクターの表面タンパク質を認識する物質と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとの結合体は、公知の方法を用いて調製することができる。好ましくは、物質がタンパク質(好ましくは抗体)の場合、物質をコードする遺伝子と、リガンドをコードする遺伝子を同じ読み枠(in flame)で結合して発現させることにより、本発明のタンパク質を融合タンパク質として発現させてもよい。融合タンパク質は、任意の遺伝子工学的手法、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(2001)に記載のタンパク質の発現方法に準じて行うことが可能である。
【0033】
ベクターの表面タンパク質に対する抗体(又はそのフラグメント)をコードする遺伝子は、抗体タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、例えば抗体を産生するハイブリドーマより得ることができる。先ず、これらのハイブリドーマより公知の方法によりmRNAを調製し、それを基に逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成後、抗体のアミノ酸配列または塩基配列に基づき、PCR法、ハイブリダイゼーション法等を用いることによって、本発明の遺伝子を選択的に得ることが可能である。このような方法は周知であり、当業者は本明細書の開示に基づいて、本発明の遺伝子を容易に単離することが可能である。
【0034】
あるいは、所期の抗体を産生する細胞のcDNAライブラリーを構築し、保存性の高い免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の定常領域をコードするcDNAをプローブに用いて、当該cDNAライブラリーをスクリーニングして、所期の抗体の軽鎖及び重鎖のcDNAの単離を行ってもよい。上述したように、sFv抗体を発現させるために、抗体の重鎖および軽鎖の双方の可変領域をコードする遺伝子を利用してもよい。
【0035】
細胞表面レセプターに対するリガンドをコードするた遺伝子の核酸配列の情報は、遺伝子データベース(例えば、NCBI)から入手可能である。従って、当業者は、入手した遺伝子情報を利用することにより、発現ベクター等に組み込むことが可能である。例えば、VEGF遺伝子は、AB021221,AF486837としてNCBIに登録されている。
【0036】
あるいは、ベクターの表面タンパク質を認識する物質と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドタンパク質とを、リンカー等によって結合させてもよい。リンカーは、例えば、ジメチルスベロイミデート二塩酸塩(DMS)、スベリン酸ジ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(DSS)、酒石酸−N−ヒドロキシジスクシンイミドエステル(DST)、p−フェニレンビスマレイミド(pPDM)、メチル−4−メルカプトブチルイミデート塩酸塩(MBI)、メチル−4−アジドベンゾイミデート塩酸塩(ABI)等を含む。リンカーを用いたベクターの表面タンパク質に対する物質(好ましくはタンパク質)と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドタンパク質との結合は、例えば、続生化学実験講座2 タンパク質の化学p.604−618(1987)に記載の方法に準じて行うことができる。
【0037】
ベクターの結合体との混和の割合は、例えば、1×108pfu/mlのベクターに対し、結合体が、好ましくは2.5μgないし20μg/ml、より好ましくは10μgないし20μg/mlである。
【0038】
本発明は、ベクター上の表面タンパク質と、それに結合させた標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドを利用して、ベクターの標的細胞への感染を特異的に促進することを特徴とするものである。よって、表面タンパク質を認識する物質を介さずに、ベクターの表面タンパク質と標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドを融合タンパク質として、ベクターの粒子表面に遺伝子工学的手法によって発現させてもよい。具体的には、ベクターの表面タンパク質をコードする遺伝子と標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンド遺伝子を同じ読み枠(in flame)で結合して発現させることにより、本発明のタンパク質を融合タンパク質として発現させることが可能である。融合タンパク質は、任意の遺伝子工学的手法、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(2001)に記載のタンパク質の発現方法に準じて行うことが可能である。例えば、ウイルスベクターの場合、上記融合タンパク質をコードする遺伝子を公知の手法を用いてウイルスゲノムの組み込んでもよい。また、リポソームベクターの場合は、適当な発現ベクター、例えばプラスミドを用いて、上記融合タンパク質をリポソームベクターの表面に発現させることも可能である。
【0039】
あるいは、ベクターの表面タンパク質と標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとの結合体を別途調製し、当該結合体をベクターの表面に化学的に共有結合させてもよい。ベクターの表面タンパク質と標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとの結合体は、好ましくは融合タンパク質として調製される。又は、ベクターの表面タンパク質を認識する物質と前記標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドタンパク質との結合体について上述したように、ベクター表面タンパク質と標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとをリンカー等によって結合させてもよい。当業者は、結合体、好ましくは融合タンパク質をベクターの表面に結合させるための方法を、ベクターの種類に応じて適宜使用可能である。結合体を別途調製する態様は、例えば、本発明のベクターとしてプラスミドベクターを適用する場合に有用である。
【0040】
本発明は、上記ベクターを標的細胞に感染させる前に、又は感染と同時に、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させる工程1)を含む。ベクター上の表面タンパク質と細胞表面レセプターに対するリガンドとが結合しており、一方、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドが細胞表面レセプターに結合するため、ベクターの標的細胞への感染が特異的に促進される。本明細書において後述する実施例2及び3において、1x108pfu/mlのアデノウイルスに対し、0−20μg/mlのknobFv−VEGFタンパク質を混和させたところ、knobFv−VEGFタンパク質の量が多い程、遺伝子発現細胞の割合も、MCSも高かった(図1)。
【0041】
本発明の遺伝子の導入方法
生物学的方法による遺伝子導入は、高効率の遺伝子導入を達成するためには、一般的には常温、酸素下で比較的長時間、細胞を遺伝子と接触させることにより実施される。一方、臨床では、低温、低酸素、短時間の接触という特殊な悪条件下での遺伝子導入が要求される。しかしながら、このようないわゆる悪条件下で遺伝子導入を効率よく行う方法は、その必要性にもかかわらず、提供されていなかった。
【0042】
本発明の遺伝子導入方法は、上記問題解決のために、工程2)において低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの条件下において、前記ベクターを細胞に感染させることを含む。
【0043】
上記工程1)において、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させることによって、ベクターの標的細胞への感染が特異的に促進される。このような結合体の利用により、低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの悪条件においても、高効率の遺伝子導入を初めて可能にした。
【0044】
本発明において、低温下とは、常温より低い温度(常温未満)、好ましくは10℃以下、より好ましくは7℃以下、最も好ましくは4℃以下である。ただし、遺伝子導入を行う標的細胞、組織等の状態を考慮し、下限温度として少なくとも0℃以上であることが好ましい。低温条件は、例えば感染をice slushトレイ中で行う、あるいはアイスバス(氷浴)中で行う等によって達成することが可能である。
【0045】
本発明において、「低酸素下」とは、血液が遮断され、組織に酸素が実質的に送達されない条件を意味する。限定されるわけではないが、例えば、血液を遮断後15分以上経過後の低酸素条件、より好ましくは、血液遮断後、1時間以上、3時間以上、又は24時間以上経過後の低酸素条件である。最も過酷な条件では、血液の遮断後72時間以上経過後の低酸素条件でのベクターの感染による遺伝子導入が可能であることが望ましい。
【0046】
本発明において、短時間とは、ベクターを用いた遺伝子導入法において、一般にベクターを標的細胞に感染させる時間よりも短い時間を意味する。例えば、アデノウイルスベクター等のウイルスベクターの場合、一般に、ベクターの感染は、1時間ないし24時間行われる。あるいは、リポソーム等の非ウイルスベクターの場合も、感染時間は約1時間ないし24時間である。本発明において、ベクターの標的細胞への感染時間は、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、最も好ましくは15分以下である。
【0047】
本発明の方法を用いて所期の遺伝子を標的細胞に高効率で導入することが可能となる。標的細胞は、ベクターを用いて生物学的方法によって形質転換をすることが可能であれば特に限定されない。インビトロの培養細胞であっても、あるいは、インビボ若しくはエクスビボの移植用組織中の又は生体組織中の細胞でもよい。細胞の種類としては、特に細胞表面に利用可能な細胞表面レセプターを提示しているもの、例えば、血管内皮細胞、表皮細胞、真皮細胞、上皮細胞、角質細胞等が好ましい。
【0048】
本発明の方法は、例えば、移植臓器、その他に癌の新生血管に対する遺伝子導入や、心筋梗塞などの虚血性心血管疾患に対する遺伝子導入などでも臨床応用が可能である。
本発明の効果
本発明の方法を利用することにより、低温下、低酸素下、短時間等の悪条件においても、遺伝子導入を高効率で行うことが初めて可能になった。例えば、本明細書において後述する実施例では、0℃の低温下で、1時間感染を行った。1x108pfu/mlのアデノウイルスに対し、0−20μg/mlのknobFv−VEGFタンパク質を混和させたところ、knobFv−VEGFタンパク質の量が多い程、遺伝子発現細胞の割合も、MCSも高かった(図1)。具体的には、10μg/mlのknobFv−VEGFタンパク質により、常温、1時間感染の場合とほぼ同程度の遺伝子発現細胞の割合及びMCSを示した。20μg/mlの結合体を混和した場合、常温、1時間感染の場合よりも遺伝子導入効率は約20%上昇し(約68%から約87%)、MCSは約4.7倍上昇した(10.1から47.8)。0℃の低温下で比較した場合には、knobFv−VEGFタンパク質がない場合よりも、遺伝子導入効率は約2.7倍(約32%から約87%)、MSCは約22倍(2.2から47.8)上昇した。
【0049】
本発明の方法は好ましくは、特定の悪条件においても結合体を混和させることにより、特定の悪条件がなく結合体を混和させない場合と同程度の遺伝子導入効率を達成するものである。
【0050】
本発明はまた、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとベクター表面タンパク質との結合体、並びに当該結合体の、上記本発明の遺伝子導入方法への使用に関する。
【実施例】
【0051】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
実施例1 VEGFとfiber knobタンパク質の融合タンパク質の調製
先ず、VEGF遺伝子(NCBIデータバンク、AB021221,AF486837)(配列番号1)をpcDNA3.1(Invitrogen, Carlsbad, CA)のEcoRIサイトにサブクローニングしたプラスミド(pcDNA3.1/VEGF)を調製した。前記プラスミドを鋳型に、NotI/XhoI制限酵素部位が付加されるようにデザインしたプライマー1(5’−gcggccgcttccatgaactt−3’)(配列番号2)及びプライマー2(5’−gcacactcgaggctgatcag−3’)(配列番号3)を用いてPCRを行った。VEGF遺伝子(NotI/XhoI)断片を調製した。
【0053】
一方、ブリストル大学(Hawkins RE)から供与されたknob scFv−EGF遺伝子(Watkins SJ et al., Gene Therapy 4, 1004−1012 (1997))をNcoI/EcoRIで切り出した。この断片をpcDNA3.1/HisA(Invitrogen)のEcoRl制限酵素部位に、平滑末端ライゲーションにより挿入し、pcDNA3.1/HisA/knobscFv−EGFを構築した。このpcDNA3.1/HisA/knobscFv−EGFを、NotI/XhoIで切断し、EGF遺伝子(NotI/XhoI断片)を切り取った。代わりに、先に調製したVEGF遺伝子(NotI/XhoI)断片をライゲーションで挿入し、pcDNA3.1/HisA/knobscFv−VEGFを作成した。
【0054】
作成したプラスミドを用い、リポフェクトアミン法(Invitrogen)でCOS7に遺伝子を導入した。Geneticin(G418硫酸塩:GIBCO−BRL,Rockville,MD)で細胞を選抜した。選抜した細胞を溶解後、Ni−NTA Purification system with anti−XpressTM antibody(Invitrogen)の精製システムを用いて、添付のプロトコールに従って、knobscFv−VEGFタンパク質を精製した。最後にエンテロキナーゼで処理し、His及びX−pressタグを切断した。
【0055】
実施例2 VEGFレセプター標的用アデノウイルスベクターの調製
実施例1で調製したknobscFv−VEGFタンパク質と、GFP遺伝子組み込みアデノウイルスベクター(adexGFP:理研バイオリソースセンター(RDB No 1727))を混和して調製した。具体的には、1x108pfu/mlのadexGFPに、各濃度のknobFv−VEGFタンパク質(0−20μg/ml)を混ぜ、1時間インキュベーターでインキュベーションし、次の実験に用いるまで(翌日まで)冷蔵庫で保存した。
【0056】
実施例3 低温条件下での血管内皮細胞への遺伝子導入試験
低温条件下で1時間、ヒトまたはブタ血管内皮細胞に感染させる実験を行った。
先ず、ブタ血管内皮細胞を以下のようにして調整した。ブタ大動脈から機械的に血管内皮を摘出し、5代継代後、Dilアセチル化LDL(Di−Ac−LDL:Biogenesis LTD)の取込みがあることで、血管内皮細胞であることを確認した。
【0057】
得られた血管内皮細胞を6ウェルプレートでコンフルエントにし、MOI 10で感染させた。具体的には、低温感染の場合、ice slushトレイの中に6ウェルプレートを置き、1時間感染した。その後、培地を10% FCSを含むD−MEM培地に変え、インキュベーター内(37℃)で24時間培養した。常温感染の場合、インキュベーター(37℃)内で1時間感染し、その後、培地を10% FCSを含むD−MEMに変え、インキュベーター内(37℃)で24時間培養した。
【0058】
感染24時間後に細胞を回収し、遺伝子発現をFACS(flororescenc activated cell sorter)解析で検討した。常温、低温1時間の感染時間での遺伝子発現と、各種濃度(0−20μg/ml)のknobscFv−VEGFタンパク質を混和したadexGFPによるGFP遺伝子発現状態を、発現細胞の割合(%)と、GFP強度の平均値の変化を反映するmean channel shift(MCS)で表した(図1)。
【0059】
結果を図1に示す。図1において、低温下で発現効率が極端に落ちている(C(1))のに対してknobFv−VEGFタンパク質を混和させることで、GFP遺伝子発現が上昇していると判断した。またMCSの値は相対値として表記している。図1に示したように、knobscFv−VEGFタンパク質の混和量を増加させるに従って、その容量依存的にGFP遺伝子発現の上昇を認めた。則ち、adexGFPに結合したknobscFv−VEGFタンパク質があるために、低温という特殊条件下でもVEGFレセプターを介した遺伝子導入が有効に機能し、遺伝子発現効率・発現量共に向上させることが証明された。
【0060】
また、図2は、FACSのデータを示す。C(1)V(20)の場合、対照であるNC(感染なし)及びC(1)(感染あり、knobscFv−VEGFタンパク質の混和なし)と比較して、高いGFP強度を示す細胞数が多いのが明白である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、低温下での遺伝子導入におけるknobscFv−VEGFタンパク質の混和の効果を示す。
【図2】図2は、FACSのデータを示す。縦軸は、細胞数、横軸はGFP強度を示す。NC:陰性対照(感染なし);C(1):(感染あり、knobscFv−VEGFタンパク質の混和なし);C(1)(感染あり、knobscFv−VEGFタンパク質の混和 20μg/l)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子を組み込んだベクターを用いて標的細胞へ遺伝子を導入する方法において、
1)標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドをベクターの表面タンパク質に結合させ、そして
2)低温下、低酸素下及び短時間の少なくとも1つの条件下において、前記ベクターを細胞に感染させる
ことを含む、前記方法。
【請求項2】
前記ベクターが、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、センダイウイルスベクターを含むパラミクソウイルスベクター、インフルエンザウイルスを含むオルソミクソウイルスベクター、並びに、アデノウイルスベクター/アデノ随伴ウイルスハイブリッドベクターからなるグループから選択されるウイルスベクターであるか、またはリポソーム、ファージベクタ及びプラスミドからなるグループから選択される非ウイルスベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベクターがアデノウイルスベクターである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドが、血管内皮増殖因子(VEGF)、Tie−1、Tie−2、CD34(PECAM)、E−セレクチン、VE−カドヘリン、フォンビレブランド(von Willebrand)因子、CD146、CD36、トロンボモデュリン、インデグリン(V(3、アンギオポエチン、角質細胞増殖因子(KGF)、表皮増殖因子(EGF)及び繊維芽細増殖因子(FGF)からなるグループから選択される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
低温下とは、10℃以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
低酸素下とは、血液が遮断され、組織に酸素が実質的に送達されない条件である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
短時間とは、1時間以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
標的細胞が、培養された又は移植用組織中の又は生体組織中の、血管内皮細胞、表皮細胞、真皮細胞、上皮細胞又は角質細胞である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとベクター表面タンパク質との結合体の、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の遺伝子導入方法への使用。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の遺伝子導入方法に使用するための、標的細胞の細胞表面レセプターに対するリガンドとベクター表面タンパク質との結合体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−228802(P2007−228802A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−107623(P2004−107623)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(595155107)株式会社ディナベック研究所 (22)
【Fターム(参考)】