説明

標的装置

【課題】
模擬性の高い立体的な標的を有し、臨場感があり、而もレーザ光線を使用した射撃訓練に対応が可能とする。
【解決手段】
射撃訓練に使用される標的装置に於いて、該標的装置が標的板12を有し、該標的板の略前面、全域に亘りレーザ光線受光部13が設けられ、前記標的板の前面に湾曲成形された骨線16が所要間隔で設けられ、該骨線がレーザ光線を透過可能な被覆部材により被覆された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射撃訓練に使用される標的装置、特にレーザ光線を用いて行う射撃訓練に使用される標的装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射撃訓練に使用される標的装置としては、例えば特許文献1に示されるものがある。
【0003】
該特許文献1には、標的を移動させ、或は隠顕動作を行わせ、射撃者の敏捷性を養成する標的装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に示される標的自体は、主に人を形取った平板であり、模擬性が低く臨場感に乏しいものとなっている。又、立体標的としてマネキン等も示されているが、レーザ光線の使用が考慮されているとは言えない。
【0005】
又、レーザ光線が使用される標的装置として、従来、図4に示されるものがある。
【0006】
図中、1は標的を示し、2は該標的1を支持し、移動させる為の支持装置を示している。
【0007】
前記標的1は略人型に形取られた標的パネル3と、該標的パネル3の略全面に貼設された所要数のレーザ光線受光部4によって構成されている。又、該レーザ光線受光部4はレーザ光線を受光すると電気信号を発する様になっていると共にレーザ光線を受光した場合のS/N比を向上させる為、前記レーザ光線受光部4の表面にはレーザ光線の波長を透過し、太陽光を透過しない様なバンドパスフィルタ機能を有するコーティング等の処理がなされ、或はフィルタ板が設けられている。
【0008】
上記標的パネル3に模擬射撃で発射されたレーザ光線が照射されると、受光した前記レーザ光線受光部4から電気信号が発せられ、該電気信号を基に命中したことが確認されると共に前記支持装置2により前記標的1が、例えば垂直軸を中心に回転する等の作動がなされる。
【0009】
上記した従来の標的装置では、標的が平面的であるので、標的が人形であると認識できるのは、正面方向に限定される。又、前記レーザ光線受光部4には太陽光を受光しない様な表面処理がなされており、表面が黒色であるので、人形と認識するには程遠いものがある。更に、該レーザ光線受光部4はレーザ光線を受光するという制約を伴うので、前記標的1の表面に外観を向上させる為の塗装等はできなかった。
【0010】
【特許文献1】特開2003−130595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は斯かる実情に鑑み、模擬性の高い立体的な標的を有し、臨場感があり、而もレーザ光線を使用した射撃訓練に対応が可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、射撃訓練に使用される標的装置に於いて、該標的装置が標的板を有し、該標的板の略前面、全域に亘りレーザ光線受光部が設けられ、前記標的板の前面に湾曲成形された骨線が所要間隔で設けられ、該骨線がレーザ光線を透過可能な被覆部材により被覆された標的装置に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、射撃訓練に使用される標的装置に於いて、該標的装置が標的板を有し、該標的板の略前面、全域に亘りレーザ光線受光部が設けられ、前記標的板の前面に湾曲成形された骨線が所要間隔で設けられ、該骨線がレーザ光線を透過可能な被覆部材により被覆されたので、前記標的が立体的に認識され、臨場感を増大させ、又標的装置に対する方向性の限定が解消され、更に構造が簡潔で、軽量であるので従来の標的装置に実施することも可能である等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明に係る標的装置6の外観を示しており、標的7は支持装置8により移動可能に支持されている。尚、該支持装置8は従来の支持装置2と同等な構成を具備している。
【0016】
図2、図3により標的7について説明する。図2では、後述する被覆部材が省略して示されている。
【0017】
前記標的7は、標的板部9と該標的板部9の前面を覆う様に設けられた人型模擬部11により主に構成されている。
【0018】
前記標的板部9は、外形を人型に模した標的板12、該標的板12の前面、全域、略全域に亘り貼設したレーザ光線受光部13から構成され、前記標的板12の周囲には該標的板12に対して垂直となっている縁金具14が取付けられている。該縁金具14には骨線固定具15が螺子19によって着脱可能であり、前記骨線固定具15には後述する骨線16が嵌合する溝17が形成されている。該溝17に前記骨線16の端部を嵌合して前記骨線固定具15を前記縁金具14に前記螺子19で固定することで、前記骨線16の端部は前記縁金具14と前記骨線固定具15間の挾持力で固定される様になっている。
【0019】
前記人型模擬部11は、前記複数の骨線16、及び該骨線16を覆う様に貼設された被覆部材18から構成され、前記骨線16は鋼線、軟鋼線等適宜加工が容易な線材が用いられる。前記骨線16は顔面部21、胴体部22を形取る様に曲げ加工される。曲げ加工は、好ましくは人型に近い曲線となる様に加工され、或は加工が容易な様に半円状に加工してもよい。少なくとも、前記標的板12に固定される端部が該標的板12に垂直となっていればよい。
【0020】
前記骨線16は垂直、水平にそれぞれ100mm〜150mmの間隔で格子状に設けられる。該骨線16の間隔を100mm〜150mmとすることで、前記被覆部材18の立体感が保たれる。前記骨線16の内、水平骨線16aの両端は前記骨線固定具15により前記縁金具14に固定される。垂直骨線16bは下端部がU状に屈曲され、上端部が前記標的板12に対して垂直となっている。
【0021】
前記骨線16は前記水平骨線16aから取付けられ、両端部が前記骨線固定具15により前記縁金具14に固定され、前記垂直骨線16bは下端の屈曲部が前記顔面部21、前記胴体部22それぞれの最下端の水平骨線16aに引掛けられた状態で上端が前記骨線固定具15により前記縁金具14に固定される。尚、前記骨線固定具15を前記縁金具14に仮止めして前記骨線16の端部を前記溝17に挿入した後、前記螺子19を締込んでもよい。
【0022】
前記骨線16により人型が形取られ、該骨線16の表面に前記被覆部材18が貼設される。該被覆部材18の材質はレーザ光線が透過可能なものが用いられる。例えば、薄手の半透明状の生地、例えばストッキングに用いられている様な生地、或は薄手のメッシュ状の生地等が挙げられる。又、前記被覆部材18は前記骨線16に合わせて貼設してもよく、或は便宜的に前記胴体部22にはメッシュ生地のTシャツを被せ、前記顔面部21にはストッキングを被せる等してもよい。
【0023】
上記標的7にレーザ光線が照射されると、レーザ光線は前記被覆部材18を透過して、前記レーザ光線受光部13に到達する。レーザ光線が該レーザ光線受光部13のいずれかで受光されると、該レーザ光線受光部13から受光信号が発せられ、該受光信号を基にレーザ光線が命中したことが確認され、或は命中した状態が表示部(図示せず)に表示され、或は前記標的7が移動され、命中したことが確認される。
【0024】
前記被覆部材18が被覆されることで、射撃者は前記標的7を立体的に認識し、臨場感が増大すると共に、立体であるので方向性が限定されることがなくなる。又、前記被覆部材18は軽量であり、従来の支持装置2がそのまま使用可能であり、改良或は新たに設備する必要がない。
【0025】
尚、前記被覆部材18は透明なナイロンシートを半透明状に処理したもの等、透光性を有する材質であれば使用可能であり、或はネット等であってもよい。又、前記骨線16の間隔によっては、前記水平骨線16aのみ、或は前記垂直骨線16bのみであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】該実施の形態に於ける標的の斜視図である。
【図3】該実施の形態に使用される骨線固定具の斜視図である。
【図4】従来の標的装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
7 標的
9 標的板部
11 人型模擬部
12 標的板
13 レーザ光線受光部
14 縁金具
15 骨線固定具
16 骨線
18 被覆部材
21 顔面部
22 胴体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射撃訓練に使用される標的装置に於いて、該標的装置が標的板を有し、該標的板の略前面、全域に亘りレーザ光線受光部が設けられ、前記標的板の前面に湾曲成形された骨線が所要間隔で設けられ、該骨線がレーザ光線を透過可能な被覆部材により被覆されたことを特徴とする標的装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−317091(P2006−317091A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140964(P2005−140964)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】