説明

標章表示装置及びプログラム

【課題】 電子ファイルを識別する標章(例えばアイコン)の画面上の表示位置が変更されても、各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性を利用者が引き続き把握できるようにする。
【解決手段】 主アイコンAの表示位置を基点にした領域Rが、当該主アイコンに従属する従アイコンB及びCの表示可能領域として規定されている。利用者から、主アイコンAを移動させる操作を受け付けると、指定された位置に主アイコンAを移動させると共に、当該移動に伴って位置が変化する表示可能領域Rの内部に従アイコンB及びCを移動させる。利用者から、従アイコンBを移動させる操作を受け付けると、指定された位置が表示可能領域Rの外部の場合には、従アイコンBを指定された位置に移動するのではなく、表示可能領域R内の位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標章表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アプリケーションや電子文書等の電子ファイルがコンピュータ管理されており、利用者は、アプリケーションの実行や電子文書の閲覧・編集等の作業をコンピュータ上で行っている。
ここで、コンピュータ管理されている電子ファイルを利用者が認識可能にするために、現実の机を仮想的に表現した作業領域を画面上に表現して、当該作業領域上に各電子ファイルを識別する標章(例えばアイコン)を表示することが行われている。作業領域上の各標章は、利用者が自由な位置に配置することが可能となっており、現実の机に文書を並べて作業する場合と同様な感覚で利用者が作業できる環境を仮想的に実現している。
【0003】
なお、電子ファイルの操作等に係る発明として、例えば、ファイルやフォルダを操作する時にファイル間の依存関係を示す出力を行うことで、不用意に必要なファイルやフォルダを削除したり、移動させたりすることを防止する発明が提案されている(特許文献1参照)。
また、例えば、ユーザ操作に応じて表示・編集などのアクセスを行えるリソースをワークスペース上に表示し、リソースに対するアクセスを規制する制御領域をリソースに重ねて表示することで、リソース単位にアクセス制御を施すことを可能にし、また、どのリソースがアクセス制御されているかをユーザが容易に認知できるようにする発明が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−240592号公報
【特許文献2】特開平11−224222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者は、各標章を作業領域上に配置するにあたり、関連する電子ファイルの標章同士を近づけて配置することで、各電子ファイルの関連性を一目で把握可能にする等の工夫をしている。すなわち、利用者にとって、画面上の各標章の配置は重要な意味を持つものである。
【0005】
しかしながら、例えば、各標章を所定基準(更新日時順やファイル名順等)に従って整列させると、関連性を示すために近づけて配置していた各標章が分散してしまい、各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性が喪失してしまっていた。
また、例えば、複数の利用者が同一の作業領域を用いて作業する場合に、或る利用者が近づけて配置した各標章を他の利用者が別の場所に移動させる等の操作がなされることによっても、電子ファイル間の関連性が喪失してしまっていた。
【0006】
本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたものであり、電子ファイルを識別する標章の画面上の表示位置が変更されても、各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性を利用者が引き続き把握できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、電子ファイルを識別する標章を画面に表示する処理を行う標章表示処理手段と、複数の標章を関連付けて標章集合として管理する標章集合管理手段と、標章集合毎の基点位置と各標章集合に属する標章の表示位置との距離の許容範囲を規定した規定情報を保持する規定情報保持手段と、標章の表示位置の変更に係るユーザ操作を受け付ける操作受付手段と、前記ユーザ操作に係る標章の表示位置を、その属する標章集合の基点位置からの距離が前記規定情報により規定された許容範囲に収まる位置にする制御を行う表示位置制御手段と、を備えたことを特徴とする標章表示装置である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の標章表示装置において、前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該標章の移動を、当該標章が属する標章集合の基点位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に規制することを特徴とする標章表示装置である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の標章表示装置において、前記標章集合管理手段は、標章集合に属する一の標章を主標章、当該標章集合に属する他の標章を従標章として管理しており、前記標章集合の基点位置は、当該標章集合の主標章の表示位置であり、前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により従標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該従標章の移動を、当該従標章が属する標章集合の主標章の表示位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に規制することを特徴とする標章表示装置である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の標章表示装置において、前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該標章の移動に伴って、当該標章が属する標章集合の基点位置を当該標章からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に移動し、当該標章集合の他の標章を当該移動後の基点位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に移動することを特徴とする標章表示装置である。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の標章表示装置において、前記標章集合管理手段は、標章集合に属する一の標章を主標章、当該標章集合に属する他の標章を従標章として管理しており、前記標章集合の基点位置は、当該標章集合の主標章の表示位置であり、前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により主標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該主標章の移動に伴って、当該主標章が属する標章集合の従標章を当該移動後の主標章の表示位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に移動することを特徴とする標章表示装置である。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の標章表示装置において、前記表示位置制御手段は、前記従標章を前記主標章との距離及び方向関係を保つ位置に移動することを特徴とする標章表示装置である。
【0013】
請求項7に記載の本発明は、請求項1に記載の標章表示装置において、前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により標章を所定基準に従って再配置させるユーザ操作を受け付けたことに応じて、所定基準に従った各標章の順序付けを標章集合毎に行い、標章集合の基点位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に前記順序付けに沿った位置順で各標章を再配置することを特徴とする標章表示装置である。
【0014】
請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載の標章表示装置において、前記標章集合管理手段は、標章集合に属する一の標章を主標章、当該標章集合に属する他の標章を従標章として管理しており、前記標章集合の基点位置は、当該標章集合の主標章の表示位置であり、前記表示位置制御手段は、主標章の表示位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に当該主標章が属する標章集合の従標章を再配置することを特徴とする標章表示装置である。
【0015】
請求項9に記載の本発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の標章表示装置において、前記表示処理手段は、標章集合に属する各標章を認識可能な態様の表示を行うことを特徴とする標章表示装置である。
【0016】
請求項10に記載の本発明は、請求項9に記載の標章表示装置において、前記表示処理手段は、標章集合に属する一の標章と当該標章集合に属する他の各標章とを結ぶ線分を表示することを特徴とする標章表示装置である。
【0017】
請求項11に記載の本発明は、請求項9に記載の標章表示装置において、前記表示処理手段は、各標章を標章集合単位で囲む枠を表示することを特徴とする標章表示装置である。
【0018】
請求項12に記載の本発明は、コンピュータに、電子ファイルを識別する標章を画面に表示する処理を行う標章表示処理機能と、複数の標章を関連付けて標章集合として管理する標章集合管理機能と、標章集合毎の基点位置と各標章集合に属する標章の表示位置との距離の許容範囲を規定した規定情報を保持する規定情報保持機能と、標章の表示位置の変更に係るユーザ操作を受け付ける操作受付機能と、前記ユーザ操作に係る標章の表示位置を、その属する標章集合の基点位置からの距離が前記規定情報により規定された許容範囲に収まる位置にする制御を行う表示位置制御機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の標章表示装置によると、電子ファイルを識別する標章の画面上の表示位置の変更において、関連する各標章を一定範囲内の領域に収まるようにしたため、利用者は、各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性を引き続き把握することができる。
【0020】
請求項2に記載の標章表示装置によると、標章の移動先に制限を設けたことで、標章を移動しても関連する標章間の間隔が維持されるため、利用者は、標章の移動後も各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性を引き続き把握することができる。
請求項3に記載の標章表示装置によると、関連する標章に主従関係を持たせ、従標章を移動先を主標章の位置に基づいて制限したことで、従標章を移動しても主標章と従標章との間隔が維持されるため、利用者は、従標章の移動後も主従関係にある各標章(電子ファイル)間の関連性を引き続き把握することができる。
【0021】
請求項4に記載の標章表示装置によると、標章の移動に伴ってこれに関連する他の標章も追従して移動させることで、標章を移動しても関連する標章間の間隔が維持されるため、利用者は、標章の移動後も各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性を引き続き把握することができる。
請求項5に記載の標章表示装置によると、関連する標章に主従関係を持たせ、主標章の移動に伴って従標章も追従して移動させることで、主標章を移動しても主標章と従標章との間隔が維持されるため、利用者は、従標章の移動後も主従関係にある各標章(電子ファイル)間の関連性を引き続き把握することができる。
請求項6に記載の標章表示装置によると、主標章に追従して従標章を移動させる際に、その方向関係も維持するようにしたため、利用者は、標章間の方向関係に意味を持たせた場合においても、これにより示される電子ファイル間の関連性を引き続き把握することができる。
【0022】
請求項7に記載の標章表示装置によると、関連する標章単位で標章の整列(所定基準に従った再配置)を行って、関連する各標章が一定範囲内の領域に収まるようにしたため、利用者は、標章の整列後も各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性を引き続き把握することができる。
請求項8に記載の標章表示装置によると、関連する標章に主従関係を持たせ、主標章の位置を基点に各従標章を整列することで、主標章と従標章とが一定範囲内の領域に収まるようにしたため、利用者は、標章の整列後も主従関係にある標章(電子ファイル)間の関連性を引き続き把握することができる。
【0023】
請求項9に記載の標章表示装置によると、利用者は、どの標章(電子ファイル)同士が関連しているかを画面を一目して把握することができる。
請求項10に記載の標章表示装置によると、標章同士の関連を、関連する標章を結ぶ線分により把握することができる。
請求項11に記載の標章表示装置によると、標章同士の関連を、関連する標章全体を囲む枠により把握することができる。
【0024】
請求項12に記載のプログラムによると、当該プログラムの実行によりコンピュータに実現される各機能により、電子ファイルを識別する標章の画面上の表示位置が変更されても、関連する各標章を一定範囲内の領域に収まるようにしたため、利用者は、各標章の位置関係により示される電子ファイル間の関連性を引き続き把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を、一実施例に基づいて具体的に説明する。
なお、本実施例では、アプリケーションや電子文書(これらを格納するフォルダを含む)等の電子ファイルを識別する標章として、電子ファイルを表象する画像であるアイコンを例に説明するが、例えば、電子文書の縮小画像(サムネイル)や単なるファイル名等であってもよく、各電子ファイルを個別に識別できるものであればよい。
【0026】
本例の標章表示装置は、図1にその主要な構成を示すように、マウスやキーボード等の入力機器により利用者からの操作入力を受け付ける操作受付部1、液晶ディスプレイ等の画面からなる表示部2、アイコンの情報を保持するアイコン情報保持部3、アイコンを構成要素として含むアイコングループの情報を保持するグループ情報保持部4、操作入力に基づくグループ情報の編集を行う設定編集部5、操作入力に基づくアイコンの表示位置の制御を行う表示位置制御部6、グループ情報の編集に係る警告情報を表示部2に表示出力する処理を行う警告表示処理部7、各アイコンを表示部2に表示出力する処理を行うアイコン表示処理部8、を備えている。
【0027】
図2(a)は、アイコン情報のデータ構成例を示している。
本例のアイコン情報は、アイコンの識別情報である「アイコンID」、当該アイコンを表示する画面上の「位置座標」、当該アイコンの画像データである「アイコン画像」、当該アイコンによって特定される電子ファイルの識別情報である「ファイルID」、等を有している。
【0028】
図2(b)は、グループ情報のデータ構成例を示している。
本例のグループ情報は、アイコングループの識別情報である「グループID」、当該アイコングループに属する各アイコンのアイコンIDのリストである「アイコンリスト」、当該アイコングループに属する各アイコンを表示可能な画面上の領域を規定する「表示領域規定情報」、当該アイコングループに属するアイコン間の関連性を示す表示を行うための「表示態様情報」、等を有している。
【0029】
また、アイコンリストには、そのリスト中の一のアイコンを主アイコン、他のアイコンを従アイコンとして設定されている。本例では、利用者に指定されたアイコンを主アイコンとしているが、例えば、リスト中の各アイコンの位置座標の平均位置(すなわち中心位置)に最も近いアイコンを主アイコンとしたり、所定の基準(例えば、グルーピングした順、作成日時順、ファイル名順等)により定まるアイコンを主アイコンとしてもよい。
そして、表示領域規定情報として、主アイコンと従アイコンとの距離として許容する最大距離(許容範囲)を設定しており、主アイコンの位置座標を中心に前記最大距離を半径とした円形領域が、そのアイコングループに属する各アイコンの表示可能領域となる。
すなわち、主アイコンに従属する各従アイコンの位置座標は、主アイコンの位置座標から前記最大距離の範囲内となっており、これら位置座標の関係が主アイコン又は従アイコンの移動等によっても維持されるように、後述する表示位置制御処理により制御される。
【0030】
グループ情報は、操作受付部1が利用者から受け付けた編集操作に応じて編集処理部5により編集される。
例えば、選択された各アイコンをアイコンリストに含むグループ情報の新規作成、アイコンリストへのアイコンの追加や削除(グループ化の個別解除)、主アイコンの切り替え、表示領域規定情報や表示態様情報の変更、グループ情報の削除(グループ化の全体解除)等を行う。
また、例えば、アイコングループのグループ枠(図4を用いて後述)内に外部からアイコンが移動されたことに応じて、当該アイコンをそのグループ枠に係るグループ情報のアイコンリストに従アイコンとして追加する。
【0031】
また、例えば、既存の電子ファイルに基づいて新たに電子ファイルを生成する操作がなされたことに応じて、既存の電子ファイルがアイコングループに属している場合には、そのアイコン情報のアイコンリストに新たな電子ファイルのアイコンを従アイコンとして追加し、既存の電子ファイルがアイコングループに属していない場合には、既存の電子ファイルのアイコンを主アイコン、新たな電子ファイルのアイコンを従アイコンとしてアイコンリストに含む新たなグループ情報を新規作成する。
ここで、グループ情報の新規作成において、本例では、表示領域規定情報や表示態様情報として予め定められた規定値を用いるが、利用者から都度受け付けてもよい。
【0032】
また、本例では、アイコングループに属するアイコンに係る電子ファイルの格納先フォルダを変更した場合に、当該アイコンをそのアイコングループのグループ情報のアイコンリストから削除する機能を有するが、格納先フォルダの変更操作の際に、当該アイコンのグループ化が解除される旨の警告画面を警告表示処理部7により表示部2に表示させ、処理を続行するか若しくは中止するかの利用者からの指示を待つようにしてある。
【0033】
図3及び図4は、本例の標章表示装置による画面表示例を示してある。
図3は、表示態様情報に、主アイコンと従アイコンとを結ぶ線分を表示することが設定されている場合の表示例であり、利用者は画面表示を一目して、各アイコンの関連性及びその主従関係を把握することができる。
すなわち、アイコンM1とM2、アイコンM1とM3、アイコンM1とM4がそれぞれ線分L1、L2、L3で結ばれていることから、アイコンM1〜M4が関連性を有しており、更に、アイコンM1が主、アイコンM2〜M4が従という主従関係があることを把握できる。また、アイコンM5とM6、アイコンM5とM7がそれぞれ線分L4、L5で結ばれていることから、アイコンM5〜M7が関連性を有しており、更に、アイコンM5が主、アイコンM6及びM7が従という主従関係があることを把握できる。また、アイコンM8及びM9は、いずれも線分で他のアイコンと結ばれていないことから、他との関連性がないことを把握できる。
【0034】
図4は、表示態様情報に、アイコングループ単位で囲むグループ枠を表示することが設定されている場合の表示例であり、利用者は画面表示を一目して、各アイコンの関連性を把握することができる。
すなわち、アイコンM1〜M4全体がグループ枠F1で囲まれていることから、アイコンM1〜M4が関連性を有していることを把握できる。また、アイコンM5〜M7全体がグループ枠F2で囲まれていることから、アイコンM5〜M7が関連性を有していることを把握できる。また、アイコンM8及びM9は、いずれもグループ枠で囲まれていないことから、他との関連性がないことを把握できる。グループ枠の形状は、アイコングループ内の各アイコンの位置座標に基づいており、アイコンの移動により形状が変化する。
なお、同図の場合は、OLE_LINK1アイコンの主従関係OLE_LINK1を把握できないが、例えば、主アイコンと従アイコンとでアイコンの大きさや色等を変えたり、主又は従を示す表記等を付加したりすることで、アイコンの主従関係が把握可能になる。
【0035】
次に、表示位置制御処理をアイコンの移動操作時とアイコンの整列操作時とに分けて説明する。
図5は、アイコンの移動操作時の表示位置制御処理の流れを示している。
なお、アイコンの移動操作前の時点において、主アイコンと従アイコンとは、両者の距離が表示領域規定情報に設定された最大距離を下回る位置関係で配置されている。
操作受付部1が利用者からアイコンを移動させる操作入力を受け付けると(ステップS1)、表示位置制御部6は、移動操作がなされたアイコンが主アイコンか否かをグループ情報を参照して判定する(ステップS2)。
【0036】
移動操作がなされたアイコンが主アイコンの場合には、以下のようにして、当該主アイコン及びこれに従属する従アイコンに係るアイコン情報の位置座標を更新する。
主アイコンの位置座標を移動操作で指定された位置座標に変更する(ステップS3)。
従アイコンの位置座標と指定された位置座標(変更後の主アイコンの位置座標)との距離を算出し(ステップS4)、当該算出距離とグループ情報の表示領域規定情報に設定された最大距離とを比較し(ステップS5)、算出距離が最大距離を上回る場合に、当該従アイコンの位置座標を、指定された位置座標の方向で且つ主アイコンの位置座標と最大距離とにより定まる表示可能領域内の位置に変更する(ステップS6)。
その後、アイコン表示処理部8が、変更された各アイコン情報に基づいて表示部2の表示内容を更新する(ステップS11)。
【0037】
移動操作がなされたアイコンが主アイコンでない場合、すなわち、従アイコンが移動操作された場合には、以下のようにして、当該従アイコンに係るアイコン情報の位置座標を更新する。
従アイコンが従属する主アイコンの位置座標と移動操作で指定された位置座標との距離を算出し(ステップS7)、当該算出距離とグループ情報の表示領域規定情報に設定された最大距離とを比較し(ステップS8)、算出距離が最大距離と同じ又は下回る場合には、当該従アイコンの位置座標を指定された位置座標に変更する(ステップS9)。一方、算出距離が最大距離を上回る場合には、当該従アイコンの位置座標を、指定された位置座標の方向で且つ主アイコンの位置座標と最大距離とにより定まる表示可能領域内の位置に変更する(ステップS10)。
その後、アイコン表示処理部8が、変更された各アイコン情報に基づいて表示部2の表示内容を更新する(ステップS11)。
なお、ステップ10において、当該従アイコンを表示可能領域内に移動させるのではなく、従アイコンをアイコングループから除外するか否かをユーザに問い合わせるようにしてもよい。この場合、ユーザが従アイコンをアイコングループから除外することを望めば、当該従アイコンをアイコングループから除外した上で指定座標に移動し、一方ユーザが従アイコンをアイコングループから除外することを望まなければ、当該従アイコンを表示可能領域内に移動すればよい。
【0038】
図6は、アイコンの移動操作時の画面表示の変化を示している。
なお、説明の便宜上、アイコン同士を結ぶ線分やアイコングループを囲む枠は示していない。また、図中のRは、主アイコンの位置座標と最大距離とにより定まる表示可能領域を示しており、主アイコンAに従属する従アイコンB及びCの表示位置は当該表示可能領域R内に制限される。
【0039】
当初、各アイコンは同図(a)の位置関係で配置されており、主アイコンAを同図(b)に破線で示す位置に移動する操作を利用者から受け付けると、同図(c)に示すように、指定された位置に主アイコンAが移動すると共に、当該移動に伴って位置が変化した表示可能領域Rの内部に従アイコンB及びCが移動して、主アイコンの移動後もこれらの関連性が維持される。
なお、例えば、移動操作前の主アイコンと従アイコンとの距離を維持するように各アイコンを移動させてもよく、更に、その方向関係を維持するように移動させてもよい。
また、従アイコンBを同図(d)に破線で示す表示可能領域R外の位置に移動する操作を利用者から受け付けると、同図(e)に示すように、従アイコンBが指定された位置に移動するのではなく表示可能領域R内に留まって、従アイコンの移動後もこれらの関連性が維持される。
【0040】
図7は、アイコンの整列操作時の表示位置制御処理の流れを示している。
操作受付部1が利用者からアイコンを整列させる操作入力を受け付けると(ステップS21)、表示位置制御部6は、整列操作で指定された条件(更新日時順やファイル名順等)を基準に各アイコンの順序付けをアイコングループ毎に行う(ステップS22)。そして、各アイコングループについて、各従アイコンの位置座標を、主アイコンの位置座標とそのグループ情報の表示領域規定情報に設定された最大距離とにより定まる表示可能領域内で、且つ、主アイコンと各従アイコンとの順序関係に応じた位置に変更する(ステップS23)。
その後、アイコン表示処理部8が、変更された各アイコン情報に基づいて表示部2の表示内容を更新する(ステップS24)。
【0041】
図8は、アイコンの整列操作時の画面表示の変化を示している。
当初、各アイコンは同図(a)の位置関係で配置されており、アイコンの整列操作を利用者から受け付けると、同図(b)に示すように、アイコングループ毎に各アイコンを順序付けて整列され、アイコンの整列後もアイコングループ内の各アイコンの関連性が維持される。
同図(b)では、アイコンA、B、Cからなるアイコングループと、アイコンD、Eからなるアイコングループのそれぞれにおいて、アイコングループ内の各アイコンを整列しているが、アイコングループ内のアイコンは整列させず(つまり、アイコングループ内のアイコン間の位置関係は整列前のものを保ったまま)、アイコングループの単位で整列するようにしてもよい。
なお、1つ(又は複数)のアイコングループを整列対象とすることも、全アイコングループを整列対象とすることもでき、本例では、利用者が整列対象のアイコングループを自由に選択することができるようにしてある。
【0042】
本例の標章表示装置では、主アイコンの位置座標を基点とした表示可能領域を規定しているが、例えば、アイコングループ中の各アイコンの位置座標の平均位置や利用者に指定された位置を基点とした表示可能領域としてもよく、この場合には、主アイコンと従アイコンとの区別が不要となる。ここで、操作アイコンの移動を制限するか、操作アイコンの移動に伴ってアイコングループ内の他のアイコンを追従移動させるかは、予め設定しておいてもよく、又は、利用者から都度その指定を受け付けるようにしてもよい。また、アイコングループ毎のグループ枠を表示している場合には、グループ枠の移動を利用者から受け付けて、そのグループ枠内の各アイコンを当該グループ枠の移動に伴って追従移動させてもよい。
【0043】
表示可能領域の形状は円形に限られず、例えば、矩形にしてもよく、表示領域規定情報にその幅や高さ等の情報を持たせることで、各アイコングループの基点位置(例えば、主アイコンの位置、各アイコンの位置座標の平均位置、利用者に指定された位置等)を中心或いは左上端等にした矩形領域を表示可能領域として規定できる。
また、アイコン間の位置関係を維持するだけでなく、アイコングループ間の位置関係を維持するようにしてもよい。
【0044】
図9は、本例の標章表示装置による画面表示の他の例を示してある。
同図は、電子ファイルを識別する標章として電子ファイルの「名前(ファイル名)」を用い、これと共に、電子ファイルの容量を示す「サイズ」、電子ファイルの分類(フォルダや文書等)を示す「種類」、電子ファイルの「更新日時」、電子ファイルの属するアイコングループを示す「グループ」等の属性情報を一覧形式で表示した場合の例である。
同図に示すように、同じグループに属する電子ファイル同士が連続するように配置すると共に、これをグループ枠F1、F2で囲むことで、利用者が一目して電子ファイルの関連性を把握できるようにしている。
この一覧表示画面は、一覧項目のタイトル欄(名前、サイズ、種類、更新日時、グループ)のマウスクリック等により選択された項目を基準に各電子ファイルを昇順又は降順に並べ替える機能を有しているが、その並べ替えをアイコングループ単位で行うことで、グループ化された電子ファイル間の関連性を維持するようにしてある。
【0045】
本例に係る標章表示装置は、CPU(C entral Processing Unit)等の演算部やRAM(Random Access Memory)等の記憶部といったハードウェア資源を有するコンピュータが、本発明に係るプログラムを実行することで実現されている。
本例では、コンピュータが有するROM(Read Only Memory)内に本発明に係るプログラムを予め記憶保持しており、当該プログラムを読み出して記憶部に展開し、演算部により実行させることで本発明に係る各機能手段を構成している。
【0046】
なお、例えば、CD−ROM(Com pact Disc Read Only Memory)やメモリカートリッジ等の外部記憶媒体を装填するスロット等の媒体接続部をコンピュータに設け、本発明に係るプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶保持した外部記憶媒体から当該媒体接続部によりプログラムを読み出して実行してもよい。また、例えば、本発明に係るプログラムを送信する機能を有するサーバ装置との通信をネットワークを介して行う通信部をコンピュータに設け、当該通信部によりサーバ装置からプログラムを受信して実行してもよい。また、上記のように外部から取得した本発明に係るプログラムをコンピュータのHDD(Hard Disk Drive)に記憶保持するようにし、当該HDDからプログラムを読み出して実行してもよい。
【0047】
また、本例では、1台のコンピュータに各機能手段を構成しているが、例えば、ネットワーク接続された複数台のコンピュータに各機能手段を分散して構成してもよく、各機能手段間で必要な情報がやり取りできる構成であればよい。
また、上記のようなソフトウェア構成でなく、専用のハードウェア回路により本発明に係る各機能手段を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例に係る標章表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るアイコン情報及びグループ情報のデータ構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画面表示例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画面表示例を示す図である。
【図5】本発明の一実施例に係るアイコンの移動操作時の表示位置制御処理の流れを示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係るアイコンの移動操作時の画面表示の変化を示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係るアイコンの整列操作時の表示位置制御処理の流れを示すである。
【図8】本発明の一実施例に係るアイコンの整列操作時の画面表示の変化を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係る画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1:操作受付部、
2:表示部、
3:アイコン情報保持部、
4:グループ情報保持部、
5:設定編集部、
6:表示位置制御部、
7:警告表示処理部、
8:アイコン表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ファイルを識別する標章を画面に表示する処理を行う標章表示処理手段と、
複数の標章を関連付けて標章集合として管理する標章集合管理手段と、
標章集合毎の基点位置と各標章集合に属する標章の表示位置との距離の許容範囲を規定した規定情報を保持する規定情報保持手段と、
標章の表示位置の変更に係るユーザ操作を受け付ける操作受付手段と、
前記ユーザ操作に係る標章の表示位置を、その属する標章集合の基点位置からの距離が前記規定情報により規定された許容範囲に収まる位置にする制御を行う表示位置制御手段と、
を備えたことを特徴とする標章表示装置。
【請求項2】
前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該標章の移動を、当該標章が属する標章集合の基点位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に規制することを特徴とする請求項1に記載の標章表示装置。
【請求項3】
前記標章集合管理手段は、標章集合に属する一の標章を主標章、当該標章集合に属する他の標章を従標章として管理しており、
前記標章集合の基点位置は、当該標章集合の主標章の表示位置であり、
前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により従標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該従標章の移動を、当該従標章が属する標章集合の主標章の表示位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に規制することを特徴とする請求項2に記載の標章表示装置。
【請求項4】
前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該標章の移動に伴って、当該標章が属する標章集合の基点位置を当該標章からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に移動し、当該標章集合の他の標章を当該移動後の基点位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の標章表示装置。
【請求項5】
前記標章集合管理手段は、標章集合に属する一の標章を主標章、当該標章集合に属する他の標章を従標章として管理しており、
前記標章集合の基点位置は、当該標章集合の主標章の表示位置であり、
前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により主標章を移動させるユーザ操作を受け付けたことに応じた当該主標章の移動に伴って、当該主標章が属する標章集合の従標章を当該移動後の主標章の表示位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に移動することを特徴とする請求項4に記載の標章表示装置。
【請求項6】
前記表示位置制御手段は、前記従標章を前記主標章との距離及び方向関係を保つ位置に移動することを特徴とする請求項5に記載の標章表示装置。
【請求項7】
前記表示位置制御手段は、前記操作受付手段により標章を所定基準に従って再配置させるユーザ操作を受け付けたことに応じて、所定基準に従った各標章の順序付けを標章集合毎に行い、標章集合の基点位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に前記順序付けに沿った位置順で各標章を再配置することを特徴とする請求項1に記載の標章表示装置。
【請求項8】
前記標章集合管理手段は、標章集合に属する一の標章を主標章、当該標章集合に属する他の標章を従標章として管理しており、
前記標章集合の基点位置は、当該標章集合の主標章の表示位置であり、
前記表示位置制御手段は、主標章の表示位置からの距離が前記規定された許容範囲に収まる位置に当該主標章が属する標章集合の従標章を再配置することを特徴とする請求項7に記載の標章表示装置。
【請求項9】
前記表示処理手段は、標章集合に属する各標章を認識可能な態様の表示を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の標章表示装置。
【請求項10】
前記表示処理手段は、標章集合に属する一の標章と当該標章集合に属する他の各標章とを結ぶ線分を表示することを特徴とする請求項9に記載の標章表示装置。
【請求項11】
前記表示処理手段は、各標章を標章集合単位で囲む枠を表示することを特徴とする請求項9に記載の標章表示装置。
【請求項12】
コンピュータに、
電子ファイルを識別する標章を画面に表示する処理を行う標章表示処理機能と、
複数の標章を関連付けて標章集合として管理する標章集合管理機能と、
標章集合毎の基点位置と各標章集合に属する標章の表示位置との距離の許容範囲を規定した規定情報を保持する規定情報保持機能と、
標章の表示位置の変更に係るユーザ操作を受け付ける操作受付機能と、
前記ユーザ操作に係る標章の表示位置を、その属する標章集合の基点位置からの距離が前記規定情報により規定された許容範囲に収まる位置にする制御を行う表示位置制御機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−204186(P2008−204186A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39819(P2007−39819)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】