説明

標識灯点灯装置および標識灯システム

【課題】標識灯の正常な点灯制御ができない場合には標識灯を強制的に点灯させることができる標識灯点灯装置を提供する。
【解決手段】バイパス手段33のバイパス動作により、点灯制御回路30をバイパスして点灯電源回路21からの点灯電源を標識灯12へ供給する。バイパス手段33のバイパス解除動作により、点灯制御回路30による標識灯12への点灯電源回路21からの点灯電源の供給制御を可能とする。動作制御回路19が、バイパス手段33のバイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え制御する。制御部29が、点灯制御回路30の動作を監視し、点灯制御回路30の動作の異常を判定すると動作制御回路19によりバイパス手段33をバイパス動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、標識灯を点灯させる標識灯点灯装置、およびこの標識灯点灯装置を用いた標識灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空港の滑走路や誘導路などに設置された複数の標識灯を点灯制御する標識灯システムでは、交流定電流を供給する交流定電流制御装置にゴム被覆絶縁変圧器を介して標識灯点灯装置が接続され、この標識灯点灯装置に複数の標識灯が直列に接続されている。そして、標識灯点灯装置によって複数の標識灯を点灯、消灯させることが可能になっている。
【0003】
このような標識灯システムには、例えば、滑走路に進入しようとする航空機を停止させる停止線灯システム(STBL:Stop Bar Light Control System)などがある。そして、この標識灯システムの標識灯においては、航空機の進行を停止させるために点灯し、航空機の進行を許可するために消灯するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−139755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
航空機の進行を停止させるために点灯し、航空機の進行を許可するために消灯する標識灯では、標識灯点灯装置などの故障が発生し、標識灯の正常な点灯制御ができない場合、標識灯としては航空機の進行を停止させるように点灯するのが好ましい。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、標識灯の正常な点灯制御ができない場合には標識灯を強制的に点灯させることができる標識灯点灯装置、およびこの標識灯点灯装置を用いた標識灯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の標識灯点灯装置は、標識灯を点灯させる点灯電源を供給する点灯電源回路と;標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給を制御する点灯制御回路と;外部と通信し、点灯制御信号を受信する通信手段と;通信手段から点灯制御信号を入力し、点灯制御回路を制御する制御部と;制御部に制御電源を供給する制御電源回路と;バイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え、バイパス動作により点灯制御回路をバイパスして点灯電源回路からの点灯電源を標識灯へ供給し、バイパス解除動作により点灯制御回路による標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給制御を可能とするバイパス手段と;バイパス手段のバイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え制御する動作制御回路と;を具備し、制御部は、点灯制御回路の動作を監視し、点灯制御回路の動作の異常を判定すると動作制御回路によりバイパス手段をバイパス動作させるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、標識灯の正常な点灯制御ができない場合には標識灯を強制的に点灯させることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態を示す標識灯点灯装置を用いた標識灯システムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を、図1を参照して説明する。
【0011】
本実施形態の標識灯システム11は、例えば、空港の滑走路や誘導路などに設置された複数の標識灯12を点灯制御する航空標識灯システムである。この航空標識灯システムには、例えば、滑走路に進入しようとする航空機を停止させる停止線灯システム(STBL)などが含まれる。
【0012】
本実施形態では、このような標識灯システム11において、航空機の進行を停止させるために点灯し、航空機の進行を許可するために消灯する標識灯12を制御対象とする。
【0013】
標識灯システム11では、交流定電流電源を供給する交流定電流制御装置13にゴム被覆絶縁変圧器14を介して標識灯点灯装置15が接続され、この標識灯点灯装置15に複数の標識灯12が直列に接続されている。また、標識灯点灯装置15は、この標識灯点灯装置15に対して点灯制御信号を含む制御信号を出力したり標識灯点灯装置15から情報を取得する標識灯制御装置(図示せず、以下同じ)に通信可能に接続されている。
【0014】
標識灯12は、光源としてLED素子やEL素子などの半導体発光素子が用いられている。本実施形態では複数のLED素子12aが用いられており、標識灯12からは航空機の進行を停止させるために例えば赤色の光を放射する。
【0015】
そして、標識灯点灯装置15は、主に標識灯12を点灯制御する主回路18、およびこの主回路18を監視したり標識灯制御装置と通信する動作制御回路19を備えている。
【0016】
主回路18では、ゴム被覆絶縁変圧器14からの出力電流が、点灯電源回路21に入力され、さらに、カレントトランス22を介して制御電源回路23に入力されるとともに、カレントトランス24を介して電流検出回路25に入力される。
【0017】
点灯電源回路21は、ゴム被覆絶縁変圧器14からの出力電流を定電流化した点灯電源を標識灯12のLED素子12aへ供給するものである。すなわち、点灯電源回路21は、ゴム被覆絶縁変圧器14からの出力電流を整流器26で整流し、負荷調整回路27を経て、平滑器28で平滑し、標識灯12のLED素子12aへ供給する。負荷調整回路27は、標識灯12のLED素子12aの電流を検出する制御部29によりフィードバック制御され、電流が一定になるように調整する。
【0018】
点灯電源回路21の平滑器28には、複数の標識灯12のLED素子12a、点灯制御回路30、および点灯電流検出回路31の直列回路が接続されている。点灯制御回路30は、例えばスイッチング素子を備え、このスイッチング素子が制御部29によってデューティ制御されることにより、LED素子12aが所定の光度となるようにLED素子12aに流れる点灯電流を調整する。点灯電流検出回路31はLED素子12aに流れる点灯電流を検出し、点灯検出回路32に出力する。点灯検出回路32では、点灯電流検出回路31により検出された点灯電流に基づいてLED素子12aの点灯状態を検出し、この点灯検出情報を制御部29に出力する。
【0019】
点灯電源回路21の点灯制御回路30および点灯電流検出回路31と並列に、点灯制御回路30をバイパスして点灯電源回路21の点灯電源を標識灯12のLED素子12aへ供給するためのバイパス手段33としてのリレー34が接続されている。このリレー34は、制御電源回路23から電源の供給を受け、動作制御回路19による制御によってバイパス動作とバイパス解除動作とを切り換える。すなわち、動作制御回路19からのオフ信号を受けたリレー34は、バイパス動作(接続動作)して点灯電源回路21をバイパスし、標識灯12のLED素子12aへ点灯電源回路21からの点灯電源を供給する。また、動作制御回路19からのオン信号を受けたリレー34は、バイパス解除動作(開放動作)して点灯制御回路30のバイパスを解除し、点灯制御回路30による標識灯12のLED素子12aへの点灯電源回路21からの点灯電源の供給制御を可能とする。また、リレー34は、制御電源回路23からの電源の供給がなくなると、自動的にバイパス動作(接続動作)する状態となる。
【0020】
制御電源回路23は、制御部29および動作制御回路19に制御電源を供給するとともにリレー34に動作電源を供給するものである。この制御電源回路23は、ゴム被覆絶縁変圧器14からの出力電流をカレントトランス22を介して整流器35に入力し、整流器35で整流し、負荷調整回路36で電圧を一定に調整して平滑器37で平滑する。平滑器37で平滑された制御電圧は、制御電圧回路38で所定の制御電圧として制御部29に供給するとともにリレー34にも供給する。
【0021】
そして、制御部29は、CPUによって構成され、標識灯12のLED素子12aの電流が一定になるように負荷調整回路27をフィードバック制御したり、電流検出回路25で検出された電流値に基づいて標識灯12のLED素子12aが所定の光度で点灯するように点灯制御回路30を制御するとともに、標識灯制御装置から動作制御回路19を通じて入力される点灯制御信号に基づいて標識灯12のLED素子12aを点灯、消灯させるように点灯制御回路30を制御する。なお、標識灯制御装置と制御部29との間では、接続の確認のために定期的に通信接続確認信号を送受信している。
【0022】
制御部29は、動作制御回路19から上記の点灯制御信号を入力する主回路18の動作を監視して動作監視信号を出力する。
【0023】
制御部29は、動作制御回路19に対して、制御部29が正常動作している場合にHレベルの信号とLレベルの信号とを所定間隔で交互に出力するパルス信号である動作信号を出力したり、異常信号を出力する。異常信号には、点灯制御回路30に対して点灯信号を出力しているにもかかわらず点灯検出回路32で標識灯12のLED素子12aの消灯が検出されていると判定した場合に出力する点灯時消灯信号や、通信の異常が判定された場合に出力する通信異常信号などが含まれる。制御部29は、点灯時消灯信号を出力した場合、その後、点灯検出回路32で標識灯12のLED素子12aの点灯が検出されても、点灯時消灯信号の出力状態を保持するラッチ回路を有している。
【0024】
また、動作制御回路19は、通信手段40を有し、この通信手段40が通信コネクタ41を介して標識灯制御装置に通信可能に接続される。通信手段40では、標識灯制御装置から送信されてくる点灯制御信号や通信接続確認信号などの制御信号をスイッチ回路42で受信して制御部29に出力したり、標識灯点灯装置15の動作情報を標識灯制御装置に送信する。
【0025】
動作制御回路19は、制御部29から動作信号(Hレベルの信号とLレベルの信号とが所定間隔で交互に切り換わるパルス信号)が入力されない場合に制御部29の異常を判定して異常信号を出力する制御部異常判定回路43、この制御部異常判定回路43からの異常信号および制御部29からの異常信号が入力される強制点灯動作回路44、およびこの強制点灯動作回路44によりオン、オフ制御されるスイッチ回路45を有している。
【0026】
強制点灯動作回路44は、制御部異常判定回路43および制御部29のいずれからも異常信号が入力されないとスイッチ回路45をオン制御し、制御部異常判定回路43および制御部29のいずれか一方からでも異常信号が入力されるとスイッチ回路45をオフ制御する。そして、スイッチ回路45がオン制御されると、スイッチ回路45からリレー34にオン信号を出力し、そのリレー34がバイパス解除動作(開放動作)して、点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとの間に介在する点灯制御回路30を有効とする。また、スイッチ回路45がオフ制御されると、スイッチ回路45からリレー34へのオン信号の出力がなくなり、リレー34がバイパス動作(接続動作)して、点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとの間に介在する点灯制御回路30を無効とし、点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとをバイパス接続する。
【0027】
強制点灯動作回路44でスイッチ回路45を制御する信号は、インターフェース回路46を通じて通信手段40を通じて標識灯制御装置に伝送する。
【0028】
次に、標識灯システム11の動作を説明する。
【0029】
まず、標識灯点灯装置15の正常動作時には、制御電源回路23から制御部29および動作制御回路19に制御電源を供給するとともにリレー34に動作電源を供給している。強制点灯動作回路44は異常信号を入力しないことでスイッチ回路45をオン制御し、スイッチ回路45からのオン信号がリレー34に入力し、リレー34が制御電源回路23の電源でバイパス解除動作(開放動作)状態にあって点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとの間に介在する点灯制御回路30が有効な状態にあり、点灯制御回路30による標識灯12のLED素子12aへの点灯電源回路21からの点灯電源の供給制御が可能となっている。
【0030】
標識灯制御装置から標識灯点灯装置15に点灯制御信号や通信接続確認信号を含む制御信号を動作制御回路19のスイッチ回路42で受信して制御部29に出力する。
【0031】
制御部29は、入力された点灯制御信号に基づいて、点灯制御回路30を制御し、標識灯12のLED素子12aの点灯、消灯を制御する。さらに、制御部29は、定期的に入力される通信接続確認信号に基づいて、通信接続が正常であることを確認する。また、制御部29は、動作制御回路19の制御部異常判定回路43に対して動作信号(Hレベルの信号とLレベルの信号とを所定間隔で交互に出力するパルス信号)を出力している。
【0032】
次に、点灯制御回路30の異常発生時の動作を説明する。
【0033】
点灯制御回路30が故障し、制御部29で点灯制御回路30をオン制御(点灯制御)しているにもかかわらず、点灯制御回路30がオフ状態にあって標識灯12のLED素子12aに点灯電流が流れず、標識灯12のLED素子12aが消灯状態にあるとする。
【0034】
この場合、点灯制御回路30以外の回路や制御部29は正常動作している。そのため、点灯電流検出回路31がLED素子12aに流れる点灯電流を検出せず、点灯検出回路32が点灯電流検出回路31の検出に基づいてLED素子12aの消灯を検出し、この消灯検出情報を制御部29に入力する。制御部29は、点灯検出回路32からの消灯検出情報の入力により、点灯制御回路30を点灯制御しているのにLED素子12aが消灯していることから点灯制御回路30の異常と判定し、動作制御回路19の強制点灯動作回路44に異常信号である点灯時消灯信号を出力するとともに、制御部29のラッチ回路により点灯時消灯信号の出力状態を保持する。
【0035】
動作制御回路19の強制点灯動作回路44は、制御部29から入力される点灯時消灯信号の入力によりスイッチ回路45をオフ制御する。
【0036】
オフ制御されたスイッチ回路45に連動してリレー34がバイパス動作(接続動作)し、このリレー34で点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとの間に介在する点灯制御回路30をバイパスし、点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとを接続する。
【0037】
これにより、リレー34を通じて点灯電源回路21からの点灯電源を標識灯12のLED素子12aに供給し、標識灯12のLED素子12aが点灯する。
【0038】
なお、リレー34がバイパス動作(接続動作)すると、点灯電流検出回路31に点灯電流が流れないので、点灯検出回路32でLED素子12aの点灯を検出することはできないが、制御部29はラッチ回路により点灯時消灯信号の出力状態を保持し、リレー34がバイパス動作(接続動作)状態を維持するため、LED素子12aは点灯し続ける。
【0039】
このように、標識灯点灯装置15によれば、制御部29が、点灯制御回路30の動作を監視し、点灯制御回路30の異常を判定すると動作制御回路19によりリレー34をバイパス動作(接続動作)させ、リレー34を通じて点灯電源回路21からの点灯電源を標識灯12のLED素子12aに供給するため、点灯制御回路30が故障した場合に、消灯状態にある標識灯12のLED素子12aを強制的に点灯させることができる。
【0040】
次に、制御部29の異常発生時の動作を説明する。
【0041】
制御部29で動作しているソフトウエアが停止するなどの故障が発生した場合、制御部29の全ての機能が停止し、制御部29は標識灯制御装置からの制御信号の入力や制御部29からの各信号の出力が一切不能になる。この場合、制御部29以外の回路は正常に動作している。
【0042】
制御部29が停止すると、制御部異常判定回路43に対して出力していた動作信号(Hレベルの信号とLレベルの信号とを所定間隔で交互に出力するパルス信号)を出力しなくなり、Hレベルの信号またはLレベルの信号のいずれか一方のみを出力する。
【0043】
動作制御回路19の制御部異常判定回路43は、制御部29から動作信号が確認されないことで制御部29の異常を判定し、異常信号を強制点灯動作回路44に出力する。強制点灯動作回路44は、制御部異常判定回路43からの異常信号の入力によりスイッチ回路45をオフ制御する。
【0044】
オフ制御されたスイッチ回路45に連動してリレー34がバイパス動作(接続動作)し、このリレー34で点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとの間に介在する点灯制御回路30をバイパスし、点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとを接続する。
【0045】
これにより、標識灯12のLED素子12aの消灯状態で制御部29が停止している場合には、リレー34を通じて点灯電源回路21からの点灯電源が標識灯12のLED素子12aに供給されるため、標識灯12のLED素子12aが点灯する。また、標識灯12のLED素子12aの点灯状態で制御部29が停止している場合には、リレー34を通じて点灯電源回路21からの点灯電源が標識灯12のLED素子12aに供給されるため、標識灯12のLED素子12aが点灯状態が維持される。
【0046】
このように、標識灯点灯装置15によれば、動作制御回路19が、制御部29の動作を監視し、制御部29の異常を判定するとリレー34をバイパス動作(接続動作)させ、このリレー34を通じて点灯電源回路21からの点灯電源を標識灯12のLED素子12aに供給するため、点灯制御回路30が故障した場合に、消灯状態にある標識灯12のLED素子12aを強制的に点灯させることができる。
【0047】
次に、制御電源回路23の異常発生時の動作を説明する。
【0048】
制御電源回路23が故障すると、制御部29および動作制御回路19を含む全ての制御機能が停止する。そのため、制御部29および動作制御回路19は標識灯制御装置からの点灯制御の入力や制御部29からの各信号の出力が一切不能になる。この場合でも、点灯電源回路21は正常に動作し、標識灯12のLED素子12aへの点灯電源回路21からの点灯電源の供給が可能な状態にある。
【0049】
この場合、リレー34に対して制御電源回路23から電源の供給がなくなるため、リレー34はスイッチ回路45の出力に関係なく自動的にバイパス動作(接続動作)し、このリレー34によって点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとの間に介在する点灯制御回路30をバイパスし、点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとを接続する。
【0050】
これにより、リレー34を通じて点灯電源回路21からの点灯電源が標識灯12のLED素子12aに供給されるため、標識灯12のLED素子12aが点灯する。
【0051】
このように、標識灯点灯装置15によれば、リレー34が、制御電源回路23から電源の供給を受けて動作制御回路19の制御によりバイパス動作(接続動作)とバイパス解除動作(接続解除動作)との切り換えを可能とするとともに、制御電源回路23からの電源の供給が停止するとバイパス動作(接続動作)するため、制御電源回路23が故障した場合に、標識灯12のLED素子12aを強制的に点灯させることができる。
【0052】
次に、通信異常時の動作を説明する。
【0053】
標識灯制御装置と接続するための通信コネクタ41の接続が外れたり、スイッチ回路42が故障するなどの通信異常が発生すると、標識灯制御装置から定期的に送信されてくる通信接続確認信号が制御部29に入力されなくなる。制御部29は、標識灯制御装置から定期的に送信されてくる通信接続確認信号が入力されなくなると、通信の異常と判定する。
【0054】
制御部29は、例えば、標識灯12のLED素子12aを消灯制御している状態で、通信の異常を判定すると、点灯制御回路30により標識灯12のLED素子12aを点灯制御するか、より確実にはリレー34をバイパス動作(接続動作)させて点灯電源回路21からの点灯電源を標識灯12のLED素子12aへ供給し、標識灯12のLED素子12aを点灯させる。
【0055】
リレー34をバイパス動作(接続動作)させる場合には、制御部29から、異常信号として通信異常信号を動作制御回路19の強制点灯動作回路44に出力する。
【0056】
動作制御回路19の強制点灯動作回路44は、制御部29からの通信異常信号の入力によりスイッチ回路45をオフ制御する。
【0057】
オフ制御されたスイッチ回路45に連動してリレー34がバイパス動作(接続動作)し、このリレー34によって点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとの間に介在する点灯制御回路30をバイパスし、点灯電源回路21と標識灯12のLED素子12aとを接続する。
【0058】
これにより、リレー34を通じて点灯電源回路21からの点灯電源が標識灯12のLED素子12aに供給されるため、標識灯12のLED素子12aが点灯する。
【0059】
このように、標識灯点灯装置15によれば、制御部29が、通信動作を監視し、通信の異常を判定すると動作制御回路19によりリレー34をバイパス動作(接続動作)させるため、通信の異常が発生した場合に、消灯状態にある標識灯12のLED素子12aを強制的に点灯させることができる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、航空機の進行を停止させるために点灯し、航空機の進行を許可するために消灯する標識灯12を制御する標識灯点灯装置15において、標識灯12のLED素子12aの正常な点灯制御ができない場合には標識灯12のLED素子12aを強制的に点灯させることができる。
【0061】
なお、バイパス手段33としては、リレー34に限らず、例えば、他のスイッチ回路などを用いてもよい。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
11 標識灯システム
12 標識灯
15 標識灯点灯装置
19 動作制御回路
21 点灯電源回路
23 制御電源回路
29 制御部
30 点灯制御回路
33 バイパス手段
40 通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識灯を点灯させる点灯電源を供給する点灯電源回路と;
標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給を制御する点灯制御回路と;
外部と通信し、点灯制御信号を受信する通信手段と;
通信手段から点灯制御信号を入力し、点灯制御回路を制御する制御部と;
制御部に制御電源を供給する制御電源回路と;
バイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え、バイパス動作により点灯制御回路をバイパスして点灯電源回路からの点灯電源を標識灯へ供給し、バイパス解除動作により点灯制御回路による標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給制御を可能とするバイパス手段と;
バイパス手段のバイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え制御する動作制御回路と;
を具備し、
制御部は、点灯制御回路の動作を監視し、点灯制御回路の動作の異常を判定すると動作制御回路によりバイパス手段をバイパス動作させる
ことを特徴とする標識灯点灯装置。
【請求項2】
標識灯を点灯させる点灯電源を供給する点灯電源回路と;
標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給を制御する点灯制御回路と;
外部と通信し、点灯制御信号を受信する通信手段と;
通信手段から点灯制御信号を入力し、点灯制御回路を制御する制御部と;
制御部に制御電源を供給する制御電源回路と;
バイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え、バイパス動作により点灯制御回路をバイパスして点灯電源回路からの点灯電源を標識灯へ供給し、バイパス解除動作により点灯制御回路による標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給制御を可能とするバイパス手段と;
バイパス手段のバイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え制御する動作制御回路と;
を具備し、
動作制御回路は、制御部の動作を監視し、制御部の動作の異常を判定するとバイパス手段をバイパス動作させる
ことを特徴とする標識灯点灯装置。
【請求項3】
標識灯を点灯させる点灯電源を供給する点灯電源回路と;
標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給を制御する点灯制御回路と;
外部と通信し、点灯制御信号を受信する通信手段と;
通信手段から点灯制御信号を入力し、点灯制御回路を制御する制御部と;
制御部に制御電源を供給する制御電源回路と;
バイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え、バイパス動作により点灯制御回路をバイパスして点灯電源回路からの点灯電源を標識灯へ供給し、バイパス解除動作により点灯制御回路による標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給制御を可能とするバイパス手段と;
バイパス手段のバイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え制御する動作制御回路と;
を具備し、
バイパス手段は、制御電源回路から電源の供給を受けて動作制御回路の制御によりバイパス動作とバイパス解除動作との切り換えを可能とするとともに、制御電源回路からの電源の供給が停止するとバイパス動作する
ことを特徴とする標識灯点灯装置。
【請求項4】
標識灯を点灯させる点灯電源を供給する点灯電源回路と;
標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給を制御する点灯制御回路と;
外部と通信し、点灯制御信号を受信する通信手段と;
通信手段から点灯制御信号を入力し、点灯制御回路を制御する制御部と;
制御部に制御電源を供給する制御電源回路と;
バイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え、バイパス動作により点灯制御回路をバイパスして点灯電源回路からの点灯電源を標識灯へ供給し、バイパス解除動作により点灯制御回路による標識灯への点灯電源回路からの点灯電源の供給制御を可能とするバイパス手段と;
バイパス手段のバイパス動作とバイパス解除動作とを切り換え制御する動作制御回路と;
を具備し、
制御部は、通信手段での通信動作を監視し、通信の異常を判定すると動作制御回路によりバイパス手段をバイパス動作させる
ことを特徴とする標識灯点灯装置。
【請求項5】
標識灯と;
標識灯を点灯させる請求項1ないし4いずれか一記載の標識灯点灯装置と;
を具備していることを特徴とする標識灯システム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−201272(P2012−201272A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68959(P2011−68959)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】