説明

標高情報補間装置、標高情報補間プログラム及び標高情報補間方法

【課題】ラスターデータとして与えられた標高情報の一部が欠落している場合に、欠落した標高情報を補間して、欠落のない標高情報を示すラスターデータを生成することを目的とする。
【解決手段】等高線データ生成部12は、ラスターデータ入力部11が入力したラスターデータから等高線データを生成する。等高線補間部13は、等高線データ生成部12が補間した等高線データのうち、標高情報が欠落した部分の等高線を補間する。ラスターデータ生成部14は、等高線補間部13が補間した等高線データからラスターデータを生成する。ラスターデータ補間部15は、ラスターデータ生成部14が生成したラスターデータのうち、等高線補間部13が補間してもなお欠落している標高情報を補間する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、欠落した標高情報を補間する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機、衛星、スペースシャトル等に搭載された合成開口レーダや光学センサ等のリモートセンシングにより多くの数値標高データ(DEM,Digital Elevation Model)が作成されている。しかし、リモートセンシングでは、雲等の影響により観測が不完全となる虞がある。観測が不完全となった領域については、数値標高データが作成されない。そのため、数値標高データを利用するユーザは、数値標高データが作成されていない領域について、数値標高データを補間する必要がある。なお、通常これらの数値標高データは、ラスターデータ(グリッドデータ)として提供される。
数値標高データを補間する方法としては、他の数値標高データを用いて補間する方法がある。また、数値標高データが作成されていない領域の周囲の数値標高データを用いて補間する方法がある。さらに、特許文献1,2には、等高線図を補間する技術についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−293105号公報
【特許文献2】特開2003−216023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他の数値標高データを用いて補間する方法では、他の数値標高データを用意しなければならず、利便性が低い。また、数値標高データや科学技術計算の知識を多く必要とし、処理が複雑である。周囲の数値標高データを用いて補間する方法では、補間後のラスターデータを等高線データに変換すると、補間した部分はつじつまの合わない不自然なデータとなっている場合がある。さらに、特許文献1,2には、ラスターデータとして与えられた数値標高データを補間する方法についての記載はない。
この発明は、例えば、ラスターデータとして与えられた数値標高データの一部が欠落している場合に、欠落したデータを補間して、欠落のない数値標高データを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る標高情報補間装置は、例えば、
入力装置により、所定の領域の標高情報を示すラスターデータであって、前記所定の領域の一部の領域の標高情報が欠落した欠落領域を有するラスターデータを入力するラスターデータ入力部と、
処理装置により、前記ラスターデータ入力部が入力したラスターデータを変換して等高線を示す等高線データを生成する等高線データ生成部と、
処理装置により、前記等高線データ生成部が生成した等高線データが示す等高線のうち、前記欠落領域の等高線を所定の方法により補間する等高線補間部と、
処理装置により、前記等高線補間部が補間した等高線データを変換して標高情報を示すラスターデータを生成するラスターデータ生成部と、
処理装置により、前記ラスターデータ生成部が生成したラスターデータのうち、前記欠落領域のラスターデータが示す標高情報を、前記等高線補間部が補間した前記欠落領域の標高情報と、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報とを用いて補間するラスターデータ補間部と
を備えることを特徴とする。
【0006】
前記ラスターデータ補間部は、前記等高線補間部により補間された前記欠落領域の標高情報に所定の重みを付けるとともに、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報に前記所定の重みよりも重い重みを付けた重み付けデータに基づき、前記欠落領域の標高情報の補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0007】
前記ラスターデータ補間部は、前記欠落領域を第1の方向に複数の領域に分割して、分割した領域毎に第1補間データを生成し、生成した第1補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0008】
前記ラスターデータ補間部は、前記欠落領域を前記第1の方向とは異なる第2の方向に複数の領域に分割して、前記欠落領域の標高情報として前記第1補間データを用いて前記第2の方向に分割した領域毎に第2補間データを生成し、生成した第2補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0009】
前記ラスターデータ補間部は、前記重み付けデータに基づき、所定の方法により3次元曲面を表す式の係数を計算して、計算した係数により表された前記3次元曲面を前記欠落領域の補間データとして生成する
ことを特徴とする。
【0010】
前記ラスターデータ補間部は、前記欠落領域の大きさと前記欠落領域の形状と前記ラスターデータにおける前記欠落領域の位置との少なくともいずれかに応じて、異なる方法により前記補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0011】
この発明に係る標高情報プログラムは、例えば、
所定の領域の標高情報を示すラスターデータであって、前記所定の領域の一部の領域の標高情報が欠落した欠落領域を有するラスターデータを入力するラスターデータ入力処理と、
前記ラスターデータ入力処理で入力したラスターデータを変換して等高線を示す等高線データを生成する等高線データ生成処理と、
前記等高線データ生成処理で生成した等高線データが示す等高線のうち、前記欠落領域の等高線を所定の方法により補間する等高線補間処理と、
前記等高線補間処理で補間した等高線データを変換して標高情報を示すラスターデータを生成するラスターデータ生成処理と、
前記ラスターデータ生成処理で生成したラスターデータのうち、前記欠落領域のラスターデータが示す標高情報を、前記等高線補間処理で補間された前記欠落領域の標高情報と、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報とを用いて補間するラスターデータ補間処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
前記ラスターデータ補間処理では、前記等高線補間処理により補間された前記欠落領域の標高情報に所定の重みを付けるとともに、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報に前記所定の重みよりも重い重みを付けた重み付けデータに基づき、前記欠落領域の標高情報の補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0013】
前記ラスターデータ補間処理では、前記欠落領域を第1の方向に複数の領域に分割して、分割した領域毎に第1補間データを生成し、生成した第1補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0014】
前記ラスターデータ補間処理では、前記欠落領域を前記第1の方向とは異なる第2の方向に複数の領域に分割して、前記欠落領域の標高情報として前記第1補間データを用いて前記第2の方向に分割した領域毎に第2補間データを生成し、生成した第2補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0015】
前記ラスターデータ補間処理では、前記重み付けデータに基づき、所定の方法により3次元曲面を表す式の係数を計算して、計算した係数により表された前記3次元曲面を前記欠落領域の補間データとして生成する
ことを特徴とする。
【0016】
前記ラスターデータ補間処理では、前記欠落領域の大きさと前記欠落領域の形状と前記ラスターデータにおける前記欠落領域の位置との少なくともいずれかに応じて、異なる方法により前記補間データを生成する
ことを特徴とする。
【0017】
この発明に係る標高情報方法は、例えば、
入力装置が、所定の領域の標高情報を示すラスターデータであって、前記所定の領域の一部の領域の標高情報が欠落した欠落領域を有するラスターデータを入力するラスターデータ入力ステップと、
処理装置が、前記ラスターデータ入力ステップで入力したラスターデータを変換して等高線を示す等高線データを生成する等高線データ生成ステップと、
処理装置により、前記等高線データ生成ステップで生成した等高線データが示す等高線のうち、前記欠落領域の等高線を所定の方法により補間する等高線補間ステップと、
処理装置が、前記等高線補間ステップで補間した等高線データを変換して標高情報を示すラスターデータを生成するラスターデータ生成ステップと、
処理装置が、前記ラスターデータ生成ステップで生成したラスターデータのうち、前記欠落領域のラスターデータが示す標高情報を、前記等高線補間ステップで補間された前記欠落領域の標高情報と、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報とを用いて補間するラスターデータ補間ステップと
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る標高情報補間装置は、与えられたラスターデータを等高線データに変換して標高情報を補間するとともに、補間した等高線データを再びラスターデータに変換して、さらに標高情報を補間する。これにより、ラスターデータとして与えられた数値標高データにおける標高情報の欠落部分を適切に補間して、欠落のない自然な標高情報を有するラスターデータを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】標高情報補間装置10の機能を示す機能ブロック図。
【図2】ラスターデータ入力部11が入力するラスターデータの一例を示す図。
【図3】等高線データ生成部12が生成する等高線データの一例を示す図。
【図4】等高線補間部13が補間した等高線データの一例を示す図。
【図5】ラスターデータ生成部14が生成するラスターデータの一例を示す図。
【図6】ラスターデータ補間部15が補間したラスターデータの一例を示す図。
【図7】標高情報補間装置10の処理の流れを示すフローチャート。
【図8】ラスターデータ入力部11が生成した無効値フラグデータを示す図。
【図9】ラスターデータ補間部15が更新した無効値フラグデータを示す図。
【図10】無効値フラグデータの更新処理の動作を示すフローチャート。
【図11】補間値に更新する領域を決定する処理の説明図(1)。
【図12】補間値に更新する領域を決定する処理の説明図(2)。
【図13】補間値に更新する領域を決定する処理の説明図(3)。
【図14】補間値に更新する領域を決定する処理の説明図(4)。
【図15】補間値に更新する領域を決定する処理の説明図(5)。
【図16】無効値フラグデータの更新処理の説明図。
【図17】図4に示す無効領域20aのフラグ値が補間値に更新される処理の説明図。
【図18】補間処理(1)の流れを示すフローチャート。
【図19】無効領域20の中心座標の算出方法の説明図。
【図20】無効領域20とその周辺の領域との標高情報をなじませる処理の説明図。
【図21】補間処理(2)の流れを示すフローチャート(1)。
【図22】補間処理(2)の流れを示すフローチャート(2)。
【図23】無効領域20を内包する長方形の説明図。
【図24】横方向の補間処理の説明図。
【図25】縦方向の補間処理の説明図。
【図26】標高情報補間装置10のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に基づき、この発明の実施の形態について説明する。
なお、以下の説明において、処理装置とは、後述するCPU911等である。また、記憶装置とは、後述するROM913、RAM914、磁気ディスク装置920等である。また、入力装置とは、後述するキーボード912、通信ボード915等である。
【0021】
実施の形態1.
図1は、標高情報補間装置10の機能を示す機能ブロック図である。
標高情報補間装置10は、ラスターデータ入力部11、等高線データ生成部12、等高線補間部13、ラスターデータ生成部14、ラスターデータ補間部15を備える。
【0022】
ラスターデータ入力部11は、記憶装置に記憶された所定の領域の標高情報(標高値)を有するラスターデータを入力装置により入力する。ラスターデータ入力部11が入力するラスターデータには、所定の領域の一部の領域である無効領域20(欠落領域)の標高情報が欠落している。リモートセンシング等で標高情報の収集を行った場合には、雲等の影響により観測が不完全となる場合がある。この雲等の影響により観測できず、標高情報が取得できなかった領域が無効領域20である。無効領域20には、標高情報として所定の無効値が割り当てられており、標高情報を有さない無効領域20であるか標高情報を有する領域(有効領域21)であるかの判別は容易に行える。
図2は、ラスターデータ入力部11が入力するラスターデータの一例を示す図である。図2に示すラスターデータは、標高を濃淡により表現している。色が濃い部分ほど標高が低く、色が薄い部分ほど標高が高い。ラスターデータには、標高情報が欠落した無効領域20がある。図2では、斜線部が無効領域20である。無効領域20以外の領域は、有効領域21である。
【0023】
等高線データ生成部12は、処理装置により、ラスターデータ入力部11が入力したラスターデータを変換して等高線を示す等高線データを生成する。等高線データ生成部12は、ラスターデータをベクターデータへ変換することにより、等高線を示す等高線データを生成することができる。
図3は、等高線データ生成部12が生成する等高線データの一例を示す図である。特に、図3は、図2に示すラスターデータから生成された等高線データを示す。図3に示すように、ラスターデータにおける無効領域20については、等高線データにおける等高線も欠落する。無効領域20には標高情報がないので、等高線を引くことができないためである。なお、図3では、標高100m毎に等高線が引かれているものとする。つまり、最も外側の等高線は標高100mを表し、その内側の等高線は標高200mを表している。
【0024】
等高線補間部13は、処理装置により、等高線データ生成部12が生成した等高線データが示す等高線のうち、無効領域20部分の等高線を補間する。等高線は、本来閉曲線となる。しかし、無効領域20については、等高線の一部が欠落しているため、等高線が閉曲線となっていない。そのため、等高線補間部13は、等高線が閉曲線をなすように、等高線の欠落した部分を補間する。等高線補間部13は、例えば、スプライン補間により、等高線が欠落した部分をなめらかな曲線でつなぎ合わせる。
図4は、等高線補間部13が補間した等高線データの一例を示す図である。特に、図4は、図3に示す等高線データが示す等高線の欠落した部分を補間した等高線データを示す。図4に示すように、等高線データが示す等高線が欠落した部分がなめらかな曲線で接続され、等高線が閉曲線となっている。
【0025】
ラスターデータ生成部14は、処理装置により、等高線補間部13が補間した等高線データを変換して標高情報を有するラスターデータを生成する。ラスターデータ生成部14は、ベクターデータをラスターデータへ変換することにより、標高情報を有するラスターデータを生成することができる。
図5は、ラスターデータ生成部14が生成するラスターデータの一例を示す図である。特に、図5は、図4に示す等高線データから生成されたラスターデータを示す。図5に示すように、ラスターデータ生成部14が生成するラスターデータにも、一部に標高情報が欠落した無効領域20が残っている。これは、無効領域20が山頂や谷底(谷の最深部)を覆っている場合や、無効領域20がラスターデータ入力部11が入力したラスターデータが示す領域の端に接している場合には、等高線補間部13により等高線の補間がされないためである。つまり、山頂(又は谷底)付近を無効領域20が覆っている場合には、等高線全体が欠落する。すなわち、閉曲線の一部が欠落するのではなく、閉曲線全体が欠落する。閉曲線全体が欠落した場合、等高線補間部13の処理では、適切に補間できない。また、無効領域20がラスターデータ入力部11が入力したラスターデータが示す領域の端に接している場合には、ラスターデータが示す領域内で等高線が閉曲線をなしていない可能性がある。そのため、無効領域20がラスターデータ入力部11が入力したラスターデータが示す領域の端に接している場合、等高線補間部13の処理では、適切に補間できない。そのため、ラスターデータ生成部14が生成したラスターデータの一部に無効領域20が残る。
【0026】
ラスターデータ補間部15は、処理装置により、ラスターデータ生成部14が生成したラスターデータに残っている無効領域20の標高情報を補間する。特に、ラスターデータ補間部15は、等高線補間部13が補間した無効領域20の標高情報と無効領域20の近傍の領域の標高情報とを用いて、ラスターデータ生成部14が生成したラスターデータに残っている無効領域20の標高情報を補間する。ラスターデータ補間部15は、例えば、無効領域20の近傍の領域の標高情報と無効領域20において等高線補間部13が補間したの標高情報とから、無効領域20において等高線補間部13が補間していない領域を包括する3次元近似曲面を生成することにより、無効領域20の標高情報を補間する。
図6は、ラスターデータ補間部15が補間したラスターデータの一例を示す図である。特に、図6は、図5に示すラスターデータを補間したラスターデータを示す図である。図6に示すように、補間したラスターデータには、無効領域20が存在せず、全領域の標高情報が示されている。
【0027】
標高情報補間装置10の動作について詳細に説明する。
図7は、標高情報補間装置10の処理の流れを示すフローチャートである。
(S11)
ラスターデータ入力部11は、図2に示すようなラスターデータを入力する。ラスターデータ入力部11は、入力したラスターデータに含まれる無効領域20と、有効領域21とを区別した無効値フラグデータを生成する。
図8は、ラスターデータ入力部11が生成した無効値フラグデータを示す図である。ここでは、ラスターデータ入力部11は、無効領域20のフラグ値に無効値を示す「1」、無効領域20以外のフラグ値に有効値を示す「0」を付して無効値フラグデータを生成する。
【0028】
(S12)
等高線データ生成部12は、ラスターデータ入力部11が入力したラスターデータを変換して、図3に示すような等高線データを生成する。
【0029】
(S13)
等高線補間部13は、等高線データ生成部12が生成した等高線データが示す等高線のうち、欠落した部分を補間して、図4に示すような等高線データを生成する。
例えば、等高線補間部13は、無効領域20と有効領域21の境界における等高線の端点の個数を、等高線のラベル(標高)ごとにカウントする。つまり、標高100mを示す等高線、標高200mを示す等高線、・・・毎に、等高線の端点の個数をカウントする。そして、カウント値に応じて、以下のように補間処理を行う。補間処理とは、スプライン補間等により端点と端点とを滑らかに結ぶ処理である。なお、端点が0の等高線(つまり、閉曲線を形成している等高線)については、補間処理は不要である。
(1)まず、等高線補間部13は、端点数が2の等高線について優先的に補間処理を行う。
(2)次に、等高線補間部13は、端点数が4以上の偶数の等高線について補間処理を行う。等高線補間部13は、最も距離の近い2つの端点を選択して、選択した2つの端点同士を結ぶように補間処理を行う。続いて、等高線補間部13は、残った端点から最も距離の近い2つの端点を選択して、選択した2つの端点同士を結ぶように補間処理を行う。等高線補間部13は、この処理を繰り返して、全ての端点を結ぶ。但し、等高線補間部13は、(1)の補間処理で引いた等高線と交差しないように端点を結ぶ。交差せざるを得ない場合は補間しない。
(3)等高線補間部13は、端点数が3以上の奇数の等高線について補間処理を行う。等高線補間部13は、(2)と同様に、最も距離の近い2つの端点を選択して、選択した2つの端点同士を結ぶ補間処理を繰り返す。但し、(1)(2)の補間処理で引いた等高線を交差しないように端点を結ぶ。交差せざるを得ない場合は補間しない。また、端点は最低でも1つ余るが、これについても補間しない。
(4)端点数が1の等高線は、入力されたラスターデータの端(隅又は縁)に無効領域20が存在すると考えられる。したがって、この場合、補間しない。
【0030】
(S14)
等高線補間部13は、無効値フラグデータを更新して、図9のような無効値フラグデータとする。つまり、(S13)における補間処理により、標高情報を与えることができる領域の無効フラグデータの値を無効値「1」から補間値「2」に更新する。なお、補間値「2」が割り当てられた領域を補間領域22と呼ぶ。
図10は、無効値フラグデータの更新処理の動作を示すフローチャートである。
(S141)
等高線補間部13は、(S13)での補間処理において、無効値フラグデータにおける補間した等高線部分のフラグ値を補間値「2」に更新する。つまり、図4に示す補間した等高線部分のフラグ値を補間値「2」に更新する。
(S142)
等高線補間部13は、各画素について、その画素に対応する無効値フラグデータにおけるフラグ値が無効値「1」か否かを判定する。つまり、等高線補間部13は、補間した等高線データから、対応する無効値フラグデータにおけるフラグ値が無効値「1」を有する画素(=画素(x,y))を検索する。
(S143)
等高線補間部13は、(S142)で検索した画素(x,y)に対して、距離が最も近い等高線Laを検索する。
例えば、等高線補間部13は、各等高線に対して、その等高線上の全ての点と画素(x,y)の距離を計測する。そして、等高線補間部13は、各等高線において、画素(x,y)と最も距離が近い点とその距離を記録する。つまり、等高線毎に「画素(x,y)に最も近い点」と「その点と画素(x,y)との距離」が計算されることになる。等高線補間部13は、「画素(x,y)に最も近い点を有する等高線」を等高線Laとして選択する。
(S144)
(S143)と同様に、等高線補間部13は、画素(x,y)に2番目に近い等高線Lbを検索する。
(S145)
等高線補間部13は、画素(x,y)とその近傍の無効値フラグデータを補間値に更新するか否かを判定する。同時に、等高線補間部13は、補間値に更新する領域を決定する。図11から図15は、補間値に更新する領域を決定する処理の説明図である。
図11(a)に示すように、等高線補間部13は、等高線Laにおいて、画素(x,y)に最も近い点を画素aとして選択する。そして、等高線補間部13は、画素(x,y)から画素aへ向かうベクトルをVaとする。同様に、等高線補間部13は、等高線Lbにおいて、画素(x,y)に最も近い点を画素bとする。そして、等高線補間部13は、画素(x,y)から画素bへ向かうベクトルをVbとする。
等高線補間部13は、以下の(1)−(3)の条件を満たすか否かを判定する。
(1)等高線Laの標高と、等高線Lbの標高の差が、等高線の間隔(ここでは、100m毎に等高線を引いたため、100m)に等しい。つまり、等高線Laと等高線Lbとが隣り合った等高線である。
(2)VaとVbのなす角が90度より大きい。
(3)ベクトルVbが等高線Laと交差しない。
等高線補間部13は、(1)−(3)の条件を全て満たす場合、画素(x,y)を内包して囲むように、「等高線La」、「等高線Lb」、及び、「無効領域20の境界線」を用いて、できるだけ小さな閉曲線を生成する。なお、できるだけ小さな閉曲線とは、閉曲線によって囲まれた領域の面積が最小となる閉曲線である。
例えば、図11であれば、(1)−(3)の条件を全て満たす。そして、図11(b)に破線で示すように、「無効領域20の境界線」のみで閉曲線が生成される。
また、例えば、図12であれば、図12(a)に示すように、画素a,bと等高線La,Lbが選択され、(1)−(3)の条件を全て満たす。そして、図12(b)に破線で示すように、「等高線La」、「等高線Lb」、「無効領域20の境界線」で閉曲線が生成される。
また、例えば、図13であれば、図13(a)に示すように、画素a,bと等高線La,Lbが選択され、(1)−(3)の条件を全て満たす。そして、図13(b)に破線で示すように、「等高線La」、「無効領域20の境界線」で閉曲線が生成される。
また、例えば、図14であれば、図に示すように、画素a,bと等高線La,Lbが選択される。この場合、角度θは90度以下であり、(2)の条件を満たさない。したがって、等高線補間部13は、画素(x,y)とその近傍の無効値を補間値に更新しないと判定する。
また、例えば、図15であれば、図に示すように、画素a,bと等高線La,Lbが選択される。この場合、ベクトルVbが等高線Laと交差するため、(3)の条件を満たさない。したがって、等高線補間部13は、画素(x,y)とその近傍の無効値を補間値に更新しないと判定する。
(S146)
(S145)で生成された閉曲線に囲まれた領域をに対応する無効値フラグデータのフラグ値を補間値「2」に更新する。
図16は、無効値フラグデータの更新処理の説明図である。まず、図16(a)に示すように、等高線補間部13は、画素(x,y)に対応する無効値フラグデータのフラグ値を補間値に更新する。次に、図16(b)に示すように、画素(x,y)の上下左右の画素が閉曲線内か否かを判定する。そして、閉曲線内であると判定された画素に対応する無効値フラグデータのフラグ値を補間値に更新する。ここでは、画素(x,y)の上下左右の画素が閉曲線内であったとする。次に、図16(c)に示すように、更新した画素(ここでは、5画素)について、同様に上下左右の画素が閉曲線内か否かを判定する。そして、の閉曲線内であると判定された画素に対応する無効値フラグデータのフラグ値を補間値に更新する。ここでは、図16(d)に示すように、画素1,2,3のみが閉曲線内であったとする。この処理を、閉曲線内の画素全てが更新されるまで実施する。
図17は、図4に示す無効領域20aのフラグ値が補間値に更新される処理の説明図である。図17(a)は更新前の状態を示す。例えば、標高300mの等高線と標高400mの等高線との間の無効領域20a内の画素が(S142)で選択されたとする。すると、(S145)で無効領域20と標高400mの等高線とで閉曲線が生成され、(S146)で図17(b)に示す領域のフラグ値が補間値に更新される。続いて、標高400mの等高線と標高500mの等高線との間の無効領域20a内の画素が(S142)で選択されたとする。すると、(S145)で無効領域20と標高400mの等高線と標高500mの等高線とで閉曲線が生成され、(S146)で図17(c)に示す領域のフラグ値が補間値に更新される。同様の処理を繰り返して、図17(d)に示す領域のフラグ値が補間値に更新され、図17(e)に示す領域のフラグ値が補間値に更新され、最終的に図17(f)に示すように、無効領域20aの全てのフラグ値が補間値に更新される。したがって、図9に示すように無効領域20aは、全体が補間領域22となっている。
【0031】
(S15)
ラスターデータ生成部14は、等高線補間部13が補間した等高線データを変換して、図5のようなラスターデータを生成する。但し、無効値フラグデータのフラグ値が無効値「1」の領域はグリッドデータへは変換せず、無効値フラグデータのフラグ値が有効値「0」又は補間値「2」の有効領域21と補間領域22とについてのみラスターデータへ変換する。
以上の(S11)から(S15)までの処理が補間の第1段階の処理である。しかし、補間の第1段階の処理を終えた状態では、上述したように無効領域20が残っている。そこで、(S16)により、無効領域20のない状態に補間する。
【0032】
(S16)
ラスターデータ補間部15は、ラスターデータ生成部14が生成したラスターデータの標高情報を後述する補間処理(1)又は補間処理(2)により補間する。
【0033】
補間処理(1)について説明する。図18は、補間処理(1)の流れを示すフローチャートである。
補間処理(1)では、ラスターデータ補間部15は、3変数の多項式を用いて最小二乗法により2次元補間を行い3次元近似曲面を生成して標高情報を補間する。
【0034】
(S21)
ラスターデータ補間部15は、各無効領域20に識別番号を付与する。例えば、図5に示すラスターデータであれば、2つの無効領域20が存在するため、各無効領域20に識別番号(例えば、「1」と「2」)を付与する。
【0035】
(S22)
ラスターデータ補間部15は、各無効領域20に対して、その中心座標(Xc,Yc)を算出する。
図19は、無効領域20の中心座標の算出方法の説明図である。図19に示すように、ラスターデータ補間部15は、無効領域20のx軸方向の最大値(Xmax)と最小値(Xmin)とを取得するとともに、無効領域20のy軸方向の最大値(Ymax)と最小値(Ymin)とを取得する。ここで、x軸方向、y軸方向とは、例えば、ラスターデータ入力部11が入力したラスターデータの横方向、縦方向である。ラスターデータ補間部15は、取得した値から、中心座標(Xc,Yc)をそれぞれ、Xc=(Xmax−Xmin)/2,Yc=(Ymax−Ymin)/2により計算する。なお、中心座標を計算する無効領域20の形状が円や正多角形の場合、中心座標は無効領域20の中心になる。
【0036】
(S23)
ラスターデータ補間部15は、各無効領域20について、無効値「1」の近傍の有効値「0」又は補間値「2」の標高情報を所定の個数サンプルとして取得する。そして、ラスターデータ補間部15は、取得したサンプルに基づき、例えば、数1により無効領域20の標高情報を計算する。なお、取得するサンプル数は、数1に示す多項式の係数より多くなければならない。
【数1】

数1において、Hは標高情報、xはラスターデータの横方向の画素番号、yはラスターデータの縦方向のライン番号である。また、x’=x−xc,y’=y−ycである。つまり、x’、y’は、各無効領域20の中心座標が原点となるようにx,yをシフトさせた画素番号とライン番号とである。aij(i=0〜4,j=0〜4)は未定係数であり、例えば最小二乗法により決定される。数1では、i=0〜4、j=0〜4としたため、未定係数が25個あるので、取得するサンプル数は25個以上必要である。
ラスターデータ補間部15は、取得したサンプルに基づき、最小二乗法により未定係数aij(i=0〜4,j=0〜4)を計算する。なお、ラスターデータ補間部15は、最小二乗法による計算の際に、サンプルに重み付けする。例えば、ラスターデータ補間部15は、有効値「0」から取得した標高情報は、重い重み(例えば、重み「10」)を持たせる。一方、ラスターデータ補間部15は、補間値「2」から取得した標高情報は、有効値「0」から取得した標高情報よりも軽い重み(例えば、重み「1」を持たせる。未定係数を計算することにより、無効領域20の標高情報(数1のH)が計算される。
なお、サンプルに重み付けする代わりに、有効値「0」のサンプルを補間値「2」のサンプルよりも多く(例えば、10倍)取得してもよい。
【0037】
(S24)
ラスターデータ補間部15は、無効領域20の標高情報を、(S23)で計算した標高情報で更新することにより補間する。
しかし、単に計算した標高情報で更新してしまうと、無効領域20とその周辺の領域との境界で標高情報の不連続が生じる虞がある。そこで、以下のように無効領域20とその周辺の領域との標高情報を重み付け平均によりなじませる。図20は、無効領域20とその周辺の領域との標高情報をなじませる処理の説明図である。
図20(a)に示すように、無効領域20の中心座標から、ある画素までの距離を「R」とする。無効領域20と周辺領域との境界部分の画素に対するRを「Redge」とする。ここで、ラスターデータ補間部15は、数1により計算した標高情報と、ラスターデータ生成部14が生成したラスターデータが示す標高情報とをなじませるための重複領域を長さαに設定する。例えば、αは10画素程度である。図20(a)の重複領域周辺を拡大表示したのが図20(b)である。
ラスターデータ補間部15は、重複領域の画素、つまり無効領域20の中心座標(Xc,Yc)からの距離Rが「Redge≦R≦Redge+α」の画素について、標高情報H’を
「H’=f(R’)×H+[1−f(R’)]×Horg」
により計算する。ここで、Hは数1に示す多項式で計算される標高情報、Horgは元の標高情報(ラスターデータ生成部14が生成したラスターデータが示す標高情報)である。また、R’=R−Redge(0≦R’≦α)である。つまり、R’は無効領域20と周辺領域との境界からの距離である。さらに、f(R’)は0〜1の値をとる関数であり、f(0)=1、f(α)=0となる。例えば、関数f(R’)は、「例1:f(R’)=1−(R’/α)」や「例2:f(R’)=(1/2)×[1+cos(πR’/α)]」である。このように計算することにより、図20(c)に示すように、無効領域20とその周辺の領域との標高情報をなじませることができる。
つまり、ラスターデータ補間部15は、
(1)無効領域20内の画素(つまり、R≦Redgeの画素)に対しては、数1により計算したHにより標高情報を与える。
(2)重複領域の画素に対しては、数1により計算したHと元の標高情報であるHorgとから計算したH’により標高情報を与える。
(3)その他の領域に対しては、元の標高情報であるHorgにより標高情報を与える。
なお、関数f(R’)の例2では、cos関数を用いることで、無効領域20に近い領域については(S23)で計算した標高情報Hに重い重みを持たせて採用するとともに、無効領域20から離れるにしたがってHorgに重い重みを持たせて採用する。
【0038】
補間処理(2)について説明する。図21,22は、ラスターデータ補間部15の補間処理(2)の流れを示すフローチャートである。
ラスターデータ補間部15は、横方向と縦方向と一方の方向から1次元補間を行うとともに、補間したデータに基づき他方の方向から1次元補間を行う。つまり、ラスターデータ補間部15は、無効領域20の標高情報を2段階で補間する。
【0039】
(S31)
ラスターデータ補間部15は、(S21)と同様に、各無効領域20に識別番号を付与する。
【0040】
(S32)
ラスターデータ補間部15は、各無効領域20について、無効領域20を内包する長方形(=無効領域20に外接する長方形)を設定する。図23は、無効領域20を内包する長方形の説明図である。この長方形の横方向のサイズをSx、縦方向のサイズをSyとする。
なお、この長方形は、ラスターデータ入力部11が入力したラスターデータの横方向、縦方向と平行な辺により形成される長方形である。
【0041】
(S33)
ラスターデータ補間部15は、(S32)で設定した長方形の横方向と縦方向とのいずれの方向から補間を行うかを以下のルールに基づき判定する。横方向から補間を行う場合、(S34)へ進む。一方、縦方向から補間を行う場合、(S40)へ進む。なお、横方向から補間を行うとは、横1行毎(横方向のライン毎)に補間処理を行うことであり、縦方向から補間を行うとは、縦1列毎(縦方向のライン毎)に補間を行うことである。なお、横方向のラインとは、縦方向に1画素分のデータであり、縦方向のラインとは、横方向に1画素分のデータである。
(1)無効領域20がラスターデータの左縁と右縁との少なくとも一方に接しており、かつ、上縁と下縁とのいずれにも接していない場合には、縦方向の補間を先に実行する。この場合、無効領域20の上部と下部とには有効値「0」又は補間値「2」の領域がある。そのため、無効領域20の上部と下部とに存在する有効値又は補間値を用いて、縦方向の補間を先に実行する。
(2)無効領域20がラスターデータの上縁と下縁と少なくとも一方に接しており、かつ、左縁と右縁とのいずれにも接していない場合には、横方向の補間を先に実行する。この場合、無効領域20の左部と右部とには有効値「0」又は補間値「2」の領域がある。そのため、無効領域20の左部と右部とに存在する有効値又は補間値を用いて、横方向の補間を先に実行する。
(3)無効領域20がラスターデータの左縁、右縁、上縁、下縁のいずれにも接していない場合には、距離の短い方向の補間を先に実行する。距離の短い方向の補間を先に実施するのは、距離が短いほど補間精度が良いと考えられるからである。なお、距離の判定は長方形のサイズSx、Syを用い、Sx≦Sy(=正方形又は縦長の長方形)であれば横方向(x方向)から補間を行い、Sx>Sy(横長の長方形)であれば縦方向(y方向)から補間を行う。
(4)無効領域20がラスターデータの四隅(「左縁かつ上縁」、「右縁かつ上縁」、「左縁かつ下縁」、「右縁かつ上縁」)の少なくともいずれかに接している場合には、(3)と同様に、距離の短い方向の補間を先に実行する。
【0042】
横方向(x方向)の補間を先に行う場合、ラスターデータ補間部15は無効領域20の横方向の各ラインについて(S34)から(S36)を行い、全てのラインについて補間を行う。図24は、横方向の補間処理の説明図である。
(S34)
ラスターデータ補間部15は、選択されたラインについて、無効領域20のx軸方向の最大値(Xmax)と最小値(Xmin)とを取得して、中心座標(Xc)を計算する。つまり、ラスターデータ補間部15は、Xc=(Xmax−Xmin)/2を計算する。
【0043】
(S35)
ラスターデータ補間部15は、選択されたラインについて、無効値「1」の近傍の有効値「0」又は補間値「2」を数個サンプルとして取得する。そして、ラスターデータ補間部15は、取得したサンプルに基づき、各ライン上の無効領域20の標高情報を計算する。なお、取得するサンプル数は、数2に示す多項式の係数より多くなければならない。
【数2】

数2において、Hは標高情報、xはラスターデータの横方向の画素番号である。また、x’=x−xcである。aij(i=0〜4,j=0)は未定係数であり、最小二乗法により決定される。数2では、i=0〜4、j=0としたため、未知係数が5個あるので、取得するサンプル数は5個以上必要である。
ラスターデータ補間部15は、補間処理(1)の場合と同様に、サンプルに重み付けを行い最小二乗法により未定係数aij(i=0〜4,j=0)を計算して標高情報を求める。
【0044】
(S36)
ラスターデータ補間部15は、選択されたラインの無効領域20の標高情報を、(S35)で計算した標高情報で更新することにより補間する。なお、ラスターデータ補間部15は、補間処理(1)の場合と同様の処理により、無効領域20とその周辺の領域との標高情報をなじませる。
【0045】
次に、縦方向(y方向)の補間を行う。ラスターデータ補間部15は無効領域20の縦方向の各ラインについて(S37)から(S39)を行い、全てのラインについて補間を行う。図25は、縦方向の補間処理の説明図である。なお、原則として、縦方向の補間処理は、横方向の補間処理と同じである。つまり、ラスターデータ補間部15は、各ラインについて、無効領域20の中心座標(Yc)を計算する(S37)。ラスターデータ補間部15は、各ラインについて、無効値「1」の近傍の有効値「0」又は補間値「2」を数個サンプルとして取得して、各ライン上の無効領域20の標高情報を計算する(S38)。そして、ラスターデータ補間部15は、無効領域20とその周辺の領域との標高情報をなじませ、各ラインの無効領域20を補間する(S39)。
なお、縦方向の補間処理においては、横方向の補間処理において既に無効領域20の標高情報が計算されている。そのため、(S35)では、無効領域20内部の標高情報をサンプルとして取得してもよい。無効領域20内部の標高情報をサンプルとして取得した場合には、有効値「0」と補間値「2」とから取得したサンプルに対して、重み付けにより計算における影響に差を付けてもよい。例えば、有効値「0」から取得した標高情報の重みを「10」、補間値「2」から取得した標高情報の重みを「3」、無効領域20内部の標高情報の重みを「1」としてもよい。
【0046】
一方、縦方向(y方向)の補間を先に行う場合、ラスターデータ補間部15は無効領域20の縦方向の各ラインについて(S40)から(S42)を行い、全てのラインについて補間を行う。なお、(S40)から(S42)の処理は、原則として(S37)から(S39)の処理と同じである。但し、無効領域20の標高情報は計算されていないため、無効領域20の標高情報をサンプルとして取得することはない。
次に、横方向(x方向)の補間を行う。ラスターデータ補間部15は無効領域20の横方向の各ラインについて(S43)から(S45)を行い、全てのラインについて補間を行う。なお、(S43)から(S45)の処理は、原則として(S34)から(S36)の処理と同じである。但し、無効領域20の標高情報は既に計算されているため、無効領域20内部の標高情報をサンプルとして取得してもよい。
【0047】
なお、再び(S32)へ戻り、横方向と縦方向との2段階の補間を所定の回数繰り返してもよい。
【0048】
また、上記説明では、横方向の補間は、横方向のライン毎に行うとした。しかし、これに限らず、横方向の補間は、横方向の数ライン毎に行ってもよい。例えば、横方向の3ライン(縦方向に3画素分のデータ)毎に行ってもよい。この場合、3ラインのうち、1ライン(例えば、中心のライン)のデータに基づき標高情報を計算してもよい。このようにすることで、計算量を1/3に減らすことができる。つまり、横方向の補間は、無効領域20を横方向に複数の領域に分割して、分割した領域毎に補間を行ってもよい。縦方向の補間についても同様である。つまり、縦方向の補間は、縦方向の数ライン毎に行ってもよい。
【0049】
標高情報補間装置10は、以上のように入力されたラスターデータの無効領域20部分について標高情報を補間することにより、適切な欠落のないラスターデータを生成することができる。特に、標高情報補間装置10は、ラスターデータを一旦等高線データに変換して欠落部分を補間した上で、ラスターデータに戻して補間を行っているため、等高線データとしても不自然でないラスターデータを生成することができる。
【0050】
次に、標高情報補間装置10のハードウェア構成について説明する。
図26は、標高情報補間装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図26に示すように、標高情報補間装置10は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902(K/B)、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920(固定ディスク装置)の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。磁気ディスク装置920は、所定の固定ディスクインタフェースを介して接続される。
【0051】
ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913とRAM914と磁気ディスク装置920とは、記憶装置(メモリ)の一例である。また、キーボード902、通信ボード915は、入力装置の一例である。また、通信ボード915は、通信装置(ネットワークインタフェース)の一例である。さらに、LCD901は、表示装置の一例である。
【0052】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0053】
プログラム群923には、上記の説明において「ラスターデータ入力部11」、「等高線データ生成部12」、「等高線補間部13」、「ラスターデータ生成部14」、「ラスターデータ補間部15」等として説明した機能を実行するソフトウェアやプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「ラスターデータ」、「等高線データ」、「第1補間データ」、「第2補間データ」等の情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース」の各項目として記憶される。「ファイル」や「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0054】
また、上記の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、その他光ディスク等の記録媒体やICチップに記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体や電波によりオンライン伝送される。
また、上記の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜装置」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。さらに、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、上記で述べた「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、上記で述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【符号の説明】
【0055】
10 標高情報補間装置、11 ラスターデータ入力部、12 等高線データ生成部、13 等高線補間部、14 ラスターデータ生成部、15 ラスターデータ補間部、20 無効領域、21 有効領域、22 補間領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置により、所定の領域の標高情報を示すラスターデータであって、前記所定の領域の一部の領域の標高情報が欠落した欠落領域を有するラスターデータを入力するラスターデータ入力部と、
処理装置により、前記ラスターデータ入力部が入力したラスターデータを変換して等高線を示す等高線データを生成する等高線データ生成部と、
処理装置により、前記等高線データ生成部が生成した等高線データが示す等高線のうち、前記欠落領域の等高線を所定の方法により補間する等高線補間部と、
処理装置により、前記等高線補間部が補間した等高線データを変換して標高情報を示すラスターデータを生成するラスターデータ生成部と、
処理装置により、前記ラスターデータ生成部が生成したラスターデータのうち、前記欠落領域のラスターデータが示す標高情報を、前記等高線補間部が補間した前記欠落領域の標高情報と、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報とを用いて補間するラスターデータ補間部と
を備えることを特徴とする標高情報補間装置。
【請求項2】
前記ラスターデータ補間部は、前記等高線補間部により補間された前記欠落領域の標高情報に所定の重みを付けるとともに、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報に前記所定の重みよりも重い重みを付けた重み付けデータに基づき、前記欠落領域の標高情報の補間データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の標高情報補間装置。
【請求項3】
前記ラスターデータ補間部は、前記欠落領域を第1の方向に複数の領域に分割して、分割した領域毎に第1補間データを生成し、生成した第1補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の標高情報補間装置。
【請求項4】
前記ラスターデータ補間部は、前記欠落領域を前記第1の方向とは異なる第2の方向に複数の領域に分割して、前記欠落領域の標高情報として前記第1補間データを用いて前記第2の方向に分割した領域毎に第2補間データを生成し、生成した第2補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の標高情報補間装置。
【請求項5】
前記ラスターデータ補間部は、前記重み付けデータに基づき、所定の方法により3次元曲面を表す式の係数を計算して、計算した係数により表された前記3次元曲面を前記欠落領域の補間データとして生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の標高情報補間装置。
【請求項6】
前記ラスターデータ補間部は、前記欠落領域の大きさと前記欠落領域の形状と前記ラスターデータにおける前記欠落領域の位置との少なくともいずれかに応じて、異なる方法により前記補間データを生成する
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の標高情報補間装置。
【請求項7】
所定の領域の標高情報を示すラスターデータであって、前記所定の領域の一部の領域の標高情報が欠落した欠落領域を有するラスターデータを入力するラスターデータ入力処理と、
前記ラスターデータ入力処理で入力したラスターデータを変換して等高線を示す等高線データを生成する等高線データ生成処理と、
前記等高線データ生成処理で生成した等高線データが示す等高線のうち、前記欠落領域の等高線を所定の方法により補間する等高線補間処理と、
前記等高線補間処理で補間した等高線データを変換して標高情報を示すラスターデータを生成するラスターデータ生成処理と、
前記ラスターデータ生成処理で生成したラスターデータのうち、前記欠落領域のラスターデータが示す標高情報を、前記等高線補間処理で補間された前記欠落領域の標高情報と、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報とを用いて補間するラスターデータ補間処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする標高情報補間プログラム。
【請求項8】
前記ラスターデータ補間処理では、前記等高線補間処理により補間された前記欠落領域の標高情報に所定の重みを付けるとともに、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報に前記所定の重みよりも重い重みを付けた重み付けデータに基づき、前記欠落領域の標高情報の補間データを生成する
ことを特徴とする請求項7に記載の標高情報補間プログラム。
【請求項9】
前記ラスターデータ補間処理では、前記欠落領域を第1の方向に複数の領域に分割して、分割した領域毎に第1補間データを生成し、生成した第1補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする請求項8に記載の標高情報補間プログラム標高情報補間プログラム。
【請求項10】
前記ラスターデータ補間処理では、前記欠落領域を前記第1の方向とは異なる第2の方向に複数の領域に分割して、前記欠落領域の標高情報として前記第1補間データを用いて前記第2の方向に分割した領域毎に第2補間データを生成し、生成した第2補間データから前記欠落領域の補間データを生成する
ことを特徴とする請求項9に記載の標高情報補間プログラム。
【請求項11】
前記ラスターデータ補間処理では、前記重み付けデータに基づき、所定の方法により3次元曲面を表す式の係数を計算して、計算した係数により表された前記3次元曲面を前記欠落領域の補間データとして生成する
ことを特徴とする請求項8に記載の標高情報補間プログラム。
【請求項12】
前記ラスターデータ補間処理では、前記欠落領域の大きさと前記欠落領域の形状と前記ラスターデータにおける前記欠落領域の位置との少なくともいずれかに応じて、異なる方法により前記補間データを生成する
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の標高情報補間プログラム。
【請求項13】
入力装置が、所定の領域の標高情報を示すラスターデータであって、前記所定の領域の一部の領域の標高情報が欠落した欠落領域を有するラスターデータを入力するラスターデータ入力ステップと、
処理装置が、前記ラスターデータ入力ステップで入力したラスターデータを変換して等高線を示す等高線データを生成する等高線データ生成ステップと、
処理装置により、前記等高線データ生成ステップで生成した等高線データが示す等高線のうち、前記欠落領域の等高線を所定の方法により補間する等高線補間ステップと、
処理装置が、前記等高線補間ステップで補間した等高線データを変換して標高情報を示すラスターデータを生成するラスターデータ生成ステップと、
処理装置が、前記ラスターデータ生成ステップで生成したラスターデータのうち、前記欠落領域のラスターデータが示す標高情報を、前記等高線補間ステップで補間された前記欠落領域の標高情報と、前記欠落領域の近傍の領域の標高情報とを用いて補間するラスターデータ補間ステップと
を備えることを特徴とする標高情報補間方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図16】
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