説明

模擬竹の節部印刷方法およびその装置

【課題】 印刷機が走行する螺旋状のレールや、印刷機の自走機構を無くすことにより、構造がより簡単で、設置費が高価なものにならず、しかも模擬竹の連続成形を停止することなく、製品の歩留りや生産性の低下をおこさないようにした模擬竹の節部印刷方法およびその装置を提供する。
【解決手段】 模擬竹の節部印刷方法は、連続成形されて押し出される模擬竹Wの節部の位置を検出する工程、模擬竹Wに印刷機3を掴まらせる工程、印刷機3で模擬竹Wの節部に色や模様を印刷する工程、模擬竹Wから印刷機3を降ろす工程、印刷機3を元の位置に戻す工程、の各工程を備えたものとした。そして、その装置は、連続成形される模擬竹Wの節部の位置を検出するセンサー5、模擬竹Wの節部に色や模様を印刷する印刷機3、模擬竹Wに印刷機3を掴まらせるための掴持機構6、印刷機3を元の位置に戻すための戻し機構7を装置本体1に設けたものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、模擬竹の外観をより天然竹に近付けるため、その模擬竹の節部に色や模様を施すための模擬竹の節部印刷方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、模擬竹の製造方法としては、押出金型より押し出された溶融樹脂を規制して冷却すべく天然竹の外周形状が刻設された複数個の成形金型が樹脂と共に引き取り方向に移動し、前記樹脂が固化した後に前記成形金型は開放され、開放された成形金型は再度溶融樹脂を規制すべく回帰してくるようにしたものが存在する。
【0003】
そして、模擬竹の製造装置としては、図4に示したように、押出金型31より押し出された溶融樹脂を規制して冷却すべく天然竹の外周形状が刻設された複数個の成形金型32を具備し、前記成形金型32は樹脂と共に引き取り方向に移動し、前記樹脂が固化した後に前記成形金型32は開放され、開放された成形金型32は再度溶融樹脂を規制すべく回帰してくるようにしたものが存在する。
【0004】
このように構成した従来の模擬竹の製造方法および製造装置では、天然竹の外周形状が刻設された成形金型によって模擬竹の形状を付与することができるので、従来よりも天然の竹に近い形状の模擬竹を提供することができるという効果を有するものとしている(特許文献1)。
【0005】
また、模擬竹の外観をより天然竹に近付けるため、その模擬竹の節部に色や模様を印刷する技術も知られている。
【0006】
このような模擬竹の節部印刷方法としては、図5に示したように、連続成形される擬竹材41の進行方向に、この擬竹材41を中心とする螺旋状の軌跡を描いて走行可能な印刷機43を備え、この印刷機43を擬竹材41表面に形成された節部42と同期するように走行させることにより、前記印刷機43を擬竹材41が一定距離進行する間に節部42を全周させ、節部42に印刷を施すようにしたものが存在する。
【0007】
そして、このような模擬竹の節部印刷装置としては、図6に示したように、擬竹材41の連続成形中に各節部42に印刷を施すようにしており、擬竹材41を中心とする螺旋状のレール44を設けると共に、このレール44上を擬竹材41表面に形成された節部42に同期して走行可能な印刷機43を設けてなり、前記印刷機43は擬竹材41が一定距離進行する間に節部42を全周して節部42に印刷を施すようにしたものが存在する。
【0008】
このように構成した従来の模擬竹の節部印刷方法および節部印刷装置では、擬竹材41の進行を停止することなく、節部42に対する印刷が可能であるため、擬竹材41の間歇停止機構の複雑性や、転写タイミングなどのずれによる工程上の不都合が全て解消され、製品の歩留り並びに生産性の著しい向上が得られるなどの、顕著な効果を有するとしている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−67126号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】特開平11−188839号公報(第2頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記従来の模擬竹の節部印刷方法およびその装置においては、擬竹材41を中心とする螺旋状の軌跡を描いて走行可能な印刷機43を備えたり、擬竹材41を中心とする螺旋状のレール44を設けると共に、このレール44上を擬竹材41表面に形成された節部42に同期して走行可能な印刷機43を設けている。そのため、螺旋状の軌跡、すなわちレール44には、印刷機43の走行に耐えるための強度性や耐久性が要求されるので、レール44の設置が困難なものとなったり、その設置費が高価なものになるという問題点を有していた。さらに、前記レール44を走行するための自走機構を印刷機43に取り付けるなどの必要性があるので、印刷機43の構造が複雑、高価なものとなると共に、その自走機構により印刷機43の重量が増加するため、レール44には益々、強度性や耐久性が要求され、レール44の設置がより困難で、高価なものになるという問題点を有していた。
【0010】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、印刷機が走行する螺旋状のレールや、印刷機の自走機構を無くすことにより、構造がより簡単で、設置費が高価なものにならないようにし、しかも模擬竹の連続成形を停止することなく、製品の歩留りや生産性の低下をおこさないようにした模擬竹の節部印刷方法およびその装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのため、この発明の模擬竹の節部印刷方法は、連続成形されて押し出される模擬竹Wの節部の位置を検出する工程、前記模擬竹Wに印刷機3を掴まらせる工程、前記印刷機3で模擬竹Wの節部に色や模様を印刷する工程、前記模擬竹Wから印刷機3を降ろす工程、前記印刷機3を元の位置に戻す工程、の各工程を備えたものとしている。
【0012】
そして、この発明の模擬竹の節部印刷装置は、連続成形される模擬竹Wの節部の位置を検出するセンサー5、前記模擬竹Wの節部に色や模様を印刷する印刷機3、前記模擬竹Wに印刷機3を掴まらせるための掴持機構6、前記印刷機3を元の位置に戻すための戻し機構7を装置本体1に設けたものとしている。
【0013】
さらに、この発明の模擬竹の節部印刷装置は、供給コンベア4を装置本体1の前方に設置したものとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明の模擬竹の節部印刷方法およびその装置は、以上に述べたように構成されているので、印刷機が走行する螺旋状のレールや、印刷機の自走機構を無くしたので、構造がより簡単で、設置費が高価なものにならず、しかも模擬竹の連続成形を停止することがないので、製品の歩留りや生産性の低下をおこさないようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の模擬竹の節部印刷方法およびその装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1〜3は、この発明の模擬竹の節部印刷方法を実施するための印刷装置を示しており、1は装置本体であり、この装置本体1の基台2には、模擬竹Wの節部(図示せず)へ色や模様を印刷する印刷機3が前後に2台、並べて設置されている。押出し成形機(図示せず)から連続成形されて押し出される模擬竹Wは、装置本体1の前方に設置された供給コンベア4によって、矢印A方向に送られ装置本体1の基台2上を通過していく。前記印刷機3の前方には、模擬竹Wの節部の位置を検出するセンサー5が設けられている。すなわち、前記一台目の印刷機3の前方には、模擬竹Wの節部の1番目、3番目、5番目…というように奇数番目の位置を検出する第一センサー5aが設けられ、二台目の印刷機3の前方には、模擬竹Wの節部の2番目、4番目、6番目…というように偶数番目の位置を検出する第二センサー5bが設けられている。そして、印刷機3には、前記模擬竹Wに掴まるための掴持機構6を設けたものとしている。さらに、装置本体1の基台2には、前記印刷機3を元の位置に戻すための戻し機構7を設けたものとしている。図示した実施の形態では、前記印刷機3は2台、設置したものとしたが、模擬竹Wの成形速度が遅い場合には印刷機3は一台でよく、また成形速度が早い場合には印刷機3を三台以上設置してもよく、印刷機3の台数は、模擬竹Wの成形速度に応じて決められる。なお、前記センサー5も、前記印刷機3の台数に応じた台数が設けられる。
【0017】
したがって、この発明の模擬竹の節部印刷方法では、前記連続成形されて押し出される模擬竹Wの節部の位置をセンサー5で検出する工程、前記模擬竹Wに印刷機3を掴持機構6で掴まらせる工程、前記印刷機3で模擬竹Wの節部に色や模様を印刷する工程、前記掴持機構6を解除することにより、模擬竹Wから印刷機3を降ろす工程、前記戻し機構7により印刷機3を元の位置に戻す工程、の各工程を備えたものとしている。
【0018】
前記印刷機3は、図2に示したように、装置本体1の基台2上をリニアウエー11に沿って模擬竹Wの押し出し方向にスライド移動自在とした基礎ベース12に、オフセットロール機構13とグラビラロール機構14が横に並べて設置されたものとしている。オフセットロール機構13は、模擬竹Wの連通口(図示せず)を有し、基礎ベース12に下端部を軸支して回動自在とした主可動ベース15と、模擬竹Wの連通口16を有し、主可動ベース15に駆動モーター17によって回転可能に取り付けられた主プーリー18と、前記連通口から押し出される模擬竹Wの円周面に接触するよう回動可能に主プーリー18に軸支されたオフセットロール19からなる。グラビラロール機構14は、基礎ベース12に立設した取付けベース20の上部に設置されたグラビラロール21と、この取付けベース20の下部に設置され、このグラビラロール21に印刷インクを転移するインクロール22を備えたインク貯留槽23からなる。前記オフセットロール19に印刷インクを転移するには、オフセットロール機構13の主可動ベース15が、基礎ベース12に軸支された下端部を中心として、前記基礎ベース12に設置されたシリンダー機構24により、グラビラロール機構14側に回動して、オフセットロール19をグラビラロール21に接触させることによりおこなわれる。
【0019】
なお、基礎ベース12は、掴持機構6により模擬竹Wに掴まって、この模擬竹Wとともに前進移動するが、元の位置に戻されるときには、戻し機構7によりリニアウエー11に沿って、元の位置に戻されるようにしている。
【0020】
前記掴持機構6は、図1に示すように、印刷機3の前後に位置し、基礎ベース12に設置されたシリンダー機構25により作動して、模擬竹Wに掴まったり、模擬竹Wとの掴まりを解除するようにしたクランパー26としている。
【0021】
前記戻し機構7は、基台2のリニアウエー11に敷設されたリニアウエーレール27に、基礎ベース12の下面に取り付けられたリニアウエー駒28が摺動自在として配置され、この基礎ベース12に設置した印刷機3を基台2に設置された戻しシリンダー29によって、元の位置に戻すようにしている。
【0022】
また、前記供給コンベア4は、ベルトコンベアーなどとしており、押出し成形機から連続成形されて押し出される模擬竹Wの位置決めをし、この模擬竹Wが装置本体1の基台2上に安定した状態で送られるようにしている。
【0023】
次に、この発明の模擬竹の節部印刷装置の作動状態を、図に示した実施の形態に基づいて説明する。
【0024】
先ず、押出し成形機(図示せず)から連続成形されて押し出される模擬竹Wは、装置本体1の前方に設置された供給コンベア4によって、矢印A方向に送られ装置本体1の基台2上を連続して送られていく。そこで、この模擬竹Wの節部に色や模様を印刷するため、その一番目の節部の位置を第一センサー5aによって検出する。検出された位置から一台目の印刷機3の印刷位置、すなわちその印刷機3のオフセットロール19の位置までの距離を設定し、印刷位置に模擬竹Wの節部がきた時点で、印刷機3の前後に設けた掴持機構6のクランパー25が模擬竹Wを掴む。すると、この模擬竹Wに印刷機3が掴まって、模擬竹Wとともに送られていく。
【0025】
前記印刷機3が模擬竹Wに掴まると、オフセットロール19が模擬竹Wの節部に移動し、この節部を一回転して節部に色や模様を印刷して停止する。そして、このオフセットロール19は節部から離れ、印刷インクの転移を受けるためグラビラロール21側に移動し、クランパー25を解除して模擬竹Wから離れ、印刷機3は戻し機構7により元の位置に戻される。この印刷機3が元の位置に戻される間に、グラビラロール21が一回転し、オフセットロール19に印刷インクを転移する。
【0026】
前記印刷機3が元の位置に戻った時点では、2番目の節部はすでにこの一番目の印刷機3を通過しているため、3番目の節部の位置を第一センサー5によって検出し、前記したのと同様の操作をしてこの3番目の節部に色や模様を印刷する。さらに、同様の操作をして、5番目、7番目…というように奇数番目の節部に色や模様を印刷する。
【0027】
一方、前記模擬竹Wの2番目の節部の位置は、第二センサー5bによって検出する。検出された位置から二台目の印刷機3の印刷位置、すなわちその印刷機3のオフセットロール19の位置までの距離を設定し、印刷位置に模擬竹Wの節部がきた時点で、印刷機3の前後に設けた掴持機構6のクランプが模擬竹Wを掴む。すると、この模擬竹Wに印刷機3が掴まって、模擬竹Wとともに送られていく。
【0028】
そして、この二台目の印刷機3においても、前記一台目の印刷機3と同様の操作をして、2番目の節部に色や模様を印刷する。さらに、同様の操作をして、4番目、6番目…というように偶数番目の節部に色や模様を印刷する。
【0029】
なお、この発明の模擬竹の節部印刷装置では、センサー5によって、模擬竹Wの節部の位置をすべて検出して、その節部に色や模様を印刷しているため、節部の位置が一定間隔ではなく、不揃いであっても支障はなく、その節部の位置に色や模様が正確に印刷されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の模擬竹の節部印刷装置の一実施形態を示す全体側面図である。
【図2】この発明の模擬竹の節部印刷装置の印刷機の正面図である。
【図3】この発明の模擬竹の節部印刷装置の印刷機のグラビアロール機構の側面図である。
【図4】従来の模擬竹の製造装置の一例を示す説明図である。
【図5】従来の模擬竹の節部印刷方法を概念的に示す斜視図である。
【図6】従来の模擬竹の節部印刷装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 装置本体
3 印刷機
4 供給コンベア
5 センサー
6 掴持機構
7 戻し機構
W 模擬竹

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続成形されて押し出される模擬竹(W)の節部の位置を検出する工程、前記模擬竹(W)に印刷機(3)を掴まらせる工程、前記印刷機(3)で模擬竹Wの節部に色や模様を印刷する工程、前記模擬竹(W)から印刷機(3)を降ろす工程、前記印刷機(3)を元の位置に戻す工程、の各工程を備えたことを特徴とする模擬竹の節部印刷方法。
【請求項2】
連続成形される模擬竹(W)の節部の位置を検出するセンサー(5)、前記模擬竹(W)の節部に色や模様を印刷する印刷機(3)、前記模擬竹(W)に印刷機(3)を掴まらせるための掴持機構(6)、前記印刷機(3)を元の位置に戻すための戻し機構(7)を装置本体(1)に設けたことを特徴とする模擬竹の節部印刷装置。
【請求項3】
供給コンベア(4)を装置本体(1)の前方に設置したことを特徴とする請求項2記載の模擬竹の節部印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−69089(P2006−69089A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256598(P2004−256598)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(399033201)三倉機販株式会社 (3)
【Fターム(参考)】