説明

横三方向変位型色消し光学干渉計

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ビームの波面を分析するための方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】このタイプの分析装置は、光学素子のチェックを可能とし、光学装置の検査を可能とする。また、この装置により、例えば、風トンネルの空気流中や地球の大気中を通過するときに発生する乱流による屈折率変化のような、直接には測定不可能な物理学現象の研究が可能となる。
【0003】1981年発行のジェー・シー・ヤンによる「応用光学のための位相測定」("Pase measurements systems for adaptative optics", J.C. WYANT, AGARD Conf. Proc., No. 300, 1981) に記載されているように、いわゆる「ハルトマン−シャック」分析装置が知られている。一般的な作動原理は、マイクロレンズからなる格子と分析すべき位相欠陥とを、光学的に共役とすることから成っている。マイクロレンズの共通の焦点面において、スポット状の格子から成り波面の傾きにより変形された干渉図形(interferogram) が観察される。
【0004】このタイプの波面分析装置は、位相差欠陥の検出作用が波長に依存しない限り、多色光において機能するという利点を有している。光出力は非常に良好であるが、他方で感度及び強弱(dynamics)は、マイクロレンズの格子を変えることによってのみ調整可能である。
【0005】欧州特許出願公開第538126号明細書(EP-A-0538126)には、横三方向変位(trilateral shift)型干渉計が記載されている。反射鏡を基本とする装置を介して、分析すべきビームは、欠陥の共役面において3つのサブビームに光学的に分割される。このようにして得られた3つのサブビームに特別な光学的処理を施すことにより、波面の傾きに影響を受ける干渉図形であって強弱及び感度が連続的に調整可能なものを観測することが可能となる。また、その測定自体により測定誤差を除去することも可能である。最後に、得られた干渉縞の体系は、解析が容易であり、特にフーリエ変換を基にした技術による分析に適している。他方、この装置は単色光でのみ機能し、その光出力は、ハルトマン−シャック分析装置ほどには高くはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】欧州特許出願公開第538126号明細書記載の横三方向変位型干渉計における調整の柔軟性とハルトマン−シャック分析装置の光出力の両方を合わせ持つ干渉計が、特に望まれるように成ってきた。
【0007】本発明の目的は、この方向に沿って改良されたものを提供することである。
【0008】本発明は、方法及び装置の両方に関するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、a) 2次元状の配列を有する回折格子は、問題となっている波面の分析平面と光学的に共役でありかつ分析すべき光ビームと直交する平面に配置され、その結果、ビームは、異なる回折次数に従って異なるサブビームに回折され、また、b) サブビームの干渉により形成される像は平面内に形成されて観測され、像の変形度は分析すべき波面の傾きに関連しているタイプのものである。
【0010】上述したことは、ハルトマン−シャック型分析装置における機能の解釈から生じる。この分析装置における、従来の説明と対応しないこの解釈は、「ハルトマンテーマにおける変形」という出版物("Variations on a Hartman theme", F. RODDIER, SPIE, TUXON, 1990)にその概略が述べられている。
【0011】本発明の一つは、以下の工程b)から成っている。
【0012】b1) 格子面から発生するサブビームをいわゆる「中間」(intermediate)焦点面に結合しフォーカシングすること、b2) この焦点面の近辺において、少なくとも3つの別個の回折次数を選択するのに適したマスクにより、サブビームをフィルタリングすること、b3) 格子面と共役をなすいわゆる「零感度」(nil-sensitivity) 平面に、選択されたサブビームを導くために、当該ビームを光学的にピックアップすること、及び、b4) 零感度平面から所定の距離に位置する作業平面において、干渉像を観察すること。
【0013】本発明においては、多色光による操作が可能である。作業平面と零感度平面との距離を調整することにより、装置の感度及び強弱は連続的に調節される。
【0014】3つの選定されたサブビームは、似かよった強度を有しており、かつ、中間焦点面との交点(impact)であって直線上に並んでいない交点、好ましくは正三角形の頂点に位置する交点、を有することが好ましい。
【0015】本発明において、六角形や長方形の配列を有する回折格子が使用される。それらは、各々、中間焦点面において逆(reciprocal)の規則的な六角形や長方形配列を成す。この逆配列は、ここでは異なる回折次数というものに基づいている。逆配列の六角形の頂点の内の3つに位置し正三角形を成す、接近した強度を有する3つの回折次数を得ることができるように、回折格子の基本的な配列パターンは形成されている。
【0016】焦点面に配置されフィルター作用をするマスクは、透明タイプでも、反射タイプでも、或はこれら2つのタイプの組合わせでもよい。
【0017】本発明は、また、特に好ましくは、新規な回折格子を提供するものである。
【0018】本発明は、また、上記方法を実施することのできる装置をも含む。そのような装置は、以下のものを含むタイプの装置である。
【0019】○ 波面が分析される平面と参照面とを共役にする入射レンズ、○ ビームと直交するこの参照面に配置され、異なる回折次数により異なるサブビームにビームを回折する、二次元配列の格子、○ サブビームの干渉により形成され、変形度が分析される波面の傾きに関連している像を、光学的に処理し観察する手段。
【0020】本発明に係る、光学的に処理し観察する手段は、以下のものから成る。
【0021】○ 格子平面から射出されるサブビームをいわゆる中間焦点面にフォーカシングする第1のレンズ、○ この焦点面若しくはその近傍に配置され、サブビームの中から少なくとも3つの別個の回折次数を有するものを選択するのに適したマスク、○ 格子平面と共役をなすいわゆる零感度平面に、選択されたサブビームを導く第2のレンズ、○ 零感度平面から所定の距離に位置した作業平面において干渉縞を観察する手段。
【0022】本発明の装置は、もちろん、本発明の方法を実施するために考えられた上記配列に限定されない。
【0023】
【実施例】本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付図面を考察することから明かとなるであろう。
【0024】添付図面は、本質的な特徴を示すものである。したがって、それらは、説明に不可欠な部分を構成しており、格子をより良く理解するために役立つばかりではなく、本発明を規定するのにかなり寄与する。
【0025】図1(a)において、光源SはコリメータレンズO1 の焦点に位置している。欧州特許出願公開第538126号明細書記載の従来例とは異なり、光源Sは単色であることを要しない。
【0026】平面PD に設置され、平行平面LAを有する細長片として描かれておりかつ平面に関して欠陥D1 を有する被検試料に、レンズO1 から出射する平行ビームは、入射する。もちろん、試料は、他の如何なる光学系(レンズや反射鏡、特に望遠用反射鏡)でもよく、あるいは、例えば、流れている状態の気体又は液体の単なる領域であってもよい。
【0027】続いて、例えば、2つのレンズO2 及びO4 から成り、中間位置に視野レンズO3 を有する無焦点光学系が好ましくは使用される。この無焦点光学系の機能は、平面PC に、平面PD の像を形成することである。これら2つの平面の光学的共役を形成する手段であれば他のものでもよい。
【0028】平面PD とPC の間でビーム径のマッチングが図られるようにすべきである。装置の次の部分は、透視的な図1(b)において、より詳細に示されている。平面PC には、以下に説明する格子GRが配置されている。
【0029】装置は、続いて、レンズL1 及びL2 から成り、好ましくは、レンズL1 の焦点面PF の近傍に設置された視野レンズLC を有する、無焦点光学系から構成されている。この焦点面PF の近傍に、好ましくは、この焦点面PF 内に、同様に以下に説明するマスクが配置されている。
【0030】この無焦点光学系は、平面PC に共役であり零感度平面として知られている、平面PO を作り出す。本発明によれば、干渉像は、平面PO から所定の距離dに位置する平面Pa で観察される。
【0031】図2の(a)乃至(f)は、二次元格子(GR)とその構成形態を示している。平面配列(MP)は二次元に配列された規則的な点の組から成っている(図2(a))。これらの点により、配列素子(ME)が規定される(図2(b))。配列素子は、配列平面をその2方向に隙間なく覆うこと(PNL)のできる最小表面領域である(図2(c))。配列素子の周囲は、任意の点から一番近い点までを結ぶ線分の垂直二等分線によって各辺が形成される六角形の最小表面領域を形成する(図2(b))。
【0032】格子GRは、二次元格子である。二次元格子(GR)は、しばしば望まれるように、平面配列(MP、図2(e))として配置された基本的パターン(MO、図2(d))の(理論上、無限の)繰返しから成る。基本的パターンは、格子による回折次数の強度分布を決定する。平面配列は、六角形、長方形あるいは正方形の配列素子であってもよい。配列それ自体は、最終的な格子GRにおいて目に見えるものではない(図2(f))。
【0033】いま考慮している格子の配列を、逆配列と称する回折次数の配列に、変換(図3のT.F.)により変化させる。配列素子は、平面PF における回折次数を意味する逆配列を決定する。物理的には、この変換は、次のように解釈することができる。すなわち、格子GRを通過した後、中間焦点面PF において、入射する光波の複素強度から(二次元)空間フーリエ変換が得られるのである。
【0034】図3(a)は、二軸A及びBから平面配列MPが如何にして形成されるかを示している。これらの軸は、必ずしも互いに直交している必要はない。配列素子は、A軸方向に周期aで、B軸方向に周期bで繰返されている。
【0035】逆配列MRへと変化させるために、軸A’がAに垂直に形成され、軸B’がBに垂直に形成される。軸A’及びB’に各々付随して、2つの基準ベクトル2π/a及び2π/bが考えられる。
【0036】逆配列点は、次のように定義されるベクトルGによって、この平面内に配置されている。
【0037】G=A’・m + B’・nここで、m及びnは任意の正又は負の整数である。
【0038】本発明を実施するための興味深い条件は、採用する配列が、平面PF において正三角形の頂点に位置する3つの回折次数を意味する逆配列を与えることである。このことは、格子GR1に対するOD1として図3R>3(b)に、格子GR2に対するOD2として図3(c)に示されている。
【0039】続いて、焦点面PF又はその近傍に、直線上に並んでいない、好ましくは似かよった強度であってかつ可能ならば最大の強度を有する、3つの必要な回折次数を選択するのに適したマスクMが設置される。
【0040】例えば、特別な格子を製造することの困難性や光出力を理由として、3以上の多数の回折次数を使用することが考えられる。しかしながら、このことは、干渉図形分析の単純性及び感度調整の容易性に対して不利に作用する。
【0041】図4の(a)乃至(c)は、図1(a)に示される装置における本発明の作動原理を示している。
【0042】図4(a)は、六角形配列格子により平面PF において得られる回折次数OD3 を示している。マスクM3 は、正三角形の頂点に位置する3つの回折次数を得ることができるように選ばれた、3つの孔を有するスクリーンである。したがって、図4(b)にODM3 として示された回折次数のみがマスクを通過する。スポットT3 (図4(c))から成る系が分析平面Pa において得られ、その結果、例えば、図1(a)における欠陥Dのような、波面の位相欠陥に関する情報を得ることが可能となる。
【0043】平面Pa において良好なコントラストの干渉縞を得るためには、マスクによって選択される3つの回折次数の強度はほとんど等しいことが望ましい。
【0044】好ましくは、干渉縞のコントラストが観察平面Pa と零感度平面PO との距離dに実質的に無関係であるような方向に、観測平面Pa を移動すべきである。
【0045】マスクの一例が図5(a)に示されている。ここでマスクM3 は、中心軸M50の回りに均等に分配された円形リングのセクタ形状を成す3つの開口部M51、M52及びM53を有している。M51に示されるように各セクタの中心に、考慮中の光帯域の中心波長に対する回折次数がM510 に示されている。
【0046】中心の次数O50が波長に無関係であるならば、他の回折次数の位置は波長に依存する。したがって、図5(b)には、使用している光波長の帯域の最小値及び最大値であるλm 及びλM に対応した位置が示されている。観測される2つのスポットの極値をなす位置間の距離δαは、波長間の距離δλに比例する。ここでδλ=λM −λm である。
【0047】スペクトル領域の幅が増大するにしたがって、中間焦点面PF における回折次数は拡がる。透過光路中に使用されるマスクの表面領域は、波長間の距離と共に増大する。換言すれば、分析に使用されるスペクトル領域の幅を決定するのは、マスクの高さである。
【0048】図6には、セクタM51、M52及びM53間に、各々、M61、M62及びM63の反射セクタが挿入配置されている。中心M50は吸収材である。
【0049】このようなマスクは、図7に示されるような装置に使用される。この変形例においては、視野レンズLC が存在しない。レンズL2 は、セクタM51乃至M53により通過する回折次数をコリメートする。その垂直方向には、他のレンズL’2がセクタM61乃至M63により反射された回折次数をコリメートする。この装置において視野レンズLC を設けることが不可能なこと又は困難なことは、2つのコリメータレンズL2 及びL’2 を適当に選択することにより補償することができる。このとき、装置は2つの分析平面PA1 及びPA2 を有し、それらは、各々の零感度平面PO 及びP’O から、異なる距離D1 及びD2 にある場所に選ばれる。このようにして得られた両方の干渉図形は、単一の波面を2つの独立した強弱の尺度に従って分析することが可能となる。
【0050】図7に見られるように、レンズL1 から射出する入射ビームの軸に対してマスクM6 は傾いているという事実を考慮して、図6に示されるセクタの形状が適用される。
【0051】この装置は、中心対称の配列素子を有する、六角形格子のケースに適している。なぜならば、そのときには、ダビデの星のように互いに重なり合った2つの正三角形を形成する、強度の等しい6つの次数が存在し、それ故に、楕円形状に作成されたM6 のようなマスクを使用できる利点が存在するからである。
【0052】図7に示される構成により、単一の波面から2つの干渉図形を同時に記録することが可能となる。
【0053】本発明に使用する二次元格子は、位相格子であってもよく、いわゆる強度格子であってもよい。
【0054】図8は、強度格子のいくつかの例を示している。図8(a)は、正方形をベースとするロンチ(Ronchi)十字型の格子GR8Aを示している。図8(b)は、長方形をベースとしたロンチ十字型の格子GR8Bを示している。図8(c)は、蜂の巣パターンを有する格子GR8Cを示している。これらの図における斜線領域は、透過率0でも素通しでもよい。配列素子の大きさが変化しない限り、この領域の幅は必要に応じて設定してよい。
【0055】格子GR8Cは、正三角形の頂点に位置する3つの次数を選択する上で、より良い対称性を与えている。
【0056】暗い領域と透明な領域の比を変化させることにより、これら格子の光出力を最大限に利用することが可能である。部分的に反射性であり部分的に透明な強度格子を使用することにより、2光路システムを考察することが可能となる。
【0057】変形例として、位相格子、特にマイクロレンズ格子を使用することが可能である。
【0058】しかしながら、本出願人が考える最上の格子は、正三角形の頂点に位置しかつ0次の回りに位置する3つの回折次数の光エネルギーの転換を最大限に利用できる、六角形配列素子を有する位相格子である。
【0059】これらの格子は、分析に使用する波長に対して透明性あるいは反射性を有する材料から作成され、六角形配列素子の中心に位置し各辺が当該配列素子の頂点を区切るように配向した、3回対称性を有する三面体から形成される。三面体が、そのような格子の基本的パターンとなる。
【0060】出力を最大とするためには、基本的パターンの表面領域は、可能ならば、配列素子の表面領域と等しくすべきであり、このことは、図9(a)に示されるような、配列素子の中心に三面体が位置する構成により達成される。このように作成された格子は隙間がなく、三面体の面は同じ大きさの菱形(91、92、93)をしている。
【0061】格子平面に関してこれら菱形の傾きは、正三角形の頂点に位置しかつ0次の回りに位置する3つの回折次数を補強するように計算される。この「機械的な」傾きは、格子を作成する材料の屈折率、配列のピッチ、及び、分析に使用する波長領域の関数として計算される。
【0062】格子平面に関して菱形の最適の傾きは僅かであるので、そのような格子の作成は、精密な作業となる。
【0063】このタイプの格子を作成するために特に有利な手段は、本出願人によるフランス国特許第2665955号明細書(FR-A-2,665,955)に記載されている。それは、近い屈折率を有する合成樹脂を接合することにより行われ、それにより、(要求される同じ性能に対して)機械的な傾きを増大させることができる。
【0064】この新規な格子を使用して本出願人によりなされた最初の作業により、図1(a)に示される装置において、約50%の光出力を単色光により得ることが可能であることが示された。
【0065】そのうえ、異なる欠陥の検出作用が使用波長に依存しない限り、分析平面に記録される干渉縞に関し、このシステムは色消し(achromatic)となる。
【0066】次に、図10の(a)及び(b)を参照する。
【0067】例えば、規則的な六角形パターンとピッチa(図10(a))を有する基本的な配列を考える。
【0068】平面Pa において得られる干渉図形もまた二次元配列をなしている。干渉図形は、強度がスポットの軸の一つに沿って正弦波状をなす(図10(b)における下の部分)、光スポット(図10(b)における上の部分)から成っている。2つの明るい干渉縞、即ち、干渉における2つの最大値の間隔dは2つの波の角度αと、次の方程式のような関係がある。
【0069】d=α/λしかしながら、両方向に同じピッチを有する二次元格子に対しては、2つの波の角度は、次の方程式により、使用する波長λと格子のピッチaから導き出される。
【0070】α=λ/aこれら似かよった2つの方程式により、干渉縞の間隔は、波長に依存せず、考慮している方向に関する格子のピッチによることが示されている。
【0071】これは、本発明により得られる干渉図形が色消しであるという理由による。
【0072】欧州特許出願公開第538126号明細書には、得られた干渉像を分析して波面の位相欠陥の傾きや、格子の部分的な曲率にアクセスする技術や、測定における誤差の評価を行う技術までも開示されている。これらの技術は、本発明により得られる干渉縞システムに直接適用することが可能である。
【0073】
【発明の効果】光波面を分析するためにここで提供された、本発明に係る干渉装置は、次のような効果を奏する。
【0074】○ 装置は、多色光で機能する。
【0075】○ 装置の感度は、分析平面及びいわゆる「零感度平面」との距離を調整することにより、0から上に向って連続的に調整可能であり、このことは、必要ならば複数の光路にわたる。
【0076】○ 得られる干渉帯の光強度は、複数の方向において正弦波状をなす。したがって、分析を自動化する目的で、干渉形状をサンプリングすることが容易である。
○ 特にここで提供した新規なタイプの格子のように、格子を最大限に利用するための種々の手段により、光出力が改善される。
【0077】○ 最後に、測定それ自体から測定誤差を評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施を可能とする装置の光学的な概略図であり、(b)は同装置の部分的な透視図である。
【図2】(a)乃至(f)は、二次元回折格子の、平面配列、配列素子及び構成を示す図である。
【図3】(a)はある配列及びその逆配列を示す図であり、(b)及び(c)は六角形及び長方形の配列並びにその逆配列を示す図である。
【図4】(a)乃至(c)は、本発明をより良く理解することを可能とする説明図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明に係るマスクの機能をより良く理解することを可能とする2つの対応図である。
【図6】マスクの変形例を示す図である。
【図7】本発明に係る装置の変形例に対応した図である。
【図8】(a)乃至(c)は、本発明において使用可能な、他のタイプの二次元格子を示す図である。
【図9】(a)及び(b)は、各々、本発明に係る基本的パターン及び格子の好ましい変形例を示す図である。
【図10】(a)及び(b)は、特定の格子と、本発明により得られた干渉図形を示す図である。
【符号の説明】
D …波面分析平面
C …参照平面
a …作業平面
F …中間焦点面
O …零感度平面
S …光源
1 …コリメータレンズ
LA…平行平面
1 …欠陥
2 、O4 …入射レンズ
3 、LC …視野レンズ
GR…回折格子
1 …第1のレンズ
2 …第2のレンズ
M …マスク
M51−M53…透明領域
M61−M63…反射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】 a) ビームに直交しかつ波面(PD )分析平面と光学的共役をなす平面(PC )に、二次元配列を有する回折格子(GR)が配置され、それにより、当該ビームが異なる回折次数に従って異なるサブビームに回折され、b) サブビームの干渉により形成された像が平面(Pa )に作られて観察され、当該像の変形度は分析される波面の傾きに関係している、光ビームの波面分析方法において、b1) 格子平面から射出するサブビームを中間焦点面(PF )にフォーカシングし、b2) この焦点面の近傍において、少なくとも3つの別個の回折次数を選択するのに適したマスク(M)によりサブビームをフィルタリングし、b3) 格子平面と共役をなすいわゆる零感度平面(PO )に、選択されたサブビームを導くために、当該サブビームを光学的にピックアップし、b4) 零感度平面から所定の距離(d)に位置する作業平面(Pa )において、干渉像を観察する工程からなることを特徴とする波面分析方法。
【請求項2】 上記工程b2)において、マスク(M)は、似かよった強度を有しかつ中間焦点面との交点であって直線上に並んでいない交点を有する、少なくとも3つのサブビームを選択するように配置されていることを特徴とする請求項1の波面分析方法。
【請求項3】 マスク(M)は、中間焦点面との交点であって正三角形の頂点に位置する交点を有する、少なくとも3つのサブビームを選択するように配置されていることを特徴とする請求項2の波面分析方法。
【請求項4】 格子(GR1)は、六角形の配列素子とパターン(GR8C)を有し、その逆配列は、正三角形の頂点に位置し似かよった強度を有する3つの回折次数(OD1)を含むことを特徴とする請求項3の波面分析方法。
【請求項5】 格子(GR2)は、長方形の配列素子とパターン(GR8B)を有し、その逆配列は、正三角形の頂点に位置し似かよった強度を有する3つの回折次数(OD2)を含むことを特徴とする請求項3の波面分析方法。
【請求項6】 焦点面のフィルターマスクは、透明素子群を形成する少なくとも3つの透明領域(M51−M53)を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの波面分析方法。
【請求項7】 焦点面のフィルターマスクは、反射素子群を形成する少なくとも3つの反射領域(M61−M63)を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの波面分析方法。
【請求項8】 焦点面のフィルターマスクは、透明素子群(M51−M53)と反射素子群(M61−M63)を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの波面分析方法。
【請求項9】 ビーム軸に垂直に配置されたマスクの透明素子群(M51−M53)は、開き角が約60゜でかつ半径方向の大きさが分析に使用する光ビームのスペクトル領域の関数として選択される、円形リング状の3つのセクタを有していることを特徴とする請求項6の波面分析方法。
【請求項10】 ビーム軸に対して斜めに配置されたフィルターマスクは、同一の楕円リング上に透明セクタ(M51−M53)と反射セクタ(M61−M63)を交互に持ち、上記工程b3)及びb4)は、当該マスクによりサブビームは反射(L’2、P’O 、Pa2)及び透過(L2、PO 、Pa1)により別個に行われることを特徴とする請求項8の波面分析方法。
【請求項11】 格子(GR)は、マイクロレンズからなる位相格子タイプのものであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかの波面分析方法。
【請求項12】 格子(GR)は、強度格子タイプのものであり、光に対して透明領域と非透明領域が交互している領域により構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかの波面分析方法。
【請求項13】 格子は、六角形の配列素子を形成する三面体の格子(GR9)であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかの波面分析方法。
【請求項14】 二次元配列(GR9)のパターン(GR90)は、同一の軸に対して3回対称性を有し、ベース面に対して等しい傾きを有する3つの表面から構成され、当該表面の傾きは、格子のピッチの関数として選択されることを特徴とする請求項13の波面分析方法。
【請求項15】 3つの表面は菱形であり、格子は隙間がないものであることを特徴とする請求項14の波面分析方法。
【請求項16】 波面(PD )が分析される平面と光学的に共役な参照平面(PC )を決定するための入射レンズ(O2 、O4 )、当該参照面(PC )においてビームと垂直に設置され、それにより、当該ビームを異なる回折次数の、異なるサブビームに回折する、二次元配列(GR)を有する格子、サブビームの干渉により形成される像であって当該像の変形度が分析される波面の傾きに関係している像を光学的に処理し観察する手段からなる光ビームの波面分析装置において、光学的に処理し観察する手段が、格子平面から射出するサブビームを中間焦点面(PF )にフォーカシングするための第1のレンズ(L1 )、この焦点面又はその近傍において、サブビームから少なくとも3つの別個の回折次数を有するものを選択するのに適したマスク(M)、格子平面と共役をなすいわゆる零感度平面(PO )に、選択されたサブビームを導くための第2のレンズ(L2 )、及び、零感度平面から所定の距離(d)に位置する作業平面(Pa )において、干渉像を観察する手段からなることを特徴とする波面分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図8】
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【特許番号】特許第3422443号(P3422443)
【登録日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【発行日】平成15年6月30日(2003.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−287624
【出願日】平成6年11月22日(1994.11.22)
【公開番号】特開平7−198352
【公開日】平成7年8月1日(1995.8.1)
【審査請求日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願人】(593024391)オフィス ナシオナール デチュード エ ド ルシェルシュ アエロスパシアル (4)
【参考文献】
【文献】特開 平7−190885(JP,A)
【文献】特開 平3−24417(JP,A)
【文献】特開 平4−66943(JP,A)
【文献】特開 昭61−175513(JP,A)