樹脂フィルムと基板とのアライメント方法
【課題】樹脂フィルムに形状変化が生じた場合であっても、樹脂フィルムと基板との位置合わせを精確に行うことができるアライメント方法を提供すること。
【解決手段】樹脂フィルム16の一方の面16aと基板18の一方の面18aとを貼り合わせる際に、前記樹脂フィルム16と前記基板18とを位置合わせするアライメント方法であって、次の工程:前記基板18に対向するように配置されたステージ12に、前記樹脂フィルム16の他方の面が接するように前記樹脂フィルム16を載置し、該樹脂フィルム16を前記他方の面側から固定する固定工程;前記樹脂フィルム16の変形部位を検出する検出工程;及び前記変形部位の検出結果に基づいて、前記固定した状態で前記樹脂フィルム16をその平面方向に伸縮する伸縮工程;を含むことを特徴とする樹脂フィルム16と基板18とのアライメント方法。
【解決手段】樹脂フィルム16の一方の面16aと基板18の一方の面18aとを貼り合わせる際に、前記樹脂フィルム16と前記基板18とを位置合わせするアライメント方法であって、次の工程:前記基板18に対向するように配置されたステージ12に、前記樹脂フィルム16の他方の面が接するように前記樹脂フィルム16を載置し、該樹脂フィルム16を前記他方の面側から固定する固定工程;前記樹脂フィルム16の変形部位を検出する検出工程;及び前記変形部位の検出結果に基づいて、前記固定した状態で前記樹脂フィルム16をその平面方向に伸縮する伸縮工程;を含むことを特徴とする樹脂フィルム16と基板18とのアライメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムと基板とを正確な位置で貼り合わせるためのアライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパー、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ等の情報表示用パネル、太陽電池、プリント配線板等の装置やインプリント法等の工法等、複数の基板を積層する構造や工程を有する装置や方法等においては、電極、凹凸、インク等よりなるパターンが形成された複数の基板を所望とする位置で互いに貼り合わせることが行われている。
【0003】
特に近年では、情報表示パネルや太陽電池等にフレキシブル性を持たせるために、基板として可撓性を有する樹脂フィルムが用いられている。例えば、フレキシブル性を有する情報表示用パネルの場合、電極パターンや、表示媒体を封入してセルを構成する隔壁を形成するための凹凸パターンが付されたフィルムと、同様に電極や凹凸等のパターンが形成された基板との貼り合わせが行われる(特許文献1)。
【0004】
また、フレキシブル性を有する情報表示用パネルの場合だけでなく、カラー表示可能な情報表示用パネルの場合には、カラーインクのパターンが付されたカラーフィルターフィルムと、電極パターンが形成された前面基板とを貼り合わせることが行われている(特許文献2)。更に、凹凸パターンが形成された樹脂フィルムをスタンパとして用いるインプリント法や、内層基板上と、絶縁層、導体層を有する積層用フィルムが積層されるプリント配線板等の分野においても、同様に樹脂フィルムと基板との貼り合わせが行われる(特許文献3及び特許文献4)。
【0005】
このような樹脂フィルムと基板との貼り合わせの際においては、通常、樹脂フィルムと基板とを所望とする位置で貼り合わせるためにアライメント(位置合わせ)が行われる。
【0006】
アライメントは一般に、2つ以上のアライメントマークを予めフィルムと基板の両方に設けておき、樹脂フィルムと基板とを対向配置させた際にアライメント用カメラでそのアライメントマークを撮像し、樹脂フィルム及び/又は基板をX軸、Y軸、θ軸方向等に移動させてアライメントマークの位置を一致させることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−52091号公報
【特許文献2】特開2010−122492号公報
【特許文献3】特開2007−165812号公報
【特許文献4】特開2005−142253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、樹脂フィルムは熱膨張率が高く、環境温度がわずかに変化しただけでも形状変化が生じ、また、基板との熱膨張率差は異なるため、アライメント時に2つ以上のアライメントマークの位置が同時に一致しない場合があり、所望とする位置での貼り合わせが困難となる問題がある。この問題は、特に、微細なパターンが形成されたフィルムと基板とを貼り合わせる場合や、高精度なアライメントが必要である用途、また比較的大きなサイズのフィルムと基板を用いる用途に影響が大きい。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂フィルムに形状変化が生じた場合であっても、樹脂フィルムと基板との位置合わせを精確に行うことができるアライメント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
形状変化した樹脂フィルムと基板とのアライメント精度を向上させるためには、例えば収縮した樹脂フィルムの端部の多点をクランプ等を用いて上下から挟持し、外方に向かって伸長して形状補正した後にアライメントを行う方法が考えられる。しかしながら、多点を上下から挟持して伸長を行うと、樹脂フィルムに歪みが生じて平面性を維持することが難しくなり、精確な貼り合わせを行うことが困難となる恐れがある。
【0011】
そこで本発明者らが更に検討した結果、上記目的は、樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面とを貼り合わせる際に、前記樹脂フィルムと前記基板とを位置合わせするアライメント方法であって、以下の工程:
前記基板に対向するように配置されたステージに、前記樹脂フィルムの他方の面が接するように前記樹脂フィルムを載置し、該樹脂フィルムを前記他方の面側から固定する固定工程;前記樹脂フィルムの変形部位を検出する検出工程;及び前記変形部位の検出結果に基づいて、前記固定した状態で前記樹脂フィルムをその平面方向に伸縮する伸縮工程;を含むことを特徴とする樹脂フィルムと基板とのアライメント方法により達成されることが明らかとなった。
【0012】
樹脂フィルムをその裏面(基板との貼り合わせ面とは反対側の面)から固定し伸縮させることで、樹脂フィルムの平面性を維持しつつその形状を調整することができる。そして、樹脂フィルムの形状を調整した状態で基板との位置合わせを行うことにより、アライメント精度を向上させること可能となる。
【0013】
本発明の好ましい態様は以下の通りである。
【0014】
(1)前記固定は、前記樹脂フィルムを載置した場合に前記樹脂フィルムの他方の面と接する固定部を有する固定機構により行われ、前記樹脂フィルムの伸縮は、前記固定した状態で前記固定部を移動させることにより行う。樹脂フィルムと直接接する固定部を移動させることにより効率的に樹脂フィルムの伸縮を行うことができる。
(2)前記固定機構は、前記樹脂フィルムの他方の面を吸引することにより固定する吸引機構である。吸引によれば、樹脂フィルムを強固に固定することができ、その後の伸縮を的確に行うことができる。
(3)前記樹脂フィルムの平面形状は多角形であり、前記伸縮工程において、前記樹脂フィルムの各辺の中央乃至その近傍を伸縮する。平面形状が多角形樹脂フィルムの場合は、一般に各辺の中央部の変形量が大きいため、この部分を伸縮することにより実情に適したアライメントを行うことができる。
(4)前記ステージは複数に分割され、該分割されてなる複数の分割載置部のうち少なくとも一部が前記固定機構を有する。これにより樹脂フィルムの伸縮をその平面性を確実に維持しつつ行うことができる。
(5)前記固定機構は吸引管を有し、前記樹脂フィルムを載置した状態で、前記吸引管の端面が前記樹脂フィルムの他方の面と接触対向している。これにより樹脂フィルム伸縮をその平面性を確実に維持しつつ行うことができる。
(6)前記樹脂フィルムの変形部位の検出は、前記樹脂フィルムに対向するように配置された変形測定器で前記樹脂フィルムを測定することにより行う。樹脂フィルムを測定し、設計データ等の基準値と比較することにより的確且つ精確に変形部位を検出することができる。
(7)前記樹脂フィルムと前記基板の双方に設けられたアライメントマークを重ね合わせる工程を更に含む。これにより、効率的且つ精確なアライメントを行うことができる。
【0015】
また、本発明は、樹脂フィルムと基板とを貼り合わせる方法であって、前記樹脂フィルムと前記基板とのアライメントを、上記アライメント方法により行うことを特徴とする樹脂フィルムと基板との貼り合わせ方法も提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るアライメント方法によれば、樹脂フィルムが形状変化した場合であっても、その樹脂フィルムを裏面側から固定して伸縮させることによって、平面性を維持しつつ形状を調整することができる。樹脂フィルムの形状を調整した状態で基板とのアライメントを行うことで、基板の所望とする位置に樹脂フィルムを貼り合わせることが可能となる。本発明は特に、微細なパターンが形成されたフィルム及び基板を使用する場合に互いのパターンを精確な位置で貼り合わせることができ、また、形状変化の影響を受けやすい比較的大きなサイズの樹脂フィルムを使用する場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】貼り合わせ装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】ステージの一例を示す概略断面図(a)、樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図(b)である。
【図3】分割載置部を移動させた状態の概略平面図(a)、樹脂フィルムの形状を調整している状態を示す概略斜視図(b)である。
【図4】固定機構の一例を示す分割載置部の概略断面図である。
【図5】載置台の分割形態の他の例を示す概略平面図である。
【図6】ステージの他の例を示す概略断面図(a)、樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図(b)である。
【図7】吸引機構の詳細を示す概略断面図である。
【図8】吸引機構による樹脂フィルムの形状調整を説明する詳細断面図である。
【図9】吸引機構の配置位置を示す平面図である。
【図10】吸引機構の配置形態の他の例を示す概略平面図である。
【図11】樹脂フィルムの収縮特性を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るアライメント方法を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係るアライメント方法に好適に使用することができる貼り合わせ装置の一例を示す概略断面図である。
【0019】
この貼り合わせ装置は、樹脂フィルム16を保持するステージ12と、基板18を着脱可能に保持する基板保持体14を有しており、基板保持体14は、保持する基板18が樹脂フィルム16に対向するように配置されている。そして、基板18の一方の面(貼り合わせ面)18aと、樹脂フィルム16の一方の面(貼り合わせ面)16aとを貼り合わせることにより、基板18と樹脂フィルム16が積層される。
【0020】
貼り合わせを行う前には、樹脂フィルム16と基板18の相対的な位置を合わせるアライメントを行う。アライメントは一般に、樹脂フィルム16と基板18の任意の箇所に2つ以上のアライメントマーク(図示せず)を予め付しておき、CCDカメラ等の測定器22を用いてアライメントマークを観察し、双方のアライメントマークの位置が合うように基板18とフィルム16の位置を調整することにより行う。ステージ12と基板保持体14のうち少なくとも一方は、X軸、Y軸、Z軸、θ軸等種々の方向に移動可能に構成されており、各方向に移動させることにより双方のアライメントマークを一致させる。
【0021】
本発明において特徴的なことは、このアライメントの際、ステージ12で樹脂フィルム16をその裏面(貼り合わせ面16aとは反対側の面)側から固定し、更に、その形状が変化した部位を測定器22等で検出した後、その検出結果に基づいて、固定状態でフィルム16をその平面方向に伸縮させることである。上述したように、樹脂フィルムが形状変化した場合、予め付しておいた樹脂フィルムと基板の複数のアライメントマークが同時に重なり合わない場合がある。このように、アライメントの際に樹脂フィルム16の形状を調整することによりアライメントマークの位置を合わせることができ、基板とフィルムとを所望とする位置で精確な貼り合わせを行うことができる。また、樹脂フィルムはその裏面側(貼り合わせ面とは反対側)から固定及び伸縮させるので、その歪みを防止して平面性を維持しつつ形状を調整することが可能である。
【0022】
樹脂フィルム16の伸縮は、まず、樹脂フィルムの形状変化の程度をCCDカメラ等の変形測定器22で測定し、得られた測定データと樹脂フィルムの設計データ等の基準値とを比較して、変形部位の検出を行った後、検出された変形部位とその変形量に応じて、樹脂フィルムの伸縮が必要な箇所を伸縮させることにより行う。
【0023】
樹脂フィルム16の変形測定箇所は樹脂フィルムのどの箇所でもよい。一般に、樹脂フィルムの形状変化は、中心部に比べ周縁部の方が大きいことから、周縁部を測定することが好ましい。これにより、変形部位及び変形量の検出をより正確に行うことができる。
【0024】
樹脂フィルムを裏面側から固定して伸縮させるステージ12としては、以下に例示する形状調整ステージを用いることができる。
【0025】
図2(a)は、ステージの一例を示す概略平面図であり、(b)はこのステージに樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図である。このステージ40は、樹脂フィルム16が載置される載置面42aがその縦方向及び横方向にそれぞれ3分割されて形成された合計9個の分割載置部42−1〜42−9から構成された載置台42を有している。
【0026】
9個の分割載置部42−1〜42−9はそれぞれ平面形状が矩形状であり、後述する移動機構により移動していない集合状態では、全体として平面形状が矩形状の載置台42が構成されている。樹脂フィルム16は基板との貼り合わせ面とは反対側の面(以下、裏面とも称する。)が載置台42の載置面42aに接するように載置される。
【0027】
これら9個の分割載置部のうち42−2、42−4、42−6及び42−8は、その表面に載置される樹脂フィルム16をその裏面側から固定可能な固定機構を有している。そして、図3の概略平面図(a)及び概略斜視図(b)に示すように、42−4及び42−6は、矢印100で示す横方向(X軸方向)に、42−2及び42−8は、矢印200で示す縦方向(Y軸方向)にそれぞれ独立して移動する移動機構(図示せず)を有している。固定機構で樹脂フィルムを固定した状態で、移動機構により分割載置部42−2、42−4、42−6、42−8が移動することで樹脂フィルム16がその移動方向に伸長する。
【0028】
これらの移動機構を有する分割載置部42−4、42−6、42−2及び42−8は、矩形状の樹脂フィルム16を載置面42aに載置したときの、その樹脂フィルム16の各辺の中央に位置する分割載置部である。
【0029】
樹脂フィルムは一般に、図11の平面図に示すように、各辺の中央付近が頂点付近に比べて収縮変形する割合が大きい(変形前(a)、変形後(b))。そのため、中央付近に対応する上記分割載置部を上記方向に移動可能とする構成とすることにより、樹脂フィルムの収縮特性の実情に適したステージとなる。なお、上記縦方向及び横方向は、平面多角形状の樹脂フィルムを載置台に載置した場合に、移動機構を有する分割載置部に接するか又は直近に位置する、樹脂フィルムの辺に直交する方向に相当する。
【0030】
樹脂フィルム16を裏面側から固定する固定機構としては、例えば、樹脂フィルムを吸引して固定する吸引機構や、静電気により樹脂フィルムを吸着固定する静電吸着機構等が挙げられる。
【0031】
吸引機構としては、各分割載置部の上面をセラミックス等の多孔質部材によって形成し、その多孔質部材を介して下側から吸引する方法が挙げられる。この方法は、例えば、図4の分割載置部の一つを示す概略断面図のように、樹脂フィルムと接することとなる固定部としての多孔質部材48と、その下に設けられた中空部50を有し、その中空部50に吸引管52が接続された構成を採用することができる。吸引管52から多孔質部48を介して、載置面42aに載置されることとなる樹脂フィルムの裏面側を吸引することにより、樹脂フィルムが吸引固定される。また、静電吸着機構は、静電チャックを利用した固定機構等を用いることができる。例えば、静電チャックを載置台42の各分割載置部の表面に設けた構成が挙げられる。
【0032】
分割載置部42−2、42−4、42−6及び42−8の移動機構としては、例えば、各分割載置部にアクチュエータ等の駆動機構を設けて、それぞれの方向に移動させる機構が挙げられる。移動機構による分割載置部の移動長さは、樹脂フィルム16の辺の長さに対して少なくとも0.5%あればよい。したがって、樹脂フィルムの弾性変形領域内の範囲で十分に形状を調整することが可能である。
【0033】
上記アライメント時において、変形部位の検出を行った後、その変形量に応じて、分割載置部42−2、42−4、42−6及び42−8のうち、樹脂フィルムの伸縮が必要な箇所に対応する分割載置部を移動させることにより樹脂フィルムを伸縮させる。
【0034】
ステージ40の載置台42の分割形態は上述した例に限られず、例えば、図5(a)〜(d)に示すような分割形態でもよい。
【0035】
図5(a)は、上述した例の9個の分割載置部のうち、移動可能な4つの分割載置部42−2、42−4、42−6、42−8が更に分割され、それぞれ更に3つの小分割載置部がそれぞれ独立して移動可能となるように構成されている。これにより、樹脂フィルムのそれぞれの部位における伸縮量に応じて、適宜必要な小分割載置部を必要長さ移動させることにより、より緻密に樹脂フィルムの形状の調整を行うことが可能となる。
【0036】
図5(b)は、平面形状が矩形状のステージであり、中心から放射状に分割された8個の分割載置部から構成されている。各分割載置部全てが中心から放射方向に移動するように構成されている。
【0037】
図5(c)は、ステージの中央に大きな分割載置部を一つ有し、その大きな分割載置部の外周を囲むように複数の小分割載置部が設けられている。すなわち、載置台42の周縁部の領域がそれぞれ分割されて小分割載置部が形成されている。複数の小分割載置部は、載置面の平面方向に移動可能なように構成され、これらのうち必要な分割載置部を適宜移動させることで樹脂フィルムの形状が調整される。
【0038】
図5(d)は、全体の平面形状が円状のステージであり、その円のうち外側の領域は中心から放射状に分割された複数の分割載置部により構成されている。各分割載置部はそれぞれ個別に移動可能に構成され、伸縮が必要となる箇所に対応する分割載置部のみを中心から放射方向に移動させることにより樹脂フィルムの形状の調整が行われる。
【0039】
以上説明したステージの例は、樹脂フィルム及び載置台は、平面形状が矩形状又は円状のものを例として説明したが、これに限られず、楕円状、ひし形状、多角形状等あらゆる形状をとることができる。また、載置台は、例えば平面矩形状の載置台の場合には、縦方向及び横方向にそれぞれ3〜10分割程度分割されて分割載置部が形成されていることが好ましい。上記例示した各ステージでは、固定機構及び移動機構を有する分割載置部が、樹脂フィルムを載置した場合にその周縁部に対応する位置に配置されている。これにより、中心付近より変形量の多い周縁部を伸縮できるので効率的な形状調整を行うことができる。
【0040】
図6は、図1に示すステージ12の他の例を示す概略平面図(a)、及び樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図(b)である。このステージ60は、平板矩形状の載置台62を有しており、その載置台62の表面(載置面)62aに樹脂フィルム16が載置される。樹脂フィルム16は基板との貼り合わせ面とは反対側の面(裏面)が載置面62aに接するように載置台62に載置され、その載置台62には複数の吸引機構64−1〜64−4が、それぞれ各辺の中央近傍に3箇所ずつ設けられている。
【0041】
複数の吸引機構64−1〜64−4はそれぞれ、載置台62に形成された空洞状の格納部68内に設けられており、そのうち、64−2及び64−3は横方向(矢印100方向)に、64−1及び64−4は縦方向(矢印200方向)に、移動機構(図示せず)によってそれぞれ独立して移動可能とされている。
【0042】
吸引機構64−1〜64−4により樹脂フィルム16の裏面側を吸引することにより樹脂フィルム16を固定すると共に、それぞれの方向に移動させることで樹脂フィルム16が吸引機構64−1〜64−4の各移動方向に伸長し、その形状が調整される。
【0043】
これら移動機構64−1〜64−4は、樹脂フィルム16の各辺の中央乃至その近傍でその辺より内側の部分に対向する位置に設けられている。上述したように、樹脂フィルムは、その各辺の中央部付近が中心方向に収縮する場合が多い。そのため、その箇所に対応する載置台62の箇所に吸引機構を設けることで、樹脂フィルムの収縮特性に適したステージとなる。上記中央乃至その近傍の辺方向の長さは、具体的には、樹脂フィルムの各辺の長さの20〜80%、好ましくは30〜70%であることが好ましい。
【0044】
図7は、吸引機構64の詳細を示す概略断面図である。図示のように、載置台62には、吸引機構64を格納するための、断面形状がクランク状の空洞である格納部68が形成されており、その格納部68内に吸引機構64の一部が設置されている。吸引機構64は、吸引管64bと、吸引管64bに接続される吸引ポンプ(図示せず)とを有しており、吸引管64bは格納部68の形状に対応するようにクランク状とされている。
【0045】
吸引ポンプを稼働させることで吸引孔65から樹脂フィルムが吸引されるとともに載置台62に固定される。吸引管64bの端面64aは、載置台62の載置面62aと略同一高さとなるように設定され、樹脂フィルムの載置時に吸引管64bの端面64aと樹脂フィルムの裏面が接触対向する。これにより、樹脂フィルムを伸縮する際に、その平面性を確実に維持することができる。
【0046】
上述したように、本例のステージ60は、固定部としての吸引管64bを載置面62aの平面方向(矢印方向)に移動可能とする移動機構(図示せず)が備えられている。移動機構としては、例えば、アクチュエータ等の駆動機構を吸引管64bに接続した構成等が挙げられる。
【0047】
移動機構による吸引管64bの移動可能長さは、樹脂フィルムの大きさや樹脂フィルムに形成されているパターンの微細さに依存する。例えば、マイクロメートルオーダーの微細パターンの場合には、樹脂フィルムの辺の長さに対して、少なくとも0.5%程度あればよい。具体的には、各辺が200mmの樹脂フィルムの場合には、例えば1mm以上の長さ移動可能であればよい。したがって、格納部68は、吸引管64bがその長さ分移動できるように形成されている必要がある。
【0048】
また、樹脂フィルム16に接する吸引管64bの端面64aはゴム等の弾性部材で形成されているか、あるいは弾性部材で覆われていてもよい。これにより、吸引時の吸引力を緩衝させ樹脂フィルム16を損傷させることなく吸引することが可能となる。吸引孔65の直径は特に限定されないが、例えば、1mm程度あればよい。
【0049】
図8は、吸引機構により樹脂フィルムの形状を調整する際の説明図である。まず、図8(a)に示すように樹脂フィルム16を載置台62の載置面62aに載置した後、吸引機構64により樹脂フィルム16の裏面16bを吸引して固定する。次に、図8(b)に示すように、矢印方向に吸引機構64を移動機構によって移動させることにより樹脂フィルム16が矢印方向に伸長されて、その形状が調整される。
【0050】
図6に示したように、本実施の形態において、吸引機構64−1〜64−4は、それぞれ縦方向(Y軸方向)又は横方向(X軸方向)に独立して移動可能である。実際に形状を調整する場合には樹脂フィルムの形状の調整が必要な箇所に対応する吸引機構を移動させることにより行われる。これら縦方向及び横方向は、平面多角形状の樹脂フィルムを載置台に載置した場合に、それぞれの吸引機構に直近する樹脂フィルムの辺に直交する方向に相当する。
【0051】
また、図9の概略平面図に示すように樹脂フィルム16を載置台62に載置した場合に、平面視で樹脂フィルム16の端部から構成される枠線16−1を、その中心を同一として50%、好ましくは30%、より好ましくは15%縮小した仮想枠線16−2と、枠線16−1との間の領域に吸引機構64が存在するように、載置台62に吸引機構64を設けることが好ましい。なお、この際の吸引機構64の位置の基準は、吸引孔65の中心とする。
【0052】
上記アライメント時において、変形部位の検出を行った後、その変形量に応じて、吸引機構64−1、64−2、64−3及び64−4のうち樹脂フィルムの伸縮が必要な箇所に対応する吸引機構の吸引管を移動させることにより樹脂フィルムを伸縮させる。
【0053】
図10(a)は、ステージ60の他の例を示す概略平面図である。図示のように、吸引機構64は、載置台62の載置面62aの周縁部近傍だけでなく、載置面62aの中心側に更に設けられていてもよい。熱や周囲環境の変化による樹脂フィルム16の形状変化は、その部位によって異なるため、このように中心側にも設けることにより、各部位における変化量に合わせた伸縮を行うことが可能となる。
【0054】
図10(b)は、ステージ60の他の例を示す概略平面図である。図示のように、吸引機構64は、樹脂フィルムの載置時に、樹脂フィルムの角部近傍に対応する載置台62の部分に更に設けられていてもよい。これにより、それぞれの部位の形状変化量に合わせた伸縮を行うことが可能となる。
【0055】
図10(c)は、ステージ60の他の例を示す概略平面図である。図示のように、吸引機構64は、その移動可能な長さが長くなるように、格納部及び吸引管等の大きさや長さを変更してもよい。これによりあらゆるサイズの樹脂フィルムに対応することが可能となる。
【0056】
吸引機構64はこれらの例に限られずあらゆる形態をとることが可能である。例えば、図6に示す例では、載置台62の各辺の近傍にそれぞれ3つ吸引機構を設けているが、1つのみでもよいし、更に設けても良い。更に設けた場合には樹脂フィルムの各部位の伸縮量に合わせて緻密な形状調整を行うことができる。
【0057】
また、吸引機構64のそれぞれは、横方向又は縦方向のみでなく、横方向及び縦方向の両方に移動可能な構成とされていてもよい。これにより、あらゆる方向に移動可能となるので樹脂フィルム16の形状の微妙な調整を行うことが可能となる。更に、吸引機構の吸引孔を楕円状等として、吸引面積を広くすることも可能である。これにより、樹脂フィルムを強固に固定することができる。
【0058】
また、吸引機構64は、吸引管64bの端面64aの高さが、樹脂フィルムを載置したときに、その重量によって載置台62の載置面62aと略同一高さになる機構を備えていてもよい。すなわち、樹脂フィルムを載置する前は、端面64aが載置面62aと同一高さから上方に若干突き出しており樹脂フィルムを載置したときに、端面64aがその重量で下降する構成とされていても良い。これにより樹脂フィルム16の裏面側16bと吸引管64の端面64aが確実に対向接触し、吸引固定することができる。
【0059】
以上説明した例では、樹脂フィルム及び載置台は、平面形状が矩形状のものを例として説明したが、これに限られず、円状、楕円状、ひし形状、多角形状等あらゆる形状をとることができる。
【0060】
本発明において、樹脂フィルムの材質は、用途によって適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ4−メチル1−ペンテン、ポリカーボネート、シクロオレフィン共重合体、ポリメチルメタクリレート等、透明性や離型性等の物性により適宜選択する。樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、20〜1000μmの範囲であれば、固定機構により確実に固定することができる。
【0061】
本発明において、基板としては、ガラス基板、アクリル板等の硬質板の他、フレキシブル性を有する可撓性基板であってもよく、この場合、上記した樹脂フィルムと同様の材質を使用することができる。
【0062】
本発明において、樹脂フィルム及び基板に必要により形成されるパターンは、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性物質を真空蒸着法、CVD(化学蒸着法)、塗布法等で形成したライン電極やTFT電極等の電極パターン、熱インプリント法、光インプリント法、フォトリソグラフィ法、切削加工等により形成された凹凸パターン、インクジェット法、スクリーン印刷法等によって形成されたインクパターン等の種々の平面パターン等であり、用途によって適宜選択する。パターンの平面形状は、例えば、格子状、ハニカム状、三角形状、ストライプ状等の種々の形状をとることができ、用途によって適宜選択する。
【0063】
本発明のアライメント方法は、特にナノ〜マイクロメートルレベルの微細なパターンが形成されたフィルム及び基板の貼り合わせに適用することが有利である。パターンを有する樹脂フィルムの形状を調整することにより、パターンの寸法も同時に補正され、基板の所望の位置への貼り合わせが可能である。なお、樹脂フィルム及び基板に形成されるパターンは、貼り合わせ面であってもよく、貼り合わせ面とは反対側の面であってもよい。
【0064】
なお、本発明において「貼り合わせ」とは、樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面を直接接触させて貼り合わせる場合の他、樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面との間に接着剤層や光硬化性樹脂層等の介在層を介して貼り合わせる場合も含まれる。接着剤層の接着剤としては、アクリル系接着剤、メタクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等を塗布することにより、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)等の接着膜を貼り付ける等して施すことができる。
【0065】
アライメントを行った後、樹脂フィルムと基板とを実際に貼り合わせる方法は特に限定されない。例えば、プレス機を用いたプレス法やローラを用いたローララミネート法等を用いることができる。貼り合わせ時における空気の混入を防ぐため、真空雰囲気下でフィルムと基板との貼り合わせを行うことが好適である。
【0066】
なお、図1で示した貼り合わせ装置の例では、形状調整ステージ12を下側、基板保持体14を上側として配置した構成を示しているが、これらの配置構成は上下逆であってもよい。また、基板18として樹脂フィルムを使用した場合は、基板保持体14をステージ12と同様の構成を有する形状調整ステージとしてもよい。
【0067】
なお、本発明は上記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。上記実施の形態では、樹脂フィルムが収縮した場合に、本発明の形状調整装置により縁部を伸長させる例を示しているが、これとは逆に、樹脂フィルムが膨張した場合に、その縁部を収縮させて形状を調整することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、電子ペーパー、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ等の情報表示用パネル、太陽電池、プリント配線板等の装置やインプリント法等の工法等、樹脂フィルムと基板との積層を必要とする構造や工程を有する装置や方法等の分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 貼り合わせ装置
12 ステージ
14 基板保持体
16 樹脂フィルム
18 基板
22 測定器
40 ステージ
42 載置台
42a 載置面
42−1〜42−9 分割載置部
48 多孔質部材
50 中空部
52 吸引管
60 ステージ
62 載置台
64、64−1〜64−4 吸引機構
64a 吸引管端面
64b 吸引管
68 格納部
82 樹脂フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムと基板とを正確な位置で貼り合わせるためのアライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパー、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ等の情報表示用パネル、太陽電池、プリント配線板等の装置やインプリント法等の工法等、複数の基板を積層する構造や工程を有する装置や方法等においては、電極、凹凸、インク等よりなるパターンが形成された複数の基板を所望とする位置で互いに貼り合わせることが行われている。
【0003】
特に近年では、情報表示パネルや太陽電池等にフレキシブル性を持たせるために、基板として可撓性を有する樹脂フィルムが用いられている。例えば、フレキシブル性を有する情報表示用パネルの場合、電極パターンや、表示媒体を封入してセルを構成する隔壁を形成するための凹凸パターンが付されたフィルムと、同様に電極や凹凸等のパターンが形成された基板との貼り合わせが行われる(特許文献1)。
【0004】
また、フレキシブル性を有する情報表示用パネルの場合だけでなく、カラー表示可能な情報表示用パネルの場合には、カラーインクのパターンが付されたカラーフィルターフィルムと、電極パターンが形成された前面基板とを貼り合わせることが行われている(特許文献2)。更に、凹凸パターンが形成された樹脂フィルムをスタンパとして用いるインプリント法や、内層基板上と、絶縁層、導体層を有する積層用フィルムが積層されるプリント配線板等の分野においても、同様に樹脂フィルムと基板との貼り合わせが行われる(特許文献3及び特許文献4)。
【0005】
このような樹脂フィルムと基板との貼り合わせの際においては、通常、樹脂フィルムと基板とを所望とする位置で貼り合わせるためにアライメント(位置合わせ)が行われる。
【0006】
アライメントは一般に、2つ以上のアライメントマークを予めフィルムと基板の両方に設けておき、樹脂フィルムと基板とを対向配置させた際にアライメント用カメラでそのアライメントマークを撮像し、樹脂フィルム及び/又は基板をX軸、Y軸、θ軸方向等に移動させてアライメントマークの位置を一致させることにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−52091号公報
【特許文献2】特開2010−122492号公報
【特許文献3】特開2007−165812号公報
【特許文献4】特開2005−142253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、樹脂フィルムは熱膨張率が高く、環境温度がわずかに変化しただけでも形状変化が生じ、また、基板との熱膨張率差は異なるため、アライメント時に2つ以上のアライメントマークの位置が同時に一致しない場合があり、所望とする位置での貼り合わせが困難となる問題がある。この問題は、特に、微細なパターンが形成されたフィルムと基板とを貼り合わせる場合や、高精度なアライメントが必要である用途、また比較的大きなサイズのフィルムと基板を用いる用途に影響が大きい。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂フィルムに形状変化が生じた場合であっても、樹脂フィルムと基板との位置合わせを精確に行うことができるアライメント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
形状変化した樹脂フィルムと基板とのアライメント精度を向上させるためには、例えば収縮した樹脂フィルムの端部の多点をクランプ等を用いて上下から挟持し、外方に向かって伸長して形状補正した後にアライメントを行う方法が考えられる。しかしながら、多点を上下から挟持して伸長を行うと、樹脂フィルムに歪みが生じて平面性を維持することが難しくなり、精確な貼り合わせを行うことが困難となる恐れがある。
【0011】
そこで本発明者らが更に検討した結果、上記目的は、樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面とを貼り合わせる際に、前記樹脂フィルムと前記基板とを位置合わせするアライメント方法であって、以下の工程:
前記基板に対向するように配置されたステージに、前記樹脂フィルムの他方の面が接するように前記樹脂フィルムを載置し、該樹脂フィルムを前記他方の面側から固定する固定工程;前記樹脂フィルムの変形部位を検出する検出工程;及び前記変形部位の検出結果に基づいて、前記固定した状態で前記樹脂フィルムをその平面方向に伸縮する伸縮工程;を含むことを特徴とする樹脂フィルムと基板とのアライメント方法により達成されることが明らかとなった。
【0012】
樹脂フィルムをその裏面(基板との貼り合わせ面とは反対側の面)から固定し伸縮させることで、樹脂フィルムの平面性を維持しつつその形状を調整することができる。そして、樹脂フィルムの形状を調整した状態で基板との位置合わせを行うことにより、アライメント精度を向上させること可能となる。
【0013】
本発明の好ましい態様は以下の通りである。
【0014】
(1)前記固定は、前記樹脂フィルムを載置した場合に前記樹脂フィルムの他方の面と接する固定部を有する固定機構により行われ、前記樹脂フィルムの伸縮は、前記固定した状態で前記固定部を移動させることにより行う。樹脂フィルムと直接接する固定部を移動させることにより効率的に樹脂フィルムの伸縮を行うことができる。
(2)前記固定機構は、前記樹脂フィルムの他方の面を吸引することにより固定する吸引機構である。吸引によれば、樹脂フィルムを強固に固定することができ、その後の伸縮を的確に行うことができる。
(3)前記樹脂フィルムの平面形状は多角形であり、前記伸縮工程において、前記樹脂フィルムの各辺の中央乃至その近傍を伸縮する。平面形状が多角形樹脂フィルムの場合は、一般に各辺の中央部の変形量が大きいため、この部分を伸縮することにより実情に適したアライメントを行うことができる。
(4)前記ステージは複数に分割され、該分割されてなる複数の分割載置部のうち少なくとも一部が前記固定機構を有する。これにより樹脂フィルムの伸縮をその平面性を確実に維持しつつ行うことができる。
(5)前記固定機構は吸引管を有し、前記樹脂フィルムを載置した状態で、前記吸引管の端面が前記樹脂フィルムの他方の面と接触対向している。これにより樹脂フィルム伸縮をその平面性を確実に維持しつつ行うことができる。
(6)前記樹脂フィルムの変形部位の検出は、前記樹脂フィルムに対向するように配置された変形測定器で前記樹脂フィルムを測定することにより行う。樹脂フィルムを測定し、設計データ等の基準値と比較することにより的確且つ精確に変形部位を検出することができる。
(7)前記樹脂フィルムと前記基板の双方に設けられたアライメントマークを重ね合わせる工程を更に含む。これにより、効率的且つ精確なアライメントを行うことができる。
【0015】
また、本発明は、樹脂フィルムと基板とを貼り合わせる方法であって、前記樹脂フィルムと前記基板とのアライメントを、上記アライメント方法により行うことを特徴とする樹脂フィルムと基板との貼り合わせ方法も提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るアライメント方法によれば、樹脂フィルムが形状変化した場合であっても、その樹脂フィルムを裏面側から固定して伸縮させることによって、平面性を維持しつつ形状を調整することができる。樹脂フィルムの形状を調整した状態で基板とのアライメントを行うことで、基板の所望とする位置に樹脂フィルムを貼り合わせることが可能となる。本発明は特に、微細なパターンが形成されたフィルム及び基板を使用する場合に互いのパターンを精確な位置で貼り合わせることができ、また、形状変化の影響を受けやすい比較的大きなサイズの樹脂フィルムを使用する場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】貼り合わせ装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】ステージの一例を示す概略断面図(a)、樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図(b)である。
【図3】分割載置部を移動させた状態の概略平面図(a)、樹脂フィルムの形状を調整している状態を示す概略斜視図(b)である。
【図4】固定機構の一例を示す分割載置部の概略断面図である。
【図5】載置台の分割形態の他の例を示す概略平面図である。
【図6】ステージの他の例を示す概略断面図(a)、樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図(b)である。
【図7】吸引機構の詳細を示す概略断面図である。
【図8】吸引機構による樹脂フィルムの形状調整を説明する詳細断面図である。
【図9】吸引機構の配置位置を示す平面図である。
【図10】吸引機構の配置形態の他の例を示す概略平面図である。
【図11】樹脂フィルムの収縮特性を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るアライメント方法を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係るアライメント方法に好適に使用することができる貼り合わせ装置の一例を示す概略断面図である。
【0019】
この貼り合わせ装置は、樹脂フィルム16を保持するステージ12と、基板18を着脱可能に保持する基板保持体14を有しており、基板保持体14は、保持する基板18が樹脂フィルム16に対向するように配置されている。そして、基板18の一方の面(貼り合わせ面)18aと、樹脂フィルム16の一方の面(貼り合わせ面)16aとを貼り合わせることにより、基板18と樹脂フィルム16が積層される。
【0020】
貼り合わせを行う前には、樹脂フィルム16と基板18の相対的な位置を合わせるアライメントを行う。アライメントは一般に、樹脂フィルム16と基板18の任意の箇所に2つ以上のアライメントマーク(図示せず)を予め付しておき、CCDカメラ等の測定器22を用いてアライメントマークを観察し、双方のアライメントマークの位置が合うように基板18とフィルム16の位置を調整することにより行う。ステージ12と基板保持体14のうち少なくとも一方は、X軸、Y軸、Z軸、θ軸等種々の方向に移動可能に構成されており、各方向に移動させることにより双方のアライメントマークを一致させる。
【0021】
本発明において特徴的なことは、このアライメントの際、ステージ12で樹脂フィルム16をその裏面(貼り合わせ面16aとは反対側の面)側から固定し、更に、その形状が変化した部位を測定器22等で検出した後、その検出結果に基づいて、固定状態でフィルム16をその平面方向に伸縮させることである。上述したように、樹脂フィルムが形状変化した場合、予め付しておいた樹脂フィルムと基板の複数のアライメントマークが同時に重なり合わない場合がある。このように、アライメントの際に樹脂フィルム16の形状を調整することによりアライメントマークの位置を合わせることができ、基板とフィルムとを所望とする位置で精確な貼り合わせを行うことができる。また、樹脂フィルムはその裏面側(貼り合わせ面とは反対側)から固定及び伸縮させるので、その歪みを防止して平面性を維持しつつ形状を調整することが可能である。
【0022】
樹脂フィルム16の伸縮は、まず、樹脂フィルムの形状変化の程度をCCDカメラ等の変形測定器22で測定し、得られた測定データと樹脂フィルムの設計データ等の基準値とを比較して、変形部位の検出を行った後、検出された変形部位とその変形量に応じて、樹脂フィルムの伸縮が必要な箇所を伸縮させることにより行う。
【0023】
樹脂フィルム16の変形測定箇所は樹脂フィルムのどの箇所でもよい。一般に、樹脂フィルムの形状変化は、中心部に比べ周縁部の方が大きいことから、周縁部を測定することが好ましい。これにより、変形部位及び変形量の検出をより正確に行うことができる。
【0024】
樹脂フィルムを裏面側から固定して伸縮させるステージ12としては、以下に例示する形状調整ステージを用いることができる。
【0025】
図2(a)は、ステージの一例を示す概略平面図であり、(b)はこのステージに樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図である。このステージ40は、樹脂フィルム16が載置される載置面42aがその縦方向及び横方向にそれぞれ3分割されて形成された合計9個の分割載置部42−1〜42−9から構成された載置台42を有している。
【0026】
9個の分割載置部42−1〜42−9はそれぞれ平面形状が矩形状であり、後述する移動機構により移動していない集合状態では、全体として平面形状が矩形状の載置台42が構成されている。樹脂フィルム16は基板との貼り合わせ面とは反対側の面(以下、裏面とも称する。)が載置台42の載置面42aに接するように載置される。
【0027】
これら9個の分割載置部のうち42−2、42−4、42−6及び42−8は、その表面に載置される樹脂フィルム16をその裏面側から固定可能な固定機構を有している。そして、図3の概略平面図(a)及び概略斜視図(b)に示すように、42−4及び42−6は、矢印100で示す横方向(X軸方向)に、42−2及び42−8は、矢印200で示す縦方向(Y軸方向)にそれぞれ独立して移動する移動機構(図示せず)を有している。固定機構で樹脂フィルムを固定した状態で、移動機構により分割載置部42−2、42−4、42−6、42−8が移動することで樹脂フィルム16がその移動方向に伸長する。
【0028】
これらの移動機構を有する分割載置部42−4、42−6、42−2及び42−8は、矩形状の樹脂フィルム16を載置面42aに載置したときの、その樹脂フィルム16の各辺の中央に位置する分割載置部である。
【0029】
樹脂フィルムは一般に、図11の平面図に示すように、各辺の中央付近が頂点付近に比べて収縮変形する割合が大きい(変形前(a)、変形後(b))。そのため、中央付近に対応する上記分割載置部を上記方向に移動可能とする構成とすることにより、樹脂フィルムの収縮特性の実情に適したステージとなる。なお、上記縦方向及び横方向は、平面多角形状の樹脂フィルムを載置台に載置した場合に、移動機構を有する分割載置部に接するか又は直近に位置する、樹脂フィルムの辺に直交する方向に相当する。
【0030】
樹脂フィルム16を裏面側から固定する固定機構としては、例えば、樹脂フィルムを吸引して固定する吸引機構や、静電気により樹脂フィルムを吸着固定する静電吸着機構等が挙げられる。
【0031】
吸引機構としては、各分割載置部の上面をセラミックス等の多孔質部材によって形成し、その多孔質部材を介して下側から吸引する方法が挙げられる。この方法は、例えば、図4の分割載置部の一つを示す概略断面図のように、樹脂フィルムと接することとなる固定部としての多孔質部材48と、その下に設けられた中空部50を有し、その中空部50に吸引管52が接続された構成を採用することができる。吸引管52から多孔質部48を介して、載置面42aに載置されることとなる樹脂フィルムの裏面側を吸引することにより、樹脂フィルムが吸引固定される。また、静電吸着機構は、静電チャックを利用した固定機構等を用いることができる。例えば、静電チャックを載置台42の各分割載置部の表面に設けた構成が挙げられる。
【0032】
分割載置部42−2、42−4、42−6及び42−8の移動機構としては、例えば、各分割載置部にアクチュエータ等の駆動機構を設けて、それぞれの方向に移動させる機構が挙げられる。移動機構による分割載置部の移動長さは、樹脂フィルム16の辺の長さに対して少なくとも0.5%あればよい。したがって、樹脂フィルムの弾性変形領域内の範囲で十分に形状を調整することが可能である。
【0033】
上記アライメント時において、変形部位の検出を行った後、その変形量に応じて、分割載置部42−2、42−4、42−6及び42−8のうち、樹脂フィルムの伸縮が必要な箇所に対応する分割載置部を移動させることにより樹脂フィルムを伸縮させる。
【0034】
ステージ40の載置台42の分割形態は上述した例に限られず、例えば、図5(a)〜(d)に示すような分割形態でもよい。
【0035】
図5(a)は、上述した例の9個の分割載置部のうち、移動可能な4つの分割載置部42−2、42−4、42−6、42−8が更に分割され、それぞれ更に3つの小分割載置部がそれぞれ独立して移動可能となるように構成されている。これにより、樹脂フィルムのそれぞれの部位における伸縮量に応じて、適宜必要な小分割載置部を必要長さ移動させることにより、より緻密に樹脂フィルムの形状の調整を行うことが可能となる。
【0036】
図5(b)は、平面形状が矩形状のステージであり、中心から放射状に分割された8個の分割載置部から構成されている。各分割載置部全てが中心から放射方向に移動するように構成されている。
【0037】
図5(c)は、ステージの中央に大きな分割載置部を一つ有し、その大きな分割載置部の外周を囲むように複数の小分割載置部が設けられている。すなわち、載置台42の周縁部の領域がそれぞれ分割されて小分割載置部が形成されている。複数の小分割載置部は、載置面の平面方向に移動可能なように構成され、これらのうち必要な分割載置部を適宜移動させることで樹脂フィルムの形状が調整される。
【0038】
図5(d)は、全体の平面形状が円状のステージであり、その円のうち外側の領域は中心から放射状に分割された複数の分割載置部により構成されている。各分割載置部はそれぞれ個別に移動可能に構成され、伸縮が必要となる箇所に対応する分割載置部のみを中心から放射方向に移動させることにより樹脂フィルムの形状の調整が行われる。
【0039】
以上説明したステージの例は、樹脂フィルム及び載置台は、平面形状が矩形状又は円状のものを例として説明したが、これに限られず、楕円状、ひし形状、多角形状等あらゆる形状をとることができる。また、載置台は、例えば平面矩形状の載置台の場合には、縦方向及び横方向にそれぞれ3〜10分割程度分割されて分割載置部が形成されていることが好ましい。上記例示した各ステージでは、固定機構及び移動機構を有する分割載置部が、樹脂フィルムを載置した場合にその周縁部に対応する位置に配置されている。これにより、中心付近より変形量の多い周縁部を伸縮できるので効率的な形状調整を行うことができる。
【0040】
図6は、図1に示すステージ12の他の例を示す概略平面図(a)、及び樹脂フィルムを載置した状態の概略斜視図(b)である。このステージ60は、平板矩形状の載置台62を有しており、その載置台62の表面(載置面)62aに樹脂フィルム16が載置される。樹脂フィルム16は基板との貼り合わせ面とは反対側の面(裏面)が載置面62aに接するように載置台62に載置され、その載置台62には複数の吸引機構64−1〜64−4が、それぞれ各辺の中央近傍に3箇所ずつ設けられている。
【0041】
複数の吸引機構64−1〜64−4はそれぞれ、載置台62に形成された空洞状の格納部68内に設けられており、そのうち、64−2及び64−3は横方向(矢印100方向)に、64−1及び64−4は縦方向(矢印200方向)に、移動機構(図示せず)によってそれぞれ独立して移動可能とされている。
【0042】
吸引機構64−1〜64−4により樹脂フィルム16の裏面側を吸引することにより樹脂フィルム16を固定すると共に、それぞれの方向に移動させることで樹脂フィルム16が吸引機構64−1〜64−4の各移動方向に伸長し、その形状が調整される。
【0043】
これら移動機構64−1〜64−4は、樹脂フィルム16の各辺の中央乃至その近傍でその辺より内側の部分に対向する位置に設けられている。上述したように、樹脂フィルムは、その各辺の中央部付近が中心方向に収縮する場合が多い。そのため、その箇所に対応する載置台62の箇所に吸引機構を設けることで、樹脂フィルムの収縮特性に適したステージとなる。上記中央乃至その近傍の辺方向の長さは、具体的には、樹脂フィルムの各辺の長さの20〜80%、好ましくは30〜70%であることが好ましい。
【0044】
図7は、吸引機構64の詳細を示す概略断面図である。図示のように、載置台62には、吸引機構64を格納するための、断面形状がクランク状の空洞である格納部68が形成されており、その格納部68内に吸引機構64の一部が設置されている。吸引機構64は、吸引管64bと、吸引管64bに接続される吸引ポンプ(図示せず)とを有しており、吸引管64bは格納部68の形状に対応するようにクランク状とされている。
【0045】
吸引ポンプを稼働させることで吸引孔65から樹脂フィルムが吸引されるとともに載置台62に固定される。吸引管64bの端面64aは、載置台62の載置面62aと略同一高さとなるように設定され、樹脂フィルムの載置時に吸引管64bの端面64aと樹脂フィルムの裏面が接触対向する。これにより、樹脂フィルムを伸縮する際に、その平面性を確実に維持することができる。
【0046】
上述したように、本例のステージ60は、固定部としての吸引管64bを載置面62aの平面方向(矢印方向)に移動可能とする移動機構(図示せず)が備えられている。移動機構としては、例えば、アクチュエータ等の駆動機構を吸引管64bに接続した構成等が挙げられる。
【0047】
移動機構による吸引管64bの移動可能長さは、樹脂フィルムの大きさや樹脂フィルムに形成されているパターンの微細さに依存する。例えば、マイクロメートルオーダーの微細パターンの場合には、樹脂フィルムの辺の長さに対して、少なくとも0.5%程度あればよい。具体的には、各辺が200mmの樹脂フィルムの場合には、例えば1mm以上の長さ移動可能であればよい。したがって、格納部68は、吸引管64bがその長さ分移動できるように形成されている必要がある。
【0048】
また、樹脂フィルム16に接する吸引管64bの端面64aはゴム等の弾性部材で形成されているか、あるいは弾性部材で覆われていてもよい。これにより、吸引時の吸引力を緩衝させ樹脂フィルム16を損傷させることなく吸引することが可能となる。吸引孔65の直径は特に限定されないが、例えば、1mm程度あればよい。
【0049】
図8は、吸引機構により樹脂フィルムの形状を調整する際の説明図である。まず、図8(a)に示すように樹脂フィルム16を載置台62の載置面62aに載置した後、吸引機構64により樹脂フィルム16の裏面16bを吸引して固定する。次に、図8(b)に示すように、矢印方向に吸引機構64を移動機構によって移動させることにより樹脂フィルム16が矢印方向に伸長されて、その形状が調整される。
【0050】
図6に示したように、本実施の形態において、吸引機構64−1〜64−4は、それぞれ縦方向(Y軸方向)又は横方向(X軸方向)に独立して移動可能である。実際に形状を調整する場合には樹脂フィルムの形状の調整が必要な箇所に対応する吸引機構を移動させることにより行われる。これら縦方向及び横方向は、平面多角形状の樹脂フィルムを載置台に載置した場合に、それぞれの吸引機構に直近する樹脂フィルムの辺に直交する方向に相当する。
【0051】
また、図9の概略平面図に示すように樹脂フィルム16を載置台62に載置した場合に、平面視で樹脂フィルム16の端部から構成される枠線16−1を、その中心を同一として50%、好ましくは30%、より好ましくは15%縮小した仮想枠線16−2と、枠線16−1との間の領域に吸引機構64が存在するように、載置台62に吸引機構64を設けることが好ましい。なお、この際の吸引機構64の位置の基準は、吸引孔65の中心とする。
【0052】
上記アライメント時において、変形部位の検出を行った後、その変形量に応じて、吸引機構64−1、64−2、64−3及び64−4のうち樹脂フィルムの伸縮が必要な箇所に対応する吸引機構の吸引管を移動させることにより樹脂フィルムを伸縮させる。
【0053】
図10(a)は、ステージ60の他の例を示す概略平面図である。図示のように、吸引機構64は、載置台62の載置面62aの周縁部近傍だけでなく、載置面62aの中心側に更に設けられていてもよい。熱や周囲環境の変化による樹脂フィルム16の形状変化は、その部位によって異なるため、このように中心側にも設けることにより、各部位における変化量に合わせた伸縮を行うことが可能となる。
【0054】
図10(b)は、ステージ60の他の例を示す概略平面図である。図示のように、吸引機構64は、樹脂フィルムの載置時に、樹脂フィルムの角部近傍に対応する載置台62の部分に更に設けられていてもよい。これにより、それぞれの部位の形状変化量に合わせた伸縮を行うことが可能となる。
【0055】
図10(c)は、ステージ60の他の例を示す概略平面図である。図示のように、吸引機構64は、その移動可能な長さが長くなるように、格納部及び吸引管等の大きさや長さを変更してもよい。これによりあらゆるサイズの樹脂フィルムに対応することが可能となる。
【0056】
吸引機構64はこれらの例に限られずあらゆる形態をとることが可能である。例えば、図6に示す例では、載置台62の各辺の近傍にそれぞれ3つ吸引機構を設けているが、1つのみでもよいし、更に設けても良い。更に設けた場合には樹脂フィルムの各部位の伸縮量に合わせて緻密な形状調整を行うことができる。
【0057】
また、吸引機構64のそれぞれは、横方向又は縦方向のみでなく、横方向及び縦方向の両方に移動可能な構成とされていてもよい。これにより、あらゆる方向に移動可能となるので樹脂フィルム16の形状の微妙な調整を行うことが可能となる。更に、吸引機構の吸引孔を楕円状等として、吸引面積を広くすることも可能である。これにより、樹脂フィルムを強固に固定することができる。
【0058】
また、吸引機構64は、吸引管64bの端面64aの高さが、樹脂フィルムを載置したときに、その重量によって載置台62の載置面62aと略同一高さになる機構を備えていてもよい。すなわち、樹脂フィルムを載置する前は、端面64aが載置面62aと同一高さから上方に若干突き出しており樹脂フィルムを載置したときに、端面64aがその重量で下降する構成とされていても良い。これにより樹脂フィルム16の裏面側16bと吸引管64の端面64aが確実に対向接触し、吸引固定することができる。
【0059】
以上説明した例では、樹脂フィルム及び載置台は、平面形状が矩形状のものを例として説明したが、これに限られず、円状、楕円状、ひし形状、多角形状等あらゆる形状をとることができる。
【0060】
本発明において、樹脂フィルムの材質は、用途によって適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ4−メチル1−ペンテン、ポリカーボネート、シクロオレフィン共重合体、ポリメチルメタクリレート等、透明性や離型性等の物性により適宜選択する。樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、20〜1000μmの範囲であれば、固定機構により確実に固定することができる。
【0061】
本発明において、基板としては、ガラス基板、アクリル板等の硬質板の他、フレキシブル性を有する可撓性基板であってもよく、この場合、上記した樹脂フィルムと同様の材質を使用することができる。
【0062】
本発明において、樹脂フィルム及び基板に必要により形成されるパターンは、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性物質を真空蒸着法、CVD(化学蒸着法)、塗布法等で形成したライン電極やTFT電極等の電極パターン、熱インプリント法、光インプリント法、フォトリソグラフィ法、切削加工等により形成された凹凸パターン、インクジェット法、スクリーン印刷法等によって形成されたインクパターン等の種々の平面パターン等であり、用途によって適宜選択する。パターンの平面形状は、例えば、格子状、ハニカム状、三角形状、ストライプ状等の種々の形状をとることができ、用途によって適宜選択する。
【0063】
本発明のアライメント方法は、特にナノ〜マイクロメートルレベルの微細なパターンが形成されたフィルム及び基板の貼り合わせに適用することが有利である。パターンを有する樹脂フィルムの形状を調整することにより、パターンの寸法も同時に補正され、基板の所望の位置への貼り合わせが可能である。なお、樹脂フィルム及び基板に形成されるパターンは、貼り合わせ面であってもよく、貼り合わせ面とは反対側の面であってもよい。
【0064】
なお、本発明において「貼り合わせ」とは、樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面を直接接触させて貼り合わせる場合の他、樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面との間に接着剤層や光硬化性樹脂層等の介在層を介して貼り合わせる場合も含まれる。接着剤層の接着剤としては、アクリル系接着剤、メタクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等を塗布することにより、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)等の接着膜を貼り付ける等して施すことができる。
【0065】
アライメントを行った後、樹脂フィルムと基板とを実際に貼り合わせる方法は特に限定されない。例えば、プレス機を用いたプレス法やローラを用いたローララミネート法等を用いることができる。貼り合わせ時における空気の混入を防ぐため、真空雰囲気下でフィルムと基板との貼り合わせを行うことが好適である。
【0066】
なお、図1で示した貼り合わせ装置の例では、形状調整ステージ12を下側、基板保持体14を上側として配置した構成を示しているが、これらの配置構成は上下逆であってもよい。また、基板18として樹脂フィルムを使用した場合は、基板保持体14をステージ12と同様の構成を有する形状調整ステージとしてもよい。
【0067】
なお、本発明は上記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。上記実施の形態では、樹脂フィルムが収縮した場合に、本発明の形状調整装置により縁部を伸長させる例を示しているが、これとは逆に、樹脂フィルムが膨張した場合に、その縁部を収縮させて形状を調整することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、電子ペーパー、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ等の情報表示用パネル、太陽電池、プリント配線板等の装置やインプリント法等の工法等、樹脂フィルムと基板との積層を必要とする構造や工程を有する装置や方法等の分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 貼り合わせ装置
12 ステージ
14 基板保持体
16 樹脂フィルム
18 基板
22 測定器
40 ステージ
42 載置台
42a 載置面
42−1〜42−9 分割載置部
48 多孔質部材
50 中空部
52 吸引管
60 ステージ
62 載置台
64、64−1〜64−4 吸引機構
64a 吸引管端面
64b 吸引管
68 格納部
82 樹脂フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面とを貼り合わせる際に、前記樹脂フィルムと前記基板とを位置合わせするアライメント方法であって、以下の工程:
前記基板に対向するように配置されたステージに、前記樹脂フィルムの他方の面が接するように前記樹脂フィルムを載置し、該樹脂フィルムを前記他方の面側から固定する固定工程;
前記樹脂フィルムの変形部位を検出する検出工程;及び
前記変形部位の検出結果に基づいて、前記固定した状態で前記樹脂フィルムをその平面方向に伸縮する伸縮工程;
を含むことを特徴とする樹脂フィルムと基板とのアライメント方法。
【請求項2】
前記固定は、前記樹脂フィルムを載置した場合に前記樹脂フィルムの他方の面と接する固定部を有する固定機構により行われ、
前記樹脂フィルムの伸縮は、前記固定した状態で前記固定部を移動させることにより行うことを特徴とする請求項1に記載のアライメント方法。
【請求項3】
前記固定機構は、前記樹脂フィルムの他方の面を吸引することにより固定する吸引機構であることを特徴とする請求項2に記載のアライメント方法。
【請求項4】
前記樹脂フィルムの平面形状は多角形であり、
前記伸縮工程において、前記樹脂フィルムの各辺の中央乃至その近傍を伸縮することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項5】
前記ステージは複数に分割され、該分割されてなる複数の分割載置部のうち少なくとも一部が前記固定機構を有することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項6】
前記固定機構は吸引管を有し、前記樹脂フィルムを載置した状態で、前記吸引管の端面が前記樹脂フィルムの他方の面と接触対向していることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項7】
前記樹脂フィルムの変形部位の検出は、前記樹脂フィルムに対向するように配置された変形測定器で前記樹脂フィルムを測定することにより行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項8】
前記樹脂フィルムと前記基板の双方に設けられたアライメントマークを重ね合わせる工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項9】
樹脂フィルムと基板とを貼り合わせる方法であって、
前記樹脂フィルムと前記基板とのアライメントを、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法により行うことを特徴とする樹脂フィルムと基板との貼り合わせ方法。
【請求項1】
樹脂フィルムの一方の面と基板の一方の面とを貼り合わせる際に、前記樹脂フィルムと前記基板とを位置合わせするアライメント方法であって、以下の工程:
前記基板に対向するように配置されたステージに、前記樹脂フィルムの他方の面が接するように前記樹脂フィルムを載置し、該樹脂フィルムを前記他方の面側から固定する固定工程;
前記樹脂フィルムの変形部位を検出する検出工程;及び
前記変形部位の検出結果に基づいて、前記固定した状態で前記樹脂フィルムをその平面方向に伸縮する伸縮工程;
を含むことを特徴とする樹脂フィルムと基板とのアライメント方法。
【請求項2】
前記固定は、前記樹脂フィルムを載置した場合に前記樹脂フィルムの他方の面と接する固定部を有する固定機構により行われ、
前記樹脂フィルムの伸縮は、前記固定した状態で前記固定部を移動させることにより行うことを特徴とする請求項1に記載のアライメント方法。
【請求項3】
前記固定機構は、前記樹脂フィルムの他方の面を吸引することにより固定する吸引機構であることを特徴とする請求項2に記載のアライメント方法。
【請求項4】
前記樹脂フィルムの平面形状は多角形であり、
前記伸縮工程において、前記樹脂フィルムの各辺の中央乃至その近傍を伸縮することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項5】
前記ステージは複数に分割され、該分割されてなる複数の分割載置部のうち少なくとも一部が前記固定機構を有することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項6】
前記固定機構は吸引管を有し、前記樹脂フィルムを載置した状態で、前記吸引管の端面が前記樹脂フィルムの他方の面と接触対向していることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項7】
前記樹脂フィルムの変形部位の検出は、前記樹脂フィルムに対向するように配置された変形測定器で前記樹脂フィルムを測定することにより行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項8】
前記樹脂フィルムと前記基板の双方に設けられたアライメントマークを重ね合わせる工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のアライメント方法。
【請求項9】
樹脂フィルムと基板とを貼り合わせる方法であって、
前記樹脂フィルムと前記基板とのアライメントを、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法により行うことを特徴とする樹脂フィルムと基板との貼り合わせ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−105752(P2013−105752A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246150(P2011−246150)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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