説明

樹脂微粒子、トナー用添加剤、および静電荷像現像用トナー

【課題】非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少ない、トナー用添加剤などに好適に用いることができる、樹脂微粒子を提供する。また、このような樹脂微粒子からなる、トナー用添加剤を提供する。さらに、このようなトナー用添加剤を含む、カブリを十分に抑制でき画像濃度が非常に安定した電子写真を与えることができる静電荷像現像用トナーを提供する。
【解決手段】本発明の樹脂微粒子は、コア層の外周にシェル層を備えるコアシェル構造を有する樹脂微粒子であって、該コア層が芳香環構造含有樹脂からなり、該シェル層がアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂微粒子に関する。詳しくは、コア層の外周にシェル層を備えるコアシェル構造を有する樹脂微粒子に関する。
【0002】
本発明は、また、このような樹脂微粒子からなるトナー用添加剤に関する。詳しくは、電子写真方式の複写機やレーザープリンター等の画像形成装置における現像装置に用いられるトナー用添加剤に関する。
【0003】
本発明は、さらに、このようなトナー用添加剤を含む静電荷像現像用トナーに関する。
【背景技術】
【0004】
電子写真法においては、光導電体面上に静電荷像が形成され、この静電荷像上に、これと反対の電荷に帯電されたトナーを含む現像剤が接触し、トナーが付着して可視像を形成する。可視化されたトナー像は、必要に応じて転写紙等に転写後、定着され、複写物とされる。
【0005】
静電荷像の現像において用いられるトナーを帯電させる方法としては、二成分現像方式と一成分現像方式が知られている。二成分現像方式では、一般にキャリアと呼ばれる物質と混合・拡散して荷電が付与される。一成分現像方式では、現像スリーブやトナー規制ブレードなどとの接触により荷電が付与される。いずれの方式においても、トナーに均一かつ安定な荷電が付与されていなければ、現像および転写の際に問題が生じる。例えば、現像ローラーからトナーが脱落するという問題や、現像像の転写性の悪さから感光面が汚染され易いという問題が生じる。
【0006】
電子写真用トナーとしては、熱可塑性樹脂に着色剤を混合したものが一般的に用いられている。さらに、トナーの流動性、帯電性、クリーニング性等を向上させるために、外添剤を添加することが知られている。
【0007】
外添剤としては、例えば、アミノシランで処理した金属酸化物粉末からなる外添剤(特許文献1)、メラミン樹脂微粒子と無機微粒子からなる外添剤(特許文献2)が知られている。
【0008】
上記に挙げたような従来の外添剤は吸湿性が高い。このため、いわゆるカブリが発生しやすいという問題や、画像濃度が低下しやすいという問題がある。また、無機微粒子はそれ自体が硬いため、外添剤に用いると、トナー同士の接触・衝突によって、トナー表面に存在する該無機微粒子が表面より内側に埋没しやすくなり、外添剤としての効果が発現しにくいという問題がある。
【0009】
また、カチオン性アクリル重合体粒子を用いたトナー用外添剤が知られている(特許文献3)。
【0010】
しかし、上記に挙げたトナー用外添剤は、特定のカチオン性界面活性剤を用いることによって正帯電性を実現できてはいるが、吸湿性がやはり高く、特に、湿度の高い環境下においてトナー用外添剤としての十分な性能を発揮できないという問題がある。
【0011】
以上のような諸問題を踏まえて、先に本出願人は、通常の温度湿度下のみならず高温高湿下などのさまざまな負荷環境下においても、カブリの発生を抑制できるとともに安定した画像濃度を発現でき、トナー表面より内側への埋没を抑制することによって外添剤としての効果を十分に発現できる、高性能のトナー用添加剤として、コアシェル構造を有するアミノ樹脂架橋粒子からなるトナー用添加剤を開発して報告した(特許文献4)。
【0012】
上記に挙げたトナー用外添剤は、トナー用外添剤として十分に優れた性能を発現できるものである。しかし、アミノ樹脂架橋粒子は、アミノ樹脂の製造原料に起因するホルマリンが残存して含む。このため、低ホルマリン環境が強く望まれる場面においては、このようなアミノ樹脂架橋粒子の使用に対する抵抗が強く存在する。
【0013】
また、トナー用添加剤に求められる性能も一層厳しくなってきている。例えば、より一層安定した正帯電性の発現、より低い吸湿性の発現、よりシャープな粒度分布の発現、より精密にコントロールされた粒子径の発現、などが求められている。
【0014】
以上のようなことから、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少ない、トナー用添加剤などに好適に用いることができる、樹脂微粒子の開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開昭52−135739号公報
【特許文献2】特開平8−314182号公報
【特許文献3】特開2010−242054号公報
【特許文献4】特開2011−149984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少ない、トナー用添加剤などに好適に用いることができる、樹脂微粒子を提供することにある。
【0017】
また、本発明の課題は、このような樹脂微粒子を採用することにより、通常の温度湿度下のみならず高温高湿下などのさまざまな負荷環境下においても、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少なく、したがって、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、トナー表面より内側への埋没を抑制することによって外添剤としての効果を十分に発現できる、トナー用添加剤を提供することにある。
【0018】
さらに、このようなトナー用添加剤を含む、カブリを十分に抑制でき画像濃度が非常に安定した電子写真を与えることができる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の樹脂微粒子は、
コア層の外周にシェル層を備えるコアシェル構造を有する樹脂微粒子であって、
該コア層が芳香環構造含有樹脂からなり、
該シェル層がアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなる。
【0020】
好ましい実施形態においては、グアナミン化合物を含むアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなるシェル層を少なくとも一層含み、該アミン化合物中の該グアナミン化合物の含有割合が、該アミノ化合物の全量に対して、10〜100重量%である。
【0021】
好ましい実施形態においては、上記芳香環構造含有樹脂が芳香環構造含有ビニル重合体である。
【0022】
本発明のトナー用添加剤は、本発明の樹脂微粒子からなる。
【0023】
本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明のトナー用添加剤を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少ない、トナー用添加剤などに好適に用いることができる、樹脂微粒子を提供することができる。
【0025】
また、本発明によれば、このような樹脂微粒子を採用することにより、通常の温度湿度下のみならず高温高湿下などのさまざまな負荷環境下においても、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少なく、したがって、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、トナー表面より内側への埋没を抑制することによって外添剤としての効果を十分に発現できる、トナー用添加剤を提供することができる。
【0026】
さらに、本発明によれば、このようなトナー用添加剤を含む、カブリを十分に抑制でき画像濃度が非常に安定した電子写真を与えることができる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
≪A.樹脂微粒子≫
本発明の樹脂微粒子は、コア層の外周にシェル層を備えるコアシェル構造を有する。シェル層は単層であってもよく、複層であってもよい。シェル層が複層の場合、その層数は、好ましくは2層以上であり、より好ましくは2〜5層であり、さらに好ましくは2層である。シェル層の層数が、このような範囲であれば、樹脂微粒子の粒度分布がシャープとなり、粒子径を精密にコントロールすることができる。シェル層が5層より多い場合、粒子間の合一が起こり凝集物量が多くなり、粒度分布がブロードとなるおそれがある。また、工程が煩雑となり生産性が低下するおそれがある。
【0028】
本発明の樹脂微粒子の平均粒子径としては、任意の適切な平均粒子径を採用し得る。本発明の樹脂微粒子の平均粒子径は、該樹脂微粒子が有する特定のコアシェル構造によって、非常に精密にコントロールされ得る。
【0029】
本発明の樹脂微粒子の平均粒子径としては、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.01〜0.5μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.3μmであり、特に好ましくは0.05〜0.15μmであり、最も好ましくは0.07〜0.14μmである。
【0030】
本発明の樹脂微粒子の平均粒子径を上記のように非常に精密にコントロールできれば、該樹脂微粒子をトナー用添加剤としてトナーの表面に存在させて静電荷像現像用トナーとすることにより、従来品に比べてより一層、トナーの表面から脱落し難くすることができ、外添剤としての効果を十分に発現することができる。
【0031】
コア層となる粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01〜0.8μmであり、より好ましくは0.02〜0.4μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.2μmであり、特に好ましくは0.03〜0.1μmであり、最も好ましくは0.03〜0.08μmである。
【0032】
平均粒子径の評価方法については後述する。
【0033】
シェル層の総厚みは、コア層となる粒子の平均粒子径に対して、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15〜500%であり、さらに好ましくは20〜400%であり、特に好ましくは30〜350%である。
【0034】
シェル層が複層の場合、各層は、任意の適切な厚みに設定し得る。各層の厚みを合計した厚みは、上記シェル層の総厚みに相当する。シェル層が2層構成の場合、シェル層1層の厚みは、好ましくは、コア層となる粒子の平均粒子径に対して、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15〜400%であり、さらに好ましくは20〜300%であり、特に好ましくは30〜250%である。各層の厚みは、それぞれ同じ厚みであってもよく、異なる厚みであってもよい。
【0035】
本発明の樹脂微粒子の粒度分布のシャープさは、粒子径の変動係数(CV値)で示すことができる。本発明の樹脂微粒子の粒度分布は、該樹脂微粒子が有する特定のコアシェル構造によって、非常にシャープなものとなり得る。
【0036】
本発明の樹脂微粒子の粒子径の変動係数(CV値)としては、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは20%以下であり、最も好ましくは10%以下である。
【0037】
本発明の樹脂微粒子の粒子径の変動係数(CV値)が50%を超えると、例えば、本発明の静電荷像現像用トナーの表面におけるトナー用添加剤としての樹脂微粒子の固着状態のバラツキが大きくなり、外添剤としての効果が不十分となるおそれがある。
【0038】
粒子径の変動係数(CV値)の評価方法については後述する。
【0039】
本発明の樹脂微粒子は、該樹脂微粒子が有する特定のコアシェル構造によって、非常に安定した正帯電性を発現できる。このような正帯電性は、例えば、摩擦帯電量やゼータ電位で示すことができる。
【0040】
本発明の樹脂微粒子の摩擦帯電量は、好ましくは+5〜+300μC/gであり、より好ましくは+10〜+200μC/gであり、さらに好ましくは+20〜+180μC/gであり、特に好ましくは+30〜+150μC/gであり、最も好ましくは+40〜+150μC/gである。
【0041】
本発明の樹脂微粒子の摩擦帯電量が上記範囲内に収まる場合は、該樹脂微粒子は非常に安定した正帯電性を発現でき、該樹脂微粒子をトナー用添加剤としてトナーの表面に存在させて静電荷像現像用トナーとすることにより、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、外添剤としての効果を十分に発現することができる。
【0042】
摩擦帯電量の評価方法については後述する。
【0043】
本発明の樹脂微粒子の電荷保持率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、最も好ましくは95%以上である。
【0044】
本発明の樹脂微粒子の電荷保持率が上記範囲内に収まる場合は、該樹脂微粒子は非常に安定した正帯電性を発現でき、該樹脂微粒子をトナー用添加剤としてトナーの表面に存在させて静電荷像現像用トナーとすることにより、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、外添剤としての効果を十分に発現することができる。
【0045】
電荷保持率の評価方法については後述する。
【0046】
本発明の樹脂微粒子のゼータ電位は、好ましくは+5〜+300mVであり、より好ましくは+10〜+200mVであり、さらに好ましくは+20〜+180mVである。
【0047】
本発明の樹脂微粒子のゼータ電位が上記範囲内に収まる場合は、該樹脂微粒子は非常に安定した正帯電性を発現でき、該樹脂微粒子をトナー用添加剤としてトナーの表面に存在させて静電荷像現像用トナーとすることにより、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、外添剤としての効果を十分に発現することができる。
【0048】
ゼータ電位の評価方法については後述する。
【0049】
本発明の樹脂微粒子は、該樹脂微粒子が有する特定のコアシェル構造によって、吸湿性が十分に低いものとなり得る。このような吸湿性は、例えば、飽和吸湿量で示すことができる。
【0050】
本発明の樹脂微粒子の飽和吸湿量は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは4重量%以下であり、最も好ましくは3重量%以下である。本発明における樹脂微粒子の飽和吸湿量の下限値は、小さければ小さいほど好ましく、好ましくは0重量%である。
【0051】
本発明の樹脂微粒子の飽和吸湿量が上記範囲内に収まる場合は、該樹脂微粒子の吸湿性が十分に低いものとなり、該樹脂微粒子をトナー用添加剤としてトナーの表面に存在させて静電荷像現像用トナーとすることにより、通常の温度湿度下のみならず高温高湿下などのさまざまな負荷環境下においても、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、外添剤としての効果を十分に発現することができる。
【0052】
本発明の樹脂微粒子の残存ホルマリン量は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは250ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。本発明の樹脂微粒子の残存ホルマリン量が前記範囲内に収まる場合には、該樹脂微粒子をトナー用添加剤として用いる場合、あるいはトナー用添加剤をトナー表面に存在させて静電荷像現像用トナーとして使用するに際し、低ホルマリンが強く望まれる環境においてもトナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、外添剤としての効果を十分に発現することができる。
【0053】
本発明の樹脂微粒子におけるコア層は、芳香環構造含有樹脂からなる。
【0054】
芳香環構造含有樹脂は、芳香環を構造中に有する樹脂である。このような芳香環構造含有樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香環を有するビニル重合体、芳香環を有する架橋ビニル重合体などが挙げられる。これらの中でも、芳香環を有するビニル重合体、芳香環を有する架橋ビニル重合体が好ましい。芳香環を有するビニル重合体、芳香環を有する架橋ビニル重合体は、吸湿性が低く、工業的に平均粒子径が1μm以下のものを製造し易く、あるいは、入手し易い。
【0055】
芳香環を有するビニル重合体としては、芳香環含有ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体が挙げられる。
【0056】
芳香環含有ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体としては、例えば、1種以上の芳香環含有ビニル化合物と1種以上の他のビニル化合物との共重合体が挙げられる。
【0057】
芳香環含有ビニル化合物としては、芳香族ビニル化合物が好ましく、中でも例えば、スチレン系モノマーが好ましい。スチレン系モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン(エチルビニルベンゼン)などが挙げられる。芳香環含有ビニル化合物としては、上記スチレン系モノマー以外に、メタクリル酸ベンジルなどの芳香環を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0058】
他のビニル化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する化合物が挙げられる。このような他のビニル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等のポリエチレングリコール成分を有する単量体類;(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタンフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロアミル(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;等が挙げられる。
【0059】
他のビニル化合物としては、これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸エステルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
【0060】
したがって、芳香環を有するビニル重合体としては、1種以上の芳香環含有ビニル化合物と1種以上の他のビニル化合物との共重合体が好ましく、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体がより好ましい。
【0061】
芳香環を有する架橋ビニル重合体は、適度な架橋構造を有するので、このような重合体からなるコア層を有する樹脂微粒子をトナー用添加剤として用いると、トナーに適度な流動性を付与し得る。
【0062】
芳香環を有する架橋ビニル重合体としては、例えば、多官能芳香環含有ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体、単官能芳香環含有ビニル化合物および多官能ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体が挙げられる。前者として、多官能芳香環含有ビニル化合物および単官能ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体、多官能芳香環含有ビニル化合物および多官能ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体、多官能芳香環含有ビニル化合物および単官能芳香環含有ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体などが挙げられる。
【0063】
多官能芳香族ビニル化合物および単官能ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体としては、例えば、1種以上の多官能芳香環含有ビニル化合物と1種以上の他の単官能ビニル化合物との共重合体が挙げられる。
【0064】
多官能芳香環含有ビニル化合物および多官能ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体としては、例えば、1種以上の多官能芳香環含有ビニル化合物と1種以上の多官能ビニル化合物と必要に応じて1種以上の他の単官能ビニル化合物の共重合体が挙げられる。
【0065】
多官能芳香環含有ビニル化合物および単官能芳香環含有ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体としては、例えば、1種以上の多官能芳香環含有ビニル化合物と1種以上の単官能芳香環含有ビニル化合物と必要に応じて1種以上の他の単官能ビニル化合物または多官能ビニル化合物の共重合体が挙げられる。
【0066】
単官能芳香環含有ビニル化合物および多官能ビニル化合物を必須に含むビニルモノマーの重合体としては、例えば、1種以上の単官能芳香環含有ビニル化合物と1種以上の多官能ビニル化合物と必要に応じて1種以上の他の単官能ビニル化合物の共重合体が挙げられる。
【0067】
多官能芳香環含有ビニル化合物の中でも多官能芳香族ビニル化合物が好ましく、多官能芳香族ビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼンが挙げられる。
【0068】
他の単官能ビニル化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基を含有する化合物であればよい。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、等のポリエチレングリコール成分を有する単量体類;(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等のアルキル(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタンフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロアミル(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;等が挙げられる。
【0069】
単官能芳香環含有ビニル化合物の中でも単官能芳香族ビニル化合物が好ましく、中でも、単官能スチレン系モノマーが好ましい。単官能スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン(エチルビニルベンゼン)などが挙げられる。
【0070】
多官能ビニル化合物としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体、等が挙げられる。
【0071】
多官能ビニル化合物としては、これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、エチレングリコールジメタクリレートがより好ましい。
【0072】
芳香環を有する架橋性ビニル重合体を形成し得るモノマー中の、架橋性モノマー(多官能芳香環含有ビニル化合物、多官能ビニル化合物)の含有割合は、好ましくは1〜90重量%であり、より好ましくは10〜70重量%であり、さらに好ましくは20〜60重量%であり、特に好ましくは30〜50重量%である。
【0073】
本発明の樹脂微粒子におけるシェル層は、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物からなる。
【0074】
アミノ化合物としては、好ましくは、多官能アミノ化合物であり、より好ましくは、トリアジン環構造を有する多官能アミノ化合物である。
【0075】
アミノ化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0076】
トリアジン環構造を有する多官能アミノ化合物としては、例えば、メラミン;一般式(1)で表されるアミノ化合物;一般式(2)や一般式(3)などで表されるジアミノトリアジン化合物;ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、スピログアナミンなどのグアナミン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、メラミン、ベンゾグアナミンが好ましい。
【0077】
【化1】

【0078】
【化2】

【0079】
【化3】

【0080】
一般式(1)中、Rは、同一または異なり、水素原子または置換基があっても良いアルキル基を表し、Rの少なくとも1つは置換基があっても良いアルキル基である。一般式(1)中、Rは、好ましくは、水素原子、ヒドロキシアルキル基である。
【0081】
一般式(2)中、Rは、同一または異なり、直鎖構造または側鎖を有する構造である炭素原子数1〜2の炭化水素基(−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−)である。
【0082】
一般式(3)中、Rは、直鎖構造、側鎖を有する構造、置換基があっても良い芳香族環を有する構造、置換基があっても良い脂環を有する構造のいずれかである炭素原子数1〜8の炭化水素基である。なお、芳香族環を有する構造や脂環を有する構造は、側鎖を有する構造であっても良い。
【0083】
シェル層の少なくとも一層においては、好ましくは、アミノ化合物がグアナミン化合物を含む。より具体的には、シェル層が単層の場合、シェル層は、グアナミン化合物を含むアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなることが好ましい。シェル層が複層の場合は、複数のシェル層のうちの少なくとも一層が、グアナミン化合物を含むアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなることが好ましい。
【0084】
グアナミン化合物としては、例えば、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、スピログアナミンが挙げられ、好ましくはベンゾグアナミンである。このようなグアナミン化合物は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0085】
アミノ化合物中のグアナミン化合物の含有割合は、アミノ化合物の全量に対して、好ましくは10〜100重量%である。
【0086】
1つの好ましい実施形態においては、シェル層は単層である。シェル層が単層の場合、アミノ化合物中のグアナミン化合物の含有割合は、アミノ化合物の全量に対して、好ましくは10〜100重量%であり、より好ましくは20〜100重量%であり、さらに好ましくは40〜100重量%であり、さらに好ましくは50〜100重量%であり、さらに好ましくは60〜100重量%であり、さらに好ましくは70〜100重量%であり、さらに好ましくは80〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%であり、特に好ましくは95〜100重量%であり、最も好ましくは100重量%である。アミノ化合物中のグアナミン化合物の含有割合が上記範囲内に収まることにより、得られる樹脂微粒子は、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、トナー用添加剤などに好適に用いることができる。
【0087】
別の好ましい実施形態においては、シェル層は、第1のシェル層と第2のシェル層とを含む複層である。第1のシェル層は、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなる。第1のシェル層において、該アミノ化合物中のグアナミン化合物の含有割合は、アミノ化合物の全量に対して、50〜100重量%であり、好ましくは60〜100重量%であり、より好ましくは70〜100重量%であり、さらに好ましくは80〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%であり、特に好ましくは95〜100重量%であり、最も好ましくは100重量%である。
【0088】
本発明の樹脂微粒子におけるシェル層を構成する縮合物の原料であるアミノ化合物中の、グアナミン化合物以外のアミノ化合物は、例えば、メラミン;上記一般式(1)で表されるアミノ化合物;上記一般式(2)や上記一般式(3)などで表されるジアミノトリアジン化合物;などが挙げられ、好ましくは、メラミンや上記一般式(1)で表されるアミノ化合物であり、より好ましくはメラミンである。
【0089】
第2のシェル層は、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなる。第2のシェル層を構成する縮合物の原料としてのアミノ化合物は、メラミン、上記一般式(1)で表されるアミノ化合物、上記一般式(2)や上記一般式(3)などで表されるジアミノトリアジン化合物から選ばれる少なくとも1種を主成分とする。なかでも好ましくは、メラミンや上記一般式(1)で表されるアミノ化合物であり、より好ましくはメラミンである。
【0090】
第2のシェル層において、アミノ化合物中のメラミン、上記一般式(1)で表されるアミノ化合物、上記一般式(2)や上記一般式(3)などで表されるジアミノトリアジン化合物の合計含有割合は、アミノ化合物の全量に対して、50重量%以上であり、好ましくは60〜100重量%であり、より好ましくは70〜100重量%であり、さらに好ましくは80〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%であり、特に好ましくは95〜100重量%であり、最も好ましくは100重量%である。
【0091】
本発明の樹脂微粒子が第1のシェル層および第2のシェル層を有する場合、最外層は、第1のシェル層であってもよく、第2のシェル層であってもよい。例えば、シェル層が2層構成の場合、本発明の樹脂微粒子は、コア層/第1のシェル層/第2のシェル層という層構成であってもよく、コア層/第2のシェル層/第1のシェル層という層構成であってもよい。好ましくは、本発明の樹脂微粒子の最外層は、第2のシェル層である。このような構成であれば、適度に親水性を有しながら正帯電性が高く、かつ、電荷保持率に優れた樹脂微粒子を得ることができる。このような樹脂微粒子をトナー用添加剤としてトナーの表面に存在させて静電荷像現像用トナーとすることにより、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、外添剤としての効果を十分に発現することができる。
【0092】
本発明の樹脂微粒子におけるシェル層にはアミノ化合物以外の成分として、フェノール類を使用してもよい。フェノール類とは、フェノール性水酸基を有する化合物を意味する。フェノール性水酸基を有する化合物は、上記アミノ化合物と一緒に添加するなどアミノ化合物とホルムアルデヒドと共縮合することにより、ホルムアルデヒドとの縮合物、該フェノール類とアミノ化合物およびホルムアルデヒドの共縮合物としてシェル層に複合化できる。フェノール類の添加条件等については、本発明の作用効果を損なわない範囲で所望の吸湿性抑制効果を奏することができる。
【0093】
上記フェノール類の使用量としては、アミノ化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜3モルであり、より好ましくは0.2〜1.5モルである。
【0094】
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、混合クレゾール、p−n−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、混合イソプロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノ−ル、p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、2,4−ジ−s−ブチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,6−ジ−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−イソプロピルフェノール、3−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール等のフェノール性水酸基を有する化合物;カテコール、レゾルシン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等の分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物などが挙げられる。
【0095】
本発明の樹脂微粒子は、コアシェル構造を構築するための任意の適切な方法で製造し得る。例えば、水性媒体中でコア層となる粒子が分散された状態で、アミノ化合物とホルムアルデヒドを反応(付加縮合反応)させることによりアミノ樹脂からなるシェル層を形成する。通常、この反応は加熱下(50〜100℃)で行い、架橋度を高めるために、ドデシルベンゼンスルホン酸や硫酸などの酸触媒の存在下で行われる。
【0096】
コア層の製造方法としては、例えば、乳化重合、ミニエマルション重合、ソープフリー乳化重合、マイクロエマルション重合、懸濁重合などの任意の適切な樹脂粒子製造方法を採用し得る。好ましくは、レドックス系開始剤を用いた乳化重合による製造方法を採用し得る。レドックス系開始剤を用いた乳化重合による製造方法を採用すると、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされたコア層を製造し得る。
【0097】
シェル層の製造方法としては、例えば、特開2000−256432号公報、特開2002−293854号公報、特開2002−293855号公報、特開2002−293856号公報、特開2002−293857号公報、特開2003−55422号公報、特開2003−82049号公報、特開2003−138023号公報、特開2003−147039号公報、特開2003−171432号公報、特開2003−176330号公報、特開2005−97575号公報、特開2007−186716号公報、特開2008−101040号公報、特開2010−248475号公報などに記載のアミノ樹脂架橋粒子およびその製造方法を適用することが好ましい。具体的には、例えば、上記多官能アミノ化合物とホルムアルデヒドを、コア層となる粒子を分散含有させた水性媒体(好ましくは塩基性の水性媒体)中で反応(付加縮合反応)させて縮合物オリゴマーを生成させ、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物(アミノ樹脂)を含むシェル層を形成させることができ、好ましくは、該縮合物オリゴマーが溶解または分散する水性媒体にドデシルベンゼンスルホン酸や硫酸などの酸触媒を混合して硬化させることによって、架橋されたアミノ樹脂を含むシェル層を形成させることができる。複数のシェル層を形成させる場合は、例えば、内層から順に所望とする層数分の縮合物オリゴマーを生成させて、その後、該縮合物オリゴマーを硬化させればよい。縮合物オリゴマーを生成させる段階、架橋構造のアミノ樹脂とする段階は、いずれも、50〜100℃の温度で加熱された状態で行うことが好ましい。また、シェル層の膜厚が均一なシェル層とするためには、上記のシェル層形成反応は界面活性剤の存在下で行われることが好ましい。
【0098】
また、得られたコアシェル型樹脂微粒子の後処理方法(固液分離、乾燥、粉砕、分級等)については、特開2010−248475号公報記載の方法が適宜適用できる。
【0099】
≪B.トナー用添加剤≫
本発明のトナー用添加剤は、本発明の樹脂微粒子からなる。
【0100】
本発明のトナー用添加剤は、本発明の樹脂微粒子からなるので、通常の温度湿度下のみならず高温高湿下などのさまざまな負荷環境下においても、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少なく、したがって、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、トナー表面より内側への埋没を抑制することによって外添剤としての効果を十分に発現できる。
【0101】
≪C.静電荷像現像用トナー≫
本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明のトナー用添加剤を含む。
【0102】
本発明の静電荷像現像用トナー中の本発明のトナー用添加剤の含有割合は、好ましくは0.01〜20重量%であり、より好ましくは0.03〜10重量%であり、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。本発明の静電荷像現像用トナー中の本発明のトナー用添加剤の含有割合が0.01重量%未満であると、流動性や転写特性が劣るおそれがあり、一方、本発明の静電荷像現像用トナー中の本発明のトナー用添加剤の含有割合が20重量%を越えるものであると、定着性や転写性や流動性等の特性が低下してしまうおそれがあるとともに、トナーの調製が困難となるおそれがある。
【0103】
本発明の静電荷像現像用トナーは、好ましくは、バインダーとなる結着用樹脂剤および着色剤を必須成分として含む。本発明の静電荷像現像用トナーは、必要に応じて、オフセット防止剤や電荷制御剤等の通常のトナーに常用される添加剤が適宜配合されていても良い。本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明のトナー用添加剤以外のトナー用添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいても良い。本発明の静電荷像現像用トナーは、一成分系現像剤とする場合には、任意の適切な磁性微粒子が添加され得る。
【0104】
本発明の静電荷像現像用トナーの平均粒子径としては、好ましくは1〜25μmであり、より好ましくは3〜20μmである。
【0105】
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法としては、本発明のトナー用添加剤を含むようにするものであれば、任意の適切な静電荷像現像用トナーの製造方法を採用し得る。例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法などの各種の製造方法を採用し得る。また、本発明のトナー用添加剤の添加方法としては、好ましくは、トナー粒子の表面部位に付着ないし添加する、いわゆる外添の形態を採用し得る。
【0106】
本発明の静電荷像現像用トナーに用いられ得る結着用樹脂剤、着色剤、オフセット防止剤や電荷制御剤等の通常のトナーに常用される添加剤、磁性微粒子としては、任意の適切なものを採用し得る。
【0107】
上記結着用樹脂剤としては、例えば、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル酸系ポリマー、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、エポキシ系ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種のみで用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0108】
上記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料・染料、ニグロシン系染料、体質顔料などが挙げられる。これらは、1種のみで用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0109】
上記オフセット防止剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンワックス;パラフィンワックス;カルナウバワックス等の天然ワックス;などが挙げられる。
【0110】
上記磁性微粒子としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粉末;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の微粒子;などが挙げられる。これらは、1種のみで用いても良いし、2種以上を併用しても良い。なお、カーボンブラックなどの着色剤は、トナー粒子中での高い分散性を得るために、親水性ポリマーなどのグラフト処理等により表面改質されているものが好ましい。
【0111】
本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明のトナー用添加剤を含むので、カブリを十分に抑制でき画像濃度が非常に安定した電子写真を与えることができる。
【実施例】
【0112】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。また、本明細書において、「重量」とあるのは、「質量」と読み替えても良い。
【0113】
〔体積平均粒子径および変動係数(CV値)の測定〕
動的光散乱粒度分布測定装置(ピーエスエスジャパン社製「NICOMP380」)で測定した。
【0114】
〔飽和吸湿量〕
シャーレに樹脂微粒子を薄く伸ばした状態で、温度30℃、湿度90%RHで一定に保たれた雰囲気条件下で24時間放置した。放置によって吸湿した樹脂微粒子1gを測り取り、カールフィッシャー法により水分量を定量し、得られた水分量の百分率を飽和吸湿量(重量%)とした。
【0115】
〔摩擦帯電量〕
樹脂微粒子の摩擦帯電量を、下記条件のブローオフ式帯電測定機(京セラケミカル株式会社製、TB−200)にて測定した。
メッシュアパーチャ:32μm
ブロー圧:20kPa
粉体混合比:0.5重量部(鉄粉キャリア100重量部に対して)
【0116】
〔ゼータ電位〕
樹脂微粒子のゼータ電位を下記条件の投げ込み式ゼータ電位計(ピーエスエス社製、ESA−9800)にて測定した。
温度:25℃
溶媒:エタノール
粒子濃度:2重量%
【0117】
〔電荷保持率〕
真鍮製のセル内に試料を平滑に充填し、23℃/50%RH下で24時間放置した。その試料をコロナ帯電により、試料に約−500Vの初期電荷を与え、5分経過した後の電荷を読み取り、下記式により、電荷保持率を算出した。
電荷保持率(%)=100×(5分後の電荷(V)/初期電荷(V))
【0118】
〔20万枚連続複写試験〕
スチレン−n-ブチルアクリレート共重合体からなる結着用樹脂剤に着色剤としてカーボンブラックを分散させた平均粒子径11μmのトナー100重量部に対し、実施例または比較例で得られた樹脂微粒子0.5重量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、静電荷像現像用トナーを得た。得られた静電荷像現像用トナーについて、30℃、85%RHの条件下で、20万枚連続複写試験を行った。
試験すべき静電荷像現像用トナーを市販の複写機に入れ、30℃、85%RHの条件下で、20万枚の連続複写を行い、カブリの発生レベルを目視で判定した。
ランクA:カブリが認められない
ランクB:カブリが僅かに認められるが目立たない。
ランクC:カブリが認められ目立つ。
ランクBまでを合格レベルとした。
【0119】
〔残存ホルマリン量〕
超純水100ml中に試料0.5gを入れ、60℃にて加温し、30分間で溶出処理した液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定を行った(食品衛生法・食品、添加物等の規格基準:昭和34年厚生省告示第370号/ホルムアルデヒドを製造原料とする合成樹脂製の器具又は容器包装/昭和57年厚生省告示第20号に準拠)。
【0120】
〔実施例1〕
(コア粒子の作製)
攪拌機、温度計、および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水820部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.3部(有効成分60重量%;以下「DBSNa」と称する)を加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。
他方、上記反応釜とは異なる容器に、メタクリル酸メチル(以下「MMA」と称する)140部とジビニルベンゼン(有効成分81重量%;以下「DVB」と称する)60部とを混合して、単量体組成物200部を調製した。
上記反応釜内を窒素ガスで置換した後、上記単量体組成物20部(単量体組成物全量の10重量%)、0.4重量%過酸化水素水50部、および0.4重量%L−アスコルビン酸水溶液50部を上記反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。
次いで、上記単量体組成物の残部(単量体組成物全量の90重量%)180部、0.4重量%過酸化水素水450部、および0.4重量%L−アスコルビン酸水溶液450部を、各々異なる投入口より反応釜へ6時間かけて均一に滴下した。その後、内温を90℃まで昇温し、同温度で6時間保持して熟成を行い、コア粒子(1)が分散したコア粒子分散液(1)を得た。この分散液中のコア粒子(1)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は74nm、変動係数は13%であった。
(シェル層の形成によるコアシェル型樹脂微粒子の製造)
ベンゾグアナミン800部(以下「BG」と称する)、37重量%ホルマリン1040部、65重量%DBSNa96部、ドデシルベンゼンスルホン酸80部(以下「DBS」と称する)、イオン交換水10456部を均一に分散混合し、BG分散液を得た。
上記の90℃に保持されたコア粒子分散液(1)2022.3部中に上記のBG分散液を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに90℃で5時間保持し、その後30℃まで冷却して、コア粒子の表面がBGとホルムアルデヒドとの縮合物により被覆されたコアシェル型樹脂微粒子(1)を含有する分散液を得た。この分散液中のコアシェル型樹脂微粒子(1)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は131nm、変動係数は5%であった。
上記コアシェル型樹脂微粒子(1)を含有する分散液14494.3部に10%硫酸バンド水溶液160部を添加して、30分攪拌を行った。その後、その分散液を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキを190℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、コアシェル型樹脂微粒子(1)を得た。
コアシェル型樹脂微粒子(1)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0121】
〔実施例2〕
(コア粒子の作製)
60重量%DBSNaの量を5.5部にしたこと以外は実施例1のコア粒子の作製と同様に行い、コア粒子(2)が分散したコア粒子分散液(2)を得た。この分散液中のコア粒子(2)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は39nm、変動係数は24%であった。
(シェル層の形成によるコアシェル型樹脂微粒子の製造)
BG1000部、37重量%ホルマリン1300部、65重量%DBSNa115部、DBS100部、イオン交換水13000部を均一に分散混合し、BG分散液を得た。
別途、メラミン1000部、37重量%ホルマリン1930部、65重量%DBSNa115部、DBS100部、イオン交換水13000部を均一に分散混合し、メラミン分散液を得た。
上記の90℃に保持されたコア粒子分散液(2)2025.5部中に上記のBG分散液を1時間かけて滴下した。次いで、上記のメラミン分散液を1時間かけて滴下した。滴下後、さらに90℃で5時間保持し、その後30℃まで冷却して、コア粒子の表面が2層のシェル層により被覆されたコアシェル型樹脂微粒子(2)を含有する分散液を得た。分散液中のコアシェル型樹脂微粒子(2)は、コア粒子から順に、BGとホルムアルデヒドとの縮合物から構成されるシェル層、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合物から構成されるシェル層を有していた。また、分散液中のコアシェル型樹脂微粒子(2)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は68nm、変動係数は18%であった。
上記コアシェル型樹脂微粒子(2)を含有する分散液33685.5部に10%硫酸バンド水溶液400部を添加して、30分攪拌を行った。その後、その分散液を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキを190℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、コアシェル型樹脂微粒子(2)を得た。
コアシェル型樹脂微粒子(2)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0122】
〔実施例3〕
シェル層の形成によるコアシェル型樹脂微粒子の製造において、コア粒子分散液にメラミン分散液を滴下しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、コア粒子の表面がBGとホルムアルデヒドとの縮合物により被覆されたコアシェル型樹脂微粒子(3)を含有する分散液を得た。分散液中のコアシェル型樹脂微粒子(3)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は51nm、変動係数は22%であった。
上記コアシェル型樹脂微粒子(3)を含有する分散液17540.5部に10%硫酸バンド水溶液200部を添加して、30分攪拌を行った。その後、その分散液を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキを190℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、コアシェル型樹脂微粒子(3)を得た。
コアシェル型樹脂微粒子(3)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0123】
〔実施例4〕
(コア粒子の作製)
60重量%DBSNaの量を5.5部にしたこと以外は実施例1のコア粒子の作製と同様に行い、コア粒子(3)が分散したコア粒子分散液(3)を得た。この分散液中のコア粒子(3)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は40nm、変動係数は22%であった。
(シェル層の形成によるコアシェル型樹脂微粒子の製造)
BG1500部、37重量%ホルマリン1950部、65重量%DBSNa173部、DBS150部、イオン交換水19500部を均一に分散混合し、BG分散液を得た。
上記の90℃に保持されたコア粒子分散液(3)2025.5部のうち1825.5部を系外に抜き取り、残りのコア粒子分散液(3)200部中に、上記のBG分散液を10時間かけて滴下した。滴下後、さらに90℃で5時間保持し、その後30℃まで冷却して、コア粒子の表面がBGとホルムアルデヒドとの縮合物により被覆されたコアシェル型樹脂微粒子(4)を含有する分散液を得た。この分散液中のコアシェル型樹脂微粒子(4)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は290nm、変動係数は12%であった。
上記コアシェル型樹脂微粒子(4)を含有する分散液23473部に10%硫酸バンド水溶液300部を添加して、30分攪拌を行った。その後、その分散液を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキを190℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、コアシェル型樹脂微粒子(4)を得た。
コアシェル型樹脂微粒子(4)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0124】
〔比較例1〕
実施例1のコア粒子作製においてDVBのかわりにエチレングリコールジメタクリレートを使用したこと以外は実施例1と同様に行い、コアシェル型微粒子(C1)を含有する分散液を得た。
得られた分散液中のコアシェル型微粒子(C1)は凝集しており、平均粒子径および変動係数を測定することはできなかった。
上記コアシェル型樹脂微粒子(C1)を含有する分散液14494.3部に10%硫酸バンド水溶液160部を添加して、30分攪拌を行った。その後、その分散液を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキを190℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、コアシェル型樹脂微粒子(C1)を得た。
コアシェル型樹脂微粒子(C1)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0125】
〔比較例2〕
実施例1のコア粒子の作製において、60重量%DBSNaの量を0.7部にしたこと以外は実施例1のコア粒子の作製と同様に行い、ビニル重合体粒子(C2)を含有する分散液を得た。この分散液中のビニル重合体粒子(C2)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は156nm、変動係数は11%であった。
上記ビニル重合体粒子(C2)を含有する分散液2020.7部に10重量%硫酸バンド水溶液40部を添加して、30分攪拌を行った。その後、その分散液を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキを100℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、ビニル重合体粒子(C2)を得た。
ビニル重合体粒子(C2)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0126】
〔比較例3〕
攪拌機、温度計、および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水1710部および65重量%DBSNa6部を加え、内温を90℃まで昇温し、同温度に保った。
他方、上記反応釜とは異なる上記と同一設備を保有した反応容器に、メラミン100部、37重量%ホルマリン193部、25重量%アンモニア水3部を加え、70℃まで昇温して、同温度で30分間保持した後、上記90℃に保持された65重量%DBSNa水溶液中に投入して、5分間保持した。その後、10重量%DBS水溶液50部を投入して、さらに90℃にて5時間保持して熟成を行い、アミノ樹脂架橋粒子(C3)を含有する分散液を得た。この分散液中のアミノ樹脂架橋粒子(C3)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は189nm、変動係数は10%であった。
上記アミノ樹脂架橋粒子(C3)を含有する分散液2062部に10重量%硫酸バンド水溶液20部を添加して、30分攪拌を行った。その後、その分散液を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキを190℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、アミノ樹脂架橋粒子(C3)を得た。
アミノ樹脂架橋粒子(C3)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0127】
〔比較例4〕
(コア粒子の作製)
攪拌機、温度計、および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水2610部および65重量%DBSNa9.2部を加え、内温を90℃まで昇温し、同温度に保った。
他方、上記反応釜とは異なる上記と同一設備を保有した反応容器に、メラミン100部、37重量%ホルマリン193部、25重量%アンモニア水3部を加え、70℃まで昇温して、同温度で30分間保持した後、上記90℃に保持されたDBSNa水溶液中に投入して、5分間保持した。その後、10重量%DBS水溶液40部を投入して、さらに90℃にて5時間保持して熟成を行い、アミノ樹脂架橋粒子を含有する分散液2955.2部
を得た。
この分散液中のアミノ樹脂架橋粒子の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は122nm、変動係数は6%であった。
(シェル層の形成によるコアシェル型樹脂微粒子の製造)
BG100部、37重量%ホルマリン130部、65重量%DBSNa6.2部、DBS5部、イオン交換水350部を均一に分散混合し、BG分散液を得た。
上記の90℃に保持されたコア粒子分散液(C4)2955.2部中に上記のBG分散液を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに90℃で5時間保持し、その後30℃まで冷却して、コア粒子の表面がBGとホルムアルデヒドとの縮合物により被覆されたコアシェル型樹脂微粒子(C4)を含有する分散液を得た。この分散液中のコアシェル型樹脂微粒子(C4)の平均粒子径および変動係数を測定したところ、体積平均粒子径は150nm、変動係数は8%であった。
上記コアシェル型樹脂微粒子(C4)を含有する分散液3546.4部を遠心分離機により固液分離を行い、得られたケーキをメタノールにて分散洗浄した。そのメタノール分散液を再度固液分離して得られたケーキを190℃で5時間真空乾燥を行った後、ジェットミル粉砕機(粉砕圧:0.7MPa)による粉砕と気流分級を行い、コアシェル型樹脂微粒子(C4)を得た。
コアシェル型樹脂微粒子(C4)の各種物性を測定した結果を表1に示した。
【0128】
【表1】

【0129】
表1に示すように、本発明の樹脂微粒子は、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少なく、トナー用添加剤などに好適に用いることができることが判る。
【0130】
また、表1に示すように、本発明によれば、このような樹脂微粒子を採用することにより、通常の温度湿度下のみならず高温高湿下などのさまざまな負荷環境下においても、非常に安定した正帯電性を発現でき、吸湿性が十分に低く、粒度分布がシャープであり、粒子径が精密にコントロールされ、ホルマリン残存量が少なく、したがって、トナー表面からの脱落を極めて有効に防止でき、カブリの発生を十分に抑制できるとともに非常に安定した画像濃度を発現でき、トナー表面より内側への埋没を抑制することによって外添剤としての効果を十分に発現できるトナー用添加剤を提供することができることが判る。
【0131】
さらに、本発明によれば、このようなトナー用添加剤を含む、カブリを十分に抑制でき画像濃度が非常に安定した電子写真を与えることができる静電荷像現像用トナーを提供することができることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の樹脂微粒子、トナー用添加剤、静電荷像現像用トナーは、電子写真方式の複写機やレーザープリンター等の画像形成装置における現像装置に好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層の外周にシェル層を備えるコアシェル構造を有する樹脂微粒子であって、
該コア層が芳香環構造含有樹脂からなり、
該シェル層がアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなる、
樹脂微粒子。
【請求項2】
グアナミン化合物を含むアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物を含む樹脂からなるシェル層を少なくとも一層含み、
該アミン化合物中の該グアナミン化合物の含有割合が、該アミノ化合物の全量に対して、10〜100重量%である、請求項1に記載の樹脂微粒子。
【請求項3】
前記芳香環構造含有樹脂が芳香環構造含有ビニル重合体である、請求項1または2に記載の樹脂微粒子。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載の樹脂微粒子からなる、トナー用添加剤。
【請求項5】
請求項4に記載のトナー用添加剤を含む、静電荷像現像用トナー。



【公開番号】特開2013−64109(P2013−64109A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175693(P2012−175693)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】