説明

樹脂成形品の成形方法並びに成形装置

【課題】成形金型内に配置したフロート機構により、フランジ形成加工、玉縁形成加工、孔開け加工を行なう樹脂成形品の成形方法並びに成形装置であって、フロート機構の構造を簡素化することで金型の設計自由度を高める。
【解決手段】樹脂成形品20の成形装置40は、相互に型締め、型開き可能な成形上下型50,60と、成形下型60の凹部66内に配置されるフロート機構とから構成され、このフロート機構は、玉縁形成加工用、フランジ形成加工用、孔開け加工用の各フロートブロック70と、これを支持する膨張・収縮チューブ80とから構成され、膨張・収縮チューブ80内に流体供給系81から流体を充填することで膨張・収縮チューブ80を膨張させてフロートブロック70を上方に持ち上げ、フランジ形成加工、玉縁形成加工、孔開け加工を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアトリム、ラゲージトリム、トランクトリム等の自動車用内装部品に好適な樹脂成形品の成形方法並びに成形装置に係り、特に、樹脂成形品にフランジ、玉縁あるいはポケット開口等を形成するために成形金型に配置されるフロート機構の構造を簡素化することにより、金型の自由度を高めるとともに、金型強度を強固に維持でき、しかも金型費用も低減できる樹脂成形品の成形方法並びに成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、自動車用内装部品の代表的な部品である自動車用ドアトリムを示す正面図であり、図9は同自動車用ドアトリムの構成を示す断面図である。図面において、ドアトリム1は、図示しないドアパネルの室内面側に装着され、車両内の室内美観を高めるとともに、側突時等、乗員の安全保護を図る機能を備えている。そして、ドアトリム1は、ウエスト部にウエストフランジ2が形成されているとともに、ドアトリム1の外周部の全長、あるいはその一部には、玉縁3加工がなされており、ポケット開口4等の開口部が適宜位置に設けられている。
【0003】
通常、ドアトリム1を所要形状に成形する際にウエストフランジ2や玉縁3の形成加工及びポケット開口4等の孔開け加工は、同一の成形金型を用いて行なわれる。すなわち、図10に示すように、成形装置5は、成形上下型6,7から構成されており、成形上型6は昇降シリンダ6aにより所定ストローク上下動可能であるとともに、成形上型6の下方に位置する成形下型7は、連設する射出機7aから供給される溶融樹脂Mが成形上下型6,7間に形成されるキャビティC内に供給される。そのために、成形下型7には、マニホールド7b、ゲート7cが設けられている。そして、キャビティC内に溶融樹脂Mを射出充填して、樹脂成形品(ドアトリム)1を成形する際、ウエストフランジ2、玉縁3、あるいはポケット開口4を同時に形成するために成形下型7には、図10,図11に示すように、ウエストフランジ2形成用のフロートブロック8Aが駆動シリンダ9Aに上下動可能に支持されているとともに、玉縁3を形成するために、玉縁形成用のフロートブロック8Bが同様に駆動シリンダ9Bに支持されており、ポケット開口4を孔開け加工するのに使用する孔開け用のフロートブロック8Cが同様に駆動シリンダ9Cに支持されている。
【0004】
従って、駆動シリンダ9A,9B,9Cを駆動させて、各フロートブロック8A,8B,8Cを上昇させることで、ウエストフランジ2、玉縁3、ポケット開口4を形成している。尚、フロートブロックをシリンダ駆動する従来例としては、特許文献1に詳細に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−59461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来では、ドアトリム1を成形する成形装置5は、相互に型締め、型開き可能な成形上下型6,7をベースとして、成形下型7に駆動シリンダ9により上下駆動されるフロートブロック8が設けられており、成形上下型6,7の駆動とは別系統の駆動機構によりウエストフランジ2、玉縁3、ポケット開口4を形成していたが、各シリンダ9A,9B,9Cを設置するスペースが必要となり、シリンダ設置スペースにより金型の自由度が大きく制約を受けるという問題点が指摘されている。更に、シリンダを設置するための収容スペースが空洞となるため、金型強度が低下するとともに、設備費用が嵩むという欠点が同時に指摘されている。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、成形上下型の型締めにより画成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出充填することにより、樹脂成形品を成形する際、フランジ、玉縁形成用のフロート機構や、孔開け用のフロート機構の構造を簡素化した成形装置を使用することで、金型自由度及び金型強度を高め、しかもコストダウンを招来できる樹脂成形品の成形方法並びに成形装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者は、フランジ、玉縁形成用、あるいは孔開け用のフロート機構として、従来の油圧シリンダ等のシリンダ機構に替えて、流体をチューブ内に充填、あるいは排出させ、チューブの膨張及び収縮によりフロートブロックを昇降操作することで、フロート機構における構造の簡素化を図れることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、成形上下型を型締めすることで形成されるキャビティ内に溶融樹脂を射出充填することにより、所要形状の樹脂成形品を成形する樹脂成形品の成形工程と、上記樹脂成形品の外周部に、ウエストフランジ、あるいは玉縁を形成する外周加工工程、またはポケット開口等の開口部を開設する孔開け加工工程とからなる樹脂成形品の成形方法において、前記外周加工工程、あるいは孔開け加工工程は、成形下型の凹部内に膨張・収縮チューブが収容され、その上面にフロートブロックが支持され、膨張・収縮チューブ内に流体供給系から流体を充填し、膨張・収縮チューブを膨張させることでフロートブロックを成形上型の型面に当接するまで上昇させて外周加工、あるいは孔開け加工を行なうようにしたことを特徴とする。
【0010】
そして、本発明に使用する成形装置は、樹脂成形品を所要形状に成形するとともに、この樹脂成形品の外周にフランジまたは玉縁を形成するか、あるいはポケット開口を開設する樹脂成形品の成形装置において、前記成形装置は、相互に型締め、型開き可能な成形上下型と、樹脂成形品に形成するフランジ、あるいは玉縁もしくはポケット開口に相当して成形下型内に配置されるフロートブロックと、このフロートブロックを所定ストローク上下動可能に支持する膨張・収縮チューブとから構成されていることを特徴とする。
【0011】
従って、本発明によれば、成形上下型を型締めした後、キャビティ内に溶融樹脂を射出充填して所要形状に樹脂成形品を成形する際、成形下型に配置された膨張・収縮チューブ内に流体供給系から流体を充填して、膨張・収縮チューブを膨張させれば、膨張・収縮チューブの上面に支持されたフロートブロックは成形上型の型面に当接するまで上昇する。そして、このフロートブロックにより、フランジ形成加工、玉縁形成加工、孔開け加工がなされることで、成形と同時に必要な加工を精度良く行なうことができる。また、成形が完了し、成形上型が上昇して、型開きが行なわれる際、膨張・収縮チューブ内の流体が流体排出系から外部に排出されれば、膨張・収縮チューブが収縮状態となり、それに伴ないフロートブロックが下降することで、フロートブロックを元の位置に戻すことができる。
【0012】
このように、本発明によれば、膨張・収縮チューブ内に流体を供給、あるいは排出して、チューブを膨張・収縮状態に制御することでフロートブロックを昇降操作するというものであるから、従来の油圧シリンダに比べ構造を簡素化することができるとともに、スペース的にも膨張・収縮チューブを収容するスペースだけを確保すれば良いため、金型の設計自由度、加工自由度を高めることができる。更に、シリンダ収容スペースのように大きな空洞が金型に形成されないため、金型強度の大幅な低下を防止でき、しかも、シリンダの使用に比べコスト的にも廉価に実施することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明した通り、本発明に係る樹脂成形品の成形方法並びに成形装置によれば、樹脂成形品に形成するフランジ、玉縁、ポケット開口等に対応して金型に設けるフロート機構として、フロートブロックと、フロートブロックを上下動させる膨張・収縮チューブを使用するという構成であるから、従来の油圧シリンダに比べ、スペースを多く必要としないため、金型の設計自由度、加工自由度を向上させることができるという効果を有する。更に、従来の油圧シリンダに比べ、制御が簡単に行なえるため、廉価に実施できるとともに、シリンダ収容スペースを大きく空洞化させることがないため、金型強度を強固に維持できるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る樹脂部品の成形方法並びに成形装置の具体的な実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
【実施例】
【0015】
図1乃至図7は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明方法により成形してなるドアトリムを示す正面図、図2は同ドアトリムの構成を示す断面図、図3は本発明に係る成形装置の概略構成を示す説明図、図4,図5は同成形装置におけるフロート機構の構成を示す各説明図、図6,図7は本発明方法における樹脂成形品の成形工程を示す各説明図である。
【0016】
図1,図2において、自動車用ドアトリム10は、ベースとしての樹脂成形品であるドアトリム本体20に各種機能部品を装着して構成されている。まず、ドアトリム本体20の構成について説明する。ドアトリム本体20は、後述するが、成形型内に溶融樹脂を射出充填することで所望の曲面形状に成形されており、使用する合成樹脂材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。
【0017】
そして、ドアトリム本体20のウエスト部には、図示しないドアインナーシールを装着するためのウエストフランジ21が形成されているとともに、ドアトリム本体20の側縁及び下縁の全長、あるいはその一部には、玉縁22が形成されている。更に、ドアトリム本体20の正面ほぼ中央には、乗員が肘を掛けて休めるようにアームレスト23が室内側に膨出する形状に形成されており、このアームレスト23の下部側に備品を収容できるポケット開口24が開設されている。
【0018】
そして、上述した構成のドアトリム本体20に対して、中接部中央よりやや前側にインサイドハンドルユニット30が装着されており、アームレスト23の上面には、ドア開閉時に使用するプルハンドルユニット31が装着され、それより前側には、パワーウインドウスイッチ等の操作部を設けたスイッチユニット32が取り付けられている。また、図2に示すように、ポケット開口24の背面側には、合成樹脂の射出成形体からなるポケットバックカバー33が超音波溶着固定、あるいはビス止め固定により取り付けられているとともに、ポケット開口24のフロント側には、スピーカグリル34がドアトリム本体20と一体、あるいは別体に設けられている。
【0019】
本発明方法を適用して製作したドアトリム10の構成は以上の通りであるが、ドアトリム10におけるドアトリム本体20に形成するウエストフランジ21、玉縁22、ポケット開口24等の加工に使用するフロート機構の構造を簡素化したことが特徴である。次に、図3を基にドアトリム10におけるドアトリム本体20を成形する成形装置40の全体構成について説明する。この成形装置40は、相互に型締め、型開き可能な成形上型50、成形下型60、フロート機構(フロートブロック70、膨張・収縮チューブ80からなる)とから大略構成されている。
【0020】
更に詳しくは、成形上型50は、昇降シリンダ51の駆動により所定ストローク上下動可能であるとともに、その下側に位置する成形下型60は、溶融樹脂Mの供給系としての射出機61が連設され、この射出機61から供給される溶融樹脂Mは、成形下型60に設けられているマニホールド62、ゲート63を通じて成形上下型50,60間に形成されるキャビティC内に供給される。尚、成形下型60には、アンダーカット状のウエストフランジ21を形成するために、直上げコア64が傾斜ロッド64aにより支持され、傾斜ロッド64aの下端は、エジェクタプレート65に取り付けられている。
【0021】
次いで、成形下型60に配設されるフロート機構は、図3に示すように、成形下型60において、玉縁22を形成するために成形上下型50,60のキャビティCの外周に対応して玉縁形成用のフロートブロック70Aが対応する膨張・収縮チューブ80Aに支持されており、これら玉縁形成用のフロートブロック70A、膨張・収縮チューブ80Aは、成形下型60の凹部66内に収容されている。また、ドアトリム本体20に形成されるウエストフランジ21に対応して、フランジ形成用のフロートブロック70Bが対応する膨張・収縮チューブ80Bに支持され、成形下型60の凹部66内に収容されている。そして、ドアトリム本体20に形成されるポケット開口24に対応して、孔開け用のフロートブロック70Cがこれも膨張・収縮チューブ80C上に支持され、凹部66内に収容されている。
【0022】
次に、このフロート機構の構成について、玉縁形成用、フランジ形成用、孔開け用の各フロートブロック70及び膨張・収縮チューブ80について、図4,図5を基に説明する。図4(a)は膨張・収縮チューブ80の膨張状態、図4(b)は膨張・収縮チューブ80の収縮状態をそれぞれ示している。すなわち、成形下型60の凹部66内にフロートブロック70、膨張・収縮チューブ80が収容されるが、具体的には、フロートブロック70のガイド部71が凹部66内で上下方向に立設されたガイド壁67にガイドされ、このガイド壁67内に膨張・収縮チューブ80が収容されている。更に、フロートブロック70の両側は、引張りコイルバネ72により常時下方向にバネ付勢されている。
【0023】
従って、膨張・収縮チューブ80内に流体が充填されれば、図4(a)に示すように、膨張・収縮チューブ80が膨張して、引張りコイルバネ72のバネ圧に対してフロートブロック70を上方に持ち上げ、成形上型50の型面に当接するまでフロートブロック70を上昇させる。そして、ウエストフランジ21、玉縁22、ポケット開口24がフロートブロック70により形成された後、成形上型50の型開き動作と連繋して、膨張・収縮チューブ80内の流体が外部に排出される。すなわち、図4(b)に示すように、膨張・収縮チューブ80内の流体が排出されれば、膨張・収縮チューブ80が収縮状態となり、引張りコイルバネ72のバネ圧によりフロートブロック70はガイド壁67の上面に当接するまで下降する。ここで、膨張・収縮チューブ80は、フッ素ゴムやシリコンゴム等の軟質材料から構成されており、チューブ径10〜30mm、チューブ厚み1〜8mmで、膨張・収縮チューブ80の一方端は、流体供給系81に接続され、他方端は、流体排出系82に接続されている(図5参照)。例えば、膨張・収縮チューブ80の流体供給系81としては、ブロワ等が使用でき、他方端に接続される流体排出系82としては、真空ポンプ等の使用が可能であり、流体としては、エア、ガス等の気体、あるいはオイル等の液体が適宜選択されて良い。また、引張りコイルバネ72に替えて、押圧コイルバネによりフロートブロック70を下方向に付勢するようにしても良い。
【0024】
次いで、図6,図7に基づいて、ドアトリム10におけるドアトリム本体20の成形方法について説明する。図6に示すように、成形装置40において、成形上型50は、昇降シリンダ51の駆動により下死点まで下降しており、成形上下型50,60は、型締めされて両者間でキャビティCが画成され、このキャビティC内に射出機61、マニホールド62、ゲート63を通じて溶融樹脂Mが射出充填される。尚、本実施例では、溶融樹脂Mとしては、住友ノーブレンBUE81E6(住友化学工業製ポリプロピレン、メルトインデックス=65g/10分)でタルク等のフィラーが適宜割合で混入された複合樹脂材料が使用されている。
【0025】
そして、キャビティC内に溶融樹脂Mが射出充填されてドアトリム本体20が所要形状に成形されるが、この時、成形下型60の凹部66内にそれぞれ配置されているフロート機構が連繋して駆動する。すなわち、玉縁形成用のフロートブロック70A、フランジ形成用のフロートブロック70B、孔開け用のフロートブロック70Cがそれぞれ対応する膨張・収縮チューブ80A,80B,80Cの膨張作用により上昇して、成形上型50の型面に当接して、ウエストフランジ21、玉縁22、ポケット開口24が形成される。図7は、フロートブロック70が膨張・収縮チューブ80の膨張作用により上昇した状態を示しており、成形が完了すれば、成形上下型50,60が型開きすると同時に、膨張・収縮チューブ80内の流体が外部に排出されることで、各フロートブロック70A,70B,70Cが下降して元位置に戻る。
【0026】
このように、本発明に係るドアトリム本体(樹脂成形品)20の成形方法によれば、従来のシリンダ駆動に替えて、膨張・収縮チューブ80の膨張作用、収縮作用により、フロートブロック70の昇降動作を行なうというものであるから、従来の油圧シリンダに比べ制御が簡単であるため、廉価に実施できるとともに、収容スペースも多くとらないため、成形下型60における設計自由度、加工自由度が向上するとともに、成形下型60の金型強度も良好に維持できるという作用効果を備えている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上説明した実施例においては、ドアトリム本体20の成形と同時にウエストフランジ21、玉縁22、ポケット開口24をそれぞれ対応するフロート機構70,80を採用して一体に設けたが、上述した構成以外にも、単一のフロート機構のみを使用することもできる。更に、ドアトリム本体20に適用したが、樹脂成形品全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る樹脂成形品の成形方法を適用して製作した自動車用ドアトリムを示す説明図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】図1に示す自動車用ドアトリムにおけるドアトリム本体の成形に使用する成形装置を示す概要図である。
【図4】図3に示す成形装置におけるフロートブロックと膨張・収縮チューブの構成を示す(a)チューブ膨張時の状態、(b)チューブ収縮時の状態をそれぞれ示す説明図である。
【図5】図3に示す成形装置に使用するフロート機構における膨張・収縮チューブの構成を示す説明図である。
【図6】本発明に係る樹脂成形品の成形方法を適用したドアトリム本体の成形工程を示す説明図である。
【図7】ドアトリム本体の成形工程におけるフロート機構の動作を示す説明図である。
【図8】従来の自動車用ドアトリムを示す正面図である。
【図9】図8中IX−IX線断面図である。
【図10】従来のドアトリム本体の成形に使用する成形装置の構成を示す説明図である。
【図11】従来の成形装置におけるフロート機構の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
10 自動車用ドアトリム
20 ドアトリム本体(樹脂成形品)
21 ウエストフランジ
22 玉縁
23 アームレスト
24 ポケット開口
30 インサイドハンドルユニット
31 プルハンドルユニット
32 パワーウインドウスイッチユニット
33 ポケットバックカバー
34 スピーカグリル
40 成形装置
50 成形上型
51 昇降シリンダ
60 成形下型
61 射出機
62 マニホールド
63 ゲート
66 凹部
67 ガイド壁
70 フロートブロック
70A 玉縁形成用のフロートブロック
70B フランジ形成用のフロートブロック
70C 孔開け用のフロートブロック
71 ガイド部
72 引張りコイルバネ
80,80A,80B,80C 膨張・収縮チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形上下型(50,60)を型締めすることで形成されるキャビティ(C)内に溶融樹脂(M)を射出充填することにより、所要形状の樹脂成形品(20)を成形する樹脂成形品(20)の成形工程と、上記樹脂成形品(20)の外周部に、ウエストフランジ(21)、あるいは玉縁(22)を形成する外周加工工程、またはポケット開口(24)等の開口部を開設する孔開け加工工程とからなる樹脂成形品(20)の成形方法において、
前記外周加工工程、あるいは孔開け加工工程は、成形下型(60)の凹部(66)内に膨張・収縮チューブ(80)が収容され、その上面にフロートブロック(70)が支持され、膨張・収縮チューブ(80)内に流体供給系(81)から流体を充填し、膨張・収縮チューブ(80)を膨張させることでフロートブロック(70)を成形上型(50)の型面に当接するまで上昇させて外周加工、あるいは孔開け加工を行なうようにしたことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項2】
樹脂成形品(20)を所要形状に成形するとともに、この樹脂成形品(20)の外周にフランジ(21)、または玉縁(22)を形成するか、あるいはポケット開口(24)を開設する樹脂成形品の成形装置(40)において、
前記成形装置(40)は、相互に型締め、型開き可能な成形上下型(50,60)と、樹脂成形品(20)に形成するフランジ(21)、あるいは玉縁(22)もしくはポケット開口(24)に相当して成形下型(60)内に配置されるフロートブロック(70)と、このフロートブロック(70)を所定ストローク上下動可能に支持する膨張・収縮チューブ(80)とから構成されていることを特徴とする樹脂成形品の成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−160872(P2009−160872A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2232(P2008−2232)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】