説明

樹脂温度検知装置及び射出成形機

【課題】温度センサを容易に交換できる樹脂温度検知装置を提供する。
【解決手段】加熱用バレルシリンダと、加熱用バレルシリンダの先端に取り付けられたノズル5と、を備える射出成形機に設置される樹脂温度検知装置8である。
そして、ノズル5の後端面59には嵌合凹部53が設けられ、嵌合凹部53には流路81aを有する測温リング81と測温リング81をノズル5の先端に向かって押圧するコマ51,52とが嵌め合わされ、測温リング81には温度センサ83を有する測温パイプ82が流路56と直交するように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に取り付けられて樹脂温度を検知する樹脂温度検知装置と射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂を軟化する温度まで加熱しつつ圧力を加えて金型内に充填することで樹脂成形品を製造する射出成形機が知られている。
【0003】
この射出成形機を用いて樹脂成形品を製造する場合、圧力管理などとともに溶融樹脂の温度管理が特に重要となっている。
【0004】
このため、従来、種々の構成の樹脂温度検知装置が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1には、スクリュ先端からノズルに至る溶融樹脂の流路と直角に、流路を横切る小径の管を設置し、この小径管内に流路のほぼ中心に位置するように温度センサを設けた射出成形機の樹脂温度検出装置が開示されている。
【0006】
そして、この樹脂温度検出装置は、ノズル本体の流路に直交して円柱形の開口部が設けられ、この開口部に温度センサを有する円柱形のブッシュが設置されることを特徴としている。
【0007】
このように構成することで、樹脂の流れを滞留させずに温度を正確に測定できるうえに、構造が簡単で安価な樹脂温度検出装置となる。
【特許文献1】特公平6−61796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1の構成では、使用に際して繰り返して圧力が作用するとブッシュを固定するボルトが破損するおそれがあった。
【0009】
また、温度センサを有するシースがブッシュに銀ロー付けされているため、温度センサが故障しても交換しにくいという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、圧力が作用しても破損しにくく、温度センサを容易に交換できる樹脂温度検知装置とこの樹脂温度検知装置を備える射出成形機とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の樹脂温度検知装置は、加熱用バレルシリンダと、前記加熱用バレルシリンダの先端に取り付けられたノズルと、を備える射出成形機に設置される樹脂温度検知装置であって、前記ノズルの後端面には嵌合凹部が設けられ、前記嵌合凹部には流路を有する測温リングと前記測温リングを前記ノズルの先端に向かって押圧するコマとが嵌め合わされ、前記測温リングには温度センサを有する測温パイプが流路と直交するように設けられることを特徴とする。
【0012】
また、前記測温リング及び前記ノズルには流路に直交する連通孔が設けられるとともに、前記連通孔には前記測温パイプが抜き差し可能に挿入されることが好ましい。
【0013】
さらに、前記温度センサは前記測温パイプに抜き差し可能に挿入されることが好ましい。
【0014】
そして、本発明の射出成形機は、上記したいずれかの樹脂温度検知装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明の樹脂温度検知装置は、射出成形機に設置される樹脂温度検知装置であって、ノズルの後端面には嵌合凹部が設けられ、この嵌合凹部には流路を有する測温リングと測温リングをノズルの先端に向かって押圧するコマとが嵌め合わされ、測温リングには温度センサを有する測温パイプが流路と直交するように設けられている。
【0016】
したがって、測温リングがボルト等の固定部材を用いることなく、コマによってノズルの先端に向かって押圧されて固定されるため、使用に際して繰り返して圧力が作用しても固定部材が破損するおそれがない。
【0017】
また、測温リング及びノズルには流路に直交する連通孔が設けられるとともに、この連通孔には測温パイプが抜き差し可能に挿入されることで、測温パイプや温度センサが故障しても容易に取替えできる。
【0018】
さらに、温度センサは測温パイプに抜き差し可能に挿入されることで、温度センサのみを交換することもできる。
【0019】
そして、本発明の射出成形機は、上記したいずれかの樹脂温度検知装置を備えることで、樹脂温度を正確にリアルタイムで測定できることで品質の優れた樹脂成形品を製造できるうえに、故障した際にも迅速に復旧できることで生産効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
まず、図2を用いて本発明の樹脂温度検知装置8を備える射出成形機1の全体構成を説明する。
【0022】
本発明の射出成形機1は、塩化ビニル樹脂などの粘度が高い樹脂を射出成形するためのもので、図2に示すように、スクリュ(不図示)を駆動させるスクリュ駆動装置3と、このスクリュ駆動装置3に連結されて回転駆動するスクリュを内蔵する加熱用バレルシリンダ2と、この加熱用バレルシリンダ2に投入する材料を受容するホッパ4と、この加熱用バレルシリンダ2の先端に取り付けられるノズル5と、このノズル5から溶融樹脂を射出される型を有する型締め装置6と、全体を支持するとともに種々の制御機器を有する本体7と、を備えている。
【0023】
なお、本実施の形態の射出成形機1によって成形される塩化ビニル樹脂(特に硬質塩化ビニル樹脂)は、光沢もあり衝撃にも強いという特性を有する一方で、成形に最適な温度の幅が狭く、温度を上げすぎると分解してガスを出して金型や成形機を腐食させるため、温度管理を特に厳重に行う必要がある。
【0024】
スクリュ駆動装置3は、スクリュを回転させる油圧モータなどの回転手段と、スクリュを前進・後退させる油圧シリンダなどの押出手段と、を備えて本体7に固定されている。
【0025】
また、加熱用バレルシリンダ2は、樹脂材料を可塑化する部分であり、金属によって厚肉の円筒状に形成されるもので、外側にはバンドヒータ(不図示)が巻かれるとともに、内側にはスクリュが前進・後退可能に挿入されて、スクリュ駆動装置3に連結されている。
【0026】
さらに、ホッパ4は、樹脂を受容して加熱用バレルシリンダ2に投入するためのもので、金属などによってじょうご状に形成されて加熱用バレルシリンダ2の付け根に取り付けられている。
【0027】
また、型締め装置6は、金型を固定するためのもので、樹脂成形品の形状に合わせて形成された金型、金型を締め付けて固定する固定側ダイプレート及び移動側ダイプレート、この移動側ダイプレートを移動させる油圧シリンダなどを備えている。
【0028】
そして、本実施の形態のノズル5は、図1,4に示すように、肉厚の略円筒形に形成される本体部50と、本体部50の外周面を覆うように取り付けられるバンドヒータ55と、本体部50の後端面59に設けられた嵌合凹部53に嵌め合わされる測温リング81と、測温リング81をノズル5の先端に向かって押圧するコマとしての調整コマ51及び誘導コマ52と、を備えている。
【0029】
本体部50は、金属によって肉厚の略円筒形に形成されるもので、金型に当接させる先端部58は弾頭状に形成され、円筒が拡径された後端部の外周面には取付溝50aが設けられ、後端面59には中心の流路56を拡径するようにして嵌合凹部53が設けられる。
【0030】
この取付溝50aは、ノズル5の後端部の外周面に設けられるネジ溝であり、加熱用バレルシリンダ2に設けたノズル5と同径のネジ孔に嵌合して強固に固定されるようになっている。
【0031】
加えて、嵌合凹部53は、本体部50の中心軸と同心円の円形断面の貫通孔として形成された流路56を、円筒の中央近傍で拡径するようにして形成されるもので、測温リング81や調整コマ51や誘導コマ52の先端側が嵌合する細径凹部と誘導コマ52の後端側が嵌合する太径凹部とを有して形成される。
【0032】
さらに、本体部50には、嵌合凹部53に嵌め合わされる測温リング81の連通孔81bの位置に対応して直径方向に貫通する連通孔54が設けられ、側面にはバンドヒータ55によって加熱されたノズル5自体の温度を測定する温度センサ57が挿入されるセンサ孔が設けられている。
【0033】
また、調整コマ51は、溶融樹脂の流量等を調整するためのもので、金属によって嵌合凹部53の内径と同一の外径を有する短円筒状に形成され、測温リング81と誘導コマ52との間に挟まれて固定されている。
【0034】
加えて、この短円筒状の調整コマ51には、中心軸と同心円の円形断面の流路51aが貫通して設けられている。
【0035】
さらに、誘導コマ52は、溶融樹脂をスムーズに流路56に誘導するためのもので、金属によって2段の円筒状に形成され、嵌合凹部53の細径部の内径と同一の外径を有する細径部と嵌合凹部53の太径部の内径と同一の外径を有する太径部とを有している。
【0036】
加えて、この2段の円筒状の誘導コマ52には、中心軸と同心円の円形断面の流路52aが、ノズル5の先端側から後端側へテーパ状に拡径するように貫通して設けられている。
【0037】
したがって、本体部50の先端側の流路56と、後述する測温リング81に設けた流路81aと、調整コマ51及び誘導コマ52にそれぞれ設けた流路51a,52aと、は設置された状態で軸方向に連通している。
【0038】
加えて、測温リング81と調整コマ51と誘導コマ52の軸方向の合計長さは、嵌合凹部53の軸方向の深さよりも長く形成されるとともに、測温リング81と調整コマ51と誘導コマ52の細径部の軸方向の合計長さは、嵌合凹部53の細径凹部の軸方向の深さよりも長く形成されることで、ノズル5を加熱用バレルシリンダ2に締め付けて固定した際に測温リング81を嵌合凹部53の先端面に押圧できるように形成されている。
【0039】
また、バンドヒータ55は、ノズル5の本体部50を加熱して、流路56,81a,51a,52aを流れる溶融樹脂を加熱するためのもので、発熱線を耐熱マイカで絶縁し、ステンレスなどで覆うことで形成される。
【0040】
そして、本実施の形態の樹脂温度検知装置8は、ノズル5の嵌合凹部53の最も先端側に嵌め合わされる測温リング81と、この測温リング81に抜き差し可能に挿入される測温パイプ82と、この測温パイプ82に抜き差し可能に挿入される温度センサ83と、を備えて構成される。
【0041】
測温リング81は、金属によって嵌合凹部53の内径と同一の外径を有する短円筒状に形成され、嵌合凹部53の端面と調整コマ51との間に挟まれて固定されている。
【0042】
加えて、この短円筒状の測温リング81には、中心軸と同心円の円形断面の流路81aが軸方向に貫通して設けられるとともに、中心軸に直交する連通孔81bが直径方向に貫通して設けられる。
【0043】
また、測温パイプ82は、金属によって連通孔54,81bの内径と略同一の外径を有する円柱状に形成され、本体部50に設けた連通孔54と測温リング81に設けた連通孔81bとの両方を貫通するように、抜き差し可能に挿入されている。
【0044】
加えて、この円柱状の測温パイプ82には、挿入される温度センサ83が流路81aの中心近傍に位置するように、設置された状態で中央近傍位置に対応する深さまでセンサ孔82aが設けられている。
【0045】
さらに、温度センサ83は、保護管の内部に封入された2種類の金属による熱起電力を測定する熱電対タイプのセンサであり、保護管がセンサ孔82aの内径と略同一径の外径を有することで、センサ孔82aに抜き差し可能に挿入されている。なお、この温度センサ83としては、熱電対タイプに限定されるものではなく、センサ孔82aに挿入できるものであればどのようなものであってもよい。
【0046】
また、この溶融樹脂の温度を計測する温度センサ83や、ノズル5の温度を計測する温度センサ57は、制御盤に接続されているため、計測された温度をリアルタイムに制御に反映させることが可能となっている。
【0047】
そして、温度センサ83が設置された状態では、図3の断面図に示すように、本体部50の嵌合凹部53(図4参照)に測温リング81が嵌め合わされ、測温リング81の円形の流路81aには測温パイプ82が直径方向に横切るように設置され、測温パイプ82のセンサ孔82aには温度センサ83が挿入されて、温度センサ83の先端83aが円形の流路81aの中心に対応する位置に位置している。
【0048】
次に、本実施の形態の樹脂温度検知装置8を用いて樹脂温度を測定し、樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法について、図1,2を用いて概略説明する。
【0049】
まず、金型を型締め装置6に取り付けた後に、金型に通水して温度を一定に保持しておく。さらに、バンドヒータ55によって、加熱用バレルシリンダ2やノズル5を所定温度になるまで加熱する。
【0050】
そして、準備完了後、乾燥した樹脂材料をホッパ4で受容し、受容された樹脂材料を加熱用バレルシリンダ2に投入する。
【0051】
そうすると、投入された樹脂材料は、回転するスクリュによって圧縮・摩擦・混練と、加熱用バレルシリンダ2からの熱を受けることで溶融可塑化される。
【0052】
つづいて、溶融された樹脂は、スクリュ駆動装置3によってスクリュを前進させることで、ノズル5を貫通する流路56,81a,51a,52aを通り金型のキャビティ内に射出される。
【0053】
この際、溶融樹脂は、測温リング81に設けた流路81aを横切るように設置された測温パイプ82に接触しつつ通過するため、この測温パイプ82の温度は溶融樹脂の温度と平衡して略同一となっており、測温パイプ82に挿入された温度センサ83によって温度を計測できる。
【0054】
そして、金型内に射出された溶融樹脂は、所定時間だけ保圧された後に、金型内において冷却され、型を開かれてエジェクタによって突き出されて成形品として取り出される。
【0055】
最後に、取り出された成形品に、ゲート処理やバリ取りなどの仕上げ加工や穴あけなどの機械加工や塗装などがされて製品として出荷される。
【0056】
そして、上記の製造工程において、溶融樹脂を射出する際には、いわゆるPVT制御によって温度・圧力・速度・時間等が制御されている。
【0057】
つまり、一般にヒケやフローマーク等の問題を解消するためには、温度・速度・圧力・時間等を段階的に変化させるが、この際には実際の製品の外観・物性と温度・速度・圧力・時間等とを相互に比較し、これをフィードバックさせて最適な条件を設定している。
【0058】
さらに、製品の不良の原因となる機械的故障やバンドヒータ55等の故障なども、溶融樹脂の温度を測定することで間接的に検知することがおこなわれている。
【0059】
次に、本実施の形態の樹脂温度検知装置8の作用について説明する。
【0060】
このように、本実施の形態の樹脂温度検知装置8は、射出成形機1に設置される樹脂温度検知装置8であって、ノズル5の後端面59には嵌合凹部53が設けられ、この嵌合凹部53には流路81aを有する測温リング81と測温リング81をノズル5の先端に向かって押圧するコマとしての調整コマ51及び誘導コマ52とが嵌め合わされ、測温リング81には温度センサ83を有する測温パイプ82が流路56と直交するように設けられている。
【0061】
したがって、測温リング81がボルト等の固定部材を用いることなく、調整コマ51及び誘導コマ52によってノズル5の先端に向かって押圧されて固定されるため、使用に際して繰り返して圧力が作用しても固定部材が破損するおそれがない。
【0062】
すなわち、温度センサ83を有する測温パイプ82が挿入される測温リング81は、嵌合凹部53の端面及び内周面と調整コマ51の端面とによって挟まれて嵌合しているため、特別に固定部材を用いる必要はない。
【0063】
加えて、測温リング81や嵌合凹部53や調整コマ51は、流路56の中心軸について軸対称な円形あるいは円環状断面を有することで、流路56内を流れる溶融樹脂の圧力を均等に受けるため、局所的に圧力が作用して部材が破損することはない。
【0064】
そして、測温リング81が破損した場合でも、ノズル5を加熱用バレルシリンダ2から取り外して、誘導コマ52及び調整コマ51を取り外すことで、容易に交換することができる。
【0065】
また、調整コマ51や誘導コマ52によって測温リング81が先端側に向かって押圧されていることで、これらの端面間の密着性が向上するため、端面間の隙間から樹脂が漏れることを防止できる。
【0066】
さらに、測温リング81や調整コマ51や誘導コマ52は円筒形状に形成されるため、加工が容易かつ精度の高い部品となる。
【0067】
そして、樹脂温度検知装置8がノズル5に設置されていることで、より金型に近い位置で溶融樹脂の温度を計測できるため、温度を正確に計測して精度の高いPVT制御をおこなうことができる。
【0068】
また、測温リング81及びノズル5には流路56に直交する連通孔81b,54が設けられるとともに、この連通孔81b,54には測温パイプ82が抜き差し可能に挿入されることで、測温パイプ82や温度センサ83が故障しても容易に取替えできる。
【0069】
特に、本実施の形態で説明したように、塩化ビニル樹脂などの比較的粘度の高い樹脂を射出成形する場合には、流路56を横切るように設置される測温パイプ82にはきわめて大きい圧力が作用するため、繰り返しの使用によって測温パイプ82が変形・故障する可能性がある。
【0070】
そこで、測温パイプ82を交換できるように連通孔54,81bに抜き差し可能に挿入しておけば、変形・故障した際にも測温リング81を取り替えることなく、測温パイプ82を迅速に取り替えることができる。
【0071】
また、測温パイプ82は、ノズル5及び測温リング81の両者を貫通させて挿入されるため、測温リング81をノズル5に対してより正確かつ強固に固定できる。
【0072】
さらに、温度センサ83は測温パイプ82に抜き差し可能に挿入されることで、温度センサ83のみを交換することもできる。
【0073】
この場合、この温度センサ83は測温パイプ82のように直接圧力を受ける部品ではなく、強固に固定されるものではないため、容易に抜き差しして点検・交換することができる。
【0074】
また、温度センサ83は測温パイプ82のセンサ孔82aに挿入されるため、温度センサ83を挿入した状態でも配線部を保護して損傷を防止することができる。
【0075】
そして、本実施の形態の射出成形機1は、上記したような樹脂温度検知装置8を備えることで、樹脂温度を正確にリアルタイムで測定できることで品質の優れた樹脂成形品を製造できるうえに、故障した際にも迅速に復旧できることで生産効率を高めることができる。
【0076】
すなわち、樹脂温度を金型に近いノズル5の位置において正確に計測することができれば、1ショット内でも即時的にバンドヒータ55やスクリュの回転を調整して、樹脂の性状を調製することができる。
【0077】
また、射出成形機1は樹脂温度を計測することで機械的な故障なども管理しているため、樹脂温度検知装置8が故障してしまうと射出成形機1が故障しているかどうかわからなくなる。このため、測温リング81や測温パイプ82や温度センサ83などを迅速に交換できることにはきわめて大きな効果がある。
【0078】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0079】
例えば、前記実施の形態では、温度センサ83は測温パイプ82に挿入されて特別に固定されていないが、これに限定されるものではなく、温度センサ83は測温パイプ82に固定されるものであってもよい。
【0080】
また、前記実施の形態では、測温リング81をノズル5の先端に向かって押圧するコマとして調整コマ51及び誘導コマ52の2つを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、コマは単一のものであってもよい。
【0081】
さらに、前記実施の形態では、流路81aに設置される測温パイプ82は円柱状に形成される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、楕円柱など流れを乱さない形状であれば、どのような断面形状を有するものでもよい。
【0082】
そして、前記実施の形態では、ノズル5を貫通する連通孔54が設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、連通孔54はノズル5を貫通していなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の最良の実施の形態の樹脂温度検知装置8の構成を説明する斜視図である。
【図2】本発明の最良の実施の形態の樹脂温度検知装置8を備える射出成形機1の全体構成を説明する側面図である。
【図3】本発明の最良の実施の形態の樹脂温度検知装置8の構成を説明する断面図である。
【図4】本発明の最良の実施の形態の樹脂温度検知装置8の構成を分解して説明する分解斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
1 射出成形機
2 加熱用バレルシリンダ
5 ノズル
51 調整コマ(コマ)
52 誘導コマ(コマ)
53 嵌合凹部
54 連通孔
56 流路
59 後端面
8 樹脂温度検知装置
81 測温リング
81a 流路
81b 連通孔
82 測温パイプ
82a センサ孔
83 温度センサ
83a 先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用バレルシリンダと、前記加熱用バレルシリンダの先端に取り付けられたノズルと、を備える射出成形機に設置される樹脂温度検知装置であって、
前記ノズルの後端面には嵌合凹部が設けられ、前記嵌合凹部には流路を有する測温リングと前記測温リングを前記ノズルの先端に向かって押圧するコマとが嵌め合わされ、
前記測温リングには温度センサを有する測温パイプが流路と直交するように設けられることを特徴とする樹脂温度検知装置。
【請求項2】
前記測温リング及び前記ノズルには流路に直交する連通孔が設けられるとともに、前記連通孔には前記測温パイプが抜き差し可能に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂温度検知装置。
【請求項3】
前記温度センサは前記測温パイプに抜き差し可能に挿入されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂温度検知装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の樹脂温度検知装置を備えることを特徴とする射出成形機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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