樹脂管接続継手
【課題】 樹脂管の抜止め作用などを発揮するものでありながら、樹脂管の内径に見合う流体流量を確保することのできる樹脂管接続継手を提供する。
【解決手段】 樹脂管100が挿入される接続筒部に、樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜止めする係合歯部が切削加工によって形成されている樹脂管接続継手において、接続筒部10を薄肉管で形成し、係合歯部20を接続筒部10から分離して薄肉管の管壁に形成した環状凹部11に嵌合状に保持させる。環状凹部11の内径を、係合歯部20を切削加工によって形成した接続筒部の内径よりも拡張して樹脂管100の内径に近似させる。
【解決手段】 樹脂管100が挿入される接続筒部に、樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜止めする係合歯部が切削加工によって形成されている樹脂管接続継手において、接続筒部10を薄肉管で形成し、係合歯部20を接続筒部10から分離して薄肉管の管壁に形成した環状凹部11に嵌合状に保持させる。環状凹部11の内径を、係合歯部20を切削加工によって形成した接続筒部の内径よりも拡張して樹脂管100の内径に近似させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管接続継手、特に、樹脂管の抜止め作用や、その抜止め作用と併せて水密接続作用を発揮し得るものでありながら、樹脂管の内径に見合う流体流量を確保することのできる樹脂管接続継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂管接続継手には、樹脂管が挿入される接続筒部に、鋸歯状断面の係合歯部を備えたものが知られており、このものでは、接続筒部に挿入した樹脂管の内周部に上記係合歯部が係合することによって、樹脂管が抜止めされたり水漏れが防止されたりするようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図14は、上記の構成を備える樹脂管接続継手1において、鋸歯状断面の係合歯部3を接続筒部2に切削加工によって形成したものを例示している。この樹脂管接続継手1では、接続筒部2の外周に、谷形部と山形部とを備えた鋸歯状断面の係合歯部3を削り出す必要があり、特に接続筒部2の谷形部においてもその強度を十分に大きく確保しておくことが要求されるために、その接続筒部2の内径の割りに全体の外径(山形部の外径)が大きくなっている。そのため、この接続筒部2に樹脂管100を圧入状態で挿入してその樹脂管100を接続筒部2に接続した状態では、樹脂管100の内径D1の大きさの割りに接続筒部2の内径D2が小さくなっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−222282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図14に示した樹脂管接続継手1を採用した配管、たとえば宅内の給湯管や給水管では、その管路を流れる許容流量が接続筒部2の内径D2に主に依存してしまうために必要以上に内径D1の大きな樹脂管100を用いることを余儀なくされて不経済であった。
【0006】
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものであり、樹脂管の抜止め作用や、その抜止め作用と併せて水密接続作用を発揮し得るものでありながら、樹脂管の内径に見合う流体流量を確保することのできる樹脂管接続継手を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、図14の場合と同等の流量を確保する場合に、同図の場合よりも細い樹脂管を用いることを可能にする樹脂管接続継手を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、図14の場合と同等又はそれを凌駕する抜止め作用や水密接続作用を発揮し得る樹脂管接続継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る樹脂管接続継手は、樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が切削加工によって形成されている樹脂管接続継手において、上記係合歯部を接続筒部に切削加工によって形成する代わりに、上記接続筒部を薄肉管で形成し、かつ、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてあると共に、上記環状凹部の内径を、係合歯部を切削加工によって形成した上記接続筒部の内径よりも拡張して上記樹脂管の内径に近似させてある、というものである。
【0010】
この発明によると、接続筒部によっで確保される流体流量が薄肉管の環状凹部の内径によって定まり、しかも、その環状凹部の内径が樹脂管の内径に近似しているために、流体流量が環状凹部の内径に主に依存するとしても、その流量が樹脂管によって許容される流量と近似することになる。したがって、樹脂管の内径に見合う流量が確保されるようになり、図14の場合のように必要以上に内径の大きな樹脂管を用いる必要がなくなる。言い換えると、図14の場合に比べ、細い樹脂管を用いて流量を多くすることが可能になる。
【0011】
本発明は、樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が具備されている樹脂管接続継手において、上記接続筒部を薄肉管で形成すると共に、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてある、というものであり、これによっても、上記と同様に、図14の場合に比べ、細い樹脂管を用いて流量を多くすることが可能になる。
【0012】
本発明では、上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分の外周面が、その接続筒部に嵌合された軟質の樹脂管の内周面と水密に密着する円筒面として形成されている、という構成を採用することが可能であり、これによれば、軟質の樹脂管を使用対象とする樹脂管接続継手において、ゴム環などのシールリングを用いずに接続箇所での水密接続性が確保されるという利点がある。
【0013】
本発明では、上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分に、その接続筒部に嵌合された上記樹脂管の内周面に水密に密着するシールリングを保持する環状溝部が備わっている、という構成を採用することが可能であり、これによれば、シールリングが樹脂管の内周面に密着して水密接続性を発揮するので、樹脂管が軟質管であるか硬質管であるかに関係なく水密接続性が確保される。
【0014】
本発明では、上記接続筒部に、その接続筒部に嵌合された樹脂管の端部が突き当たってその樹脂管の嵌合代を規制する隆起部が形成されていることが望ましい。これによれば、樹脂管の嵌合代が一定に定まる。
【0015】
本発明では、上記隆起部が、上記接続筒部に形成された折曲り可能な波形領域の端部の山形環状部によって形成されていることが望ましい。これによれば、波形領域を折り曲げることによって接続筒部の向きを変更することができるために、配管の曲りに対処しやすくなるだけでなく、隆起部を別途形成する必要がなくなるという利点もある。
【0016】
本発明において、樹脂管を抜止めするために様々な対策を講じることが可能である。たとえば、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周面の軸方向複数箇所に鋸歯状に連続する環状の係合歯を有する抜止め部材によって係合歯部を形成してもよい。また、上記係合歯部が、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周部の複数箇所に上記樹脂管の内周部に係合する傾斜した係合爪を備える板金製の抜止め部材でなり、その抜止め部材の係合爪が、上記環状凹部に嵌合された弾力性を備えるゴムリングで内側から支えられている、という構成を採用してもよい。さらに、上記係合歯部を、上記した2種類の第1及び第2の抜止め部材によって形成し、第2の抜止め部材の係合爪を弾力性を備えるゴムリングで内側から支えるようにすることも可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の樹脂管接続継手は、接続筒部を薄肉管で形成し、接続筒部から分離した係合歯部を薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させたことにより、従来と同様に係合歯部が樹脂管の内周面に係合することによって抜止め作用を発揮するものでありながら、環状凹部の内径を樹脂管の内径に近似させることが可能になり、その結果、当該樹脂管接続継手を採用した配管において、樹脂管の内径に見合う流体流量を確保することが可能になる。そのため、従来よりも細い樹脂管を用いることが可能になり、そのことが樹脂管や配管施工に要するコストを大幅に削減することに役立つ。また、軟質の樹脂管に対しては接続筒部の外周面に水密接続性を付与することが可能であり、樹脂管が軟質であるか硬質であるかを問わずにシールリングで水密接続性を付与することも可能であるので、水密接続性についても問題のない樹脂管接続継手を提供することが可能になる。
【0018】
さらに、係合歯部を接続筒部から分離したことにより、その係合歯部の構成に様々な構成を採用することが可能になり、そのことが、樹脂管の抜止め作用を高めることに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の実施形態に係る樹脂管接続継手の半裁側面図、図2はその使用状態を示した縦断側面図である。この接続継手は、管壁肉厚が0.3〜1mm程度の薄肉管(薄肉パイプ)によってその接続筒部10が形成されていて、宅内給湯管や宅内給水管に用いられる場合には、その薄肉管として耐発錆性に優れたステンレス鋼管が好適に採用される。また、薄肉管には、その外径が、当該接続筒部10に接続される樹脂管(樹脂ホース)100の内径D1と略同一径又はその樹脂管の内径よりもやゝ大きいものが採用されている。
【0020】
図1のように、接続筒部10の管壁には、広幅の環状凹部11と幅狭の環状溝部12とが同心に成形されていて、広幅の環状凹部11にリング状に形作られた抜止め部材としての金属製の係合歯部20と、その係合歯部20の端面に突き合わされて配備された弾力性を備えたOリングなどのゴム輪でなるシールリング31とが収容されているのに対し、幅狭の環状溝部12にも弾力性を備えたOリングなどのゴム輪でなるシールリング32が収容されている。
【0021】
図8(A)は抜止め部材としての係合歯部20の半裁側面図、同(B)は係合歯部20の正面図であり、同図に示したように、上記係合歯部20は、その外周面の軸方向複数箇所に鋸歯状断面形状を形成する環状の係合歯21を備えていると共に、当該係合歯部20の周方向の1箇所を欠除して拡縮変形可能とされている。したがって、この係合歯部20は、拡径した状態で図1に示した接続筒部10に嵌合するという作業を通じてその広幅の環状凹部11に嵌合され、その環状凹部11に嵌合された後では、係合歯部20がそれ自体の弾性により初期形状に縮径復元して係合歯21が接続筒部10の外周面の外側に少し突き出た状態に保持される。
【0022】
なお、この実施形態では、接続筒部10の基部に鍔形の抜止め部10aを形成し、その抜止め部10aによって接続筒部10に回転及びスライド自在に嵌合させた袋ナットでなる締結具50を抜け止めさせている。
【0023】
図2のように、上記接続筒部10に樹脂管100を差し込んで挿入すると、係合歯部20の係合歯21が樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜け止めし、併せて、2つのシールリング31,32が樹脂管100の内周部の2箇所に密着してその箇所を水密にシールする。ここで、係合歯部20が樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜け止めする作用は、図14で説明した接続継手1の係合歯部3が樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜け止めする作用と同一の状態で発揮される作用である。したがって、この実施形態によると、図14で説明した接続継手1の場合と同等の抜止め作用が発揮され、併せて、係合歯部20による水密接続性も図14で説明した接続継手1の場合と同様に奏される。このことから、この実施形態の接続継手では、接続箇所での水密接続性が係合歯部20と2つのシールリング31,32とによって3箇所で発揮されるようになって、図14の場合よりも信頼性の高い水密接続性が得られる。
【0024】
一方、この実施形態では、係合歯部20を接続筒部10に切削加工を行って形成したものではなく、その係合歯部20を接続筒部10から分離してその接続筒部10とは別に切削加工や成形加工などで製作した後、接続筒部10の環状凹部11に嵌合して保持させてある。そのため、係合歯部20には樹脂管100を抜止めするのに十分な強度が要求されるだけであって、耐折曲り強度や耐折損強度が要求される訳ではなく、それらの耐折曲り強度や耐折損強度は接続筒部10によって確保されている。したがって、係合歯部20をそれほど肉厚に形成する必要がなく、その結果、接続筒部10の環状凹部11の深さも係合歯部20の厚さに見合う深さに形成すれば済むので、その環状凹部11をそれほど深く形成する必要はない。しかも、接続筒部10を管壁肉厚が0.3〜1mm程度の薄肉管によって形成してあることにより、図2に示した環状凹部11の形成箇所での接続筒部10の内径D3が、図14に示した接続筒部2の内径D2に比べて大きくなる。このことを言い換えると、環状凹部11の形成箇所での接続筒部10の内径D3が、図14のもののように係合歯部10を切削加工によって形成した接続筒部3の内径D2よりも拡張されて樹脂管100の内径D1に近似している。また、シールリング32を保持している環状溝部12の深さは上記環状凹部11と同等に形成することができるために、その環状溝部12の形成箇所の内径を上記環状凹部11の形成箇所での接続筒部10の内径D3よりも小さくする必要はない。
【0025】
これらのことから、この実施形態の接続継手では、接続筒部10によっで確保される流体流量が薄肉管の環状凹部11の内径によって定まり、しかも、その環状凹部11の内径が樹脂管の内径に近似しているために、流体流量が環状凹部11の内径に主に依存するとしても、その流量が樹脂管100によって許容される流量と近似することになる。したがって、この接続継手を採用した配管では、樹脂管100の内径に見合う流量が確保されるようになり、図14の場合のように必要以上に内径の大きな樹脂管を用いる必要がなくなる。言い換えると、図14の場合と同等の流量を確保する場合には、安価な細い樹脂管100を用いることができるという顕著な作用が発揮される。
【0026】
図3は図2を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。この事例は、図2の接続継手の1つのシールリング31を環状凹部11から取り出し、そのシールリング31と他の1つのシールリング32とを、接続筒部10の環状凹部11の形成箇所よりも先端側部分の2箇所に形成した環状溝部12,13に各別に保持させてある。これによっても、図1や図2などを参照して既述した接続継手と同等の作用が発揮される。なお、図3での事例では、説明の重複を回避するために、図2と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0027】
図4は図1を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。このものは、図1を参照して説明したものと同様の構成の接続筒部10を、薄肉管の折曲り可能な波形領域Zの端部に連設した事例である。波形領域Zでは、山形環状部14と谷形環状部15とが軸方向に並んでいて、それらの山形環状部14や谷形環状部15が変形することを通じて折曲り可能である。そして、その波形領域Zの端部に位置する1つの山形環状部14の形成箇所が、接続筒部10に挿入された樹脂管100の端部に突き当たってその樹脂管100の嵌合代を規制するための隆起部16をも形成している。
【0028】
また、図5は図3を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。このものは、図3を参照して説明したものと同様の構成の接続筒部10を、薄肉管の折曲り可能な波形領域Zの端部に連設した事例であり、波形領域Zの構成は図4の場合と同様である。この構成のように、波形領域Zの端部に位置する1つの山形環状部14の形成箇所が隆起部16を形成していると、図5のように接続筒部10に挿入した樹脂管100の端部が隆起部16に突き合わされてその樹脂管100の嵌合代が一定の長さに規制される。また、図5には、接続筒部10に挿入した樹脂管100を締め輪200で締め付けることによって、係合歯部20と樹脂管100の内周部との係合度合を高めると共に、シールリング31との密着性を高めてある。そのため、この事例では、抜止め性能や水密接続性がいっそう向上することになる。その他の構成や作用は、図1、図2又は図3などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図3と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0029】
図6はさらに他の変形例を示した半裁断面図である。この事例では、接続筒部10の環状凹部11をその管壁の軸方向の2箇所に分けて形成し、それぞれの環状凹部11,11に係合歯部20を各別に嵌合保持させてある。また、この事例では、環状溝部12を1箇所だけに設けてその環状溝部12にシールリング32を収容させている。この事例によれば、2箇所の環状凹部11,11に保持されている各別の係合歯部20,20によって、接続筒部10に挿入された樹脂管が抜け止めされるために、係合歯部20,20による抜止め作用がいっそう確実に発揮される。なお、この事例では、波形領域Zを挟んで接続筒部10の反対側にブッシングでなる締結具300を取り付けてある。その他の構成や作用は、図1、図2又は図4などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図1と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0030】
図7はさらに他の変形例を示した半裁断面図である。この事例では、図5に示した事例のシールリング31,32を省略し、かつ、2箇所の環状溝部12,13を省略することによって、接続筒部10における環状凹部11の形成箇所よりも先端側部分の外周面を、その接続筒部10に嵌合された軟質の樹脂管の内周面と水密に密着する円筒面17として形成してある。この構成であると、接続筒部10に挿入された軟質の樹脂管の内周面が、円筒面17に密着して水密接続性が発揮される。その他の構成や作用は、図1、図2又は図5などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図5と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0031】
図9は図3を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。この事例は、図3の接続継手の係合歯部20を、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周部の複数箇所に樹脂管の内周部に係合する傾斜した係合爪21aを備える板金製の抜止め部材としての係合歯部20aに置き換えた上で、その係合歯部20aの係合爪21aを、環状凹部11に嵌合された弾力性を備えるゴムリング25で内側から支えさせたものである。図10には、図9の接続継手において、接続筒部10に挿入した樹脂管100を締め輪200で締め付けることによって、係合歯部20aの係合爪21aと樹脂管100の内周部との係合度合を高めると共に、シールリング32との密着性を高めてある。そのため、この事例では、抜止め性能や水密接続性がいっそう向上することになる。その他の構成や作用は、図1、図2又は図3などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図3と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0032】
図11(A)(B)は上記係合歯部20aを示したもので、このものは、板金に打抜き加工などを行って製作されていて、その外周面の等角度おきの複数箇所に傾斜した係合爪21aが備わっている。
【0033】
図12は図9を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。この事例は、図8で説明した係合歯部20を第1の抜止め部材、図11で説明した係合歯部20aを第2の抜止め部材とすると共に、環状凹部を第1凹部11aと第2凹部11bとに分け、第1凹部11aに第1の抜止め部材としての係合歯部20を保持させ、第2凹部11bに第2の抜止め部材としての係合歯部20aを保持させてあって、第2の抜止め部材としての係合歯部20aの係合爪21aが第2凹部11bに嵌合された弾力性を備えるゴムリング25で内側から支えられている。図13には、図9の接続継手において、接続筒部10に挿入した樹脂管100を締め輪200で締め付けることによって、係合歯部20aの係合爪21aと樹脂管100の内周部との係合度合や、係合歯部20と樹脂管100の内周部との係合度合を高めると共に、シールリング31との密着性を高めてある。そのため、この事例では、抜止め性能や水密接続性がいっそう向上することになる。その他の構成や作用は、図9を参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図9と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0034】
本発明は、接続継手の接続筒部10や係合歯部20などの構成を提案したものであるので、その接続筒部に挿入された樹脂管100に接続される他の管と当該接続継手との接続の構成については、図1などのような締結具を用いるものであっても、図6のような締結具を用いるものであっても、その他の手段で他の管と接続するようになっているものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る樹脂管接続継手の半裁側面図である。
【図2】図1の接続継手の使用状態を示した縦断側面図である。
【図3】図2を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。
【図4】図1を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。
【図5】図3を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。
【図6】さらに他の変形例を示した半裁断面図である。
【図7】さらに他の変形例を示した半裁断面図である。
【図8】(A)は係合歯部の半裁側面図、(B)は係合歯部の正面図である。
【図9】図3を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。
【図10】図9の接続継手の使用状態を示した縦断側面図である。
【図11】(A)は他の係合歯部の半裁側面図、(B)は同係合歯部の正面図である。
【図12】図9の接続継手の変形例を示した半裁側面図である。
【図13】図12の接続継手の使用状態を示した縦断側面図である。
【図14】従来例の使用状態を示した縦断側面図である。
【符号の説明】
【0036】
3 接続筒部に切削加工によって形成された係合歯部
10 接続筒部
11 環状凹部
11a 第1凹部
11b 第2凹部
12,13 環状溝部
14 山形環状部
16 隆起部
20 係合歯部
20a 係合歯部
21a 係合爪
25 ゴムリング
31,32 シールリング
100 樹脂管
Z 波形領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂管接続継手、特に、樹脂管の抜止め作用や、その抜止め作用と併せて水密接続作用を発揮し得るものでありながら、樹脂管の内径に見合う流体流量を確保することのできる樹脂管接続継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂管接続継手には、樹脂管が挿入される接続筒部に、鋸歯状断面の係合歯部を備えたものが知られており、このものでは、接続筒部に挿入した樹脂管の内周部に上記係合歯部が係合することによって、樹脂管が抜止めされたり水漏れが防止されたりするようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図14は、上記の構成を備える樹脂管接続継手1において、鋸歯状断面の係合歯部3を接続筒部2に切削加工によって形成したものを例示している。この樹脂管接続継手1では、接続筒部2の外周に、谷形部と山形部とを備えた鋸歯状断面の係合歯部3を削り出す必要があり、特に接続筒部2の谷形部においてもその強度を十分に大きく確保しておくことが要求されるために、その接続筒部2の内径の割りに全体の外径(山形部の外径)が大きくなっている。そのため、この接続筒部2に樹脂管100を圧入状態で挿入してその樹脂管100を接続筒部2に接続した状態では、樹脂管100の内径D1の大きさの割りに接続筒部2の内径D2が小さくなっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−222282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図14に示した樹脂管接続継手1を採用した配管、たとえば宅内の給湯管や給水管では、その管路を流れる許容流量が接続筒部2の内径D2に主に依存してしまうために必要以上に内径D1の大きな樹脂管100を用いることを余儀なくされて不経済であった。
【0006】
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものであり、樹脂管の抜止め作用や、その抜止め作用と併せて水密接続作用を発揮し得るものでありながら、樹脂管の内径に見合う流体流量を確保することのできる樹脂管接続継手を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、図14の場合と同等の流量を確保する場合に、同図の場合よりも細い樹脂管を用いることを可能にする樹脂管接続継手を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、図14の場合と同等又はそれを凌駕する抜止め作用や水密接続作用を発揮し得る樹脂管接続継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る樹脂管接続継手は、樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が切削加工によって形成されている樹脂管接続継手において、上記係合歯部を接続筒部に切削加工によって形成する代わりに、上記接続筒部を薄肉管で形成し、かつ、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてあると共に、上記環状凹部の内径を、係合歯部を切削加工によって形成した上記接続筒部の内径よりも拡張して上記樹脂管の内径に近似させてある、というものである。
【0010】
この発明によると、接続筒部によっで確保される流体流量が薄肉管の環状凹部の内径によって定まり、しかも、その環状凹部の内径が樹脂管の内径に近似しているために、流体流量が環状凹部の内径に主に依存するとしても、その流量が樹脂管によって許容される流量と近似することになる。したがって、樹脂管の内径に見合う流量が確保されるようになり、図14の場合のように必要以上に内径の大きな樹脂管を用いる必要がなくなる。言い換えると、図14の場合に比べ、細い樹脂管を用いて流量を多くすることが可能になる。
【0011】
本発明は、樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が具備されている樹脂管接続継手において、上記接続筒部を薄肉管で形成すると共に、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてある、というものであり、これによっても、上記と同様に、図14の場合に比べ、細い樹脂管を用いて流量を多くすることが可能になる。
【0012】
本発明では、上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分の外周面が、その接続筒部に嵌合された軟質の樹脂管の内周面と水密に密着する円筒面として形成されている、という構成を採用することが可能であり、これによれば、軟質の樹脂管を使用対象とする樹脂管接続継手において、ゴム環などのシールリングを用いずに接続箇所での水密接続性が確保されるという利点がある。
【0013】
本発明では、上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分に、その接続筒部に嵌合された上記樹脂管の内周面に水密に密着するシールリングを保持する環状溝部が備わっている、という構成を採用することが可能であり、これによれば、シールリングが樹脂管の内周面に密着して水密接続性を発揮するので、樹脂管が軟質管であるか硬質管であるかに関係なく水密接続性が確保される。
【0014】
本発明では、上記接続筒部に、その接続筒部に嵌合された樹脂管の端部が突き当たってその樹脂管の嵌合代を規制する隆起部が形成されていることが望ましい。これによれば、樹脂管の嵌合代が一定に定まる。
【0015】
本発明では、上記隆起部が、上記接続筒部に形成された折曲り可能な波形領域の端部の山形環状部によって形成されていることが望ましい。これによれば、波形領域を折り曲げることによって接続筒部の向きを変更することができるために、配管の曲りに対処しやすくなるだけでなく、隆起部を別途形成する必要がなくなるという利点もある。
【0016】
本発明において、樹脂管を抜止めするために様々な対策を講じることが可能である。たとえば、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周面の軸方向複数箇所に鋸歯状に連続する環状の係合歯を有する抜止め部材によって係合歯部を形成してもよい。また、上記係合歯部が、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周部の複数箇所に上記樹脂管の内周部に係合する傾斜した係合爪を備える板金製の抜止め部材でなり、その抜止め部材の係合爪が、上記環状凹部に嵌合された弾力性を備えるゴムリングで内側から支えられている、という構成を採用してもよい。さらに、上記係合歯部を、上記した2種類の第1及び第2の抜止め部材によって形成し、第2の抜止め部材の係合爪を弾力性を備えるゴムリングで内側から支えるようにすることも可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の樹脂管接続継手は、接続筒部を薄肉管で形成し、接続筒部から分離した係合歯部を薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させたことにより、従来と同様に係合歯部が樹脂管の内周面に係合することによって抜止め作用を発揮するものでありながら、環状凹部の内径を樹脂管の内径に近似させることが可能になり、その結果、当該樹脂管接続継手を採用した配管において、樹脂管の内径に見合う流体流量を確保することが可能になる。そのため、従来よりも細い樹脂管を用いることが可能になり、そのことが樹脂管や配管施工に要するコストを大幅に削減することに役立つ。また、軟質の樹脂管に対しては接続筒部の外周面に水密接続性を付与することが可能であり、樹脂管が軟質であるか硬質であるかを問わずにシールリングで水密接続性を付与することも可能であるので、水密接続性についても問題のない樹脂管接続継手を提供することが可能になる。
【0018】
さらに、係合歯部を接続筒部から分離したことにより、その係合歯部の構成に様々な構成を採用することが可能になり、そのことが、樹脂管の抜止め作用を高めることに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の実施形態に係る樹脂管接続継手の半裁側面図、図2はその使用状態を示した縦断側面図である。この接続継手は、管壁肉厚が0.3〜1mm程度の薄肉管(薄肉パイプ)によってその接続筒部10が形成されていて、宅内給湯管や宅内給水管に用いられる場合には、その薄肉管として耐発錆性に優れたステンレス鋼管が好適に採用される。また、薄肉管には、その外径が、当該接続筒部10に接続される樹脂管(樹脂ホース)100の内径D1と略同一径又はその樹脂管の内径よりもやゝ大きいものが採用されている。
【0020】
図1のように、接続筒部10の管壁には、広幅の環状凹部11と幅狭の環状溝部12とが同心に成形されていて、広幅の環状凹部11にリング状に形作られた抜止め部材としての金属製の係合歯部20と、その係合歯部20の端面に突き合わされて配備された弾力性を備えたOリングなどのゴム輪でなるシールリング31とが収容されているのに対し、幅狭の環状溝部12にも弾力性を備えたOリングなどのゴム輪でなるシールリング32が収容されている。
【0021】
図8(A)は抜止め部材としての係合歯部20の半裁側面図、同(B)は係合歯部20の正面図であり、同図に示したように、上記係合歯部20は、その外周面の軸方向複数箇所に鋸歯状断面形状を形成する環状の係合歯21を備えていると共に、当該係合歯部20の周方向の1箇所を欠除して拡縮変形可能とされている。したがって、この係合歯部20は、拡径した状態で図1に示した接続筒部10に嵌合するという作業を通じてその広幅の環状凹部11に嵌合され、その環状凹部11に嵌合された後では、係合歯部20がそれ自体の弾性により初期形状に縮径復元して係合歯21が接続筒部10の外周面の外側に少し突き出た状態に保持される。
【0022】
なお、この実施形態では、接続筒部10の基部に鍔形の抜止め部10aを形成し、その抜止め部10aによって接続筒部10に回転及びスライド自在に嵌合させた袋ナットでなる締結具50を抜け止めさせている。
【0023】
図2のように、上記接続筒部10に樹脂管100を差し込んで挿入すると、係合歯部20の係合歯21が樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜け止めし、併せて、2つのシールリング31,32が樹脂管100の内周部の2箇所に密着してその箇所を水密にシールする。ここで、係合歯部20が樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜け止めする作用は、図14で説明した接続継手1の係合歯部3が樹脂管100の内周部に係合してその樹脂管100を抜け止めする作用と同一の状態で発揮される作用である。したがって、この実施形態によると、図14で説明した接続継手1の場合と同等の抜止め作用が発揮され、併せて、係合歯部20による水密接続性も図14で説明した接続継手1の場合と同様に奏される。このことから、この実施形態の接続継手では、接続箇所での水密接続性が係合歯部20と2つのシールリング31,32とによって3箇所で発揮されるようになって、図14の場合よりも信頼性の高い水密接続性が得られる。
【0024】
一方、この実施形態では、係合歯部20を接続筒部10に切削加工を行って形成したものではなく、その係合歯部20を接続筒部10から分離してその接続筒部10とは別に切削加工や成形加工などで製作した後、接続筒部10の環状凹部11に嵌合して保持させてある。そのため、係合歯部20には樹脂管100を抜止めするのに十分な強度が要求されるだけであって、耐折曲り強度や耐折損強度が要求される訳ではなく、それらの耐折曲り強度や耐折損強度は接続筒部10によって確保されている。したがって、係合歯部20をそれほど肉厚に形成する必要がなく、その結果、接続筒部10の環状凹部11の深さも係合歯部20の厚さに見合う深さに形成すれば済むので、その環状凹部11をそれほど深く形成する必要はない。しかも、接続筒部10を管壁肉厚が0.3〜1mm程度の薄肉管によって形成してあることにより、図2に示した環状凹部11の形成箇所での接続筒部10の内径D3が、図14に示した接続筒部2の内径D2に比べて大きくなる。このことを言い換えると、環状凹部11の形成箇所での接続筒部10の内径D3が、図14のもののように係合歯部10を切削加工によって形成した接続筒部3の内径D2よりも拡張されて樹脂管100の内径D1に近似している。また、シールリング32を保持している環状溝部12の深さは上記環状凹部11と同等に形成することができるために、その環状溝部12の形成箇所の内径を上記環状凹部11の形成箇所での接続筒部10の内径D3よりも小さくする必要はない。
【0025】
これらのことから、この実施形態の接続継手では、接続筒部10によっで確保される流体流量が薄肉管の環状凹部11の内径によって定まり、しかも、その環状凹部11の内径が樹脂管の内径に近似しているために、流体流量が環状凹部11の内径に主に依存するとしても、その流量が樹脂管100によって許容される流量と近似することになる。したがって、この接続継手を採用した配管では、樹脂管100の内径に見合う流量が確保されるようになり、図14の場合のように必要以上に内径の大きな樹脂管を用いる必要がなくなる。言い換えると、図14の場合と同等の流量を確保する場合には、安価な細い樹脂管100を用いることができるという顕著な作用が発揮される。
【0026】
図3は図2を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。この事例は、図2の接続継手の1つのシールリング31を環状凹部11から取り出し、そのシールリング31と他の1つのシールリング32とを、接続筒部10の環状凹部11の形成箇所よりも先端側部分の2箇所に形成した環状溝部12,13に各別に保持させてある。これによっても、図1や図2などを参照して既述した接続継手と同等の作用が発揮される。なお、図3での事例では、説明の重複を回避するために、図2と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0027】
図4は図1を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。このものは、図1を参照して説明したものと同様の構成の接続筒部10を、薄肉管の折曲り可能な波形領域Zの端部に連設した事例である。波形領域Zでは、山形環状部14と谷形環状部15とが軸方向に並んでいて、それらの山形環状部14や谷形環状部15が変形することを通じて折曲り可能である。そして、その波形領域Zの端部に位置する1つの山形環状部14の形成箇所が、接続筒部10に挿入された樹脂管100の端部に突き当たってその樹脂管100の嵌合代を規制するための隆起部16をも形成している。
【0028】
また、図5は図3を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。このものは、図3を参照して説明したものと同様の構成の接続筒部10を、薄肉管の折曲り可能な波形領域Zの端部に連設した事例であり、波形領域Zの構成は図4の場合と同様である。この構成のように、波形領域Zの端部に位置する1つの山形環状部14の形成箇所が隆起部16を形成していると、図5のように接続筒部10に挿入した樹脂管100の端部が隆起部16に突き合わされてその樹脂管100の嵌合代が一定の長さに規制される。また、図5には、接続筒部10に挿入した樹脂管100を締め輪200で締め付けることによって、係合歯部20と樹脂管100の内周部との係合度合を高めると共に、シールリング31との密着性を高めてある。そのため、この事例では、抜止め性能や水密接続性がいっそう向上することになる。その他の構成や作用は、図1、図2又は図3などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図3と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0029】
図6はさらに他の変形例を示した半裁断面図である。この事例では、接続筒部10の環状凹部11をその管壁の軸方向の2箇所に分けて形成し、それぞれの環状凹部11,11に係合歯部20を各別に嵌合保持させてある。また、この事例では、環状溝部12を1箇所だけに設けてその環状溝部12にシールリング32を収容させている。この事例によれば、2箇所の環状凹部11,11に保持されている各別の係合歯部20,20によって、接続筒部10に挿入された樹脂管が抜け止めされるために、係合歯部20,20による抜止め作用がいっそう確実に発揮される。なお、この事例では、波形領域Zを挟んで接続筒部10の反対側にブッシングでなる締結具300を取り付けてある。その他の構成や作用は、図1、図2又は図4などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図1と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0030】
図7はさらに他の変形例を示した半裁断面図である。この事例では、図5に示した事例のシールリング31,32を省略し、かつ、2箇所の環状溝部12,13を省略することによって、接続筒部10における環状凹部11の形成箇所よりも先端側部分の外周面を、その接続筒部10に嵌合された軟質の樹脂管の内周面と水密に密着する円筒面17として形成してある。この構成であると、接続筒部10に挿入された軟質の樹脂管の内周面が、円筒面17に密着して水密接続性が発揮される。その他の構成や作用は、図1、図2又は図5などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図5と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0031】
図9は図3を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。この事例は、図3の接続継手の係合歯部20を、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周部の複数箇所に樹脂管の内周部に係合する傾斜した係合爪21aを備える板金製の抜止め部材としての係合歯部20aに置き換えた上で、その係合歯部20aの係合爪21aを、環状凹部11に嵌合された弾力性を備えるゴムリング25で内側から支えさせたものである。図10には、図9の接続継手において、接続筒部10に挿入した樹脂管100を締め輪200で締め付けることによって、係合歯部20aの係合爪21aと樹脂管100の内周部との係合度合を高めると共に、シールリング32との密着性を高めてある。そのため、この事例では、抜止め性能や水密接続性がいっそう向上することになる。その他の構成や作用は、図1、図2又は図3などを参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図3と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0032】
図11(A)(B)は上記係合歯部20aを示したもので、このものは、板金に打抜き加工などを行って製作されていて、その外周面の等角度おきの複数箇所に傾斜した係合爪21aが備わっている。
【0033】
図12は図9を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。この事例は、図8で説明した係合歯部20を第1の抜止め部材、図11で説明した係合歯部20aを第2の抜止め部材とすると共に、環状凹部を第1凹部11aと第2凹部11bとに分け、第1凹部11aに第1の抜止め部材としての係合歯部20を保持させ、第2凹部11bに第2の抜止め部材としての係合歯部20aを保持させてあって、第2の抜止め部材としての係合歯部20aの係合爪21aが第2凹部11bに嵌合された弾力性を備えるゴムリング25で内側から支えられている。図13には、図9の接続継手において、接続筒部10に挿入した樹脂管100を締め輪200で締め付けることによって、係合歯部20aの係合爪21aと樹脂管100の内周部との係合度合や、係合歯部20と樹脂管100の内周部との係合度合を高めると共に、シールリング31との密着性を高めてある。そのため、この事例では、抜止め性能や水密接続性がいっそう向上することになる。その他の構成や作用は、図9を参照して既述した接続継手と同様であり、説明の重複を回避するために、図9と同一又は相応する部分に同一符号を付してある。
【0034】
本発明は、接続継手の接続筒部10や係合歯部20などの構成を提案したものであるので、その接続筒部に挿入された樹脂管100に接続される他の管と当該接続継手との接続の構成については、図1などのような締結具を用いるものであっても、図6のような締結具を用いるものであっても、その他の手段で他の管と接続するようになっているものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る樹脂管接続継手の半裁側面図である。
【図2】図1の接続継手の使用状態を示した縦断側面図である。
【図3】図2を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。
【図4】図1を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。
【図5】図3を参照して説明した接続継手の他の変形例を示した半裁側面図である。
【図6】さらに他の変形例を示した半裁断面図である。
【図7】さらに他の変形例を示した半裁断面図である。
【図8】(A)は係合歯部の半裁側面図、(B)は係合歯部の正面図である。
【図9】図3を参照して説明した接続継手の変形例を示した半裁側面図である。
【図10】図9の接続継手の使用状態を示した縦断側面図である。
【図11】(A)は他の係合歯部の半裁側面図、(B)は同係合歯部の正面図である。
【図12】図9の接続継手の変形例を示した半裁側面図である。
【図13】図12の接続継手の使用状態を示した縦断側面図である。
【図14】従来例の使用状態を示した縦断側面図である。
【符号の説明】
【0036】
3 接続筒部に切削加工によって形成された係合歯部
10 接続筒部
11 環状凹部
11a 第1凹部
11b 第2凹部
12,13 環状溝部
14 山形環状部
16 隆起部
20 係合歯部
20a 係合歯部
21a 係合爪
25 ゴムリング
31,32 シールリング
100 樹脂管
Z 波形領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が切削加工によって形成されている樹脂管接続継手において、
上記係合歯部を接続筒部に切削加工によって形成する代わりに、上記接続筒部を薄肉管で形成し、かつ、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてあると共に、上記環状凹部の内径を、係合歯部を切削加工によって形成した上記接続筒部の内径よりも拡張して上記樹脂管の内径に近似させてあることを特徴とする樹脂管接続継手。
【請求項2】
樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が具備されている樹脂管接続継手において、
上記接続筒部を薄肉管で形成すると共に、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてあることを特徴とする樹脂管接続継手。
【請求項3】
上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分の外周面が、その接続筒部に嵌合された軟質の樹脂管の内周面と水密に密着する円筒面として形成されている請求項1又は請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項4】
上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分に、その接続筒部に嵌合された上記樹脂管の内周面に水密に密着するシールリングを保持する環状溝部が備わっている請求項1又は請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項5】
上記接続筒部に、その接続筒部に嵌合された樹脂管の端部が突き当たってその樹脂管の嵌合代を規制する隆起部が形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した樹脂管接続継手。
【請求項6】
上記隆起部が、上記接続筒部に形成された折曲り可能な波形領域の端部の山形環状部によって形成されている請求項5に記載した樹脂管接続継手。
【請求項7】
上記係合歯部が、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周面の軸方向複数箇所に鋸歯状に連続する環状の係合歯を有する抜止め部材によって形成されている請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項8】
上記係合歯部が、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周部の複数箇所に上記樹脂管の内周部に係合する傾斜した係合爪を備える板金製の抜止め部材でなり、その抜止め部材の係合爪が、上記環状凹部に嵌合された弾力性を備えるゴムリングで内側から支えられている請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項9】
上記係合歯部が、請求項7に記載した第1の抜止め部材と、請求項8に記載した第2の抜止め部材とでなり、かつ、上記環状凹部が、第1の抜止め部材が嵌合状に保持された第1凹部と、第2の抜止め部材が嵌合状に保持された第2凹部とに分かれており、第2の抜止め部材の係合爪が上記第2凹部に嵌合された弾力性を備えるゴムリングで内側から支えられている請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項1】
樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が切削加工によって形成されている樹脂管接続継手において、
上記係合歯部を接続筒部に切削加工によって形成する代わりに、上記接続筒部を薄肉管で形成し、かつ、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてあると共に、上記環状凹部の内径を、係合歯部を切削加工によって形成した上記接続筒部の内径よりも拡張して上記樹脂管の内径に近似させてあることを特徴とする樹脂管接続継手。
【請求項2】
樹脂管が挿入される接続筒部に、上記樹脂管の内周部に係合してその樹脂管を抜止めする係合歯部が具備されている樹脂管接続継手において、
上記接続筒部を薄肉管で形成すると共に、上記係合歯部を上記接続筒部から分離して上記薄肉管の管壁に形成した環状凹部に嵌合状に保持させてあることを特徴とする樹脂管接続継手。
【請求項3】
上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分の外周面が、その接続筒部に嵌合された軟質の樹脂管の内周面と水密に密着する円筒面として形成されている請求項1又は請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項4】
上記接続筒部における上記環状凹部の形成箇所よりも先端側部分に、その接続筒部に嵌合された上記樹脂管の内周面に水密に密着するシールリングを保持する環状溝部が備わっている請求項1又は請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項5】
上記接続筒部に、その接続筒部に嵌合された樹脂管の端部が突き当たってその樹脂管の嵌合代を規制する隆起部が形成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した樹脂管接続継手。
【請求項6】
上記隆起部が、上記接続筒部に形成された折曲り可能な波形領域の端部の山形環状部によって形成されている請求項5に記載した樹脂管接続継手。
【請求項7】
上記係合歯部が、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周面の軸方向複数箇所に鋸歯状に連続する環状の係合歯を有する抜止め部材によって形成されている請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項8】
上記係合歯部が、周方向の1箇所が欠除されて拡縮径変形可能とされ、かつ、外周部の複数箇所に上記樹脂管の内周部に係合する傾斜した係合爪を備える板金製の抜止め部材でなり、その抜止め部材の係合爪が、上記環状凹部に嵌合された弾力性を備えるゴムリングで内側から支えられている請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【請求項9】
上記係合歯部が、請求項7に記載した第1の抜止め部材と、請求項8に記載した第2の抜止め部材とでなり、かつ、上記環状凹部が、第1の抜止め部材が嵌合状に保持された第1凹部と、第2の抜止め部材が嵌合状に保持された第2凹部とに分かれており、第2の抜止め部材の係合爪が上記第2凹部に嵌合された弾力性を備えるゴムリングで内側から支えられている請求項2に記載した樹脂管接続継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−342947(P2006−342947A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171563(P2005−171563)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000144072)株式会社三栄水栓製作所 (111)
【出願人】(594203841)タイフレックス株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000144072)株式会社三栄水栓製作所 (111)
【出願人】(594203841)タイフレックス株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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