説明

樹脂組成物、該組成物を含む塗料、塗膜および塗膜の形成方法

【課題】様々な成形物等に対して優れた密着性を示す塗膜を形成することが可能であり、かつ低温での貯蔵安定性に優れる樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】有機溶媒中にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)に、光重合開始剤(d)を混合してなる樹脂組成物であり、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)が、プロピレン単位を50〜95モル%、1−ブテン単位を5〜50モル%であり、GPCにより求められる分子量分布が1〜3の範囲にあり、極限粘度が0.1〜12dl/gであり、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物が、有機溶媒中、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下、特定の共重合性モノマー(C)を、(A)/(C)=1/9〜9/1の重量比で重合し樹脂混合物を得た後、更にラジカルを発生させて重合反応させることにより得られた変性物であることを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のプロピレン・1−ブテン共重合体の変性物を含む樹脂溶液に光重合開始剤を混合してなる樹脂組成物に関する。より詳しくは、ポリオレフィン系樹脂フィルム、シート、発泡体、あるいは成形物等への塗工に適した塗料、プライマーまたは接着剤等として有用な樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂は、一般に生産性がよく各種成形性にも優れ、しかも軽量で防錆性や、耐衝撃性がある等といった多くの利点があるため、自動車や船舶等の内装や外装、家電や家具、雑貨、建築材料等として広範囲に使用されている。ポリオレフィン系樹脂は一般に、ポリウレタン系樹脂やポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂等に代表される極性を有する合成樹脂とは異なり、非極性であってかつ結晶性であるため、汎用の塗料や接着剤を用いてポリオレフィン系樹脂成形物に塗工しあるいは接着するのは非常に困難である。
【0003】
このため、ポリオレフィン系樹脂成形物に塗装や接着を行なう際には、その表面を活性化することにより表面への付着性を改良するといったことが行なわれてきた。
たとえば、自動車用バンパーでは、その表面をトリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤でエッチング処理することにより塗膜との密着性を高めたり、またはコロナ放電処理やプラズマ処理、もしくはオゾン処理等の前処理をした後において、目的の塗装や接着を行なうといったことがなされてきた。
【0004】
しかしながら、これら従来より知られている汎用の塗料や接着剤を用いた塗装や接着においては、多大な設備費がかかるばかりでなく、施行に長時間を要し、更には仕上がりが一様でなく、表面処理状態に差を生じやすい原因となっていた。
【0005】
そこで、上記した問題が改善される塗料組成物として、熱可塑性樹脂の変性物を含有する樹脂溶液に光重合開始剤を混合してなる樹脂組成物が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。上記熱可塑性樹脂としては具体的にはポリオレフィンまたはスチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられていた。この樹脂組成物は、密着強度に優れる樹脂であったが、低温での貯蔵安定性、成膜時の塗膜のタック、密着力の更なる改善が望まれていた。
【特許文献1】国際公開第02/057357号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来技術の有する課題を鑑みてされたものであり、無処理ポリオレフィン系樹脂フィルムやシート、発泡体、あるいは成形物等に対して優れた密着性を示す塗膜を形成することが可能であり、かつ低温での貯蔵安定性に優れ、成膜時の塗膜のタックが少ない樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記樹脂組成物は低温での貯蔵安定性に優れることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち本発明の樹脂組成物は、
有機溶媒中にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)に光重合開始剤(d)を混合してなる樹脂組成物であり、
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)が、
(1)プロピレンから導かれる単位を50〜95モル%の量で、1−ブテンから導かれる単位を5〜50モル%の量で含有し(ただし、全構成単位を100モル%とする)、
(2)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲にあり、
(3)135℃、デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/gであり、
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物が、有機溶媒中、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体、または該単量体およびその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(C)を、(A)/(C)=1/9〜9/1の重量比で重合し樹脂混合物を得た後、更にラジカルを発生させて重合反応させることにより得られた変性物であることを特徴とする。
【0008】
本発明の樹脂組成物には、さらに、第3成分として、油脂類、油脂類の誘導体、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0009】
前記第3成分の少なくとも1つは、分子内に重合性不飽和結合を有することが好ましい。
前記重合反応を、有機過酸化物の存在下で行うことが好ましい。
【0010】
前記有機過酸化物が、tert−ブチル基および/またはベンジル基を有する有機化酸化物であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記樹脂組成物に含まれる有機溶媒を脱溶媒し、任意の有機溶媒で希釈させてなることを特徴とする樹脂組成物であってもよい。
【0011】
前記共重合性モノマー(C)の少なくとも一部が、活性水素および/または水酸基を有するモノマーであることが好ましい。
本発明には、前記樹脂組成物を塗工し、次いで、光を照射することを特徴とする塗膜の形成方法を含む。
【0012】
本発明には上記の方法により得られた塗膜を含む。
本発明には上記樹脂組成物を含有する主剤と、活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤とを含有してなることを特徴とする塗料を含む。
【0013】
本発明には上記塗料を塗工し、次いで、光を照射し硬化させることを特徴とする塗膜の形成方法を含む。
本発明には上記の方法により得られた塗膜を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の樹脂組成物は、無処理ポリオレフィン系樹脂フィルムやシート、発泡体、あるいは成形物等に対して優れた密着性を示す塗膜を形成することができ、かつ低温での貯蔵安定性に優れ、成膜時の塗膜のタックが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明について具体的に説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、有機溶媒中にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)に光重合開始剤(d)を混合してなる樹脂組成物であり、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)が、(1)プロピレンから導かれる単位を50〜95モル%の量で、1−ブテンから導かれる単位を5〜50モル%の量で含有し(ただし、全構成単位を100モル%とする)、(2)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲にあり、(3
)135℃、デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/gであり、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物が、有機溶媒中、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体、または該単量体およびその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(C)を、(A)/(C)=1/9〜9/1の重量比で重合し樹脂混合物を得た後、更にラジカルを発生させて重合反応させることにより得られた変性物であることを特徴とする。本発明の樹脂組成物は特定のプロピレン・1−ブテンランダム共重合体(A)を用いることにより低温での貯蔵安定性に優れる。
【0016】
(プロピレン・1−ブテン共重合体(A))
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)(PBR)は、以下の(1)〜(3)を満たし、好ましくは(4)〜(6)を満たし、更に好ましくは(7)、(8)を満たすことを特徴とする。
【0017】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、(1)プロピレンから導かれる単位を50〜95モル%、好ましくは50〜90モル%、より好ましくは55〜85モル%、更に好ましくは60〜85モル%、特に好ましくは65〜80モル%の量で、1−ブテンから導かれる単位を5〜50モル%、好ましくは10〜50モル%、より好ましくは15〜45モル%、更に好ましくは15〜40モル%、特に好ましくは20〜35モル%の量を含有している(ただし、全構成単位を100モル%とする)。
【0018】
このプロピレン・1−ブテン共重合体(A)(PBR)は、プロピレンおよび1−ブテン以外のオレフィンたとえばエチレンなどから導かれる構成単位を少量たとえば10モル%以下の量で含んでいてもよい。
【0019】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、(2)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲であり好ましくは1.8〜3.0より好ましくは1.9〜2.5である。
【0020】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、(3)135℃、デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/g、好ましくは0.5〜10dl/gより好ましくは1〜5dl/gである。
【0021】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、(4)13C−NMRスペクトル測定から求められるトリアドアイソタクティシティ(mm分率)が好ましくは85%以上97.5%以下、よび好ましくは87%以上97%以下、更に好ましくは90%以上97%以下である。上記特定のmm分率を持たせることにより、比較的高いプロピレン含量で融点を下げることができるため好ましい。
【0022】
トリアドアイソタクティシティ(mm分率)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)の立体規則性を示す指標であり、以下のようにして求めることができる。
このmm分率は、ポリマー鎖中に存在する3個の頭−尾結合したプロピレン単位連鎖を表面ジグザグ構造で表したとき、そのメチル基の分岐方向が同一である割合として定義され、下記のように13C−NMRスペクトルから求められる。
【0023】
プロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)のmm分率を13C−NMRスペクトルから求める際には、具体的にポリマー鎖中に存在するプロピレン単位を含む3連鎖として、(i)頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖、および(ii)頭−尾結合したプロピレン単位とブテン単位とからなりかつ第2単位目がプロピレン単位であるプロピレン単位・ブテン単位3連鎖について、mm分率が測定される。
【0024】
これら3連鎖(i)および(ii)中の第2単位目(プロピレン単位)の側鎖メチル基のピーク強度からmm分率が求められる。以下に詳細に説明する。
プロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)の13C−NMRスペクトルは、サンプル管中でプロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)をロック溶媒として少量の重水素化ベンゼンを含むヘキサクロロブタジエンに完全に溶解させた後、120℃においてプロトン完全デカップリング法により測定される。測定条件は、フリップアングルを45°とし、パルス間隔を3.4T1以上(T1はメチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)とする。メチレン基およびメチン基のT1は、メチル基より短いので、この条件では試料中のすべての炭素の磁化の回復は99%以上である。ケミカルシフトは、テトラメチルシランを基準として頭−尾結合したプロピレン単位5連鎖(mmmm)の第3単位目のメチル基炭素ピークを21.593ppmとして、他の炭素ピークはこれを基準とした。
【0025】
このように測定されたプロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)の13C−NMRスペクトルのうち、プロピレン単位の側鎖メチル基が観測されるメチル炭素領域(約19.5〜21.9ppm)は、第1ピーク領域(約21.0〜21.9ppm)、第2ピーク領域(約20.2〜21.0ppm)、第3ピーク領域(約19.5〜20.2ppm)に分類される。
【0026】
そしてこれら各領域内には、表1に示すような頭−尾結合した3分子連鎖(i)および(ii)中の第2単位目(プロピレン単位)の側鎖メチル基ピークが観測される。
【0027】
【表1】

【0028】
表1中、Pはプロピレンから導かれる構成単位、Bは1−ブテンから導かれる構成単位を示す。表1に示される頭−尾結合3連鎖(i)および(ii)のうち、(i)3連鎖がすべてプロピレン単位からなるPPP(mm)、PPP(mr)、PPP(rr)についてメチル基の方向を下記に表面ジグザグ構造で図示するが、(ii)ブテン単位を含む3連鎖(PPB、BPB)のmm、mr、rr結合は、このPPPに準ずる。
【0029】
【化1】

【0030】
第1領域では、mm結合したPPP、PPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。第2領域では、mr結合したPPP、PPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基およびrr結合したPPB、BPB3連鎖中の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。
【0031】
第3領域では、rr結合したPPP3連鎖の第2単位(プロピレン単位)目のメチル基が共鳴する。したがってプロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)のトリアドアイソタクティシティ(mm分率)は、(i)頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖、または(ii)頭−尾結合したプロピレン単位とブテン単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレン単位を含むプロピレン・ブテン3連鎖を、3連鎖中の第2単位目のプロピレン単位の側鎖メチル基について、13C−NMRスペクトル(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメチルシランを基準)で測定したとき、19.5〜21.9ppm(メチル炭素領域)に表れるピークの全面積を100%とした場合に、21.0〜21.9ppm(第1領域)に表れるピークの面積の割合(百分率)として、下記式(1)から求められる。
【0032】
【数1】

【0033】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)(PBR)は、このようにして求められるmm分率が上述のように好ましくは85%以上97.5%以下、より好ましくは87%以上97%以下、更に好ましくは90%以上97%以下である。上記特定のmm分率を持たせることにより、比較的高いプロピレン含量で融点を下げることができる。なおプロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)は、上記のような頭−尾結合した3連鎖(i)および(ii)以外にも、下記構造(iii)、(iv)および(v)で示されるような位置不規則単位を含む部分構造を少量有しており、このような他の結合によるプロピレン単位の側鎖メチル基に由来するピークも上記のメチル炭素領域(19.5〜21.9ppm)内に観測される。
【0034】
【化2】

【0035】
上記の構造(iii)、(iv)および(v)に由来するメチル基のうち、メチル基炭素Aおよびメチル基炭素Bは、それぞれ17.3ppm、17.0ppmで共鳴するので、炭素Aおよび炭素Bに基づくピークは、前記第1〜3領域(19.5〜21.9ppm)内には現れない。さらにこの炭素Aおよび炭素Bは、ともに頭−尾結合に基づくプロピレン3連鎖に関与しないので、上記のトリアドアイソタクティシティ(mm分率)の計算では考慮する必要はない。
【0036】
またメチル基炭素Cに基づくピーク、メチル基炭素Dに基づくピークおよびメチル基炭素D'に基づくピークは、第2領域に現れ、メチル基炭素Eに基づくピークおよびメチル
基炭素E'に基づくピークは第3領域に現れる。
【0037】
したがって第1〜3メチル炭素領域には、PPE−メチル基(プロピレン−プロピレン−エチレン連鎖中の側鎖メチル基)(20.7ppm付近)、EPE−メチル基(エチレン−プロピレン−エチレン連鎖中の側鎖メチル基)(19.8ppm付近)、メチル基C、メチル基D、メチル基D'、メチル基Eおよびメチル基E'に基づくピークが現れる。
【0038】
このようにメチル炭素領域には、頭−尾結合3連鎖(i)および(ii)に基づかないメチル基のピークも観測されるが、上記式によりmm分率を求める際にはこれらは下記のように補正される。
【0039】
PPE−メチル基に基づくピーク面積は、PPE−メチン基(30.6ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、EPE−メチル基に基づくピーク面積は、EPE−メチン基(32.9ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
【0040】
メチル基Cに基づくピーク面積は、隣接するメチン基(31.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。メチル基Dに基づくピーク面積は、前記構造(iv)のαβメチレン炭素に基づくピーク(34.3ppm付近および34.5ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の1/2より求めることができ、メチル基D'に基づくピーク面
積は、前記構造(v)のメチル基E'のメチル基の隣接メチン基に基づくピーク(33.
3ppm付近で共鳴)の面積より求めることができる。
【0041】
メチル基Eに基づくピーク面積は、隣接するメチン炭素(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができ、メチル基E'に基づくピーク面積は、隣接するメチ
ン炭素(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積より求めることができる。
【0042】
したがってこれらのピーク面積を第2領域および第3領域の全ピーク面積より差し引くことにより、頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖(i)および(ii)に基づくメチル基のピーク面積を求めることができる。
【0043】
以上により頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖(i)および(ii)に基づくメチル基のピーク面積を評価することができるので、上記式に従ってmm分率を求めることができる。
【0044】
なおスペクトル中の各炭素ピークは、文献(Polymer,30,1350(1989))を参考にして帰属することができる。
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、(5)示差走査型熱量計によって測定される融点(Tm)が好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは55〜90℃である。
【0045】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、(6)上記融点(Tm)と、1−ブテン構成単位含量M(モル%)との関係が好ましくは
146exp(−0.022M)≧Tm≧125exp(−0.032M)
より好ましくは
146exp(−0.024M)≧Tm≧125exp(−0.032M)
更に好ましくは
146exp(−0.0265M)≧Tm≧125exp(−0.032M)
である。このような融点とブテン含量の関係を満たすと、比較的高いプロピレン含量で融点を下げることができ、これにより低融点でも高結晶化速度が得られる。
【0046】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、好ましくは(7)融点が75℃以下の場合においてプロピレン・1−ブテン共重合体の45℃で測定した結晶化速度(1/2結晶化時間)が10分以下、より好ましくは7分以下である。
【0047】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、好ましくは(8)プロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)の共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値は、0.9〜1.3、より好ましくは0.95〜1.25、特に好ましくは0.95〜1.2である。
【0048】
このパラメータB値はコールマン等(B.D.Cole−man and T.G.Fox,J.Polym.Sci.,Al,3183(1963))により提案されており、以下のように定義される。
【0049】
B=P12/(2P1・P2
ここで、P1、P2はそれぞれ第1モノマー、第2モノマー含量分率であり、P12は全二分子中連鎖中の(第1モノマー)−(第2モノマー)連鎖の割合である。
【0050】
なおこのB値は1のときベルヌーイ統計に従い、B<1のとき共重合体はブロック的であり、B>1のとき交互的であり、B=2のとき交合共重合体であることを示す。
また、本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)(PBR)は、プロピレン連鎖中に存在するプロピレンの2,1−挿入あるいは1,3−挿入に基づく異種結合単位(位置不規則単位)を含む構造を少量有していることがある。
【0051】
重合時、プロピレンは、通常1,2−挿入(メチレン側が触媒と結合する)して前記のような頭−尾結合したプロピレン連鎖を形成するが、稀に2,1−挿入あるいは1,3−挿入することがある。2,1−挿入および1,3−挿入したプロピレンは、ポリマー中で、前記構造(iii)、(iv)および(v)で示されるような位置不規則単位を形成する。ポリマー構成単位中のプロピレンの2,1−挿入および1,3−挿入の割合は、前記の立体規則性と同様に13C−NMRスペクトルを利用して、Polymer,30,1350(1989)を参考にして下記の式から求めることができる。
【0052】
プロピレンの2,1−挿入に基づく位置不規則単位の割合は、下記の式から求めることができる。
【0053】
【数2】

【0054】
なおピークが重なることなどにより、Iαβなどの面積が直接スペクトルより求めることが困難な場合は、対応する面積を有する炭素ピークで補正することができる。
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)(PBR)は、上記のようにして求められるプロピレン連鎖中に存在するプロピレンの2,1−挿入に基づく異種結合単位を、全プロピレン構成単位中0.01%以上具体的に0.01〜1.0%程度の割合で含んでいてもよい。
【0055】
またプロピレン・1−ブテン共重合体(PBR)のプロピレンの1,3−挿入に基づく位置不規則単位の割合は、βγピーク(27.4ppm付近で共鳴)により求めることができる。
【0056】
本発明に用いるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)は、プロピレンの1,3−挿入に基づく異種結合の割合が0.05%以下であってもよい。
上記のような本発明で用いられるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)(PBR)は、例えばWO 2004/087775に記載の方法で製造することができる。
【0057】
(プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物)
本発明に用いる樹脂溶液(a)に含有されるプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物は、有機溶媒中、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体、または該単量体およびその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(C)を、(A)/(C)=1/9〜9/1の重量比で重合し樹脂混合物を得た後、更にラジカルを発生させて重合反応させることにより得られた変性物であることを特徴とする樹脂組成物。
【0058】
α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert- ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
トリデシル(メタ)アクリレート、ラウロイル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸
基含有ビニル類;
アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有ビニル類およびこれらのモノエステル化物類;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン等の芳香族ビニル類;
その他アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、およびメチロールメタクリルアミド、エチレン、プロピレン、炭素数が4〜20のα- オレフィンなどが挙げられる。
【0059】
ここに記載されたメチル(メタ)アクリレートのような記載は、メチルアクリレートまたはメチルメタアクリレートを示す。
また、その他共重合可能な単量体としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸等の無水カルボン酸類などの、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体と共重合可能な単量体が挙げられる。
【0060】
用いる有機溶媒としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;
シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;
エタノール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール;
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;
酢酸ブチル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノアセテート等のエステル系溶媒;
ジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル系溶媒などが挙げられる。また、用いる有機溶媒は、これらの2種以上からなる混合物であっても構わない。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素が好適に用いられる。脂肪族炭化水素の中でも炭素数6〜20の脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素が特に好ましい。
【0061】
有機溶媒は通常、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)を有機溶媒に溶解させたときの不揮発分が2〜70質量%の範囲内となる量で用いる。
プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下で共重合性モノマー(C)を重合させるにあたり用いることのできる重合開始剤としては、たとえば、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert- ブチルパーオキシ-2- エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert- ブチルパーオキシベンゾエイト、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;
アゾビスイソブチロニトリル、4,4'- アゾビス(4−シアノペンタ酸)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオアミド)等のアゾ化合物などが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0062】
上記重合開始剤は、共重合性モノマー(C)100質量部に対し、通常0.01〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲で用いられる。
【0063】
プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体、または該単量体およびその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(C)を重合せしめる方法の具体例として、たとえば、上記記載の有機溶媒にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)を溶解し、共重合性モノマー(C)と前述の重合開始剤を、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)/共重合性モノマー(C)の重量比率を1/9〜9/1、より好ましくは2/8〜8/2の範囲になるようにフィードしながら重合させる方法を挙げることができる。このようにして得られた樹脂混合物を、更にラジカルを発生させて重合反応させ、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)を得ることができる。本方法により得られたプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)を用いた樹脂組成物は、安定性に優れ、また低粘度のものとなるため、高濃度での塗装が可能になる。
【0064】
上記ラジカルを発生させる方法としては、たとえば、光重合開始剤の存在下に、光を照射する方法、または有機過酸化物を添加する方法等、公知の方法を使用することができる。
【0065】
光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピ
オフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、アントラキ
ノン、クロルアントラキノン、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン、ジフェニルスルファイド、ジチオカーバメート、2-クロルチオキサントン、α−クロロメチルナ
フタレン、アントラセン、3,3’,4,4’-テトラベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0066】
また、これらの光重合開始剤には、ミヒラーケトン、トリメチルアミン、アルキルモルフォリン等のアミンを併用して用いてもよい。
上記光重合開始剤は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)と共重合性モノマー(C)との合計量100質量部に対し、通常、0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0067】
また、有機過酸化物としては、分子内にtert-ブチル基および/またはベンジル基を有
する、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2- エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベン
ゾエート、クメンハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0068】
上記した有機過酸化物のうちでも、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパー
オキシ-2-エチルヘキサノエートがより好適に用いられる。すなわち、分子内にtert-ブ
チル基および/またはベンジル基を有する有機過酸化物は、水素引抜能力が比較的高く、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)と共重合性モノマー(C)の重合体とのグラフト率を向上させる効果があり、これらを用いることで、得られる樹脂組成物は、極めて分離現象を起こし難いものとなる。
【0069】
上記有機過酸化物は、前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)と共重合性モノマー(C)との合計量100質量部に対し、通常2〜50質量部、より好ましくは3〜30質量部の範囲で用いることができる。有機過酸化物は、なるべく時間をかけ、これを少量ずつ添加することが好ましい。すなわち、有機過酸化物の使用量にもよるが、少量ずつ時間をかけて連続的に、または多回数に分けて添加していくようにすることが好ましい。
【0070】
(樹脂溶液(a))
本発明に用いる樹脂溶液は、有機溶媒中にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)である。樹脂溶液(a)に用いられる有機溶媒は通常、前述のプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を得る際に用いる有機溶媒と同様の有機溶媒である。また、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を得た後に脱溶媒を行い別の有機溶媒にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を添加してもよい。
【0071】
(光重合開始剤(d))
本発明に用いられる光重合開始剤(d)としては、紫外線照射によりラジカルを発生するものであれば何れも使用できる。たとえばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル
プロピオフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタノール、
アントラキノン、クロルアントラキノン、エチルアントラキノン、ブチルアントラキノン、ジフェニルスルファイド、ジチオカーバメイト、2-クロルチオキサントン、α−クロ
ロメチルナフタレンアントラセン、3,3,4,4-テトラベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0072】
また、これらの光重合開始剤には、ミヒラーケトン、トリメチルアミン、アルキルモルフォリン等のアミンを併用してもよい。
上記した光重合開始剤のうちでも、ベンゾフェノン、3,3,4,4-テトラベンゾフ
ェノン等、水素引抜能力が比較的高く、基材との密着を向上させる効果がある、分子内にベンジル基を有するものがより好適に用いられる。
【0073】
上記光重合開始剤は、その使用量が少なすぎると、基材との密着強度が低下する傾向がみられ、また、その使用量が多すぎると、分子の切断等が起こり易くなり基材との密着強度を低下させる傾向がみられるところから、通常、樹脂組成物100質量部に対し、0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0074】
(樹脂組成物の製造方法)
本発明に係る樹脂組成物は、上述した樹脂溶液(a)と光重合開始剤(d)とを、公知の方法で混合攪拌することにより製造することができる。
【0075】
本発明に係る樹脂組成物には、本発明に係る樹脂組成物を製造する工程において、第3成分を添加することができる。
たとえば、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下、共重合性モノマー(C)を重合させる工程や、次いで行うラジカルを発生させて重合反応させる工程等において、第3成分として、油脂類、油脂類の誘導体、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0076】
第3成分として用いられる油脂類としては、たとえばアマニ油、大豆油、ヒマシ油およびこれらの精製物が挙げられる。
第3成分として用いられる油脂類の誘導体としては、たとえば無水フタル酸等の多塩基酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール等の多価アルコールを骨格としたものを油脂(脂肪酸)で変性した短油アルキッド樹脂、中油アルキッド樹脂、長油アルキッド樹脂等、あるいはこれにさらに天然樹脂、合成樹脂および重合性モノマーで変性したロジン変性アルキッド樹脂、フェノール変性アルキッド樹脂、エポキシ変性アルキッド樹脂、アクリル化アルキッド樹脂、ウレタン変性アルキッド樹脂などが挙げられる。
【0077】
また、水酸基を有する油脂類に分子内に重合性不飽和結合を有する無水カルボン酸を付加させることによって得られた重合性不飽和結合を持つ油脂類も使用可能である。上記の油脂類およびこれらの誘導体は、2種以上併用することも可能である。
【0078】
また、第3成分として用いられるエポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボラック等をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、ビスフェノールAにプロピレンオキサイド、またはエチレンオキサイドを付加しグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂などを挙げることができる。また、多官能アミンをエポキシ基に付加したアミン変性エポキシ樹脂等を用いてもよい。さらに、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリエーテル系エポキシ樹脂なども挙げられる。
【0079】
また水酸基を有する上記エポキシ樹脂に、分子内に重合性不飽和結合を有する無水カルボン酸を付加させることによって得られた、分子内に重合性不飽和結合を持つエポキシ樹脂類も使用可能である。上記のエポキシ樹脂は、2種以上併用することも可能である。
【0080】
また、第3成分として用いられるポリエステル樹脂は、カルボン酸成分とアルコール成分を縮重合したものであり、カルボン酸成分としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,10-デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリ
ット酸、マレイン酸、フマル酸等の多価カルボン酸およびその低級アルコールエステル、パラオキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、および安息香酸等の1価カルボン酸等を用いることができる。これらは、2種類以上併用することも可能である。
【0081】
また、アルコール成分としては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,
5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、3-メチル−ペンタンジオール、2,2’-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAのエチレノキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を用いることができる。これらは、2種類以上併用することも可能である。
【0082】
また、水酸基を有する上記ポリエステル樹脂に、分子内に重合性不飽和結合を有する無水カルボン酸を付加させることによって得られた、分子内に重合性不飽和結合を持つポリエステル樹脂も使用可能である。上記のポリエステル樹脂は、1種類でも使用できるし、2種類以上を併用しても何ら構わない。
【0083】
上記の、第3成分は、反応器中へフィードしながら添加することも、また最初に反応器内に仕込んで使用することも可能である。また第3成分は、樹脂溶液(a)の樹脂成分100質量部に対し、通常0.5〜60質量部、好ましくは5〜40質量部の割合で用いられる。
【0084】
また、第3成分は、ラジカルを発生させて反応させる工程の後に添加してもかまわない。
特に、第3成分として油脂類および油脂類の誘導体を用いた樹脂組成物は、とりわけ安定性が良く、また他樹脂との相溶性も良好で、ピール強度も格段にアップする。特に、ひまし油を含むものは効果が大きい。
【0085】
また、このようにして得られた樹脂組成物は、公知の方法で任意の有機溶剤に置換することができる。置換できる有機溶剤としては、有機溶媒中にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)に用いられる有機溶媒などを用いることができる。
【0086】
このようにして得られた、本発明に係る樹脂組成物は、塗料、プライマーまたは接着剤として用いることができる。
また、本発明に係る樹脂組成物のうちで、前記共重合性モノマー(C)の少なくとも一部としてヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
アクリル酸、メタアクリル酸等の活性水素および/または水酸基を有するモノマーを用いた樹脂組成物は、活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤と組み合わせて塗料として使用することができる。たとえば、活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤の一つである分子内にイソシアナート基を有する硬化剤と混合することで、ウレタン結合を有する塗料、プライマーおよび接着剤として用いることができる。
【0087】
活性水素および/または水酸基と反応可能な分子内にイソシアナート基を有する硬化剤としては、たとえば、
フェニレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート等の芳香族ジイソシアナート;
ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナート等の脂肪族ジイソシアナート;
イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート等の脂環族ジイソシアナートなどのようなポリイソシアナート化合物が挙げられる。また、これらのポリイソシアナート化合物の一種または二種以上と、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン等の多価アルコールおよびトリメチロールプロパン等の開始剤にポリプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイド等を付加して得られるポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールとの反応で得られる末端イソシアナート付加物も使用できる。
【0088】
また、メラミン、尿素等からなるアミノ樹脂も硬化剤として使用することができる。
本発明に係る樹脂組成物と、活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤は、任意の割合で使用することができる。
【0089】
活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤がイソシアナート基を有する硬化剤である場合の配合割合は、本発明に係るプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物に含まれる活性水素と、硬化剤に含まれるイソシアナート基は、当量比で0.5:1.0〜1.0:0.5の範囲内となるのが好ましく、0.8:1.0〜1.0:0.8の範囲内となるのが更に好ましい。
【0090】
また、活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤がアミノ樹脂である場合は、本発明に係る樹脂組成物/アミノ樹脂のソリッドの質量比で95/5〜20/80の範囲で用いるのが好ましく、90/10〜60/40の範囲が更に好ましい。
【0091】
また、本発明の樹脂組成物に、単官能(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートを公知の方法で混合して使用することができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ド
デシル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、また2種以上併用してもよい。
【0092】
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、芳香族、脂肪族および環状脂肪族のウレタン(メタ)アクリレートから選ばれたウレタン(メタ)アクリレートであり、1個以上のイソシアネート基と1個以上の重合性(メタ)アクリル基とからなる重合性ウレタン(メタ)アクリレートである。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、芳香族、脂肪族および環状脂肪族のポリウレタン(メタ)アクリレートから選ばれたポリウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。これらは、単独で用いてもよいし、また2種以上併用してもよい。これらのウレタン(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレートは、末端イソシアネート基と、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物であり、これらの反応生成物は、公知の方法で製造することができる。
【0093】
上記のようにして得られる、本発明に係る樹脂組成物は、塗料、プライマー、接着剤等として使用することができるが、更には必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱防止剤等の各種安定剤、添加剤等の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。
【0094】
本発明に係る樹脂組成物、あるいは本発明に係る樹脂組成物に活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤を混合したものをフィルム、シート、発泡体、あるいは成形品等の表面に塗布する方法は特に限定するものではないが、噴霧塗布により行なうのが好適である。たとえば、スプレーガンでフィルム、シート、発泡体、あるいは成形品等の表面に吹きつけ、塗布を行なうことができる。塗布は通常、常温にて容易に行なうことができ、塗布後に紫外線を照射するのが好適である。
【0095】
ここで、上記の塗膜に紫外線を照射する方法については、特に限定されることはなく、被塗物が変形したり、変色したりしない程度の強度で紫外線を照射する。
膜厚は、乾燥後の膜厚が0.1〜50μmの範囲内にあるのが好ましく、更には0.5〜30μmの範囲内にあるが好ましい。
【0096】
また、乾燥方法についても特に限定されることはなく、自然乾燥や加熱強制乾燥等、適宜の方法で乾燥することができる。
また、本発明に係る樹脂組成物、あるいは本発明に係る樹脂組成物に活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤を混合した塗料は、その特徴から上記塗料としての用途以外にも、プライマーとして広範囲の用途に適用可能なものであり、たとえば上記のような乾燥後の表面に、静電塗装や吹き付け塗装、および刷毛塗り等により他の塗料を塗布することも可能である。
【0097】
用いられる他の塗料としては特に限定はなく、溶剤型熱可塑性アクリル樹脂塗料、溶剤型熱硬化性アクリル樹脂塗料、アクリル変性アルキッド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、およびメラミン樹脂塗料等を挙げることができる。
【0098】
そして、本発明に係る樹脂組成物、あるいは本発明に係る樹脂組成物に活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤を混合した塗料は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のオレフィン系共重合体からなるフィルム、シート、発泡体、あるいは成形品、およびポリプロピレンと合成ゴムとからなるフィルム、シート、発泡体、あるいは成形品の上塗り塗料として好適に用いることができ、更にはポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の表面処理にも用いることができる。
【0099】
また、本発明に係る樹脂組成物、あるいは本発明に係る樹脂組成物に活性水素および/
または水酸基と反応可能な硬化剤を混合した塗料は、ポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびエポキシ樹脂等を主成分とする塗料または接着剤等のプライマーとしても有用であり、これにより各種被塗物表面への塗料等の付着性を改善するとともに、より鮮映性等に優れる塗膜を形成させるために使用することもできる。
【0100】
特に本発明に係る樹脂組成物、あるいは本発明に係る樹脂組成物に活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤を混合した塗料は、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルム、シート、発泡体、あるいは成形品、ポリプロピレンと合成ゴムとからなるフィルム、シート、発泡体、あるいは成形品、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、およびポリウレタン樹脂等を用いた成形品等の上塗り塗料として好適に用いることができる。
【0101】
更に、本発明に係る樹脂組成物、あるいは本発明に係る樹脂組成物に活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤を混合した塗料は、これらフィルム、シート、発泡体、あるいは成形品の表面への塗料の付着性を改善するためのプライマーとしても、好適に用いることができる。
【0102】
〔実施例〕
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0103】
[物性測定法]
本発明において、各物性は以下のように測定した。
(1−ブテン含量)
13C−NMRを利用して求めた。
【0104】
(極限粘度[η])
135℃デカリン中で測定し、dl/gで示した。
(分子量分布(Mw/Mn))
分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
【0105】
分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径27mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
【0106】
(B値)
B値は、10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRのスペクトルを、通常、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、フィルター幅1500Hz、パルス繰り返し時間4.2sec、積算回数2000〜5000回の測定条件の下で測定し、このスペクトルからP1、P2、P12(P1はエチレン含量分率、P2は1−ブテン含量分率、P12は全二分子中連鎖中の(エチレン)−(1−ブテン)連鎖の割合)を求めることにより算出した。
【0107】
(トリアドアイソタクティシティ)
ヘキサクロロブタジエン溶液(テトラメチルシランを基準)で13C−NMRスペクトルを測定し、19.5〜21.9ppmに表れるピークの全面積(100%)に対する21.0〜21.9ppmに表れるピークの面積の割合(%)を求めた。
【0108】
(2,1−挿入に基づく異種結合の割合)
Polymer,30,1350(1989)を参考にして、前記した方法により13C−NMRスペクトルを利用して求めた。
【0109】
(融点(Tm))
試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち20℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求めた。測定は、パーキンエルマー社製DSC−7型装置を用いた。
【0110】
(結晶化度)
成形後少なくとも24時間経過した厚さ1.0mmのプレスシートのX線回折測定により求めた。
【0111】
(結晶化速度)
上記DSC装置を用い、45℃における1/2結晶化時間を求めた。
[製造例1(PBR−1の合成)]
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、900mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン60gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を70℃に昇温し、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリド0.002mmolとアルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温70℃、プロピレン圧0.7MPaを保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマーは、9.2gであった。また、ポリマーの融点が80.6℃であり、極限粘度[η]が1.18dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表2に示す。
【0112】
[製造例2(PBR−2の合成)]
ヘキサンの仕込みを817ml、1−ブテンを50g、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドをジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニルジルコニウムジクロリドにした以外は製造例1と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーは、11.5gであった。また、ポリマーの融点が86.3℃であり、極限粘度[η]が2.11dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表2に示す。
【0113】
[製造例3(PBR−3の合成)]
ヘキサンの仕込みを800ml、1−ブテンを120g、重合器内温を60℃にした以外は製造例1と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーは、10.8gであった。また、ポリマーの融点が69.0℃であり、極限粘度[η]が2.06dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表2に示す
[製造例4(PBR−4の合成)]
充分に窒素置換した2リットルのオートクレーブに、ヘキサンを830ml、1−ブテンを100g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1mmol加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧0.7MPaにし、トリエチルアルミニウム1mmol、
及び塩化マグネシウムに担持されたチタン触媒をTi原子に換算して0.005mmol加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を0.7MPaに保ちながら30分間重合を行った以外は製造例1と同様の重合後処理を行った。
【0114】
得られたポリマーは33.7gであった。また、ポリマーの融点は110.0℃であり、極限粘度[η]が1.91dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表2に示す。
【0115】
[製造例5(PBR−5の合成)]
ヘキサンを900ml、1−ブテンを60g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1mmol加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧を0.7MPaにし、メチルアルミノキサン0.30mmol、rac−ジメチルシリレン−ビス{1−(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)}ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算して0.001mmol加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を0.7MPaに保ちながら30分間重合を行った以外は製造例1と同様の重合後処理を行った。
【0116】
得られたポリマーは39.7gであった。また、ポリマーの融点は88.4℃であり、極限粘度[η]が1.60dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表2に示す。
【0117】
[製造例6(PBR−6の合成)]
ヘキサンを842ml、1−ブテンを95g仕込みにした以外は製造例5と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーは15.1gであった。また、ポリマーの融点は69.5℃であり、極限粘度[η]が1.95dl/gであった。得られたポリマーについて測定した物性を表2に示す。
【0118】
製造例3とほぼ同じ融点の製造例6についてはDSCで45℃における1/2結晶化時間を求めた。
【0119】
【表2】

【0120】
[製造例7〜18(変性ポリオレフィンを含有する樹脂溶液の製造)]
下記の製造例で得られた(共)重合体(B)溶液あるいは無水酸付加(共)重合体(B)溶液に、表3の反応の欄に記載したPBRと溶媒、製造例10〜11においては表3に
記載の第3成分を加え、窒素置換しながら温度135℃まで昇温した。なお、溶媒がトルエンの場合は、105℃まで昇温した。次いで、この中に、表3の反応の欄に記載の量の有機過酸化物であるジ−tert−ブチルパーオキサイド(以下、PBDと略記する)を添加した。なお、溶媒がトルエンの場合は、PBOを添加した。この有機過酸化物の添加は、表3に記載の量中、最初にそれの3/7の量を添加し、1時間経過後に2/7、さらにそれより1時間後に残りの2/7が添加されるよう、計3回に分けて添加し反応させた。有機過酸化物の添加後より2時間反応させた後、上記表の反応の欄に記載の希釈溶媒を添加し、不揮発分30%となるまで希釈し、変性ポリオレフィンを含有する樹脂溶液を得た。
【0121】
(製造例7〜17用(共)重合体(B)の製造)
攪拌機、温度計、還流冷却装置、および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、表3の(共)重合体(B)の合成の欄に記載の溶媒を仕込み、窒素置換しながら100℃に加熱昇温した。次いで、この中に、表3の(共)重合体(B)の合成の欄に記載の共重合性モノマー(C)および重合開始剤1に記載の重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(以下、PBOと略記する)の混合液を4時間かけてフィードし、このフィード終了より1時間経過後に、重合開始剤2に記載のPBOを添加し、更に2時間反応させた。この後、上記表の(共)重合体(B)の合成の欄に記載の希釈溶媒を添加し、不揮発分50%となるまで希釈して(共)重合体(B)を製造した。
【0122】
(製造例18用無水カルボン酸を付加した(共)重合体(B)の製造)
攪拌機、温度計、還流冷却装置、および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、表3に示す(共)重合体(B)の合成の欄に記載の溶媒を仕込み、窒素置換しながら100℃に加熱昇温した。次いで、この中に、表3に示す(共)重合体(B)の合成の欄に記載の共重合性モノマー(C)および重合開始剤1に記載のPBOの混合液を4時間かけてフィードし、このフィード終了より1時間経過後に、重合開始剤2に記載のPBOを添加し、更に2時間放置した。この後、上記表の(共)重合体(B)の合成の欄に記載の希釈溶媒を添加し、不揮発分50%となるまで希釈した。その後、温度を100℃にし、表中の無水酸を添加し、1時間反応させて、無水酸を付加した(共)重合体(B)を製造した。
【0123】
なお、表3中の各成分の数値は重量部を示す。
【0124】
【表3】

【0125】
〔製造例19〜39(変性ポリオレフィンを含有する樹脂溶液の製造)〕
攪拌機、温度計、還流冷却装置、および窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、表4、5に示すPBRと溶媒を仕込み、窒素をパージしながら130℃に加熱昇温した。なお、
溶媒がアイソパーEの場合は、110℃まで昇温した。ここに、表4、5に示す共重合性モノマー(C)と重合開始剤と、製造例22〜27においては表4に記載の第3成分の混合液を4時間にわたりフィードした。フィード終了1時間後に希釈溶媒1を記載量添加するとともに、重合開始剤のPBDを記載量添加した。尚、希釈溶媒1に数値の記載が無い場合は溶媒を添加しない。重合開始剤添加30分後に160℃に昇温し、その30分後に表4、5に示す有機過酸化物であるPBDを表中の量の3/7量を添加し、1時間経過後に2/7、さらにそれより1時間経過後に残りの2/7が添加されるよう、計3回に分け添加し反応させた。なお、溶媒がアイソパーEの場合は、110℃のまま、重合開始剤にPBOを使用した。その後2時間放置して反応させ、表3に記載の希釈溶媒2を添加し、不揮発分40%まで希釈し、変性ポリオレフィンを含有する樹脂溶液を得た。
【0126】
なお、上記の第3成分で使用したオレスターC1000(商品名;三井化学(株)製、油性ポリオール、不揮発分100%、水酸基価160mgKOH/g)は油脂類、エポミックR140(商品名;三井化学(株)製、不揮発分100%、エポキシ当量190g/eq)はエポキシ樹脂、アルマテックスP646(商品名;三井化学(株)製、不揮発分60%、水酸基価35mgKOH/g)はポリエステルである。また、上記で使用したシェルゾール70(商品名)は、シェルジャパン(株)製のイソパラフィン系の有機溶剤である。
【0127】
また、オレスターC1000変性樹脂は、100部のオレスターC1000に、無水マレイン酸1.4部を添加し、100℃、3時間攪拌して無水マレイン酸を付加し、分子内に重合性不飽和結合を含有させたものである。
【0128】
エポミックR140変性樹脂は、100部のエポミックR140に、無水マレイン酸1.2部を添加し、100℃、3時間攪拌して無水マレイン酸を付加し、分子内に重合性不飽和結合を含有させたものである。
【0129】
アルマテックスP646変性樹脂は、100部のアルマテックスP646に、無水マレイン酸0.04部を添加し、100℃、3時間攪拌して無水マレイン酸を付加し、分子内に重合性不飽和結合を含有させたものである。
【0130】
なお、表4、5中の各成分の数値は重量部を示す。
【0131】
【表4】

【0132】
【表5】

【0133】
〔製造例40〜49(変性ポリオレフィンを含有する樹脂溶液の製造)〕
PBRをベストプラスト750(デグサジャパン(株)製、Mw/Mn=5、Mw=90000)に変更した以外は、製造例4〜6、9〜11、18〜20と同様の製造方法で
樹脂溶液を得た。
【0134】
以下に記載の実施例と比較例を行い、その結果を表6〜11に示した。
[実施例1〜33]
上記の製造例7〜39で得られた樹脂溶液に、光重合開始剤(d)であるイルガキュア500(商品名;チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンとの共融混合物)を添加し、樹脂組成物を得た。
【0135】
なお、添加量は、上記樹脂溶液中の樹脂成分100重量部あたり、イルガキュア500が2重量部となる量で添加した。
[実施例34〜66]
上記の製造例7〜39で得られた樹脂溶液に、反応性モノマーであるアロニックスM400(東亞合成(株)製、5官能モノマー)をMIBKに40%で溶解させたものと、イルガキュア500とを混合して樹脂組成物を得た。
【0136】
なお、添加量は、上記樹脂溶液中の樹脂成分100重量部あたり、アロニックスM400をMIBKに40%で溶解させたものをモノマー樹脂成分で20重量部、イルガキュア500が2重量部となる量で添加した。
【0137】
[実施例67〜76]
上記の製造例7〜9、12、19〜21、28〜30で得られた樹脂溶液に、タケネートD−178N(三井化学ポリウレタン(株)製、HDIアロファネート)をOH/NCOで1/1(モル比)となるようにそれぞれ混合し、アロニックスM400をMIBKに40%で溶解させたものと、イルガキュア500とを混合して樹脂組成物を得た。
【0138】
なお、添加量は、上記樹脂溶液中の樹脂成分100重量部あたり、タケネートD−178NをOH/NCOで1/1(モル比)となるようにそれぞれ混合し、アロニックスM400をMIBKに40%で溶解させたものが20重量部、イルガキュア500が2重量部となる量で添加した。
【0139】
[比較例1〜10]
上記の製造例40〜49で得られた樹脂溶液に、イルガキュア500を、それぞれ上記樹脂溶液中の樹脂成分100重量部に対して2重量部添加し、樹脂組成物を得た。
【0140】
[比較例11〜20]
上記の製造例40〜49で得られた樹脂溶液に、アロニックスM400をMIBKに40%で溶解させたものと、イルガキュア500とを、それぞれ上記樹脂溶液中の樹脂成分100重量部に対して20重量部、2重量部となるように混合して樹脂組成物を得た。
【0141】
[比較例21〜30]
上記の製造例40〜49で得られた樹脂溶液に、タケネートD−178NをOH/NCOで1/1(モル比)となるように混合し、アロニックスM400をMIBKに40%で溶解させたものと、イルガキュア500とを、それぞれ上記樹脂溶液中の樹脂成分100重量部に対して20重量部、2重量部となるように混合して樹脂組成物を得た。
【0142】
[評価と結果]
<樹脂組成物の安定性>
実施例1〜66、比較例1〜20で得られた樹脂組成物を、不揮発分40%、室温と40℃、それぞれの条件で2週間静置し、溶液の状態を評価した。2週間の経過後、この水
溶液につき、分離および沈殿がともに確認されず増粘しなかったものを◎、分離および沈殿はともに確認されないが粘度に変化があったものを○、分離および/または沈殿の観察されたもので攪拌にて容易に分散できるものを△、分離および/または沈殿の観察された攪拌にて容易に分散できないものを×として評価した。
【0143】
<水性樹脂組成物のスプレー適性>
塗装ガン(岩田塗装機工業(株)製ワイダースプレーガン(商品名;W−88−13H5G))を使用し、霧化圧4kg/cm2 、ノズル1回転開き、塗装ブース内の温度30℃にて、各々実施例および比較例で得られた水性樹脂組成物溶液をスプレーし、糸曳きが発生するか否かを観察し、発生しなかったものを○、1本でも発生したものを×として評価した。
【0144】
<物性評価法>
(1)PP板での試験
(PP板の試験片−1)
上記で得られた樹脂組成物を、イソプロピルアルコールで表面を拭いたポリプロピレン製(プライムポリマー株式会社製、製品名:X708)の角板に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布したのち、80℃のオーブンに入れて30分間処理した。次いで、80W/cmの高圧水銀灯1灯を通過方向と垂直に設置した紫外線照射装置(日本電池(株)製、EPSH−600−3S型)を用い、光源下15cmの位置に置いてコンベアスピードを10m/分の速度で移動させ紫外線を照射した。
【0145】
(1)−1.タック試験
得られた塗膜に、室温にて塗面にガーゼを置き、1kg/cm2の荷重をかけ、ガーゼを取り除いた時の塗膜に残存する毛の有無で評価した。塗膜に毛が残存しない場合を○、残存する場合を×として評価した。
【0146】
(1)−2.碁盤目剥離試験
得られた塗膜を、JIS−K−5400に記載されている碁盤目剥離試験の方法に準じ、碁盤目を付けた試験片を作製し、粘着性セロハンテープ(セロテープ(登録商標)(ニチバン(株)の製品))を碁盤目上に貼り付けた後、速やかに90°方向に引っ張って剥離させ、碁盤目100個の中、剥離しなかった碁盤目数にて評価した。
【0147】
(PP板の試験片−2)
PP板の試験片−1で得られた塗膜の上に、白色の上塗り塗料を乾燥後の膜厚が100μmになるように塗布して塗膜を形成し、室温にて10分放置した後、100℃のオーブンに入れ30分間焼付け処理を行なった。
【0148】
なお、上記で使用した白色の上塗り塗料は、オレスターQ186(商品名;三井化学(株)製、不揮発分50%、水酸基価30mgKOH/g)100gに、Tipeqe−CR93(商品名;石原産業(株)製)を30g分散させた主剤と、イソシアナート基を有する硬化剤であるオレスターNM89−50G(商品名;三井化学(株)製、不揮発分50%、NCO含有量6%)をOH/NCO=0.95(モル比)となるように混合したものを用いた。
【0149】
(1)−3.碁盤目剥離試験
得られた塗膜について、(1)−2に記載の碁盤目剥離試験を行い評価した。
(1)−4.剥離強度試験
剥離強度の測定は、塗膜に1cm幅で切れ目を入れ、その端部を剥離した後、端部を50mm/分の速度で180°方向に引っ張り剥離強度を測定し、剥離強度が1200g/
cm以上のものを◎、1000g/cm以上1200g/cm未満のものを○、800g/cm以上1000g/cm未満のものを△、800g/cm未満のものを×として評価した。
【0150】
(1)−5.耐水試験後の外観
試験片を40℃に調整した水中に240時間浸漬した後、塗膜の外観を評価した。
(1)−6.耐水試験後の碁盤目剥離試験
試験片を40℃に調整した水中に240時間浸漬した後の塗膜について、(1)−2に記載の碁盤目剥離試験を行い評価した。
【0151】
(2)エチレン系シートでの試験
<シートの試験片−1>
上記で得られた樹脂組成物を、樹脂溶液の製造時に使用したものと同一の溶剤を添加し、不揮発分が20%となるように調整した。次いで、ポリオレフィン系の樹脂であるタフマーA−4085(商品名;三井化学(株)製、MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)3.6g/10分、密度(ASTM D 1505)0.88g/cm3)で作製したシートをイソプロピルアルコールで拭き、乾燥後の膜厚が2μmとなるように、上記樹脂組成物を刷毛で塗布して室温で乾燥させた。次いで、80W/cmの高圧水銀灯1灯を通過方向と垂直に設置した紫外線照射装置(日本電池(株)製、EPSH−600−3S型)を用い、光源下15cmの位置に置いてコンベアスピードを10m/分の速度で移動させ紫外線を照射した。
【0152】
(2)−1.碁盤目剥離試験
得られた塗膜を、(1)−2に記載の碁盤目剥離試験を行い評価した。
(2)−2.追従性試験
シートを90°に折り曲げた後、再び元の状態に戻したものについて、折り曲げ部の塗膜外観と碁盤目剥離試験を行なった。外観が良好で、折り曲げ部に剥離が起こらなかったものを○、折り曲げ部に塗膜浮きが起こるものを△、折り曲げ時に剥離が起こるものを×とし評価した。
【0153】
<シートの試験片−2>
シートの作成−1で得られた塗膜にさらに、白色の上塗り塗料を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布して塗膜を形成し、室温にて10分放置した後、100℃のオーブンに入れ30分間焼付け処理を行なった塗膜について剥離強度の測定を行なった。
【0154】
(2)−3.剥離強度試験
剥離強度の測定は、塗膜に1cm幅で切れ目を入れ、その端部を剥離した後、端部を50mm/分の速度で180°方向に引っ張り剥離強度を測定し、剥離強度が1200g/cm以上のものを◎、1000g/cm以上1200g/cm未満のものを○、800g/cm以上1000g/cm未満のものを△、800g/cm未満のものを×として評価した。
【0155】
(3)発泡体基材での試験
<発泡体の試験片>
上記で得られた樹脂組成物を、樹脂溶液製造時に使用したのと同一の溶剤を添加し、不揮発分が10%となるように調整した。次いで、特開2000−344924号公報の実施例1に記載された方法によって得られた発泡体を混合溶剤(メチルシクロヘキサン/イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン=65部/20部/15部)に1分間浸漬した後、乾燥後の膜厚が1μmとなるように上記樹脂組成物を刷毛で塗布して乾燥させた。次いで、80W/cmの高圧水銀灯1灯を通過方向と垂直に設置した紫外線照射装置(日
本電池(株)製、EPSH−600−3S型)を用い、光源下15cmの位置に置いてコンベアスピードを10m/分の速度で移動させ紫外線を照射した。上記の紫外線を照射した後の塗膜について、下記の2方法で剥離強度試験を行なった。
【0156】
(3)−1.剥離強度試験(評価1)
上記の紫外線を照射した後の塗膜上に、水性ウレタン樹脂(東成化学(株)製、製品名:BOND ACE W−01)を乾燥後の膜厚が5μmとなるように刷毛で塗布して乾燥させたものと、アセトン拭きした合成ゴムシート(JSR(株)製、商品名:NIPOL BR1220)に乾燥後の膜厚が1μmとなるようにプライマー(東成化学(株)製、商品名:D−PLY 007)を塗布した後、さらに乾燥後の膜厚が5μmとなるように水性ウレタン樹脂(東成化学(株)製、製品名:BOND ACE W−01)を刷毛で塗布して乾燥させたものとを60℃下、40kg/m2の力で10秒間圧着し、48時間放置した。次いで、上記のようにして得られたもののゴム側に1cm幅で切れ目を入れ、その端部を剥離した後、端部を200mm/分の速度で180°方向に引っ張り剥離強度を測定し、剥離強度が5kg/cm以上のものを◎、4kg/cm以上5kg/cm未満のものを○、3kg/cm以上4kg/cm未満のものを△、3kg/cm未満のものを×とし評価した。
【0157】
(3)−2.剥離強度試験(評価2)
上記の紫外線を照射した後の塗膜上に、水性ウレタン樹脂(東成化学(株)製、製品名:BOND ACE W−01)を乾燥後の膜厚が5μmとなるように刷毛で塗布して乾燥させたものと、ウレタンシート(Dae Jin Synthesis Chemical製、DRY方式のシューズ用ポリウレタンシート)に乾燥後の膜厚が1μmとなるようにプライマー(東成化学(株)製、商品名:BOND ACE 232H)を塗布した後、さらに乾燥後の膜厚が5μmとなるように水性ウレタン樹脂(東成化学(株)製、製品名:BOND ACE W−01)を刷毛で塗布して乾燥させたものとを60℃下、40kg/m2の力で10秒間圧着し、48時間放置した。次いで、上記のようにして得られたもののウレタンシート側に1cm幅で切れ目を入れ、その端部を剥離した後、端部を200mm/分の速度で180°方向に引っ張り剥離強度を測定し、剥離強度が5kg/cm以上のものを◎、4kg/cm以上5kg/cm未満のものを○、3kg/cm以上4kg/cm未満のものを△、3kg/cm未満のものを×とし評価した。
【0158】
【表6】

【0159】
【表7】

【0160】
【表8】

【0161】
【表9】

【0162】
【表10】

【0163】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中にプロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物を含有する樹脂溶液(a)に、光重合開始剤(d)を混合してなる樹脂組成物であり、
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)が、
(1)プロピレンから導かれる単位を50〜95モル%の量で、1−ブテンから導かれる単位を5〜50モル%の量で含有し(ただし、全構成単位を100モル%とする)、
(2)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が1〜3の範囲にあり、
(3)135℃、デカリン中で測定される極限粘度が0.1〜12dl/gであり、
前記プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の変性物が、有機溶媒中、プロピレン・1−ブテン共重合体(A)の存在下、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体、または該単量体およびその他共重合可能な単量体からなる共重合性モノマー(C)を、(A)/(C)=1/9〜9/1の重量比で重合し樹脂混合物を得た後、更にラジカルを発生させて重合反応させることにより得られた変性物であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、第3成分として、油脂類、油脂類の誘導体、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記第3成分の少なくとも1つは、分子内に重合性不飽和結合を有することを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記重合反応を、有機過酸化物の存在下で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記有機過酸化物が、tert−ブチル基および/またはベンジル基を有する有機化酸化物であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物に含まれる有機溶媒を脱溶媒し、任意の有機溶媒で希釈させてなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項7】
前記共重合性モノマー(C)の少なくとも一部が、活性水素および/または水酸基を有するモノマーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を塗工し、次いで、光を照射することを特徴とする塗膜の形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法により得られた塗膜。
【請求項10】
請求項7に記載の樹脂組成物を含有する主剤と、活性水素および/または水酸基と反応可能な硬化剤とを含有してなることを特徴とする塗料。
【請求項11】
請求項10に記載の塗料を塗工し、次いで、光を照射し硬化させることを特徴とする塗膜の形成方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により得られた塗膜。

【公開番号】特開2009−114314(P2009−114314A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288694(P2007−288694)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】