説明

樹脂組成物

【課題】その塗膜が優れた耐水性、耐候性、可撓性を有する新規な塗料用に適した樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】(A)エポキシ基を有する化合物と
(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物と
を開環付加反応させて得られた反応物と、
(C)イソシアネート基を有する化合物
とを反応させることによって得られる樹脂組成物において、
該(A)エポキシ基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能エポキシ化合物であり、
該(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物が官能基総数の50%以上が一官能化合物であり、
該(C)イソシアネート基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能イソシアネート化合物である、
ことを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規にて有用なる樹脂組成物に関し、詳しくは、それを塗膜とした際に優れた耐水性、耐候性、可撓性を有する塗料用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐候性を有する樹脂として2液タイプのアクリルウレタン樹脂が溶剤系塗料の分野において知られており、例えば、上塗り塗料用の樹脂組成物として使用されている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
しかしながら2液タイプの塗料は、水酸基含有アクリル樹脂(塗料主剤)と複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネート又はイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマー(硬化剤)とを使用時に混合する必要があり、イソシアネート化合物の持つ刺激性や2液タイプ故の取り扱いの不便さ、廃塗料や廃缶の処理という問題があった。一方、比較的低分子量である水酸基含有のポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂等に少量のイソシアネートを反応させたウレタン変性タイプの樹脂も存在するが(例えば、特許文献3,4)、これらはイソシアネート化合物の使用量が少量であり、且つ基本樹脂構造がウレタン骨格でないために、ポリウレタン樹脂に起因する機能の発現も限定的である。
【特許文献1】特開2002−129097号公報
【特許文献2】特開2003−313493号公報
【特許文献3】特開平8−176503号公報
【特許文献4】特開平6−256714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、その塗膜が優れた耐水性、耐候性、可撓性を有する新規な塗料用に適した樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従って、(A)エポキシ基を有する化合物と
(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物と
を開環付加反応させて得られた反応物と、
(C)イソシアネート基を有する化合物
とを反応させることによって得られる樹脂組成物において、
該(A)エポキシ基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能エポキシ化合物であり、
該(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物が官能基総数の50%以上が一官能化合物であり、
該(C)イソシアネート基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能イソシアネート化合物である、
ことを特徴とする樹脂組成物が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上述のように、本発明によって、優れた耐水性、耐候性、可撓性を有する新規な塗料用樹脂組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0008】
本発明者等は、上記の目的を達成するために種々の研究を重ねた結果、(A)エポキシ基を有する化合物と(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物とを開環付加反応させて得られた反応物と、(C)イソシアネート基を有する化合物とを反応させることによって得られる樹脂組成物において、該(A)エポキシ基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能エポキシ化合物であり、該(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物が官能基総数の50%以上が一官能化合物であり、該(C)イソシアネート基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能イソシアネート化合物である、ことを特徴とする樹脂組成物を塗料等に用いると長期にわたり耐水性、耐候性、可撓性に優れた塗膜を形成することができることを見出した。
【0009】
以下、本発明に使用される化合物について、詳細に述べる。
【0010】
本発明に使用される(A)エポキシ基を有する化合物としては、
ブチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ラウリン酸グリシジル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物;
ジシクロペンタジエンジオキサイド、エポキシシクロヘキセンカルボン酸エチレングリコールジエステル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、1,2:8,9ジエポキシリモネン等の脂環族エポキシ化合物;
ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物及びその水添化合物、フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート等の芳香族又は複素環式エポキシ化合物;
シリコーンオイルの末端にエポキシ基を有する化合物やアルコキシシランとエポキシ基を合わせ有する化合物等が挙げられる。
【0011】
上記ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ化合物の製造に用いうるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2’−プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1’−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1’−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2’−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1’,2,2’−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0012】
上記(A)エポキシ基を有する化合物の市販品としては、
jER製のjER827、同828、同604、YED111N、同122、同216、
阪本薬品工業製のBGE−R、PGE、SR−2EG、SR−NPG、SR−16H、SR−GLG、SR−TMP、SR−PA、SR−HHPA、SR−HBA、
ダウ・ケミカル製のDER332、DEN431、
大日本インキ化学工業製のエピクロン840、同830、同726、同725、同720、
東都化成製のエポトートPG−202、同PG−207、同PP−101、ネオトートE、ネオトートS、
ナガセ化成製のデナコールEX−301、同EX−421、同EX−411、同EX−313、同EX−321、同EX−201、同EX−211、同EX−212、同EX−810、同EX−111、同EX−121、同EX−141、
新日本理化製のリカレジンHBE−100、同DME−100、同BPO−20E、
四日市合成製のエポゴーセーBA、同TD、同E、同BP、同DE、同HD、
ダイセル化学工業製のセロキサイド2021P、同3000、
信越シリコーン製のX−22−343、KF−101、KF−1001、X−22−163、KF−105、X−22−163A、X−22−173DX、X−22−9002、X−22−2046、KF−102、X−22−169AS、X−22−169B、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、
チッソ製のサイラエースS510、S520、S530、サイラプレーンFM−5511、FM−5521、FM−5525、FM−0511、FM−0521、FM−0525、
東レ・ダウコーニング製のBY16−855D、BY16−855、SF8411、SF8413、FZ−3720、BY16−839、SF8421、BY16−752、BY16−799等が挙げられる。
【0013】
これらの(A)エポキシ基を有する化合物は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。塗膜の耐候性の点で、好ましくは脂肪族エポキシ化合物が挙げられ、特に好ましくは脂環族エポキシ化合物又はそのケイ素含有化合物が挙げられる。
【0014】
本発明に使用される(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物としては、エポキシ基と反応性を有する化学反応性基として水酸基、カルボキシル基、アミノ基(イミノ基を含む)、チオール基、ウレイド基等を有するものであれば特に制限なく使用可能である。主にカルボキシル基を含有する化合物であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等である。
【0015】
飽和脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の不乾性油脂肪酸;カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等を挙げることができる。
【0016】
不飽和脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ダイズ油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられる。
【0017】
また上述の脂肪酸以外にも、安息香酸、メチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、酢酸、乳酸、酪酸、プロピオン酸、リノール酸、リノレン酸、カプロン酸、カプリン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、トリメリット酸等が挙げられる。
【0018】
これらの(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。塗膜の耐溶剤性の点で特に好ましくは、不飽和脂肪酸又はそのケイ素含有化合物が挙げられる。
【0019】
不飽和脂肪酸を用いた場合は、(C)イソシアネート基を有する化合物と反応させることによって得られる樹脂組成物の酸価が、容易に10mgKOH/g以下にすることができ、塗膜の耐水性の点で好ましい。また、特に好ましくは樹脂組成物の酸価が、0.1〜5mgKOH/gである。
【0020】
(A)エポキシ基を有する化合物と、(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物との反応においては、触媒を使用することができる。使用できる触媒としては、反応触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫、水酸化リチウム、酢酸亜鉛等の各種の金属塩;
ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ−n−オクチルアミン等の3級アミン;
テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;
テトラメチル尿素等のアルキル尿素;
テトラメチルグアニジン等のアルキルグアニジン;
トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン類;
ジメチルスルフィド、ジフェニルスルフィド等のスルフィド類、及び、これらの塩等を挙げることができる。これらの触媒は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0021】
(A)エポキシ基を有する化合物の官能基数又はその混合物の平均官能基数が大き過ぎると、後に行う(C)イソシアネート基を有する化合物との反応においてゲル化する等の問題があるため、官能基総数の50%以上は二官能エポキシ化合物であることが必要であり、更に好ましくは(A)の官能基総数の70〜95%である。
【0022】
また、(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物の該官能基総数においても同様に、50%以上が一官能化合物である必要があり、更に好ましくは(B)の官能基総数の70〜95%である。
【0023】
本発明に使用される(C)イソシアネート基を有する化合物は、
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類;これらのジイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネート化合物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;これらのウレタン化付加物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
【0024】
上記(C)イソシアネート基を有する化合物の市販品としては、
旭化成製のデュラネート50M、同D−101、同D−201、同24A−100、同TPA−100、同THA−100、
三井化学製のコスモネートT−80、同M−100、同NBDI、同ND、タケネート500、同600、同700、
住化バイエルウレタン製のスミジュールT−80、同44S、同N3200、同N3300、デスモジュールH、同W、同I、
日本ポリウレタン工業製のコロネートT−80、ミリオネートMT、同MR、同HDI、
協和発酵製のLTI、信越シリコーン製のKBE−9007等が挙げられる。
【0025】
これらの(C)イソシアネート基を有する化合物は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。塗膜の耐候性の点で特に好ましくは、脂肪族イソシアネート化合物又はそのケイ素含有化合物が挙げられる。
【0026】
(A)エポキシ基を有する化合物と(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物との反応物と、(C)イソシアネート基を有する化合物との反応において、触媒を使用することができる。使用できる触媒としては通常のウレタン化反応において使用される、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒や、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の錫系触媒等を必要に応じて用いてもよい。これらの触媒は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0027】
(C)イソシアネート基を有する化合物の官能基数又はその混合物の平均官能基数が大き過ぎるとゲル化する等の問題があり、(C)の官能基総数の50%以上は二官能イソシアネート化合物であることが必要であり、更に好ましくは(C)の官能基総数の70〜95%である。
【0028】
(A)エポキシ基を有する化合物と(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物との反応物と、(C)イソシアネート基を有する化合物との反応時に、分子量調節、分岐度調節、油長調節等の目的で、更に(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物を使用することができる。
【0029】
本発明に使用される(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物とは、主に水酸基を含有する化合物であり、アルコール類やポリオール類、グリコール類、シリコーン化合物類等が挙げられる。
【0030】
アルコール類の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、カプリルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミスチリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アリルアルコ−ル、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール及びブチルカルビトール等を挙げることができる。
【0031】
ポリオール類には低分子量グリコール類と高分子量グリコール類とがある。低分子量グリコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、キシリレンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAポリエチレングリコールエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールエーテル、ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物、水添ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等を挙げることができる。
【0032】
高分子量グリコール類の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートグリコール等が挙げられる。更には、グリセリン等にエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール、ジカルボン酸とジオールやトリオール等との縮合により得られる縮合系ポリエステルポリオール、ジオールやトリオールをベースとし、ラクトンの開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオール、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール等を挙げることができる。
【0033】
シリコーン化合物の具体例としては、
信越シリコーン製のX−22−4039、X−22−4015、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003、X−22−1821、X−21−5841、KF−9701、X−22−170BX、X−22−170DX、X−22−176DX、X−22−176F、
チッソ製のサイラプレーンFM−4411、FM−4421、FM−4425、FM−0411、FM−0421、FM−0425、
東レ・ダウコーニング製のBY16−201、SF8427、SF8428、FZ−2162、SH8400、SH6018、DC6−2230等を挙げることができる。
【0034】
これらの(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。塗膜の耐候性の点で特に好ましくは、シリコーン化合物が挙げられる。
【0035】
本発明の樹脂組成物の固形分水酸基価は、塗膜の耐水性の点で40mgKOH/g以下が好ましく、特に好ましくは固形分水酸基価3〜20mgKOH/gである。固形分水酸基価が40mgKOH/g以下を達成させるためには、樹脂組成物は、(A)エポキシ基を有する化合物、(C)イソシアネート基を有する化合物、(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物の群の中から選ばれる少なくとも一種は一官能化合物を含有することが好ましい。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、脂肪族炭化水素系溶剤を50質量%以上含む溶剤を用いて樹脂固形分50%に調整した際、20℃において濁り及び分離の発生がなく、且つ、20℃における粘度が300ポイズ以下であることが好ましい。更に、20℃における粘度は100〜1ポイズがより好ましい。100ポイズを超えると、一般的な常温での刷毛又はローラー塗装に対応するには塗装時に多量の希釈溶剤が必要であり、膜厚不足等の問題が生じる場合がある。300ポイズを超えると粘度が高過ぎて、一般的な常温での刷毛又はローラー塗装に対応できず、1ポイズ未満では粘度が低過ぎて塗装できない。
【0037】
この場合、脂肪族炭化水素系溶剤とは、ミネラルスピリットやミネラルターペン、n−ヘキサン等である。粘度の測定は、B型粘度計(BM式)により求めることができる。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ基を有する化合物、(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物、(C)イソシアネート基を有する化合物、(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物の群の中から選ばれる少なくとも一種はケイ素含有化合物であり、該ケイ素含有化合物の含有量がSiO換算で樹脂固形分に対して5質量%以上(理論値)、更には10〜50質量%であることが好ましい。5質量%未満では、塗膜の耐候性の点で効果が得られ難くなる。
【0039】
(A)エポキシ基を有する化合物のケイ素含有化合物としては、
信越シリコーン製のX−22−343、KF−101、KF−1001、X−22−163、KF−105、X−22−163A、X−22−173DX、X−22−9002、X−22−2046、KF−102、X−22−169AS、X−22−169B、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、
チッソ製のサイラエースS510、S520、S530、サイラプレーンFM−5511、FM−5521、FM−5525、FM−0511、FM−0521、FM−0525、
東レ・ダウコーニング製のBY16−855D、BY16−855、SF8411、SF8413、FZ−3720、BY16−839,SF8421、BY16−752、BY16−799等がある。
【0040】
(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物のケイ素含有化合物としては、
信越シリコーン製のKF−864、KF−865、KF−868、KF−859、KF−393、KF−860、KF−880、KF−8002、KF−8004、KF−8005、KF−867、X−22−3820W、KF−869、KF−861、PAM−E、KF−8010、KF−8012、KF−8008、X−22−161A、X−22−161B、X−22−1660B−3、KF−857、KF−8001、KF−862、KF−858、X−22−9002、KBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBM−802、KBM−803、
チッソ製のサイラプレーンFM−3311、FM−3321、FM−3325、サイラエースS310、S320、S330、S360、XS1003、S810、
東レ・ダウコーニング製のBY16−871、BY16−853U、BY16−849、BY16−872、BY16−890、BY−16−208、BY16−893、BY16−878、BY16−891、FZ−3508、FZ−3705、FZ−3785、FZ−3789、SF8417、Z−6011、Z−6020、Z−6023、Z−6094、Z−6610、Z−6883、Z−6062、Z−6911等がある。
【0041】
また、(C)イソシアネート基を有する化合物のケイ素含有化合物としては、信越シリコーン製のKBE−9007、GE東芝シリコーン社製のシルクエストA−LINK25、A−LINK35等がある。
【0042】
(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物のケイ素含有化合物としては、
信越シリコーン製のX−22−4039、X−22−4015、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003、X−22−1821、X−21−5841、KF−9701、X−22−170BX、X−22−170DX、X−22−176DX、X−22−176F、
チッソ製のサイラプレーンFM−4411、FM−4421、FM−4425、FM−0411、FM−0421、FM−0425、
東レ・ダウコーニング製のBY16−201、SF8427、SF8428、FZ−2162、SH8400、SH6018、DC6−2230等がある。
【0043】
本発明の(A)エポキシ基を有する化合物と、(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物とを開環付加反応させて得られた反応物と、(C)イソシアネート基を有する化合物とを反応させることによって得られた樹脂組成物は、それだけでもクリヤー塗料として使用可能ではあるが、塗料として各種機能を付与させるために、各種溶剤、各種樹脂、ドライヤーやダレ防止剤等の一般的に塗料に用いられる添加剤を用いてもよい。更に、体質顔料、着色顔料、防錆顔料等の一般的に塗料に用いられる各種顔料を配合する場合は、顔料分散剤や沈降防止剤等の一般的に塗料に用いられる各種添加剤を配合するのが望ましい。
【0044】
塗料として本発明の樹脂組成物と共に用いる溶剤としては、臭気の点で特に好ましくは脂肪族炭化水素系溶剤を50質量%以上含む溶剤であり、具体例としてはミネラルスピリットが挙げられる。
【0045】
本発明の樹脂組成物、もしくはそれを用いた塗料は、金属、木材、プラスチック等の各種素材に適用でき、自然乾燥、もしくは加熱強制乾燥させることにより優れた塗膜を形成することが可能である。
【0046】
本発明の樹脂組成物を用いることで、長期にわたり耐水性、耐候性、可撓性に優れる塗膜が提供できる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとする。
【0048】
<製造例1>
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器にパラターシャリーブチル安息香酸178部、デナコールEX−810(ナガセ化成製)112部及びジメチルエタノールアミン0.5部を仕込み、窒素雰囲気下で160℃において、酸価が1以下に達するまで反応させる。次に系内温度を130℃に冷却した後に、デスモジュールI(住化バイエルウレタン製)89部、溶剤としてキシレン379部及びジブチル錫ジラウレート0.1部を仕込み、赤外吸収スペクトル(IR)測定によりイソシアネート基が確認できなくなるまで反応させ、固形分が50%の目的とする樹脂溶液1を得た。
【0049】
<製造例2〜10>
製造例1と同様の方法で、下記表1に示した配合にて反応させた。製造例8〜10(比較例1〜3)は反応中にゲル化した。製造例2〜7は目的とする樹脂溶液2〜7を得た。
【0050】
<製造例11>
攪拌機、温度計、冷却器、分水器及び窒素ガス導入管を付けた反応容器に大豆油脂肪酸300部、ペンタエリスリトール67部、グリセリン35部、エチレングリコール25部、無水フタル酸170部及びキシレン15部を仕込み、窒素雰囲気下で240℃において反応させ、固形分酸価が12に達した時点で反応を終了し、冷却後溶剤としてミネラルスピリット540部にて希釈し、固形分が50%の目的とする樹脂溶液11を得た。
【0051】
上記製造例1〜11で得た各樹脂溶液を用いて下記表1に示した各実施例及び比較例の塗料を得た。
【0052】
(実施例1)
上記樹脂溶液1を固形分として30部、溶剤(樹脂溶液1に使用した溶剤と同じもの)を40.3部(上記樹脂溶液1の溶剤と塗料製造時に使用する溶剤の合計量)、顔料(カーボンブラック、ベンガラ、二酸化チタン及び沈降性硫酸バリウム)を25部、ダレ防止剤等の添加剤として4部により、実施例1の塗料を得た。
【0053】
(実施例2〜7)
上記樹脂溶液2〜7を用いて実施例1と同様の方法により、実施例2〜7の塗料を得た。但し、実施例5〜7においては、ナフテン酸コバルトとオクチル酸バリウムとからなるドライヤーを0.7部使用した。
【0054】
(比較例1〜3)
上記樹脂溶液8〜10を用いて実施例1と同様の方法により塗料を作製しようとしたが、(C)イソシアネート基を有する化合物を添加するとゲル化してしまい比較例1〜3の塗料を得ることはできなかった。
【0055】
(比較例4)
上記樹脂溶液11を固形分として30部、溶剤としてミネラルスピリットを40.3部(上記樹脂溶液11の溶剤としてのミネラルスピリットと塗料製造時に使用するミネラルスピリットの合計量)、顔料(カーボンブラック、ベンガラ、二酸化チタン及び沈降性硫酸バリウム)を25部、ナフテン酸コバルトとオクチル酸マンガンとからなるドライヤーを0.7部、ダレ防止剤等の添加剤として4部を各々混合し、比較例4の塗料を得た。
【0056】
得られた樹脂組成物の酸価、水酸基価、固形分量、粘度は、以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0057】
<酸価>
樹脂組成物の酸価の測定は、JIS−K−5601−2−1に準じて行った。
【0058】
<水酸基価>
試料約2gをピリジン約10mlに溶解した後、予め調整した無水酢酸/ピリジンの体積比が15/85である混合溶液5mlを加え、20時間放置し、更に1時間還流させた。冷却後、水1mlを加え10分間還流させた。冷却後、エチルアルコール10mlを加え、指示薬としてフェノールフタレイン・エチルアルコール溶液を2滴加え、0.1Nのエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定した。うす紅色が10秒間消えなくなったときを終点とし、次式で水酸基価を計算した;
水酸基価={(B−A)×f×28.05}/(W×NV)+酸価
A:本試験の0.1Nのエタノール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
B:空試験の0.1Nのエタノール性水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)
f:0.1Nのエタノール性水酸化カリウム溶液のファクター
W:試料の質量(g)
NV:試料の固形分量
【0059】
<固形分量>
樹脂組成物の固形分量の測定は、JIS−K−5600−6−1に準じて行った。
【0060】
<粘度>
東京計器社製のB型粘度計BM形式を使用し、試料を20±0.5℃に保持した状態で、No.3ローターを用い30rpmの回転数で測定した。
【0061】
上記で得た塗料を用いて、塗板の作製及び塗膜特性の評価方法を以下のように行った。
【0062】
「塗板の作製」
ブリキ板(厚さ0.3mm)を用い、その表面をキシレンにて洗浄し、実施例1〜7及び比較例4で得た塗料をアプリケーター(6mil)にて塗布した。これを室温で2週間乾燥後各試験に用いた。
【0063】
<耐候性>
サンシャインウェザロメーターによって促進耐候性試験を行い、1000時間後の塗膜の変化を塗膜外観の変化で評価し、また鏡面光沢度(60°光沢)を測定し、初期60°光沢値と比較した光沢保持率により下記のように評価した。
◎:塗膜外観変化が軽微にあり、光沢保持率90%以上
○:塗膜外観変化があり、光沢保持率75%以上90%未満
×:塗膜変化が著しい、光沢保持率75%未満
【0064】
<耐水性>
塗板を水中に浸漬し20℃で7日間放置し、塗膜外観の異常を目視で判定した。
◎:変色、艶の低下がなく、異常がない
○:艶の低下があり、小さなフクレが発生している
×:全面にフクレが発生しているか又は剥離が発生している
【0065】
<耐溶剤性>
ミネラルスピリットを染み込ませたガーゼで、塗面を50往復擦った後の塗膜状態を目視で判定した。
◎:変化なし
○:僅かな痕跡あり
△:目立った擦り傷や艶ぼけあり
×:塗膜が溶解した
【0066】
<可撓性>
塗面を外側に向けて塗板を180°折り曲げ、屈曲部位の塗膜状態を目視で判定した。
○:塗膜に異常なし
△:部分的にクラックが発生している
【0067】
<弱溶剤希釈試験>
塗料作製に用いた樹脂溶液1〜7及び11をミネラルスピリットで10倍に希釈し、20℃における溶液状態を目視で判定した。
○:濁り及び分離の発生なし
△:濁りは発生するが分離なし
×:分離の発生あり
【0068】
【表1】

表1における樹脂は以下のようである。
・デナコールEX−810:ナガセ化成製のエチレングリコールジグリシジルエーテル
・エポゴーセーBA:四日市合成製のブチルグリシジルエーテル
・デナコールEX−301:ナガセ化成製のトリグリシジルイソシアヌレート
・1,4−CHDA:イーストマンケミカル製の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
・デスモジュールI:住化バイエルウレタン製のイソホロンジイソシアネート
・スミジュールN3300:住化バイエルウレタン製のヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート
・X−22−160AS:信越シリコーン製のカルビノール変性反応性シリコーンオイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ基を有する化合物と
(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物と
を開環付加反応させて得られた反応物と、
(C)イソシアネート基を有する化合物
とを反応させることによって得られる樹脂組成物において、
該(A)エポキシ基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能エポキシ化合物であり、
該(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物が官能基総数の50%以上が一官能化合物であり、
該(C)イソシアネート基を有する化合物が官能基総数の50%以上が二官能イソシアネート化合物である、
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記反応物と(C)イソシアネート基を有する化合物とを反応させる際、
更に(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物を反応させて得られる請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)エポキシ基を有する化合物、
前記(C)イソシアネート基を有する化合物、
前記(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物
の群の中から選ばれる少なくとも一種は一官能化合物を含有し、
前記樹脂組成物の固形分水酸基価が40mgKOH/g以下である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物が、脂肪族炭化水素系溶剤を50質量%以上含む溶剤を用いて樹脂固形分50%に調整した際、20℃において濁り及び分離の発生がなく、且つ、20℃における粘度が300ポイズ以下である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物が不飽和脂肪酸を含み、前記樹脂組成物の固形分酸価が10mgKOH/g以下である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)エポキシ基を有する化合物が脂肪族エポキシ化合物であり、且つ、前記(C)イソシアネート基を有する化合物が脂肪族イソシアネート化合物であり請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記(A)エポキシ基を有する化合物、
前記(B)エポキシ基と開環付加反応することができる官能基を有する化合物、
前記(C)イソシアネート基を有する化合物、
前記(D)イソシアネート基と反応することができる官能基を有する化合物
の群の中から選ばれる少なくとも一種はケイ素含有化合物であり、
該ケイ素含有化合物の含有量がSiO換算で樹脂固形分に対して5質量%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−195854(P2008−195854A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33469(P2007−33469)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】