樹脂膜の製造方法及び有機電界発光表示装置
【課題】基板と異なる材料により段差が形成された基板に対し、100nm以下の薄膜を成膜する場合に、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜を可能とする樹脂膜の製造方法、及び該樹脂膜を用いた有機電界発光表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の樹脂膜の製造方法は、基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する樹脂膜成膜工程を含み、前記樹脂膜の膜厚が100nm以下であり、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることを特徴とする。
【解決手段】本発明の樹脂膜の製造方法は、基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する樹脂膜成膜工程を含み、前記樹脂膜の膜厚が100nm以下であり、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜厚の薄い樹脂膜を成膜する際に用いられる樹脂膜の製造方法、及び該樹脂膜を用いた有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子等の光学素子を用いて形成される発光表示装置は、近年特に薄型化、画質の高精細化の要望が大きく、形成部材における種々の提案がなされている。
例えば、半導体装置に用いられるレジスト膜等の塗布膜の形成方法に関し、段差を有する基体表面に塗布液を塗布することにより塗布膜を成膜し、その塗布液として、表面張力の値が35mN/m以上であり、水の表面張力の値以下である溶剤を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この提案の条件においては、基板と異なる材料により形成された段差を有する基板に対して、100nm以下の超薄膜を塗布する場合、基板上と段差上とで均一な厚みの薄膜が得られないという問題がある。
【0003】
また、基板上に正孔注入電極と発光層を含む有機層と電子注入電極を積層した有機EL表示素子の製造方法に関し、前記有機層を形成する材料を含む溶液を基板に塗布し、厚みの薄い有機層を形成することが提案されている。ここでは、前記有機層を形成する方法として、前記基板上に塗布された前記有機層を形成する材料を含む溶液の乾燥速度を制御し、前記有機層の形成速度を調整することとされている(特許文献2参照)。
しかしながら、乾燥速度の制御のみでは、薄膜の面内分布(薄膜の面内における厚み)を均一なものとすることができず、該面内分布を光学素子として利用できる範囲に抑えることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−92648号公報
【特許文献2】特開2001−297876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、基板と該基板と異なる材料により段差が形成された基板に対し、100nm以下の超薄膜を成膜する場合に、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜を可能とする樹脂膜の製造方法、及び該樹脂膜を用いた有機電界発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の知見が得られた。即ち、基板と該基板と異なる材料により段差が形成された基板に、樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する場合、膜厚が100nmよりも大きなときには、表面張力が膜厚の均一性及び段差に対する追従性にとって支配的な要因となる。
しかしながら、膜厚が100nm以下になると、基板及び段差の各表面と塗布液との相互作用の影響が顕著となり、基板及び段差の各表面の物性が支配的となるため、塗布液のみでは、目的とする樹脂膜が得られないことを知見した。
この知見に基づき、更に、樹脂膜の成膜方法を検討したところ、基板及び段差の各表面に対する塗布液の接触角を所定の値とすることで、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜が可能となることを知見した。
【0007】
本発明は、前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する樹脂膜成膜工程を含み、前記樹脂膜の膜厚が100nm以下であり、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることを特徴とする樹脂膜の製造方法である。
<2> 塗布の方法が、スプレーコート法及びインクジェット法のいずれかである前記<1>に記載の樹脂膜の製造方法である。
<3> 樹脂材料が、光透過性樹脂である前記<1>から<2>のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法である。
<4> 成膜された樹脂膜に対して選択的に露光を行うことにより、前記樹脂膜を硬化又は溶解させ、凸状部の突出した面上に前記樹脂膜の加工層を形成する加工層形成工程を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法である。
<5> 加工層以外の樹脂膜を除去して、基板上に凸状部と、該凸状部の突出した面上に加工層とを形成する樹脂膜除去工程を含む前記<4>に記載の樹脂膜の製造方法である。
<6> 更に、加工層を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する前記<5>に記載の樹脂膜の製造方法である。
<7> 赤、緑、青に対応する複数の画素のうち、少なくとも一つの画素に、凸状の反射金属が配される基板と、前記反射金属の突出面上に光路長調整層とを有してなり、前記光路長調整層が、前記<1>から<6>のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法により製造されることを特徴とする有機電界発光表示装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、基板と該基板と異なる材料により段差が形成された基板に対し、100nm以下の超薄膜を成膜する場合に、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜を可能とする樹脂膜の製造方法、及び該樹脂膜を用いた有機電界発光表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(1)である。
【図2】図2は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(2)である。
【図3】図3は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(3)である。
【図4】図4は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(4)である。
【図5】図5は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(5)である。
【図6】図6は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(6)である。
【図7】図7は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(7)である。
【図8】図8は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(8)である。
【図9】図9は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(9)である。
【図10】図10は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(10)である。
【図11】図11は、本発明の発光表示装置の一の構成例を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の発光表示装置の他の構成例を示す概略図である。
【図13】図13は、本発明の発光表示装置の更に他の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(樹脂膜の製造方法)
本発明の樹脂膜の製造方法は、少なくとも、樹脂膜成膜工程を含み、必要に応じて、加工層形成工程、樹脂膜除去工程を含むこととしてなる。
【0011】
<樹脂膜成膜工程>
前記樹脂膜成膜工程は、基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜することとしてなる。
【0012】
−基板−
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板、Si基板等が挙げられ、これらの基板材料としては、例えば、シリコン、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、アクリロイル化合物、ポリエチレンテレフタレート、透明ABS樹脂が挙げられる。
【0013】
前記基板の光線透過率としては、有機電界発光素子等の光学素子に用いられる場合、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
前記光線透過率としては、JIS−K7105に記載された方法、即ち、積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
前記基板の厚みとしては、特に制限がないが、典型的には50μm〜1,500μmであり、100μm〜1,000μmが好ましい。
【0014】
−凸状部−
前記凸状部としては、特に制限はなく、直方体状のものが挙げられ、その平面において段差を形成する突出面を有する。
前記凸状部の幅としては、特に制限はないが、前記凸状部の高さとしては、塗布時に段差上と基板上とで塗布膜が不連続にならないようにする観点から、10nm〜300nmが好ましく、30nm〜200nmがより好ましく、50nm〜100nmが特に好ましい。
【0015】
前記凸状部の形成材料としては、前記基板の形成材料と異なる限り、特に制限はなく、例えば、光学素子に用いられる、電極材料、マイクロキャビティ構造を構成する反射金属材料、半透明金属材料、半透明性の誘電体多層膜ミラー等が挙げられる。
このような凸状部の具体的な形成材料としては、金属材料として、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
また、アルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。
また、誘電体多層膜ミラーとして、SiO2、SiNの積層膜等が挙げられる。
【0016】
前記凸状部の前記基板に対する形成方法としては、特に制限はなく、例えば、マスクを用いた真空蒸着、スパッタリング、CVDなどのドライプロセス、フォトリソグラフィ、電解メッキ、無電解メッキなどのウェットプロセスの他、スクリーン印刷などにより、形成する方法が挙げられる。
【0017】
−塗布液−
前記塗布液としては、樹脂材料を含む限り、特に制限はなく、溶媒、必要に応じて、その他の成分を含むこととしてなる。
【0018】
−−樹脂材料−−
前記樹脂材料としては、特に制限はないが、光学素子に用いる観点から、光透過性樹脂が好ましい。
前記光透過性樹脂材料としては、光透過性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、ポリシロキサン、その他有機珪素化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
−−光硬化性樹脂(ラジカル重合性モノマー)−−
前記光透過性樹脂としては、前記例示の化合物の中でも、光硬化性樹脂が好ましい。
前記光硬化性樹脂としては、特に制限はないが、少なくとも1つの下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表されるラジカル重合性モノマーを有することがより好ましい。
これらのラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性官能基を2つ以上有することが好ましい。重合性官能基が2つ以上あると3次元的に架橋することができ、機械強度が向上する点で好ましい。
【0020】
一般式(1)
【化1】
(ただし、前記一般式(1)において、R7は、水素又はメチル基を表し、R8は、水素原子を表し、L1は、炭素数1〜18の置換又は無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換又は無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、及び、これらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基のいずれかを表す。m1は、1〜6の整数を表し、m1が2以上の場合において、各繰り返し単位におけるR7及びR8は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0021】
一般式(2)
【化2】
(ただし、前記一般式(2)において、R9は、水素又はメチル基を表し、R10は、水素原子を表し、L2は、炭素数1〜18の置換又は無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換又は無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、及び、これらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基のいずれかを表す。m2は、1〜6の整数を表し、m2が2以上の場合において、各繰り返し単位におけるR9及びR10は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0022】
前記光硬化性樹脂としては、前記一般式(2)で表されるエチレン不飽和二重結合を有するラジカル重合性モノマーからなるアクリレート重合体を主成分とするのが特に好ましい。ここで主成分とは、後述する光透過性樹脂層を構成する重合性モノマーのうち、含量が最も多いことをいい、80質量%以上であることをいう。
また、前記アクリレート重合体としては、下記一般式(3)で表される構造単位を有するポリマーが挙げられる。
【0023】
一般式(3)
【化3】
(ただし、前記一般式(3)において、Zは、下記一般式(a)、又は、二重結合性基を有する一般式(b)で表され、該下記一般式(a)又は(b)におけるR11及びR12は、各々独立に水素原子又はメチル基を表し、*は一般式(3)のカルボニル基と結合する位置を表し、Lは、n価の連結基を表す。nは、1〜6の整数を示す。nが2以上の場合において、各繰り返し単位におけるZは、互いに同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも1つのZは、下記一般式(a)で表されることが好ましい。
【0024】
【化4】
【0025】
前記一般式(3)において、Lの炭素数は、3〜18が好ましく、4〜17がより好ましく、5〜16が更により好ましく、6〜15が特に好ましい。
nが2の場合、Lは、2価の連結基を表すが、そのような2価の連結基の例としては、アルキレン基(例えば、1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロピレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、1,16−ヘキサデシレン基等)、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、及びこれらの2価基が複数個直列に結合した2価残基(例えばポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、プロピオニルオキシエチレン基、ブチロイルオキシプロピレン基、カプロイルオキシエチレン基、カプロイルオキシブチレン基等)を挙げることができる。
これらの中で、前記アルキレン基が好ましい。
【0026】
また、前記光透過性樹脂材料としては、光照射により溶解反応を生ずるもの(ポジ型:光溶解性樹脂)でもよい。
前記光溶解性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポジ型レジストとして一般的に用いられる、フェノール系樹脂、アルカリ可溶性樹脂と感光物としてナフトキノンジアジド置換化合物とを含む組成品等が挙げられ、具体的には、「ノボラック系フェノール樹脂/ナフトキノンジアジド置換化合物」等のジアゾナフトキノン(DNQ)−ノボラック系樹脂、「クレゾール−ホルムアルデヒドよりなるノボラック系樹脂/トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル」等のメタパラクレゾールノボラック系樹脂などが挙げられる。
【0027】
前記塗布液における前記光透過性樹脂材料の含有量としては、前記塗布液100質量部に対し、1質量部〜15質量部が好ましく、1.5質量部〜12質量部がより好ましく、2質量部〜10質量部が特に好ましい。
前記光透過性樹脂材料の含有量が、1質量部未満であると、目的とする膜厚の薄膜を作製するための溶液量が多く、乾燥時に重力や風力の影響を受けやすくなり膜厚が均一になりにくいことがあり、15質量部を超えると、目的とする膜厚の薄膜を作製するための溶液量が少なくなりスプレーコータやインクジェット装置で塗布できる溶液量の下限を下回ることがある。
【0028】
−−溶媒−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、前記樹脂材料を溶解するものを適宜選択することができ、例えば、アルコール系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒等が挙げられる。
具体的には、前記アルコール系有機溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エトキシメタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどの他、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセトエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコール類が挙げられる。
前記エーテル系有機溶媒として、メチレンジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等が挙げられる。
前記ケトン系有機溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
これらの中でも前記アルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0029】
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤等の成分が挙げられる。前記光重合開始剤としては、光を照射したときにラジカルを発生する化合物であれば、特に制限はなく、公知の光重合開始剤等を目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
前記凸状部を有する面上に対して、前記塗布液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スプレーコート法及びインクジェット法が好ましい。
スピンコート法、ディップ法等の塗布方法であると、段差の影響を受けて大面積で均一な膜厚を得ることが難しく、また目的とする膜厚よりも厚膜になってしまうことがある。
【0031】
前記スプレーコート法に用いられるスプレーコータとしては、特に制限はなく、具体的にはDC110(製造元:三明電子産業)などが用いられる。ノズルとしては、特に制限はなく、液流量、気体流量を独立して制御できる2流体ノズルのうちから適宜選択することができ、具体的にはAM6S−IS(製造元:株式会社アトマックス)などが少量塗布に向いている。
前記液流量に関しては、噴霧量と噴霧面積によって膜厚が規定されるため、溶液の固形分濃度と併せて目的とする膜厚に応じて適宜選定することができる。
前記気体流量に関しては、少ないと噴霧液滴の微粒化が十分になされず均一な膜面とならないが、多くても塗布後に塗布面で風圧の影響を受けて溶液が流動するために均一な膜面が得られない。
前記流量の上限、下限の値としては、溶液の固形分濃度に伴って変動する粘度及び塗布量に応じて適宜選択することができる。
【0032】
前記インクジェット法に用いられるインクジェット装置としては、特に制限はなく、具体的にはダイマティックス・マテリアルプリンターDMP―2831(製造元:富士フイルム)などが用いられる。インクジェットでは液滴一滴の体積が規定できるため、液滴の体積と溶液の濃度を目的とする膜厚に応じて適宜選択することができる。また、打滴ピッチを変動させることによっても膜厚を制御することができる。
【0033】
−樹脂膜−
前記樹脂膜の膜厚としては、100nm以下であり、更に、75nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
本発明は、前記膜厚が100nm以下になると、基板及び段差の各表面と塗布液との相互作用の影響が顕著となり、基板及び段差の各表面の物性が支配的となるため、塗布液のみでは、目的とする樹脂膜が得られないとの知見に基づくものであり、前記膜厚が100nm以下の場合でも、後述する接触角を制御することで、膜厚が均一で、段差の形状に追従可能な樹脂膜を得ることができる。
【0034】
前記樹脂膜の成膜方法としては、特に制限はないが、前記塗布液を前記基板に塗布した後、後処理を行うことが好ましい。
前記後処理の方法としては、例えばUV照射装置を用いてマスク露光をした後に、適当な現像液を用いて現像を行い、洗浄液で現像液を洗い流した後に後加熱をして形状を安定させることが挙げられる。
【0035】
<接触角>
本発明は、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることとし、この|A−B|は、小さいほど好ましい。
即ち、膜厚が100nm以下の前記樹脂膜を成膜する場合、膜厚がこれよりも大きな場合と異なり、塗布液の表面張力が塗布性の良否を決定する支配的な要因にならず、接触角を前記|A−B|の範囲に制御することで、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜が可能となることを見出したものである。
このような観点から、前記基板及び前記凸状部上に、前記塗布液を用いた樹脂膜の成膜をする場合に、前記接触角を適宜調整する必要がある。この場合、前記接触角としては、以下の方法で測定することができる。
【0036】
前記接触角としては、段差上及び基板上に、接触角計(製品名:DM−301、製造元:協和界面科学)を用いて塗布液を滴下し、解析ソフト(製品名:FAMAS、製造元:協和界面科学)を用いて測定することができる。
【0037】
<加工層形成工程>
前記加工層形成工程は、前記成膜された樹脂膜に対して、選択的に露光を行うことにより、前記樹脂膜を硬化又は溶解させ、前記凸状部の突出した面上に前記樹脂膜の加工層を形成する工程としてなる。
【0038】
前記露光の方法としては、特に制限はないが、露光マスクを用いて、選択的に前記樹脂膜に光を照射する方法が挙げられる。
前記光を照射する対象としては、前記樹脂層が、前記光硬化性樹脂と前記光溶解性樹脂とのいずれかを含むかにより、適宜選択される。
【0039】
前記照射する光としては、通常、高圧水銀灯若しくは低圧水銀灯による紫外線である。
前記照射エネルギーとしては、0.5J/cm2以上が好ましく、2J/cm2以上がより好ましい。
本明細書においては、前記樹脂膜のうち、前記凸状部の突出面上に積層されるように加工された層を加工層という。
【0040】
<樹脂層除去工程>
前記樹脂層除去工程は、前記加工層以外の樹脂膜を除去して、前記基板上に凸状部と、該凸状部の突出した面上に前記加工層と形成することとしてなる。
前記加工層以外の樹脂膜を除去する方法としては、特に制限はなく、現像等のフォトリソグラフィープロセスに用いられる方法が挙げられる。
前記現像の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロピルアルコール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤を用いた超音波現像が挙げられる。
【0041】
前記樹脂膜の製造方法としては、更に、前記基板と前記加工層の面とによる段差を有する面が形成される基板に対し、前記加工層を有する面上に前記樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜することで、前記凸状部が複数存在する場合に、前記凸状部に高さの異なる加工層を形成することができる。
この際、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記加工層に対する接触角をC(°)としたとき、前記Aと前記Cとの絶対値の差、|A−C|が、前記|A−B|と同様の値を有することが好ましい。
このように、前記塗布液を前記凸状部ないし前記加工層上に繰り返し塗布等することにより、厚みの精度が求められる加工層からなる樹脂膜を順次所望の膜厚で製造することができる。
【0042】
前記樹脂膜の製造プロセスの一例を図面を用いて説明する。
先ず、基板1と異なる材料で形成された凸状部3(3a、3b、3c)を有する基板1に対して、樹脂材料を含む塗布液を塗布して、樹脂膜2を成膜する(樹脂膜成膜工程、図1、図2参照)。
基板1上に、凸状部3と樹脂膜2とが配された状態で、部分的に遮光可能とするマスク4で覆い、光Lを照射して、選択的に露光し硬化させ、樹脂膜2の加工層を形成する(加工層形成工程、図3参照)。
これを現像して、樹脂膜2のうち、露光した部分(加工層)以外の箇所を取り除く(樹脂膜除去工程、図4参照)。なお、樹脂材料として、光溶解性樹脂を用いる場合は、露光した部分を取り除く。
これらの工程により、基板1上に凸状部3aと、該凸状部3aの突出した面上に加工層5aを形成する。
【0043】
次に、加工層5を多段に形成するために、塗布液2を塗布して、加工層5aと隣接する凸状部3b、3cの面上に樹脂膜2を成膜する(図5参照)。
次いで、基板1上に、加工層5aと、凸状部3b、3cと、樹脂膜2とが配された状態で、部分的に遮光可能とするマスク4で覆い、光Lを照射して、選択的に露光し硬化させ、樹脂膜2の加工層5a、5bを形成する(図6参照)。
これを現像して、樹脂膜2のうち、露光した部分(加工層5a、5b)以外の箇所を取り除く(図7参照)。
これらの工程により、基板1上に、凸状部3cと、厚みの異なる加工層5a、5bとが形成される。
【0044】
更に加工層5を多段に形成するために、塗布液2を塗布して、加工層5a、5bと、凸状部3cの面上に樹脂膜2を成膜する(図8参照)。
次いで、基板1上に、加工層5a、5bと、凸状部3cと、樹脂膜2とが配された状態で、部分的に遮光可能とするマスク4で覆い、光Lを照射して、選択的に露光し硬化させ、樹脂膜2の加工層5a、5b、5cを形成する(図9参照)。
これを現像して、樹脂膜2のうち、露光した部分(加工層5a、5b)以外の箇所を取り除く(図8参照)。
これらの工程により、基板1上に、厚みの異なる加工層5a、5b、5cが形成される。
【0045】
前記樹脂膜の製造方法は、100nm以下の薄膜を、均一で段差に対する追従性よく成膜することができる。
したがって、前記樹脂膜の製造方法としては、薄膜が形成される有機電界発光素子等の光学素子を有する発光表示装置の製造に好適に用いることができる。
【0046】
(有機電界発光表示装置及びその製造方法)
本発明の有機電界発光表示装置は、赤、緑、青に対応する複数の画素のうち、少なくとも一の画素に凸状の反射金属又は半透明部材が配される基板と、前記反射金属又は半透明部材の突出面上に光路長調整層とを有してなり、前記光路長調整層が、本発明の前記樹脂膜の製造方法により製造されることとしてなる。前記有機電界発光表示装置としては、目的に応じて必要な有機電界発光素子を有する。
前記有機電界発光表示装置の製造方法としては、光透過性樹脂材料成膜工程と、光透過性樹脂層形成工程と、光路長調整層形成工程とを含み、更に、有機電界発光表示装置を製造するために必要なその他の工程を含む。
【0047】
<光透過性樹脂材料成膜工程>
前記光透過性樹脂材料成膜工程は、前記凸状の反射金属又は半透明部材を有する基板上に光透過性樹脂材料を成膜する工程としてなる。
前記光透過性樹脂材料としては、本発明の前記樹脂膜の製造方法において、説明した光透過性樹脂材料を挙げることができる。
また、前記基板上に前記光透過性樹脂材料を成膜する方法としては、本発明の前記樹脂膜の製造方法における前記樹脂膜成膜工程にて説明した事項を適用することができる。
【0048】
−−反射金属及び半透明部材−−
前記反射金属は、有機発光層から出射される光を反射する作用を有する。また、前記半透明部材は、有機発光層から出射される光を反射乃至透過させる作用を有する。
これら前記反射金属及び半透明部材は、有機発光層を間に有する状態で対向配置され、有機発光層から出射される光を共振する作用を有する。
前記半透明部材としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、例えば、半透明金属、半透明性の誘電体多層膜ミラー、及びこれらの組み合わせが好ましい。
前記半透明金属としては、特に制限はなく、後述する陽極を用いて構成することができる。
前記半透明性の誘電体多層膜ミラーとしては、特に制限はなく、例えば、SiO2、SiNの積層等で構成される誘電体多層膜からなるミラー、などが挙げられる。
前記反射金属としては、特に制限はなく、後述する陰極を用いて構成することができる。
なお、前記反射金属及び前記半透明部材の形状としては、本発明の前記樹脂膜の製造方法において説明した前記凸状部と同様の形状とすることができる。
【0049】
<光透過性樹脂層形成工程>
前記光透過性樹脂層形成工程は、前記成膜された光透過性樹脂材料のうち、前記一の画素に対応する前記反射金属又は前記半透明部材上に、光透過性樹脂層を形成する工程としてなる。
前記光透過性樹脂層の形成は、本発明の前記樹脂膜の製造方法における前記加工層形成工程にて説明した事項を適用することができる。
【0050】
<光路長調整層形成工程>
前記光路長調整層形成工程は、前記反射金属又は半透明部材上に形成された前記光透過性樹脂層以外の前記光透過性樹脂材料を除去して、前記反射金属又は半透明部材と、前記反射金属又は半透明部材の面上に前記光路長調整層としての光透過性樹脂層を形成することとしてなる。
前記光路長調整層の形成は、本発明の前記樹脂膜の製造方法における前記樹脂膜除去工程にて説明した事項を適用することができる。
【0051】
−光路長調整層−
本発明の有機電界発光表示装置においては、赤、緑、青の少なくとも一つの画素領域において、前記光路長調整層が内部に導入され、共振構造(マイクロキャビティ構造)を有してなる。即ち、赤、緑、青の少なくとも一つの画素領域において、前記反射部材と前記半透明部材との間に発光層を含むこととして構成され、好ましくは、赤、緑、青の全ての画素領域において、前記反射部材と前記半透明部材との間に発光層を含むこととして構成されることが好ましい。
この場合、赤、緑、青の前記画素領域のそれぞれにおいて、発色に応じた厚みに前記光路長調整層の厚みが調整されることが必要である。
【0052】
前記光路長調整層の厚みとしては、各副画素が所定の波長の光が効率良く共振し得る光学的距離(光路長)となるように調整される。
従って、共振する光学的距離は、光反射膜と光半透過反射膜との間に挟持される材料の屈折率とその組成、厚みによって決定されるので、光路長調整層によって決定される訳ではない。
一般に用いられる有機発光層の構成を斟酌すると、前記赤の画素領域における光路長調整層の厚みとしては、物理的厚みで、30nm〜1,000nmが好ましく、150nm〜350nmがより好ましく、200nm〜250nmが特に好ましい。
前記緑の画素領域における光路長調整層の厚みとしては、物理的厚みで、5nm〜800nmが好ましく、100nm〜250nmがより好ましく、150nm〜200nmが特に好ましい。
前記青の画素領域における光路長調整層の厚みとしては、物理的厚みで、0nm〜600nmが好ましく、50nm〜200nmがより好ましく、100nm〜150nmが特に好ましい。
【0053】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、有機電界発光表示装置の発光に必要な有機電界発光素子を形成する工程が挙げられる、以下では、本発明における有機電界発光素子について説明する。
【0054】
−有機電界発光素子−
本発明の有機電界発光素子は、本発明の前記樹脂膜の製造方法により製造された樹脂膜を有することとしてなり、前記有機電界発光素子としては、一対の電極として、陽極と陰極とを有し、両電極の間に発光層を有する。両電極間に配置される、発光層以外の機能層としては、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
【0055】
−−電極−−
前記有機電界発光素子は、一対の電極すなわち陽極と陰極とを含む。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち、一方が前記反射金属材料からなり、他方が前記半透明部材からなることが好ましい。
通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
【0056】
前記電極としては、特に制限はないが、その陽極、陰極において、前記反射金属、前記半透明部材としての半透明金属を構成することが好ましい。
【0057】
前記陽極を構成する材料の具体例としては、例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
【0058】
前記陰極を構成する材料の具体例としては、例えば、アルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0059】
前記電極の形成方法にとしては、特に制限はなく、例えば、本発明の前記樹脂膜の製造方法において説明した前記凸状部の形成方法を適用することができる。
【0060】
−−基板−−
前記基板としては、特に制限はなく、例えば、本発明の前記樹脂膜の製造方法において説明した前記基板を挙げることができる。
【0061】
前記発光層、前記正孔輸送層、前記電子輸送層、前記正孔ブロック層、前記電子ブロック層、前記正孔注入層、前記電子注入層等の各層としては、特に制限はなく、例えばUS6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、WO2004/108857A1、WO2005/042444A2、WO2005/042550A1、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−93542、特開2006−261623、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259、特開2002−235076、特開2004−214179、特開2004−221062、特開2004−221065、特開2004−221068、特開2004−327313等に記載の事項を適用することができる。
【0062】
前記有機発光表示装置においては、有機発光層から出射された光が、異なる厚みで形成される前記光路長調整層の光路長に対応して、青、緑、赤に対応する波長の光を取り出すことが可能であるが、前記発光表示装置の観察者側における青、緑、赤の各画素領域において、それぞれの色に対応するカラーフィルターを更に配し、より高精細なフルカラー表示を可能としてもよい。
【0063】
−第1の実施形態−
前記発光表示装置の一構成例を図11を用いて説明する。発光表示装置100は、トップエミッション方式の発光表示装置である。
該発光表示装置100は、基板11上に、赤、緑、青の各画素領域において、反射金属13を有している。
赤の画素領域においては、反射金属13を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17と介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該赤の画素領域においては、光路長が光路長調整層15aにより調整され、反射金属13と半透明部材18との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d3が形成される。
緑の画素領域においては、反射金属13を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該緑の画素領域においては、光路が光路長調整層15aにより調整され、反射金属13と半透明部材18との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d2が形成される。
青の画素領域においては、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該青の画素領域においては、反射金属13と半透明部材18との間に透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d1が形成される。
【0064】
このようにして形成される発光表示装置100は、有機発光層17から出射される光が、反射金属13と半透明部材18との間で共振され、光路長d1、d2、d3に応じた波長の光が強められ、それぞれ青、緑、赤の光として半透明部材18側から取り出される。
【0065】
−第2の実施形態−
前記発光表示装置の他の構成例を図12を用いて説明する発光表示装置200は、トップエミッション方式の発光表示装置である。
該発光表示装置200では、赤の画素領域において、反射金属13を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該赤の画素領域においては、光路が光路長調整層15aにより調整され、反射金属13と半透明部材18との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d3が形成される。
緑の画素領域においては、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該緑の画素領域においては、反射金属13と半透明部材18との間に透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d2が形成される。
青の画素領域においては、有機発光層17を介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該青の画素領域においては、反射金属13と半透明部材18との間に有機発光層17と有する光路長d1が形成される。
該青の領域において、基板11上に配される反射金属13、電極材料で形成され、透明導電膜16と同様の電極作用を奏するように構成されている。
その他の点については、第1の実施形態と共通するため、説明を省略する。
【0066】
−第3の実施形態−
前記発光表示装置の一構成例を図13を用いて説明する。発光表示装置300は、ボトムエミッション方式の発光表示装置である。
該発光表示装置300では、基板11上に、赤、緑、青の各画素領域において、半透明部材18を有している。
赤の画素領域においては、半透明部材18を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17と介して、半透明部材18に対向する反射金属13が配されている。該赤の画素領域においては、光路長が光路長調整層15aにより調整され、半透明部材18と反射金属13との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d3が形成される。
緑の画素領域においては、半透明部材18を被覆するように光路長調整層15bが配され、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、半透明部材18に対向する反射電極13が配されている。該緑の画素領域においては、光路が光路長調整層15bにより調整され、半透明部材18と反射金属13との間に光路長調整層15bと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d2が形成される。
青の画素領域においては、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、半透明電極18に対向する反射金属2が配されている。該青の画素領域においては、半透明部材18と反射金属13との間に透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d1が形成される。
その他の点については、第1の実施形態と共通するため、説明を省略する。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
<凸状部を有する基板の作製>
基板としてのガラス基板(イーグル2000、製造元:コーニングインターナショナル株式会社)上に、金属マスクを利用した真空蒸着法によりアルミニウム100nmを成膜し、前記ガラス基板上に凸状部としてのアルミニウムパターンを、高さ100nm、幅30μmにて配し、凸状部を有する基板を作製した。
【0069】
<塗布液1の調製>
溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダワノールDPMA、製造元:ダウ・ケミカル日本株式会社)に光透過性樹脂材料(ラジカル重合性モノマー、新中村化学工業社製、1,10−デカンジオールジメタアクリレート)を添加し、光透過性樹脂材料の3質量%溶液からなる塗布液1を調製した。
【0070】
<成膜>
前記基板の凸状部を有する面に、スプレーコータ(三明電子産業社製、DC110)を用いて、塗布液1を塗布した後、マスク露光・現像、加熱して、基板上に実施例1における厚み45nmの樹脂膜を成膜した。
【0071】
(実施例2)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてSi基板(製造元:信越化学工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2における樹脂膜を成膜した。
【0072】
(比較例1)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えて、ガラス基板上に、スピンコート装置(SP−40、製造元:三井精機工業株式会社)を用いて、フッ素含有液(サイトップ、製造元:旭硝子株式会社)を一様に塗布した後、180℃1時間加熱したもの(以下フッ素処理ガラス基板とする)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1における樹脂膜を成膜した。
【0073】
(実施例3)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、アルミニウムに代えて銀を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3における樹脂膜を成膜した。
【0074】
(実施例4)
実施例3の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてSi基板を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4における樹脂膜を成膜した。
【0075】
(比較例2)
実施例3の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてフッ素処理ガラス基板を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例2における樹脂膜を成膜した。
【0076】
(実施例5)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、アルミニウムに代えてマグネシウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5における樹脂膜を成膜した。
【0077】
(実施例6)
実施例5の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてSi基板を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例6における樹脂膜を成膜した。
【0078】
(比較例3)
実施例5の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてフッ素処理ガラス基板を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例3における樹脂膜を成膜した。
【0079】
(実施例7)
実施例1において、塗布液を塗布液1から下記のように調製した塗布液2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7における樹脂膜を成膜した。
【0080】
<塗布液2の調製>
即ち、溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダワノールDPMA、製造元:ダウ・ケミカル日本株式会社)に、光透過性樹脂材料(ラジカル重合性モノマー、新中村化学工業社製、1,10−デカンジオールジメタアクリレート)とフッ素含有モノマー(大阪有機化学工業社製、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート)を質量比5:1で混合したものを添加し、3質量%溶液からなる塗布液2を調製した。
【0081】
(比較例4)
実施例2において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例4における樹脂膜を成膜した。
【0082】
(実施例8)
比較例1において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、比較例1と同様にして、実施例8における樹脂膜を成膜した。
【0083】
(実施例9)
実施例3において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例9における樹脂膜を成膜した。
【0084】
(実施例10)
実施例4において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例10における樹脂膜を成膜した。
【0085】
(実施例11)
比較例2において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、比較例2と同様にして、実施例11における樹脂膜を成膜した。
【0086】
(実施例12)
実施例5において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例12における樹脂膜を成膜した。
【0087】
(実施例13)
実施例6において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例13における樹脂膜を成膜した。
【0088】
(実施例14)
比較例3において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、比較例3と同様にして、実施例14における樹脂膜を成膜した。
【0089】
(比較例5)
実施例1において、塗布液を塗布液1から下記のように調製した塗布液3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5における樹脂膜を成膜した。
【0090】
<塗布液の調製>
即ち、溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに、光透過性樹脂材料(ラジカル重合性モノマー、新中村化学工業社製、1,10−デカンジオールジメタアクリレート)とフッ素含有モノマー(大阪有機化学工業社製、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート)を質量比2:1で混合したものを添加し、3質量%溶液からなる塗布液3を調製した。
【0091】
(比較例6)
実施例2において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例6における樹脂膜を成膜した。
【0092】
(実施例15)
比較例1において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、比較例1と同様にして、実施例15における樹脂膜を成膜した。
【0093】
(比較例7)
実施例3において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例7における樹脂膜を成膜した。
【0094】
(比較例8)
実施例4において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例8における樹脂膜を成膜した。
【0095】
(実施例16)
比較例2において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、比較例2と同様にして、実施例16における樹脂膜を成膜した。
【0096】
(実施例17)
実施例5において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例17における樹脂膜を成膜した。
【0097】
(比較例9)
実施例6において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、比較例9における樹脂膜を成膜した。
【0098】
(実施例18)
比較例3において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、比較例3と同様にして、実施例18における樹脂膜を成膜した。
【0099】
(参考例1)
実施例1の凸状部を有する基板に代えて、ガラス基板上に凸状部としてのアルミニウムパターンを配さない段差のない基板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1における樹脂膜の成膜を行った。
【0100】
(参考例2)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、凸状部としてアルミニウムパターンを有するガラス基板に代えて、以下の凸状部を有する基板を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、参考例2における樹脂膜を成膜した。
即ち、ガラス基板に金属マスクを利用せずに真空蒸着法によりアルミニウム100nmを一様に成膜し、続いて金属マスクを利用してアルミニウムを真空蒸着することで、アルミニウム蒸着基板上に凸状部としてのアルミニウムパターンを、高さ100nm、幅30μmにて配し、凸状部を有する基板を作製した。
【0101】
(測定方法及び評価方法)
<凸状部(段差)の形状の測定方法>
凸状部(段差)の形状は、幅は光学式顕微鏡(MX61、製造元:オリンパス株式会社)で測定し、高さは段差端面を触針式表面形状測定器(Dektak8、製造元:アルバック株式会社)で測定した。
【0102】
<接触角の測定方法>
接触角は、段差上及び基板上に、接触角計(製品名:DM−301、製造元:協和界面科学)を用いて塗布液を滴下し、解析ソフト(製品名:FAMAS、製造元:協和界面科学)を用いて測定した。
【0103】
<樹脂膜の膜厚測定方法及び評価方法>
樹脂膜の膜厚は、自動エリプソメータ(DHA―XA/S6、製造元:株式会社溝尻光学工業所)を用い、基板上の樹脂膜及び凸状部上の樹脂膜のそれぞれに対し12点計測し、その平均値より算出した。評価方法は、凸状部上の膜厚に対し設定した膜厚45nmからの誤差を算出することによって行った。
【0104】
<評価基準>
◎:設定値に対するズレ幅が4%以内のとき
○:設定値に対するズレ幅が4%より大きく6%以内のとき
△:設定値に対するズレ幅が6%より大きく8%以内のとき
×:設定値に対するズレ幅が8%より大きいとき
【0105】
<表面張力の測定方法>
表面張力は、溶液を表面張力計(製品名:DY―300、製造元:協和界面科学)を用いて3回測定し、その平均値で算出した。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
一般に、液体の表面張力が小さい方が、接触角が小さくなることが知られているが、膜厚が100nm以下の樹脂膜を形成する場合、上記表1及び表2に示す結果が得られた。即ち、塗布液1、塗布液2、塗布液3の順に表面張力(mN/m)が小さい塗布液であるが(表2参照)、これらの塗布液を用いて膜厚が100nm以下の樹脂膜を成膜すると、例えば、塗布液以外の条件が同じであり、塗布液1を用いた実施例1、塗布液2を用いた実施例7、塗布液3を用いた比較例5に関し、実施例1、実施例7、比較例5の順に表面張力が小さくなることはなく(表1参照)、実施例1〜18、及び比較例1〜9の各条件において、表面張力に対する接触角の依存性は確認されなかった。
このような条件の中、塗布液の基板に対する接触角をA(°)とし、塗布液の凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、AとBとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満である実施例1〜18においては、該|A−B|が、10°以上である比較例1〜9と比較して、良好な塗布性が確認された。
なお、比較例1〜9においては、塗布性に劣ることが確認されたが、この問題は、参考例1及び参考例2との比較から理解されるように、基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対して樹脂膜を成膜する場合に生じるものである。
【0109】
<有機電界発光表示装置の作製>
(実施例19)
実施例1における樹脂膜に対して、露光装置(大日本スクリーン社製、KP364N2)により、マスクを用いて選択的に露光し、光透過性樹脂層を形成した。
次いで、2−プロパノールにて現像を行い、一の画素領域において、厚み45nmで第1段目の光路長を作製した。
【0110】
隣接する画素領域との光路長段差を形成するため、再度、前記光透過性樹脂材料を40nm成膜した。
次いで、前記一の画素領域及び隣接する画素領域における光透過性樹脂材料に、前記と同様の選択的な露光を行い、光透過性樹脂層を形成した。
次いで、前記と同様に現像を行い、前記一の画素領域に対し、厚み40nmで第2段目の光路長を作製し、該画素領域に隣接する画素領域に対し、同厚みの第1段目の光路長を作製した。
【0111】
前記光路長調整層の上面に透明電極(ITO、IZO等よりなる。ここではITOにより形成した)を副画素ごとに電気的に分離形成した。透明電極のパターニングはシャドウマスクを用いた成膜製法を用いて行った。なお、該パターニングは、全面成膜してフォトリソグラフィによるパターニングでもよい。
【0112】
前記透明電極の上面に、真空成膜装置(製品名:CM457、製造元:トッキ株式会社)によって、白色有機電界発光層(白色OLED)を形成した。
前記白色OLEDの上面に、半反射電極として金属電極(アルミニウム)を真空成膜製装置(製品名:CM457、製造元:トッキ株式会社)で形成した。
OLED形成領域をガラス缶により封止し、各電極を外部の信号制御装置に接続し、実施例19における有機電界発光表示装置を製造した。
こうして製造された有機電界発光表示装置の発光状態を確認したところ、高精細にRGBの発色を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の樹脂膜の製造方法は、凸状部を有する基板に対して均一な厚みで、樹脂膜を成膜することができるので、該樹脂膜を成膜して形成される有機電界発光表示装置等の製造に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0114】
1、11 基板
2 樹脂膜
3(3a、3b、3c) 凸状部
4 マスク
5(5a、5b、5c) 加工層
13 反射金属
15(15a、15b) 光路長調整層
16 透明導電膜
17 有機発光層
18 半透明部材
100、200、300 有機電界発光表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜厚の薄い樹脂膜を成膜する際に用いられる樹脂膜の製造方法、及び該樹脂膜を用いた有機電界発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子等の光学素子を用いて形成される発光表示装置は、近年特に薄型化、画質の高精細化の要望が大きく、形成部材における種々の提案がなされている。
例えば、半導体装置に用いられるレジスト膜等の塗布膜の形成方法に関し、段差を有する基体表面に塗布液を塗布することにより塗布膜を成膜し、その塗布液として、表面張力の値が35mN/m以上であり、水の表面張力の値以下である溶剤を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この提案の条件においては、基板と異なる材料により形成された段差を有する基板に対して、100nm以下の超薄膜を塗布する場合、基板上と段差上とで均一な厚みの薄膜が得られないという問題がある。
【0003】
また、基板上に正孔注入電極と発光層を含む有機層と電子注入電極を積層した有機EL表示素子の製造方法に関し、前記有機層を形成する材料を含む溶液を基板に塗布し、厚みの薄い有機層を形成することが提案されている。ここでは、前記有機層を形成する方法として、前記基板上に塗布された前記有機層を形成する材料を含む溶液の乾燥速度を制御し、前記有機層の形成速度を調整することとされている(特許文献2参照)。
しかしながら、乾燥速度の制御のみでは、薄膜の面内分布(薄膜の面内における厚み)を均一なものとすることができず、該面内分布を光学素子として利用できる範囲に抑えることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−92648号公報
【特許文献2】特開2001−297876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、基板と該基板と異なる材料により段差が形成された基板に対し、100nm以下の超薄膜を成膜する場合に、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜を可能とする樹脂膜の製造方法、及び該樹脂膜を用いた有機電界発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の知見が得られた。即ち、基板と該基板と異なる材料により段差が形成された基板に、樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する場合、膜厚が100nmよりも大きなときには、表面張力が膜厚の均一性及び段差に対する追従性にとって支配的な要因となる。
しかしながら、膜厚が100nm以下になると、基板及び段差の各表面と塗布液との相互作用の影響が顕著となり、基板及び段差の各表面の物性が支配的となるため、塗布液のみでは、目的とする樹脂膜が得られないことを知見した。
この知見に基づき、更に、樹脂膜の成膜方法を検討したところ、基板及び段差の各表面に対する塗布液の接触角を所定の値とすることで、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜が可能となることを知見した。
【0007】
本発明は、前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する樹脂膜成膜工程を含み、前記樹脂膜の膜厚が100nm以下であり、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることを特徴とする樹脂膜の製造方法である。
<2> 塗布の方法が、スプレーコート法及びインクジェット法のいずれかである前記<1>に記載の樹脂膜の製造方法である。
<3> 樹脂材料が、光透過性樹脂である前記<1>から<2>のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法である。
<4> 成膜された樹脂膜に対して選択的に露光を行うことにより、前記樹脂膜を硬化又は溶解させ、凸状部の突出した面上に前記樹脂膜の加工層を形成する加工層形成工程を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法である。
<5> 加工層以外の樹脂膜を除去して、基板上に凸状部と、該凸状部の突出した面上に加工層とを形成する樹脂膜除去工程を含む前記<4>に記載の樹脂膜の製造方法である。
<6> 更に、加工層を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する前記<5>に記載の樹脂膜の製造方法である。
<7> 赤、緑、青に対応する複数の画素のうち、少なくとも一つの画素に、凸状の反射金属が配される基板と、前記反射金属の突出面上に光路長調整層とを有してなり、前記光路長調整層が、前記<1>から<6>のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法により製造されることを特徴とする有機電界発光表示装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、基板と該基板と異なる材料により段差が形成された基板に対し、100nm以下の超薄膜を成膜する場合に、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜を可能とする樹脂膜の製造方法、及び該樹脂膜を用いた有機電界発光表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(1)である。
【図2】図2は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(2)である。
【図3】図3は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(3)である。
【図4】図4は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(4)である。
【図5】図5は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(5)である。
【図6】図6は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(6)である。
【図7】図7は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(7)である。
【図8】図8は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(8)である。
【図9】図9は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(9)である。
【図10】図10は、本発明の樹脂膜の製造プロセスを示す概略図(10)である。
【図11】図11は、本発明の発光表示装置の一の構成例を示す概略図である。
【図12】図12は、本発明の発光表示装置の他の構成例を示す概略図である。
【図13】図13は、本発明の発光表示装置の更に他の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(樹脂膜の製造方法)
本発明の樹脂膜の製造方法は、少なくとも、樹脂膜成膜工程を含み、必要に応じて、加工層形成工程、樹脂膜除去工程を含むこととしてなる。
【0011】
<樹脂膜成膜工程>
前記樹脂膜成膜工程は、基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜することとしてなる。
【0012】
−基板−
前記基板としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス基板、Si基板等が挙げられ、これらの基板材料としては、例えば、シリコン、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、アクリロイル化合物、ポリエチレンテレフタレート、透明ABS樹脂が挙げられる。
【0013】
前記基板の光線透過率としては、有機電界発光素子等の光学素子に用いられる場合、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。
前記光線透過率としては、JIS−K7105に記載された方法、即ち、積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
前記基板の厚みとしては、特に制限がないが、典型的には50μm〜1,500μmであり、100μm〜1,000μmが好ましい。
【0014】
−凸状部−
前記凸状部としては、特に制限はなく、直方体状のものが挙げられ、その平面において段差を形成する突出面を有する。
前記凸状部の幅としては、特に制限はないが、前記凸状部の高さとしては、塗布時に段差上と基板上とで塗布膜が不連続にならないようにする観点から、10nm〜300nmが好ましく、30nm〜200nmがより好ましく、50nm〜100nmが特に好ましい。
【0015】
前記凸状部の形成材料としては、前記基板の形成材料と異なる限り、特に制限はなく、例えば、光学素子に用いられる、電極材料、マイクロキャビティ構造を構成する反射金属材料、半透明金属材料、半透明性の誘電体多層膜ミラー等が挙げられる。
このような凸状部の具体的な形成材料としては、金属材料として、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
また、アルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。
また、誘電体多層膜ミラーとして、SiO2、SiNの積層膜等が挙げられる。
【0016】
前記凸状部の前記基板に対する形成方法としては、特に制限はなく、例えば、マスクを用いた真空蒸着、スパッタリング、CVDなどのドライプロセス、フォトリソグラフィ、電解メッキ、無電解メッキなどのウェットプロセスの他、スクリーン印刷などにより、形成する方法が挙げられる。
【0017】
−塗布液−
前記塗布液としては、樹脂材料を含む限り、特に制限はなく、溶媒、必要に応じて、その他の成分を含むこととしてなる。
【0018】
−−樹脂材料−−
前記樹脂材料としては、特に制限はないが、光学素子に用いる観点から、光透過性樹脂が好ましい。
前記光透過性樹脂材料としては、光透過性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、ポリシロキサン、その他有機珪素化合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
−−光硬化性樹脂(ラジカル重合性モノマー)−−
前記光透過性樹脂としては、前記例示の化合物の中でも、光硬化性樹脂が好ましい。
前記光硬化性樹脂としては、特に制限はないが、少なくとも1つの下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表されるラジカル重合性モノマーを有することがより好ましい。
これらのラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合性官能基を2つ以上有することが好ましい。重合性官能基が2つ以上あると3次元的に架橋することができ、機械強度が向上する点で好ましい。
【0020】
一般式(1)
【化1】
(ただし、前記一般式(1)において、R7は、水素又はメチル基を表し、R8は、水素原子を表し、L1は、炭素数1〜18の置換又は無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換又は無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、及び、これらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基のいずれかを表す。m1は、1〜6の整数を表し、m1が2以上の場合において、各繰り返し単位におけるR7及びR8は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0021】
一般式(2)
【化2】
(ただし、前記一般式(2)において、R9は、水素又はメチル基を表し、R10は、水素原子を表し、L2は、炭素数1〜18の置換又は無置換のアルキレン基、炭素数1〜18の置換又は無置換のアリーレン基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、及び、これらの基が複数個直列に結合した1価以上の連結基のいずれかを表す。m2は、1〜6の整数を表し、m2が2以上の場合において、各繰り返し単位におけるR9及びR10は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0022】
前記光硬化性樹脂としては、前記一般式(2)で表されるエチレン不飽和二重結合を有するラジカル重合性モノマーからなるアクリレート重合体を主成分とするのが特に好ましい。ここで主成分とは、後述する光透過性樹脂層を構成する重合性モノマーのうち、含量が最も多いことをいい、80質量%以上であることをいう。
また、前記アクリレート重合体としては、下記一般式(3)で表される構造単位を有するポリマーが挙げられる。
【0023】
一般式(3)
【化3】
(ただし、前記一般式(3)において、Zは、下記一般式(a)、又は、二重結合性基を有する一般式(b)で表され、該下記一般式(a)又は(b)におけるR11及びR12は、各々独立に水素原子又はメチル基を表し、*は一般式(3)のカルボニル基と結合する位置を表し、Lは、n価の連結基を表す。nは、1〜6の整数を示す。nが2以上の場合において、各繰り返し単位におけるZは、互いに同一であっても異なっていてもよいが、少なくとも1つのZは、下記一般式(a)で表されることが好ましい。
【0024】
【化4】
【0025】
前記一般式(3)において、Lの炭素数は、3〜18が好ましく、4〜17がより好ましく、5〜16が更により好ましく、6〜15が特に好ましい。
nが2の場合、Lは、2価の連結基を表すが、そのような2価の連結基の例としては、アルキレン基(例えば、1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロピレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基、1,12−ドデシレン基、1,16−ヘキサデシレン基等)、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、及びこれらの2価基が複数個直列に結合した2価残基(例えばポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基、プロピオニルオキシエチレン基、ブチロイルオキシプロピレン基、カプロイルオキシエチレン基、カプロイルオキシブチレン基等)を挙げることができる。
これらの中で、前記アルキレン基が好ましい。
【0026】
また、前記光透過性樹脂材料としては、光照射により溶解反応を生ずるもの(ポジ型:光溶解性樹脂)でもよい。
前記光溶解性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポジ型レジストとして一般的に用いられる、フェノール系樹脂、アルカリ可溶性樹脂と感光物としてナフトキノンジアジド置換化合物とを含む組成品等が挙げられ、具体的には、「ノボラック系フェノール樹脂/ナフトキノンジアジド置換化合物」等のジアゾナフトキノン(DNQ)−ノボラック系樹脂、「クレゾール−ホルムアルデヒドよりなるノボラック系樹脂/トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル」等のメタパラクレゾールノボラック系樹脂などが挙げられる。
【0027】
前記塗布液における前記光透過性樹脂材料の含有量としては、前記塗布液100質量部に対し、1質量部〜15質量部が好ましく、1.5質量部〜12質量部がより好ましく、2質量部〜10質量部が特に好ましい。
前記光透過性樹脂材料の含有量が、1質量部未満であると、目的とする膜厚の薄膜を作製するための溶液量が多く、乾燥時に重力や風力の影響を受けやすくなり膜厚が均一になりにくいことがあり、15質量部を超えると、目的とする膜厚の薄膜を作製するための溶液量が少なくなりスプレーコータやインクジェット装置で塗布できる溶液量の下限を下回ることがある。
【0028】
−−溶媒−−
前記溶媒としては、特に制限はなく、前記樹脂材料を溶解するものを適宜選択することができ、例えば、アルコール系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒等が挙げられる。
具体的には、前記アルコール系有機溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エトキシメタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどの他、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセトエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコール類が挙げられる。
前記エーテル系有機溶媒として、メチレンジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等が挙げられる。
前記ケトン系有機溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
これらの中でも前記アルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0029】
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤等の成分が挙げられる。前記光重合開始剤としては、光を照射したときにラジカルを発生する化合物であれば、特に制限はなく、公知の光重合開始剤等を目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
前記凸状部を有する面上に対して、前記塗布液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、スプレーコート法及びインクジェット法が好ましい。
スピンコート法、ディップ法等の塗布方法であると、段差の影響を受けて大面積で均一な膜厚を得ることが難しく、また目的とする膜厚よりも厚膜になってしまうことがある。
【0031】
前記スプレーコート法に用いられるスプレーコータとしては、特に制限はなく、具体的にはDC110(製造元:三明電子産業)などが用いられる。ノズルとしては、特に制限はなく、液流量、気体流量を独立して制御できる2流体ノズルのうちから適宜選択することができ、具体的にはAM6S−IS(製造元:株式会社アトマックス)などが少量塗布に向いている。
前記液流量に関しては、噴霧量と噴霧面積によって膜厚が規定されるため、溶液の固形分濃度と併せて目的とする膜厚に応じて適宜選定することができる。
前記気体流量に関しては、少ないと噴霧液滴の微粒化が十分になされず均一な膜面とならないが、多くても塗布後に塗布面で風圧の影響を受けて溶液が流動するために均一な膜面が得られない。
前記流量の上限、下限の値としては、溶液の固形分濃度に伴って変動する粘度及び塗布量に応じて適宜選択することができる。
【0032】
前記インクジェット法に用いられるインクジェット装置としては、特に制限はなく、具体的にはダイマティックス・マテリアルプリンターDMP―2831(製造元:富士フイルム)などが用いられる。インクジェットでは液滴一滴の体積が規定できるため、液滴の体積と溶液の濃度を目的とする膜厚に応じて適宜選択することができる。また、打滴ピッチを変動させることによっても膜厚を制御することができる。
【0033】
−樹脂膜−
前記樹脂膜の膜厚としては、100nm以下であり、更に、75nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
本発明は、前記膜厚が100nm以下になると、基板及び段差の各表面と塗布液との相互作用の影響が顕著となり、基板及び段差の各表面の物性が支配的となるため、塗布液のみでは、目的とする樹脂膜が得られないとの知見に基づくものであり、前記膜厚が100nm以下の場合でも、後述する接触角を制御することで、膜厚が均一で、段差の形状に追従可能な樹脂膜を得ることができる。
【0034】
前記樹脂膜の成膜方法としては、特に制限はないが、前記塗布液を前記基板に塗布した後、後処理を行うことが好ましい。
前記後処理の方法としては、例えばUV照射装置を用いてマスク露光をした後に、適当な現像液を用いて現像を行い、洗浄液で現像液を洗い流した後に後加熱をして形状を安定させることが挙げられる。
【0035】
<接触角>
本発明は、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることとし、この|A−B|は、小さいほど好ましい。
即ち、膜厚が100nm以下の前記樹脂膜を成膜する場合、膜厚がこれよりも大きな場合と異なり、塗布液の表面張力が塗布性の良否を決定する支配的な要因にならず、接触角を前記|A−B|の範囲に制御することで、膜厚が均一で段差に対する追従性に優れた樹脂膜の成膜が可能となることを見出したものである。
このような観点から、前記基板及び前記凸状部上に、前記塗布液を用いた樹脂膜の成膜をする場合に、前記接触角を適宜調整する必要がある。この場合、前記接触角としては、以下の方法で測定することができる。
【0036】
前記接触角としては、段差上及び基板上に、接触角計(製品名:DM−301、製造元:協和界面科学)を用いて塗布液を滴下し、解析ソフト(製品名:FAMAS、製造元:協和界面科学)を用いて測定することができる。
【0037】
<加工層形成工程>
前記加工層形成工程は、前記成膜された樹脂膜に対して、選択的に露光を行うことにより、前記樹脂膜を硬化又は溶解させ、前記凸状部の突出した面上に前記樹脂膜の加工層を形成する工程としてなる。
【0038】
前記露光の方法としては、特に制限はないが、露光マスクを用いて、選択的に前記樹脂膜に光を照射する方法が挙げられる。
前記光を照射する対象としては、前記樹脂層が、前記光硬化性樹脂と前記光溶解性樹脂とのいずれかを含むかにより、適宜選択される。
【0039】
前記照射する光としては、通常、高圧水銀灯若しくは低圧水銀灯による紫外線である。
前記照射エネルギーとしては、0.5J/cm2以上が好ましく、2J/cm2以上がより好ましい。
本明細書においては、前記樹脂膜のうち、前記凸状部の突出面上に積層されるように加工された層を加工層という。
【0040】
<樹脂層除去工程>
前記樹脂層除去工程は、前記加工層以外の樹脂膜を除去して、前記基板上に凸状部と、該凸状部の突出した面上に前記加工層と形成することとしてなる。
前記加工層以外の樹脂膜を除去する方法としては、特に制限はなく、現像等のフォトリソグラフィープロセスに用いられる方法が挙げられる。
前記現像の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソプロピルアルコール、アセトン、トルエンなどの有機溶剤を用いた超音波現像が挙げられる。
【0041】
前記樹脂膜の製造方法としては、更に、前記基板と前記加工層の面とによる段差を有する面が形成される基板に対し、前記加工層を有する面上に前記樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜することで、前記凸状部が複数存在する場合に、前記凸状部に高さの異なる加工層を形成することができる。
この際、前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記加工層に対する接触角をC(°)としたとき、前記Aと前記Cとの絶対値の差、|A−C|が、前記|A−B|と同様の値を有することが好ましい。
このように、前記塗布液を前記凸状部ないし前記加工層上に繰り返し塗布等することにより、厚みの精度が求められる加工層からなる樹脂膜を順次所望の膜厚で製造することができる。
【0042】
前記樹脂膜の製造プロセスの一例を図面を用いて説明する。
先ず、基板1と異なる材料で形成された凸状部3(3a、3b、3c)を有する基板1に対して、樹脂材料を含む塗布液を塗布して、樹脂膜2を成膜する(樹脂膜成膜工程、図1、図2参照)。
基板1上に、凸状部3と樹脂膜2とが配された状態で、部分的に遮光可能とするマスク4で覆い、光Lを照射して、選択的に露光し硬化させ、樹脂膜2の加工層を形成する(加工層形成工程、図3参照)。
これを現像して、樹脂膜2のうち、露光した部分(加工層)以外の箇所を取り除く(樹脂膜除去工程、図4参照)。なお、樹脂材料として、光溶解性樹脂を用いる場合は、露光した部分を取り除く。
これらの工程により、基板1上に凸状部3aと、該凸状部3aの突出した面上に加工層5aを形成する。
【0043】
次に、加工層5を多段に形成するために、塗布液2を塗布して、加工層5aと隣接する凸状部3b、3cの面上に樹脂膜2を成膜する(図5参照)。
次いで、基板1上に、加工層5aと、凸状部3b、3cと、樹脂膜2とが配された状態で、部分的に遮光可能とするマスク4で覆い、光Lを照射して、選択的に露光し硬化させ、樹脂膜2の加工層5a、5bを形成する(図6参照)。
これを現像して、樹脂膜2のうち、露光した部分(加工層5a、5b)以外の箇所を取り除く(図7参照)。
これらの工程により、基板1上に、凸状部3cと、厚みの異なる加工層5a、5bとが形成される。
【0044】
更に加工層5を多段に形成するために、塗布液2を塗布して、加工層5a、5bと、凸状部3cの面上に樹脂膜2を成膜する(図8参照)。
次いで、基板1上に、加工層5a、5bと、凸状部3cと、樹脂膜2とが配された状態で、部分的に遮光可能とするマスク4で覆い、光Lを照射して、選択的に露光し硬化させ、樹脂膜2の加工層5a、5b、5cを形成する(図9参照)。
これを現像して、樹脂膜2のうち、露光した部分(加工層5a、5b)以外の箇所を取り除く(図8参照)。
これらの工程により、基板1上に、厚みの異なる加工層5a、5b、5cが形成される。
【0045】
前記樹脂膜の製造方法は、100nm以下の薄膜を、均一で段差に対する追従性よく成膜することができる。
したがって、前記樹脂膜の製造方法としては、薄膜が形成される有機電界発光素子等の光学素子を有する発光表示装置の製造に好適に用いることができる。
【0046】
(有機電界発光表示装置及びその製造方法)
本発明の有機電界発光表示装置は、赤、緑、青に対応する複数の画素のうち、少なくとも一の画素に凸状の反射金属又は半透明部材が配される基板と、前記反射金属又は半透明部材の突出面上に光路長調整層とを有してなり、前記光路長調整層が、本発明の前記樹脂膜の製造方法により製造されることとしてなる。前記有機電界発光表示装置としては、目的に応じて必要な有機電界発光素子を有する。
前記有機電界発光表示装置の製造方法としては、光透過性樹脂材料成膜工程と、光透過性樹脂層形成工程と、光路長調整層形成工程とを含み、更に、有機電界発光表示装置を製造するために必要なその他の工程を含む。
【0047】
<光透過性樹脂材料成膜工程>
前記光透過性樹脂材料成膜工程は、前記凸状の反射金属又は半透明部材を有する基板上に光透過性樹脂材料を成膜する工程としてなる。
前記光透過性樹脂材料としては、本発明の前記樹脂膜の製造方法において、説明した光透過性樹脂材料を挙げることができる。
また、前記基板上に前記光透過性樹脂材料を成膜する方法としては、本発明の前記樹脂膜の製造方法における前記樹脂膜成膜工程にて説明した事項を適用することができる。
【0048】
−−反射金属及び半透明部材−−
前記反射金属は、有機発光層から出射される光を反射する作用を有する。また、前記半透明部材は、有機発光層から出射される光を反射乃至透過させる作用を有する。
これら前記反射金属及び半透明部材は、有機発光層を間に有する状態で対向配置され、有機発光層から出射される光を共振する作用を有する。
前記半透明部材としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、例えば、半透明金属、半透明性の誘電体多層膜ミラー、及びこれらの組み合わせが好ましい。
前記半透明金属としては、特に制限はなく、後述する陽極を用いて構成することができる。
前記半透明性の誘電体多層膜ミラーとしては、特に制限はなく、例えば、SiO2、SiNの積層等で構成される誘電体多層膜からなるミラー、などが挙げられる。
前記反射金属としては、特に制限はなく、後述する陰極を用いて構成することができる。
なお、前記反射金属及び前記半透明部材の形状としては、本発明の前記樹脂膜の製造方法において説明した前記凸状部と同様の形状とすることができる。
【0049】
<光透過性樹脂層形成工程>
前記光透過性樹脂層形成工程は、前記成膜された光透過性樹脂材料のうち、前記一の画素に対応する前記反射金属又は前記半透明部材上に、光透過性樹脂層を形成する工程としてなる。
前記光透過性樹脂層の形成は、本発明の前記樹脂膜の製造方法における前記加工層形成工程にて説明した事項を適用することができる。
【0050】
<光路長調整層形成工程>
前記光路長調整層形成工程は、前記反射金属又は半透明部材上に形成された前記光透過性樹脂層以外の前記光透過性樹脂材料を除去して、前記反射金属又は半透明部材と、前記反射金属又は半透明部材の面上に前記光路長調整層としての光透過性樹脂層を形成することとしてなる。
前記光路長調整層の形成は、本発明の前記樹脂膜の製造方法における前記樹脂膜除去工程にて説明した事項を適用することができる。
【0051】
−光路長調整層−
本発明の有機電界発光表示装置においては、赤、緑、青の少なくとも一つの画素領域において、前記光路長調整層が内部に導入され、共振構造(マイクロキャビティ構造)を有してなる。即ち、赤、緑、青の少なくとも一つの画素領域において、前記反射部材と前記半透明部材との間に発光層を含むこととして構成され、好ましくは、赤、緑、青の全ての画素領域において、前記反射部材と前記半透明部材との間に発光層を含むこととして構成されることが好ましい。
この場合、赤、緑、青の前記画素領域のそれぞれにおいて、発色に応じた厚みに前記光路長調整層の厚みが調整されることが必要である。
【0052】
前記光路長調整層の厚みとしては、各副画素が所定の波長の光が効率良く共振し得る光学的距離(光路長)となるように調整される。
従って、共振する光学的距離は、光反射膜と光半透過反射膜との間に挟持される材料の屈折率とその組成、厚みによって決定されるので、光路長調整層によって決定される訳ではない。
一般に用いられる有機発光層の構成を斟酌すると、前記赤の画素領域における光路長調整層の厚みとしては、物理的厚みで、30nm〜1,000nmが好ましく、150nm〜350nmがより好ましく、200nm〜250nmが特に好ましい。
前記緑の画素領域における光路長調整層の厚みとしては、物理的厚みで、5nm〜800nmが好ましく、100nm〜250nmがより好ましく、150nm〜200nmが特に好ましい。
前記青の画素領域における光路長調整層の厚みとしては、物理的厚みで、0nm〜600nmが好ましく、50nm〜200nmがより好ましく、100nm〜150nmが特に好ましい。
【0053】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、有機電界発光表示装置の発光に必要な有機電界発光素子を形成する工程が挙げられる、以下では、本発明における有機電界発光素子について説明する。
【0054】
−有機電界発光素子−
本発明の有機電界発光素子は、本発明の前記樹脂膜の製造方法により製造された樹脂膜を有することとしてなり、前記有機電界発光素子としては、一対の電極として、陽極と陰極とを有し、両電極の間に発光層を有する。両電極間に配置される、発光層以外の機能層としては、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
【0055】
−−電極−−
前記有機電界発光素子は、一対の電極すなわち陽極と陰極とを含む。発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち、一方が前記反射金属材料からなり、他方が前記半透明部材からなることが好ましい。
通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
【0056】
前記電極としては、特に制限はないが、その陽極、陰極において、前記反射金属、前記半透明部材としての半透明金属を構成することが好ましい。
【0057】
前記陽極を構成する材料の具体例としては、例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
【0058】
前記陰極を構成する材料の具体例としては、例えば、アルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、及びイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0059】
前記電極の形成方法にとしては、特に制限はなく、例えば、本発明の前記樹脂膜の製造方法において説明した前記凸状部の形成方法を適用することができる。
【0060】
−−基板−−
前記基板としては、特に制限はなく、例えば、本発明の前記樹脂膜の製造方法において説明した前記基板を挙げることができる。
【0061】
前記発光層、前記正孔輸送層、前記電子輸送層、前記正孔ブロック層、前記電子ブロック層、前記正孔注入層、前記電子注入層等の各層としては、特に制限はなく、例えばUS6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、WO2004/108857A1、WO2005/042444A2、WO2005/042550A1、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−93542、特開2006−261623、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259、特開2002−235076、特開2004−214179、特開2004−221062、特開2004−221065、特開2004−221068、特開2004−327313等に記載の事項を適用することができる。
【0062】
前記有機発光表示装置においては、有機発光層から出射された光が、異なる厚みで形成される前記光路長調整層の光路長に対応して、青、緑、赤に対応する波長の光を取り出すことが可能であるが、前記発光表示装置の観察者側における青、緑、赤の各画素領域において、それぞれの色に対応するカラーフィルターを更に配し、より高精細なフルカラー表示を可能としてもよい。
【0063】
−第1の実施形態−
前記発光表示装置の一構成例を図11を用いて説明する。発光表示装置100は、トップエミッション方式の発光表示装置である。
該発光表示装置100は、基板11上に、赤、緑、青の各画素領域において、反射金属13を有している。
赤の画素領域においては、反射金属13を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17と介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該赤の画素領域においては、光路長が光路長調整層15aにより調整され、反射金属13と半透明部材18との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d3が形成される。
緑の画素領域においては、反射金属13を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該緑の画素領域においては、光路が光路長調整層15aにより調整され、反射金属13と半透明部材18との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d2が形成される。
青の画素領域においては、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該青の画素領域においては、反射金属13と半透明部材18との間に透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d1が形成される。
【0064】
このようにして形成される発光表示装置100は、有機発光層17から出射される光が、反射金属13と半透明部材18との間で共振され、光路長d1、d2、d3に応じた波長の光が強められ、それぞれ青、緑、赤の光として半透明部材18側から取り出される。
【0065】
−第2の実施形態−
前記発光表示装置の他の構成例を図12を用いて説明する発光表示装置200は、トップエミッション方式の発光表示装置である。
該発光表示装置200では、赤の画素領域において、反射金属13を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該赤の画素領域においては、光路が光路長調整層15aにより調整され、反射金属13と半透明部材18との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d3が形成される。
緑の画素領域においては、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該緑の画素領域においては、反射金属13と半透明部材18との間に透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d2が形成される。
青の画素領域においては、有機発光層17を介して、反射金属13に対向する半透明部材18が配されている。該青の画素領域においては、反射金属13と半透明部材18との間に有機発光層17と有する光路長d1が形成される。
該青の領域において、基板11上に配される反射金属13、電極材料で形成され、透明導電膜16と同様の電極作用を奏するように構成されている。
その他の点については、第1の実施形態と共通するため、説明を省略する。
【0066】
−第3の実施形態−
前記発光表示装置の一構成例を図13を用いて説明する。発光表示装置300は、ボトムエミッション方式の発光表示装置である。
該発光表示装置300では、基板11上に、赤、緑、青の各画素領域において、半透明部材18を有している。
赤の画素領域においては、半透明部材18を被覆するように光路長調整層15aが配され、透明導電膜16と有機発光層17と介して、半透明部材18に対向する反射金属13が配されている。該赤の画素領域においては、光路長が光路長調整層15aにより調整され、半透明部材18と反射金属13との間に光路長調整層15aと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d3が形成される。
緑の画素領域においては、半透明部材18を被覆するように光路長調整層15bが配され、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、半透明部材18に対向する反射電極13が配されている。該緑の画素領域においては、光路が光路長調整層15bにより調整され、半透明部材18と反射金属13との間に光路長調整層15bと透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d2が形成される。
青の画素領域においては、透明導電膜16と有機発光層17とを介して、半透明電極18に対向する反射金属2が配されている。該青の画素領域においては、半透明部材18と反射金属13との間に透明導電膜16と有機発光層17とを有する光路長d1が形成される。
その他の点については、第1の実施形態と共通するため、説明を省略する。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
<凸状部を有する基板の作製>
基板としてのガラス基板(イーグル2000、製造元:コーニングインターナショナル株式会社)上に、金属マスクを利用した真空蒸着法によりアルミニウム100nmを成膜し、前記ガラス基板上に凸状部としてのアルミニウムパターンを、高さ100nm、幅30μmにて配し、凸状部を有する基板を作製した。
【0069】
<塗布液1の調製>
溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダワノールDPMA、製造元:ダウ・ケミカル日本株式会社)に光透過性樹脂材料(ラジカル重合性モノマー、新中村化学工業社製、1,10−デカンジオールジメタアクリレート)を添加し、光透過性樹脂材料の3質量%溶液からなる塗布液1を調製した。
【0070】
<成膜>
前記基板の凸状部を有する面に、スプレーコータ(三明電子産業社製、DC110)を用いて、塗布液1を塗布した後、マスク露光・現像、加熱して、基板上に実施例1における厚み45nmの樹脂膜を成膜した。
【0071】
(実施例2)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてSi基板(製造元:信越化学工業株式会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2における樹脂膜を成膜した。
【0072】
(比較例1)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えて、ガラス基板上に、スピンコート装置(SP−40、製造元:三井精機工業株式会社)を用いて、フッ素含有液(サイトップ、製造元:旭硝子株式会社)を一様に塗布した後、180℃1時間加熱したもの(以下フッ素処理ガラス基板とする)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1における樹脂膜を成膜した。
【0073】
(実施例3)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、アルミニウムに代えて銀を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3における樹脂膜を成膜した。
【0074】
(実施例4)
実施例3の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてSi基板を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例4における樹脂膜を成膜した。
【0075】
(比較例2)
実施例3の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてフッ素処理ガラス基板を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例2における樹脂膜を成膜した。
【0076】
(実施例5)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、アルミニウムに代えてマグネシウムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5における樹脂膜を成膜した。
【0077】
(実施例6)
実施例5の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてSi基板を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例6における樹脂膜を成膜した。
【0078】
(比較例3)
実施例5の凸状部を有する基板の作製において、ガラス基板に代えてフッ素処理ガラス基板を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例3における樹脂膜を成膜した。
【0079】
(実施例7)
実施例1において、塗布液を塗布液1から下記のように調製した塗布液2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7における樹脂膜を成膜した。
【0080】
<塗布液2の調製>
即ち、溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダワノールDPMA、製造元:ダウ・ケミカル日本株式会社)に、光透過性樹脂材料(ラジカル重合性モノマー、新中村化学工業社製、1,10−デカンジオールジメタアクリレート)とフッ素含有モノマー(大阪有機化学工業社製、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート)を質量比5:1で混合したものを添加し、3質量%溶液からなる塗布液2を調製した。
【0081】
(比較例4)
実施例2において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例4における樹脂膜を成膜した。
【0082】
(実施例8)
比較例1において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、比較例1と同様にして、実施例8における樹脂膜を成膜した。
【0083】
(実施例9)
実施例3において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、実施例9における樹脂膜を成膜した。
【0084】
(実施例10)
実施例4において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、実施例10における樹脂膜を成膜した。
【0085】
(実施例11)
比較例2において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、比較例2と同様にして、実施例11における樹脂膜を成膜した。
【0086】
(実施例12)
実施例5において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例12における樹脂膜を成膜した。
【0087】
(実施例13)
実施例6において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例13における樹脂膜を成膜した。
【0088】
(実施例14)
比較例3において塗布液を塗布液1から塗布液2に代えたこと以外は、比較例3と同様にして、実施例14における樹脂膜を成膜した。
【0089】
(比較例5)
実施例1において、塗布液を塗布液1から下記のように調製した塗布液3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5における樹脂膜を成膜した。
【0090】
<塗布液の調製>
即ち、溶媒としてのジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに、光透過性樹脂材料(ラジカル重合性モノマー、新中村化学工業社製、1,10−デカンジオールジメタアクリレート)とフッ素含有モノマー(大阪有機化学工業社製、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート)を質量比2:1で混合したものを添加し、3質量%溶液からなる塗布液3を調製した。
【0091】
(比較例6)
実施例2において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例6における樹脂膜を成膜した。
【0092】
(実施例15)
比較例1において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、比較例1と同様にして、実施例15における樹脂膜を成膜した。
【0093】
(比較例7)
実施例3において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例7における樹脂膜を成膜した。
【0094】
(比較例8)
実施例4において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例8における樹脂膜を成膜した。
【0095】
(実施例16)
比較例2において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、比較例2と同様にして、実施例16における樹脂膜を成膜した。
【0096】
(実施例17)
実施例5において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例17における樹脂膜を成膜した。
【0097】
(比較例9)
実施例6において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、実施例6と同様にして、比較例9における樹脂膜を成膜した。
【0098】
(実施例18)
比較例3において塗布液を塗布液1から塗布液3に代えたこと以外は、比較例3と同様にして、実施例18における樹脂膜を成膜した。
【0099】
(参考例1)
実施例1の凸状部を有する基板に代えて、ガラス基板上に凸状部としてのアルミニウムパターンを配さない段差のない基板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1における樹脂膜の成膜を行った。
【0100】
(参考例2)
実施例1の凸状部を有する基板の作製において、凸状部としてアルミニウムパターンを有するガラス基板に代えて、以下の凸状部を有する基板を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、参考例2における樹脂膜を成膜した。
即ち、ガラス基板に金属マスクを利用せずに真空蒸着法によりアルミニウム100nmを一様に成膜し、続いて金属マスクを利用してアルミニウムを真空蒸着することで、アルミニウム蒸着基板上に凸状部としてのアルミニウムパターンを、高さ100nm、幅30μmにて配し、凸状部を有する基板を作製した。
【0101】
(測定方法及び評価方法)
<凸状部(段差)の形状の測定方法>
凸状部(段差)の形状は、幅は光学式顕微鏡(MX61、製造元:オリンパス株式会社)で測定し、高さは段差端面を触針式表面形状測定器(Dektak8、製造元:アルバック株式会社)で測定した。
【0102】
<接触角の測定方法>
接触角は、段差上及び基板上に、接触角計(製品名:DM−301、製造元:協和界面科学)を用いて塗布液を滴下し、解析ソフト(製品名:FAMAS、製造元:協和界面科学)を用いて測定した。
【0103】
<樹脂膜の膜厚測定方法及び評価方法>
樹脂膜の膜厚は、自動エリプソメータ(DHA―XA/S6、製造元:株式会社溝尻光学工業所)を用い、基板上の樹脂膜及び凸状部上の樹脂膜のそれぞれに対し12点計測し、その平均値より算出した。評価方法は、凸状部上の膜厚に対し設定した膜厚45nmからの誤差を算出することによって行った。
【0104】
<評価基準>
◎:設定値に対するズレ幅が4%以内のとき
○:設定値に対するズレ幅が4%より大きく6%以内のとき
△:設定値に対するズレ幅が6%より大きく8%以内のとき
×:設定値に対するズレ幅が8%より大きいとき
【0105】
<表面張力の測定方法>
表面張力は、溶液を表面張力計(製品名:DY―300、製造元:協和界面科学)を用いて3回測定し、その平均値で算出した。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
一般に、液体の表面張力が小さい方が、接触角が小さくなることが知られているが、膜厚が100nm以下の樹脂膜を形成する場合、上記表1及び表2に示す結果が得られた。即ち、塗布液1、塗布液2、塗布液3の順に表面張力(mN/m)が小さい塗布液であるが(表2参照)、これらの塗布液を用いて膜厚が100nm以下の樹脂膜を成膜すると、例えば、塗布液以外の条件が同じであり、塗布液1を用いた実施例1、塗布液2を用いた実施例7、塗布液3を用いた比較例5に関し、実施例1、実施例7、比較例5の順に表面張力が小さくなることはなく(表1参照)、実施例1〜18、及び比較例1〜9の各条件において、表面張力に対する接触角の依存性は確認されなかった。
このような条件の中、塗布液の基板に対する接触角をA(°)とし、塗布液の凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、AとBとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満である実施例1〜18においては、該|A−B|が、10°以上である比較例1〜9と比較して、良好な塗布性が確認された。
なお、比較例1〜9においては、塗布性に劣ることが確認されたが、この問題は、参考例1及び参考例2との比較から理解されるように、基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対して樹脂膜を成膜する場合に生じるものである。
【0109】
<有機電界発光表示装置の作製>
(実施例19)
実施例1における樹脂膜に対して、露光装置(大日本スクリーン社製、KP364N2)により、マスクを用いて選択的に露光し、光透過性樹脂層を形成した。
次いで、2−プロパノールにて現像を行い、一の画素領域において、厚み45nmで第1段目の光路長を作製した。
【0110】
隣接する画素領域との光路長段差を形成するため、再度、前記光透過性樹脂材料を40nm成膜した。
次いで、前記一の画素領域及び隣接する画素領域における光透過性樹脂材料に、前記と同様の選択的な露光を行い、光透過性樹脂層を形成した。
次いで、前記と同様に現像を行い、前記一の画素領域に対し、厚み40nmで第2段目の光路長を作製し、該画素領域に隣接する画素領域に対し、同厚みの第1段目の光路長を作製した。
【0111】
前記光路長調整層の上面に透明電極(ITO、IZO等よりなる。ここではITOにより形成した)を副画素ごとに電気的に分離形成した。透明電極のパターニングはシャドウマスクを用いた成膜製法を用いて行った。なお、該パターニングは、全面成膜してフォトリソグラフィによるパターニングでもよい。
【0112】
前記透明電極の上面に、真空成膜装置(製品名:CM457、製造元:トッキ株式会社)によって、白色有機電界発光層(白色OLED)を形成した。
前記白色OLEDの上面に、半反射電極として金属電極(アルミニウム)を真空成膜製装置(製品名:CM457、製造元:トッキ株式会社)で形成した。
OLED形成領域をガラス缶により封止し、各電極を外部の信号制御装置に接続し、実施例19における有機電界発光表示装置を製造した。
こうして製造された有機電界発光表示装置の発光状態を確認したところ、高精細にRGBの発色を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の樹脂膜の製造方法は、凸状部を有する基板に対して均一な厚みで、樹脂膜を成膜することができるので、該樹脂膜を成膜して形成される有機電界発光表示装置等の製造に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0114】
1、11 基板
2 樹脂膜
3(3a、3b、3c) 凸状部
4 マスク
5(5a、5b、5c) 加工層
13 反射金属
15(15a、15b) 光路長調整層
16 透明導電膜
17 有機発光層
18 半透明部材
100、200、300 有機電界発光表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する樹脂膜成膜工程を含み、
前記樹脂膜の膜厚が100nm以下であり、
前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることを特徴とする樹脂膜の製造方法。
【請求項2】
塗布の方法が、スプレーコート法及びインクジェット法のいずれかである請求項1に記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項3】
樹脂材料が、光透過性樹脂である請求項1から2のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項4】
成膜された樹脂膜に対して選択的に露光を行うことにより、前記樹脂膜を硬化又は溶解させ、凸状部の突出した面上に前記樹脂膜の加工層を形成する加工層形成工程を含む請求項1から3のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項5】
加工層以外の樹脂膜を除去して、基板上に凸状部と、該凸状部の突出した面上に加工層とを形成する樹脂膜除去工程を含む請求項4に記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項6】
更に、加工層を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する請求項5に記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項7】
赤、緑、青に対応する複数の画素のうち、少なくとも一の画素に、凸状の反射金属が配される基板と、前記反射金属の突出面上に光路長調整層とを有してなり、
前記光路長調整層が、請求項1から6のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法により製造されることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項1】
基板と異なる材料により形成された凸状部を有する基板に対し、前記凸状部を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する樹脂膜成膜工程を含み、
前記樹脂膜の膜厚が100nm以下であり、
前記塗布液の前記基板に対する接触角をA(°)とし、前記塗布液の前記凸状部に対する接触角をB(°)としたとき、前記Aと前記Bとの絶対値の差、|A−B|が、10°未満であることを特徴とする樹脂膜の製造方法。
【請求項2】
塗布の方法が、スプレーコート法及びインクジェット法のいずれかである請求項1に記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項3】
樹脂材料が、光透過性樹脂である請求項1から2のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項4】
成膜された樹脂膜に対して選択的に露光を行うことにより、前記樹脂膜を硬化又は溶解させ、凸状部の突出した面上に前記樹脂膜の加工層を形成する加工層形成工程を含む請求項1から3のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項5】
加工層以外の樹脂膜を除去して、基板上に凸状部と、該凸状部の突出した面上に加工層とを形成する樹脂膜除去工程を含む請求項4に記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項6】
更に、加工層を有する面上に樹脂材料を含む塗布液を塗布して樹脂膜を成膜する請求項5に記載の樹脂膜の製造方法。
【請求項7】
赤、緑、青に対応する複数の画素のうち、少なくとも一の画素に、凸状の反射金属が配される基板と、前記反射金属の突出面上に光路長調整層とを有してなり、
前記光路長調整層が、請求項1から6のいずれかに記載の樹脂膜の製造方法により製造されることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−139995(P2011−139995A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2283(P2010−2283)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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