説明

樹脂被覆パイプ

【課題】バーコードを添付するための副資材を必要とせず、また効率的にバーコードが付与された樹脂被覆パイプを提供する。
【解決手段】樹脂被覆パイプにおいて、適宜長さのパイプ材1の外周側面に合成樹脂の被覆層3を形成し、該被覆層3の外表面にはレーザー光を照射してバーコード4をパイプ材1の長手方向に形成しているので、樹脂被覆パイプごとに多数の種類のバーコードを添付するための副資材を必要とせず、またバーコードを印刷した粘着シールやフィルムを貼り付けたり巻き付けたりする作業なしで効率的にバーコードを付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業資材や園芸資材として用いられる支柱等、合成樹脂で被覆された樹脂被覆パイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パイプの外周側面に合成樹脂を被覆してなる樹脂被覆パイプは、農業資材、園芸資材として用いられる支柱等として、広く用いられている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、かような樹脂被覆パイプは、ホームセンター等の量販店で販売される場合、数本結束されて、或いは一本ずつに製品情報が記されたバーコードが添付され、管理・販売されている。そして、樹脂被覆パイプにバーコードを添付するには、バーコードが印刷された粘着シールを樹脂被覆パイプに貼り付けたり、バーコードが印刷されたフィルムを巻き付けたりしていた。
【特許文献1】特開平5−260865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記樹脂被覆パイプにバーコードを添付する際には次のような問題点があった。すなわち、樹脂被覆パイプはその長さや太さ等により多数の種類があるため、それに対応した多数の種類のバーコードを印刷した粘着シールやフィルムと言った副資材が必要となり、またそれらを樹脂被覆パイプに貼り付けたり巻き付けたりする作業は非常に煩雑なものであった。更には、貼り付けた粘着シールや巻き付けたフィルムが剥がれることもあった。
【0005】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、バーコードを添付するための副資材を必要とせず、また効率的にバーコードが付与された樹脂被覆パイプを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち本発明に係る樹脂被覆パイプは、適宜長さのパイプ材の外周側面に合成樹脂の被覆層が形成され、該被覆層の外表面にはレーザー光が照射されてバーコードがパイプ材の長手方向に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る樹脂被覆パイプにおいて、前記被覆層の外表面に突起を形成して農園芸に用いるようにしてもよい。
【0008】
又、本発明に係る樹脂被覆パイプにおいて、前記突起をパイプ材の長手方向に断続的に複数並行に形成し、その隣合う2列の突起の間に前記バーコードの少なくとも一部を形成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適宜長さのパイプ材の外周側面に合成樹脂の被覆層を形成し、該被覆層の外表面にはレーザー光を照射してバーコードをパイプ材の長手方向に形成しているので、樹脂被覆パイプごとに多数の種類のバーコードを添付するための副資材を必要とせず、またバーコードを印刷した粘着シールやフィルムを貼り付けたり巻き付けたりする作業なしで効率的にバーコードを付与することができる。
【0010】
本発明に係る樹脂被覆パイプにおいて、前記被覆層の外表面に突起を形成して農園芸に用いるようにすれば、効率的にバーコードが付与された、植物の蔓などが突起に絡みつきやすい農園芸用の樹脂被覆パイプを形成することができる。
【0011】
又、本発明に係る樹脂被覆パイプにおいて、前記突起をパイプ材の長手方向に断続的に複数並行に形成し、その隣合う2列の突起の間に前記バーコードの少なくとも一部を形成するようにすれば、隣合う2列の突起の間に形成されたバーコードの部分は突起が障害となり擦れにくいので、輸送時や在庫保管の時などにバーコードが擦れて消えにくく、好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0013】
すなわち、図1は本発明に係る樹脂被覆パイプの実施の一形態を示す図で(a)は斜視図、(b)は断面図、図2は本発明に係る樹脂被覆パイプの実施の別の形態を示す斜視図、図3は本発明に係る樹脂被覆パイプに用いる栓体の一例を示す斜視図、図4は本発明に係る樹脂被覆パイプを形成する際に用いるレーザー光照射装置の一例を示す概略説明図である。
【0014】
図面において、Pは樹脂被覆パイプ、1はパイプ材、2はパイプ材1の端部に取付けられた合成樹脂の栓体、3はパイプ材1の外周側面に形成された合成樹脂の被覆層、4は被覆層3の外表面に形成されたバーコードであり、樹脂被覆パイプPは栓体2が端部に取付けられたパイプ材1の外周側面に合成樹脂の被覆層2が形成され、該被覆層の外表面にはレーザー光が照射されてバーコード4がパイプ材1の長手方向に形成されている。
【0015】
パイプ材1としては、一般的には、強度が高く安価な鋼管が好適に用いられるが、アルミニウム合金やステンレス鋼等の他の金属、あるいは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ABS、AAS、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、FRP等の合成樹脂からなる管状体を用いてもよい。更に、パイプ材1の断面形状は、円形、楕円形、多角形等特に限定されるものではないが、断面が真円形状のものが好適に使用される。
【0016】
栓体2は鍔部21と嵌挿部22と頭部23からなり、鍔部21はパイプ材1の断面外形と略等しい断面形状になされ、嵌挿部22は該鍔部21の一端面より長手方向に突設され、鍔部21の他端面には頭部23が形成されている。
【0017】
前記嵌挿部22の断面形状はパイプ材1の断面内形と略等しい形状になされている。なお嵌挿部22の形状はパイプ材1内に嵌挿する際に円滑に嵌挿できるよう、先端に向かいやや先細りになされていることが好ましい。また栓体2の頭部23の形状は円錐形、半球形等、任意の形状とされてよいが、農園芸に用いる支柱として使用する際に土中に滑らかに差し込めるように円錐形とするのが好適である。
【0018】
栓体2は、前記嵌挿部22がパイプ材1内に嵌挿されて、パイプ材1に取着されている。なお栓体2はパイプ材1の少なくとも一端に取着されていればよいが、パイプ材1の両端に取着されていればパイプ材1の両端からの水分の浸透が防止され、この水分によるパイプ材1内の発錆が防止されるので好適である。この場合に使用される栓体2は、同様のものを二個使用してパイプ材1の両端に取着してもよいが、栓体2の頭部23を円錐形としたものと、平面としたものをパイプ材1の両端にそれぞれ取着するのが好ましい。
【0019】
栓体2を形成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα−オレフィンの重合体で用いてもよく、エチレンにα−オレフィンを共重合させたものなどを用いてもよく、エチレンに、酢酸ビニル、メタクリル酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル等と共重合させたものでもよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、AAS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂をでもよく、これらの樹脂を適宜組合せて用いてもよい。
【0020】
被覆層3は、パイプ材1の外周側面から栓体2の鍔部21の外周側面にかけて形成されたものであり、その厚みは0.5mm程度のものである。被覆層3の合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα−オレフィンの重合体で用いてもよく、エチレンにα−オレフィンを共重合させたものなどを用いてもよく、エチレンに、酢酸ビニル、メタクリル酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル等と共重合させたものでもよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、AAS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂をでもよく、これらの樹脂を適宜組合せて用いてもよいが、栓体2と相溶性のある樹脂を使用すれば、合成樹脂押出機により栓体2の鍔部21の外周側面に該合成樹脂が被覆されると、被覆層3と栓体2の鍔部21とが溶着一体化されるので好ましく、又、栓体2を形成する合成樹脂と同一であれば、栓体2の鍔部21と溶着一体化しやすくなるので更に好ましい。
【0021】
また被覆層3の外表面には、パイプ材1の長手方向に断続的に複数並行に突起31が形成されている。本形態においては、円周方向に略90°の間隔をおいて4列並行に断続的に形成されている。かように被覆層3の外表面に突起31を形成すれば、樹脂被覆パイプPを突起31の位置で紐で縛ったり、植物の蔓を螺旋状に巻き付かせる場合でも、紐や蔓がずれることがなく好ましい。なお、被覆材3の外表面に形成される突起31の数や大きさなどは特に限定されるものではなく、樹脂被覆パイプPの径や長さにより適宜形成すればよい。
【0022】
そして被覆層3の外表面にレーザー光を照射することによりバーコード4を形成しているのであるが、図1(a)に示すように、パイプ材1の長手方向に隣合う2列の突起31a、31cの間にバーコード4全体が収まるよう形成されてもよいし、図2に示すように、パイプ材1の長手方向に隣合う2列の突起31a、31cの間にバーコード4の上半分が形成されると共に、隣合う2列の突起31c、31bの間にバーコード4の下半分が形成されて、突起31cとバーコード4とが部分的に重なって形成されてもよい。
【0023】
またバーコード4は樹脂被覆パイプPのどの位置に、いくつ形成されてもよいが、少なくとも円錐形の栓体2の近傍に形成するのが好ましい。これは、農園芸に用いる支柱として使用する際に、土中に差し込めばバーコード4が見えなくなり、見栄えがよくなるからである。その位置としては、栓体2から20cm以内が好適である。
【0024】
そして、被覆層3の外表面にレーザー光を照射してバーコード4を形成するには、一般に用いられるレーザー光照射装置5を用いればよい。用いるレーザーの種類はYAGレーザーが好適であり、レーザー光照射装置5は、レーザー光51を発生するレーザー光源52及びレーザー偏向装置53を備えており、レーザー偏向装置53はガルバノミラー54及び集光レンズ55からなる。レーザー光源52から射出されたレーザー光51はガルバノミラー54で偏向され、集光レンズ55を介してバーコード4が形成される樹脂被覆パイプPの被覆層3の方向へ照射される。
【0025】
そうすると、レーザー光51が照射された部分は薄色化され、そのためレーザー光51が照射されていない部分からは所謂抜き文字として発現され、バーコード4が形成される。
【0026】
したがって、被覆層3はできるだけ濃色のもの、すなわちレーザー光51を照射し薄色化した部分と照射されていない部分とのコントラストが大きいものがよい。その一例としては黒色の被覆層3である。
【0027】
かようにして、突起31をパイプ材1の長手方向に断続的に複数並行に形成し、その隣合う2列の突起31、31の間にバーコード4の少なくとも一部を形成するようにすれば、隣合う2列の突起31、31の間に形成されたバーコード4の部分は突起31が障害となり擦れにくいので、輸送時や在庫保管の時などにバーコード4が擦れて消えにくく、好ましい。
【0028】
また、樹脂被覆パイプPの被覆層3の外表面には、バーコード4のみならず、商品名、品番、サイズなどをレーザー光を照射して形成してもよい。
【0029】
また、パイプ材1の外周側面に被覆層3を形成する際、レーザー光を照射する幅分だけ黒色の合成樹脂を、残りの部分は所望の色の合成樹脂を、所謂2色押出法により形成すれば、黒色の被覆層3の部分にバーコード4を形成することで、バーコード4を視認しやく、且つ多様な色に対応できる樹脂被覆パイプPを形成することができ、好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、樹脂被覆パイプにおいて、樹脂被覆パイプごとに多数の種類のバーコードを添付するための副資材を必要とせず、またバーコードを印刷した粘着シールやフィルムを貼り付けたり巻き付けたりする作業なしで効率的にバーコードを付与するので、農園芸に用いられる支柱のみならず、物干し竿、モップ等の柄として用いられるパイプ部材に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る樹脂被覆パイプの実施の一形態を示す図で(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図2】本発明に係る樹脂被覆パイプの実施の別の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る樹脂被覆パイプに用いる栓体の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る樹脂被覆パイプを形成する際に用いるレーザー光照射装置の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 パイプ材
2 栓体
21 鍔部
22 嵌挿部
23 頭部
3 被覆層
31 突起
4 バーコード
5 レーザー光照射装置
P 樹脂被覆パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜長さのパイプ材の外周側面に合成樹脂の被覆層が形成され、該被覆層の外表面にはレーザー光が照射されてバーコードがパイプ材の長手方向に形成されていることを特徴とする樹脂被覆パイプ。
【請求項2】
前記被覆層の外表面に突起が形成されて農園芸に用いられることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆パイプ。
【請求項3】
前記突起はパイプ材の長手方向に断続的に複数並行に形成され、その隣合う2列の突起の間に前記バーコードの少なくとも一部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の樹脂被覆パイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−124718(P2010−124718A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300598(P2008−300598)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】