説明

樹脂製折り畳み箱

【課題】組み立て及び折り畳みを円滑に行うことができるとともに、収容物が傾いたり、倒れたりすることなく、より安定した状態で収容物を収容することができる樹脂製折り畳み箱を提供する。
【解決手段】樹脂製折り畳み箱10は、四方の側板11が四隅に設けられた折り畳み線12を介して一体的に構成され、各側板11の下端縁に折り畳み線12を介して底板14が連結されている。該底板14のうち最も内側に位置する内側底板14aが1つの長側板11aに連結されて底部の全面に配置されるとともに、その他の側板11に連結された外側底板14bが内側底板14aを支持するように構成されている。内側底板14aと長側板11aを連結する折り畳み線12の一端部から該折り畳み線12と向き合う内側底板14aの対向辺14cに向かう斜め折り畳み線12aを形成し、内側底板14dが斜め折り畳み線12aによって外側に折り畳まれるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品、医薬品等の商品を収容するための折り畳み箱であって、容易に折り畳みができ、収容物が倒れたりすることなく、安定した状態で収容することができる樹脂製折り畳み箱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の折り畳み箱として、例えば次に示すような紙器が知られている(特許文献1を参照)。すなわち、かかる紙器は、四方の側板によって囲まれた形状が平面四角形状を有し、該側板の下端から内方向に折り曲げられて形成された4枚の底板を備えている。これら4枚の底板のうち内側に位置する2枚の底板が外側に位置する2枚の底板の内面に接面されている。そして、4枚の底板の接面箇所のうち対角方向の2箇所で接面する外側の底板面の側端から先端辺に到る線上及び内側の底板の側端から先端辺に到る線上に折曲部が形成されている。さらに、該折曲部を一辺とする外側の底板の先端三角面とこの面に対応して接面する内側の底板面とが接着されている。
【0003】
この紙器によれば、紙器をワンタッチで組み立てることができるとともに、再度元の折り畳んだ形状に復帰させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−122440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の紙器では内面側の底板は2枚の底板で構成されていることから、その2枚の底板が突き合わされていない場合にはそこに段差が形成される。一方、突き合わされている場合でも紙器内に収容物を収容したときや箱を組立てしたときに両底板間にわずかの段差が生じやすい。さらに、その場合には精密な寸法精度が要求され、その精密であるが故に、熱、水分等の影響や繰返し使用の影響による材料変形等によっても隙間が生じてしまうおそれや、逆に2枚の底板が重なって段差が生じてしまうおそれがある。そして、前述のような段差等が生じてしまった場合には、段差等は箱底面中央部の広い範囲に生じる結果となる。このため、紙器内に収容物を収容したとき、収容物がその段差部分で傾いたり、倒れたりし、収容物を綺麗に、効率良く収容することが難しいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、組み立て及び折り畳みを円滑に行うことができるとともに、収容物が傾いたり、倒れたりすることなく、より安定した状態で収容物を収容することができる樹脂製折り畳み箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の樹脂製折り畳み箱は、四方の側板が四隅に設けられた折り畳み線を介して一体的に構成され、各側板の下端縁に折り畳み線を介して底板が連結され、該底板のうち最も内側に位置する内側底板が1つの側板に連結されて底部の全面に配置されるとともに、その他の側板に連結された外側底板が内側底板を支持するように構成され、前記四隅に設けられた折り畳み線のうち隣り合わない二隅の折り畳み線で折り畳まれる。そして、前記内側底板と側板を連結する折り畳み線の一端部から該折り畳み線と向き合う内側底板の対向辺に向かって斜め方向に延びる折り畳み線を形成し、前記箱を折り畳む際に内側底板が斜め方向に延びる折り畳み線によって外側又は内側に折り畳まれるように構成され、該斜め方向に延びる折り畳み線と前記対向辺とのなす前記外側又は内側に折り畳まれる側の角度が67.5〜75.0°に設定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明の樹脂製折り畳み箱は、請求項1に係る発明において、前記斜め方向に延びる折り畳み線は、内側底板と側板を連結する縦折り畳み線の一端部に接し、その一端部から縦折り畳み線と直交する線上に中心を有する円を描いたときその円の接線方向に延びるように形成されるとともに、前記円の半径が4mm以内に設定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明の樹脂製折り畳み箱は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記折り畳み線は加熱プレス加工により形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の樹脂製折り畳み箱は、請求項3に係る発明において、前記折り畳み線の幅は7〜15mmに設定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明の樹脂製折り畳み箱は、請求項1から請求項4のいずれか1項に係る発明において、展開したとき内側底板に隣接する両側の外側底板のうち、一方の外側底板にその折り畳み線の一端部から斜状の折り畳み線を形成し、該斜状の折り畳み線より内側底板側を内側底板の外面に接合して第1接合部とし、他方の外側底板に前記折り畳み線の一端部と対角線上に位置する折り畳み線の他端部から斜状の折り畳み線を形成し、該斜状の折り畳み線より内側底板に対向する外側底板側を該外側底板の外面に接合して第2接合部とし、かつ内側底板に対向する外側底板の第2接合部側に該外側底板を内側へ折り畳み可能にする斜状の折り畳み線を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明の樹脂製折り畳み箱は、請求項1から請求項5のいずれか1項に係る発明において、隣接する二方の側板及びそれに連結される内側底板及び外側底板と、他の隣接する二方の側板及びそれに連結される外側底板とが側板に設けられた耳板により接合されるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明の樹脂製折り畳み箱は、請求項1から請求項6のいずれか1項に係る発明において、前記各側板には蓋板が折り畳み線を介して連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の樹脂製折り畳み箱では、内側底板と側板を連結する折り畳み線の一端部から該折り畳み線と向き合う内側底板の対向辺に向かって斜め方向に延びる折り畳み線が形成され、箱を折り畳む際に内側底板が斜め方向に延びる折り畳み線によって外側又は内側に折り畳まれるように構成されている。このため、折り畳まれた箱を開いて組み立てる場合には、側板を平面四角形状になるように開くことにより、斜め方向に延びる折り畳み線で折り畳まれていた内側底板が平坦になり、底部の全面に配置される。一方、組み立てられた箱を折り畳む場合には、内側底板は斜め方向に延びる折り畳み線で折り畳まれる。
【0014】
この場合、斜め方向に延びる折り畳み線と前記対向辺とのなす前記外側又は内側に折り畳まれる側の角度が67.5〜75.0°に設定されていることから、箱を組み立てる操作や折り畳む操作を円滑に行うことができる。そして、組み立てられた箱はその底部全面に内側底板が敷かれるため、箱内の収容物が不安定になることが回避される。
【0015】
従って、本発明の樹脂製折り畳み箱によれば、組み立て及び折り畳みを円滑に行うことができるとともに、収容物が傾いたり、倒れたりすることなく、より安定した状態で収容物を収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における樹脂製折り畳み箱を組み立て、蓋板が開いた状態を示す斜視図。
【図2】(a)は樹脂製折り畳み箱を折り畳んだ状態を示す正面図、(b)は樹脂製折り畳み箱を折り畳んだ状態を示す平面図。
【図3】折り畳まれた樹脂製折り畳み箱を少し開いた状態を示す斜視図。
【図4】図3の状態から樹脂製折り畳み箱をさらに開いた状態を示す斜視図。
【図5】図4の状態の樹脂製折り畳み箱を底面側から見た状態を示す斜視図。
【図6】(a)は組み立てられた状態の樹脂製折り畳み箱を頂面側から見た状態を示す斜視図、(b)は組み立てられた状態の樹脂製折り畳み箱を底面側から見た状態を示す斜視図。
【図7】樹脂製折り畳み箱を展開した状態であって、内側底板を有する第1構造部材を示す展開図。
【図8】樹脂製折り畳み箱を展開した状態であって、外側底板を有する第2構造部材を示す展開図。
【図9】内側底板と長側板を連結する折り畳み線の一端部と斜め方向に延びる折り畳み線の部分を拡大して示す部分拡大展開図。
【図10】(a)は樹脂製折り畳み箱を構成する板材を示す斜視図、(b)は折り畳み線の近傍部位を示す断面図、(c)は各端部の近傍部位を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図10に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の樹脂製折り畳み箱10は、四方の側板11が四隅に設けられた折り畳み線12で直角に折曲げられ、側板11の対角線位置に設けられた耳板13で接合されて一体的に構成されている。各側板11の下端縁には折り畳み線12を介して底板14が連結されるとともに、各側板11には折り畳み線12を介して蓋板15が連結され、樹脂製折り畳み箱10が平面長方形をなす四角箱状に形成されている。対向する短辺側の短側板11bの中央上部には、箱を把持するための把持孔16が開口されている。そして、四隅に設けられた折り畳み線12のうち隣り合わない二隅の折り畳み線12で折り畳まれるようになっている。
【0018】
図1及び図7に示すように、前記底板14のうち最も内側に位置する内側底板14aは、長辺側の1つの長側板11aに連結されて底部の全面に配置されるとともに、その他の長側板11a及び短側板11bに連結された長辺側の外側底板14b及び短辺側の外側底板14bが内側底板14aを支持するように構成されている。該内側底板14aと長側板11aを連結する折り畳み線12の一端部12cから該折り畳み線12と向き合う内側底板14aの対向辺14cに向かって斜め方向に延びる斜め折り畳み線12aが形成されている。そして、箱を折り畳む際に斜め折り畳み線12aより短辺側の外側底板14b側に位置する内側底板14dが斜め折り畳み線12aで外側に折り畳まれるように構成されている。
【0019】
この斜め折り畳み線12aと前記対向辺14cとのなす前記外側に折り畳まれる側(内側底板14d側)の角度θは67.5〜75.0°に設定され、内側底板14dが斜め折り畳み線12aで円滑に折り畳まれるようになっている。この角度θが67.5°より小さい場合には、箱を折り畳むとき内側底板14dが他の底板14に干渉するなどの支障を来たす。その一方、前記角度θが75.0°より大きい場合には、箱を折り畳むとき内側底板14d(斜め折り畳み線12aの曲げ端部を含む)が側板11に干渉しやすくなり、箱の折り畳みを円滑に行うことができなくなる。
【0020】
図9に示すように、前記斜め折り畳み線12aは、内側底板14aと長側板11aを連結する折り畳み線12の一端部12cに接し、その一端部12cから折り畳み線12と直交する線17上に中心を有する円18を描いたときその円18の接線方向に延びるように形成されている。前記円18の半径rは4mm以内に設定され、その範囲に設定されることにより内側底板14aの斜め折り畳み線12aでの円滑な折り畳みが許容される。この半径rが4mmを超える場合、斜め折り畳み線12aから外側に折り畳まれる側の内側底板14dが短辺側の外側底板14bと重なる結果、折り畳みが難しくなる。半径rの範囲は、0.5〜4mmの範囲がさらに好ましい。敢えて、前記一端部12cから位置をずらすことで、より円滑な折り畳み、組み立ての動作を得ることができる。
【0021】
図1及び図7に示すように、箱を展開したとき内側底板14aに隣接する短辺側の外側底板14bには、その折り畳み線12の一端部12cから斜状の折り畳み線12bが形成され、該斜状の折り畳み線12bより内側底板14a側が内側底板14aの外面に接合されて直角三角形状の第1接合部19が形成されるように構成されている。図5及び図8に示すように、箱を組み立てたとき内側底板14aに対向する長辺側の外側底板14bに隣接する短辺側の外側底板14bには、その折り畳み線12の他端部12dから斜状の折り畳み線12bが形成され、該斜状の折り畳み線12bより長辺側の外側底板14b側が長辺側の外側底板14bの外面に接合されて直角三角形状の第2接合部20が形成されるように構成されている。なお、長辺側の外側底板14bの折り畳み線12の他端部12dから斜め折り畳み線12aが形成され、該外側底板14bの第2接合部20側に位置する外側底板14eがその斜め折り畳み線12aで外側へ折り畳まれるようになっている。
【0022】
樹脂製折り畳み箱10を構成する側板11、底板14、蓋板15等は全てポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂により3〜50mm程度の厚みに形成されている。図10(a)に示すように、側板11、底板14、蓋板15等は対向配置された一対のライナー21,22間に多数の平行なリブ23を一定間隔で架設してなり、中空部24を有する板材である。従って、この樹脂製折り畳み箱10は、紙製折り畳み箱に比べて高い強度を発揮できるとともに、中空部24を有するため軽量にすることができる。
【0023】
図10(b)に示すように、前記折り畳み線12は例えば加熱プレス加工により、中空部24を有する板材の対向するライナー21,22の上下から図示しない加熱板で挟圧して加熱溶着(融着)することによって形成することができる。また、図10(c)に示すように、端部のシール部28も折り畳み線12と同様に加熱プレス加工などの方法によって形成することができる。その他、折り畳み線12及びシール部28の形成方法としては、折り畳み線12の部位に超音波を照射して加熱溶着する方法、折り畳み線12の部位で一方のライナー21を切除してそこにヒンジ部材を接合する方法、熱可塑性樹脂の補強芯材を中空部24に装填した状態で加熱したV型刃等で折曲溝を形成する方法、加熱されたV型刃で折り畳み線12の部位を押圧してライナー21,22を溶融しながらV溝を形成する方法、1枚のライナー22を残して折り畳み線12の部位に切り込みを入れる方法等が挙げられる。
【0024】
前記加熱プレス加工によって折り畳み線12を形成する場合には、該折り畳み線12の幅は7〜15mm、厚みは0.1〜3mm程度に設定されている。折り畳み線12の幅が7mmよりも狭い場合には、折り畳み線12で折曲げたとき折曲げ部分が鋭角に折曲げられて弱くなり、箱の組み立てや折り畳みの繰り返しに対する耐久性が低下する。一方、折り畳み線12の幅が15mmよりも広い場合には、折り畳み線12上で折曲げる位置に幅があり、若干斜めに折曲げられて組み立て精度が悪化したりして好ましくない。
【0025】
本実施形態の樹脂製折り畳み箱10は、図7に示すような第1構造部材25と、図8に示すような第2構造部材26とが耳板13の部分で溶融接合されることにより一体形成されるように構成されている。図7に示すように、第1構造部材25は、隣り合う長側板11a及び短側板11bと、長側板11aに折り畳み線12を介して連結された内側底板14a、耳板13及び蓋板15と、短側板11bに折り畳み線12を介して連結された第1接合部19を有する短辺側の外側底板14b及び蓋板15とにより構成されている。内側底板14dと第1接合部19との間には切り込み27が設けられ、内側底板14d及び第1接合部19が独立して折曲げできるようになっている。蓋板15間にも切り込み27が設けられ、両蓋板15が独立して折曲げできるように構成されている。
【0026】
一方、図8に示すように、第2構造部材26は、隣り合う長側板11a及び短側板11bと、長側板11aに折り畳み線12を介して連結された長辺側の外側底板14b、耳板13及び蓋板15と、短側板11bに折り畳み線12を介して連結された第2接合部20を有する短辺側の外側底板14b及び蓋板15とにより構成されている。外側底板14eと第2接合部20との間には切り込み27が設けられ、外側底板14e及び第2接合部20が独立して折曲げできるようになっている。蓋板15間にも切り込み27が設けられ、両蓋板15が独立して折曲げできるようになっている。
【0027】
上記のように構成された樹脂製折り畳み箱10について、組み立て方法及び折り畳み方法を説明する。
さて、樹脂製折り畳み箱10を組み立てる場合には、図2(a),(b)に示すように、第1構造部材25と第2構造部材26とが2つの耳板13部分で溶融接合されて折り畳まれた状態から、図3に示すように、隣り合わない二隅の折り畳み線12〔図2(a),(b)の左右両端部〕で平面菱形状をなすように少し開く。その状態からさらに開くと、図4及び図5に示すように、一方の短辺側の外側底板14bは第1接合部19で内側底板14aに接合された状態で開き、他方の短辺側の外側底板14bは第2接合部20で長辺側の外側底板14bに接合された状態で開く。従って、長辺側の外側底板14bが開き、内側底板14aがその内面に載るようにして開く。
【0028】
続いて、図1に示すように、平面四角形状に到るまで開くと、2枚の短辺側の外側底板14b及び長辺側の外側底板14bは平板状に形成され、内側底板14aがその上に載るように形成される。このとき、内側底板14aの斜め折り畳み線12aで外側に折曲げられていた内側底板14dは、斜め折り畳み線12aの部分を内側から外側へ押圧することにより平坦にすることができる。
【0029】
最後に、図6(a),(b)に示すように、4枚の蓋板15のうち、2枚の短辺側の蓋板15を内側に折り畳んだ後、2枚の長辺側の蓋板15を内側に折り畳むことにより、長辺側の両蓋板15が突き合されて樹脂製折り畳み箱10が組み立てられる。
【0030】
次に、組み立てられた樹脂製折り畳み箱10を折り畳む場合には、上記組み立ての手順とは逆の手順で行う。すなわち、図6(a),(b)に示す状態から長辺側の蓋板15を開いた後、短辺側の蓋板15を開いて図1に示す状態にする。次いで、図4及び図5に示すように、隣り合わない二隅の折り畳み線12(図4及び図5の左右両端部)で折り畳まれるように、耳板13のある対角線位置の二隅を内側へ押圧する。このとき、内側底板14a、長辺側の外側底板14b及び2枚の短辺側の外側底板14bは内側へ折り畳まれるとともに、内側底板14d及び外側底板14eがそれぞれ斜め折り畳み線12aで外側に折り畳まれる。図3に示すように、引き続き耳板13のある対角線位置の二隅を内側へ押圧すると、箱は平面菱形をなすように変形する。最後に、耳板13のある対角線位置の二隅を強く押圧すると、図2(a),(b)に示すように、箱はほぼ平板状に折り畳まれる。
【0031】
以上のように構成された樹脂製折り畳み箱10により発揮される効果について、以下にまとめて説明する。
(1) 本実施形態の樹脂製折り畳み箱10では、内側底板14aと長側板11aを連結する折り畳み線12の一端部12cから内側底板14aの対向辺14cに向かって延びる斜め折り畳み線12aが形成され、箱を折り畳む際に内側底板14dがこの斜め折り畳み線12aによって外側に折り畳まれるように構成されている。このため、折り畳まれた箱を開いて組み立てる場合には、側板11を平面四角形状になるように開くことにより、斜め折り畳み線12aで折り畳まれていた内側底板14dが平坦になり、底部の全面に配置される。一方、組み立てられた箱を折り畳む場合には、内側底板14dは斜め折り畳み線12aで折り畳まれる。
【0032】
この場合、斜め折り畳み線12aと前記対向辺14cとのなす前記外側に折り畳まれる側の角度θが67.5〜75.0°に設定されていることから、箱を組み立てる操作や折り畳む操作を行う際に内側底板14aが側板11に当たって前記操作が妨げられることなく、速やかに行うことができる。そして、組み立てられた箱はその底部全面に内側底板14aが敷設されているため、別の敷板を箱内に敷く必要がなく、箱内の収容物が不安定になったり、脱落したりすることが回避される。
【0033】
従って、樹脂製折り畳み箱10によれば、組み立て及び折り畳みをワンタッチで円滑に行うことができるとともに、収容物が傾いたり、倒れたりすることなく、より安定した状態で収容物を収容することができる。
【0034】
(2) 内側底板14aの斜め折り畳み線12aは、内側底板14aと長側板11aを連結する折り畳み線12の一端部12cに接し、その一端部12cから折り畳み線12と直交する線17上に中心を有する円18を描いたときその円18の接線方向に延びるように形成され、その円18の半径rが4mm以内に設定されている。このため、斜め折り畳み線12aを折り畳み線12の端部から厳密に形成する必要はなく、斜め折り畳み線12aの許容範囲が大きく、該斜め折り畳み線12aを容易に形成することができるとともに、斜め折り畳み線12aで支障なく折り畳むことができる。
【0035】
(3) 折り畳み線12は加熱プレス加工により、樹脂で形成された側板11及び底板14の所定箇所を加熱溶着することにより、簡単かつ速やかに形成することができる。
(4) 折り畳み線12の幅は7〜15mmという適切な幅に設定されていることから、屈曲性が良好で折り畳み線12の部分で容易に折り畳むことができるとともに、折り畳み線12の強度を保持することができる。
【0036】
(5) 内側底板14aに隣接する短辺側の外側底板14bにその折り畳み線12の一端部12cから斜状の折り畳み線12bを形成し、該斜状の折り畳み線12bより内側底板14a側を内側底板14aの外面に接合して第1接合部19とした。さらに、長辺側の外側底板14bに隣接する短辺側の外側底板14bの折り畳み線12で前記折り畳み線12の一端部12cと対角線上に位置する他端部12dから斜状の折り畳み線12bを形成し、該斜状の折り畳み線12bより長辺側の外側底板14b側を該外側底板14bの外面に接合して第2接合部20とした。かつ、長辺側の外側底板14bの第2接合部20側に長辺側の外側底板14eを外側へ折り畳み可能にする斜め折り畳み線12aを設けた。
【0037】
このため、各長辺側の外側底板14b及び短辺側の外側底板14bは内側底板14aを外面から支持しつつ、円滑に折り畳むことができる。
(6) 隣接する二方の長側板11a、短側板11b及びそれらに連結される内側底板14a及び短辺側の外側底板14bの第1構造部材25と、他の隣接する二方の長側板11a、短側板11b及びそれらに連結される長辺側の外側底板14b及び短辺側の外側底板14bの第2構造部材26とが長側板11aに設けられた耳板13により接合されて構成されている。従って、樹脂製折り畳み箱10を2つの構造部材25,26の連結によって容易に作製することができる。
【0038】
(7) 各側板11には蓋板15が折り畳み線12を介して連結されていることから、4枚の蓋板15によって樹脂製折り畳み箱10内に収容された収容物を有効に保護することができる。
【0039】
なお、前記各実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記長辺側の外側底板14bに設けられている斜め折り畳み線12aに沿って外側底板14eを切り取り、外側底板14eを省略することもできる。
【0040】
・ 前記4枚の蓋板15を省略することもでき、蓋板15を有しない樹脂製折り畳み箱10とすることもできる。
・ 前記長辺側の外側底板14b及び短辺側の外側底板14bを、箱を組み立てた状態で底部の全面に配置されるように形状を変更し、底部の全面で内側底板14aを支持できるように構成することも可能である。
【0041】
・ 前記内側底板14aの斜め折り畳み線12aを他の折り畳み線12より薄く形成して折曲げを容易にし、箱を組み立てたとき内側底板14aの平坦性を向上させるように構成することもできる。
【0042】
・ 内側底板14d又は外側底板14eを斜め折り畳み線12aで内側に折り畳むように構成することも可能である。
・ 把持孔16は、用途に応じて、適宜、省略することや、位置、数、大きさ、形を変更することができる。
【0043】
・ 各板は、平行なリブ23ではなく、円柱状、略円錐状などの各種形態を有する中空構造板や中実の板材なども用いることができる。
・ 箱の底面や側面は、長方形であるだけでなく、正方形にすることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…樹脂製折り畳み箱、11…側板、11a…長側板、11b…短側板、12…折り畳み線、12a…斜め折り畳み線、12b…斜状の折り畳み線、12c…一端部、12d…他端部、13…耳板、14…底板、14a…内側底板、14b…外側底板、14c…対向辺、14d…内側底板、14e…外側底板、15…蓋板、17…線、18…円、19…第1接合部、20…第2接合部、θ…角度、r…半径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四方の側板が四隅に設けられた折り畳み線を介して一体的に構成され、各側板の下端縁に折り畳み線を介して底板が連結され、該底板のうち最も内側に位置する内側底板が1つの側板に連結されて底部の全面に配置されるとともに、その他の側板に連結された外側底板が内側底板を支持するように構成され、前記四隅に設けられた折り畳み線のうち隣り合わない二隅の折り畳み線で折り畳まれる樹脂製折り畳み箱であって、
前記内側底板と側板を連結する折り畳み線の一端部から該折り畳み線と向き合う内側底板の対向辺に向かって斜め方向に延びる折り畳み線を形成し、前記箱を折り畳む際に内側底板が斜め方向に延びる折り畳み線によって外側又は内側に折り畳まれるように構成され、該斜め方向に延びる折り畳み線と前記対向辺とのなす前記外側又は内側に折り畳まれる側の角度が67.5〜75.0°に設定されていることを特徴とする樹脂製折り畳み箱。
【請求項2】
前記斜め方向に延びる折り畳み線は、内側底板と側板を連結する縦折り畳み線の一端部に接し、その一端部から縦折り畳み線と直交する線上に中心を有する円を描いたときその円の接線方向に延びるように形成されるとともに、前記円の半径が4mm以内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製折り畳み箱。
【請求項3】
前記折り畳み線は加熱プレス加工により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂製折り畳み箱。
【請求項4】
前記折り畳み線の幅は7〜15mmに設定されていることを特徴とする請求項3に記載の樹脂製折り畳み箱。
【請求項5】
展開したとき内側底板に隣接する両側の外側底板のうち、一方の外側底板にその折り畳み線の一端部から斜状の折り畳み線を形成し、該斜状の折り畳み線より内側底板側を内側底板の外面に接合して第1接合部とし、他方の外側底板に前記折り畳み線の一端部と対角線上に位置する折り畳み線の他端部から斜状の折り畳み線を形成し、該斜状の折り畳み線より内側底板に対向する外側底板側を該外側底板の外面に接合して第2接合部とし、かつ内側底板に対向する外側底板の第2接合部側に該外側底板を内側へ折り畳み可能にする斜状の折り畳み線を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂製折り畳み箱。
【請求項6】
隣接する二方の側板及びそれに連結される内側底板及び外側底板と、他の隣接する二方の側板及びそれに連結される外側底板とが側板に設けられた耳板により接合されるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂製折り畳み箱。
【請求項7】
前記各側板には蓋板が折り畳み線を介して連結されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の樹脂製折り畳み箱。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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