説明

樹脂製波形管の接続雌部構造

【課題】接続部分からの水の浸入を効果的に防止する樹脂製波形管の接続雌部構造を提供する。
【解決手段】管状部14に角筒状部12が連接され、角筒状部12は内部に樹脂製波形管端部を挿入して固定・接続する雌部であり、角筒状部12の開口部側の内面に板バネ18が傾斜立設されており、管状部14側の内周面に吸水膨張性布20が貼着されており、吸水膨張性布20の開口部側端部に凸条22が形成されている樹脂製波形管の接続雌部構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凸部(大径部)と凹部(小径部)を管軸方向に交互に有する樹脂製の波形管の一端部を受容して同種又は異種の樹脂製波形の保護管を接続するための接続雌部構造に関するものである。本発明の接続雌部構造は、樹脂製波形管の一端部に設けられてもよく、異なる形状の樹脂管に接続する接続雄部構造を有する管継手の接続雌部ないし同じ構造の接続雌部が筒状管で接続された管継手の接続雌部であってもよい。
【背景技術】
【0002】
主として電線ケーブルや光ファイバーケーブル等のケーブル類を収容保護する樹脂製の保護管として、管壁を凹凸波形に形成した合成樹脂製波形管は公知であり、係る樹脂製波形管において、特に凸部の管径方向の断面を略正方形状に形成した樹脂製波形管も公知である(特許文献1など)。係る樹脂製波形管は、捻れの少ない安定した配管を実現することができるとともに、複数本を横方向に配列し、或いは高さ方向に積み重ねて集束して多孔管路を土中に形成する場合には、円形管と比較して土砂の管の間への入り込みがなく、管配列の平行性や直行性を良好に維持することができるという特徴を有する。
【0003】
特許文献1に記載の樹脂製波形管を接続雌部構造として角筒状部を備えた樹脂製波形管ないし樹脂製波形管を接続する管継手が公知である(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−325490号公報
【特許文献2】特開2005−172233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2開示の接続雌部構造を使用して樹脂製波形管を接続し、実際に土中に埋設すると、接続部から水が浸入するという問題があることが判明した。本発明は、上記公知技術の問題点に鑑みて、接続部分からの水の浸入を効果的に防止する樹脂製波形管の接続雌部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造は、管状部に角筒状部が連接され、前記角筒状部は内部に樹脂製波形管端部を挿入して固定・接続する雌部であり、前記角筒状部の開口部側の内面に抜け止め部材が配設されており、前記管状部側の内周面に吸水膨張性布が貼着されており、前記吸水膨張性布の開口部側端部近傍に凸条が形成されていることを特徴とする。
【0007】
係る構成によれば、波形の樹脂製波形管の接続部分からの水の浸入を効果的に防止し、内部のケーブルや光ファイバー等を確実に保護することができる。とりわけ、角筒状部の管状部側内周面に貼着された吸水膨張性布により、接続部分の隙間に浸入した水分が吸収され、水分の吸収により吸水性膨張性布構成材料が膨張して布を構成する繊維間の空隙と角筒状部の内面と挿入固定した樹脂製波形管端部の外周面との間の空隙を封止し、以後の水の浸入が阻止される。また、凹溝の開口部側端部に形成された凸条により、角筒状部に他の樹脂製波形管端部を接続固定する場合、該他の樹脂製波形管端部の挿入時に吸水性膨張性布のめくれ上がりや、変形、しわの発生が防止され、水の浸入がより確実に防止される。
【0008】
また凸条は、リブとしての作用も有し、吸水性膨張性布を貼着した角筒状部の壁面の曲げ変形が防止され、より確実に水の浸入を阻止する効果を奏する。吸水膨張性布として吸水膨張性繊維と一般的な繊維を混紡した不織布を使用した場合、水の浸入により吸水膨張性繊維が膨張して繊維間の空隙を閉鎖すると共に吸水膨張性布が厚さ方向に膨張する力が発生する。角筒状部の壁面は平坦であるためにこの吸水膨張性布の厚さ方向の膨張力により、中央部ほど膨らむ変形を生じやすく、係る変形が生じるとその部位における吸水膨張性布の圧縮力、即ち吸水膨張性布の繊維間の空隙を閉鎖する力が低下し止水性が低下する。凸条は、係る角筒状部の壁面の変形を防止する結果、より確実に水の浸入を阻止する効果を奏する。
【0009】
別の本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造は、管状部に角筒状部が連接され、前記角筒状部は内部に樹脂製波形管端部を挿入して固定・接続する雌部であり、前記角筒状部の開口部側の内面に抜け止め部材が配設されており、前記管状部側の内周面に吸水膨張性布が貼着されており、前記吸水膨張性布の開口部側端部近傍に凹溝が形成されていることを特徴とする。
【0010】
凹溝は、上記凸条と同様のリブとしての作用により、吸水性膨張性布を貼着した角筒状部の壁面の変形を防止し、より確実に水の浸入を阻止する効果を奏する。
【0011】
上記の樹脂製波形管の接続雌部構造においては、さらに前記凹溝に隣接して凸条が形成されていることが好ましい。
【0012】
係る構成によれば、該凹溝と凸条により形成されるリブ構造の作用により、吸水性膨張性布を貼着した角筒状部の壁面の変形がより強固に防止され、より確実に水の浸入を阻止することができる。凹溝のみの場合、もしくは凸条のみの場合では、いずれもその高さには限界があるが、これらを隣接形成することによりリブ構造の高さを高く形成することができる。凹溝と凸条は、どちらが吸水性膨張性布の端部側であってもよいが、吸水性膨張性布のめくれ上がりなどがより効果的に防止できることから、凸条が吸水性膨張性布の端部側であることが好ましい。
【0013】
また上述の樹脂製波形管の接続雌部構造においては、前記凸条の高さが、前記吸水膨張性布の厚さ以下であることが好ましい。
【0014】
係る構成によれば、吸水膨張性布が隙間に浸入した水で膨張した際の膨張で以後の水の浸入を効果的に防止することができる。凸条の高さが高すぎると、挿入・接続する他の樹脂製波形管の外面と角筒状部内面との間隔が大きくなり、吸水した吸水膨張性布の繊維間の空隙を閉鎖する圧力が十分でなくなる場合が生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造を構成する樹脂材料は、公知の熱可塑性樹脂を特に限定なく使用することができ、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂等を例示することができる。これらの中でも、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の使用が、低コストであり、しかも土中埋設時の耐久性に優れている点で好ましい。
【0016】
本発明において使用する吸水膨張性布は、繊維構成材料自体が吸水により膨張するものであってもよく、一般的な繊維材料と高吸水性樹脂との複合材であってもよい。複合材の製造方法としては、特に限定されるものではないが、繊維材料に高吸水性樹脂を形成する単量体を付着させた後に重合させる方法(特開平10−258229号公報)、繊維材料に高吸水性樹脂粒子ないし粉体をバインダーを用いて付着させる方法などが例示される。吸水膨張性布は、吸水膨張性繊維と一般的な繊維の混紡であってもよく、不織布、織布いずれであってもよいが、吸水膨張性繊維と一般的な繊維の混紡の不織布の使用が好ましい。
【0017】
吸水膨張性布の厚さは特に限定されず、角筒状部の大きさに応じて適宜設定されるものであるが、0.5〜5mmであることが好ましい。吸水膨張性布の厚さが薄すぎる場合には、角筒状部の内面とこれに装着固定する別の管端部外面との間の空隙が大きい場合や角筒状部と別の管端部が曲がって接続されて空隙が傾斜により均等にならずに部分的に大きな空隙が形成された場合に水の浸入を効果的に防止できない場合が発生する。また吸水膨張性布の厚さが薄すぎる場合には、別の管端部の挿入時にめくれ上がりやしわを発生し易くなる。吸水膨張性布の幅は特に限定されず、樹脂製波形管の大きさにより適宜設定されるものであるが、5〜50mmであることが好ましく、10〜40mmであることがより好ましい。幅が狭すぎると水の浸入防止効果が十分に発揮されない場合が有り、幅が広すぎると変形を生じやすくなる。
【0018】
吸水膨張性布を角筒状部内面に貼着する方法は特に限定されるものではなく、ホットメルト接着剤などの公知の接着剤を使用して接着する方法、吸水膨張性布の片面に粘着加工を施して貼着する方法、吸水膨張性布の片面に両面粘着テープを貼着し、残りの剥離シートを剥離して貼着する方法等が例示される。
【実施例】
【0019】
図1は本発明の接続雌部構造を備えた管継手を例示した斜視図であり、図2は管の軸芯を含む断面図(板バネは図示せず)と正面図である。管継手10は、角筒状部12と管状部14とが一体に連接されている。管状部14は円筒状であるが、これに限定されるものではなく、接続する相手方の管形状に応じて設定する。管状部14は、角筒状部12よりも小径ないし小断面積であることが好ましい。管状部14の端部には角筒状部12と同じ角筒状部を形成して本発明の接続雌部構造を両端に備えた管継手としてもよい。
【0020】
角筒状部12は、略正方形の枡状で4隅は円弧状に形成されており、開口部には外側周方向に凸のリブが3本形成されており、開口部の形状を維持する補強がなされている。角筒状部の開口部側の内面には、他の樹脂製波形管端部を挿入・固定するための抜け止め部材を配設してある。係る抜け止め部材は、接続した他の樹脂製波形管の抜けを防止するものであれば特に限定されず、挿入接続する樹脂製波形管の凸部に係止する構成を有するものが好ましく、例えば開口部より奥側ほど高くなるように傾斜立設された板バネが簡便かつ低コストであることから好適である。
【0021】
角筒状部12は、開口部側の内面に板バネ18が、開口部より奥側(管状部14との連接部方向)ほど高くなるように傾斜立設されている。板バネ18は、図1の管継手10の斜視図の下に示したように角筒状部壁面に当接する基部18dと前記基部18dから折り曲げられて傾斜部を形成する係止部18aとから構成されている。板バネの基部18dは、両端側において長さ方向に幅の狭い切り込みにより折曲げ係止片18cが形成されている。板バネ18は、角筒状部壁面に形成された孔から外側に該折曲げ係止片18cを突き出した後に折り曲げ、基部18dと折曲げ係止片18cにて角筒状部壁面を挟持することにより立設固定される。板バネ18の係止部18aは、板状のままでもよいが、図1のように、中央部において3辺の切り込みによりバネ片18bを形成して角筒状部壁面側に折り曲げてもよい。係る構成によれば、角筒状部12に他の樹脂製波形管端部を挿入した場合に、バネ片18bが角筒状部12の内面に弾接して係止部18aを支持するため、より強いバネ力により係止することができる(特許文献2参照)。
【0022】
板バネ18は、接続雌部である角筒状部12内に樹脂製波状管の端部を挿入した場合、該樹脂製波状管の凸部の凹部側側面に係止部18aの先端を開口部側から当接させることにより、樹脂製波状管の抜け防止を行う。上記のように板バネ18の固定部においては、角筒状部12の内面に開口部より奥側ほど高くなる傾斜面を有する凸部19(外側からみると凹部となる)を設け、該傾斜面に上記バネ片18bが当接可能にすることが、樹脂製波状管の端部の挿入による樹脂製波状管の凸部の板バネ18の係止部18aの押圧変形から、確実に係止位置に戻るので好ましい(特許文献2参照)。
【0023】
図1、2に例示した接続雌部構造を備えた管継手10の角筒状部12の奥側、即ち管状部14との連接部近傍の内周面には、周方向に帯状の吸水膨張性布20が貼着されており、該吸水膨張性布20の開口部側端部には、角筒状部12の内部側周方向に凸条22が形成されている。該構成によれば、吸水膨張性布20は、他の樹脂製波形管端部を角筒状部12に挿入して板バネ18にて抜けないように固定した際、挿入固定した他の樹脂製波形管の外周面と角筒状部の内面により挟持される。この状態で接続部分の隙間に水が浸入すると、吸水膨張性布20が水を吸収して構成材料が膨張し、その結果膨張した吸水性膨張性布構成材料が空隙を封止し、以後の水の樹脂製波形管内への浸入が阻止される。
【0024】
また、凸条22は、角筒状部12に他の樹脂製波形管端部を接続固定する場合、該他の樹脂製波形管端部の挿入時に、他の樹脂製波形管端部の凸部が接触することにより吸水性膨張性布をめくれ上げたり、変形させたり、或いはしわを発生させることを防止し、水の浸入を確実に防止する作用を有する。本発明の接続雌部構造は、電線ケーブルや光ファイバーケーブル等のケーブル類を収容保護する樹脂製波形管に関するものであり、該樹脂製波形管は、取扱いと製造の容易さ並びに接続箇所をできるだけ少なくすることが好ましいとの観点から一般的には例えば5mという長さに形成されていて可とう性を有し、かつ現場工事において土中に埋設される場合も多いものである。そのために接続時に双方の軸芯を合わせた状態でまっすぐに挿入出来ず、他の樹脂製波形管端部の端縁が吸水性膨張性布の端部に当たってこれを変形させたりしわを発生させる場合が生じ、係る変形やしわが発生すると吸水性膨張性布20の構成材料が吸水して膨張した場合であっても該変形やしわ部において空隙が残って樹脂製波形管内に水が浸入し、内部の電線ケーブルや光ファイバーの劣化、短絡等の原因となる場合がある。本発明の接続雌部構造における凸条22は、角筒状部に他の樹脂製波形管端部を接続固定する場合において、双方の軸芯を合わせた状態でまっすぐに挿入出来ない時でも他の樹脂製波形管端部の端縁が吸水性膨張性布の端部に当たってこれを変形させたり、しわが発生することを防止する作用を有する。
【0025】
角筒状部12の凸条22の開口部側には、凸条22に隣接して角筒状部12の内面側が凹となる凹溝24が形成されている。凸条22は上記の作用を奏するものであるが、その高さhはそれほど高くできない。また角筒状部12の肉厚もコスト、重量などの関係で余り厚くすることはできない。そのために角筒状部12の側壁は膨らむように変形を受ける場合があり、該側壁の変形が起こると凸条22がその作用を十分に発揮することができずに、水が樹脂製波形管内に浸入するという問題が発生する。凹溝24を、凸条22の近傍に、好ましくは隣接して形成することによって該凹溝24の側壁面がリブとしての作用を奏する結果、凸条22の変形が防止され、接続部からの水の浸入がより確実に防止可能となる。凹溝24の深さは、角筒状部12の大きさに応じて適宜設定されるものであるが、2〜10mmであることが好ましく、2〜8mmであることがより好ましい。溝の深さが浅いと凸条22の変形防止効果が十分でなく、深すぎると成形時に凹溝の側壁の厚さが薄くなり、強度が低下する。
【0026】
図2(ロ)は図2(イ)のX部を拡大した断面図である。凸条22の吸水性膨張性布20貼着面からの高さをh、吸水性膨張性布20の厚さをdとした場合、d≧hであることが好ましい。h>dである場合には、吸水性膨張性布20の厚さが挿入固定する他の樹脂製波形管の外周面と角筒状部12の内周面との間隔より薄くなる結果、吸水・膨張してもシール性能が十分でない場合が生じる。吸水性膨張性布20は、接続時に他の樹脂製波形管の外周面と角筒状部12の内周面との間で圧縮されることが好ましい。h≧0.5dであることが好ましい。hがdに対して小さすぎると、吸水性膨張性布20の開口部側端部の凸条22より突出する部分が大きくなり、他の樹脂製波形管端部の挿入・固定時に、該他の樹脂製波形管端部の凸部となる大径部との接触による吸水性膨張性布のめくれ上がり、変形、しわの発生を十分に防止出来ない。
【0027】
図3には、図2の部分拡大図(ロ)の別の実施形態として、吸水膨張性布20の開口部側端部近傍に凸条22のみを形成した例(a)及び凹溝24のみを形成した例を示した。「近傍」とは、凸条22ないし凹溝24がその作用効果を奏する近さであれば特に限定されないが、吸水膨張性布20の開口部側端部に隣接していることが好ましい。凹溝24は、とりわけ本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造を押出ブロー成形法により製造する場合、その溝の深さを深くすると肉厚が薄くなるのでその深さには限度がある。
【0028】
図4は図1、2に例示した管継手10の角筒状部12に他の樹脂製波形管30の端部を挿入固定した状態を例示した断面図である。樹脂製波状管30の凹部(小径部)が角筒状部12の開口部から奥側の管状部14との連接部に至るまで挿入され、樹脂製波状管30の凸部(大径部)の外周面と角筒状部12の内周面とで吸水性膨張性布20を挟持した状態となって接続固定されている。板バネは図示していないが、挿入された樹脂製波状管30の先端側の凸部(大径部)の側面に先端部を当接して係止し、抜けを防止する(特許文献2参照)。
【0029】
図5は本発明の接続雌部構造を一端に備えた樹脂製波形管を例示した斜視図である。接続雌部を有する樹脂製波形管40は、接続雌部である角筒状部12とこれに連接された樹脂製波状管部30(一部だけ図示)とからなる。角筒状部12の構造は図1に例示した管継手10の角筒状部12と同じである。樹脂製波状管部30は、通常の長さ、例えば10mであってよい。樹脂製波状管部30は、断面が略正方形でコーナー部が円弧状に形成された凸部である大径部32と断面が円形、辺がコーナー部よりも大きな曲率半径で形成された略正方形などの凹部である小径部34が交互に、正面視にて波状に形成されている。
【0030】
上記接続雌部を有する樹脂製波形管40は、製造した規格の長さの管を施工現場において長さ方向に連続して接続して管路を形成する。工事現場においては、通常、製造した規格長さの樹脂管だけでは長すぎることが多く、その場合には、樹脂製波形管40の適当な1本について半端となる長さに合わせて樹脂製波状管部30を、小径部34が先端となるように切断すると、樹脂製波状管部30は同じ形状の繰返しで形成されているために図3に例示した構造にて接続可能となり、全体が施工現場の所定長さとなる管路を形成することができる。
【0031】
接続雌部構造を有する樹脂製波形管ないし管継手は、公知の方法で製造することができるが、周知の押出ブロー成形法により製造することが好ましい。
【0032】
図6には、樹脂製波形管を接続施工する工程を示した。この例は、特開平12−104877号公報に開示の樹脂製波形管を本願発明の接続雌部構造を有する管継手により接続するものである。特開平12−104877号公報に開示の樹脂製波形管50(1)、50(2)は、大径部58と小径部56とが交互に形成され、一端部に雌接続部54が、他端部に雄接続部52が形成されており、該雌接続部54と雄接続部52とは、Cリング部材を使用して接続可能に構成されている。使用する管継手10の管状部14は、樹脂製波形管の雄接続部52と同じ構造に構成する。
【0033】
図6に示したように、順次接続施工された樹脂製波形管50の最後の1本50(1)は、例えば壁面Wにその端部を固定された樹脂製波形管50(2)と接続することになる。しかるに、その間隔は工場において製造された規格長さと一致する訳ではなく、途中で切断して使用しなければならない。そうすると切断端部は雌接続部材54に適合する形状とはならず、従来はシーラントや接着剤を使用してシールを行う必要があり、不便であった。本願発明の接続雌部構造を有する管継手10を使用すると以下のように接続することができる。
(1)切断して長さ調整を行う樹脂製波形管50の最後の1本50(1)を小径部と大径部の境界部において切断端部に小径部56aを残すようにC部において所定長さに切断する(6−1)。
(2)壁面Wにその端部を固定された樹脂製波形管50(2)の該雌接続部54に管継手10の管状部14である雄接続部を挿入・固定して接続する(6−2)。
(3)樹脂製波形管50(1)と樹脂製波形管50(2)とをたわませて樹脂製波形管50(1)の端部の小径部56aが管継手10の接続雌部構造の角筒状部の開口部に入るようにする(6−3)。
(4)樹脂製波形管50(1)と樹脂製波形管50(2)のたわみをなくして直線状にする。係る操作で樹脂製波形管50(1)の端部の小径部56aが管継手10の接続雌部構造の角筒状部の吸水膨張性布を圧縮するように接続が行われる。係る接続方法の実施において、管継手10の接続雌部構造の角筒状部内部の吸水膨張性布の端部が挿入する樹脂製波形管50(1)の大径部によりめくれ上がり、しわ発生が引き起こされやすいが、本発明の凸条により、係る問題が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造を有する管継手を例示した斜視図
【図2】本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造を有する管継手を例示した断面図と正面図
【図3】本発明の樹脂製波形管の接続雌部構造における凸条のみの場合、凹溝のみの場合を例示した部分断面図
【図4】本発明の接続雌部構造を有する管継手に樹脂製波形管の端部を接続固定した状態を例示した断面図
【図5】本発明の接続雌部構造を有する樹脂製波形管を例示した部分斜視図
【図6】本願発明の接続雌部構造を有する管継手を使用して樹脂製波形管を接続する方法を例示した図
【符号の説明】
【0035】
10 管継手
12 角筒状部
14 管状部
18 板バネ
20 吸水膨張性布
22 凸条
40 樹脂製波形管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部に角筒状部が連接され、前記角筒状部は内部に樹脂製波形管端部を挿入して固定・接続する雌部であり、前記角筒状部の開口部側の内面に抜け止め部材が配設されており、前記管状部側の内周面に吸水膨張性布が貼着されており、前記吸水膨張性布の開口部側端部近傍に凸条が形成されていることを特徴とする樹脂製波形管の接続雌部構造。
【請求項2】
管状部に角筒状部が連接され、前記角筒状部は内部に樹脂製波形管端部を挿入して固定・接続する雌部であり、前記角筒状部の開口部側の内面に抜け止め部材が配設されており、前記管状部側の内周面に吸水膨張性布が貼着されており、前記吸水膨張性布の開口部側端部近傍に凹溝が形成されていることを特徴とする樹脂製波形管の接続雌部構造。
【請求項3】
さらに前記凹溝に隣接して凸条が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の樹脂製波形管の接続雌部構造。
【請求項4】
前記凸条の高さが前記吸水膨張性布の厚さ以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製波形管の接続雌部構造。
【請求項5】
前記抜け止め部材が、板バネである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂製波形管の接続雌部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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