説明

橋桁の架設および撤去方法と橋桁工事用装置

【課題】 狭い現場での作業時間を短縮し短時間で現場を明渡すことができる橋桁の架設および撤去方法と、その方法に用いる橋桁工事用装置を提供する。
【解決手段】 橋桁工事用装置1を用いて橋桁Gの架設工事を行う。まず運搬台車20によって架設桁10を支持しつつ、既施工区間Sから架設区間C上へ架設桁10の前方側を送り出し、下部筒部33Aを下降させてこの前方側を支持することにより、架設桁10を架け渡す。そして、架設桁10に取り付けた橋桁Gを桁送り台車12によって架設区間C上へ送り出し、架設桁10を下降させることによって橋脚天端Pに橋桁Gを設置する。架設終了後には、同じく運搬台車20によって架設桁10を支持しつつ架設区間Cから既施工区間Sへ架設桁10を撤退させる。一方、撤去工事は、基本的に上記架設工事の逆のプロセスを辿ることにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁の架設および撤去方法と橋桁工事用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場から輸送された橋桁を現場で設置する架設工法として、架設桁を利用した架設桁工法がある。架設桁工法は、道路、鉄道もしくは河川等をまたいで橋桁を架設するなど桁下空間の確保が難しくかつ送り出し工法も採用しにくい場合、もしくは桁下および現場周辺の作業スペースに制約があるためトラッククレーン工法も採用できない場合等、作業スペースに制約が多い場合に適用される工法である。
【0003】
この架設桁工法は、あらかじめ十分な強度を持つ架設桁を、橋桁を架設しようとする区間に架け渡した後、この架設桁を利用して区間上に橋桁を送り出すとともに橋脚もしくは橋台上に設置する工法である。
【0004】
また、既設の橋桁を撤去する撤去工法としては、架設桁による引戻し工法がある。架設桁による引戻し工法は、既設の橋桁が架けられている区間に架設桁を架け渡した後、この架設桁に既設の橋桁を吊り下げるとともに引戻して撤去する工法である。
【0005】
なお、架設桁工法の1つとして特許文献1に記載のものが知られている。
【特許文献1】特開平8−60620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような工法では、橋桁の設置および撤去作業に入る前に、あらかじめ橋桁を架設しようとする区間もしくは既設の橋桁が架けられている区間に架設桁を架設しておく必要があり、かつ、橋桁の設置および撤去作業が終了した後、架設桁を撤去する必要がある。ここで、架設桁の架設においては、この架設桁を支持するとともにその高さを調節するための架台等、架設桁に係る設備が必要であり、これら設備を橋脚の天端もしくは橋台背面の地表等に設けるなどの作業を伴う。したがって、架設桁の架設および撤去作業を短時間で行うことは非常に困難であり、一連の作業を終えるには長い時間を必要とする。さらに、幅が狭いうえに曲がっているような作業スペースしか確保できない現場においては、架設桁の軸線上に橋桁を取り付ける作業にもさまざまな調整を必要とするなど、より多くの時間を要することになる。また、架設桁は、架設桁自身の重量だけでなく、それに新設の橋桁もしくは既設の橋桁の重量を加えた重量を支えられる強度を有する必要があるから、その断面は大きくなることが多い。すると、このように狭い作業スペースしか確保できない場合、架設桁もしくは架設桁に係る設備が、近接する道路や鉄道の建築限界を侵してしまうことがある。このような場合、近接する道路や鉄道の交通規制を行った上で作業を行う、もしくは通行車両のない時間帯を見計らって作業を行うことになる。
【0007】
しかし、長時間にわたって交通規制を行うことは難しく、また通行車両のない時間帯となると非常に短い時間に限られてしまい対応できないという問題がある。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、狭い現場での作業時間を短縮し短時間で現場を明渡すことができる橋桁の架設および撤去方法と、その方法に用いる橋桁工事用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、橋桁部材を架設しようとする架設区間に設置した架設桁を利用して前記橋桁部材を前記架設区間に設置する橋桁の架設方法であって、新設用の前記橋桁部材を前記架設桁における長さ方向の一端側へ寄せて取り付ける取り付け工程と、前記架設桁を前記架設区間と隣接する隣接スペースへ搬入する搬入工程と、前記架設桁の重心が前記隣接スペース内に残るようにしつつ前記隣接スペースから前記架設区間上へ前記架設桁の他端側を送り出した後に、前記他端側から支持脚部を下降させてこの他端側を支持することにより前記架設桁を前記架設区間上に架け渡す架渡し工程と、前記架設桁に取り付けられた前記橋桁部材を前記架設桁に沿って前記架設区間上へ送り出す送り出し工程と、前記架設区間上に達した前記橋桁部材を前記架設区間内に設けられた桁座部上に据え付ける据付工程と、前記支持脚部を上昇させるとともに前記架設桁を前記架設区間上から前記隣接スペースへ撤退させる撤退工程と、を経るところに特徴を有する。ここで、隣接スペースとは、設置済みの橋桁部材上であってもよく、地表面であってもよい。また、取り付け工程は、搬入工程と架渡し工程との間で行っても構わない。
【0010】
請求項2の発明は、橋桁部材を撤去しようとする撤去区間に設置した架設桁を利用して前記橋桁部材を前記撤去区間から撤去する橋桁の撤去方法であって、前記架設桁を前記撤去区間と隣接する隣接スペースへ搬入する搬入工程と、前記架設桁の重心が前記隣接スペース内に残るようにしつつ前記隣接スペースから前記撤去区間上へ前記架設桁の他端側を送り出した後に、前記他端側から支持脚部を下降させてこの他端側を支持することにより前記架設桁を前記撤去区間上に架け渡す架渡し工程と、前記架設桁に前記橋桁部材を取り付ける取り付け工程と、前記架設桁に保持された前記橋桁部材を前記架設桁に沿ってこの架設桁の一端側へ送り込む送り込み工程と、前記支持脚部を上昇させるとともに前記架設桁を前記撤去区間上から前記隣接スペースへ撤退させる撤退工程と、を経るところに特徴を有する。ここで、隣接スペースとは、設置済みの橋桁部材上であってもよく、地表面であってもよい。
【0011】
請求項3の発明は、架設区間または撤去区間に設置した架設桁を利用してこの架設区間への橋桁部材の架設またはこの撤去区間からの橋桁部材の撤去を行う橋桁工事用装置であって、前記橋桁部材よりも長尺に形成された前記架設桁と、前記架設桁に設けられてこの架設桁に前記橋桁部材を保持する桁保持部と、前記架設桁に保持された前記橋桁部材を前記架設桁に沿って移動可能な桁送り部と、前記架設桁の両端に設けられてこの架設桁を水平状態に支持するとともに前記架設桁を上下に昇降可能なリフト部を備えた一対の支持柱部と、前記一対の支持柱部のうち一方に設けられるとともにこの支持柱部の下方から伸縮可能な支持脚部と、前記架設桁を取り付けた状態で前記架設桁を支持しつつこの架設桁をその長さ方向に沿って移動可能な移動機構と、を備えるところに特徴を有する。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記移動機構が、前記橋桁部材を取り付けた前記架設桁を載せて走行可能な搬送台車であるところに特徴を有する。
【0013】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4に記載のものにおいて、前記橋桁部材が鉄道橋の橋桁部材であって、前記移動機構がレール上を走行可能とされているところに特徴を有する。
【0014】
請求項6の発明は、請求項3〜請求項5のいずれかに記載のものにおいて、前記架設桁の長さが前記橋桁部材を架設または撤去すようとする前記架設区間または前記撤去区間の長さの2倍以上であるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0015】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、架設桁の設置において、架設桁を支持する架台等、架設桁に係る設備の設置を伴わないから、従来に比べ架設桁を設置する作業が短時間ですむ。また、橋桁部材を設置した後、架設桁をすみやかに搬送撤去できるから、従来のように架設桁およびそれに係る設備等を現場で組み上げたまま長期間留め置く必要がなく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0016】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、架設桁の設置において、架設桁を支持する架台等、架設桁に係る設備の設置を伴わないから、従来に比べ架設桁を設置する作業が短時間ですむ。さらに、橋桁部材を架設桁に取り付ける作業を行った後、この架設桁をすみやかに撤去区間から撤去できるから、従来のように架設桁およびそれに係る設備等を現場で組み上げたまま長期間留め置く必要がなく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0017】
<請求項3の発明>
請求項3に記載の装置によって架設工事を行う際には、まず移動機構によって架設桁を支持しつつ、隣接スペースから架設区間上へ架設桁の他端側を送り出し、支持脚部を下降させてこの他端側を支持することにより、架設桁を架け渡すことができる。そして、架設桁に保持させた橋桁部材を桁送り部によって架設区間上へ送り出し、架設桁を下降させることによって桁座部上に橋桁部材を設置することができる。架設終了後には、同じく移動機構によって架設桁を支持しつつ架設区間から隣接スペースへ架設桁を撤退させればよい。一方、撤去工事は、基本的に上記架設工事の逆のプロセスを辿ることによって行うことができる。
【0018】
このような装置によれば、架設桁を支持する架台等、架設桁に係る設備の設置を伴わないから、従来に比べ架設桁を設置する作業が短時間ですむ。また、架設桁およびそれに係る設備等を現場で組み上げたまま長期間留め置く必要がなく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0019】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、移動機構が、橋桁部材を取り付けた架設桁を載せて走行可能な搬送台車である。このような構成によれば、橋桁架設工事においては、橋桁部材をあらかじめ架設桁に取り付けてから現場に搬入することができる。また、橋桁撤去工事においては、橋桁部材を取り付けたまま架設桁を現場から搬出することができる。これにより、橋桁部材の架設桁への取り付けおよび取り外しを現場以外の場所で行うことができるから、現場での作業時間をその分短縮できる。また、現場にこの作業のためのスペースを確保する必要がない。
【0020】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、架設しようとする橋桁部材もしくは撤去しようとする橋桁部材が鉄道橋の橋桁部材である場合において移動機構がレール上を走行可能とされている。このような構造によれば、架設桁の設置の際、架設桁は正規の線形に沿って誘導されるから、特に現場が曲線を含む区間である場合など、その設置に対する管理が容易となる。また、この橋桁部材が鉄道橋のものであれば、撤去の際には既存のレールを利用することができ、架設の際においては、隣接スペースに敷設したレールを使用できるとともに、この架設工事のために敷設したレールを路線の供用開始後そのまま使用することができる。
【0021】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、架設桁の長さが橋桁部材を架設または撤去すようとする架設区間または撤去区間の長さの2倍以上である。このような構成によれば、架設桁の架渡し作業中において架設桁の重心が隣接スペース内に残る。したがって、格別な工夫をすることなく、架設桁の架渡し作業の途中で突出端が下方へ傾いてしまうことを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本実施形態の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設および撤去方法について図1〜図7によって説明する。
【0023】
まず橋桁工事用装置1について述べる。この橋桁工事用装置1は、架設区間Cまたは撤去区間Dに設置した架設桁10を利用して、この架設区間Cへの橋桁G(本発明の橋桁部材に該当する)の架設、または撤去区間Dからの橋桁Gの撤去を行うためのものである。
【0024】
以下、各構成部材において、図1における左側(架設時の未施工側)を前方、右側(同既施工側)を後方とし、また、図2の左側を左方、右側を右方として説明する。
【0025】
図1には、架設時において本実施形態の橋桁工事用装置1がその前方側を架設区間C上へ送り出された状態を表す側面図を示した。なお、ここに示した架設区間Cは、鉄道橋Bの橋桁Gが架設される区間であり、この架設区間Cに設置されている橋脚の天端P(本発明の桁座部に該当する)に新設の橋桁Gが設置される。この鉄道橋Bの架設においては、後方から順次橋桁Gの架設が行われ、架設区間Cの後方側は施工済みの既施工区間S(本発明の隣接スペースに該当する)であり、既施工区間Sの橋桁Gの上面にはレールRが敷かれている。
【0026】
この橋桁工事用装置1は、橋桁Gを吊り下げる架設桁10を備えている。架設桁10は鋼材により、橋桁Gを架設しようとする架設区間C(撤去の際には橋桁Gを撤去しようとする撤去区間D)の長さの2倍よりもやや長い角筒状とされている。架設桁10の前後両端には、その前後両端から上方に延出された連結部11A、11Bが備えられ、その連結部11A、11Bの上端は互いに背合わせ方向に折り曲げられた突出片19A、19Bとされている。また、この架設桁10の上面には、橋桁Gを吊り下げる桁送り台車12用のレールが備えられ、一方下面には、橋桁Gもしくは後述する運搬台車20(本発明の移動機構に該当する)上に載置可能なスライドベース21が設けられている。
【0027】
架設桁10の前後両端には、架設桁10を支持する支持柱部30A、30Bが設けられている。図2には、図1の状態における橋桁工事用装置1の正面図を、図3には、図1の状態における橋桁工事用装置1の背面図を示した。
【0028】
この支持柱部30A、30Bの上端は、架設桁10の連結部11A、11Bから突出された突出片19A、19Bの下面に連結されている。支持柱部30A、30Bは、架設桁10を上下に昇降可能なリフト装置31A、31B(本発明のリフト部に該当する)を備え、前後両支持柱部30A、30Bのうち前方側の前方支持柱部30Aにおいては、一対の前方用リフト装置31Aが左右に所定間隔をもって固定され、後方側の後方支持柱部30Bにおいては、計4本の後方用リフト装置31Bが前後左右に所定間隔をもって固定されている。両リフト装置31A、31Bは上部筒部32A、32Bと、この上部筒部32A、32Bを収容する下部筒部33A、33Bとを備え、筒内に収納された伸縮装置(図示せず)を伸縮作動させることにより、上部筒部32A、32Bおよび下部筒部33A、33Bを相対的に上下動させ得るようになっている。このリフト装置31A、31Bの昇降スピードを速めるには、伸縮装置として油圧シリンダを用いるとよい。なお、前方用リフト装置31Aは、架設桁10の上面において後方に設けられた前方用伸縮制御機器34Aにより伸縮装置の作動を制御され、後方用リフト装置31Bは、架設桁10の後方において台車35の上に載せられた後方用伸縮制御機器34Bにより伸縮装置の作動を制御されている。
【0029】
そして、前後両リフト装置31A、31Bの下部筒部33A、33Bが上動されると、その下端部が地表等から離れ、前後両支持柱部30A、30Bは架設桁10を後述の運搬台車20によって支持した状態でこの架設桁10とともに搬送可能な状態となる。このとき、前方用リフト装置31Aは、図1に示すように、下部筒部33A内に上部筒部32Aがすっぽり収納されるようになっている。また、前後両リフト装置31A、31Bの下部筒部33A、33Bが下動され、その下端が地表等に達したところで上下動不能に固定されると、架設桁10を前後両支持柱部30A、30Bによって支持可能な状態となる。ここで、橋脚天端Pは既施工区間Sの地表面よりほぼ橋桁Gの高さ分だけ低いため、前方用リフト装置31Aの下部筒部33Aは、十分な長さを備えて架設区間Cの橋脚天端Pまで下降可能とされており、架設桁10の前端を橋脚天端P上に支持する支持脚部を兼ねている。
【0030】
架設区間Cに架設される新設の橋桁Gは、その前後両端から所定の間隔だけ中心側へ入った位置の2箇所において架設桁10に吊り下げられている。図4には、図1のA−A断面図を示した。
【0031】
架設桁10上には、桁送り台車12(本発明の桁送り部に該当する)が、前後に一対配されている(図1を併せて参照)。この桁送り台車12は、架設桁10の上面に設けられた桁送り台車12用のレールに沿って走行するようになっている。
【0032】
桁送り台車12の上部には桁吊り部13が備えられている。この桁吊り部13は、架設桁10の左右幅よりもやや左右両外側に張り出した厚板状をなし、その両端からは橋桁Gを吊り下げるPC鋼棒14が下げられている。各PC鋼棒14は、橋桁Gの上面において前後2ヶ所の吊り下げ位置に設けられた定着具(図示せず)に固定されている。定着具は、吊り下げ位置1箇所につき左右一対ずつ設けられている。この桁吊り部13、PC鋼棒14、定着具が本発明の桁保持部を構成している。
【0033】
架設桁10の上面における前方には台車停止位置15がマークされ、桁吊り部13を載せた前後2台の桁送り台車12のうち前方の桁送り台車12がこの台車停止位置15で停止されると、橋桁Gが所定位置まで送り出された状態となる(図6を併せて参照)。
【0034】
なお、前方の桁送り台車12のやや後方には桁送り台車12を動かすための発電機16が備えられている。この発電機16の側方には安全柵で囲まれた足場17が設置され、この足場17には梯子18が備えられている。
【0035】
また、橋桁Gおよび架設桁10の下方には、これらを載せて搬送するための運搬台車20が、前後に2台配されている(図1を併せて参照)。2台の運搬台車20は所定間隔を保ち、既施工区間Sに敷かれたレールR上を走行可能とされている。前方の運搬台車20は、架設桁10の前端から架設区間Cの長さ分より後方の位置、つまり、架設区間C上に架設桁10の前方を突出させたとき、既施工区間Sの前端に位置するように配置されている。一方、後方の運搬台車20は、架設桁10もしくは橋桁Gおよび架設桁10を載せたとき、前後に架設桁10のバランスをとって支持可能となるように、前方の運搬台車20から所定の間隔を空けて配されている。
【0036】
運搬台車20には、橋桁Gおよび架設桁10を載せる桁載せ部22が備えられている。この桁載せ部22は、上方から見ると長辺側が橋桁Gおよび架設桁10の左右幅よりもやや幅広の断面長方形の板状をなしている(図4参照)。この桁載せ部22の左右両端にはレバーブロック23が備えられている。このレバーブロック23のチェーン23Aは、桁載せ部22上に橋桁Gおよび架設桁10が載る際、架設桁10の下面に設けられた後述するスライドベース21のワイヤ24に繋がれるようになっている。そして、レバーブロック23のレバー23Bを下動させると、桁載せ部22が上方に引っ張られる向きにチェーン23Aが巻かれ、橋桁Gはスライドベース21と桁載せ部22とにより挟まれてその位置ずれが防止されるようになっている。なお、運搬台車20の両側縁には、運搬台車20との接続部を支点として板面が水平方向となる水平位置と板面が垂直方向となる垂直位置との間で回動可能な安全足場25が連結されている。
【0037】
運搬台車20と対になって橋桁Gの位置ずれを防止するスライドベース21は、架設桁10の下面において、2台の運搬台車20にそれぞれ対応するように前後2ヶ所に配されている。このスライドベース21の下部には、図4に示すように、運搬台車20の桁載せ部22の上面と対向するベース部26が備えられ、このベース部26は、橋桁Gの左右幅よりもやや幅広の断面長方形の板状をなしている。ベース部26の左右幅方向における両端には、運搬台車20におけるレバーブロック23のチェーン23Aと連結されるワイヤ24が吊り下げられている。このスライドベース21には左右方向に伸縮可能なスライドベース用ジャッキ21Aが備えられており、架設桁10を前後方向に対し左右に向きを調整することができる。スライドベース21は、橋桁Gが橋脚天端Pに降ろされた際、桁送り台車12からチェーンブロック21Bにより吊り下げられた状態となる。そして、桁送り台車12が前後に移動することによりスライドベース21も移動するようになっている。なお、ベース部26の上面には安全防護柵27が設けられている。
【0038】
なお、架設桁10の後方の台車35には、後方用伸縮制御機器34Bとともに運搬台車20用の油圧ユニット28および発電機29が載せられている。
【0039】
次に、前述の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設方法について述べる。
この架設方法は、新設用の橋桁Gを架設桁10に取り付ける取り付け工程、架設桁10を架設区間Cと隣接する既施工区間Sへ搬入する搬入工程、架設桁10を架設区間C上に架け渡す架渡し工程、架設桁10に取り付けられた橋桁Gを架設区間C上へ送り出す送り出し工程、橋桁Gを架設区間C内に設けられた橋脚天端Pに据え付ける据付工程、架設桁10を架設区間C上から既施工区間Sへ撤退させる撤退工程とを経ることにより、橋桁Gを架設区間Cに設置する橋桁の架設方法である。
【0040】
以下、この工程を順を追って説明する。
(1)橋桁Gの取り付け工程
施工ヤードにおいて橋桁Gの架設桁10への取り付けを行う。施工ヤードには、既施工区間Sに敷設された線路から分岐する引き込み線が敷設されている。まず、この引込み線のレールR上に橋桁工事用装置1を設置する。そして、レールR上面と架設桁10下面との上下方向の間隔が、スライドベース21と橋桁Gと運搬台車20とを併せた高さとほぼ等しくなるよう前後両支持柱部30A、30Bの高さを調節するとともに前後両リフト装置31A、31Bを上下動不能に固定する。その後、運搬台車20およびスライドベース21を所定の位置に配置するとともに、この運搬台車20とスライドベース21との間に橋桁Gを設置する。ここで、スライドベース21は運搬台車20の上下軸線上に、また、桁送り台車12は、橋桁Gの定着具に対応する位置に配置する。そして、桁送り台車12の桁吊り部13と橋桁Gの定着具とをPC鋼棒14によって連結すると、橋桁Gは運搬台車20とスライドベース21との間に挟まれた状態で、架設桁10の後方側(一端側)にて取り付けられる。そして、前後両支持柱部30A、30Bの上部筒部32A、32Bを降下させることにより架設桁10をわずかに降下させ、橋桁Gを運搬台車20とスライドベース21との間でしっかりと挟み付け固定した状態にする。そして、前後両支持柱部30A、30Bの下部筒部33A、33Bを上動させ架設桁10の両端に吊り下げるようにすると、橋桁Gと架設桁10とが運搬台車20で支持された状態になる。
【0041】
(2)架設桁10の搬入工程
次に、この橋桁Gおよび架設桁10を架設区間C後方の既施工区間Sに搬入する。
橋桁Gおよび架設桁10を載せた運搬台車20をレールRに沿って走行させ、この橋桁Gおよび架設桁10が架設区間C後方の既施工区間S上に至るまで前進させる。
【0042】
(3)架設桁10の架渡し工程
次に、この架設桁10を架設区間C上に架け渡す(図1参照)。
まず、既施工区間S上にある架設桁10を、その前方側(架設桁10の他端側)から架設区間C上に突出していくように前進させる。この際、あらかじめ架設区間C前方側の橋脚天端Pにおいて橋桁設置位置より前側に、支持ベース36を設置しておく。そして、運搬台車20を前進させ、図1に示すように、架設桁10の前端に備えられた下部筒部33Aの下端面が支持ベース36と対向する位置に達したところで、運搬台車20を停止させる。架設桁10の左右のズレは、スライドベース21のスライドベース用ジャッキ21Aを使用し、位置をあわせる。このとき、前方の運搬台車20は既施工区間Sにおける前端に位置している。ここで、架設桁10の長さが架設区間Cの長さの2倍以上とされているから、架設桁10の重心は既施工区間S内に残り、そのため架設区間C上の突出端が下方へ傾かないようになっている。
【0043】
次に、前方支持柱部30Aの下部筒部33Aを、その下端面が橋脚天端Pの支持ベース36に当接するまで下動させ、その後前方用リフト装置31Aを上下動不能に固定する。ここで、この橋脚天端Pと後方支持柱部30Bの設置される既施工区間Sの上面との間には、ほぼ橋桁Gの高さ分の高低差がある。しかし、十分な長さの下部筒部33Aを下動させるだけでこの高低差に対応できるようになっている。したがって、例えば縦断勾配の厳しい現場においても、十分な長さの下部筒部33Aを用いることにより同じように対応できる。
【0044】
そして、後方用リフト装置31Bの下部筒部33Bも下方へ降下させ、その下端面が地表のレールR上に当接したところで上下動不能に固定する。こうして、前後両支持柱部30A、30Bは、架設区間C前方の橋脚天端Pおよび後方の既施工区間S上にそれぞれ設置され、架設区間Cに架け渡された架設桁10はこの両端で支持される状態になる。
【0045】
(4)橋桁Gの送り出し工程
次に、架設桁10において後方側に取り付けられた橋桁Gを前方に送り出す。
図5には、送り出し工程の様子を示す側面図を示した。
【0046】
まず、スライドベース21と運搬台車20とを連結しているレバーブロック23を緩め、橋桁Gの位置ずれ防止を解除する。そして、桁送り台車12を架設桁10上のレールRに沿って前進させると、桁送り台車12の桁吊り部13からPC鋼棒14によって吊り下げられた橋桁Gも、この桁送り台車12に伴って前方に移動する。この橋桁Gの送り出しの際、図5に示すように、運搬台車20は既施工区間Sに留め置かれ、橋桁Gおよび橋桁Gの上に載ったスライドベース21は、桁送り台車12に吊り下げられた状態で架設区間C上に送り出される。
【0047】
そして、前方の桁送り台車12が架設桁10の上面にマークされた台車停止位置15に達したところで、桁送り台車12を停止させる。これにより、架設桁10に吊り下げられた橋桁Gは、架設区間C上において橋桁Gの設置位置に対応した位置に吊り下げられた状態となる。
【0048】
(5)橋桁Gの据付工程
次に、この橋桁Gを架設区間C内の橋桁天端Pに据え付ける。
図6には、据付工程の様子を示す側面図を示した。
【0049】
まず、前後両支持柱部30A、30Bにおいて上部筒部32A、32Bを下降させることにより架設桁10を降下させる。そして、架設桁10に吊り下げられた橋桁Gが、橋脚天端Pに達したところで両リフト装置31A、31Bを上下動不能に固定する。このように、本発明のようにリフト装置31A、31Bを備えた支持柱部30A、30Bを縮めることにより架設桁10を降下させる方法によれば、従来のように上部で固定された架設桁からジャッキ等を用いて橋桁Gを降下させる方法と比べ、架設桁10の上面においてジャッキの設置スペースを確保する必要がなく、また、架設桁10に作用する荷重が増大することがない。さらに、リフト装置31A、31Bの昇降スピードはジャッキの降下スピードに比べ速いから、橋桁Gの据え付け作業を短時間で行うことができる。
【0050】
そして、図6に示すように、橋桁Gが所定の位置にセットされたら、橋桁Gを吊り下げていたPC鋼棒14を外し橋脚天端Pに設置する。
【0051】
(6)架設桁10の撤退工程
次に、橋桁Gを降ろした架設桁10を既施工区間Sに撤退させる。
図7には、撤退工程の様子を示す側面図を示した。
【0052】
まず、前後両リフト装置31A、31Bにおいて上部筒部32A、32Bを上昇させることにより、架設桁10を上昇させる。架設桁10の上昇に伴い、橋桁Gの上面に載っていたスライドベース21が、チェーンブロック21Bによって桁送り台車12から吊り下げられた状態になる。このスライドベース21の下面が既施工区間Sに留め置かれている運搬台車20の上面の高さよりもやや上方に達したところで、前後両リフト装置31A、31Bを上下動不能に固定する。そして、桁送り台車12を後方に移動させると、これに伴ってスライドベース21も後方に移動する。スライドベース21が運搬台車20上に至ったところで桁送り台車12を停止させる。そして、前後両リフト装置31A、31Bにおいて上部筒部32A、32Bを下降させることにより架設桁10を降下させ、スライドベース21を運搬台車20上に載せた状態にする。こうして、架設桁10を運搬台車20で支持可能な状態にした後、前後両リフト装置31A、31Bの下部筒部33A、33Bをその下端がレールR上から浮く位置まで上動させる。すると、架設桁10は前後2台の運搬台車20において支持された状態になる。この後、この運搬台車20をレールRにそって後進させることにより、架設桁10を既施工区間S上へ撤去させ、さらに施工ヤードまで搬送する。
【0053】
次に、前述の橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの撤去方法について述べる。
この橋桁の撤去方法は、基本的に前述した架設方法の逆のプロセスを辿ることになる。
【0054】
この撤去方法は、架設桁10を撤去区間Dの後方へ搬入する搬入工程、架設桁10を撤去区間D上に架け渡す架渡し工程、架設桁10に既設の橋桁Gを取り付ける取り付け工程、架設桁10に取り付けられた橋桁Gを撤去区間D後方へ送り込む送り込み工程、架設桁10を撤去区間D上からその後方へ撤退させる撤退工程とを経ることにより、橋桁Gの撤去をおこなう橋桁の撤去方法である。
【0055】
以下、この工程を順を追って説明する。なお、架設方法の説明に用いた図面を使って説明し、架設方法と重複する部分については説明を省略する。
(1)架設桁10の搬入工程
まず、施工ヤードにおいてレールR上に橋桁工事用装置1を設置する。そして、レールR上面と架設桁10下面との上下方向の間隔が、スライドベース21と運搬台車20とを併せた高さとなるよう前後両支持柱部30A、30Bの高さを調節するとともに両リフト装置31A、31Bを上下動不能に固定する。その後、スライドベース21を運搬台車20の上下軸線上に配置し運搬台車20上に載置し得る状態にセットする。そして、前後両支持柱部30A、30Bの下部筒部33A、33Bを上動させると、図7に示すのと同様に、架設桁10が運搬台車20に載せられた状態になるとともに、この運搬台車20により架設桁10が支持された状態になる。そして、架設桁10を載せた運搬台車20をレールRに沿って走行させ、この架設桁10が撤去区間D後方に至るまで前進させる。
【0056】
(2)架設桁10の架渡し工程
次に、この架設桁10を撤去区間D上に架け渡す。
上記した架設の場合と同様に、撤去区間D後方にある架設桁10を、その前方側(他端側)から撤去区間D上に突出していくように前進させ、前方用リフト装置31Aの下部筒部33Aを橋脚天端Pの支持ベース36に、後方用リフト装置31Bの下部筒部33BをレールR上に降ろして固定する。これにより、前後両支持柱部30A、30Bは、撤去区間D前方の橋脚天端Pおよび撤去区間D後方にそれぞれ設置され、撤去区間Dに架け渡された架設桁10はこの両端で支持される状態になる。
【0057】
(3)撤去する橋桁Gの取り付け工程
次に、この架設桁10に撤去する橋桁Gを取り付ける。
まず、桁送り台車12とスライドベース21とを所定の位置に配置し、前後両支持柱部30A、30Bの上部筒部32A、32Bを下降させることにより架設桁10を降下させる。そして、架設桁10が、橋桁Gの吊り下げ作業が可能な高さに達したところで前後両リフト装置31A、31Bを上下動不能に固定する(図6参照)。そして、橋桁Gの吊り下げ位置に配置された桁送り台車12と橋桁GとをPC鋼棒14等により連結させる。このとき、スライドベース21は橋桁G上に載った状態となる。
【0058】
(4)撤去する橋桁Gの送り込み工程
次に、架設桁10において前方側に取り付けられた橋桁Gを後方側に送り込む。
まず、前後両リフト装置31A、31Bの上部筒部32A、32Bを上動することにより、橋桁Gを取り付けた架設桁10を上昇させる。そして、橋桁Gの下面が撤去区間D後方に留め置かれている運搬台車20の上面の高さとほぼ同じ高さに達したところで、前後両リフト装置31A、31Bを上下動不能に固定する(図5参照)。そして、桁送り台車12を後方に移動させると、これに伴ってスライドベース21を載せた橋桁Gも後方に移動する。そして、このスライドベース21が運搬台車20と上下軸線上に至ったところで桁送り台車12を停止させる。
【0059】
(5)架設桁10の撤退工程
次に、この架設桁10および橋桁Gを撤去区間D後方に撤去する。
まず、前後両支持柱部30A、30Bの上部筒部32A、32Bを下降することにより架設桁10を降下させ、橋桁Gを運搬台車20上に押し付けた状態にする。そして、前後両リフト装置31A、31Bの下部筒部33A、33Bを上動させると、架設桁10および橋桁Gは前後2台の運搬台車20において支持された状態になる。この運搬台車20をレールRにそって後進させることにより、架設桁10を撤去区間D後方へ撤去させる(図1参照)。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る橋桁工事用装置1を用いて橋桁Gの架設工事を行えば、まず運搬台車20によって架設桁10を支持しつつ、既施工区間Sから架設区間C上へ架設桁10の前方側を送り出し、下部筒部33Aを下降させてこの前方側を支持することにより、架設桁10を架け渡すことができる。そして、架設桁10に取り付けた橋桁Gを桁送り台車12によって架設区間C上へ送り出し、架設桁10を下降させることによって橋脚天端Pに橋桁Gを設置することができる。架設終了後には、同じく運搬台車20によって架設桁10を支持しつつ架設区間Cから既施工区間Sへ架設桁10を撤退させればよい。一方、撤去工事は、基本的に上記架設工事の逆のプロセスを辿ることによって行うことができる。このような方法によれば、架設桁を支持する架台等、架設桁に係る設備の設置を伴わないから、従来に比べ架設桁を設置する作業が短時間ですむ。また、架設桁およびそれに係る設備等を現場で組み上げたまま長期間留め置く必要がなく、短時間で現場を明渡すことができる。
【0061】
また、運搬台車20は、橋桁Gを取り付けた架設桁10を載せて走行可能とされている。これにより、橋桁架設工事においては、橋桁Gをあらかじめ架設桁10に取り付けてから現場に搬入することができる。また、橋桁撤去工事においては、橋桁Gを取り付けたまま架設桁10を現場から搬出することができる。これにより、橋桁Gの架設桁10への取り付けおよび取り外しを現場以外の場所で行うことができるから、現場での作業時間をその分短縮できる。また、現場にこの作業のためのスペースを確保する必要がない。
【0062】
さらに、運搬台車20がレールR上を走行可能とされている。これにより、架設桁10の設置の際、架設桁10は正規の線形に沿って誘導される。また、撤去の際には既存のレールRを利用することができ、架設の際においては、既施工区間Sに敷設したレールRを使用できるとともに、この架設工事のために敷設したレールRを路線の供用開始後そのまま使用することも可能である。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0064】
(1)本実施形態の架設方法では、橋桁Gを取り付けてから架設区間C後方の既施工区間Sに搬入したが、これに限らず、架設桁10を既施工区間Sに搬入した後、その既施工区間Sにおいて橋桁Gの取付を行ってもよい。
【0065】
(2)本実施形態では、多径間の橋桁Gを順番に架設および撤去する方法において、前方の下部筒部33Aを未架設区間側もしくは既撤去区間側の橋脚天端Pに設置したが、これに限らず、1径間のみの橋桁の架設および撤去において前方の下部筒部を架設区間もしくは撤去区間より前方の地表上に設置してもよい。
【0066】
(3)本実施形態では、前方用リフト装置31Aの下部筒部33Aは架設桁10の前端を橋脚天端P上に支持する支持脚部を兼ねているが、これに限らず、前後両リフト装置の下部筒部が支持脚部を兼ねる構造としてもよい。
【0067】
(4)本実施形態では、運搬台車20がレールR上を走行可能とされているが、これに限らず、レールのない路面を移動するものであってもよい。
【0068】
(5)本実施形態では、架設桁10は橋桁Gを架設しようとする架設区間Cもしくは橋桁Gを撤去しようとする撤去区間Dの長さの2倍よりもやや長い形状とされているが、これに限らず、既施工区間Sもしくは撤去区間D後方に重心が残るようにされればよく、例えば架設桁の後方に重り部材を取り付ける構造としてもよい。
【0069】
(6)本実施形態では、橋桁Gの架設および撤去方法についてそれぞれ説明したが、架設方法および撤去方法を併用することにより橋桁の架け替えにも対応できる。
【0070】
(7)本実施形態においては、橋桁Gの位置ずれ防止のためにスライドベース21を用いているが、これに限らず、例えばスライドベース21の替わりに運搬台車の左右両端に橋桁の側面と対向する支持壁部を設け、この支持壁部にて橋桁Gの位置ずれを防止するとともに支持壁部の上面にて架設桁を支持するようにしてもよい。
【0071】
(8)本実施形態では、リフト装置31A、31Bは上部筒部と下部筒部内に伸縮装置を設ける仕組みとされているが、これに限らず、伸縮装置が剥き出しにされたものであってもよい。
【0072】
(9)本実施形態では、搬送時に前方支持柱部30Aおよび後方支持柱部30BをレールRから浮かせた状態で搬送したが、これに限らず、例えば前後両支持柱部の下端に車を設けレール上を走行させるようにしてもよい。
【0073】
(10)本実施形態に係る橋桁工事用装置1を用いた橋桁Gの架設および撤去においては、鋼製桁、RC桁、PC桁等さまざまな橋桁の架設および撤去に対応できる。
【0074】
(11)本実施形態では、各径間毎に1本ずつの橋桁Gを架設もしくは撤去する方法について説明したが、これに限らず、各径間毎に複数本の橋桁を並べて架設する、もしくは複数本並んだ既設の橋桁を撤去する場合にも適用できる。
【0075】
(12)本実施形態での上下動は、リフト装置31A、31Bによるとしたが、桁送り台車12の桁吊り部13とPC鋼棒14とをジャッキ等で伸縮させる装置を追加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】架設時において本実施形態の橋桁工事用装置がその前方側を架設区間上へ送り出された状態を表す側面図
【図2】図1の状態における橋桁工事用装置の正面図
【図3】図1の状態における橋桁工事用装置の背面図
【図4】図1のA−A断面図
【図5】送り出し工程の様子を示す側面図
【図6】据付工程の様子を示す側面図
【図7】撤退工程の様子を示す側面図
【符号の説明】
【0077】
B…鉄道橋
C…架設区間
D…撤去区間
G…橋桁(橋桁部材)
P…橋脚天端(桁座部)
R…レール
S…既施工区間(隣接スペース)
1…橋桁工事用装置
10…架設桁
12…桁送り台車(桁送り部)
13…桁吊り部(桁保持部)
14…PC鋼棒(桁保持部)
20…運搬台車(移動機構)
30A、30B…支持柱部
31A、31B…リフト装置(リフト部)
33A…下部筒部(支持脚部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋桁部材を架設しようとする架設区間に設置した架設桁を利用して前記橋桁部材を前記架設区間に設置する橋桁の架設方法であって、
新設用の前記橋桁部材を前記架設桁における長さ方向の一端側へ寄せて取り付ける取り付け工程と、
前記架設桁を前記架設区間と隣接する隣接スペースへ搬入する搬入工程と、
前記架設桁の重心が前記隣接スペース内に残るようにしつつ前記隣接スペースから前記架設区間上へ前記架設桁の他端側を送り出した後に、前記他端側から支持脚部を下降させてこの他端側を支持することにより前記架設桁を前記架設区間上に架け渡す架渡し工程と、
前記架設桁に取り付けられた前記橋桁部材を前記架設桁に沿って前記架設区間上へ送り出す送り出し工程と、
前記架設区間上に達した前記橋桁部材を前記架設区間内に設けられた桁座部上に据え付ける据付工程と、
前記支持脚部を上昇させるとともに前記架設桁を前記架設区間上から前記隣接スペースへ撤退させる撤退工程と、を経ることを特徴とする橋桁の架設方法。
【請求項2】
橋桁部材を撤去しようとする撤去区間に設置した架設桁を利用して前記橋桁部材を前記撤去区間から撤去する橋桁の撤去方法であって、
前記架設桁を前記撤去区間と隣接する隣接スペースへ搬入する搬入工程と、
前記架設桁の重心が前記隣接スペース内に残るようにしつつ前記隣接スペースから前記撤去区間上へ前記架設桁の他端側を送り出した後に、前記他端側から支持脚部を下降させてこの他端側を支持することにより前記架設桁を前記撤去区間上に架け渡す架渡し工程と、
前記架設桁に前記橋桁部材を取り付ける取り付け工程と、
前記架設桁に保持された前記橋桁部材を前記架設桁に沿ってこの架設桁の一端側へ送り込む送り込み工程と、
前記支持脚部を上昇させるとともに前記架設桁を前記撤去区間上から前記隣接スペースへ撤退させる撤退工程と、を経ることを特徴とする橋桁の撤去方法。
【請求項3】
架設区間または撤去区間に設置した架設桁を利用してこの架設区間への橋桁部材の架設またはこの撤去区間からの橋桁部材の撤去を行う橋桁工事用装置であって、
前記橋桁部材よりも長尺に形成された前記架設桁と、
前記架設桁に設けられてこの架設桁に前記橋桁部材を保持する桁保持部と、
前記架設桁に保持された前記橋桁部材を前記架設桁に沿って移動可能な桁送り部と、
前記架設桁の両端に設けられてこの架設桁を水平状態に支持するとともに前記架設桁を上下に昇降可能なリフト部を備えた一対の支持柱部と、
前記一対の支持柱部のうち一方に設けられるとともにこの支持柱部の下方から伸縮可能な支持脚部と、
前記架設桁を取り付けた状態で前記架設桁を支持しつつこの架設桁をその長さ方向に沿って移動可能な移動機構と、を備えることを特徴とする橋桁工事用装置。
【請求項4】
前記移動機構が、前記橋桁部材を取り付けた前記架設桁を載せて走行可能な搬送台車であることを特徴とする請求項3に記載の橋桁工事用装置。
【請求項5】
前記橋桁部材が鉄道橋の橋桁部材であって、前記移動機構がレール上を走行可能とされていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の橋桁工事用装置。
【請求項6】
前記架設桁の長さが前記橋桁部材を架設または撤去すようとする前記架設区間または前記撤去区間の長さの2倍以上であることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の橋桁工事用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−214209(P2006−214209A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29412(P2005−29412)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(592178598)株式会社野田自動車工業所 (4)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】