説明

橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法

【課題】橋梁の張出し方向における橋脚下方の限られた作業スペースを利用して過大な設備コストを要することなく、安全且つ短時間で橋梁移動作業装置の組立て及び解体作業を行うことができるようにすること。
【解決手段】橋脚5の柱頭部7上面に移動作業車21を設置する第1工程と、移動作業車21に吊持ちされる吊り床構造体31の全部又は一部を橋脚5に沿わせた縦姿勢で組み立てる第2工程と、柱頭部7における固定位置から下げられる第1吊り材17及び移動作業車21から下げられる第2吊り材23とによって吊り床構造体31を吊り上げる第3工程とを有し、前記第3工程は、第1吊り材17と第2吊り材23の繰出し長さと、移動作業車21の移動量とを調節することによって前記縦姿勢の吊り床構造体31を回動させて横姿勢にし、柱頭部7下方の所定の位置まで吊り床構造体31を吊り上げる回動吊上げ工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の張出し架設工事において使用される移動作業車(ワーゲン)と、前記移動作業車によって懸垂支持される吊り床構造体とを備える橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法に係り、特に橋梁の張出し方向の橋脚下方に十分な作業スペースが確保できない場合に好適な橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体工法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁の張出し架設工事において使用される橋梁移動作業装置の組立ては、通常、最初に施工される橋脚の柱頭部で行われる。
前記橋梁移動作業装置は、橋梁の橋桁の上で全体の荷重を支えながら橋梁の張出し方向に移動できるトラス構造の移動作業車と、前記移動作業車によって懸垂支持される吊り支保工と、同じく前記移動作業車によって懸垂支持される吊り床構造体とを備えることによって構成されている。
【0003】
また、橋梁の張出し方向の橋脚の下方に十分な広さの平らな作業スペースがある場合には、前記吊り床構造体は当該作業スペースで組み立てられ、前記橋脚の柱頭部に設置される移動作業車から吊り下げられるチェーンブロック等の吊り材によって橋桁下部の所定の設置位置まで引き上げられてその位置に保持される。
また、前記橋梁移動作業装置を解体する場合には、橋桁の施工の終了後、前記と逆の手順で橋梁移動作業装置の解体作業が実行される。
【0004】
一方、橋梁の張出し方向の橋脚の下方に傾斜した法面、道路あるいは棧橋等が位置しており、所望の作業スペースが確保できない場合には、空中で前記吊り床構造体を組み立てることになる。
この場合、組み立てる吊り床構造体の下部に橋脚に沿って昇降足場を設置したり、昇降足場が設置できない場合には、高所作業車を使用することになる。更に、転落防止用の安全ネットを張り、親綱や安全帯等を装着して作業に当たることになる。
【0005】
また、前記空中での吊り床構造体の組立てに際し、施工現場の下方に道路が通っている場合には、道路防護工を設置したり、道路の切り回しによって迂回路を形成したり、通行止め等によって当該道路を走行する車両の安全性を確保しなければならない。
【0006】
この他、橋梁の張出し方向の橋脚の下方に十分な大きさの作業スペースが確保できない場合に橋脚の幅方向の左右のスペースを利用し、吊り床構造体を分割して組み立て、その後空中に吊り上げて左右の吊り床構造体を接合して一体化するという下記の特許文献1に示すような移動吊支保工の組立て方法が一部では実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−303666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、橋梁の張出し方向の橋脚の下方に十分な広さの平らな作業スペースがない場合において、空中で吊り床構造体を組み立てることは安全性の点で問題がある。この場合、昇降足場の設置や転落防止用の安全ネットの張設、道路の切り回しや通行止め等によって安全性を確保したとしても、吊り床構造体の組立て後、これらを撤去しなければならず工期の長大化につながる。従って、長時間の吊り床構造体の組立て工事は、交通渋滞を招く等、交通の利便性を著しく損なわせることとなってしまう。
【0009】
一方、前記特許文献1に開示されている橋脚の幅方向の左右スペースを利用した分割組立てによる方法で吊り床構造体を組み立てれば、前記空中組立てによる工法の問題点を解決できる場合もある。
しかし、前記特許文献1に開示されている分割組立てによる方法は、橋脚の幅方向の左右に作業スペースがない場合には実施できない。また、分割したものを別々に吊り上げ、空中で接合して一体化させるためには構造的にも大規模な設備が必要であり、当該設備の設置に伴なう経済的負担は過大なものとなってしまう。
【0010】
本発明の課題は、橋梁の張出し方向における橋脚下方の限られた作業スペースを利用して過大な設備コストを要することなく、安全且つ短時間で橋梁移動作業装置の組立て及び解体作業を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明の第1の態様に係る橋梁移動作業装置の組立て方法は、橋脚の柱頭部上面に移動作業車を設置する第1工程と、前記移動作業車に吊持ちされる吊り床構造体の全部又は一部を前記橋脚に沿わせた縦姿勢で組み立てる第2工程と、前記柱頭部における固定位置から下げられる第1吊り材及び前記移動作業車から下げられる第2吊り材とによって前記吊り床構造体を吊り上げる第3工程とを有し、前記第3工程は、前記第1吊り材と第2吊り材の繰出し長さと、前記移動作業車の移動量とを調節することによって前記縦姿勢の吊り床構造体を回動させて横姿勢にし、前記柱頭部下方の所定の位置まで該吊り床構造体を吊り上げる回動吊上げ工程を含むことを特徴とするものである。
【0012】
本態様によれば、移動作業車に吊持ちされる吊り床構造体を橋脚に沿わせた縦姿勢で組み立て、更に第1吊り材と第2吊り材の繰出し長さと、前記移動作業車の移動量とを調節することによって前記縦姿勢の吊り床構造体を回動させて横姿勢にし、前記柱頭部下方の所定の位置まで該吊り床構造体を吊り上げる。従って、橋梁の張出し方向の橋脚の下部に吊り床構造体を組立てるのに十分な作業スペースがない場合であっても既存の設備を使用して安全に、短時間で吊り床構造体を組み立てることが可能になる。特に、吊り床構造体の組立て作業中、作業者が組立て途中の吊り床構造体上に乗ることがないから安全性が高く、組立て途中の吊り床構造体の下方には道路等が走っていないから道路の切り回しや通行止め等の交通規制が不要となり交通の利便性を向上させる。
【0013】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様の橋梁移動作業装置の組立て方法において、前記回動吊上げ工程は、前記吊り床構造体を前記縦姿勢で所定に高さまで吊上げた後、回動させて前記横姿勢に移行することを特徴とするものである。
【0014】
本態様によれば、吊り床構造体を回動させて縦姿勢から横姿勢に移行するのは、該吊り床構造体がある程度の高さまで吊上げられてからである。従って、橋梁の張出し方向における橋脚下方の作業スペースが極めて狭くて、縦姿勢の吊り床構造体を吊上げると同時に回動すると周囲の物と干渉してしまう場合でも、そのような干渉の問題なく組み立てることができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様又は第2の態様の橋梁移動作業装置の組立て方法において、前記縦姿勢の吊り床構造体における下端側を、前記移動作業車の移動方向における前方に対して後方側に引き上げるように回動させて前記横姿勢に移行することを特徴とするものである。
【0016】
本態様によれば、縦姿勢の吊り床構造体における下端側を、前記移動作業車の移動方向における前方に対して後方側に引き上げるように回動させて前記横姿勢に移行するので、橋脚前方に位置する法面や道路等と吊り床構造体との干渉が防止される。
【0017】
本発明の第4の態様に係る橋梁移動作業装置の解体方法は、吊り床構造体が橋脚の柱頭部上面にある移動作業車に吊持ちされている状態から前記柱頭部における固定位置から下げられる第1吊り材及び前記移動作業車から下げられる第2吊り材とによって吊り持ちされる状態に移行する解体第1工程と、前記第1吊り材及び第2吊り材によって前記吊り床構造体を吊り降ろす解体第2工程とを有し、前記解体第2工程は、前記第1吊り材と第2吊り材の繰出し長さと、前記移動作業車の移動量とを調節することによって前記横姿勢の吊り床構造体を回動させて縦姿勢にし、前記橋脚下部の所定の位置まで該吊り床構造体を降ろす回動吊降ろし工程を含むことを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、前記吊り床構造体を横姿勢から縦姿勢に移行することで、橋梁の張出し方向の橋脚の下部に吊り床構造体を解体するのに十分な作業スペースがない場合であっても、橋脚近くの狭いスペースを利用して安全に、短時間で吊り床構造体を解体することが可能になる。特に、吊り床構造体の解体作業中、作業者が解体途中の吊り床構造体上に乗ることがないから安全性が高く、解体途中の吊り床構造体の下方には道路等が走っていないから道路の切り回しや通行止め等の交通規制が不要となり交通の利便性を向上させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の橋梁移動作業装置の組立て方法によれば、橋梁の張出し方向の橋脚の下部に吊り床構造体を組立てるのに十分な作業スペースがない場合であっても既存の設備を使用して安全に、短時間で吊り床構造体を組み立てることが可能になる。また、道路の切り回しや通行止めに伴なう交通規制をなくしたり、交通規制の時間を短くして交通渋滞を防止し、円滑な車両の通行に寄与し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法で組み立てられた橋梁移動作業装置の使用状態を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の組立て工程を示す正面図。
【図3】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の組立て工程を示す側面図。
【図4】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の回動吊上げ工程を示す正面図。
【図5】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の回動吊上げ工程を示す側面図。
【図6】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り支保工の組立て工程を示す正面図。
【図7】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り支保工の組立て工程を示す側面図。
【図8】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体と吊り支保工の設置工程を示す正面図。
【図9】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体と吊り支保工の設置工程を示す側面図。
【図10】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法において使用される吊り床構造体の縦梁の折曲がり状態を示す側面図(A)と、直線状態を示す側面図(B)。
【図11】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法において使用される吊り床構造体のフレーム構造を示す斜視図。
【図12】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法において使用される吊り床構造体のフレーム構造に床板を設置した状態を示す斜視図。
【図13】本発明の実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法において使用される吊り床構造体を示す斜視図。
【図14】本発明の実施例2に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の組立て工程を示す側面図。
【図15】本発明の実施例2に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の回動吊上げ工程を示す側面図。
【図16】本発明の実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の組立て工程を示す側面図。
【図17】本発明の実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体の回動工程を示す側面図。
【図18】本発明の実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り支保工の組立て工程を示す側面図。
【図19】本発明の実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における吊り床構造体と吊り支保工の設置工程を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法について下記の実施例1〜実施例3及び対応する図面に基づいて具体的に説明する。
最初に、本発明の適用対象である橋梁移動作業装置1の構造の概略について、図1及び図10〜図13に基づいて説明する。尚、この橋梁移動作業装置1は、川や海に架かる橋梁2の他、図1に示すように陸地に設けられる自動車道路等の高架橋用の橋梁2の建設に使用される。具体的には、地中Gから垂直に立ち上げられた橋脚5の上部に後述する移動作業車21を設置する柱頭部7を設け、この柱頭部7を基点として橋梁2の張出し方向Yに橋梁移動作業車1を移動させながら橋桁9を徐々に張り出させて行くことで橋梁2を建設する。
【0022】
橋梁移動作業装置1は、橋脚5の柱頭部7の上面にクレーン等によって設置固定される2本のレール13、13上を走行する移動作業車21と、組立て・解体時においてレール下に設けられる横梁11から吊り下げられる第1吊り材17と、前記移動作業車21から吊り下げられる第2吊り材23と、前記第1吊り材17と第2吊り材23とによって吊上げられる吊り床構造体31と、を具備することによって基本的に構成されている。
また、図示の橋梁移動作業装置1は、前記基本的構成に加えて橋脚5の柱頭部7または張出し架設された橋桁9から吊り下げられる第3吊り材25(図9)と、前記移動作業車21から吊り下げられる第4吊り材27、第5吊り材29及び第2吊り材23(図8、図9)と、前記第3吊り材25と第4吊り材27とによって吊り上げられる型枠支持用の吊り支保工43と、を具備することによって構成されている。
【0023】
組立て解体時に橋梁移動作業装置1のレール13、13の下に位置し、橋梁2の張出し方向Yの柱頭部7の前端に位置する横梁11の左右の両端部に、前述した第1吊り材17となるチェーンブロックが取り付けられている。
また、前記2本のレール13、13は移動作業車21の左右の車輪45の間隔に合わせた軌間幅で橋梁2の張出し方向Yに延びるように敷設されている。そして、橋梁移動作業装置1の移動に先駆けてその都度前記レール13、13は移動固定される。
【0024】
移動作業車21は、後方に位置する下桁47と前方に張り出して位置する上桁49と、前記下桁47と上桁49の前後の両端部付近を接続している2本の傾斜支持枠51、51と、を備えるトラス構造の車体フレーム53と、該車体フレーム53を走行駆動させるための走行モータ55及び前記車輪45とを具備することによって構成されている。
また、前記上桁49の前端側の位置に前述した第2吊り材23、第4吊り材27となる2基のチェーンブロックが設けられており、前記上桁49の後端側の位置に前述した第5吊り材29となるチェーンブロックが取り付けられている。
【0025】
吊り床構造体31は、図11に示すように、橋梁2の幅方向Xに沿うように配設される大梁33、34と小梁37とから構成される横梁と、水平に吊り上げられた横姿勢において橋梁2の張出し方向Yに沿うように配設される縦梁35と、を備えることによってフレーム構造57が構成されている。更に、図12に示すように前記フレーム構造57の上面に床板39を設置し、図13に示すように当該床板39の周囲の上方に一例として鋼管等を使用した転落防止用の安全柵41を取り付けることによって構成されている。
【0026】
尚、前記フレーム構造57は、大きさの違う3種類のH形鋼等の形鋼材によって構成されている。ここで、水平に吊り上げられた使用時の横姿勢で最も下に位置するのが最も大きな2本の大梁33、34、中間において幅方向Xに適宜の間隔を空けて一例として7本設けられているのが次に大きな縦梁35、前記縦梁35の上に設けられている複数本の小さな梁が小梁37である。
また、このうち縦梁35が横姿勢にある時、橋脚5側に位置する縦梁35の一端側となる一端部35aは、図10(A)に示すように縦梁35の他の部位35bに対してヒンジ部59を介して折曲可能に設けられている。
【0027】
そして、後述する橋梁移動作業装置1の組立て・解体時には、前記縦梁35の一端部35aを図10(A)に示す折曲がり状態にして縦梁35の橋脚5との干渉を防止している。
一方、橋梁移動作業装置1を使用して橋梁2の張出し架設工事を行う場合には、前記縦梁35の一端部35aを図10(B)に示す直線状態にして前記一端部35aの回動をロック装置61等によってロックした状態にし、更に、前記一端部35aの上に床板39を設置して床面積の拡大を図っている。
【0028】
また、図2、図3に示したように、前記第1吊り材17のチェーンの下端部は、前記吊り床構造体31が後述するように縦姿勢にある時、吊り床構造体31の重心Oの上方に位置する大梁33から延びる第1吊り支点P1に接続されている。
一方、前記第2吊り材23のチェーンの下端部は、前記吊り床構造体31が後述するように縦姿勢にある時、吊り床構造体31の重心Oの下方に位置する大梁34から延びる第2吊り支点P2に接続されている。
【0029】
この他、前記吊り支保工43は、橋桁9の架設時に鉄筋や打設されるコンクリートの充填空間を囲って所定の形状の橋桁9を成形する型枠の支持架台として機能する部材である。
そして、前記吊り支保工43は、前述したように第3吊り材25と第4吊り材27とによって柱頭部7の下方の所定の位置Cに吊り上げられて保持される。
【0030】
次に、このようにして構成される橋梁移動作業装置1を使用するために組み立てたり、橋梁2の完成後、前記橋梁移動作業装置1を解体する場合に実施される本発明の橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法を下記に示す実施例1〜実施例3によって説明する。
【0031】
[実地例1](図2〜図9参照)
実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立てにおいては、前記吊り床構造体31の組立てを橋脚5に沿わせた縦姿勢で行い、その後前記第1吊り材17と第2吊り材23のチェーンの繰出し長さと、前記移動作業車21の移動方向及び移動量とを調節することによって前記吊り床構造31を橋梁2の張出し方向Yの前方に回動させて横姿勢にし、柱頭部7下方の所定の位置Bまで吊り上げるようにする。
【0032】
また、前記吊り床構造体31を柱頭部7の下方の所定の位置Bまで吊り上げた後、前記第5吊り材29を前記吊り床構造体31に接続し、その後前記第1吊り材17と前記吊り床構造体31との接続を解除するとともに、前記第3吊り材25と第4吊り材27とを使用して前記吊り支保工43を柱頭部7の下方の所定の位置Cまで吊り上げる。
【0033】
一方、橋梁移動作業装置1の解体に当たっては、前記と逆の手順で吊り支保工43を吊り床構造体31上に降ろし、前記第1吊り材17を前記吊り床構造体31に接続した後、前記第5吊り材29と前記吊り床構造体31との接続を解除する。
そして、前記組み立てた吊り床構造体31を柱頭部7下方の所定の位置Bから橋脚5の下部の組立て・解体位置A付近まで下降させ、その後前記第1吊り材17と第2吊り材23の繰出し長さと、前記移動作業車21の移動方向及び移動量とを調節することによって前記吊り床構造体31を橋梁2の張出し方向Yの後方となる橋脚5側に回動させて縦姿勢にし、前記吊り床構造体31の解体を前記橋脚5に沿わせた縦姿勢で行うようにする。
【0034】
次に、実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法について、組立て時の各工程である(1)吊り床構造体の組立て工程、(2)吊り床構造体の回動吊上げ工程、(3)吊り支保工の組立て工程、(4)吊り床構造体と吊り支保工の設置工程の4工程に分けて具体的に説明する。
(1)吊り床構造体の組立て工程(図2、図3、図10〜図13参照)
吊り床構造体の組立て工程は、吊り床構造体31を構成する大梁33、34、縦梁35、小梁37からなるフレーム構造57の組み立てと、床板39の設置と、安全柵41の取り付けを立設状態で実行する工程である。この工程は、橋脚5の柱頭部7の上面に移動作業車21を設置する第1工程とは別に行われる。
【0035】
具体的には、橋脚5に沿って橋脚5の下部に昇降足場19と組立て・解体用足場20を設置する。昇降足場19と組立て・解体用足場20の設置高さは、作業者が所定の組立て・解体位置Aに進入できる高さとする。
次に、クレーン等を使用して例えば大梁33、34、縦梁35、小梁37の順で吊り上げ、図2、図3に示すように縦姿勢でフレーム構造57を組立て・解体用足場20で支えながら組み立てて行く。続いて床板39を小梁37の上面に設置し、更に、鋼管とジョイント金具等を使用して前記床板39の周囲に安全柵41を取り付ける。以上が第2工程である。
【0036】
次に、柱頭部7上の横梁11に取り付けられている第1吊り材17のチェーンを下方に繰り出し、当該チェーン先端のフックを上方に位置する大梁33から延びている第1吊り支点P1に掛けて接続する。
同様に、レール13、13の後方位置に存する移動作業車21の上桁49に取り付けられている第2吊り材23のチェーンを下方に繰り出し、当該チェーン先端のフックを下方に位置する大梁34から延びている第2吊り支点P2に掛けて接続する。
また、前記縦梁35のうち、次に述べる吊り床構造体31の回動時に橋脚5と干渉する虞れがある縦梁35については、図10(A)に示すようにロック装置61のロックを解除して縦梁35の一端部35aを折曲げた状態にしておく。
【0037】
(2)吊り床構造体の回動吊上げ工程(図4〜図7参照)
吊り床構造体の回動吊上げ工程は、前記吊り床構造体の組立て工程(第2工程)によって組み立てられた縦姿勢の吊り床構造体31を、前記第1吊り材17と第2吊り材23の繰出し長さと、前記移動作業車21の移動方向及び移動量とを調節することによって回動させて横姿勢にする工程である。
【0038】
具体的には、前工程で設置した組立て・解体用足場20を切り離した後、前記第1吊り材17のチェーンの繰出し長さをそのままにした状態で、前記第2吊り材23のチェーンを徐々に引き上げながら移動作業車21を橋梁2の張出し方向Yの前方へ徐々に前進させるようにする。
前記第2吊り材23と移動作業車21の動作に伴ない、吊り床構造体31は、図5に示すように第1吊り支点P1を中心にして橋梁2の張出し方向Yの前方に向って図5中、反時計方向に回動するようになる。
そして、図7に示す位置まで第2吊り材23のチェーンを引き上げ、移動作業車21を前進させると、第1吊り支点P1と第2吊り支点P2が同一水平面上に位置するようになって、前記吊り床構造体31の回動が終了する。
【0039】
(3)吊り支保工の組立て工程(図6、図7参照)
吊り支保工の組立て工程は、前記吊り床構造体31の縦姿勢からの回動によって横姿勢に移行した吊り床構造体31上で前記型枠の支持架台となる吊り支保工43を組み立てる工程である。
即ち、本実施例では、吊り床構造体31には床板39が設置され、安全柵41が取り付けられているから、前記(1)の吊り床構造体の組立て工程で使用した組立て・解体用足場20または併設する昇降足場19を使用して、作業者は吊り床構造体31上に進入し、安全に吊り支保工43の組み立てを行うことができる。また、前記吊り支保工43と併せて吊り支保工43の設置の際に使用する足場材等も予め吊り床構造体31上に取り込んでおく。
【0040】
(4)吊り床構造体と吊り支保工の設置工程(図8〜図10参照)
吊り床構造体と吊り支保工の設置工程は、横姿勢に移行した吊り床構造体31を吊り床構造体31上で組み立てられた吊り支保工43等と共に上方に引き上げ、前記吊り床構造体31と前記吊り支保工43とを柱頭部7下方の所定の位置B、Cに至らせて保持する工程である。
具体的には、第1吊り材17と第2吊り材23のチェーンを同一速度で引き上げて行き、吊り床構造体31を柱頭部7下方の所定の位置Bに至らせる。
【0041】
次に、移動作業車21の上桁49に取り付けられている第5吊り材29の先端を前記吊り床構造体31に接続し、その後前記第1吊り材17と前記吊り床構造体31との接続を解除する。尚、この状態では前記吊り床構造体31は、移動作業車21のみと接続された状態になり、移動作業車21と一体になって橋梁2の張出し方向Yに向けて吊り床構造体31は移動できるようになる。
また、前記橋脚5の柱頭部7から吊り下げられている第3吊り材25と、前記移動作業車21から吊り下げられている第4吊り材27とを前記工程で組み立てた吊り支保工43に接続し、第3吊り材25と第4吊り材27を柱頭部7下方の所定の位置Cまで引き上げて固定する。
【0042】
そして、昇降足場19を上方に向けて図9に示すように増設して行き、前記所定の位置Bに設置した吊り床構造体31の床板39の上面に到達できるようにする。
以上で橋梁移動作業装置1の一連の組立て作業が終了し、上記吊り支保工43を使用して型枠63を柱頭部7の張出し方向Yにおける隣接する位置に設置し、鉄筋を組立て、コンクリートを打設し、所定ピッチずつ橋桁9を形成して行く。
【0043】
前記橋梁移動作業装置1の移動に伴って吊り床構造体31の縦梁35と橋脚5との干渉は生じなくなるから、図10(A)に示すように折曲がり状態であった縦梁35の一端部35aを図10(B)に示すように直線状態にしてロック装置61で固定することができ、この上に床板39を増設すれば吊り床構造体31の床面積を拡大することができる。
【0044】
また橋梁2の張出し架設が完了したら、橋梁移動作業装置1を橋梁2の張出し方向Yの後方に向けて移動させ、架設を始めた当初の柱頭部7上に位置させる。以下、橋梁移動作業装置1を組み立てた前記手順と反対の手順で橋梁移動作業装置1を解体し、完成した橋梁2上の横梁11、レール13、13及び移動作業車21を撤去すれば、一連の橋梁2の張出し架設工事が完了する。
【0045】
そして、このようにして構成される実施例1に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法によれば、橋梁2の張出し方向Yにおける橋脚5の下方の限られた作業スペースを利用して既存の設備のみを使用して安全に、短時間で且つ低コストで橋梁移動作業装置1の組立て及び解体作業を実行することができる。
また、本実施例では、作業者が組立て途中の吊り床構造体31上に乗ることなく吊り床構造体31を組立てることができるから安全であり、転落防止用のネット等の設置を省略することができる。
【0046】
また、第1吊り材17と第2吊り材23の繰出し長さの調節と移動作業車21の前方への1回の移動のみによって吊り床構造体31の回動と所定の位置Bへの引き上げが実行できるから、短時間で橋梁移動作業装置1の組立てと設置を完了させることができる。
また、橋梁2の張出し方向Yに道路65が存在している場合には、交通の安全を確保するために行う道路65の切り回しや通行止めが不要になり、短時間ないし短期間で交通規制を解除することができるようになる。
【0047】
この他、本実施例によれば、棧橋で施工する場合のように海や河川の水面上等作業スペースが確保できない場所でも吊り床構造体31を安全に組み立てることができる。
また、本実施例によれば、橋梁2の張出し方向Yの橋脚5の前方に吊り床構造体31を縦姿勢で組み立てることができる僅かな作業スペースがあればよく、前記橋脚5の前方に急斜面等がある場合に必要になる吊り床構造体31の下方に設置する安全足場も不要となる。
【0048】
[実施例2](図14〜図15、図9参照)
実施例2に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法は、橋脚5の前方に組み立てた吊り床構造体31を回動させるための回動スペースがない場合に採用できる工法である。
即ち、この工法では、前記実施例1と吊り床構造体31の回動方向を反対にしている。本実施例では、移動作業車21を実施例1と同じく前進させながら実施例1と吊り床構造体31の回動方向を反対にする。それを実現するために、吊り床構造体31を縦姿勢にして組み立てる際に、該吊り床構造体31の向きが前記実施例1と逆になる。すなわち、図14に示したように、橋脚5と対向する面と反対側に大梁33、34が位置し、以下、橋脚5側に向って縦梁35、小梁37、板材39及び安全柵41が位置するようになっている。
【0049】
以下、実施例2に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法について、組立て時の各工程である(1)吊り床構造体の組立て工程、(2)吊り床構造体の回動吊上げ工程の2工程について具体的に説明する。
【0050】
(1)吊り床構造体の組立て工程(図14参照)
本工程では、移動作業車21がレール13、13上において実施例1とほぼ同じ位置で停止している。
また、吊り床構造体31を縦姿勢にして組み立てる位置は、前記実施例1よりも幾分、張出し方向Yの前方に移動しており、これに伴って組立て・解体用足場20も張出し方向Yの前方に幾分、移動した位置に設置される。
【0051】
また、後述するように組み立てた吊り床構造体31を前記実施例1と反対方向に回動させることになるため、吊り床構造体31の向きが前記実施例1と逆になり、橋脚5と対向する面と反対側に大梁33、34が位置し、以下、橋脚5側に向って縦梁35、小梁37、板材39及び安全柵41が位置するようになっている。
更に、前記第1吊り材17のチェーンの下端部は第2吊り支点P2に接続され、第2吊り材23のチェーンの下端部は第1吊り支点P1に接続されている。
【0052】
(2)吊り床構造体の回動吊上げ工程(図15参照)
本工程では、移動作業車21を徐々に前進させると同時に第2吊り材23のチェーンをそのままして第1吊り材17のチェーンを徐々に引き上げて行く。これに伴なって、組み立てられた吊り床構造体31は、第2吊り材23との接続点である第1吊り支点P2を中心に図15中、時計方向に回動するようになり、更に横姿勢に吊り床構造体31が移行したところで、前記移動作業車21の前進と第1吊り材17の引き上げは停止される。
また、前記組立て・解体用足場20は、前記実施例1と同様、前工程終了後に切り離しておき、本工程の吊り床構造体31の回動に支障がないようにしておく。
【0053】
その後の(3)吊り支保工の組立て工程と(4)吊り床構造体と吊り支保工の設置工程は実施例1と同様なので、その説明は省略する。
そして、このようにして構成される実施例2に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法によっても前述した実施例1と同様の作用、効果が発揮される。
【0054】
尚、実施例2では、移動作業車21を実施例1と同じく前進させながら吊り床構造体31の回動方向を実施例1と反対にする方法を説明した。しかし、移動作業車21の移動方向を反対にし、すなわち移動作業車21を徐々に後退させながら前記吊り材17,23を適宜引き上げることで縦姿勢の吊り床構造体31を横姿勢に移行させる方法も可能である。
【0055】
[実施例3](図16〜図19参照)
実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法は、橋脚5の前方に吊り床構造体31の全部を平置きして組み立てることができるだけの作業スペースはないが、吊り床構造体31の一部を平置きして組み立てることができる作業スペースがある場合に採用できる工法である。
即ち、この工法では、吊り床構造体31の一部31Aの組み立てを橋脚5の前方の作業スペースで行い、組み立てた吊り床構造体31の一部31Aを所定の組立て・解体位置A1まで引き上げた後、吊り床構造体31の残りの部分31Bを前記実施例1と同様に縦姿勢で組み立てるようにしている。
【0056】
以下、実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法について、組立て時の各工程である(1)吊り床構造体の組立て工程、(2)吊り床構造体の回動吊り上げ工程、(3)吊り支保工の組立て工程、(4)吊り床構造体と吊り支保工の設置工程の4工程に分けて具体的に説明する。
【0057】
(1)吊り床構造体の組立て工程(図16参照)
本工程では、最初に橋脚5の前方の作業スペースを使用して平置き状態で吊り床構造体31の一部31Aの組み立てを行う。そして、組み立てられた吊り床構造体31の一部31Aに第1吊り材17を接続して所定の組立て・解体位置A1まで第1吊り材17を引き上げることによって移動させる。
そして、昇降足場19と組立て・解体用足場20とを使用して縦姿勢で吊り床構造体31の残りの部分31Bを組み立てる。
【0058】
次に、吊り床構造体31の前記一部31Aと残りの部分31Bとをジョイント67によって回動自在に接続し、第2吊り支点P2に第2吊り材23のチェーン先端を接続する。
また、前記組立て・解体用足場20は、前記実施例1と同様、前記吊り床構造体31の残りの部分31Bの組立て終了後に切り離す。
尚、本実施例では吊り床構造体31の残りの部分31Bの組立てに前記組立て・解体用足場20を使用しているため、前記実施例1よりも組立て・解体用足場20の高さが低くなっており、より安全に吊り床構造体31の組み立てや解体ができるようになっている。これに伴ない、組立て・解体位置A1も前記実施例1の組立て・解体位置Aよりも低くなっている。
【0059】
(2)吊り床構造体の回動吊上げ工程(図17、図18参照)
本工程では、前記実施例1と同様、移動作業車21を徐々に前進させると同時に第2吊り材23のチェーンを徐々に引き上げて行く。これに伴なって、縦姿勢の吊り床構造体31の残りの部分31Bは、前記ジョイント67の取付け部位を回動支点として図17中、反時計方向に回動し、図18に示す吊り床構造体31の一部31Aと残りの部分31Bが一直線になる横姿勢に移行したところで前記移動作業車21の前進と前記第2吊り材23のチェーンの引き上げが停止される。
【0060】
(3)吊り支保工の組立て工程(図18参照)
本工程では、前記実施例1と同様、前記組立て・解体用足場20または併設する昇降足場19を使用して作業者が横姿勢に移行した吊り床構造体31の床板39上に乗り、吊り支保工43を組み立てる。
【0061】
(4)吊り床構造体と吊り支保工の設置工程(図19参照)
本工程では、前記実施例1と同様、移動作業車21を停止させた状態で第1吊り材17と第2吊り材23を同速度で引き上げ、吊り床構造体31を柱頭部7下方の所定の位置Bに移動させる。
そして、前記実施例1と同様、第5吊り材29を第1吊り支点P1に接続し、その後、第1吊り材17と吊り床構造体31との接続を解除する。
【0062】
次に、前記実施例1と同様、第3吊り材25と第4吊り材27とによって吊り支保工43を引き上げて図19に示す柱頭部7下方の所定の位置Cに吊り支保工43を設置する。
以上で実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法における組立て時の工程は完了するが、解体時の工程は、前記組立て時の工程の逆の手順を辿ればよく、橋梁移動作業装置1の解体も組立て時と同様、安全、確実に実行される。
そして、このようにして構成される実施例3に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法によっても前述した実施例1と同様の作用、効果が発揮される。
【0063】
[他の実施例]
本発明に係る橋梁移動作業装置の組立て方法及び解体方法は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、吊り床構造体31の縦梁35は、一端部35aを折曲げ可能に構成する場合に限らず、一端部35aを他の部位35b内に収容できる入れ子構造にして一端部35aを伸縮可能に構成したり、橋脚5と干渉する虞れのある一端部35aを予め取り除いておくようにすることが可能である。
【0064】
また、前記縦梁35の一端部35aと他の部位35bの連結部に適用したロック装置61は、図10に示すようなボルト等の締結具で固定する係合式の金具によって構成する他、クランプ式のターンバックル等でもよいし、前記一端部35aと他の部位35bに予め形成しておいたフランジ等を利用して直接、ボルトやナット等を使用して固定する構造であってもよい。
【0065】
また、前記回動吊上げ工程を、前記吊り床構造体31を前記縦姿勢で所定に高さまで吊上げた後、回動させて前記横姿勢に移行することも行える。これにより、吊り床構造体31を回動させて縦姿勢から横姿勢に移行するのは、該吊り床構造体31がある程度の高さまで吊上げられてからになる。従って、橋梁2の張出し方向における橋脚5の下方の作業スペースが極めて狭くて、縦姿勢の吊り床構造体31を吊上げると同時に回動すると周囲の物と干渉してしまう場合でも、そのような干渉の問題なく組み立てることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 橋梁移動作業装置、 2 橋梁、 5 橋脚、 7 柱頭部、
9 橋桁、 11 横梁、 13 レール、
17 第1吊り材、 19 昇降足場、 20 組立て・解体用足場、
21 移動作業車、 23 第2吊り材、 25 第3吊り材、 27 第4吊り材、
29 第5吊り材、 31 吊り床構造体、 33 大梁(横梁)、
34 大梁(横梁)、 35 縦梁、 35a 一端部、 35b 他の部位、
37 小梁(横梁)、 39 床板、 41 安全柵、 43 吊り支保工、
45 車輪、 47 下桁、 49 上桁、 51 傾斜支持枠、
53 車体フレーム、 55 走行モータ、 57 フレーム構造、
59 ヒンジ部、 61 ロック装置、 63 型枠、 65 道路、
67 ジョイント、 G 地中、 X 幅方向、 Y 張出し方向、 O 重心、
P1 第1吊り支点、 P2 第2吊り支点、 A 組立て・解体位置、
B 所定の位置、 C 所定の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚の柱頭部上面に移動作業車を設置する第1工程と、
前記移動作業車に吊持ちされる吊り床構造体の全部又は一部を前記橋脚に沿わせた縦姿勢で組み立てる第2工程と、
前記柱頭部における固定位置から下げられる第1吊り材及び前記移動作業車から下げられる第2吊り材とによって前記吊り床構造体を吊り上げる第3工程と、を有し、
前記第3工程は、前記第1吊り材と第2吊り材の繰出し長さと、前記移動作業車の移動量とを調節することによって前記縦姿勢の吊り床構造体を回動させて横姿勢にし、前記柱頭部下方の所定の位置まで該吊り床構造体を吊り上げる回動吊上げ工程を含むことを特徴とする橋梁移動作業装置の組立て方法。
【請求項2】
請求項1に記載の橋梁移動作業装置の組立て方法において、
前記回動吊上げ工程は、前記吊り床構造体を前記縦姿勢で所定の高さまで吊上げた後、回動させて前記横姿勢に移行することを特徴とする橋梁移動作業装置の組立て方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の橋梁移動作業装置の組立て方法において、
前記縦姿勢の吊り床構造体における下端側を、前記移動作業車の移動方向における前方に対して後方側に引き上げるように回動させて前記横姿勢に移行することを特徴とする橋梁移動作業装置の組立て方法。
【請求項4】
吊り床構造体が橋脚の柱頭部上面にある移動作業車に吊持ちされている状態から前記柱頭部における固定位置から下げられる第1吊り材及び前記移動作業車から下げられる第2吊り材とによって吊り持ちされる状態に移行する解体第1工程と、
前記第1吊り材及び第2吊り材によって前記吊り床構造体を吊り降ろす解体第2工程と、を有し、
前記解体第2工程は、前記第1吊り材と第2吊り材の繰出し長さと、前記移動作業車の移動量とを調節することによって前記横姿勢の吊り床構造体を回動させて縦姿勢にし、前記橋脚下部の所定の位置まで該吊り床構造体を降ろす回動吊降ろし工程を含むことを特徴とする橋梁移動作業装置の解体方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−202406(P2011−202406A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70644(P2010−70644)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000148346)株式会社錢高組 (67)
【出願人】(597094503)巴機械工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】