機器又は器具の操作を支援する装置
【課題】医師が着目領域の患部を目標に設定して解析するのを支援する。
【解決手段】機器又は器具の操作を支援する装置は、支持体(15)に設けられて、機器又は器具(S)を取り付けることができる関節型機械的構造(100)と、構造(100)が機器又は器具(S)に提供するものよりも少ない自由度数に従って関節型機械的構造(100)を作動させるモータ駆動部(11、12、13)と、これらのモータ駆動手段の自動制御部(16)とを含んでおり、制御部(16)は、機器又は器具(S)の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にするためにモータ駆動部(11、12、13)を駆動し、モータ駆動部(11、12、13)は、操作者による操作とは独立に当該駆動部自体では制約を完全には達成し得ない。
【解決手段】機器又は器具の操作を支援する装置は、支持体(15)に設けられて、機器又は器具(S)を取り付けることができる関節型機械的構造(100)と、構造(100)が機器又は器具(S)に提供するものよりも少ない自由度数に従って関節型機械的構造(100)を作動させるモータ駆動部(11、12、13)と、これらのモータ駆動手段の自動制御部(16)とを含んでおり、制御部(16)は、機器又は器具(S)の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にするためにモータ駆動部(11、12、13)を駆動し、モータ駆動部(11、12、13)は、操作者による操作とは独立に当該駆動部自体では制約を完全には達成し得ない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は一般的には、例えば乳房トモシンセシスにおいて検出された異常の乳房エコー撮影法検査の範囲内での撮像時に、関節型機械的構造によって機器又は器具の操作を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トモシンセシスは、着目対象の三次元表現(3D)を一連の連続断面の形態で得ることを可能にするX線撮像方法である。
【0003】
これらの断面は、様々な角度配置の下での着目対象の投影から再構成される。
【0004】
このことを行なうために、着目対象は一般的には、X線を放出する線源とX線の検出器との間に載置される。線源及び/又は検出器は移動自在であるので、検出器での物体の投影方向が変化し得る(典型的には30°の角度範囲にわたる)。
【0005】
これにより、着目対象の幾つかの投影が異なる角度配置の下で得られ、これらの投影から、一般的には当業者に周知の逆投影方法によって、着目対象の三次元表現を再構成することが可能である。
【0006】
トモシンセシスは、乳ガンをスクリーニングするとき及び診断するときに特に用いられる。この場合には、この手法を乳房トモシンセシス又は3Dマンモグラフィと呼ぶ。
【0007】
図1は、トモシンセシスによって器官Bの二次元(2D)投影画像を取得してこの器官の三次元(3D)画像を再構成する撮像装置1を概略図示している。
【0008】
線源4からのX線が、様々な角度配置に従って器官Bへ向けて放出される。器官Bに交差した後に、X線は検出器3によって検出されて投影画像集合を形成する。
【0009】
典型的には検出器3に平行な断層写真法の切断面(画像)としての器官Bの三次元表現が、当業者に周知の断層写真法再構成方法によって再構成される。
【0010】
従来の3Dマンモグラフィと同様に、患者の乳房は、トモシンセシス検査時に検出器3と圧迫板2との間で特に圧迫される。
【0011】
医師は、患部候補(possible lesion)を検出するために断層写真法の切断面を解析する。
【0012】
医師は、既に識別した区域にわたって例えばエコー撮影法プローブによる付加的な検査を行なうことを望む場合がある。
【0013】
慣例的に、乳房エコー撮影法検査は、仰臥している患者又は体側に僅かに寝返りを打った患者について行なわれる。乳房は圧迫されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
エコー撮影法プローブによって評価されるべき患部の位置を決定するためには、放射線科医は患者の乳房に重ねて3Dトモシンセシス画像を心中で「重畳表示」しなければならない。患者はトモシンセシスでは乳房を圧迫した状態で立位(又は座位)にあり、またエコー撮影法では乳房を圧迫していない状態で仰臥しているため、この重畳表示は極めて困難である。
【0015】
この問題の解決策は、トモシンセシス検査の後に直ちに、患者を同じ姿勢にしてエコー撮影法検査を行なうものである。患者の乳房は、トモシンセシス検査の前に圧迫されて、一旦エコー撮影法検査が完了したら圧迫を解除される。トモシンセシス・システムは、エコー撮影法検査と互換性のある圧迫板を装備しているべきである(圧迫板は、エコー撮影法プローブによって放出される音波に対して「透過性」であるべきである)。
【0016】
この場合には、エコー撮影法プローブによって取得される画像と、断層写真法の切断面とが患者の乳房の同じ位置に対応する。
【0017】
しかしながら、プローブを患部候補のレベルに到達させるために、医師は断層写真法の画像を参照として用いて患部の位置を決定しなければならない。
【0018】
このことは、医師が断層写真法の画像から患部候補の空間での位置を心中で再構成しなければならないため、容易には行なわれ得ない。
【0019】
機器又は器具の操作時に利用者に支援を提供する装置は、ロボット工学では既に公知である。
【0020】
このことを行なうために、支援装置は、利用者が業務を果たし得るように機器又は器具を位置決めするために機器又は器具に対して運動制約を課す可能性を与える。
【0021】
業務とは、利用者が機器又は器具によって行使することを望む何らかの自由度数による画定された動作を意味するものとする。
【0022】
これらの装置が多くのモータ駆動部を要求するとすれば、現状では複雑であり、嵩高く、高価である。
【0023】
また、構造が機器又は器具に与えているものよりも少ない自由度数に従って関節型機械的構造を作動させるための支援装置も公知である。
【0024】
例えば外科手術において、器具を接合させたアームの端部を予め配置するための関節型アームが既に公知である。一旦、アームがこれにより予め配置されたら、利用者は、アームをこの位置に制約したままで自分が持っている器具に特定の並進運動又は回転運動をさせることができる。
【0025】
しかしながら、かかる関節型アームは、利用者が機器又は器具に与える運動について利用者にガイドを提供する訳ではない。
【0026】
上述の特定の事例では、これら公知の装置は、エコー撮影法プローブの配置にガイドを提供する訳ではない。
【0027】
実際に、モータ駆動部の数は器具の自由度数よりも少ないばかりでなく、業務を遂行するのに必要とされる自由度数よりも少ない。
【0028】
従って、モータ駆動部の数を少なくし、単純で安価でありながら、器具又は機器の運動の実際のガイドを可能にする関節型機械的構造によって器具又は機器の操作を支援する装置の必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の目的は、医師が、患部候補を含む区域を走査することを可能にする機器又は器具によって、着目領域の患部を目標に設定して解析するのを支援することにある。
【0030】
一実施形態によれば、本発明は、機器又は器具の操作を支援する装置に関し、この装置は、支持体に設けられて、機器又は器具を取り付けることができる関節型機械的構造と、この関節型機械的構造が機器又は器具に提供するものよりも少ない自由度数に従って関節型機械的構造を作動させるモータ駆動部と、これらのモータ駆動手段の自動制御部とを含んでいる。
【0031】
本発明の第一の観点による機器又は器具の操作を支援する装置は、上述の制御部が、機器又は器具の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にするためにモータ駆動部を駆動し、このモータ駆動部は、操作者による操作とは独立に当該駆動部自体では上述の制約を完全には達成し得ないことを特徴とする。
【0032】
この装置の他の観点は以下の通りである。
【0033】
・機器又は器具の位置パラメータ及び/又は速度パラメータは、モータ駆動部が動作するときの自由度の数よりも大きい自由度数に対応する。
【0034】
・制御部は、機械的構造が機器又は器具の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに依存して器具に力を与えるようにモータ駆動部を駆動する。
【0035】
・関節型機械的構造は、器具を担持する又は担持するのに適当な関節を含むアームであり、力はこの関節において機器又は器具に伝達される。
【0036】
・器具はエコー撮影法プローブである。
【0037】
第二の実施形態によれば、本発明は、X線源、検出器及び圧迫板を含む3Dマンモグラフィ撮像装置と、本発明の第一の観点による操作を支援する装置とを含むアセンブリに関し、上述の器具はエコー撮影法プローブである。
【0038】
このアセンブリの他の観点は、以下によるものである。
【0039】
・力は、プローブの画像平面が患部を含んでいるときにはゼロであり、プローブが目標から遠ざかるにつれて増大する。
【0040】
・力は弾性であり、
【0041】
【数1】
によって定義され、式中、kは剛性(スティフネス)定数であり、
【0042】
【数2】
はプローブと患部との間の距離である。
【0043】
・圧迫板を含む平面に垂直な軸に沿った力の垂直成分はゼロである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の記載からさらに明らかとなろう。尚、記載は単に説明のためのものであって、添付図面を参照して読まれるべきである。
【図1】トモシンセシスによって器官Bの2D投影画像を取得してこの器官の3D画像を再構成する撮像装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による目標設定及び解析アセンブリを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による支援装置の詳細図である。
【図4】本発明の一実施形態による機器又は器具の操作を支援する原理を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による機器又は器具の操作の支援を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
《目標設定及び解析アセンブリ》
図2は、患者の乳房患部を目標に設定して解析するためのアセンブリを示す。
【0046】
この目標設定及び解析アセンブリは、図1のものと同じ形式の医用撮像装置1と、エコー撮影法プローブSのような機器又は器具の操作を支援する装置10とを含んでいる。
【0047】
器具又は機器は、検査を行なう又は外科手術を執行するために医師が用い得る任意の医療装置であってよいことは言うまでもない。
【0048】
乳房の患部を目標に設定して解析する場合には、エコー撮影法プローブは、圧迫板を含む平面2に交差する画像平面Uに沿った患者の乳房の2D画像の取得を可能にする。図4はかかる構成を示す。
【0049】
目標設定及び解析アセンブリは、医用撮像装置1によって画像を取得して取得された画像を処理するユニット20を含んでいる。言うまでもなく、これら両作用が二つの別個のユニットにおいて適用されてもよい。
【0050】
この取得及び処理ユニット20は、処理方法(例えば2D投影画像から3D画像を再構成する処理方法)を適用することについてプログラムされている。このユニットは、例えばコンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロ・コンピュータ、プログラム可能なオートマトン、1若しくは複数の特定応用集積回路、他のプログラム可能な回路、又はワークステーションのようなコンピュータを含む他の装置であってよい。
【0051】
さらに、取得及び処理ユニット20は、患者の乳房の患部候補のような着目対象の位置を算出し、支援装置10がプローブSに加えなければならない応力を算出するように有利にプログラムされている。代替的には、応力の計算が他の装置によって予め行なわれていてもよい。さらに代替的には、患者の乳房の患部候補のような着目対象の位置は、表示器ユニット40を介して利用者が観察する画像に基づいて利用者によって決定されてもよい。
【0052】
取得及び処理ユニット20は、当該取得及び処理ユニット25に一体化していても別個であってもよい記憶ユニット8に結合される。
【0053】
記憶ユニット30は、ハード・ディスク又は他の任意の着脱自在の記憶手段(CD−ROM及びディスケット等)によって形成され得る。この記憶ユニットは、処理及び取得ユニット20のROM/RAMメモリ、CD−ROM、USBキー、中央サーバのメモリであってもよい。
【0054】
取得及び処理ユニット20は、ディスケット又はCD−ROMのような命令の媒体(図示されていない)から処理方法の命令を読み取る読み取り装置(図示されていない)、例えばディスケット読み取り器又はCD−ROM読み取り器を含み得る。代替的には、ファームウェア(図示されていない)に記憶されている処理方法の命令を実行してもよい。
【0055】
最後に、医用撮像装置1又はエコー撮影法プローブSの何れかからの画像を表示するために、目標設定及び解析アセンブリは表示ユニット40を含んでいる。
【0056】
表示ユニット40は、例えばコンピュータ・スクリーン、モニタ、フラット・スクリーン、プラズマ・スクリーン又は任意の形式の商用的に公知の表示装置である。表示ユニット40は、エコー撮影法プローブSによる乳房の3D表現(容積の標本化、及び断面の配向等)、並びに/又は取得された2D画像の表示や、患部の目標設定及び解析を放射線科医が制御することを可能にする。
《エコー撮影法プローブSの操作を支援する装置》
図3は、エコー撮影法プローブSのような機器又は器具の操作を支援する装置10を概略図示する。
【0057】
支援装置は、支持体15に設けられた関節型機械的構造100を含んでいる。
【0058】
支持体15の反対側の端部14に、構造100はエコー撮影法プローブSを担持している。
【0059】
かかる構造100は、例えば米国マサチューセッツ州WoburnのSensAble Technologies, Inc.によって配給されているPHANTOM Omniロボット形式の関節型アームである。
【0060】
この構造100は、何らかの自由度数、この場合には6の自由度を有するエコー撮影法プローブSを提供する。
【0061】
構造100はさらに、何らかの自由度数、この場合には3の自由度に従ってプローブSを作動させる何らかの数(ここでは3個)のモータ駆動部11、12、13を有する。
【0062】
一般的には、構造100は、構造100によって与えられる自由度数よりも少ない自由度数に従ってプローブSを作動させる一定数のモータ駆動部を有する。
【0063】
支援装置はさらに、機器の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約に従ってモータ駆動部を駆動する自動モータ駆動制御部16を含んでいる。
【0064】
この駆動は、機器の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にする。
【0065】
具体的には、機器又は器具Sの位置パラメータ及び/又は速度パラメータは、モータ駆動部11、12、13が動作するときの自由度数よりも大きい自由度数に対応している。
【0066】
実際に、モータ駆動部は、利用者による操作とは独立に当該駆動部自体ではこの制約を完全には達成し得ない。
【0067】
このように、支援装置によって、モータ駆動部11、12、13が動作するときの自由度数よりも大きい自由度数に対応する制約を達成しつつ器具を支援することが可能である。
【0068】
患者の乳房患部候補を目標に設定して解析するためのエコー撮影法プローブSの操作の支援の場合には、図4に示すように、制御部16はモータ駆動部11、12、13に対し、医用撮像装置1の圧迫板2の平面πに又は圧迫板2の平面πの近傍にエコー撮影法プローブSを配置するのに役立つ設定値を与えるので、患部候補がエコー撮影法プローブSによって可視化する。
【0069】
このように、制御部16は、三つのモータ駆動部11、12、13に対しエコー撮影法プローブSが当該エコー撮影法プローブSについて次の四つの自由度(図4の2本の矢印によって示す)に従って移動自在になるような制約を設けつつこれらのモータ駆動部11、12、13を駆動する。すなわち、
・圧迫板2における2種の並進、
・圧迫板2に垂直なベクトルに沿った回転、及び
・圧迫板2とエコー撮影法プローブSの画像平面Uとの間の交線を中心とした回転
である。
【0070】
例えば、関節型機械的構造100によって提供される支援は、エコー撮影法プローブSに伝達される力によって物理的に表現され、この力は圧迫板2でのエコー撮影法プローブSの位置に依存する。
【0071】
この単一の力では、任意の制約に従うためにエコー撮影法プローブをガイドするのには不十分であるが、上述の支援は、エコー撮影法プローブSを如何に操作すればよいかの指標として利用者によって直観的に理解されること、またこれにより達成される部分的ガイドは優れた結果を与えることが判明した。
《乳房トモシンセシスへの応用例》
前述のように、操作を支援する装置は、医師が、医用撮像装置1から断面において検出される患部候補のレベル又は近傍にエコー撮影法プローブSを配置するのを助ける可能性を与える。
【0072】
このことを行なうために、エコー撮影法プローブSを圧迫板2に接触させ、Pが接触点である。プローブSはさらに、機械的構造100の関節の上方で医師によって把持される。
【0073】
モータ駆動部は、プローブSに対する患部候補の相対位置に従って支援装置の制御部16によって駆動される。
【0074】
構造100は、参照系でのプローブSの位置及び配向を知ることを可能にする運動センサを含んでいる。
【0075】
この位置及び配向に依存して、処理ユニット20はIと示されている患部候補又は目標を画像平面UへのIの投影IUと結ぶベクトル
【0076】
【数3】
の座標を計算する。
【0077】
制御部16は、このベクトル
【0078】
【数4】
を入力として受けて、モータ駆動部11、12、13を駆動する。
【0079】
特に、制御部16は、構造100が関節14においてプローブSに力
【0080】
【数5】
を伝達するようにこれらのモータ駆動部を駆動する。
【0081】
場合によって、このような力
【0082】
【数6】
は幾つかのパラメータに依存する。力
【0083】
【数7】
の発生を説明するために、図5を参照する。
【0084】
二つの直接正規直交参照系を定義する。
【0085】
【数8】
この系は、プローブの点(例えばプローブと圧迫板2を含む平面πとの間の接触点であってよい)であるPを原点とする参照系であって、エコー撮影法プローブSの画像平面Uに垂直なベクトルである
【0086】
【数9】
と、超音波ビームの対称軸の方向ベクトルである
【0087】
【数10】
によってエコー撮影法プローブSに関連付けられる参照系である。また、
【0088】
【数11】
この系は、原点Oの参照系であって、平面πに垂直なベクトル
【0089】
【数12】
によってエコー撮影法プローブSを操作する圧迫板2の面に対応する平面πに関連付けられる。
【0090】
エコー撮影法プローブSは、
【0091】
【数13】
となるような点Hにおいて医師によって保持される。機械的構造100は、
【0092】
【数14】
となるような点Tにおいてプローブに力
【0093】
【数15】
を加える。この点Tは、プローブと関節型機械的構造との間の接合部に対応する。この部分は構造の端部14である。
【0094】
この力は、プローブSの画像平面Uが患部候補を含んでいるときにはゼロであり、患部候補がエコー撮影法画像において可視に留まるような自由度に従って医師にエコー撮影法プローブSを操作させる。
【0095】
さらに、この力は、エコー撮影法プローブSが目標Iから遠ざかるときには増大するような力である。
【0096】
この力
【0097】
【数16】
は、
【0098】
【数17】
によって定義される場合に弾性戻りを発生するために特に選択され得る。式中、kは剛性定数である。
【0099】
この力は、平面πに関連付けられる参照系F0において定義される三つの成分を含んでいる。
【0100】
代替的には、エコー撮影法プローブSと圧迫板2との間の接触点での摂動を回避するために、軸
【0101】
【数18】
に沿った力の垂直成分をゼロにする。この場合には、力
【0102】
【数19】
は、
【0103】
【数20】
によって表現される。
【0104】
安定性の理由のために、アームの端部での振動を制動することが望ましい。振動を限定するために、力
【0105】
【数21】
は
【0106】
【数22】
によって算出されることができ、式中、cは定数の制動係数である。
【0107】
さらに代替的には、この力に機械的構造100の端部14での速度
【0108】
【数23】
を盛り込んでもよい。この場合には、力
【0109】
【数24】
は、
【0110】
【数25】
によって表現され、式中、cTはもう一つの制動定数である。
【0111】
最後に、力
【0112】
【数26】
は、医師をエコー撮影法プローブSの重量から解放する。この場合には、力
【0113】
【数27】
は、
【0114】
【数28】
によって表現され、式中、mはエコー撮影法プローブSの質量であり、gは標準的な重力定数である。
《結果》
この装置を第一の利用者群によって実験的に試験したところ、所作の精度及び持続時間において改善が見られる。実際に、エコー撮影法プローブSの画像平面Uと目標Iとの間の平均距離及び最大距離が本装置によって減少し、実行時間が短縮する。
【符号の説明】
【0115】
1:医用撮像装置
2:圧迫板
3:検出器
4:X線源
10:支援装置
11、12、13:モータ駆動部
14:支持体15の反対側の関節型機械的構造100の端部
15:支持体
16:自動モータ駆動制御部
20:取得及び処理ユニット
30:記憶ユニット
40:表示ユニット
100:関節型機械的構造
B:器官
S:エコー撮影法プローブ
d→:Iと表記される患部候補又は目標を画像平面UへのIの投影IUと結ぶベクトル
I:目標
P:エコー撮影法プローブSの圧迫板2との接触点
U:画像平面
O:参照系の原点
T:プローブと関節型機械的構造との接合部
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は一般的には、例えば乳房トモシンセシスにおいて検出された異常の乳房エコー撮影法検査の範囲内での撮像時に、関節型機械的構造によって機器又は器具の操作を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トモシンセシスは、着目対象の三次元表現(3D)を一連の連続断面の形態で得ることを可能にするX線撮像方法である。
【0003】
これらの断面は、様々な角度配置の下での着目対象の投影から再構成される。
【0004】
このことを行なうために、着目対象は一般的には、X線を放出する線源とX線の検出器との間に載置される。線源及び/又は検出器は移動自在であるので、検出器での物体の投影方向が変化し得る(典型的には30°の角度範囲にわたる)。
【0005】
これにより、着目対象の幾つかの投影が異なる角度配置の下で得られ、これらの投影から、一般的には当業者に周知の逆投影方法によって、着目対象の三次元表現を再構成することが可能である。
【0006】
トモシンセシスは、乳ガンをスクリーニングするとき及び診断するときに特に用いられる。この場合には、この手法を乳房トモシンセシス又は3Dマンモグラフィと呼ぶ。
【0007】
図1は、トモシンセシスによって器官Bの二次元(2D)投影画像を取得してこの器官の三次元(3D)画像を再構成する撮像装置1を概略図示している。
【0008】
線源4からのX線が、様々な角度配置に従って器官Bへ向けて放出される。器官Bに交差した後に、X線は検出器3によって検出されて投影画像集合を形成する。
【0009】
典型的には検出器3に平行な断層写真法の切断面(画像)としての器官Bの三次元表現が、当業者に周知の断層写真法再構成方法によって再構成される。
【0010】
従来の3Dマンモグラフィと同様に、患者の乳房は、トモシンセシス検査時に検出器3と圧迫板2との間で特に圧迫される。
【0011】
医師は、患部候補(possible lesion)を検出するために断層写真法の切断面を解析する。
【0012】
医師は、既に識別した区域にわたって例えばエコー撮影法プローブによる付加的な検査を行なうことを望む場合がある。
【0013】
慣例的に、乳房エコー撮影法検査は、仰臥している患者又は体側に僅かに寝返りを打った患者について行なわれる。乳房は圧迫されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
エコー撮影法プローブによって評価されるべき患部の位置を決定するためには、放射線科医は患者の乳房に重ねて3Dトモシンセシス画像を心中で「重畳表示」しなければならない。患者はトモシンセシスでは乳房を圧迫した状態で立位(又は座位)にあり、またエコー撮影法では乳房を圧迫していない状態で仰臥しているため、この重畳表示は極めて困難である。
【0015】
この問題の解決策は、トモシンセシス検査の後に直ちに、患者を同じ姿勢にしてエコー撮影法検査を行なうものである。患者の乳房は、トモシンセシス検査の前に圧迫されて、一旦エコー撮影法検査が完了したら圧迫を解除される。トモシンセシス・システムは、エコー撮影法検査と互換性のある圧迫板を装備しているべきである(圧迫板は、エコー撮影法プローブによって放出される音波に対して「透過性」であるべきである)。
【0016】
この場合には、エコー撮影法プローブによって取得される画像と、断層写真法の切断面とが患者の乳房の同じ位置に対応する。
【0017】
しかしながら、プローブを患部候補のレベルに到達させるために、医師は断層写真法の画像を参照として用いて患部の位置を決定しなければならない。
【0018】
このことは、医師が断層写真法の画像から患部候補の空間での位置を心中で再構成しなければならないため、容易には行なわれ得ない。
【0019】
機器又は器具の操作時に利用者に支援を提供する装置は、ロボット工学では既に公知である。
【0020】
このことを行なうために、支援装置は、利用者が業務を果たし得るように機器又は器具を位置決めするために機器又は器具に対して運動制約を課す可能性を与える。
【0021】
業務とは、利用者が機器又は器具によって行使することを望む何らかの自由度数による画定された動作を意味するものとする。
【0022】
これらの装置が多くのモータ駆動部を要求するとすれば、現状では複雑であり、嵩高く、高価である。
【0023】
また、構造が機器又は器具に与えているものよりも少ない自由度数に従って関節型機械的構造を作動させるための支援装置も公知である。
【0024】
例えば外科手術において、器具を接合させたアームの端部を予め配置するための関節型アームが既に公知である。一旦、アームがこれにより予め配置されたら、利用者は、アームをこの位置に制約したままで自分が持っている器具に特定の並進運動又は回転運動をさせることができる。
【0025】
しかしながら、かかる関節型アームは、利用者が機器又は器具に与える運動について利用者にガイドを提供する訳ではない。
【0026】
上述の特定の事例では、これら公知の装置は、エコー撮影法プローブの配置にガイドを提供する訳ではない。
【0027】
実際に、モータ駆動部の数は器具の自由度数よりも少ないばかりでなく、業務を遂行するのに必要とされる自由度数よりも少ない。
【0028】
従って、モータ駆動部の数を少なくし、単純で安価でありながら、器具又は機器の運動の実際のガイドを可能にする関節型機械的構造によって器具又は機器の操作を支援する装置の必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の目的は、医師が、患部候補を含む区域を走査することを可能にする機器又は器具によって、着目領域の患部を目標に設定して解析するのを支援することにある。
【0030】
一実施形態によれば、本発明は、機器又は器具の操作を支援する装置に関し、この装置は、支持体に設けられて、機器又は器具を取り付けることができる関節型機械的構造と、この関節型機械的構造が機器又は器具に提供するものよりも少ない自由度数に従って関節型機械的構造を作動させるモータ駆動部と、これらのモータ駆動手段の自動制御部とを含んでいる。
【0031】
本発明の第一の観点による機器又は器具の操作を支援する装置は、上述の制御部が、機器又は器具の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にするためにモータ駆動部を駆動し、このモータ駆動部は、操作者による操作とは独立に当該駆動部自体では上述の制約を完全には達成し得ないことを特徴とする。
【0032】
この装置の他の観点は以下の通りである。
【0033】
・機器又は器具の位置パラメータ及び/又は速度パラメータは、モータ駆動部が動作するときの自由度の数よりも大きい自由度数に対応する。
【0034】
・制御部は、機械的構造が機器又は器具の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに依存して器具に力を与えるようにモータ駆動部を駆動する。
【0035】
・関節型機械的構造は、器具を担持する又は担持するのに適当な関節を含むアームであり、力はこの関節において機器又は器具に伝達される。
【0036】
・器具はエコー撮影法プローブである。
【0037】
第二の実施形態によれば、本発明は、X線源、検出器及び圧迫板を含む3Dマンモグラフィ撮像装置と、本発明の第一の観点による操作を支援する装置とを含むアセンブリに関し、上述の器具はエコー撮影法プローブである。
【0038】
このアセンブリの他の観点は、以下によるものである。
【0039】
・力は、プローブの画像平面が患部を含んでいるときにはゼロであり、プローブが目標から遠ざかるにつれて増大する。
【0040】
・力は弾性であり、
【0041】
【数1】
によって定義され、式中、kは剛性(スティフネス)定数であり、
【0042】
【数2】
はプローブと患部との間の距離である。
【0043】
・圧迫板を含む平面に垂直な軸に沿った力の垂直成分はゼロである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の記載からさらに明らかとなろう。尚、記載は単に説明のためのものであって、添付図面を参照して読まれるべきである。
【図1】トモシンセシスによって器官Bの2D投影画像を取得してこの器官の3D画像を再構成する撮像装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による目標設定及び解析アセンブリを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による支援装置の詳細図である。
【図4】本発明の一実施形態による機器又は器具の操作を支援する原理を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による機器又は器具の操作の支援を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
《目標設定及び解析アセンブリ》
図2は、患者の乳房患部を目標に設定して解析するためのアセンブリを示す。
【0046】
この目標設定及び解析アセンブリは、図1のものと同じ形式の医用撮像装置1と、エコー撮影法プローブSのような機器又は器具の操作を支援する装置10とを含んでいる。
【0047】
器具又は機器は、検査を行なう又は外科手術を執行するために医師が用い得る任意の医療装置であってよいことは言うまでもない。
【0048】
乳房の患部を目標に設定して解析する場合には、エコー撮影法プローブは、圧迫板を含む平面2に交差する画像平面Uに沿った患者の乳房の2D画像の取得を可能にする。図4はかかる構成を示す。
【0049】
目標設定及び解析アセンブリは、医用撮像装置1によって画像を取得して取得された画像を処理するユニット20を含んでいる。言うまでもなく、これら両作用が二つの別個のユニットにおいて適用されてもよい。
【0050】
この取得及び処理ユニット20は、処理方法(例えば2D投影画像から3D画像を再構成する処理方法)を適用することについてプログラムされている。このユニットは、例えばコンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロ・コンピュータ、プログラム可能なオートマトン、1若しくは複数の特定応用集積回路、他のプログラム可能な回路、又はワークステーションのようなコンピュータを含む他の装置であってよい。
【0051】
さらに、取得及び処理ユニット20は、患者の乳房の患部候補のような着目対象の位置を算出し、支援装置10がプローブSに加えなければならない応力を算出するように有利にプログラムされている。代替的には、応力の計算が他の装置によって予め行なわれていてもよい。さらに代替的には、患者の乳房の患部候補のような着目対象の位置は、表示器ユニット40を介して利用者が観察する画像に基づいて利用者によって決定されてもよい。
【0052】
取得及び処理ユニット20は、当該取得及び処理ユニット25に一体化していても別個であってもよい記憶ユニット8に結合される。
【0053】
記憶ユニット30は、ハード・ディスク又は他の任意の着脱自在の記憶手段(CD−ROM及びディスケット等)によって形成され得る。この記憶ユニットは、処理及び取得ユニット20のROM/RAMメモリ、CD−ROM、USBキー、中央サーバのメモリであってもよい。
【0054】
取得及び処理ユニット20は、ディスケット又はCD−ROMのような命令の媒体(図示されていない)から処理方法の命令を読み取る読み取り装置(図示されていない)、例えばディスケット読み取り器又はCD−ROM読み取り器を含み得る。代替的には、ファームウェア(図示されていない)に記憶されている処理方法の命令を実行してもよい。
【0055】
最後に、医用撮像装置1又はエコー撮影法プローブSの何れかからの画像を表示するために、目標設定及び解析アセンブリは表示ユニット40を含んでいる。
【0056】
表示ユニット40は、例えばコンピュータ・スクリーン、モニタ、フラット・スクリーン、プラズマ・スクリーン又は任意の形式の商用的に公知の表示装置である。表示ユニット40は、エコー撮影法プローブSによる乳房の3D表現(容積の標本化、及び断面の配向等)、並びに/又は取得された2D画像の表示や、患部の目標設定及び解析を放射線科医が制御することを可能にする。
《エコー撮影法プローブSの操作を支援する装置》
図3は、エコー撮影法プローブSのような機器又は器具の操作を支援する装置10を概略図示する。
【0057】
支援装置は、支持体15に設けられた関節型機械的構造100を含んでいる。
【0058】
支持体15の反対側の端部14に、構造100はエコー撮影法プローブSを担持している。
【0059】
かかる構造100は、例えば米国マサチューセッツ州WoburnのSensAble Technologies, Inc.によって配給されているPHANTOM Omniロボット形式の関節型アームである。
【0060】
この構造100は、何らかの自由度数、この場合には6の自由度を有するエコー撮影法プローブSを提供する。
【0061】
構造100はさらに、何らかの自由度数、この場合には3の自由度に従ってプローブSを作動させる何らかの数(ここでは3個)のモータ駆動部11、12、13を有する。
【0062】
一般的には、構造100は、構造100によって与えられる自由度数よりも少ない自由度数に従ってプローブSを作動させる一定数のモータ駆動部を有する。
【0063】
支援装置はさらに、機器の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約に従ってモータ駆動部を駆動する自動モータ駆動制御部16を含んでいる。
【0064】
この駆動は、機器の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にする。
【0065】
具体的には、機器又は器具Sの位置パラメータ及び/又は速度パラメータは、モータ駆動部11、12、13が動作するときの自由度数よりも大きい自由度数に対応している。
【0066】
実際に、モータ駆動部は、利用者による操作とは独立に当該駆動部自体ではこの制約を完全には達成し得ない。
【0067】
このように、支援装置によって、モータ駆動部11、12、13が動作するときの自由度数よりも大きい自由度数に対応する制約を達成しつつ器具を支援することが可能である。
【0068】
患者の乳房患部候補を目標に設定して解析するためのエコー撮影法プローブSの操作の支援の場合には、図4に示すように、制御部16はモータ駆動部11、12、13に対し、医用撮像装置1の圧迫板2の平面πに又は圧迫板2の平面πの近傍にエコー撮影法プローブSを配置するのに役立つ設定値を与えるので、患部候補がエコー撮影法プローブSによって可視化する。
【0069】
このように、制御部16は、三つのモータ駆動部11、12、13に対しエコー撮影法プローブSが当該エコー撮影法プローブSについて次の四つの自由度(図4の2本の矢印によって示す)に従って移動自在になるような制約を設けつつこれらのモータ駆動部11、12、13を駆動する。すなわち、
・圧迫板2における2種の並進、
・圧迫板2に垂直なベクトルに沿った回転、及び
・圧迫板2とエコー撮影法プローブSの画像平面Uとの間の交線を中心とした回転
である。
【0070】
例えば、関節型機械的構造100によって提供される支援は、エコー撮影法プローブSに伝達される力によって物理的に表現され、この力は圧迫板2でのエコー撮影法プローブSの位置に依存する。
【0071】
この単一の力では、任意の制約に従うためにエコー撮影法プローブをガイドするのには不十分であるが、上述の支援は、エコー撮影法プローブSを如何に操作すればよいかの指標として利用者によって直観的に理解されること、またこれにより達成される部分的ガイドは優れた結果を与えることが判明した。
《乳房トモシンセシスへの応用例》
前述のように、操作を支援する装置は、医師が、医用撮像装置1から断面において検出される患部候補のレベル又は近傍にエコー撮影法プローブSを配置するのを助ける可能性を与える。
【0072】
このことを行なうために、エコー撮影法プローブSを圧迫板2に接触させ、Pが接触点である。プローブSはさらに、機械的構造100の関節の上方で医師によって把持される。
【0073】
モータ駆動部は、プローブSに対する患部候補の相対位置に従って支援装置の制御部16によって駆動される。
【0074】
構造100は、参照系でのプローブSの位置及び配向を知ることを可能にする運動センサを含んでいる。
【0075】
この位置及び配向に依存して、処理ユニット20はIと示されている患部候補又は目標を画像平面UへのIの投影IUと結ぶベクトル
【0076】
【数3】
の座標を計算する。
【0077】
制御部16は、このベクトル
【0078】
【数4】
を入力として受けて、モータ駆動部11、12、13を駆動する。
【0079】
特に、制御部16は、構造100が関節14においてプローブSに力
【0080】
【数5】
を伝達するようにこれらのモータ駆動部を駆動する。
【0081】
場合によって、このような力
【0082】
【数6】
は幾つかのパラメータに依存する。力
【0083】
【数7】
の発生を説明するために、図5を参照する。
【0084】
二つの直接正規直交参照系を定義する。
【0085】
【数8】
この系は、プローブの点(例えばプローブと圧迫板2を含む平面πとの間の接触点であってよい)であるPを原点とする参照系であって、エコー撮影法プローブSの画像平面Uに垂直なベクトルである
【0086】
【数9】
と、超音波ビームの対称軸の方向ベクトルである
【0087】
【数10】
によってエコー撮影法プローブSに関連付けられる参照系である。また、
【0088】
【数11】
この系は、原点Oの参照系であって、平面πに垂直なベクトル
【0089】
【数12】
によってエコー撮影法プローブSを操作する圧迫板2の面に対応する平面πに関連付けられる。
【0090】
エコー撮影法プローブSは、
【0091】
【数13】
となるような点Hにおいて医師によって保持される。機械的構造100は、
【0092】
【数14】
となるような点Tにおいてプローブに力
【0093】
【数15】
を加える。この点Tは、プローブと関節型機械的構造との間の接合部に対応する。この部分は構造の端部14である。
【0094】
この力は、プローブSの画像平面Uが患部候補を含んでいるときにはゼロであり、患部候補がエコー撮影法画像において可視に留まるような自由度に従って医師にエコー撮影法プローブSを操作させる。
【0095】
さらに、この力は、エコー撮影法プローブSが目標Iから遠ざかるときには増大するような力である。
【0096】
この力
【0097】
【数16】
は、
【0098】
【数17】
によって定義される場合に弾性戻りを発生するために特に選択され得る。式中、kは剛性定数である。
【0099】
この力は、平面πに関連付けられる参照系F0において定義される三つの成分を含んでいる。
【0100】
代替的には、エコー撮影法プローブSと圧迫板2との間の接触点での摂動を回避するために、軸
【0101】
【数18】
に沿った力の垂直成分をゼロにする。この場合には、力
【0102】
【数19】
は、
【0103】
【数20】
によって表現される。
【0104】
安定性の理由のために、アームの端部での振動を制動することが望ましい。振動を限定するために、力
【0105】
【数21】
は
【0106】
【数22】
によって算出されることができ、式中、cは定数の制動係数である。
【0107】
さらに代替的には、この力に機械的構造100の端部14での速度
【0108】
【数23】
を盛り込んでもよい。この場合には、力
【0109】
【数24】
は、
【0110】
【数25】
によって表現され、式中、cTはもう一つの制動定数である。
【0111】
最後に、力
【0112】
【数26】
は、医師をエコー撮影法プローブSの重量から解放する。この場合には、力
【0113】
【数27】
は、
【0114】
【数28】
によって表現され、式中、mはエコー撮影法プローブSの質量であり、gは標準的な重力定数である。
《結果》
この装置を第一の利用者群によって実験的に試験したところ、所作の精度及び持続時間において改善が見られる。実際に、エコー撮影法プローブSの画像平面Uと目標Iとの間の平均距離及び最大距離が本装置によって減少し、実行時間が短縮する。
【符号の説明】
【0115】
1:医用撮像装置
2:圧迫板
3:検出器
4:X線源
10:支援装置
11、12、13:モータ駆動部
14:支持体15の反対側の関節型機械的構造100の端部
15:支持体
16:自動モータ駆動制御部
20:取得及び処理ユニット
30:記憶ユニット
40:表示ユニット
100:関節型機械的構造
B:器官
S:エコー撮影法プローブ
d→:Iと表記される患部候補又は目標を画像平面UへのIの投影IUと結ぶベクトル
I:目標
P:エコー撮影法プローブSの圧迫板2との接触点
U:画像平面
O:参照系の原点
T:プローブと関節型機械的構造との接合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器又は器具(S)の操作を支援する装置であって、
支持体(15)に設けられて、機器又は器具(S)を取り付けることができる関節型機械的構造(100)と、
該構造(100)が前記機器又は器具(S)に提供するものよりも少ない自由度数に従って前記関節型機械的構造(100)を作動させるモータ駆動部(11、12、13)と、
該モータ駆動手段の自動制御部(16)と
を備えており、
前記制御部(16)は、前記機器又は器具(S)の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にするために前記モータ駆動部(11、12、13)を駆動し、該モータ駆動部(11、12、13)は、操作者による操作とは独立に当該駆動部自体では前記制約を完全には達成し得ない、
装置。
【請求項2】
前記機器又は器具(S)の前記位置パラメータ及び/又は速度パラメータは、前記モータ駆動部(11、12、13)が動作するときの前記自由度の数よりも大きい自由度数に対応する、請求項1に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項3】
前記制御部(16)は、前記機械的構造(100)が、前記機器又は器具の前記位置パラメータ及び/又は速度パラメータに依存して前記器具に力(
【数1】
)を与えるように前記モータ駆動部を駆動する、請求項1又は2に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項4】
前記関節型機械的構造は、前記器具を担持する又は担持するのに適した関節を含むアームであり、前記力(
【数2】
)は前記関節において前記機器又は器具に伝達される、請求項1〜3の何れか1項に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項5】
前記器具はエコー撮影法プローブ(S)である、請求項1〜4の何れか1項に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項6】
X線の線源(4)、検出器(3)及び圧迫板(2)を含むマンモグラフィ撮像装置と、
請求項1〜4の何れか1項に記載の操作を支援する装置と
を備えた撮像アセンブリであって、前記器具はエコー撮影法プローブ(S)である、撮像アセンブリ。
【請求項7】
前記力(
【数3】
)は、前記プローブ(S)の前記画像平面(U)が前記患部(I)を含んでいるときにはゼロであり、前記プローブ(S)が前記目標(I)から次第に遠ざかるにつれて増大する、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記力は弾性であり、
【数4】
により定義され、式中、kは剛性定数であり、
【数5】
は前記プローブ(S)と前記患部(I)との間の距離である、請求項6又は7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記圧迫板(2)を含む平面(π)に垂直な軸(
【数6】
)に沿った前記力の垂直成分はゼロである、請求項6〜8の何れか1項に記載のアセンブリ。
【請求項1】
機器又は器具(S)の操作を支援する装置であって、
支持体(15)に設けられて、機器又は器具(S)を取り付けることができる関節型機械的構造(100)と、
該構造(100)が前記機器又は器具(S)に提供するものよりも少ない自由度数に従って前記関節型機械的構造(100)を作動させるモータ駆動部(11、12、13)と、
該モータ駆動手段の自動制御部(16)と
を備えており、
前記制御部(16)は、前記機器又は器具(S)の位置パラメータ及び/又は速度パラメータに対する制約の達成を容易にするために前記モータ駆動部(11、12、13)を駆動し、該モータ駆動部(11、12、13)は、操作者による操作とは独立に当該駆動部自体では前記制約を完全には達成し得ない、
装置。
【請求項2】
前記機器又は器具(S)の前記位置パラメータ及び/又は速度パラメータは、前記モータ駆動部(11、12、13)が動作するときの前記自由度の数よりも大きい自由度数に対応する、請求項1に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項3】
前記制御部(16)は、前記機械的構造(100)が、前記機器又は器具の前記位置パラメータ及び/又は速度パラメータに依存して前記器具に力(
【数1】
)を与えるように前記モータ駆動部を駆動する、請求項1又は2に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項4】
前記関節型機械的構造は、前記器具を担持する又は担持するのに適した関節を含むアームであり、前記力(
【数2】
)は前記関節において前記機器又は器具に伝達される、請求項1〜3の何れか1項に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項5】
前記器具はエコー撮影法プローブ(S)である、請求項1〜4の何れか1項に記載の機器又は器具の操作を支援する装置。
【請求項6】
X線の線源(4)、検出器(3)及び圧迫板(2)を含むマンモグラフィ撮像装置と、
請求項1〜4の何れか1項に記載の操作を支援する装置と
を備えた撮像アセンブリであって、前記器具はエコー撮影法プローブ(S)である、撮像アセンブリ。
【請求項7】
前記力(
【数3】
)は、前記プローブ(S)の前記画像平面(U)が前記患部(I)を含んでいるときにはゼロであり、前記プローブ(S)が前記目標(I)から次第に遠ざかるにつれて増大する、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記力は弾性であり、
【数4】
により定義され、式中、kは剛性定数であり、
【数5】
は前記プローブ(S)と前記患部(I)との間の距離である、請求項6又は7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記圧迫板(2)を含む平面(π)に垂直な軸(
【数6】
)に沿った前記力の垂直成分はゼロである、請求項6〜8の何れか1項に記載のアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−179361(P2012−179361A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−42614(P2012−42614)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42614(P2012−42614)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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