説明

機器収納キャビネット

【課題】カバーの装着を容易に行うことが可能であり、又、切欠部を露出させないことで美観を損ねる恐れをなくすことが可能な機器収納キャビネットを提供する。
【解決手段】
上下側面板の両端部と前面とのそれぞれの断面が略L字状となるように形成した両端部曲げ部及び前面曲げ部と、両端部曲げ部は前面曲げ部より曲げ寸法を大きくすると共に、前面を前面曲げ部と同じ高さとなるように曲げ加工を施して接合させた接合部と、接合部の箇所の前記カバーと対向する位置に設けた切欠部とを備え、カバーは、本体と対向する位置に両端部曲げ部を挿入するための挿入部を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を収納するキャビネット、特にカバー差込式のキャビネットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機器収納キャビネットには特許文献1に示すような、上下側面板52及び底板53から成る本体51と、前面板及び左右側面板を有し前記本体51の開放された前面及び左右側面を閉塞するカバー54とを備え、前記前面板の上下何れか一方に前記本体51に係止操作する平面ハンドルを設け、他方に握持手段を設けたものがある。
【0003】
しかし、特許文献1に記載されているような機器収納キャビネットでは、カバーを装着する際にはカバーを傾ける必要があるため縦方向にスペースが必要となるという欠点がある。
【0004】
この改善策として、本体開口の周縁を断面がL字状となるように形成し、カバーを前面からスライドさせて取り付ける方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−039750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した方法では、仮に本体開口の周縁をL字状に形成してカバーを前面から取り付ける場合でも、カバーの位置がうまく決まらず、嵌め込みが難しいという欠点がある。又、何度か嵌め込む作業を繰り返すこととなるため、作業効率が低下する恐れがあるという欠点がある。
【0007】
又、カバーの取付作業を容易にするためにカバーに誘い込み用の切欠部等を設けることが考えられるが、この場合には切欠部がキャビネット外部に露出することとなり、外観を損ねる恐れがあるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するためになされた本発明の機器収納キャビネットは、上下側面板及び底板からなる本体と、この本体の開放された前面及び左右側面を閉塞するカバーとからなり、上下側面板の両端部と前面とのそれぞれの断面が略L字状となるように形成した両端部曲げ部及び前面曲げ部と、両端部曲げ部は前面曲げ部より曲げ寸法を大きくすると共に、前面を前面曲げ部と同じ高さとなるように曲げ加工を施して接合させた接合部と、接合部の箇所の前記カバーと対向する位置に設けた切欠部とを備え、カバーは、本体と対向する位置に両端部曲げ部を挿入するための挿入部を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本発明の機器収納キャビネットによれば、カバーを前面からスライドさせて取り付けるため縦方向にスペースがない場合でも使用することが可能である。
【0010】
又、曲げ寸法を変えて設けた前面曲げ部と両端部曲げ部の前面との接合部に設けた切欠部が誘いの役割となるためカバーを容易に装着することが可能である。又、本体に誘いを設けるためカバーに施す加工数を少なくする事が可能である。
【0011】
又、カバーを装着すれば本体に設けた切欠部は露出しないため、美観を損ねる恐れをなくすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1における機器収納キャビネットの分解斜視図である。
【図2】図2は図1におけるA方向から見た際の要部拡大斜視図である。
【図3】図3は図1におけるB方向から見た際のカバー装着時の要部拡大斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例2における図2と同じ方向から見た際の要部拡大斜視図である。
【図5】図5は図2及び図4における、図1のX−Xで切った際の要部拡大断面図である。
【図6】図6は従来技術における、特許文献1に記載の電気機器収納箱の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、本体に誘いを設けることで切欠部の露出を防ぎ、美観を損ねることなくカバーの容易な装着を可能にした。
【実施例1】
【0014】
上下側面板2、12、22及び底板3、13、23からなる本体1、11、21と、この本体1、11、21の開放された前面及び左右側面を閉塞するカバー4、24とからなり、上下側面板2、12、22の両端部と前面とのそれぞれの断面が略L字状となるように形成した両端部曲げ部5、15、25及び前面曲げ部6、16、26と、両端部曲げ部5、15、25は前面曲げ部6、16、26より曲げ寸法を大きくすると共に、前面を前面曲げ部6、16、26と同じ高さとなるように段差をつけた曲げ加工を施して接合させた接合部7、17、27と、接合部7、17、27の箇所の前記カバー4、24と対向する位置に設けた切欠部8、18、28とを備え、カバー4、24は、本体1、11、21と対向する位置に両端部曲げ部5、15、25を挿入するための挿入部9、29を備えた。これにより、カバー4、24装着時において、曲げ寸法を変えて設けた前面曲げ部6、16、26と両端部曲げ部5、15、25の前面との接合部7、17、27に設けた切欠部8、18、28が誘いとなるためカバー4、24の容易な装着が可能となる。又、本体1、11、21に誘いを設けるためカバー4、24に施す加工数を少なくする事が可能となる。又、カバー4、24を前面からスライドさせて取り付けるため縦方向にスペースがない場合でも使用することが可能となる。又、カバー4、24を装着すれば本体1、11、21に設けた切欠部8、18、28は露出しないため、美観を損ねる恐れをなくすことが可能となる。又、曲げ部6、16、26のカバー4、24との接触面に樹脂などによる高摺動性部材10、20、30を貼り付けることで、よりカバー4、24の容易な装着が可能である。
【実施例2】
【0015】
上下側面板32、42及び底板33からなる本体31、41と、この本体31、41の開放された前面及び左右側面を閉塞するカバーとからなり、上下側面板31、42の両端部と前面とのそれぞれの断面が略L字状となるように形成した両端部曲げ部35及び前面曲げ部36と、両端部曲げ部35は前面曲げ部36より曲げ寸法を大きくすると共に、前面を前面曲げ部36と同じ高さとなるように傾斜をつけた曲げ加工を施して接合させた接合部37と、接合部37の箇所の前記カバーと対向する位置に設けた切欠部38とを備え、カバーは、本体31、41と対向する位置に両端部曲げ部35を挿入するための挿入部を備えた。これにより、カバー装着時において、曲げ寸法を変えて設けた前面曲げ部36と両端部曲げ部35の前面との接合部37に設けた切欠部38が誘いとなり、かつ接合部37を傾斜に設けたためカバーの容易な装着が可能となる。又、本体31、41に誘いを設けるためカバーに施す加工数を少なくする事が可能となる。又、カバーを前面からスライドさせて取り付けるため縦方向にスペースがない場合でも使用することが可能となる。又、カバーを装着すれば本体31、41に設けた切欠部38は露出しないため、美観を損ねる恐れをなくすことが可能となる。又、曲げ部36のカバーとの接触面に樹脂などによる高摺動性部材40、50を貼り付けることで、よりカバーの容易な装着が可能となる。
【0016】
なお、両端部曲げ部及び前面曲げ部の接合部については本実施例における段差又は傾斜に限定されるものではなく、高低差のある両端部曲げ部と前面曲げ部とを接合させる構造であって、本発明の趣旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
カバーを前面からスライドさせて取り付けるため縦方向にスペースがない場合でも使用することが可能であり、本体に誘いを設けることでカバーの装着を容易にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0018】
1、11、21、31、41、51 本体
2、12、22、32、42、52 上下側面板
3、13、23、33、 53 底板
4、 24、 54 カバー
5、15、25、35 両端部曲げ部
6、16、26、36、46 前面曲げ部
7、17、27、37 接合部
8、18、28、38 切欠部
9、 29 挿入部
10、20、30、40、50 高摺動性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下側面板及び底板からなる本体と、該本体の開放された前面及び左右側面を閉塞するカバーとからなり、前記上下側面板の両端部と前面とのそれぞれの断面が略L字状となるように形成した両端部曲げ部及び前面曲げ部と、該両端部曲げ部は前記前面曲げ部より曲げ寸法を大きくすると共に、前面を前記前面曲げ部と同じ高さとなるように曲げ加工を施して接合させた接合部と、該接合部の箇所の前記カバーと対向する位置に設けた切欠部とを備え、前記カバーは、前記本体と対向する位置に前記両端部曲げ部を挿入するための挿入部を備えた事を特徴とする機器収納キャビネット。
【請求項2】
前記本体において、前記カバーとの接触面に高摺動性部材を貼り付けたことを特徴とする請求項1に記載の機器収納キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−119622(P2011−119622A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278024(P2009−278024)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】