説明

機器用コネクタ

【課題】 端子台を有する機器と端子台を有しない機器に対して共通の電線側コネクタを接続できるようにする。
【解決手段】 電線側ハウジングの第1ハウジング20に、電線側端子の第1端子金具30の間に位置する仕切壁26を設け、端子台12に、第1端子金具30と機器側端子13が接続された状態において仕切壁26との干渉を回避する逃がし部15を設けた。端子13,30間を仕切る仕切壁26を電線側ハウジングに設けたので、電線側ハウジング及び電線側端子を、端子台12を有しない機器に取り付けた場合でも、隣り合う端子間に仕切壁を介在させることができる。したがって、端子台12を有する機器と端子台12を有しない機器に対して共通の電線側コネクタを接続することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車のモータ等の機器に電線を接続するための機器用コネクタとしては、ワイヤーハーネスを構成する電線の端末部をハウジングで保持し、ハウジングを機器のケースに固定するとともにケースの取付孔に電線を貫通させ、電線の端末に固着した雄端子金具を、ケース内の機器側端子に接続する構造のものがある。端子同士の接続構造の一例としては、ケース内に、機器側端子を位置決めするための端子台を設け、その端子台の機器側端子に対して雄端子金具を重ね合わせ、両端子をボルト締めにより固定するものがある(例えば、特許文献1等を参照)。
【特許文献1】特開2002−125348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の端子を並列する構造では、端子間の沿面距離を確保する等の目的で、端子間を仕切る仕切壁を設けることが望ましい。このような仕切壁を設ける手段として、端子台に、機器側端子の間の位置から立ち上がる仕切壁を形成する構造が考えられる。
【0004】
ところで、機器によっては、端子台が設けられていないものがある。これは、機器側端子が機器本体に固定され、機器本体によって機器側端子の位置が定められるため、端子台が不要とされているものである。このような機器においては、上記のように端子間を仕切る仕切壁を端子台に設けることができない。そのため、電線側コネクタに仕切壁を設けることになる。
【0005】
つまり、従来では、ワイヤーハーネスの両端に設けた2つの電線側コネクタのうち一方の電線側コネクタが端子台を有する機器に接続され、他方の電線側コネクタが端子台を有しない機器に接続される場合は、この2つの電線側コネクタは、仕切壁を有するか否かという点で互いに異なる構造のものとなる。このように、1本の電線に構造の異なる2種類の電線側コネクタを設けることは、コスト的に好ましくなく、対策が望まれる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子台を有する機器と端子台を有しない機器に対して共通の電線側コネクタを接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、機器のケース内に設けられ、機器本体に接続された複数の機器側端子を保持する端子台と、複数の電線側端子を電線側ハウジングに保持させてなる電線側コネクタとを備えてなり、前記電線側コネクタを前記機器に取り付けて、前記電線側端子と前記機器側端子を接続するようにした機器用コネクタであって、前記電線側ハウジングに、隣り合う前記電線側端子の間を仕切る形態の仕切壁を設け、前記端子台に、前記電線側端子と前記機器端子が接続された状態において前記仕切壁との干渉を回避する逃がし部を設けたところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記逃がし部と前記仕切壁を嵌合することで、前記電線側端子が前記機器側端子に対して位置決めされる構成としたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
<請求項1の発明>
端子間を仕切る仕切壁を電線側ハウジングに設けたので、電線側ハウジング及び電線側金具を、端子台を有しない機器に取り付けた場合でも、隣り合う端子間に仕切壁を介在させることができる。したがって、端子台を有する機器と端子台を有しない機器に対して共通の電線側コネクタを接続することができる。
【0010】
<請求項2の発明>
機器側端子と電線側端子を接続する際に、双方の端子同士を位置決めすることができるので、作業性がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1〜図8を参照して説明する。本実施形態の機器用コネクタは端子台12と電線側コネクタCとから構成される。まず、機器M(例えば、電気自動車のモータやインバータ等)について説明すると、機器Mは、シールド機能を有する金属製のケース10内に機器本体(図示せず)を収容したものであり、ケース10の側面には、ケース10の外面側から内面側へ貫通する横長長円形の取付孔11が形成されている。
【0012】
ケース10内における取付孔11と対応する位置には、端子台12が固定されている。端子台12は、合成樹脂製であって、全体としてブロック状をなす。端子台12の上面には、左右に並ぶ3つの収容孔12aが形成され、各収容孔12a内には、軸線を上下方向に向けたナット12bが上下左右前後の各方向への僅かな変位を可能に且つ回転を規制された状態で収容されている。端子台12の下半分領域には、その後面(ケース10とは反対側の面)部分を凹ませた形態の切欠部12cが形成され、切欠部12cの後面には、後述するナット14とボルト17を収容するための収容凹部12dが左右に並にで形成されている。端子台12の後面は、切欠部12cに比べてそれよりも上方の領域が後方へ突出しており、この突出している略上半分領域には、左右対称な弾性係止片12eが左右に3対並んで形成されている。
【0013】
端子台12には3つの機器側端子13が取り付けられている。機器側端子13は、細長く肉厚の金属板材を曲げ加工したものであり、側方から視て略「コ」字形をなすとともに前方へ口を開いた形態のコ字形部13aと、コ字形部13aの下端から下方へ延出する脚部13bとからなる。コ字形部13aの上面板部には、端子台12の上面のナット12bと対応するボルト孔13cが上下方向に貫通して形成されている。脚部13bには、前後方向に貫通するボルト孔13dが形成されているとともに、ボルト孔13dと同軸状のナット14が固着されている。かかる機器側端子13は、端子台12に対して後方から組み付けられ、コ字形部13aの上面のボルト孔13cが収容孔12aのナット12bと対応するとともに、脚部12bのナット14が収容凹部12d内に収容された状態となっている。組付け状態では、コ字形部13aが、端子台12の切欠部12cよりも上方の出っ張り部分に嵌合することで、機器側端子13の端子台12に対する上下方向の相対変位が規制され、また、コ字形部13aの後面板部の左右両側縁を弾性係止片12eに係止させることで、機器側端子13の端子台12に対する前後方向への相対変位が規制されるとともに、後面板部が左右両弾性係止片12eによって挟まれることで、機器側端子13の端子台12に対する左右方向への相対変位が規制される。
【0014】
端子台12には、その前面の略下半分領域を前方へ突出させた形態の取付部12fが形成されているとともに、切欠部12cの後面から取付部12fの前面へ前後方向に貫通する左右一対のボルト孔12gが形成されている。かかる端子台12は、取付部12fの前面をケース10の内壁面に面接触状態で当接させるとともに、前後方向に貫通するボルト孔12gに挿通したボルト(図示せず)をケース10の内壁面の雌ネジ孔(図示せず)に螺合して締め付けることにより、ケース10に対して固定して取り付けられている。この取付け状態では、左右方向において端子台12がケース10と対応するように位置するとともに、端子台12の上面が取付孔11とほぼ同じ高さに位置する。
【0015】
また、端子台12には、後述する仕切壁26との干渉を回避するための左右2つの逃がし部15が形成されている。逃がし部15は、端子台12の上面を前後方向(取付孔11に対する電線側コネクタCの取付け方向と平行な方向)に細長い直線溝状に切欠した形態であり、逃がし部15の前端は端子台12の前面に開口され、逃がし部15の後端は端子台12の後端面に開口されている。この2つの逃がし部15は、左右に並べて端子台12に取り付けられている3つの機器側端子13の間に位置している。
【0016】
さらに、端子台12には、その左右両側面に沿って延出させた形態の一対の保護壁12hが形成されている。保護壁12hは、端子台12の上面よりも上方へ突出し、端子台12の略上半分領域における前面よりも前方へ突出し、端子台12の後面よりも後方へ突出している。この一対の保護壁12hにより、左右両側方からの機器側端子13に対する異物の干渉が阻止されている。尚、保護壁12hの前端縁は、取付部12fよりも後方に位置する。また、端子台12には、切欠部12cにおいて隣り合う機器側端子13の後面板部の間に位置する隔壁12iが形成されている。この隔壁12iは、左右方向において逃がし部15と対応するように位置している。
【0017】
電線側コネクタCは、互いに嵌合・離脱を可能とされた第1コネクタCaと、第2コネクタCbとから構成されている。
第1コネクタCaは、第1ハウジング20、第1端子金具30、第1シール部材29及び第1シールドシェル40を備えて構成され、機器Mに直接取り付けられるようになっている。第1ハウジング20は、合成樹脂製であり、横長長円形をなすハウジング本体21内には、前方へ開放された3つの嵌合凹部22が左右に並んで形成されている。ハウジング本体21には、その前端部外周縁から前方へ突出した形態であってハウジング本体21よりも一回り大きい横長長円形のフード部23が形成されている。フード部23内は3つの円形孔24に仕切られており、各円形孔24の奥端面にはハウジング本体21の嵌合凹部22が開口している。ハウジング本体21の後端からは、嵌合凹部22と対応する3つの端子保持部25が後方へ突出するように形成されており、各端子保持部25には第1端子金具30が前後方向に貫通する形態で保持されている。
【0018】
第1端子金具30は、前後方向に細長いタブ状をなす雄形の端子であり、第1ハウジング20を成形するための金型内に第1端子金具30をセットすることでインサート成形により第1ハウジング20と一体化されている。端子保持部25と第1端子金具30との隙間は、インサート成形の際に第1端子金具30の外周に塗布した接着剤31によって液密状に密着(シール)されている。第1端子金具30の前端部30Fは端子保持部25の前端面から嵌合凹部22内へ突出しており、第1端子金具30の後端部30Rは端子保持部25の後端面から後方(ケース10内)へ突出して第1ハウジング20の外部に露出している。第1端子金具30の後端部30Rには、ボルト孔30Hが形成されている。
【0019】
また、第1ハウジング20には、ハウジング本体21の後端面における端子保持部25の間の位置から後方へ片持ち状に突出する2つの仕切壁26が形成されている。仕切壁26の上縁はハウジング本体21の上面と面一であり、仕切壁26の下縁はハウジング本体21の下面と面一であり、第1端子金具30は、仕切壁26の上縁と下縁の間の高さに位置する。また、仕切壁26の後端は、第1端子金具30の後端部30Rよりも更に後方に位置している。つまり、仕切壁26は、隣り合う端子保持部25の間を互いに見通せないように仕切るとともに、隣り合う第1端子金具30の端子保持部25からの露出部分同士の間を互いに見通せないように仕切るように設けられている。この2つの仕切壁26は、平板状をなし、上記端子台12の逃がし部15に対して左右方向に大きくガタ付くことなくほぼ緊密に嵌合されるようになっている。
【0020】
フード部23の後端部外周には、全周に亘って連続する長円形のフランジ状をなす被押圧部27が形成され、被押圧部27の後端面とフード部23の後端面とが、ハウジング本体21の外周を包囲するように面一状に連なっている。そして、この面一状をなす被押圧部27及びフード部23の後端面には、ハウジング本体21の外周を包囲するように横長長円形をなすシール溝28が形成され、このシール溝28に、長円形のリング状をなすゴム製の第1シール部材29が装着されている。
【0021】
第1シールドシェル40は、アルミダイキャスト製であって、横長長円形をなす筒状の押圧部41と、この押圧部41の外周に形成したフランジ部42とを一体形成したものである。押圧部41の略前半部分は略後半部分に対して段差状に一回り小さくなっており、この段差により、押圧部41の内周には、全周に亘って連続し且つ後方に面する長円形の押圧面43が形成されている。また、フランジ部42には、ケース10の雌ネジ孔(図示せず)と対応するボルト孔43が形成されている。かかる第1シールドシェル40の押圧部41は、第1ハウジング20に対してこれを包囲するように組み付けられる。
【0022】
かかる第1コネクタCaは、ケース10の外側から取付孔11に組み付けられる。組付け状態では、仕切壁26と端子保持部25が取付孔11を通過してケース10内に進出し、ハウジング本体21が取付孔11に貫通し、被押圧部27がケース10の外面に近接して対向し、第1シール部材29がケース10の外面に密着した状態となる。また、第1シールドシェル40は、ケース10の外側においてフード部23に外嵌するように第1ハウジング20に組み付けられ、押圧部41内にフード部23の後端部及び被押圧部27を収容させるとともに、押圧面43で被押圧部27の前端面を全周に亘って後方(ケース10側)へ押圧する。第1シールドシェル40のフランジ部42のボルト孔に通したボルト(図示せず)をケース10の雌ネジ孔に螺合すると、第1シールドシェル40が、その押圧部41の後端面をケース10の外面に面接触させた状態でケース10に対して導通可能に固定される。また、押圧面43が被押圧部27を押圧することで、シール部材がケース10の外面に押し付けられ、このシール部材により、ケース10の外面における取付孔11の周縁部と第1ハウジング20の外周との隙間が全周に亘って液密状にシールされる。以上により、ケース10に対する第1コネクタCaの組付けが完了し、フード部23が第1シールドシェル40よりも前方へ突出して第2コネクタCbとの接続に備えて待機する。また、第1端子金具30の後端部は、機器M本体に接続された端子金具(図示せず)に対してボルトにより導通可能に固定される。
【0023】
第1コネクタCaをケース10に組み付ける過程では、2つの仕切壁26の先端が端子台12の逃がし部15の前端部に嵌入することで、第1コネクタCaが端子台12に対して左右方向に位置決めされる。そして、この後は、仕切壁26の下端縁部と逃がし部15との嵌合により第1コネクタCaが案内され、取付孔11に対して所定の位置に誘導される。
【0024】
また、第1コネクタCaをケース10に固定した状態では、仕切り壁26の下端縁部がその全長に亘って逃がし部15内に嵌合し、仕切壁26の下端縁部を除いた大部分は、端子台12の上面(機器側端子13の上面)よりも上方へ突出した状態となる。また、仕切壁26の先端縁は、前後方向において保護壁12hの後端縁とほぼ同じ位置、即ち機器側端子13よりも後方の位置にある。仕切壁26の上端縁は、機器側端子13よりも上方の位置であって、保護壁12hの上端縁よりも低い位置にある。
【0025】
第1コネクタCaをケース10に固定した後、上からボルト16を第1端子金具30のボルト孔30Hと機器側端子13のボルト孔13cに差し込んでナット12bに螺合し、締め付ける。これにより、両端子13,30が導通可能に接続されるとともに、両端子13,30間でガタ付きを生じないように結合される。また、両端子13,30を接続した状態において、ボルト16の頭部の上面は仕切壁26の上端縁よりも低い位置にある。尚、ボルト16を締め付けるときにはインパクトレンチなどの工具を用いるが、各ボルト16は左右から一対の仕切壁26で挟まれているので、この両仕切壁26を案内手段とすることにより工具をボルト16の頭部に対して容易に嵌めることができる。また、機器側端子13の脚部13bの後面には、機器本体(図示せず)に接続された機器直結端子19が重ねられ、ボルト17をナット14に締め付けることによって機器側端子13と機器直結端子19が導通可能に接続される。
【0026】
次に、第2コネクタCbについて説明する。
第2コネクタCbは、第2ハウジング50、第2端子金具60及び第2シールドシェル70を備えて構成され、ワイヤーハーネスWの端末部に取り付けられている。
第2ハウジング50は、合成樹脂製であり、横長長円形をなす連結部51の前端面から前方へ突出する複数(本実施形態では図示しないが3つ)の嵌合部52を左右に並ぶように形成したものである。第2ハウジング50内には、各嵌合部52と対応するように後方に開放された複数(3つ)のキャビティ53が形成され、各キャビティ53内には第2端子金具60が後方から挿入されている。各嵌合部52は、夫々、対応する円形孔24及び嵌合凹部22内に嵌入されるようになっており、各嵌合部52の外周には、円形孔24の内周との隙間を液密状にシールするための電線側シール部材55が装着されている。
【0027】
第2端子金具60は、ワイヤーハーネスWを構成する複数の電線64の端末部に圧着により接続されたものであり、前端部に角筒部61を有する雌形の端子である。キャビティ53に挿入された第2端子金具60は、キャビティ53のランス62により抜止め状態に保持される。また、電線64の外周とキャビティ53の後端部内周との隙間は、電線64に外嵌したゴム栓63によって液密状にシールされている。
【0028】
第2シールドシェル70は、アルミダイキャスト製であって、横長長円形をなす筒状の本体部71と、この本体部71の外周前端縁に形成したフランジ状の取付部72とを一体形成したものである。本体部71の略前半部分は複数(3つ)の嵌合部52を一括して包囲し、本体部71の略後半部分は第2ハウジング50の連結部51に外嵌されている。本体部71は、第2ハウジング50に対してその連結部51及び嵌合部52の略後半部分を包囲するように組み付けられる。本体部71の略後半部分の外周には、複数(3本)の電線64を一括して包囲する編組線からなるシールド部材66の端末部が外嵌され、このシールド部材66がカシメリング67によって本体部71に対して導通可能に固着されている。尚、シールド部材66は電線64とともにワイヤーハーネスWを構成する。また、フランジ状の取付部72には、ケース10の雌ネジ孔(図示せず)及び第1シールドシェル40のボルト孔(図示せず)と対応するボルト孔(図示せず)が形成されている。さらに、シールド部材と電線は、金属製若しくは硬質合成樹脂製のカバーによって覆われており、このカバーが第2シールドシェル70に係合されている。
【0029】
かかる第2コネクタCbは、ケース10の外部において第1コネクタCaに嵌合され、もって電線側コネクタCが構成される。尚、第1ハウジング20と第2ハウジング50は、本発明の構成要件である電線側ハウジングを構成する。また、第1端子金具30と第2端子金具60は、本発明の構成要件である電線側端子を構成する。
【0030】
両コネクタCa,Cbの嵌合に際しては、各嵌合部52を、夫々、対応するフード部23及び嵌合凹部22内に嵌め込むことで、第1ハウジング20と第2ハウジング50が嵌合される。また、第2シールドシェル70の取付部72を第1シールドシェル40のフランジ部42の外面に面接触状態で当接させ、双方のボルト孔に通したボルトをケース10の雌ネジ孔に螺合することで、第2シールドシェル70が第1シールドシェル40を介してケース10に対して導通可能に固定される。以上により、コネクタCa,Cb同士の嵌合が完了する。嵌合状態では、第1端子金具30の前端部30Fが第2端子金具60の角筒部61内に進入し、角筒部61内の弾性接触片65と弾性接触し、もって、端子金具30,60同士が導通可能に接続される。また、ハウジング20,50同士の嵌合部分においては、第1ハウジング20の円形孔24の内周と第2ハウジング50の嵌合部52の外周との隙間が、電線側シール部材55により液密状態にシールされている。
【0031】
両コネクタCa,Cbを嵌合した状態では、取付孔11と第1ハウジング20との隙間が第1シール部材29によってシールされているので、ケース10の外面に沿った液体が取付孔11内に浸入することが阻止される。また、外部から第1ハウジング20と第1シールドシェル40との隙間、又は第1シールドシェル40と第2シールドシェル70との隙間を通って第1ハウジング20のフード部23の外周まで入り込んだ液体は、電線側シール部材55によりフード部23内(端子金具30,60同士の接続部分)への浸入を阻止される。第2ハウジング50と第2シールドシェル70との隙間に入り込んだ液体も、電線側シール部材55により、フード部23内(端子金具30,60同士の接続部分)への浸入を阻止される。
【0032】
一方、ケース10内に貯留されている液体(例えば、オイル等)が取付孔11と第1ハウジング20との隙間に入り込んだ場合、その液体は、第1ハウジング20とケース10の外面との間に設けられている第1シール部材29により、ケース10の外部への漏出を阻止される。したがって、第1コネクタCaから第2コネクタCbを外した状態においても、ケース10内の液体が取付孔11と第1ハウジング20との隙間を通って外部へ漏出することはない。
【0033】
上述のように本実施形態においては、隣り合う第1端子金具30間及び隣り合う機器側端子13間を仕切る仕切壁26を、端子台12にではなく電線側コネクタCに設けたので、電線側コネクタCを、端子台12を有しない機器Mに取り付けた場合でも、隣り合う第1端子金具30間及び隣り合う機器側端子13間に仕切壁26を介在させることができる。したがって、端子台12を有する機器Mと端子台12を有しない機器mに対して共通の電線側コネクタCを接続することが可能である。
【0034】
また、逃がし部15と仕切壁26を嵌合することで、電線側金具である第1端子金具30が機器側端子13に対して位置決めされるようにしたので、第1端子金具30と機器側端子13を接続する際に、双方の端子13,30同士を位置決めすることができ、作業性に優れている。
【0035】
また、本実施形態においては、機器Mのケース10の外面を伝って取付孔11からケース10の内部に至る経路での浸水、及びこれとは逆の経路での漏水は、第1ハウジング20とケース10の外面との間に介在させた第1シール部材29によって阻止される。また、第2コネクタCbを第1コネクタCaから外した状態では、第1ハウジング20と第1シールドシェル40との隙間が、第1シール部材29によってケース10の内部から液密状に隔絶されているので、第1シールドシェル40と第1ハウジング20との隙間を介してケース10の内外を連通させる経路は防水される。このように第1シール部材29が、2つの経路を防水する機能を兼ね備えているので、部品点数が増えずに済んでいる。
【0036】
また、第1シールドシェル40が、薄板状に比べて変形し難いアルミダイキャスト製とされ、その第1シールドシェル40の押圧部41が、第1ハウジング20を全周に亘ってケース10の外面側へ押圧しているで、第1シール部材29が第1ハウジング20とのケース10との間で強固に挟み付けられることとなり、第1シール部材29によるシール性能の信頼性が高い。
【0037】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では端子の極数を3極としたが、本発明は、端子が2極又は4極以上の場合でも適用できる。
(2)上記実施形態では仕切壁と逃がし部がガタ付きなく緊密に嵌合するようにしたが、本発明によれば、仕切壁と逃がし部との間に隙間が生じるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では機器側端子と電線側金具がボルト締めによって接続する場合について説明したが、本発明は、双方の端子がボルト締め以外の手段によって接続される場合にも適用できる。
(4)上記実施形態では電線側コネクタが雄側コネクタと雌側コネクタの分離可能な2つのコネクタによって構成されているが、本発明によれば、電線側コネクタが分離不能な単一形態のコネクタであってもよい。
(5)上記実施形態では電線側コネクタをケースに固定したが、本発明によれば、電線側コネクタを端子台に固定してもよい。
(6)上記実施形態ではシールド機能を有するものについて説明したが、本発明は、シールド機能を有しないものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態1において端子台に電線側コネクタの第1コネクタを組み付けた状態をあらわす平面図
【図2】端子台に第1コネクタを組み付けた状態をあらわす縦断面図
【図3】第1コネクタに第2コネクタを嵌合して電線側コネクタを構成した状態をあらわす縦断面図
【図4】第1コネクタを端子台から外した状態をあらわす平面図
【図5】第1コネクタを端子台から外した状態をあらわす縦断面図
【図6】第1コネクタの水平断面図
【図7】第1コネクタの背面図
【図8】端子台の背面図
【符号の説明】
【0039】
C…電線側コネクタ
M…機器
11…ケース
12…端子台
13…機器側端子
15…逃がし部
20…第1ハウジング(電線側ハウジング)
26…仕切壁
30…第1端子金具(電線側端子)
50…第2端子金具(電線側端子)
60…第2ハウジング(電線側ハウジング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のケース内に設けられ、機器本体に接続された複数の機器側端子を保持する端子台と、
複数の電線側端子を電線側ハウジングに保持させてなる電線側コネクタとを備えてなり、
前記電線側コネクタを前記機器に取り付けて、前記電線側端子と前記機器側端子を接続するようにした機器用コネクタであって、
前記電線側ハウジングに、隣り合う前記電線側端子の間を仕切る形態の仕切壁を設け、
前記端子台に、前記電線側端子と前記機器端子が接続された状態において前記仕切壁との干渉を回避する逃がし部を設けたところに特徴を有する機器用コネクタ。
【請求項2】
前記逃がし部と前記仕切壁を嵌合することで、前記電線側端子が前記機器側端子に対して位置決めされる構成としたことを特徴とする請求項1記載の機器用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−31962(P2006−31962A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204805(P2004−204805)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】