説明

機械のシール組立体

【課題】機械及び機械用のシール組立体を提供する。
【解決手段】本機械(100)及び機械(100)用のシール(108、904)組立体(101)は、回転シャフト(106)と、該回転シャフト(106)に結合されたホイール(104)とを含み、ホイール(104)は、該ホイール(104)に結合されたバケット(102)を含み、本機械(100)及び機械(100)用のシール(108、904)組立体(101)はさらに、バケット(102)及びホイール(104)の側面に沿って延びかつ該バケット及びホイール間のインタフェース部(804)を覆ったシール(108、904)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、総括的には機械及び機械用のシール組立体に関し、より具体的には、機械の運転、性能及び効率を改善するシール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
機械性能は、加圧冷却空気の喪失及び高温ガス流の吸込みによって低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,264,448号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
機械及び機械用のシール組立体は、回転シャフトと、該回転シャフトに結合されたホイールとを含み、ホイールは、該ホイールに結合されたバケットを含み、本機械及び機械用のシール組立体はさらに、バケット及びホイールの側面に沿って延びかつ該バケット及びホイール間のインタフェース部を覆ったシールを含む。
【0005】
本発明の第1の態様は、機械を提供し、本機械は、回転シャフトと、該回転シャフトに結合されかつそれに結合されたバケットを備えたホイールと、バケット及びホイールの側面に沿って延びかつ該バケット及びホイール間のインタフェース部を覆ったシールとを含む。
【0006】
本発明の第2の態様は、回転シャフトを有する機械用のシール組立体を提供し、本シール組立体は、回転シャフトに結合されかつそれに結合されたバケットを備えたホイールと、バケット及びホイールの側面に沿って延びかつ該バケット及びホイール間のインタフェース部を覆ったシールとを含む。
【0007】
本開示のこれらの及びその他の特徴は、本発明の様々な態様を示す添付図面と関連させてなした本発明の様々な態様の以下の詳細な説明から一層容易に理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】機械からのバケット及びホイールの断面図。
【図2】カバープレート及びシールを示す図1の区域からの拡大図としての機械からのバケット及びホイールの断面図。
【図3】ガス及び空気流の移動を示す機械の断面図。
【図4】単一のスプリットを備えた360°シングルコイルシールを示す図。
【図5】その端部が機械的に結合された単一のスプリットを備えかつその機械的結合端部上にセグメント化カバープレートを設けた360°シングルコイルシールを示す図。
【図6】720°マルチコイルシールを示す図。
【図7】セグメント化シールの一部分を示す図。
【図8】その上にセグメント化カバープレートを備えたセグメント化シールの一部分を示す図。
【図9】機械からのバケット及びホイールの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面は正確な縮尺でないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って本発明の技術的範囲を限定するものとして考えるべきではない。図面では、同じ参照符号付けが、図面間で同様の要素を表している。
【0010】
上述したように、本発明の態様は、機械の運転、性能及び効率の改善をもたらす。本出願全体にわたって使用する場合に、機械という表現には、ガスタービン、蒸気タービン及び圧縮機が含まれることになる。1つの実施形態では、本明細書に述べた本発明は、機械のホイール及びバケットに対して締結されたカバープレートと、該カバープレート並びにホイール及びバケット間に配置されたシールとを含む。機械上におけるカバープレート及びシールの1つの特徴は、それらがシステムからの加圧空気の喪失を減少させることである。加えて、カバープレート及びシールは、ホイールスペース内への高温ガスの流入を防止しかつ機械の二次空気流を助けることができることである。その上、本明細書に述べたカバープレート及びシールは、機械に対する保守整備を可能にすることができる。さらに、カバープレート及びシールは、半体シェル上に回転シャフトを位置させた状態で該カバープレート及びシールを取付けかつ取外すことができるので、機械の組立及び分解を可能にすることができる。カバープレート及びシールはまた、熱シールドとして作用させることによって機械の性能を改善することができ、また減衰作用を付加することによって振動を低減することができる。カバープレート及びシールは、ホイールの前方側面又は後方側面上に取付けることができる。それに代えて、カバープレート及びシールは、ホイールの前方側面及び後方側面上に取付けることができる。
【0011】
図面に移ると、図1は、シール組立体101を備えた機械100の関連部分の断面図を示している。機械100は、バケット102と、ホイール104と、回転シャフト106とを含む。理解されるように、機械100の回転シャフト106に対して、少なくとも1つのホイール104が結合される。各ホイール104は、その上にガスが作用して回転シャフトを回転させる複数のバケット102を含むことができる。
【0012】
図2は、図1の関連部分の拡大図を示している。シール組立体101は、シール108と、カバープレート110と、エンジェルウィング112とを含む。1つの実施形態では、カバープレート110は、フック206を使用して機械100のホイール104に対して締結される。ホイール104に対してカバープレート110を締結するようになった別の
実施形態では、例えばリングを保持するボルト、ピン、スタック又はバイオネットを含むことができる。別の実施形態では、カバープレート110は、機械100のバケット102内のスロット210に係合する外側端縁部を含むことができる。
【0013】
図3は、ガス及び空気流の移動を示す、機械100の断面図を示している。図3は、機械100のノズル302を示している。図示するように、ノズル302は、バケット102の両側に設置される。しかしながら、バケットが最終段バケットである場合には、ノズル302は、バケット102の前方側のみに存在することになることを理解されたい。高温ガス流308が、バケット102を横切って移動する。機械100の前方(左側)つまり上流側においてノズル302の直ぐ下方に、ノズル支持リング304が設けられる。機械100の後方(右側)つまり下流側においてノズル302の直ぐ下方に、ダイアフラム306が設けられる。ノズル302は、その前方及び後方側面の両方上に該ノズル302からホイール104に向かって延びる一部305を含む。前方側には、ノズル支持リング304とホイール104との間に、ホイールスペース314が設けられる。後方側には、ダイアフラム306とホイール104との間に、ホイールスペース314が設けられる。
【0014】
ホイールスペースパージ空気312が、ホイールスペース314を通って移動する。加えて、バケット供給冷却空気(図示せず)が、ホイール104からバケット102に向かって移動する。ホイールスペースパージ空気312の移動の図示は、ホイールスペースパージ空気がホイールスペース314を通りかつホイール104を横切って移動するものとして示している。カバープレート110は、前方側でホイール104とノズル支持リング304との間をまた後方側でホイール104とダイアフラム306との間を移動することができるホイールスペースパージ空気312の量を減少させるのを助ける。加えて、カバープレート110は、バケット供給冷却空気がバケット102に到達するのをまたホイールスペース314に流入しないようにするのを助ける。上記のように、1つの実施形態では、カバープレート110及びシール108は、ホイール104の前方側面又は後方側面上に取付けることができる(図1)。別の実施形態では、カバープレート110及びシール108は、ホイール104の前方側面及び後方側面上に取付けることができる。加えて、カバープレート110上には、1つ又はそれ以上のエンジェルウィング112を設けることができる。エンジェルウィング112は、高温流路ガスがホイールスペース314に流入するのを防止するのを助けることができる。
【0015】
カバープレート110及びシール108が存在しない場合には、ホイールスペースパージ空気312は、ホイール104内の貫通孔316に流入することが可能になる。カバープレート110及びシール108が存在する場合には、ホイール104を通してホイールスペース314に流入する又は該ホイールスペース314内に移動するホイールスペースパージ空気312の量を減少又は排除することができる。カバープレート110及びシール108が取付けられていない場合には、ホイールスペースパージ空気310は、ホイール104とホイールスペース314との間を移動することが可能になることになる。カバープレート110及びシール108は、ホイールスペースパージ空気312の喪失を防止するのを助ける。その上、カバープレート110及びシール108が存在しない場合には、バケット供給冷却空気は、ホイールスペース314に流入することが可能になる。
【0016】
1つの実施形態では、カバープレート110をセグメント化することができる。別の実施形態では、シール108をセグメント化することができる。さらに別の実施形態では、カバープレート110及びシール108の両方をセグメント化することができる。セグメント化カバープレート806及びセグメント化シール700或いはセグメント化カバープレート806又はセグメント化シール700のいずれかを設けた、図8に示すさらに別の実施形態では、シール108は、セグメント化カバープレート806上のインタフェース部(接合部)804とオーバラップするように配置して、隣接する円周方向に配置したカバープレートセグメント802間のギャップを排除する。
【0017】
カバープレート110及びシール108はまた、機械100の二次流の設計を支援するように使用することができる。具体的には、カバープレート110及びシール108は、指向部位への空気及びガス流の移動を助けるように取付け又は配置することができる。その上、カバープレート110及びシール108は、加圧ガス(例えば、ホイールスペースパージ空気及びバケット供給冷却空気)の漏洩及び高温ガスの吸込みを防止するように取付け又は配置することができる。加えて、カバープレート110及びシール108は、ホイール104に接触する又はホイール104の近傍に達する高温ガス流308の量を減少させることによって或いはバケット102とホイール104との間に付加的なバリヤを形成することによって該ホイール104用の熱シールドとして使用することができる。さらに別の実施形態では、カバープレート110及びシール108は、ホイール104及びバケット102上の並びに全体として機械100についての振動を減衰するように使用することができる。例えば、カバープレート110及びシール108は、ホイール104とバケット102との間の付加的な機械継手を構成することができる。バケット102とホイール104との間の付加的な機械継手は、剛性を高め、機械100が運転中である間における振動を低減することができる。
【0018】
図4に移ると、単一のスプリットを備えた360°シングルコイルシール(「シングルコイルシール」)402を示している。シングルコイルシール402は、工場における及び機械100が顧客側サイトにある場合の両方における、機械100上での組立及び分解を含む取付け及び保守整備を可能にする。1つの実施形態では、シングルコイルシール402は、シールをバラバラに広げるのを可能にして、機械100の保守整備及び補修を可能にする。さらに別の実施形態では、シングルコイルシール402がその円周部内に破断部を有することによって、シングルコイルシール402は可撓性を備えて、機械100上でまた機械100から外して該シングルコイルシール402を巧みに操作することができるようになる。別の実施形態では、その単一のスプリットを備えたシングルコイルシール402は、該シール402を上に詳細に説明したように機能させることができまた機械100に対して取付け及び取外しすることができるような剛性及び耐久性を保持している。
【0019】
図5に移ると、また図4も引き続き参照すると、シングルコイルシール502の端部は、例えばトング及びグルーブ、重ね継手、ダブテール、突合せ継手、溶接部或いはロウ付け部によって機械的に結合することができる。その上、カバープレート504は、シングルコイルシール502を機械的に結合する時に、該シングルコイルシール502内の接合部(継手)を覆って配置することができる。1つの実施形態では、カバープレート504を備えた機械的に結合したシングルコイルシールは、カバープレート504上に配置されて、隣接する円周方向に配置したカバープレートセグメント504間のギャップ506を排除したシングルコイルシール402を有することになる。
【0020】
図6は、720°マルチコイルシール(「マルチコイルシール」)602を示している。1つの実施形態では、マルチコイルシールの端部は、互いに機械的に結合されない。このことは、機械100の取付け及び保守整備の間に加えて、機械100上でのマルチコイルシール602の取付け及び取外しの間においてシールの可撓性を可能にする。他の実施形態は、必要に応じて、720°以上を有するマルチコイルシールを含むことができる。
【0021】
図7に移ると、セグメント化シール700の一部分を示している。セグメント化シール700は、セグメント704を連結するようになった継手(接合部)702を含む。1つの実施形態では、カバープレート110は、セグメント化シール700上の取付けることができる。図8は、それを覆ってセグメント化カバープレート806を備えたセグメント化シール700を示している。引き続き図7を参照しながら図8を精査すると、1つの実施形態では、カバープレート継手(接合部)804は、セグメント化シール700がカバープレートセグメント804上に配置されて、隣接する円周方向に配置したカバープレートセグメント間のギャップ506を排除するように該セグメント化シール700の継手(接合部)と千鳥配置することができる。
【0022】
図9に移ると、この図は、シール904がバケット102及びホイール104の側面に沿って延びかつ該バケット及びホイール間のインタフェース部を覆っているさらに別の実施形態を示している。シール904は、バケット102上のフック902によって該バケット102に取付けることができ、またシール904は、ホイール104上のフック906によって該ホイール104に取付けることができる。シール904は、ホイール104の前方又は後方側面上に配置することができる。付加的な実施形態では、シール904は、ホイール104の前方及び後方側面上に配置することができる。シール904は、上記のシールのいずれかの形態をとることができる。
【0023】
本明細書では、様々な実施形態について説明しているが、当業者が要素の様々な組合せ、それらの変形或いは改良を行うことができ、またそれらが本発明の技術的範囲内にあることは、本明細書から分かるであろう。さらに、本発明の技術的範囲から逸脱せずに特定の状況及び物的事項を本発明の教示に適合させるように、多くの変更を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではないこと、また本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲内に属する全ての実施形態を含むことになることを意図している。
【符号の説明】
【0024】
100 機械
101 シール組立体
102 バケット
104 ホイール
106 回転シャフト
108、904 シール
110、504 カバープレート
112 エンジェルウィング
206、902、906 フック
208 外側端縁部
210 スロット
302 ノズル
304 ノズル支持リング
305 一部
306 ダイアフラム
308 高温ガス流
314 ホイールスペース
310、312 パージ空気
316 貫通孔
402、502 シングルコイルシール
504、802、804 カバープレートセグメント
506 ギャップ
602 マルチコイルシール
700 セグメント化シール
702 継手(接合部)
704 セグメント
804 インタフェース部(接合部)
804 カバープレート継手(接合部)
806 セグメント化カバープレート
902、906 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械(100)であって、
回転シャフト(106)と、
前記回転シャフト(106)に結合されたホイール(104)と、
前記ホイール(104)に結合されたバケット(102)と、
前記バケット(102)及びホイール(104)の側面に沿って延びかつ該バケット及びホイール間のインタフェース部(804)を覆ったシール(108、904)と、を含む、
機械。
【請求項2】
前記バケット(102)が、該機械(100)のバケット(102)に対して前記シール(108、904)を締結するようになったフック(206、902、906)を含む、請求項1記載の機械。
【請求項3】
前記ホイール(104)が、該機械(100)のホイール(104)に対して前記シール(108、904)を締結するようになったフック(206、902、906)を含む、請求項1記載の機械。
【請求項4】
前記シール(108、904)が、単一のスプリットを備えた360°シール(108、904)を含む、請求項1記載の機械。
【請求項5】
前記シール(108、904)が、720°マルチコイルシールを含む、請求項1記載の機械。
【請求項6】
前記シール(108、904)が、セグメント化シールを含む、請求項1記載の機械。
【請求項7】
前記シール(108、904)が、前記ホイール(104)の前方側面上に取付けられる、請求項1記載の機械。
【請求項8】
前記シール(108、904)が、前記ホイール(104)の後方側面上に取付けられる、請求項1記載の機械。
【請求項9】
前記シール(108、904)が、前記ホイール(104)の前方側面及び後方側面上に取付けられる、請求項1記載の機械。
【請求項10】
回転シャフト(106)を有する機械(100)用のシール(108、904)組立体(101)であって、
前記回転シャフト(106)に結合されたホイール(104)と、
前記ホイール(104)に結合されたバケット(102)と、
前記バケット(102)及びホイール(104)の側面に沿って延びかつ該バケット及びホイール間のインタフェース部(804)を覆ったシール(108、904)と、を含む、
シール組立体。
【請求項11】
前記バケット(102)が、前記機械(100)のバケット(102)に対して前記シール(108、904)を締結するようになったフック(206、902、906)を含む、請求項10記載のシール組立体。
【請求項12】
前記ホイール(104)が、前記機械(100)のホイール(104)に対して前記シール(108、904)を締結するようになったフック(206、902、906)を含む、請求項10記載のシール組立体。
【請求項13】
前記シール(108、904)が、単一のスプリットを備えた360°シール(108、904)を含む、請求項10記載のシール組立体。
【請求項14】
前記シール(108、904)が、720°マルチコイルシールを含む、請求項10記載のシール組立体。
【請求項15】
前記シール(108、904)が、セグメント化シールを含む、請求項10記載のシール組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−216657(P2010−216657A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52474(P2010−52474)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】