説明

機械の動作を監視する際に使用するための監視システムおよび監視システムをレトロフィットする方法

【課題】安全上の懸念を引き起こすことがありかつ/または1つもしくは複数の規制基準に違反し得る電磁放射を絶縁しまたは低減すること。
【解決手段】少なくとも1つの監視モジュール(144)を含む監視システム(100)内で使用するためのハウジング(108)を提供する。このハウジングは、内部空洞(114)の境界を定める外殻(204)であって、その外殻には少なくとも1つの開口(136)が画定され、その少なくとも1つの開口は内部空洞と流体連通する、外殻(204)と、その少なくとも1つの開口(218)の外周(306)を取り巻いて外殻に結合された少なくとも1つのガスケット(304)であって、少なくとも1つの監視モジュールがハウジング内に配置されたとき、内部空洞を電磁放射から絶縁するのを助ける、少なくとも1つのガスケット(304)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に監視システムに関し、より具体的には、機械の動作を監視する際に使用するための監視システム、および監視システムをレトロフィットする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の機械は、動作中に振動や他の異常な挙動を示すことがある。1つまたは複数のセンサを使用してそのような挙動を測定しかつ/または監視し、例えばモータ駆動シャフトに現れる振動の量、モータ駆動シャフトの回転速度、および/または動作中の機械もしくはモータの他の任意の好適な動作上の特性を決定することができる。しばしば、センサは、複数のモニタを含む監視システムに結合される。監視システムは1つまたは複数のセンサから測定値を表す信号を受け取り、それらの信号に対して少なくとも1つの処理ステップを実行し、次いで修正された信号を診断プラットフォームに伝送し、その診断プラットフォームは少なくとも1つのモニタによりそれらの測定値をユーザに向けて表示する。
【0003】
少なくとも一部の既知の監視システムは、1つまたは複数のモニタにセンサを結合するために使用するシステムバックプレーン内に少なくとも1つの電気バスを含む。二次バックプレーンをシステムバックプレーンに結合して、監視システムとともに高速モニタを使用できるようにすることができる。高速モニタおよび/または二次バックプレーンは、互いに1つまたは複数の高速信号を伝送し合うことができる。しかし、そうした高速信号の伝送中に、安全上の懸念を引き起こすことがありかつ/または1つもしくは複数の規制基準に違反し得る電磁放射が生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7511970号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、少なくとも1つの監視モジュールを有する監視システム内で使用するためのハウジングが提供され、このハウジングは内部空洞の境界を定める外殻を含む。外殻には少なくとも1つの開口が画定され、その少なくとも1つの開口は内部空洞と流体連通する。このハウジングは、少なくとも1つの開口の外周を取り巻いて外殻に結合された少なくとも1つのガスケットを含む。その少なくとも1つのガスケットは、少なくとも1つの監視モジュールがハウジング内に配置されたとき、内部空洞を電磁放射から絶縁するのを助ける。
【0006】
別の実施形態では、機械の動作を監視する際に使用するための監視システムが提供され、この監視システムは少なくとも1つの監視モジュールと、内部空洞の境界を定める外殻を含む第1のハウジングとを含む。外殻には少なくとも1つの開口が画定され、その少なくとも1つの開口は内部空洞と流体連通する。少なくとも1つのガスケットが、少なくとも1つの開口の外周を取り巻いて外殻に結合される。その少なくとも1つのガスケットは、少なくとも1つの監視モジュールが第1のハウジング内に配置されたとき、内部空洞を電磁放射から絶縁するのを助ける。
【0007】
さらに別の実施形態では、監視システムをレトロフィットする方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのレガシー監視モジュールが配置されている第1のハウジングを用意するステップと、第1のハウジングからその少なくとも1つのレガシー監視モジュールを取り除くステップと、第1のハウジングの中に第2のハウジングを少なくとも部分的に挿入するステップとを含む。第2のハウジングは、内部空洞の境界を定める外殻を含み、その外殻は、内部空洞と流体連通する少なくとも1つの開口を画定する後部と、その後部に結合された少なくとも1つのガスケットとを含み、その少なくとも1つのガスケットは内部空洞を電磁放射から絶縁するのを助ける。第2のハウジングの中に、少なくとも1つのアップグレードされた監視モジュールが挿入される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】機械の動作を監視するために使用することができる例示的監視システムの側断面図である。
【図2】図1に示す監視システムとともに使用することができる例示的ハウジングの全体図である。
【図3】図2に示すハウジングの一部分についての分解図である。
【図4】図2に示すハウジングの一部分についての正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、機械(不図示)の動作を監視するために使用することができる例示的監視システム100の側断面図である。この例示的実施形態では、監視システム100は、1つまたは複数のトランスデューサ102もしくは他のセンサを使用し、1つまたは複数の機械の、1つまたは複数の動作状態を監視し、検知し、かつ/または測定する。より具体的には、この例示的実施形態ではトランスデューサ102が、トランスデューサ102から信号を受け取るシステムバックプレーン104に結合される。その信号は、機械および/または機械の1つもしくは複数のコンポーネントの測定された動作状態を示す。さらにこの例示的実施形態では、監視システム100は、システムバックプレーン104に結合された電力供給部106から電力を得る。あるいは監視システム100は、システム100が本明細書に記載するように機能することを可能にする任意の好適な電源から電力を得ることができる。この例示的実施形態では、システムバックプレーン104は、複数の導線(不図示)を含む監視システムバス(図1には不図示)を含む。本明細書で使用するとき、用語「結合」は、コンポーネント間の直接的な機械的接続および/または電気的接続に限定されず、コンポーネント間の間接的な機械的接続および/または電気的接続も含むことができる。
【0010】
システムバックプレーン104は、メインハウジング108の中に位置する。この例示的実施形態においてシステムバックプレーン104は、メインハウジング108の後部110の近くにまたは後部110に隣接して位置する。メインハウジング108の前部112は、外部環境に開かれている。メインハウジング108は、その中に境界が定められる主空洞114を含み、その主空洞114は前部112と流体連通する。
【0011】
この例示的実施形態では、監視システム100は、システムバックプレーン104に結合された複数のインターフェイスボード116を含む。より具体的には、この例示的実施形態では、インターフェイスボード116が前部112を通してシステムバックプレーン104に結合される。あるいはインターフェイスボード116は、監視システム100内の任意の位置においてシステムバックプレーン104に結合することができる。さらにこの例示的実施形態では、インターフェイスボード116は、少なくともシステムインターフェイスボード118と、少なくとも1つのモニタインターフェイスボード120とを含む。図1には、モニタインターフェイスボード120を2つしか図示しないが、図1は例示的であり、本発明をどのようにも限定するものではないことに留意されたい。
【0012】
システムインターフェイスボード118は、システムインターフェイス入力コネクタ122を介してシステムバックプレーン104に結合される。さらにこの例示的実施形態では、モニタインターフェイスボード120は、モニタインターフェイス入力コネクタ124を介してシステムバックプレーン104に結合される。監視システム100は、システムバックプレーン104に電気的に結合する中間バックプレーン126を含む。この例示的実施形態では、中間バックプレーン126は、インターフェイスボード116を経由してシステムバックプレーン104に結合される。より具体的には、この例示的実施形態では、中間バックプレーン126はインターフェイスボード116に直接結合し、インターフェイスボード116はシステムバックプレーン104に直接結合する。
【0013】
この例示的実施形態では、中間バックプレーン126は、電磁シールドされた中間ハウジング132に結合される。中間ハウジング132は、中間バックプレーン126および/または中間ハウジング132内の任意の好適なコンポーネントにより生じる電磁放射が、ハウジング132から外部環境に漏れるのを絶縁しまたは低減するのを助ける。さらに中間ハウジング132は、中間バックプレーン126および/または中間ハウジング132内の任意の好適なコンポーネントが、外部環境からなど、中間ハウジング132外部の発生源から受ける電磁放射量を低減するのを助ける。この例示的実施形態では、ハウジング132は、前面開口136と少なくとも1つの後面開口138とを含む。ハウジング132の中に境界が定められる中間空洞140は、前面開口136および後面開口138と流体連通する。一実施形態では、中間バックプレーン126が、後面開口138に隣接して中間空洞140内で結合される。インターフェイスボード116は、中間バックプレーン126に結合されたとき、後面開口138を通り少なくとも部分的に延びる。あるいは中間バックプレーン126および/またはインターフェイスボード116は、監視システム100が本明細書に記載するように機能することを可能にする、中間ハウジング132および/またはメインハウジング108内の任意の適切な位置にあってよい。
【0014】
監視システム100は、トランスデューサ102からの少なくとも1つの信号を処理する少なくとも1つのトランスデューサ監視モジュール142を含む。本明細書で使用するとき、用語「処理」は、信号の少なくとも1つの特性を操作し、調節し、フィルタし、バッファし、かつ/または変更することを指す。この例示的実施形態では、監視システム100は、システム100が本明細書に記載するように機能することを可能にする任意の数のトランスデューサ監視モジュール142を含む。監視モジュール142は中間バックプレーン126に結合され、少なくとも部分的に中間ハウジング132の中にある。そのためこの例示的実施形態では、トランスデューサ102からの信号が、システムバックプレーン104、インターフェイスボード116、および中間バックプレーン126を介してトランスデューサ監視モジュール142に伝送される。さらに、それぞれに異なるトランスデューサ監視モジュール142間で少なくとも1つの信号を伝送することができる。
【0015】
この例示的実施形態では、監視システム100は、中間バックプレーン126に結合され、少なくとも部分的に中間ハウジング132の中にあるシステム監視モジュール144も含む。この例示的実施形態では、システム監視モジュール144は、トランスデューサ監視モジュール142および/または監視システム100の他のコンポーネントから伝送されるデータおよび/またはステータス信号を受け取る。システム監視モジュール144は、そのデータおよび/またはステータス信号を処理しかつ/もしくは解析し、それらの信号をユーザに向けて表示しまたは出力するために、コンピュータシステムなどの遠隔システム(不図示)に伝送する。
【0016】
組み立て時に、システムバックプレーン104がハウジング後部110に結合される。次いで、インターフェイスボード116が、システムインターフェイス入力コネクタ122およびモニタインターフェイス入力コネクタ124を使用してシステムバックプレーン104に結合される。中間バックプレーン126が後面開口138に隣接して中間ハウジング132内で結合され、ハウジング132がハウジング前部112を通して挿入されて、中間バックプレーン126がインターフェイスボード116に結合することを可能にする。より具体的には、中間バックプレーン126は、システムインターフェイス出力コネクタ128およびモニタインターフェイス出力コネクタ130に結合される。トランスデューサ監視モジュール142およびシステム監視モジュール144は、ハウジング前面開口136を通して挿入され、中間バックプレーン126に結合される。一実施形態では、トランスデューサ監視モジュール142および/またはシステム監視モジュール144の少なくとも一部分が、ハウジング前面開口136からそうした環境へと外向きに延びる。代替的実施形態では、監視システム100の任意のコンポーネントは、システム100が本明細書に記載するように動作することを可能にする任意の適切な位置にあってよい。そのためこの例示的実施形態では、監視システム100が完全に組み立てられると、トランスデューサ監視モジュール142、システム監視モジュール144、システムバックプレーン104、中間バックプレーン126、中間ハウジング132、およびインターフェイスボード116が、少なくとも部分的にメインハウジング108の中に位置する。
【0017】
図2は、ハウジング132の全体図であり、図3は、ハウジング132の一部分についての分解図である。この例示的実施形態では、中間ハウジング132は、(図1に示す)メインハウジング108内に位置し、メインハウジング108に結合される。より具体的には、この例示的実施形態では、中間ハウジング132は、中間ハウジング132をメインハウジング108に結合することを可能にする(図2に示す)複数のフランジ200および少なくとも1つの縁部202を含む。例えば、フランジ200および/または縁部202は、ねじ、ボルト、リベット、および/または監視システム100が本明細書に記載するように機能することを可能にする他の任意の好適な締結機構により、メインハウジング108に結合することができる。
【0018】
この例示的実施形態では、中間ハウジング132は、(図1に示す)中間空洞140の境界を少なくとも部分的に定める外殻204を含む。外殻204は、中間空洞140内で生じる電磁放射からおよび/または中間ハウジング132外部の電磁放射から、中間ハウジング132を実質的にシールドしまたは絶縁する。より具体的には、この例示的実施形態では、外殻204はニッケルめっき鋼から作られる。あるいは外殻204は、中間空洞140内の1つまたは複数のコンポーネントにより生じる電磁放射が外部環境に漏れるのを実質的に防ぎ、かつ/または中間空洞140外部の電磁放射が空洞140に入るのを実質的に防ぐ、任意の適切な材料で作ることができる。本明細書で使用するとき、用語「絶縁」および「シールド」は、電磁放射がある構造に入りかつ/またはその構造から出るのを実質的に防ぐように、その構造を電磁放射の1つまたは複数の波長から保護することを指す。
【0019】
さらにこの例示的実施形態では、孔206が中間空洞140と流体連通するように、外殻204の上部208の至る所に複数の通気孔206が広がる。より具体的には、この例示的実施形態では、通気孔206が上部208の外面207から内面209へと延びる。それに加え、またあるいは、通気孔206は中間ハウジング132のどの部分に広がってもよい。通気孔206は、(いずれも図1に示す)トランスデューサ監視モジュール142、システム監視モジュール144などの監視モジュール(図2には不図示)および/または中間空洞140内に位置する任意のコンポーネントにより生じることがある熱を除去するのを助ける。より具体的には、この例示的実施形態では、通気孔206が一連の並び210で配置され、そのためトランスデューサ監視モジュール142および/またはシステム監視モジュール144が中間空洞140内に配置されたとき、通気孔206が、各モジュール142および/または144に画定される複数の通気孔(不図示)と実質的に位置合わせされる。あるいは通気孔206は、上部208および/または外殻204の範囲内で、任意の配置により位置付けられる。この例示的実施形態では、通気孔206の大きさは、電磁放射が中間空洞140から外部環境に漏れるのを実質的に防ぎ、かつ/または電磁放射が外部環境から中間空洞140に入るのを実質的に防ぐように決められる。さらに、通気孔206の大きさは、中間空洞140内の1つまたは複数のコンポーネントの冷却を助けるのに十分な通気を実現するように決められる。この例示的実施形態では、通気孔206は、約11.8インチ(in)未満の直径を有する。特定の実施形態では、通気孔206は、約4.9inの直径を有する。あるいは通気孔206は、約19.6in未満の直径または任意の適切な大きさを有することができる。
【0020】
この例示的実施形態では、中間ハウジング132は、外殻204の後部212内に画定される複数の後面開口138を含む。中間バックプレーン126は、中間空洞140内にかつ後部212のすぐ近くに位置する。インターフェイスボード116は、中間ハウジング132の外にかつ後部212のすぐ近くに位置する。さらにこの例示的実施形態では、各インターフェイスボード116が、少なくとも1つの高密度コネクタ(不図示)および/または中間ハウジング132が本明細書に記載するように機能することを可能にする他の任意のコネクタを介し、それぞれの後面開口138を経由して中間バックプレーン126に結合される。
【0021】
この例示的実施形態では、少なくとも1つの後部ガスケット214が、各後面開口138の周囲216を取り巻いて外殻204に結合されて、中間バックプレーン126および/または中間ハウジング132内の任意の好適なコンポーネントにより生じる電磁放射が、外部環境に漏れるのを絶縁しまたは低減するのを助ける。さらに各後部ガスケット214は、中間バックプレーン126および/または中間ハウジング132が外部環境から受ける電磁放射量を低減するのを助ける。より具体的には、高密度コネクタが後面開口138を通して挿入されるとき、各後部ガスケット214は周囲216との間に位置し、後部ガスケット214が後面開口138を実質的に封じ込め、密閉するように各高密度コネクタが挿入される。さらにこの例示的実施形態では、後部ガスケット214は、金属材料および/またはニッケルめっきベリリウム銅などの金属合金から作られる。あるいは、後部ガスケット214は、中間ハウジング132が本明細書に記載するように機能することを可能にする他の任意の材料、合金、化合物、および/または合成物から作られてもよい。
【0022】
図3に示すように、この例示的実施形態では、各後部ガスケット214が、インターフェイスボード116の高密度コネクタ(不図示)を受け入れる形状にされた内部開口218を画定する。さらに各後部ガスケット214は、各後部ガスケット214をそれぞれの後面開口138内で着脱可能に結合することを可能にする少なくとも1つの変形可能フランジ220を含む。あるいは後部ガスケット214は、1つまたは複数のクリップ、ねじ、ボルト、ピンにより、接着剤により、溶接により、および/または中間ハウジング132が本明細書に記載するように機能することを可能にする他の任意の機構によってなど、任意の好適な結合機構(不図示)により後面開口138内で結合される。
【0023】
この例示的実施形態では、後部ガスケット214が後面開口138内で結合されたとき、各後部ガスケット214の少なくとも一部分222が後面開口138から延び、後面開口138を取り囲む後部212の領域と重なる。さらに、後部ガスケット214の重なった部分222は、(いずれも図1に示す)システムインターフェイス出力コネクタ128やモニタインターフェイス出力コネクタ130など、インターフェイスボード116のコネクタ226を取り囲む導電パッド224に実質的に適合するように形作られる。
【0024】
組み立て時に、後部ガスケット214は、後面開口138を通して少なくとも部分的に挿入され、かつ/または後面開口138内で結合される。インターフェイスボード116に結合された高密度コネクタ(不図示)が、後面開口138および後部ガスケット内部開口218を通して挿入され、中間バックプレーン126に結合される。さらに、後部ガスケット214が後面開口138を実質的に密閉するように、インターフェイスボード116の少なくとも一部分が、後部ガスケット214に接触して配置されかつ/または後部ガスケット214に結合される。より具体的には、後面開口138を電磁的に密閉するのを助けるために、導電パッド224が後部ガスケット214の重なった部分222に接触して配置されかつ/または重なった部分222に結合される。
【0025】
図4は、中間ハウジング132の前部300の正面図である。(いずれも図1に示す)トランスデューサ監視モジュール142および/またはシステム監視モジュール144など、複数の監視モジュール302が中間ハウジング132の中に位置する。図4には監視モジュール302を5つ図示するが、(図1に示す)監視システム100が本明細書に記載するように機能することを可能にするように、中間空洞140内および/または中間ハウジング132内には任意の数の監視モジュール302があってよい。さらにこの例示的実施形態では、中間バックプレーン126、監視モジュール302、および/または中間ハウジング132内の他の任意のコンポーネントにより生じる電磁放射が外部環境に漏れるのを絶縁しまたは低減するのを助けるために、少なくとも1つのガスケット304が前部300に結合される。加えて、ガスケット304は、中間バックプレーン126、監視モジュール302、および/または中間ハウジング132が外部環境から受ける電磁放射量を低減するのを助ける。この例示的実施形態では、ガスケット304は、金属材料および/またはニッケルめっきベリリウム銅などの金属合金から作られる。あるいは、前部ガスケット304は、中間ハウジング132が本明細書に記載するように機能することを可能にする他の任意の材料、合金、化合物、および/または合成物から作られてもよい。
【0026】
さらにこの例示的実施形態では、前部ガスケット304は、外殻204の外周306を取り巻いて前部300に結合される。そのため、監視モジュール302が中間空洞140の中に位置するとき、前部ガスケット304は、監視モジュール302が実質的に封じ込まれるように、周囲306と監視モジュール302との間に位置する。ガスケット304は、前部300を電磁的に密閉するのを助ける。この例示的実施形態では、前部ガスケット304が、(図3に示す)フランジ220と実質的に同様の変形可能フランジ(不図示)により外周306に着脱可能に結合される。あるいは、前部ガスケット304は、1つまたは複数のクリップ、ねじ、ボルト、ピンにより、接着剤により、溶接により、および/または中間ハウジング132が本明細書に記載するように機能することを可能にする他の任意の機構など、任意の好適な締結機構により外周306に結合することができる。
【0027】
この例示的実施形態では、中間バックプレーン126および/または監視モジュール302が互いに少なくとも1つの高速信号を伝送し合う。本明細書で使用するとき、用語「高速」は、システムバックプレーン104内で伝送される信号よりも高い周波数を有する交流信号を指す。例えば一実施形態では、高速信号は約100キロヘルツ以上の周波数を有する。さらにこの例示的実施形態では、外殻204、後部ガスケット214、前部ガスケット304、および/または中間ハウジング132の他の任意のコンポーネントを含む中間ハウジング132が、中間空洞140および/または中間空洞140内の少なくとも1つのコンポーネントを、中間ハウジング132内で伝送される信号に関連する電磁放射からおよび/または外部環境から受ける電磁放射から実質的に絶縁する。
【0028】
本明細書に記載するように、中間ハウジング132は、電磁シールドされた外殻204、少なくとも1つの電磁シールドされた後部ガスケット214、および少なくとも1つの電磁シールドされた前部ガスケット304を含む。外殻204およびガスケット214/304は、中間空洞140内の1つまたは複数のコンポーネントにより生じる電磁放射が外部環境に漏れるのを減らしかつ/またはなくすのを助ける。そのため、適用安全規格および/または適用規制基準に準拠しながら、中間バックプレーン126および/または少なくとも1つのインターフェイスボード116を中間ハウジング132に結合し、かつ/または中間ハウジング132内で結合することができる。
【0029】
さらにこの例示的実施形態では、監視システムとともに1つまたは複数のレガシー監視モジュールではなく、1つまたは複数のアップグレードされた監視モジュールを使用できるように、監視システム100などの監視システムをレトロフィットし、またはアップグレードすることができる。本明細書で使用するとき、用語「レガシー」は、実質的に旧式で時代遅れな監視モジュールおよび/もしくは別のコンポーネント、ならびに/またはレガシーコンポーネントよりも新しく、かつ/もしくはレガシーコンポーネントよりもロバストな機能および/または更新された機能を有する1つもしくは複数のコンポーネントで置換可能な、監視モジュールおよび/または別のコンポーネントを指す。本明細書で使用するとき、用語「アップグレードされた」は、レガシーコンポーネントよりも実質的に新しい監視モジュールおよび/もしくは別のコンポーネント、ならびに/またはレガシーコンポーネントよりもロバストな機能および/もしくは更新された機能を有する、監視モジュールおよび/または別のコンポーネントを指す。例えば一実施形態では、アップグレードされた監視モジュールは、レガシー監視モジュールによって処理される1つまたは複数の信号よりも速度が速い1つまたは複数の信号を処理する。さらに、アップグレードされた監視モジュールは、より小型および/または大型のものとすることができ、すなわちレガシー監視モジュールよりも小さいまたは大きいフォームファクタを有することができる。
【0030】
より具体的には、監視システム100などの監視システムをレトロフィットする方法は、少なくとも1つのレガシー監視モジュールが配置されている第1のハウジングを用意するステップを含む。第1のハウジングから各レガシー監視モジュールが取り除かれ、第1のハウジングの中に第2のハウジングが少なくとも部分的に挿入される。この例示的実施形態では、第2のハウジングは内部空洞の境界を定める外殻を含み、その外殻は、内部空洞と流体連通する少なくとも1つの開口を画定する後部を含む。第2のハウジングは、その後部に結合された少なくとも1つのガスケットも含む。そのガスケットは、内部空洞を電磁放射から絶縁するのを助ける。その後、第2のハウジングの中に少なくとも1つのアップグレードされた監視モジュールが挿入される。
【0031】
さらにこの例示的実施形態では、第1のハウジングが第1のバックプレーンを含み、第2のハウジングが第2のバックプレーンを含む。第2のハウジングは、第1のバックプレーンに結合される。より具体的には、この例示的実施形態では、少なくとも1つのインターフェイスボードが第1のバックプレーンに結合され、そのインターフェイスボードに第2のバックプレーンが結合される。さらにこの例示的実施形態では、後部に画定される開口の周囲にガスケットが結合され、そのガスケットが開口を実質的に密閉するように、第2のバックプレーンが開口を通してインターフェイスボードに結合される。
【0032】
この例示的実施形態では、少なくとも1つのアップグレードされた監視モジュールが、内部空洞の中になど、第2のハウジングの中に挿入され、第2のバックプレーンに結合される。より具体的には、外殻は、内部空洞と流体連通する前面開口を画定する前部を含む。アップグレードされた監視モジュールが前面開口を通して挿入されるとき、ガスケットが前面開口を実質的に密閉するように、少なくとも1つのガスケットが前部の外周に結合される。
【0033】
上記に記載した監視システムは、効率的かつ費用効果の高い電磁シールドされたハウジングを使用する。中間ハウジングは、中間空洞からの電磁放出を低減するのを助ける外殻を含む。その外殻は、中間ハウジングが外部環境から受ける電磁放射量を低減するのも助ける。その外殻の後部は、インターフェイスボードのデータコネクタを受け入れるように大きさが決められた少なくとも1つの開口を含む。インターフェイスボードのデータコネクタが開口を通して挿入された後、少なくとも1つのガスケットが後面開口を密閉するのを助ける。外殻の前部は、少なくとも1つの監視モジュールを受け入れる少なくとも1つの開口を含む。監視モジュールがハウジング内に配置されたとき、前面開口を密閉するのを助けるために少なくとも1つのガスケットが前部に結合される。中間ハウジングを含まない既知の監視システムとは対照的に、本明細書に記載した中間ハウジングおよびガスケットは、中間バックプレーンおよび監視モジュールにより生じる電磁放射量が外部環境に漏れるのを減らしかつ/または防ぐのを助ける。
【0034】
監視システム、監視システム内で使用するための中間ハウジング、および監視システムをレトロフィットする方法の例示的実施形態を上記に詳述した。このシステム、中間ハウジング、および方法は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されず、むしろこのシステムおよび/または中間ハウジングのコンポーネント、および/またはこの方法のステップを、本明細書に記載した他のコンポーネントおよび/またはステップとは独立にかつ別個に利用することができる。例えばこの中間ハウジングは、他の測定システムおよび方法と組み合わせて使用することもでき、本明細書に記載した監視システムを使った実施法だけに限定されることはない。むしろ例示的実施形態は、他の多くの電力系統応用に関連して実装し、利用することができる。
【0035】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴を一部の図面に示し、他の図面には示さないことがあるが、それは便宜上のものに過ぎない。本発明の原理によれば、ある図面のどんな特徴も他の任意の図面のどんな特徴とも組み合わせて参照しかつ/または特許請求できる。
【0036】
本書は、最良の形態を含む本発明を開示するために、さらに任意の装置またはシステムを作成/使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、当業者が本発明を実施できるようにするために複数の例を使用する。特許性のある本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義し、当業者なら思いつく他の例を含むことができる。そうした他の例が特許請求の範囲の文言と相違ない構造的要素を有する場合、またはそうした他の例が、特許請求の範囲の文言との相違がごくわずかな等価の構造的要素を含む場合、そうした他の例も特許請求の範囲に含まれることを意図する。
【符号の説明】
【0037】
100 監視システム
102 トランスデューサ
104 システムバックプレーン
106 電力供給部
108 メインハウジング
110 ハウジング後部
112 前部
114 主空洞
116 インターフェイスボード
118 システムインターフェイスボード
120 モニタインターフェイスボード
122 システムインターフェイス入力コネクタ
124 モニタインターフェイス入力コネクタ
126 中間バックプレーン
128 システムインターフェイス出力コネクタ
130 モニタインターフェイス出力コネクタ
132 中間ハウジング
136 ハウジング前面開口
138 後面開口
140 中間空洞
142 トランスデューサ監視モジュール
144 システム監視モジュール
200 フランジ
202 縁部
204 外殻
206 通気孔
207 外面
208 上部
209 内面
210 並び
212 後部
214 後部ガスケット
216 周囲
218 後部ガスケット内部開口
220 変形可能フランジ
222 一部分
224 導電パッド
226 コネクタ
300 電磁的に密閉する前部
302 監視モジュール
304 ガスケット
306 外周

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの監視モジュール(144)を含む監視システム(100)内で使用するためのハウジング(108)であって、
内部空洞(114)の境界を定める外殻(204)であり、少なくとも1つの開口(136)が画定されており、前記少なくとも1つの開口が前記内部空洞と流体連通する、外殻(204)と、
前記少なくとも1つの開口(218)の外周(306)を取り巻いて前記外殻に結合された少なくとも1つのガスケット(304)であり、前記少なくとも1つの監視モジュールが前記ハウジング内に配置されたとき、前記内部空洞を電磁放射から絶縁するのを助ける、少なくとも1つのガスケット(304)と
を備える、ハウジング(108)。
【請求項2】
前記外殻(204)が、ニッケルめっき鋼材から実質的に作られる、請求項1記載のハウジング(108)。
【請求項3】
貫通して延びる複数の通気孔(206)をさらに備える、請求項1記載のハウジング(108)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口(136)が、前記外殻(204)の前部(112)に画定され、前記少なくとも1つの前面開口の大きさが、前記開口を通して前記少なくとも1つの監視モジュール(144)を受け入れるように決められる、請求項1記載のハウジング(108)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガスケット(304)が、前記内部空洞(114)内に前記少なくとも1つの監視モジュールが配置されたとき、前記前部(112)と前記少なくとも1つの監視モジュール(144)との間に位置する少なくとも1つのガスケットを含む、請求項4記載のハウジング(108)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開口が、前記外殻(204)の後部(212)に画定される少なくとも1つの開口(138)を含み、前記少なくとも1つの開口の大きさが、少なくとも1つの高密度コネクタ(226)を受け入れるように決められる、請求項1記載のハウジング(108)。
【請求項7】
機械の動作を監視する際に使用するための監視システム(100)であって、
少なくとも1つの監視モジュール(144)と、
第1のハウジング(108)と
を備え、前記第1のハウジング(108)が、
内部空洞(114)の境界を定める外殻(204)であり、少なくとも1つの開口(136)が画定されており、前記少なくとも1つの開口が前記内部空洞と流体連通する、外殻(204)と、
前記少なくとも1つの開口(218)の外周を取り巻いて前記外殻に結合された少なくとも1つのガスケット(304)であり、前記少なくとも1つの監視モジュールが第1のハウジング内に配置されたとき、前記内部空洞を電磁放射から絶縁するのを助ける、少なくとも1つのガスケット(304)と
を備える、監視システム(100)。
【請求項8】
第2のハウジング(132)をさらに備え、前記第1のハウジング(108)が前記第2のハウジング内で結合されるように構成されている、請求項7記載の監視システム(100)。
【請求項9】
前記外殻(204)が、ニッケルめっき鋼材から実質的に作られる、請求項7記載の監視システム(100)。
【請求項10】
前記第1のハウジング(108)が、貫通して延びる複数の通気孔(206)をさらに備える、請求項7記載の監視システム(100)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−60113(P2012−60113A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190270(P2011−190270)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】