機械的な構成部分での周辺監視のためのセンサシステムおよび当該センサシステムを駆動制御および評価する方法
【課題】同じ作業空間において同時に、人間と可動機械部分とが、操作員に安全なように共働操作を行うことができるようにすること。
【解決手段】少なくとも1つのセンサエレメントを、柔軟な導電層と電気的絶縁層から成る層構造体から構成し、層の導電性ポテンシャル面は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層上に配置され、導電性ポテンシャル面の間に電気力線が形成され、当該電気力線が、体または対象物が接近および/または接触した際に測定可能に変化すること。
【解決手段】少なくとも1つのセンサエレメントを、柔軟な導電層と電気的絶縁層から成る層構造体から構成し、層の導電性ポテンシャル面は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層上に配置され、導電性ポテンシャル面の間に電気力線が形成され、当該電気力線が、体または対象物が接近および/または接触した際に測定可能に変化すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの容量性センサエレメントを備えた機械的構成部分での周辺監視のためのセンサシステムであって、当該センサエレメントは、機械または機械部分の表面に取り付け可能である形式の、機械的な構成部分での周辺監視、殊に、衝突検出のためのセンサシステムに関する。本発明はさらに、このセンサシステムの駆動制御および評価方法に関する。これは殊に、自動製造装置または自動取り付け装置での、機械または機械部分への接近を監視する。
【背景技術】
【0002】
このような自動製造装置または自動取り付け装置では、人間、例えば自動製造装置または自動取り付け装置の操作員またはサービスパーソンと、動いている装置ないし動いている装置部分とがぶつかることによって、人間および/または機械の機能に危害を与える衝突が生じる恐れがある。このような接近を早期に検出したとき、またはまさに接触時に措置を講じることが既知である。これによって、衝突が回避される、または少なくとも衝突のエネルギーが低減される。これはしばしば、人間と機械とが同じ作業空間内に同時に存在することを可能にする、重要な前提条件である。
【0003】
さらに自動的な接近識別および/または衝突識別のために、種々異なるセンサ原理およびセンサによって機械の周辺監視を行うことが既知である。これは例えば光学センサ、超音波センサまたは容量性センサによって行われる。またピエゾ圧電効果を介した接触力検出によっても行われる。このようなセンサは通常は、特別な場合に使用される。これによって例えば簡単に形成された、決めされた運動経路を有する機械部分が監視され、人間の接近が識別された場合には例えば、機械の駆動部または処理ユニットが確実に制動される。
【0004】
他方で、危険な機械部分の表面が比較的複雑に形成されている場合または運動経路が複雑な場合には、センサによる完璧な周辺監視に非常に高いコストがかかってしまうことがしばしばある。ままたは場合によっては完璧な周辺監視は全く不可能である。例えば機械表面のエッジおよび後方切断部分で、光学的な検出が、影によって阻止されることがあり、また非常に狭い組み込み空間へのセンサの組み込みを上手く行うことができないこともある。
【0005】
操作員にとって安全な機械の場合には、安全規準を満たすために通常は、診断機能を有する、相互に依存しない2つの安全チャネルを備えた安全装置が用いられる。従って、システム内の個々のエラーによって、安全性が失われることはない。1つの安全チャネルの故障は確実に識別され、通知される。また第2の安全チャネルは安全機能を維持する。このようなアプリケーションでは、二重の、依存しないように構成されたセンサ監視が必要である。複雑に形成された表面に柔軟に整合することができる、2つの安全チャネルを有する、機械を安全にするためのセンサは知られていない。
【0006】
場合によって行われる、衝突阻止のためのアプローチは、機械、例えば自動取り付け装置において、しばしば防御柵を使用することである。従って、人間と機械とを強制的に離すことによって、操作員の安全が保証される。この場合には例えば部分的な横断のために、防御柵内に確実なロックが設けられる。しかしこのような防御柵によって、自動製造装置または自動取り付け装置で、直接的に共働することが不可能になる。なぜならここでは人間と機械とが同時に同じ作業空間を使用することができないからである。
【0007】
類似の作用を有する別のアプローチは、いわゆる両手操作(Zweihand-Bedienung)である。ここでは機械は、操作員の両手がそれぞれキーを操作している場合にのみ機械が作動する。この場合にはキーは作業空間外に配置されており、動いている機械によって操作員が危害を加えられることはほぼ排除される。従ってこのようなコンセプトでは人間と機械は基本的に同じ作業空間を使用することができるが、同時には使用することはできない。例えば、機械と人間とが共に操作過程を行うことはできない。
【0008】
DE202005002475U1号から、産業用ロボットにおける、衝突検出アプリケーションのための、発泡材による覆いが既知である。これには、接近を識別する触覚性および容量性センサが設けられている。しかし、このような装置を種々の産業用ロボットに取り付けることにはしばしばコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE202005002475U1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、同じ作業空間において同時に、人間と可動機械部分とが、操作員に安全なように共働操作を行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題は、少なくとも1つのセンサエレメントは、柔軟な導電層と電気的絶縁層から成る層構造体から構成され、層の導電性ポテンシャル面は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層上に配置され、前記導電性ポテンシャル面の間に電気力線が形成され、当該電気力線は、体または対象物が接近および/または接触した際に測定可能に変化することによって解決される。また上述の課題は、電子評価装置は周期的に全てのセンサエレメントをアドレス指定し、少なくとも1つのセンサエレメントで、基準値に対する顕著な容量変化が存在するか否かを検査し、従って、各出力側で、前記機械または前記機械部分の周辺における接近または衝突をシグナリングすることによって解決される。また、上述の課題は、センサシステムまたは、当該センサシステムを駆動制御および評価するための方法の使用であって、少なくとも1つのセンサシステムが自動製造装置または自動取り付け装置で使用され、当該センサシステムは、操作員またはサービスパーソンと共通の作業空間内に存在し、当該操作員またはサービスパーソンが、前記自動製造装置または自動取り付け装置の機械または機器部分と接近および/または衝突したことを検出し、警告信号または停止信号を出力するために使用される、ことによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】異なる見方における、容量性センサエレメントを形成するための柔軟な層の第1の実施例。
【図1B】異なる見方における、容量性センサエレメントを形成するための柔軟な層の第1の実施例。
【図2】図1に示されたセンサエレメントの平面図であり、これは、力線と、複数のセンサエレメントを相互に接合するための接続エレメントを有している。
【図3A】センサエレメントでの図2に示された接続エレメントの配置および、各プリント回路基板の配置のバリエーション。
【図3B】センサエレメントでの図2に示された接続エレメントの配置および、各プリント回路基板の配置のバリエーション。
【図3C】センサエレメントでの図2に示された接続エレメントの配置および、各プリント回路基板の配置のバリエーション。
【図4】容量性の衝突検出器を形成するためのさらなる電極を備えたセンサエレメントの第2の実施例。
【図5A】柔軟な層および種々の表面に整合させるための切断線を備えた、図1に示された実施例。
【図5B】柔軟な層および種々の表面に整合させるための切断線を備えた、図1に示された実施例。
【図5C】柔軟な層および種々の表面に整合させるための切断線を備えた、図1に示された実施例。
【図6】種々異なる幾何学的な形状を有するセンサエレメント。
【図7】センサスキンと接続されている、異なる幾何学的な形状の複数のセンサエレメントを有するセンサシステム。
【図8】センサエレメントの異なる層の部分的な構造。
【図9A】センサエレメントへの接近を概略的にあらわす図。
【図9B】センサエレメントへの接近を概略的にあらわす図。
【図10】近接センサ装置および接触力センサ装置の回路部分の基本的なブロック回路図。
【図11】それぞれ1つの近接センサ装置および中央エレクトロニクスを備えた、複数のセンサエレメントの基本的なブロック回路図。
【図12】それぞれ1つの接触力センサ装置および中央エレクトロニクスを備えた、複数のセンサエレメントの基本的なブロック回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、少なくとも1つの容量性センサエレメントを備えた、機械的構成部分での周辺監視を行うセンサシステムに基づく。これは、機械または機械部分での表面に取り付け可能である。本発明では、有利には、柔軟な導電性層と電気的な絶縁層とから成る層構造体から少なくとも1つのセンサエレメントが構成される。ここでは、電気力線が導電性面の間に形成されるように、層の導電性面は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層上に配置される。この電気力線は、電界を変える体、例えば人間の体が接近するおよび/または接触すると測定可能に変化する。
【0014】
ここで別の層は電気力線を、伸縮性に圧縮可能な層において形成する。従って、センサエレメントの表面に対して垂直に作用する力が、この層の圧縮によって、測定可能な容量変化を生じさせる。
【0015】
提案された、モジュール構造を有する本発明のセンサシステムは、比較的少ないコストで、可動機械部分で使用され、人間の近接および/または人間との接触が確実に識別され、この結果が電気的な信号出力側で通知される。確実な識別とはここで次のことを意味している。すなわち、センサエレメントの機能エラーが、人間に危害を与えることなく、早期に診断されることを意味する。殊に、本発明の柔軟な層によって、このようなセンサシステムを備えた機械の複雑に形成された表面も容易にすき間なく覆われる。
【0016】
従ってセンサシステムが接近または接触を通知すると、上位の安全制御部が効果的な安全措置をトリガし、例えば、接近または接触時に、運動の一時停止がトリガされる、または自己診断によってセンサエレメントの機能エラーが識別された場合には機械が停止され、サービスコールが行われる。
【0017】
詳細には、本発明のセンサシステムは次のように構成される。すなわち、1つの極性の中央導電性面が存在し、さらにセンサエレメントの縁部または隣接するセンサエレメント上に、これを絶縁層上で包囲する、別の極性の第2の導電性面が存在し、これらの間に電気力線が形成されるように構成される。これらの層の層構造体はここで有利には、上方の層において次のものから成る。すなわち、電気力線を形成する導電性面と、その下に位置する絶縁層と、遮蔽電極である、その下に位置する導電性面と、とこれに続く、その下に位置する機械側の絶縁層とから成る。
【0018】
択一的に、層の層構造体は上方の層において以下のものから成る。すなわち、操作者側の空間における電気力線を形成する導電性面と、その下に位置する絶縁層と、遮蔽電極である、その下に位置する導電性面と、別の絶縁層と、少なくとも1つの電極を有する層と、圧縮性の、電気的絶縁層と、別の遮蔽電極と、これに続く、その下に位置する機械側の絶縁層とから成る。ここで2つまたは複数の電極の間の容量は、触覚圧力によって、外部から測定可能に変化する。
【0019】
提案される、接近と接触ないし衝突との別個の識別によって、相互に依存しないで作動する2つのセンサチャネルも生じる。これらのセンサチャネルは、エラーが生じた場合に、自身の冗長性に基づいて、特に高い程度の安全を保証する。
【0020】
多数のセンサエレメントが側方の接触接続を介してまたはそれ以外の接続を介して相互に接続可能である場合には、本発明のセンサシステムは特に有利である。
【0021】
容易に、1つ、複数または全てのセンサエレメントに、柔軟な電気的なプリント回路基板が、電子測定回路部分を収容するために機械側に取り付けられる。これらは、相互に接触接続または接続可能であり、中央の電子評価装置に接続可能である。
【0022】
導電性層または導電性面はそれぞれ、柔軟な導電性マット、有利には銅フリースから構成され、電気的な絶縁層は繊維に類似した組織、有利にはフェルト、プラスチックまたは発泡材から構成され、これらの層は、複雑な三次元形状に整合可能であり、かつ被着可能であり、有利には、異なって形成された基本部材の機械的な結合、または裁断および接着によっても整合および被着が可能である。
【0023】
上述したセンサシステムを駆動制御および評価する本発明の方法によって、電子評価装置は周期的に全てのセンサエレメントを次のことに関してアドレス指定するおよび検査することができる。すなわち、少なくとも1つのセンサエレメントで、基準値に対する顕著な容量変化が起こったか否かに関してである。従って各出力側で、機械または機械部分の周辺における接近または衝突がシグナリングされる。このためには、全てのセンサエレメントの近接識別部および衝突識別部のスイッチング状態が評価装置に迅速に伝送されることが必要である。線形に連鎖したセンサエレメントをアドレス指定するために、センサエレメントのシーケンスが利用される。これはデータを、連鎖に沿って、場合によっては複数のセンサエレメントを介して評価装置へ伝送することによって行われる。
【0024】
このために各センサエレメントは、それぞれ2つの部分システム、近接識別と衝突識別のために、データ入力側とデータ出力側とを有する。ここで第1のセンサエレメントの出力側は電子評価装置と接続され、各センサエレメントの入力側は後続のセンサエレメントの出力側と接続されている。全てのセンサエレメントは、情報伝送のために共通のクロックを有している。従って全てのセンサエレメントのスイッチング状態に関する情報が各クロックで徐々に、エレメント毎に、電子評価装置に伝送される。
【0025】
この場合には別のより緩慢な周期で、各センサエレメントが自己診断される。ここでセンサエレメントにはそれ自体公知のように検査電圧または特徴的な信号パターンが印加される。
【0026】
要約すると、本願発明によって以下の利点が得られる:
・個別に形成された表面を、全域的に、2つのチャンネルを用いた形式で監視することができる。
【0027】
・機械的および電気的に相互に列になっている複数のセンサエレメントによって、センサシステムをモジュール式に構造することができる。これは例えば、カーペットタイルの原理に従って行われる。
【0028】
・幾何学的性質の低い基本形(例えば正方形、矩形、三角形)を有するセンサエレメントの基本セットによって、ほぼ任意の表面に合わせて、複雑に形成されたセンサスキンを任意に構成することができる。
【0029】
・センサエレメントは繊維状の担体上に構成可能である。ここで任意の物質、例えば組織、フェルト、プラスチック、発泡材等が使用可能である。これらは、任意に、機械の表面形状に合わせられる。
【0030】
・多層の導体路を有するフィルムが使用可能である。これは裁断可能であり、これによって、複雑な表面を、特別な仕上げを行わずに、すき間なく覆うことができる。
【0031】
・センサシステムは迅速かつ容易に適用可能である。これは例えば接着剤によって、または接着バンドによってまとめられた、複数のセンサ素子の化合物として、基本エレメントから成るセンサエレメントの結合によって形成される。これは、実施例の記載に基づいてより詳細に説明される。複数のセンサエレメントから成るセンサスキンは、迅速に、例えばサービス目的およびメンテナンス目的で検査および取り付け可能であるので、生じる作動コストは僅かであり、機械停止状態時間は短い。
【0032】
・このようなサービス目的およびメンテナンス目的で、高い安全基準が、相互に依存しない、同時に作用する2つのセンサシステムによって得られる:近接識別(無接触)および接触力識別(接触:taktil)である。さらに、これら2つのシステムに対して自己診断部が備えられている。
【0033】
・より確実な作動が、センサシステムの確実な自己診断によって保証される。自己診断は、同時に作用する2つのセンサシステムのためのものでもある:近接識別(無接触)および接触力識別(接触:taktil)が得られる。
【0034】
・2つのセンサシステム(近接識別、接触力識別)は、例えば適切なアプリケーションにおいてコスト上の利点を得るために、個別にも実現可能である。
【0035】
・近接識別は、広い間隔における迅速な運動にも反応し(ダイナミック機能)、近傍領域における対象物の静止状態での存在にも反応する(静止機能)。従って、広い間隔での静止状態対象物によるエラートリガが低減される(例えば周囲における機械部分)。
【0036】
・全てのセンサエレメントに対してセンサ−スイッチ閾値が統一されているので、データを使用するためのコストが低くなる(静的機能およびダイナミック機能)。
【実施例】
【0037】
図1Aには、層状の構造を有する容量性センサエレメント1が概略的に示されている。この構造は、柔軟な、例えば繊維に類似した導電性層2(例えばCu−フリース)と、導電性の、例えば同じように繊維に類似した層3(例えば組織またはフォームラバー)と、遮蔽電極4としての別の導電性層と、別の電気的な絶縁層3から成る。これは、例えば接着によって、本願では図示されていない機械に被着可能である。さらに、電気力線5が示されている。この電気力線は、層2のポテンシャル面6と7の間に形成される。
【0038】
図1Bには、面6および7並びに絶縁層3が、正方形構造で平面図において示されている。ここでポテンシャル面6はシグナリング電極を示し、ポテンシャル面7は測定電極を示す。
【0039】
図2からは、別の見方をした、図1A、Bに示されたセンサエレメント1が示されている。ここでは別のセンサエレメント1を結合するためのジャック8およびプラグ9が、概略的に示されている。ポテンシャル面6と7との間の容量はここで例えば、電界における近接する人間のボディ部分(例えば矢印10によって示されている機械操作員の手)によって変化し、これによって検出可能であり、シグナリングまたは直接的な応答、例えば運動停止につながる。
【0040】
ジャック8およびプラグ9はここで、センサエレメント1の種々のコーナーに、任意の接合にために配置される。図3Aには、ジャック8とプラグ9とを有する電子評価回路部分を有するプリント回路基板11が右下で接続されている装置が示されており;図3Bには右上にプラグ9を有する装置が示されており;図3Cには左上にプラグ9を有する装置が示されている。これによって全てのセンサエレメント1のプリント回路基板11上の回路は、エネルギー伝送およびデータ伝送のための電気的な線路を介して、評価電子回路と接続可能である。
【0041】
従って配線コストを低く保つために、センサエレメント1は相互接続によって(例えばチェーントポロジーで)配線可能である。従って各センサエレメント1はジャック8と、プラグ9を有する接続ケーブルとを有している。これによって、次のセンサエレメント1に対する接続が形成される。次のセンサエレメント1に対する接続ケーブル1はここで、要求に応じて、センサエレメント1の種々の溝内に入れられる。
【0042】
従って各センサエレメント1内には電子回路が組み込まれる。これは有利には、柔軟な担体上にプリント回路基板11として構成されている。このような電子回路は、測定容量を電気信号に変え、この電気信号を、以下で説明する評価装置に伝送する。その他にここで、さらに回路部分が組み込まれる。これは、センサエレメントの安全に関連する全ての機能を検査する周期的な自己診断を可能にする。
【0043】
図4は、センサエレメント12の別の実施例を示す。これは、これまで説明した近接センサ装置に対して付加的な機能を、接触による衝突センサ装置の形状で有している。このために別の電極が層13内に挿入されている。測定量としてはここでは層13内の電極間の容量が用いられる。従って、センサエレメント12が対象物と衝突すると、層13の電極と付加的な電極14との間の弾力性のある絶縁層5が押しつぶされ、これによって層13の電極の間の容量が低減する。この変化が検出されると、信号出力側で、衝突として通知される。
【0044】
従ってセンサエレメント1および12は柔軟な、曲げやすい測定エレメントである。これは有利には、人間と機械の接近および/または衝突時の接触力を検出する。ここで2つの基本機能は個別にまたは共同して実現可能である。このようなセンサエレメント1および12は、幾何学形状的性質が低い基本形(正方形、矩形、三角形)で構成されている。これらは、相互に列にされ、これによってほぼ任意に形成された表面がすき間無く覆われる。相互に列にされた複数のセンサエレメント1および12は、以降でさらに詳細に説明するセンサスキンを構成する。これは、ジャケットのように、保護されるべき機械部分上に被される。ここで、センサスキンのセグメントが、相互に運動可能な複数のセンサスキンセグメントから形成されてもよい。例えば、六軸式のロボットを保護するのには、センサスキンを、機械的に分断された6つのセグメントに分割することが必要である。これらはそれぞれ軸を完全に覆う。機械が運動する間に、個々のセンサスキンセグメントはそれ自体変形しない。しかし、相互にずれるまたは回転することがある。
【0045】
図5A、5Bおよび5Cには、センサエレメント1または12の実施形態が示されている。これは、機械表面での各センサエレメント1または12の形状を整合させるための切断線15に対する例を可能にする。これによって、複数のセンサエレメント1または12を接続して、任意の三次元表面構造を覆うことができる、いわゆるセンサスキンを構成することが可能である。このような大きい表面を覆うためには、複数のセンサエレメント1または12を徐々に表面上に載置する、例えばチェーン状に配置することができ、狭い箇所、縁部または湾曲された面に、必要なセンサエレメント1または12が合うように割り当てられる。センサスキンの具体的な構成方法はさらに下方で、図6および7に基づいて説明する。
【0046】
次に、センサエレメント1または12が相互に固定される。これは例えば、繊維接着バンドによる全域的な貼り付けによって行われる。その後に表面の全体的な結合が行われ、全てのセンサエレメント1または12が、自身のジャック8およびプラグ9によって電気的に、1つのチェーンに接続される。より長い距離をブリッジするために、延長ケーブルも使用可能である。
【0047】
このようなこれまで説明した結合部はここでいわゆるセンサスキンを構成する。これは機械表面上に載置され、接着バンドによって固定される、または仕立てられた人造皮革が被せられる。このような結合は容易に、例えばサービス目的およびメンテナンス目的のために、取り付けおよび取り外し可能である。最後に、このようなセンサスキンは、さらに以降で説明される、別の評価ユニットと接続される。
【0048】
図6には、種々異なる幾何学的な形状のセンサエレメント1または12の実施例が示されている。これは例えば正方形、矩形または三角形である。ここではさらに貫通部31が示されている。ここでこの貫通部は、例えば接着バンドを貫通させるために、センサエレメント1または12を接続するのに適している。図7は例としてこのような装置を、マジックテープ(Klettbaender)32によってチェーン接続されたセンサエレメント1または12を有するセンサスキンとして示している。これによって複数のセンサエレメント1または12が、取り外し可能な接続部を介して機械的に相互に接続され、センサスキンが形成される。これは例えば、マジックテープ、ホックまたは接着バンドによる、ひも−/孔原理(Kordel-/Loch-Prinzip)に従っても相互に接続される(靴ひもに類似したひもが、センサエレメントの縁部にある孔を通して引かれる)。電気的に、センサスキンの全てのセンサエレメント1または12がケーブルによって相互に接続され、第1のセンサエレメント1または12を介して、さらに下方で説明する中央ユニットと接続される。
【0049】
図8に基づいて、図4に対する発展形態における別の実施例として、柔軟な繊維に類似した層を有する近接識別および衝突識別のための容量性センサエレメント12の層の構造を説明する。以降で説明する、図示された層はここでは、平坦な接着部によって接続されて、約9mmの厚さの層パケットが形成される。
【0050】
最上部の層として、弾性絶縁層41が操作者側の電気的なパッシベーションのため、周辺影響を遮蔽するため、および光学的な遮断として用いられる。
【0051】
導電性層42が構造化された銅フリース(Kupfer-Vlies)として続く。ここでは図8Aに従って、ポテンシャル面Aが、近接センサであるセンサエレメント1の測定容量に対する送信面として用いられ、ポテンシャル面Bが受信面として用いられる。
【0052】
その下に絶縁層43が位置し、これは層42と後続の層44との間の電気的なコンタクトを阻止する。
【0053】
層44は、隣接する、ここでは図示されていないセンサエレメントに対する容量測定のための全面的なポテンシャル面であり、殊に、操作者側への近傍領域センサ作用を制限するため、機械側方向の電界をブロックするため、近傍領域センサにおける機械側散乱をブロックするため、接触力センサにおける操作者側散乱をブロックするため、および以降で説明する、層47上での接触力センサの電界を制限するために用いられる。
【0054】
次に再び、絶縁層45が続く。この絶縁層は層44と層46との間の電気的なコンタクトを阻止する。
【0055】
導電層46はここでも、図8Bに示されたように構造化された銅フリースである。ここではポテンシャル面4は、接触力センサとしてのセンサエレメント12の測定容量に対して同一の測定容量D/E1、D/E2、D/E3、D/E4として構成される。4つの同一の測定容量D/E1、D/E2、D/E3、D/E4はここでそれぞれ、センサエレメント12の面の四分の一を覆っている。
【0056】
この下に、層47が位置する。これは例えば、力/距離置き換え器として、約1.7mmの厚さで、フォームラバーから成る:接触力はフォームラバーを圧縮し、この結果、層46と層48との間の間隔が減少し、これによって、層46の電極間の容量が変化する。付加的に、層47のフォームラバーは、機械的な緩衝器として、受動的な安全性を高めるために用いられる。
【0057】
導電性層48は同じように、構造化された銅フリースであり、測定ポテンシャルにある。図8Cに示された構造Fは主に、センサエレメント1を曲げたときの機械的な伸張性および圧縮性を改善するため、および層47上での接触力センサとしてのセンサエレメント1の電界を制限するために用いられる。
【0058】
層49として同じように、機械的な緩衝部であるフォームラバー(例えば約5mmの厚さ)が続く。これは、受動的な安全性を高め、本願では図示されていない例えば2つのプリント回路基板をフォームラバー内の中空空間内に収容する。ここでは近接センサ装置用のプリント回路基板および、接触力センサ装置用のプリント回路基板が構成され得る。従って各センサエレメント1は、プリント回路基板上に、近接センサ装置のためのマイクロコントローラー制御部を含んでおり、これは接触力センサ装置用のマイクロコントローラー制御部と別個のものである。さらに、層49は機械側での電気的なパッシベーションのために用いられる。
【0059】
従ってセンサエレメント1の制御部はコンパクトに、柔軟な担体内に組み込まれる。ここで、相応する回路部分は、測定されるべき容量を電気信号に変換し、この電気信号を中央電子回路に伝送する。さらに、センサエレメント1の安全に関連する全ての機能を検査するための周期的な自己診断を行うことができる回路部分が存在し得る。
【0060】
全ての制御部は、エネルギー伝送およびデータ伝送のための、以降で説明する電気的線路を介して、中央電子回路と接続されている。配線コストを低くするために、およびセンサエレメント1を明確にアドレス指定することを可能にするために、これらは有利には、例えばチェーントポロジーで、相互接続によって配線される。ここでセンサエレメント1のアドレスは例えば、チェーンにおけるそのポジションから得られる。
【0061】
次に図9Aおよび9Bを用いて、センサエレメント1iがどのように、人間の体部分50または別の対象物の接近を、オープンフィールド空間を有するコンデンサの容量変化に基づいてどのように検出するのかを説明する。
【0062】
測定容量として、センサエレメント1iの層42における2つのポテンシャル面AおよびB(図8Aを参照)が使用される;これらは測定容量Ciiを構成する。ここでポテンシャル面C(図8Bからの層44を参照)は測定ポテンシャルにある。測定容量Ciiの2つのポテンシャル面を、図9Bに示されている隣接する2つのセンサエレメント1iと1j上に分けることができる。この場合には次のような利点が得られる。すなわち、より大きい検出領域が可能であり、センサエレメント1iと1jの間のすき間でも検出が実施可能であるという利点が得られる。左側のセンサエレメント1iにおけるポテンシャル面はポテンシャル面A(層42)またはC(層44)から成る、またはこれらが電気的にまとめられる;右側のセンサエレメント1jにおける相応するポテンシャル面は面B(層42)であり、測定容量Cijを構成する。
【0063】
センサエレメント1iおよび1jを備えているセンサシステムの初期化時には、どの測定容量Cijが監視されるべきかが確定される。監視されるべき測定容量Cijが測定され、一度、開始値Cij0として格納される。作動時には、監視されるべき測定容量Cijは周期的に一定の時間ラスタ、典型的に100Hz〜1000Hzで測定される。このようなデータを評価することによって、接近情報が導出される。
【0064】
以下では有利な2つの方法を説明する。これらの方法は相補的であり、従ってこれら2つの方法を同時に使用することができる。これらの方法のうちの少なくとも1つの方法が接近を識別すると、接近が通知される。
【0065】
a)静的な接近識別
少なくとも1つの測定容量Cijに対して、|(Cij−Cij0)/Cij0|>Tstatが当てはまる場合には、接近が識別される。ここで、Cijは目下の容量測定値であり、Cij0は初期化時に格納された測定値であり、Tstatは適用可能な閾値であり、単位は%である。
【0066】
すなわち、少なくとも1つの容量測定値CijがTstatを越えて、自身の初期化値から偏差している場合には、接近が識別される。ここでTstatに対する典型的な値領域は、10%〜50%である。
【0067】
b)動的な接近識別
少なくとも1つの測定容量Cijに対して、d(Cij/Cij0)/dt>Tdynが当てはまる場合には、接近が識別される。ここでdtは監視時間期間であり、Tdynは適用可能な閾値であり、単位は%/sである。
【0068】
すなわち、任意の時間期間dtにおける少なくとも1つの容量測定値Cijが(Tdyn*dt)を越える変化有している場合には、接近が識別される。ここでdtに対する典型的な値領域は0.1s〜1sであり、Tdynに対しては10%/s〜100%/sである。TdynおよびTstatに対する値は、システムアプリケーションのもとで決められる。
【0069】
典型的には、モジュール様式に構成されたセンサスキンの全てのセンサエレメント1または1i、1jに対して、統一されたデータが使用される。ここで、特別な場合には、個別センサエレメント1;1i、1jに対する境界値が個別に設定されてもよい。
【0070】
接近時に、容量変化は不相応に増大するので、速度が速い場合には、動的な接近識別は大きいスイッチング間隔を生じさ、速度が遅い場合には小さいスイッチング間隔を生じさせる。これは、物理的な法則に添うので、速度が速い場合には、長い制動距離が必要になる。従って、動的な機能によって、衝突の無い作動が助長される。
【0071】
同時に、低速時のエラートリガが回避される。なぜなら、緩慢な容量変化によって、閾値Tdynを上回ることがないからである。従って、例えば、特定の緩慢に動く機械部分が、センサスキンの近傍において、エラートリガを生じさせることはない。
【0072】
静的な接近識別は、速度が低い場合にも、体部分を押しつぶすことを回避する。なぜなら、Tstatによって固定された最小間隔を下回る場合には常に、確実に機械が停止されるからである。
【0073】
衝突識別時には次のように作用する。
【0074】
接触力センサとしてのセンサエレメント1の測定容量が、図8;8A;8B;8Cに示された構造DおよびEから形成される。図8Bに示された、複数の同じ個別構造(E1〜E4)への構造Eの分割、および容量(CDE1、CDE2、CDE3、CDE4)のシーケンシャルな測定によって感度が上昇し、センサエレメント1上の力導入場所の正確な位置付けが可能になる。しかしこれは必ずしも必要というわけではない。
【0075】
測定容量のフィールド空間は、アースポテンシャルに接続されたポテンシャル面C(層44)およびF(層48)によって、両側で外側へ向けて覆われており、従って、外界による影響がブロックされる。
【0076】
センサエレメント1から成るセンサスキンとの機械的なコンタクトは主に、層47および49における軟らかいフォームラバー層の押圧につながる。これによって、測定面Fは、測定容量D/Eの近傍に押し寄せ、これを低減させる。従って、機械的なコンタクトに関する情報は、測定された値から構成される。このために種々の方法が使用される。有利で、非常に簡単な方法では、測定容量が次のような状態になると接触接続が通知される。
【0077】
CDEi>CT、ここでこれは全てのi=1..nに対してである(n:センサエレメント上の測定セルの数)
ここで適用可能な閾値CTは次のように調整される。すなわち、確実な作動が実現されるように調整される。
【0078】
後続の図に基づいて、センサエレメント1によるセンサシステムの電気的な作用を説明する。
【0079】
図10は、センサエレメント1のブロック回路図を示している。ここでは、ポテンシャル面A、B、Cを有する近接センサ装置52と、ポテンシャル面C、D、E、Fを有する接触力センサ装置53は相互に依存せずに動作する。すなわち、1つのシステムの障害、例えば任意のコンポーネントの故障、短絡または中断が、他方のシステムの故障を生じさせることはない。2つのシステムの唯一の電気的な接続は、測定線路GNDN/GNDKを介して生じる。
【0080】
右側には、給電線路および信号線路54が示されている。ここでUN、GNDNは、中央ユニットからセンサエレメント1への変調された情報伝送を有する供給電圧をあらわしており;Nin、Noutは、センサエレメント1から中央電子回路への情報伝送のためのデジタル信号線路をあらわしている。接触力センサ装置53用の給電および信号線路54は同様に構成されている。ここで接触力センサ装置53用のKin、Koutは、近接センサ装置52用のNin、Noutと同じ機能を有している。
【0081】
従って各センサエレメント1は近接センサ装置52用の制御部と接触力センサ装置53用の制御部とを含んでいる。ここでは電気的に両者は、自身の測定線路GNDNおよびGNDKを介してのみ接続されている。ケーブル故障時に、2つのシステムが同時に故障してしまうのを回避するために、2つの制御部の接続線路は別個の区間上に構成されている。
【0082】
図11に示されたブロック回路図ではセンサエレメント12が1〜n、ないしは1i、1j〜1nによって連番で示されており、これらは近接センサ装置52を伴ったセンサスキンを構成する。さらに、離れている中央電子回路55が設けられており、給電および信号線路54に関する電気的な接続がセンサエレメント1i、1j〜1nと中央電子回路55との間に示されている。中央電子回路55はここでマスター機能を有しており、センサエレメント1i、1j〜1nはスレイブ機能を有している。中央電子回路55は、接続端子UBNおよびGNDを介して供給電圧を得て、フローティングしている4つの回路出力側を有する。すなわちSN1、SN2をシグナリング「近接識別」のための二倍の冗長的な回路出力側として有しており、EN1、EN2をシグナリング「システムエラー識別」のための二倍の冗長的な回路出力側として有している。
【0083】
センサエレメント1i、1j〜1nは相互に重なっており、中央電子回路55と3三線式ケーブルを介して接続されている。接続端子GNDNおよびUNで、中央電子回路55は、全てのセンサエレメント1i、1j〜1nの、接近識別制御のための供給電圧を提供する。供給電圧に、センサエレメント1i、1j〜1nへの信号伝送が載せられる。このような信号伝送によって中央電子回路55はコマンドを、センサエレメント1i、1j〜1n内の全ての制御部へ、内部パラメータ変更のためまたは値の問い合わせのために送信する。あらかじめ設定されたアドレスを介して、個々のセンサエレメント1i、1j〜1nは、初期のように問い合わせされる。ここでセンサエレメント1i、1j〜1nの各アドレスは例えば、チェーン内でのその位置から生じる。
【0084】
例えば測定値、状況情報またはエラー情報に関する、センサエレメント1i、1j〜1nから中央電子回路55への情報のフローは、バケットチェーン原理に従って行われる。すなわち、センサエレメント1n−1から1を介した転送によって行われる。このために、コミュニケーション接続端子NinおよびNoutが設けられている。
【0085】
図12は、図11の装置に比較可能な装置を示している。これは、中央電子回路56内のコンタクトセンサ装置53を評価する。機能は、図13に示されている接近識別に相応している。これは変更されている参照番号を有している(SN1、SN2の代わりにSK1、SK2を有しており、EN1、EN2の代わりにEK1、EK2を有しており、UBNの代わりにUBKを有しており、GNDNの代わりにGNDKを有しており、Nin、Noutの代わりにKin、Koutを有している)。
【0086】
図11および12に記載された装置では、検査周期と重畳している、より緩慢な周期(例えば1Hz)で、各中央電子回路55または56が、各センサエレメント1i、1j〜1nで、自己診断を行う。
【0087】
ここでセンサエレメント1i、1j〜1nには検査電圧が加えられ、その反応は各中央電子回路55または56によって測定される。検査ストラテジーはここで次のように選択される。すなわち、各センサエレメント1i、1j〜1nのエラー機能が明確にエラーとして識別されるように選択される。少なくとも1つのセンサエレメント1i、1j〜1nがエラーを有しているとして識別されると、中央電子回路55または56は、出力側EN1/EN2(接近識別)ないしはKN1/KN2(接触力識別)でエラーを通知する。
【0088】
これまでに説明した実施例に対して、さらに新たな可能性があるまたは拡張が可能である。
【0089】
・接触力識別を行わない、主に近接識別に使用されるセンサエレメント1i、1j〜1nは場合によっては、それぞれ属する制御部を備えた層41(オプショナル)、42、43、44および49(図10参照)のみから成る。
【0090】
・接近識別を行わない、主に、接触力識別に使用されるセンサエレメント1i、1j〜1nは、属する制御部を備えた層41(オプショナル)、44〜49のみから成る。
【0091】
・オプショナルで、依存しない別の安全システムが組み込まれる。
【0092】
・中央電子回路55、56とセンサエレメント1i、1j〜1nとの間の情報伝送を、別の、既知でありかつ適切な技術に基づいて行う。これは物理的なレベル(例えば無線伝送による、アナログ/デジタル、シリアル/パラレルによる)、データプロトコール、ネットワークトポロジー(例えばリングトポロジー、スタートポロジー、ツリートポロジー)および伝送エラーを識別または除去する方法に関するものである。
【0093】
・大きいセンサスキンの場合には、説明されたシステムのうちの複数はが、カスケード形状で組み込まれる。これは上位の制御部が、複数の中央電子回路55、56の調整を担うことによって行われる。
【0094】
・適用またはシステム診断のために付加的なインタフェース、ディスプレイエレメントまたは操作エレメントがセンサシステム内に組み入れられ、これによって内部状態が読み出される、または変えられる。
【0095】
・別の機能的な層によって、センサスキンの機能範囲が拡張される。従って、例えばセンサエレメント1i、1j〜1nの外側は、非導電性の繊維によって覆われている(例えば人造皮革)。これはセンサエレメントを、埃、汚れおよび湿気から保護する。
【0096】
・組み込みをさらに容易にするために、センサエレメント1i、1j〜1nの給電は、無接触のエネルギー伝送によって行われる。例えば、貫通する、交流電流が印加される励起線路が、全てのセンサエレメントの下を通される。従って、各センサエレメント内の受信側コイルは、給電エネルギーを、磁気的な交番磁界から得る。
【0097】
・センサエレメント1i、1j〜1n内に、覆われている機械部分の熱を排出させる構造体が追加される(例えば孔、換気チャネルまたは冷却コイル)。
【0098】
・隣接するセンサエレメント1i、1j〜1nの機械的な接続は、既知のかつ適切な技術によって行われる。これは例えば固定されたパターン(ひも/穴原理、スナップインピン、クリップ、ホック)で行われる、またはパターン無く行われる(マジックテープ、接着)。
【0099】
・導電性の、伸張可能な層として、別の既知の、かつ適切な材料を使用することができる。これは例えば導電性ポリマー、導電性薄膜または導電性の繊維からの材料、網または組織である。
【0100】
・伸張性をさらに高めるために、層に種々の方法でスリットを入れることができる、または層を折り畳むことができる。
【符号の説明】
【0101】
1;12;1i、1j、1n センサエレメント、 2、4;13;44、48 導電性層、 5 電気力線、 6、7 ポテンシャル面、 8 ジャック、 9 プラグ、 31 貫通部、 32 マジックテープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの容量性センサエレメントを備えた機械的構成部分での周辺監視のためのセンサシステムであって、当該センサエレメントは、機械または機械部分の表面に取り付け可能である形式の、機械的な構成部分での周辺監視、殊に、衝突検出のためのセンサシステムに関する。本発明はさらに、このセンサシステムの駆動制御および評価方法に関する。これは殊に、自動製造装置または自動取り付け装置での、機械または機械部分への接近を監視する。
【背景技術】
【0002】
このような自動製造装置または自動取り付け装置では、人間、例えば自動製造装置または自動取り付け装置の操作員またはサービスパーソンと、動いている装置ないし動いている装置部分とがぶつかることによって、人間および/または機械の機能に危害を与える衝突が生じる恐れがある。このような接近を早期に検出したとき、またはまさに接触時に措置を講じることが既知である。これによって、衝突が回避される、または少なくとも衝突のエネルギーが低減される。これはしばしば、人間と機械とが同じ作業空間内に同時に存在することを可能にする、重要な前提条件である。
【0003】
さらに自動的な接近識別および/または衝突識別のために、種々異なるセンサ原理およびセンサによって機械の周辺監視を行うことが既知である。これは例えば光学センサ、超音波センサまたは容量性センサによって行われる。またピエゾ圧電効果を介した接触力検出によっても行われる。このようなセンサは通常は、特別な場合に使用される。これによって例えば簡単に形成された、決めされた運動経路を有する機械部分が監視され、人間の接近が識別された場合には例えば、機械の駆動部または処理ユニットが確実に制動される。
【0004】
他方で、危険な機械部分の表面が比較的複雑に形成されている場合または運動経路が複雑な場合には、センサによる完璧な周辺監視に非常に高いコストがかかってしまうことがしばしばある。ままたは場合によっては完璧な周辺監視は全く不可能である。例えば機械表面のエッジおよび後方切断部分で、光学的な検出が、影によって阻止されることがあり、また非常に狭い組み込み空間へのセンサの組み込みを上手く行うことができないこともある。
【0005】
操作員にとって安全な機械の場合には、安全規準を満たすために通常は、診断機能を有する、相互に依存しない2つの安全チャネルを備えた安全装置が用いられる。従って、システム内の個々のエラーによって、安全性が失われることはない。1つの安全チャネルの故障は確実に識別され、通知される。また第2の安全チャネルは安全機能を維持する。このようなアプリケーションでは、二重の、依存しないように構成されたセンサ監視が必要である。複雑に形成された表面に柔軟に整合することができる、2つの安全チャネルを有する、機械を安全にするためのセンサは知られていない。
【0006】
場合によって行われる、衝突阻止のためのアプローチは、機械、例えば自動取り付け装置において、しばしば防御柵を使用することである。従って、人間と機械とを強制的に離すことによって、操作員の安全が保証される。この場合には例えば部分的な横断のために、防御柵内に確実なロックが設けられる。しかしこのような防御柵によって、自動製造装置または自動取り付け装置で、直接的に共働することが不可能になる。なぜならここでは人間と機械とが同時に同じ作業空間を使用することができないからである。
【0007】
類似の作用を有する別のアプローチは、いわゆる両手操作(Zweihand-Bedienung)である。ここでは機械は、操作員の両手がそれぞれキーを操作している場合にのみ機械が作動する。この場合にはキーは作業空間外に配置されており、動いている機械によって操作員が危害を加えられることはほぼ排除される。従ってこのようなコンセプトでは人間と機械は基本的に同じ作業空間を使用することができるが、同時には使用することはできない。例えば、機械と人間とが共に操作過程を行うことはできない。
【0008】
DE202005002475U1号から、産業用ロボットにおける、衝突検出アプリケーションのための、発泡材による覆いが既知である。これには、接近を識別する触覚性および容量性センサが設けられている。しかし、このような装置を種々の産業用ロボットに取り付けることにはしばしばコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE202005002475U1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、同じ作業空間において同時に、人間と可動機械部分とが、操作員に安全なように共働操作を行うことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題は、少なくとも1つのセンサエレメントは、柔軟な導電層と電気的絶縁層から成る層構造体から構成され、層の導電性ポテンシャル面は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層上に配置され、前記導電性ポテンシャル面の間に電気力線が形成され、当該電気力線は、体または対象物が接近および/または接触した際に測定可能に変化することによって解決される。また上述の課題は、電子評価装置は周期的に全てのセンサエレメントをアドレス指定し、少なくとも1つのセンサエレメントで、基準値に対する顕著な容量変化が存在するか否かを検査し、従って、各出力側で、前記機械または前記機械部分の周辺における接近または衝突をシグナリングすることによって解決される。また、上述の課題は、センサシステムまたは、当該センサシステムを駆動制御および評価するための方法の使用であって、少なくとも1つのセンサシステムが自動製造装置または自動取り付け装置で使用され、当該センサシステムは、操作員またはサービスパーソンと共通の作業空間内に存在し、当該操作員またはサービスパーソンが、前記自動製造装置または自動取り付け装置の機械または機器部分と接近および/または衝突したことを検出し、警告信号または停止信号を出力するために使用される、ことによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】異なる見方における、容量性センサエレメントを形成するための柔軟な層の第1の実施例。
【図1B】異なる見方における、容量性センサエレメントを形成するための柔軟な層の第1の実施例。
【図2】図1に示されたセンサエレメントの平面図であり、これは、力線と、複数のセンサエレメントを相互に接合するための接続エレメントを有している。
【図3A】センサエレメントでの図2に示された接続エレメントの配置および、各プリント回路基板の配置のバリエーション。
【図3B】センサエレメントでの図2に示された接続エレメントの配置および、各プリント回路基板の配置のバリエーション。
【図3C】センサエレメントでの図2に示された接続エレメントの配置および、各プリント回路基板の配置のバリエーション。
【図4】容量性の衝突検出器を形成するためのさらなる電極を備えたセンサエレメントの第2の実施例。
【図5A】柔軟な層および種々の表面に整合させるための切断線を備えた、図1に示された実施例。
【図5B】柔軟な層および種々の表面に整合させるための切断線を備えた、図1に示された実施例。
【図5C】柔軟な層および種々の表面に整合させるための切断線を備えた、図1に示された実施例。
【図6】種々異なる幾何学的な形状を有するセンサエレメント。
【図7】センサスキンと接続されている、異なる幾何学的な形状の複数のセンサエレメントを有するセンサシステム。
【図8】センサエレメントの異なる層の部分的な構造。
【図9A】センサエレメントへの接近を概略的にあらわす図。
【図9B】センサエレメントへの接近を概略的にあらわす図。
【図10】近接センサ装置および接触力センサ装置の回路部分の基本的なブロック回路図。
【図11】それぞれ1つの近接センサ装置および中央エレクトロニクスを備えた、複数のセンサエレメントの基本的なブロック回路図。
【図12】それぞれ1つの接触力センサ装置および中央エレクトロニクスを備えた、複数のセンサエレメントの基本的なブロック回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、少なくとも1つの容量性センサエレメントを備えた、機械的構成部分での周辺監視を行うセンサシステムに基づく。これは、機械または機械部分での表面に取り付け可能である。本発明では、有利には、柔軟な導電性層と電気的な絶縁層とから成る層構造体から少なくとも1つのセンサエレメントが構成される。ここでは、電気力線が導電性面の間に形成されるように、層の導電性面は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層上に配置される。この電気力線は、電界を変える体、例えば人間の体が接近するおよび/または接触すると測定可能に変化する。
【0014】
ここで別の層は電気力線を、伸縮性に圧縮可能な層において形成する。従って、センサエレメントの表面に対して垂直に作用する力が、この層の圧縮によって、測定可能な容量変化を生じさせる。
【0015】
提案された、モジュール構造を有する本発明のセンサシステムは、比較的少ないコストで、可動機械部分で使用され、人間の近接および/または人間との接触が確実に識別され、この結果が電気的な信号出力側で通知される。確実な識別とはここで次のことを意味している。すなわち、センサエレメントの機能エラーが、人間に危害を与えることなく、早期に診断されることを意味する。殊に、本発明の柔軟な層によって、このようなセンサシステムを備えた機械の複雑に形成された表面も容易にすき間なく覆われる。
【0016】
従ってセンサシステムが接近または接触を通知すると、上位の安全制御部が効果的な安全措置をトリガし、例えば、接近または接触時に、運動の一時停止がトリガされる、または自己診断によってセンサエレメントの機能エラーが識別された場合には機械が停止され、サービスコールが行われる。
【0017】
詳細には、本発明のセンサシステムは次のように構成される。すなわち、1つの極性の中央導電性面が存在し、さらにセンサエレメントの縁部または隣接するセンサエレメント上に、これを絶縁層上で包囲する、別の極性の第2の導電性面が存在し、これらの間に電気力線が形成されるように構成される。これらの層の層構造体はここで有利には、上方の層において次のものから成る。すなわち、電気力線を形成する導電性面と、その下に位置する絶縁層と、遮蔽電極である、その下に位置する導電性面と、とこれに続く、その下に位置する機械側の絶縁層とから成る。
【0018】
択一的に、層の層構造体は上方の層において以下のものから成る。すなわち、操作者側の空間における電気力線を形成する導電性面と、その下に位置する絶縁層と、遮蔽電極である、その下に位置する導電性面と、別の絶縁層と、少なくとも1つの電極を有する層と、圧縮性の、電気的絶縁層と、別の遮蔽電極と、これに続く、その下に位置する機械側の絶縁層とから成る。ここで2つまたは複数の電極の間の容量は、触覚圧力によって、外部から測定可能に変化する。
【0019】
提案される、接近と接触ないし衝突との別個の識別によって、相互に依存しないで作動する2つのセンサチャネルも生じる。これらのセンサチャネルは、エラーが生じた場合に、自身の冗長性に基づいて、特に高い程度の安全を保証する。
【0020】
多数のセンサエレメントが側方の接触接続を介してまたはそれ以外の接続を介して相互に接続可能である場合には、本発明のセンサシステムは特に有利である。
【0021】
容易に、1つ、複数または全てのセンサエレメントに、柔軟な電気的なプリント回路基板が、電子測定回路部分を収容するために機械側に取り付けられる。これらは、相互に接触接続または接続可能であり、中央の電子評価装置に接続可能である。
【0022】
導電性層または導電性面はそれぞれ、柔軟な導電性マット、有利には銅フリースから構成され、電気的な絶縁層は繊維に類似した組織、有利にはフェルト、プラスチックまたは発泡材から構成され、これらの層は、複雑な三次元形状に整合可能であり、かつ被着可能であり、有利には、異なって形成された基本部材の機械的な結合、または裁断および接着によっても整合および被着が可能である。
【0023】
上述したセンサシステムを駆動制御および評価する本発明の方法によって、電子評価装置は周期的に全てのセンサエレメントを次のことに関してアドレス指定するおよび検査することができる。すなわち、少なくとも1つのセンサエレメントで、基準値に対する顕著な容量変化が起こったか否かに関してである。従って各出力側で、機械または機械部分の周辺における接近または衝突がシグナリングされる。このためには、全てのセンサエレメントの近接識別部および衝突識別部のスイッチング状態が評価装置に迅速に伝送されることが必要である。線形に連鎖したセンサエレメントをアドレス指定するために、センサエレメントのシーケンスが利用される。これはデータを、連鎖に沿って、場合によっては複数のセンサエレメントを介して評価装置へ伝送することによって行われる。
【0024】
このために各センサエレメントは、それぞれ2つの部分システム、近接識別と衝突識別のために、データ入力側とデータ出力側とを有する。ここで第1のセンサエレメントの出力側は電子評価装置と接続され、各センサエレメントの入力側は後続のセンサエレメントの出力側と接続されている。全てのセンサエレメントは、情報伝送のために共通のクロックを有している。従って全てのセンサエレメントのスイッチング状態に関する情報が各クロックで徐々に、エレメント毎に、電子評価装置に伝送される。
【0025】
この場合には別のより緩慢な周期で、各センサエレメントが自己診断される。ここでセンサエレメントにはそれ自体公知のように検査電圧または特徴的な信号パターンが印加される。
【0026】
要約すると、本願発明によって以下の利点が得られる:
・個別に形成された表面を、全域的に、2つのチャンネルを用いた形式で監視することができる。
【0027】
・機械的および電気的に相互に列になっている複数のセンサエレメントによって、センサシステムをモジュール式に構造することができる。これは例えば、カーペットタイルの原理に従って行われる。
【0028】
・幾何学的性質の低い基本形(例えば正方形、矩形、三角形)を有するセンサエレメントの基本セットによって、ほぼ任意の表面に合わせて、複雑に形成されたセンサスキンを任意に構成することができる。
【0029】
・センサエレメントは繊維状の担体上に構成可能である。ここで任意の物質、例えば組織、フェルト、プラスチック、発泡材等が使用可能である。これらは、任意に、機械の表面形状に合わせられる。
【0030】
・多層の導体路を有するフィルムが使用可能である。これは裁断可能であり、これによって、複雑な表面を、特別な仕上げを行わずに、すき間なく覆うことができる。
【0031】
・センサシステムは迅速かつ容易に適用可能である。これは例えば接着剤によって、または接着バンドによってまとめられた、複数のセンサ素子の化合物として、基本エレメントから成るセンサエレメントの結合によって形成される。これは、実施例の記載に基づいてより詳細に説明される。複数のセンサエレメントから成るセンサスキンは、迅速に、例えばサービス目的およびメンテナンス目的で検査および取り付け可能であるので、生じる作動コストは僅かであり、機械停止状態時間は短い。
【0032】
・このようなサービス目的およびメンテナンス目的で、高い安全基準が、相互に依存しない、同時に作用する2つのセンサシステムによって得られる:近接識別(無接触)および接触力識別(接触:taktil)である。さらに、これら2つのシステムに対して自己診断部が備えられている。
【0033】
・より確実な作動が、センサシステムの確実な自己診断によって保証される。自己診断は、同時に作用する2つのセンサシステムのためのものでもある:近接識別(無接触)および接触力識別(接触:taktil)が得られる。
【0034】
・2つのセンサシステム(近接識別、接触力識別)は、例えば適切なアプリケーションにおいてコスト上の利点を得るために、個別にも実現可能である。
【0035】
・近接識別は、広い間隔における迅速な運動にも反応し(ダイナミック機能)、近傍領域における対象物の静止状態での存在にも反応する(静止機能)。従って、広い間隔での静止状態対象物によるエラートリガが低減される(例えば周囲における機械部分)。
【0036】
・全てのセンサエレメントに対してセンサ−スイッチ閾値が統一されているので、データを使用するためのコストが低くなる(静的機能およびダイナミック機能)。
【実施例】
【0037】
図1Aには、層状の構造を有する容量性センサエレメント1が概略的に示されている。この構造は、柔軟な、例えば繊維に類似した導電性層2(例えばCu−フリース)と、導電性の、例えば同じように繊維に類似した層3(例えば組織またはフォームラバー)と、遮蔽電極4としての別の導電性層と、別の電気的な絶縁層3から成る。これは、例えば接着によって、本願では図示されていない機械に被着可能である。さらに、電気力線5が示されている。この電気力線は、層2のポテンシャル面6と7の間に形成される。
【0038】
図1Bには、面6および7並びに絶縁層3が、正方形構造で平面図において示されている。ここでポテンシャル面6はシグナリング電極を示し、ポテンシャル面7は測定電極を示す。
【0039】
図2からは、別の見方をした、図1A、Bに示されたセンサエレメント1が示されている。ここでは別のセンサエレメント1を結合するためのジャック8およびプラグ9が、概略的に示されている。ポテンシャル面6と7との間の容量はここで例えば、電界における近接する人間のボディ部分(例えば矢印10によって示されている機械操作員の手)によって変化し、これによって検出可能であり、シグナリングまたは直接的な応答、例えば運動停止につながる。
【0040】
ジャック8およびプラグ9はここで、センサエレメント1の種々のコーナーに、任意の接合にために配置される。図3Aには、ジャック8とプラグ9とを有する電子評価回路部分を有するプリント回路基板11が右下で接続されている装置が示されており;図3Bには右上にプラグ9を有する装置が示されており;図3Cには左上にプラグ9を有する装置が示されている。これによって全てのセンサエレメント1のプリント回路基板11上の回路は、エネルギー伝送およびデータ伝送のための電気的な線路を介して、評価電子回路と接続可能である。
【0041】
従って配線コストを低く保つために、センサエレメント1は相互接続によって(例えばチェーントポロジーで)配線可能である。従って各センサエレメント1はジャック8と、プラグ9を有する接続ケーブルとを有している。これによって、次のセンサエレメント1に対する接続が形成される。次のセンサエレメント1に対する接続ケーブル1はここで、要求に応じて、センサエレメント1の種々の溝内に入れられる。
【0042】
従って各センサエレメント1内には電子回路が組み込まれる。これは有利には、柔軟な担体上にプリント回路基板11として構成されている。このような電子回路は、測定容量を電気信号に変え、この電気信号を、以下で説明する評価装置に伝送する。その他にここで、さらに回路部分が組み込まれる。これは、センサエレメントの安全に関連する全ての機能を検査する周期的な自己診断を可能にする。
【0043】
図4は、センサエレメント12の別の実施例を示す。これは、これまで説明した近接センサ装置に対して付加的な機能を、接触による衝突センサ装置の形状で有している。このために別の電極が層13内に挿入されている。測定量としてはここでは層13内の電極間の容量が用いられる。従って、センサエレメント12が対象物と衝突すると、層13の電極と付加的な電極14との間の弾力性のある絶縁層5が押しつぶされ、これによって層13の電極の間の容量が低減する。この変化が検出されると、信号出力側で、衝突として通知される。
【0044】
従ってセンサエレメント1および12は柔軟な、曲げやすい測定エレメントである。これは有利には、人間と機械の接近および/または衝突時の接触力を検出する。ここで2つの基本機能は個別にまたは共同して実現可能である。このようなセンサエレメント1および12は、幾何学形状的性質が低い基本形(正方形、矩形、三角形)で構成されている。これらは、相互に列にされ、これによってほぼ任意に形成された表面がすき間無く覆われる。相互に列にされた複数のセンサエレメント1および12は、以降でさらに詳細に説明するセンサスキンを構成する。これは、ジャケットのように、保護されるべき機械部分上に被される。ここで、センサスキンのセグメントが、相互に運動可能な複数のセンサスキンセグメントから形成されてもよい。例えば、六軸式のロボットを保護するのには、センサスキンを、機械的に分断された6つのセグメントに分割することが必要である。これらはそれぞれ軸を完全に覆う。機械が運動する間に、個々のセンサスキンセグメントはそれ自体変形しない。しかし、相互にずれるまたは回転することがある。
【0045】
図5A、5Bおよび5Cには、センサエレメント1または12の実施形態が示されている。これは、機械表面での各センサエレメント1または12の形状を整合させるための切断線15に対する例を可能にする。これによって、複数のセンサエレメント1または12を接続して、任意の三次元表面構造を覆うことができる、いわゆるセンサスキンを構成することが可能である。このような大きい表面を覆うためには、複数のセンサエレメント1または12を徐々に表面上に載置する、例えばチェーン状に配置することができ、狭い箇所、縁部または湾曲された面に、必要なセンサエレメント1または12が合うように割り当てられる。センサスキンの具体的な構成方法はさらに下方で、図6および7に基づいて説明する。
【0046】
次に、センサエレメント1または12が相互に固定される。これは例えば、繊維接着バンドによる全域的な貼り付けによって行われる。その後に表面の全体的な結合が行われ、全てのセンサエレメント1または12が、自身のジャック8およびプラグ9によって電気的に、1つのチェーンに接続される。より長い距離をブリッジするために、延長ケーブルも使用可能である。
【0047】
このようなこれまで説明した結合部はここでいわゆるセンサスキンを構成する。これは機械表面上に載置され、接着バンドによって固定される、または仕立てられた人造皮革が被せられる。このような結合は容易に、例えばサービス目的およびメンテナンス目的のために、取り付けおよび取り外し可能である。最後に、このようなセンサスキンは、さらに以降で説明される、別の評価ユニットと接続される。
【0048】
図6には、種々異なる幾何学的な形状のセンサエレメント1または12の実施例が示されている。これは例えば正方形、矩形または三角形である。ここではさらに貫通部31が示されている。ここでこの貫通部は、例えば接着バンドを貫通させるために、センサエレメント1または12を接続するのに適している。図7は例としてこのような装置を、マジックテープ(Klettbaender)32によってチェーン接続されたセンサエレメント1または12を有するセンサスキンとして示している。これによって複数のセンサエレメント1または12が、取り外し可能な接続部を介して機械的に相互に接続され、センサスキンが形成される。これは例えば、マジックテープ、ホックまたは接着バンドによる、ひも−/孔原理(Kordel-/Loch-Prinzip)に従っても相互に接続される(靴ひもに類似したひもが、センサエレメントの縁部にある孔を通して引かれる)。電気的に、センサスキンの全てのセンサエレメント1または12がケーブルによって相互に接続され、第1のセンサエレメント1または12を介して、さらに下方で説明する中央ユニットと接続される。
【0049】
図8に基づいて、図4に対する発展形態における別の実施例として、柔軟な繊維に類似した層を有する近接識別および衝突識別のための容量性センサエレメント12の層の構造を説明する。以降で説明する、図示された層はここでは、平坦な接着部によって接続されて、約9mmの厚さの層パケットが形成される。
【0050】
最上部の層として、弾性絶縁層41が操作者側の電気的なパッシベーションのため、周辺影響を遮蔽するため、および光学的な遮断として用いられる。
【0051】
導電性層42が構造化された銅フリース(Kupfer-Vlies)として続く。ここでは図8Aに従って、ポテンシャル面Aが、近接センサであるセンサエレメント1の測定容量に対する送信面として用いられ、ポテンシャル面Bが受信面として用いられる。
【0052】
その下に絶縁層43が位置し、これは層42と後続の層44との間の電気的なコンタクトを阻止する。
【0053】
層44は、隣接する、ここでは図示されていないセンサエレメントに対する容量測定のための全面的なポテンシャル面であり、殊に、操作者側への近傍領域センサ作用を制限するため、機械側方向の電界をブロックするため、近傍領域センサにおける機械側散乱をブロックするため、接触力センサにおける操作者側散乱をブロックするため、および以降で説明する、層47上での接触力センサの電界を制限するために用いられる。
【0054】
次に再び、絶縁層45が続く。この絶縁層は層44と層46との間の電気的なコンタクトを阻止する。
【0055】
導電層46はここでも、図8Bに示されたように構造化された銅フリースである。ここではポテンシャル面4は、接触力センサとしてのセンサエレメント12の測定容量に対して同一の測定容量D/E1、D/E2、D/E3、D/E4として構成される。4つの同一の測定容量D/E1、D/E2、D/E3、D/E4はここでそれぞれ、センサエレメント12の面の四分の一を覆っている。
【0056】
この下に、層47が位置する。これは例えば、力/距離置き換え器として、約1.7mmの厚さで、フォームラバーから成る:接触力はフォームラバーを圧縮し、この結果、層46と層48との間の間隔が減少し、これによって、層46の電極間の容量が変化する。付加的に、層47のフォームラバーは、機械的な緩衝器として、受動的な安全性を高めるために用いられる。
【0057】
導電性層48は同じように、構造化された銅フリースであり、測定ポテンシャルにある。図8Cに示された構造Fは主に、センサエレメント1を曲げたときの機械的な伸張性および圧縮性を改善するため、および層47上での接触力センサとしてのセンサエレメント1の電界を制限するために用いられる。
【0058】
層49として同じように、機械的な緩衝部であるフォームラバー(例えば約5mmの厚さ)が続く。これは、受動的な安全性を高め、本願では図示されていない例えば2つのプリント回路基板をフォームラバー内の中空空間内に収容する。ここでは近接センサ装置用のプリント回路基板および、接触力センサ装置用のプリント回路基板が構成され得る。従って各センサエレメント1は、プリント回路基板上に、近接センサ装置のためのマイクロコントローラー制御部を含んでおり、これは接触力センサ装置用のマイクロコントローラー制御部と別個のものである。さらに、層49は機械側での電気的なパッシベーションのために用いられる。
【0059】
従ってセンサエレメント1の制御部はコンパクトに、柔軟な担体内に組み込まれる。ここで、相応する回路部分は、測定されるべき容量を電気信号に変換し、この電気信号を中央電子回路に伝送する。さらに、センサエレメント1の安全に関連する全ての機能を検査するための周期的な自己診断を行うことができる回路部分が存在し得る。
【0060】
全ての制御部は、エネルギー伝送およびデータ伝送のための、以降で説明する電気的線路を介して、中央電子回路と接続されている。配線コストを低くするために、およびセンサエレメント1を明確にアドレス指定することを可能にするために、これらは有利には、例えばチェーントポロジーで、相互接続によって配線される。ここでセンサエレメント1のアドレスは例えば、チェーンにおけるそのポジションから得られる。
【0061】
次に図9Aおよび9Bを用いて、センサエレメント1iがどのように、人間の体部分50または別の対象物の接近を、オープンフィールド空間を有するコンデンサの容量変化に基づいてどのように検出するのかを説明する。
【0062】
測定容量として、センサエレメント1iの層42における2つのポテンシャル面AおよびB(図8Aを参照)が使用される;これらは測定容量Ciiを構成する。ここでポテンシャル面C(図8Bからの層44を参照)は測定ポテンシャルにある。測定容量Ciiの2つのポテンシャル面を、図9Bに示されている隣接する2つのセンサエレメント1iと1j上に分けることができる。この場合には次のような利点が得られる。すなわち、より大きい検出領域が可能であり、センサエレメント1iと1jの間のすき間でも検出が実施可能であるという利点が得られる。左側のセンサエレメント1iにおけるポテンシャル面はポテンシャル面A(層42)またはC(層44)から成る、またはこれらが電気的にまとめられる;右側のセンサエレメント1jにおける相応するポテンシャル面は面B(層42)であり、測定容量Cijを構成する。
【0063】
センサエレメント1iおよび1jを備えているセンサシステムの初期化時には、どの測定容量Cijが監視されるべきかが確定される。監視されるべき測定容量Cijが測定され、一度、開始値Cij0として格納される。作動時には、監視されるべき測定容量Cijは周期的に一定の時間ラスタ、典型的に100Hz〜1000Hzで測定される。このようなデータを評価することによって、接近情報が導出される。
【0064】
以下では有利な2つの方法を説明する。これらの方法は相補的であり、従ってこれら2つの方法を同時に使用することができる。これらの方法のうちの少なくとも1つの方法が接近を識別すると、接近が通知される。
【0065】
a)静的な接近識別
少なくとも1つの測定容量Cijに対して、|(Cij−Cij0)/Cij0|>Tstatが当てはまる場合には、接近が識別される。ここで、Cijは目下の容量測定値であり、Cij0は初期化時に格納された測定値であり、Tstatは適用可能な閾値であり、単位は%である。
【0066】
すなわち、少なくとも1つの容量測定値CijがTstatを越えて、自身の初期化値から偏差している場合には、接近が識別される。ここでTstatに対する典型的な値領域は、10%〜50%である。
【0067】
b)動的な接近識別
少なくとも1つの測定容量Cijに対して、d(Cij/Cij0)/dt>Tdynが当てはまる場合には、接近が識別される。ここでdtは監視時間期間であり、Tdynは適用可能な閾値であり、単位は%/sである。
【0068】
すなわち、任意の時間期間dtにおける少なくとも1つの容量測定値Cijが(Tdyn*dt)を越える変化有している場合には、接近が識別される。ここでdtに対する典型的な値領域は0.1s〜1sであり、Tdynに対しては10%/s〜100%/sである。TdynおよびTstatに対する値は、システムアプリケーションのもとで決められる。
【0069】
典型的には、モジュール様式に構成されたセンサスキンの全てのセンサエレメント1または1i、1jに対して、統一されたデータが使用される。ここで、特別な場合には、個別センサエレメント1;1i、1jに対する境界値が個別に設定されてもよい。
【0070】
接近時に、容量変化は不相応に増大するので、速度が速い場合には、動的な接近識別は大きいスイッチング間隔を生じさ、速度が遅い場合には小さいスイッチング間隔を生じさせる。これは、物理的な法則に添うので、速度が速い場合には、長い制動距離が必要になる。従って、動的な機能によって、衝突の無い作動が助長される。
【0071】
同時に、低速時のエラートリガが回避される。なぜなら、緩慢な容量変化によって、閾値Tdynを上回ることがないからである。従って、例えば、特定の緩慢に動く機械部分が、センサスキンの近傍において、エラートリガを生じさせることはない。
【0072】
静的な接近識別は、速度が低い場合にも、体部分を押しつぶすことを回避する。なぜなら、Tstatによって固定された最小間隔を下回る場合には常に、確実に機械が停止されるからである。
【0073】
衝突識別時には次のように作用する。
【0074】
接触力センサとしてのセンサエレメント1の測定容量が、図8;8A;8B;8Cに示された構造DおよびEから形成される。図8Bに示された、複数の同じ個別構造(E1〜E4)への構造Eの分割、および容量(CDE1、CDE2、CDE3、CDE4)のシーケンシャルな測定によって感度が上昇し、センサエレメント1上の力導入場所の正確な位置付けが可能になる。しかしこれは必ずしも必要というわけではない。
【0075】
測定容量のフィールド空間は、アースポテンシャルに接続されたポテンシャル面C(層44)およびF(層48)によって、両側で外側へ向けて覆われており、従って、外界による影響がブロックされる。
【0076】
センサエレメント1から成るセンサスキンとの機械的なコンタクトは主に、層47および49における軟らかいフォームラバー層の押圧につながる。これによって、測定面Fは、測定容量D/Eの近傍に押し寄せ、これを低減させる。従って、機械的なコンタクトに関する情報は、測定された値から構成される。このために種々の方法が使用される。有利で、非常に簡単な方法では、測定容量が次のような状態になると接触接続が通知される。
【0077】
CDEi>CT、ここでこれは全てのi=1..nに対してである(n:センサエレメント上の測定セルの数)
ここで適用可能な閾値CTは次のように調整される。すなわち、確実な作動が実現されるように調整される。
【0078】
後続の図に基づいて、センサエレメント1によるセンサシステムの電気的な作用を説明する。
【0079】
図10は、センサエレメント1のブロック回路図を示している。ここでは、ポテンシャル面A、B、Cを有する近接センサ装置52と、ポテンシャル面C、D、E、Fを有する接触力センサ装置53は相互に依存せずに動作する。すなわち、1つのシステムの障害、例えば任意のコンポーネントの故障、短絡または中断が、他方のシステムの故障を生じさせることはない。2つのシステムの唯一の電気的な接続は、測定線路GNDN/GNDKを介して生じる。
【0080】
右側には、給電線路および信号線路54が示されている。ここでUN、GNDNは、中央ユニットからセンサエレメント1への変調された情報伝送を有する供給電圧をあらわしており;Nin、Noutは、センサエレメント1から中央電子回路への情報伝送のためのデジタル信号線路をあらわしている。接触力センサ装置53用の給電および信号線路54は同様に構成されている。ここで接触力センサ装置53用のKin、Koutは、近接センサ装置52用のNin、Noutと同じ機能を有している。
【0081】
従って各センサエレメント1は近接センサ装置52用の制御部と接触力センサ装置53用の制御部とを含んでいる。ここでは電気的に両者は、自身の測定線路GNDNおよびGNDKを介してのみ接続されている。ケーブル故障時に、2つのシステムが同時に故障してしまうのを回避するために、2つの制御部の接続線路は別個の区間上に構成されている。
【0082】
図11に示されたブロック回路図ではセンサエレメント12が1〜n、ないしは1i、1j〜1nによって連番で示されており、これらは近接センサ装置52を伴ったセンサスキンを構成する。さらに、離れている中央電子回路55が設けられており、給電および信号線路54に関する電気的な接続がセンサエレメント1i、1j〜1nと中央電子回路55との間に示されている。中央電子回路55はここでマスター機能を有しており、センサエレメント1i、1j〜1nはスレイブ機能を有している。中央電子回路55は、接続端子UBNおよびGNDを介して供給電圧を得て、フローティングしている4つの回路出力側を有する。すなわちSN1、SN2をシグナリング「近接識別」のための二倍の冗長的な回路出力側として有しており、EN1、EN2をシグナリング「システムエラー識別」のための二倍の冗長的な回路出力側として有している。
【0083】
センサエレメント1i、1j〜1nは相互に重なっており、中央電子回路55と3三線式ケーブルを介して接続されている。接続端子GNDNおよびUNで、中央電子回路55は、全てのセンサエレメント1i、1j〜1nの、接近識別制御のための供給電圧を提供する。供給電圧に、センサエレメント1i、1j〜1nへの信号伝送が載せられる。このような信号伝送によって中央電子回路55はコマンドを、センサエレメント1i、1j〜1n内の全ての制御部へ、内部パラメータ変更のためまたは値の問い合わせのために送信する。あらかじめ設定されたアドレスを介して、個々のセンサエレメント1i、1j〜1nは、初期のように問い合わせされる。ここでセンサエレメント1i、1j〜1nの各アドレスは例えば、チェーン内でのその位置から生じる。
【0084】
例えば測定値、状況情報またはエラー情報に関する、センサエレメント1i、1j〜1nから中央電子回路55への情報のフローは、バケットチェーン原理に従って行われる。すなわち、センサエレメント1n−1から1を介した転送によって行われる。このために、コミュニケーション接続端子NinおよびNoutが設けられている。
【0085】
図12は、図11の装置に比較可能な装置を示している。これは、中央電子回路56内のコンタクトセンサ装置53を評価する。機能は、図13に示されている接近識別に相応している。これは変更されている参照番号を有している(SN1、SN2の代わりにSK1、SK2を有しており、EN1、EN2の代わりにEK1、EK2を有しており、UBNの代わりにUBKを有しており、GNDNの代わりにGNDKを有しており、Nin、Noutの代わりにKin、Koutを有している)。
【0086】
図11および12に記載された装置では、検査周期と重畳している、より緩慢な周期(例えば1Hz)で、各中央電子回路55または56が、各センサエレメント1i、1j〜1nで、自己診断を行う。
【0087】
ここでセンサエレメント1i、1j〜1nには検査電圧が加えられ、その反応は各中央電子回路55または56によって測定される。検査ストラテジーはここで次のように選択される。すなわち、各センサエレメント1i、1j〜1nのエラー機能が明確にエラーとして識別されるように選択される。少なくとも1つのセンサエレメント1i、1j〜1nがエラーを有しているとして識別されると、中央電子回路55または56は、出力側EN1/EN2(接近識別)ないしはKN1/KN2(接触力識別)でエラーを通知する。
【0088】
これまでに説明した実施例に対して、さらに新たな可能性があるまたは拡張が可能である。
【0089】
・接触力識別を行わない、主に近接識別に使用されるセンサエレメント1i、1j〜1nは場合によっては、それぞれ属する制御部を備えた層41(オプショナル)、42、43、44および49(図10参照)のみから成る。
【0090】
・接近識別を行わない、主に、接触力識別に使用されるセンサエレメント1i、1j〜1nは、属する制御部を備えた層41(オプショナル)、44〜49のみから成る。
【0091】
・オプショナルで、依存しない別の安全システムが組み込まれる。
【0092】
・中央電子回路55、56とセンサエレメント1i、1j〜1nとの間の情報伝送を、別の、既知でありかつ適切な技術に基づいて行う。これは物理的なレベル(例えば無線伝送による、アナログ/デジタル、シリアル/パラレルによる)、データプロトコール、ネットワークトポロジー(例えばリングトポロジー、スタートポロジー、ツリートポロジー)および伝送エラーを識別または除去する方法に関するものである。
【0093】
・大きいセンサスキンの場合には、説明されたシステムのうちの複数はが、カスケード形状で組み込まれる。これは上位の制御部が、複数の中央電子回路55、56の調整を担うことによって行われる。
【0094】
・適用またはシステム診断のために付加的なインタフェース、ディスプレイエレメントまたは操作エレメントがセンサシステム内に組み入れられ、これによって内部状態が読み出される、または変えられる。
【0095】
・別の機能的な層によって、センサスキンの機能範囲が拡張される。従って、例えばセンサエレメント1i、1j〜1nの外側は、非導電性の繊維によって覆われている(例えば人造皮革)。これはセンサエレメントを、埃、汚れおよび湿気から保護する。
【0096】
・組み込みをさらに容易にするために、センサエレメント1i、1j〜1nの給電は、無接触のエネルギー伝送によって行われる。例えば、貫通する、交流電流が印加される励起線路が、全てのセンサエレメントの下を通される。従って、各センサエレメント内の受信側コイルは、給電エネルギーを、磁気的な交番磁界から得る。
【0097】
・センサエレメント1i、1j〜1n内に、覆われている機械部分の熱を排出させる構造体が追加される(例えば孔、換気チャネルまたは冷却コイル)。
【0098】
・隣接するセンサエレメント1i、1j〜1nの機械的な接続は、既知のかつ適切な技術によって行われる。これは例えば固定されたパターン(ひも/穴原理、スナップインピン、クリップ、ホック)で行われる、またはパターン無く行われる(マジックテープ、接着)。
【0099】
・導電性の、伸張可能な層として、別の既知の、かつ適切な材料を使用することができる。これは例えば導電性ポリマー、導電性薄膜または導電性の繊維からの材料、網または組織である。
【0100】
・伸張性をさらに高めるために、層に種々の方法でスリットを入れることができる、または層を折り畳むことができる。
【符号の説明】
【0101】
1;12;1i、1j、1n センサエレメント、 2、4;13;44、48 導電性層、 5 電気力線、 6、7 ポテンシャル面、 8 ジャック、 9 プラグ、 31 貫通部、 32 マジックテープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの容量性センサエレメント(1;12)を備えた機械的構成部分での周辺監視のためのセンサシステムであって、
当該センサエレメントは、機械または機械部分の表面に取り付け可能である形式のものにおいて、
前記少なくとも1つのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)は、柔軟な導電層と電気的絶縁層(2、3、4;13、14)から成る層構造体から構成され、
層(2;42)の導電性ポテンシャル面(6、7;D、E)は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層(3;41、43、45)上に配置され、前記導電性ポテンシャル面(6、7;D、E)の間に電気力線(5)が形成され、当該電気力線は、体または対象物が接近および/または接触した際に測定可能に変化する、
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項2】
1つの極性の中央の導電性ポテンシャル面(7)と、前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)の縁部の、当該中央導電性ポテンシャル面を前記絶縁層(3;41、43、45)上で囲む、別の極性の第2の導電性ポテンシャル面(6)とが、前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)上、または隣接するセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)上に設けられている、請求項1記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記層(2、3)の層構造体は、上方の層(2)おいて、導電性面(6、7)と、当該導電性面の下に位置する絶縁層(3)と、当該絶縁層の下に位置する、遮蔽電極(4)としての導電性面と、次に当該導電性面の下に位置する機械側の絶縁層(3)とを有する、請求項1または2記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記層(2、3、4、13、14;41〜49)の層構造体はセンサエレメント(12)で、上方の層において、導電性面と、当該導電性面の下に位置する絶縁層と、当該絶縁層の下に位置する、遮蔽電極としての導電性面と、別の絶縁層と、第2の電極としての導電性層と、次に、当該導電性層の下に位置する、機械側の絶縁層を有しており、
前記容量は、前記遮蔽電極と第2の電極の間で、外部からの接触圧力によって測定可能に変化可能である、請求項1または2記載のセンサシステム。
【請求項5】
多数のセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)が側方の接触接続または他の接続、例えばジャック(8)またはプラグ(9)を介して、相互に接続される、請求項1から4までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項6】
1つ、複数または全てのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)に、電気的な測定回路部分を収容する、柔軟な電気的プリント回路基板(11)が機械側に取り付けられており、当該プリント回路基板は、相互に接触接続または接続可能であり、中央電子評価回路(20)に接続可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記導電性層(2、4;13;44、48)またはポテンシャル面(6、7)はそれぞれ柔軟な導電性マット、有利には銅フリースから構成されており、前記電気的な絶縁層(3;14;41、43、45)は、繊維に類似した組織、有利にはフェルト、プラスチックまたは発泡材から構成されており、前記層(2、3、4;13、14;41〜48)は裁断可能であり、複雑な三次元な形状に整合可能であり、かつ結合可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記層(2、3、4;13、14;41〜48)は裁断可能であり、相互に接着可能である、請求項7記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)には、主に接触力測定のために、弾力のある層(47)が設けられており、当該層は、間隔の変化が容量変化につながるように圧縮可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)はそれぞれ近接センサ装置(52)および/または接触力センサ装置(53)をスレイブシステムとして有しており、当該システムの測定値は並行、または相互に依存せずに、マスターシステムである各共通の中央電子回路(30)または別個の電子回路(55、56)内で処理可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のセンサシステムを駆動制御および評価する方法であって、
電子評価装置(20)は周期的に全てのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)をアドレス指定し、少なくとも1つのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)で、基準値に対する顕著な容量変化が存在するか否かを検査し、
従って、各出力側(27、28、29)で、前記機械または前記機械部分の周辺における接近または衝突をシグナリングする、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記データをチェーンに沿って、複数のセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)を介して評価装置へ伝送することによって、線形にチェーン接続されたセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)をアドレス指定するために、前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)のシーケンスを利用する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
各センサエレメント(1;12)に別の、より緩慢な周期で自己診断を受けさせ、
ここで前記センサエレメント(1;12)に検査電圧または特徴的な信号パターンを加える、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
静的な近接識別と動的な近接識別を次のことによって行う、すなわち、接近識別を、2つの導電性ポテンシャル面の間の容量の周期的な測定および、当該目下の測定値を1つまたは複数の基準値と比較することによって行い、
ここで1つまたは複数の基準値を予め調整された閾値だけ上回る/または下回ると接近であると評価し、ここで基準値は一定の値としてシステム内に格納可能であり、前記システムの初期化時に測定された容量経過特性、または前記測定された容量経過特性から、時間的にフィルタリングされた値として求める、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
センサシステムまたは、当該センサシステムを駆動制御および評価するための方法の使用であって、
少なくとも1つのセンサシステムが自動製造装置または自動取り付け装置で使用され、当該センサシステムは、操作員またはサービスパーソンと共通の作業空間内に存在し、当該操作員またはサービスパーソンが、前記自動製造装置または自動取り付け装置の機械または機器部分と接近および/または衝突したことを検出し、警告信号または停止信号を出力するために使用される、
ことを特徴とする、センサシステムまたは、当該センサシステムを駆動制御および評価するための方法の使用。
【請求項1】
少なくとも1つの容量性センサエレメント(1;12)を備えた機械的構成部分での周辺監視のためのセンサシステムであって、
当該センサエレメントは、機械または機械部分の表面に取り付け可能である形式のものにおいて、
前記少なくとも1つのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)は、柔軟な導電層と電気的絶縁層(2、3、4;13、14)から成る層構造体から構成され、
層(2;42)の導電性ポテンシャル面(6、7;D、E)は側方で間隔を空けて、その間に位置する絶縁層(3;41、43、45)上に配置され、前記導電性ポテンシャル面(6、7;D、E)の間に電気力線(5)が形成され、当該電気力線は、体または対象物が接近および/または接触した際に測定可能に変化する、
ことを特徴とするセンサシステム。
【請求項2】
1つの極性の中央の導電性ポテンシャル面(7)と、前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)の縁部の、当該中央導電性ポテンシャル面を前記絶縁層(3;41、43、45)上で囲む、別の極性の第2の導電性ポテンシャル面(6)とが、前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)上、または隣接するセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)上に設けられている、請求項1記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記層(2、3)の層構造体は、上方の層(2)おいて、導電性面(6、7)と、当該導電性面の下に位置する絶縁層(3)と、当該絶縁層の下に位置する、遮蔽電極(4)としての導電性面と、次に当該導電性面の下に位置する機械側の絶縁層(3)とを有する、請求項1または2記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記層(2、3、4、13、14;41〜49)の層構造体はセンサエレメント(12)で、上方の層において、導電性面と、当該導電性面の下に位置する絶縁層と、当該絶縁層の下に位置する、遮蔽電極としての導電性面と、別の絶縁層と、第2の電極としての導電性層と、次に、当該導電性層の下に位置する、機械側の絶縁層を有しており、
前記容量は、前記遮蔽電極と第2の電極の間で、外部からの接触圧力によって測定可能に変化可能である、請求項1または2記載のセンサシステム。
【請求項5】
多数のセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)が側方の接触接続または他の接続、例えばジャック(8)またはプラグ(9)を介して、相互に接続される、請求項1から4までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項6】
1つ、複数または全てのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)に、電気的な測定回路部分を収容する、柔軟な電気的プリント回路基板(11)が機械側に取り付けられており、当該プリント回路基板は、相互に接触接続または接続可能であり、中央電子評価回路(20)に接続可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記導電性層(2、4;13;44、48)またはポテンシャル面(6、7)はそれぞれ柔軟な導電性マット、有利には銅フリースから構成されており、前記電気的な絶縁層(3;14;41、43、45)は、繊維に類似した組織、有利にはフェルト、プラスチックまたは発泡材から構成されており、前記層(2、3、4;13、14;41〜48)は裁断可能であり、複雑な三次元な形状に整合可能であり、かつ結合可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記層(2、3、4;13、14;41〜48)は裁断可能であり、相互に接着可能である、請求項7記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)には、主に接触力測定のために、弾力のある層(47)が設けられており、当該層は、間隔の変化が容量変化につながるように圧縮可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)はそれぞれ近接センサ装置(52)および/または接触力センサ装置(53)をスレイブシステムとして有しており、当該システムの測定値は並行、または相互に依存せずに、マスターシステムである各共通の中央電子回路(30)または別個の電子回路(55、56)内で処理可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載のセンサシステム。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のセンサシステムを駆動制御および評価する方法であって、
電子評価装置(20)は周期的に全てのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)をアドレス指定し、少なくとも1つのセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)で、基準値に対する顕著な容量変化が存在するか否かを検査し、
従って、各出力側(27、28、29)で、前記機械または前記機械部分の周辺における接近または衝突をシグナリングする、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記データをチェーンに沿って、複数のセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)を介して評価装置へ伝送することによって、線形にチェーン接続されたセンサエレメント(1;12;1i、1j、1n)をアドレス指定するために、前記センサエレメント(1;12;1i、1j、1n)のシーケンスを利用する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
各センサエレメント(1;12)に別の、より緩慢な周期で自己診断を受けさせ、
ここで前記センサエレメント(1;12)に検査電圧または特徴的な信号パターンを加える、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
静的な近接識別と動的な近接識別を次のことによって行う、すなわち、接近識別を、2つの導電性ポテンシャル面の間の容量の周期的な測定および、当該目下の測定値を1つまたは複数の基準値と比較することによって行い、
ここで1つまたは複数の基準値を予め調整された閾値だけ上回る/または下回ると接近であると評価し、ここで基準値は一定の値としてシステム内に格納可能であり、前記システムの初期化時に測定された容量経過特性、または前記測定された容量経過特性から、時間的にフィルタリングされた値として求める、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
センサシステムまたは、当該センサシステムを駆動制御および評価するための方法の使用であって、
少なくとも1つのセンサシステムが自動製造装置または自動取り付け装置で使用され、当該センサシステムは、操作員またはサービスパーソンと共通の作業空間内に存在し、当該操作員またはサービスパーソンが、前記自動製造装置または自動取り付け装置の機械または機器部分と接近および/または衝突したことを検出し、警告信号または停止信号を出力するために使用される、
ことを特徴とする、センサシステムまたは、当該センサシステムを駆動制御および評価するための方法の使用。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−53212(P2011−53212A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194284(P2010−194284)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]