説明

機能モジュール、および機能モジュールを製造する方法

機能モジュール、および機能モジュールを製造する方法が記載されている。この機能モジュールは、第1および第2の端面および内面を有する外管と、外管の内部に配置された、第1および第2の端面および外套面を有する内管と、外管の内面と内管の外套面との間で形状接合式に配置され、電気抵抗の正の温度係数を有する材料を有する少なくとも1つの成形体とを含んでいる。内管および外管の第1の端面は電気絶縁性物質の上に配置されており、成形体は外管と内管の間でクランプ力により固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能モジュール、および機能モジュールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気抵抗の正の温度係数を有する材料(PTC材料)との熱接触によって、媒体やコンポーネントを加熱することができる。このようなPTC材料は、従来、円板または方形部材として成形することができる。媒体がPTC材料と直接的に接触するのでなく、容器やハウジングの中にあるとき、ハウジングや容器が湾曲した表面を有していると、PTC材料とハウジングの間に減少した接触面が存在している場合がある。PTC材料とハウジングの間の少ない接触面は、不都合な表面・容積割合に基づき、低い効率をもたらす。従来、たとえば流体が貫通または循環して流れる円形の管は、低い効率でしかPTC材料によって加熱することができていない。このことは、長い加熱時間と多い加熱出力をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、PTC材料をデバイスの過負荷保護として使用することができる。この場合にも、従来、湾曲した表面を有する部材を提供することはできていない。
【0004】
解決されるべき課題の要諦は、高い効率を有する機能モジュールを提供することにある。この課題は、請求項1に記載の機能モジュールによって解決される。機能モジュールのその他の実施形態、この機能モジュールを製造する方法、およびその利用法はその他の請求項の対象となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態では、第1の端面、第2の端面、および内面を有する外管と、外管の内部に配置された、第1の端面、第2の端面、および外套面を有する内管と、外管の内面と内管の外套面との間で形状接合式に配置され、電気抵抗の正の温度係数をもつ材料を有している少なくとも1つの成形体とを含む機能モジュールが提供される。このとき外管の第1の端面と内管の第1の端面は電気絶縁性物質の上に配置されており、成形体は外管と内管の間でクランプ力により固定される。
【0006】
このような構造により、外管と内管による成形体の恒常的な接触が提供されると同時に、外管と内管の間での成形体の摩擦接合式の結合が、接着剤や追加のコンポーネントを使用することなく提供される。このようにして成形体を形状接合式かつ全面的に外管および内管に結合することができ、それによって良好な熱的および/または電気的な接触が可能となる。
【0007】
電気絶縁性物質は、高い温度安定性を有する材料を有することができる。たとえば、ガラスファイバでさらに充填されていてよいプラスチックを選択することができる。プラスチックの例はポリフェニレンスルフィド(PPS)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0008】
内管の第1の端面と外管の第1の端面を電気絶縁性材料の上に配置することで、一方では、内管と外管に電圧が印加されたときに発生する可能性がある短絡が防止される。
【0009】
さらに内管と外管は摩擦接合式に結合されていてよい。摩擦接合式の結合により、内管を用いて成形体を外管へ押し込み、それによって恒常的な電気接触を具体化することができる。そのために必要な力は、内管と外管が上に配置された電気絶縁性物質によって伝達することができる。このとき電気絶縁性物質により、成形体に内管を押し込むため、およびそれに伴って成形体を外管へ押し込むための圧縮応力を、内管に対して生成することができる。それと同時に、圧縮応力と等しい大きさの引張応力が外管で生成される。外管はたとえば折曲されたラグにより、電気絶縁性物質とも機械的に結合されているからである。このように、発生するすべての力の合計はゼロになる。
【0010】
さらに、内管と外管との間の摩擦接合式の結合により、温度変化に基づいて外管、内管、および成形体のそれぞれ異なる材料に発生する可能性のある熱膨張、およびこれに伴って発生する機械的な損傷を、良好に補償することができる。
【0011】
内管の外套面は、内面、外面、および壁厚を有する内管の壁部を含んでいる。
さらに内管は、内管の長手方向の間隙を有することができる。内管の外套面の間隙は、内管全体に沿った外套面の中断を惹起する。
【0012】
内管の外套面と外管の内面は、少なくとも部分領域で、湾曲を含むことができる。すなわち楕円形の断面をもつように成形された円筒状の内管と、外管の内面とを適用することができ、または対称もしくは非対称に成形されていてよく、屈曲部により湾曲が中断されていてもよい、任意に成形された内管と、外管の内面とを適用することができる。
【0013】
内管の外套面と外管の内面との間で形状接合式に配置された成形体は、同じく管の形状を有することができる。成形体は、たとえば接着結合などによる追加の固定が必要ないように、外管と内管の間に挟み込まれる。複数の、たとえば最大10個の成形体が、外管の内面と内管の外套面との間に配置されていてもよい。そしてこれらの成形体が相前後して配置され、それにより、各々の成形体が外套面および内面との境界面を含むことになる。
【0014】
外管の内面と内管の外套面は、それぞれ直径を有することができる。このとき内面の直径は、外管の第1の端面から第2の端面に向かって先細になる。したがって、外管の第1の端面における直径は、外管の第2の端面における直径よりも大きくなっており、外管の内面の直径は、第1の端面から第2の端面に向かって連続的に小さくなっていく。さらに外套面の直径は、内管の第1の端面から内管の第2の端面に向かって先細になることができる。したがって、内管の第1の端面における直径は、内管の第2の端面における直径よりも大きくなっている。内管の第1の端面は、外管の第1の端面と同じ側に位置している。したがって内管の先細の形状は、外管の内面の先細と平行になっている。このように内管と外管の内面は、たとえば円錐台のような形式で成形された形状を有している。
【0015】
外管の内面のこのような形状により、外管の内面に合わせて形状接合式に適合化された成形体を、外管から滑り出てしまうことなく、外管へ良好に押し込むことができる。同様に内管を、成形体から滑り出てしまうことなく、良好に成形体の内部へ配置することができる。それにより、外管と内管の間での成形体の固定がクランプ力によって向上する。さらに、温度変化に基づいて外管、内管、および成形体のそれぞれ異なる材料に発生する可能性のある熱膨張、およびこれに伴って発生する可能性がある機械的な損傷を、良好に補償することができる。
【0016】
さらに外管は外面を有することができる。この外面は内面に準じて成形されていてよく、外管の第1の端面において外管の第2の端面におけるよりも大きい直径を有することができる。さらに外管の外面は、第1の端面における外面の直径が、外管の第2の端面における直径と同じ大きさであるように成形されていてよく、それにより、外管の内面は円錐台のような形式で、および外管の外円は円筒状にそれぞれ成形されることになる。
【0017】
外管および内管の材料は、金属および合金を含む群から選択されていてよい。たとえば材料としてアルミニウムや銅、あるいは合金として真鍮を選択することができる。このような金属は、成形体と接触するための電極としての役目を果たすことができる。
【0018】
さらに内管は弾性作用をもつように成形されていてよい。この効果は外套面に存在する間隙によって可能となり、たとえばばね鋼を使用することでいっそう向上させることができる。それにより成形体は内管により、いっそう高いクランプ力によって外管へ押し付けられ、それによって外管と内管の間での成形体の固定が向上する。外管および内管による成形体の熱的および/または電気的な接触も、それによって向上する。このとき固定および形状接合式の接触は恒常的に安定的であるが、固定的ではなく、それにより、各材料の異なる熱膨張によって発生する可能性がある応力亀裂のような機械的な損傷を回避することができる。このようにして材料疲労も低減することができる。
【0019】
成形体、外管、および内管は、互いに熱的に接触することができる。さらに内管の外套面と成形体との間、および/または成形体と外管の内面との間には、熱伝導性ペーストが配置されていてよい。それにより、成形体と内管との間で、および/または成形体と外管との間で良好な熱接触が保証され、それによって内管と成形体との間で、および外管と成形体との間で、熱伝達が最適化される。さらに、外管の内面および内管の外套面に合わせて適合化された成形体の形状により、熱伝達が改善される。広い面積での熱接触が、成形体と内管および外管との間に存在するからである。
【0020】
熱伝導性ペーストについては、ポリマーに沈積した粒子を含む材料を選択することができる。粒子はたとえば熱伝導性の金属粒子、グラファイト粒子、酸化アルミニウム粒子などを含むことができる。このような粒子は、成形体と内管との間、および成形体と外管との間に配置されるペーストの良好な熱伝導性をもたらす。
【0021】
さらに、外管は第1の接触部材、内管は第2の接触部材を電流の生成のために有することができる。このとき第1の接触部材と第2の接触部材は電気絶縁性物質を貫通して突出し、それによって各接触部材に外部から接触することができる。各接触部材は、互いに接触せず、それにより相互に絶縁されるように、物質を貫通して突出する。接触部材はたとえば接続ラグを有する薄板として成形されていてよく、それにより、たとえば市販の平形コネクタやクリンプ接続を接触部材に接続することができる。それにより、外管および内管およびそれぞれの接触部材を介して、成形体に電圧を印加することができる。
【0022】
外管の内面の先細と、内管の外套面の先細は、内管の回転軸および外管の回転軸に対して1°から10°を含む角度を有することができる。この角度はたとえば1°から5°を有することができる。ここで回転軸とは、内管ないし外管の長手方向でそれぞれ内管ないし外管の中心を通過する仮想線を表すものと理解すべきものである。これらの仮想軸と、内管の長手方向に沿って外套面上で内管の第2の端面を超えて延びる、ないしは外管の長手方向に沿って内面上で外管の第2の端面を超えて延びる、第2の仮想線との交点が角度を生じさせる。
【0023】
さらに成形体は、0.3mmから3mmを含む範囲から選択された厚みを有することができる。この厚みは成形体の壁厚を表している。
【0024】
成形体の厚みは、印加される電圧に依存して選択することができる。したがって、成形体の寸法に依存して、およびこれに伴い電極をなす内管と外管の間隔に依存して、成形体のオーム抵抗を調整することができる。
【0025】
外管、内管、および成形体は共同で、1mmから50mmを含む範囲から選択された機能モジュールの直径を生じさせることができる。このとき機能モジュールの直径は、内径と外径を含んでいる。たとえば内径は1mmであってよく、内管の壁厚が0.3mm、成形体の壁厚が0.5mm、外管の壁厚が0.5mmであれば、3.6mmの外径を生じさせることができる。外管、内管、および成形体の壁厚がそれぞれ等しい場合、たとえば機能モジュールの外径は50mmであってよく、内径は47.4mmであってよい。
【0026】
機能モジュールの成形体は、Ba1−x−yTi1−a−bMnの構造を有するセラミック材料を含むことができる。この構造はペロブスカイト構造を含んでいる。ここでxは0から0.5の範囲を含んでおり、yは0から0.01の範囲、aは0から0.01の範囲、bは0から0.01の範囲、Mは2価のカチオンを含んでおり、Dは3価または4価のドナー、Nは5価または6価のカチオンを含んでいる。Mはたとえばカルシウム、ストロンチウム、鉛であってよく、Dはたとえばイットリウムやランタンであってよい。Nの例はニオブやアンチモンである。成形体は、10ppmよりも少ない含有率で存在する金属不純物を含むことができる。金属不純物の含有率は、成形体のPTC特性が損なわれない程度に低い。
【0027】
このような金属は、−30℃から340℃の範囲を含むキュリー温度を有することができる。さらに成形体の材料は、3Ωcmから30000Ωcmの範囲内にある抵抗を25℃で有することができる。
【0028】
さらに、上に述べた特性を有する機能モジュールを製造する方法が提供される。この方法は、
A)第1の端面および内面を有する外管と、第1の端面および外套面を有する内管とを準備する方法ステップと、
B)外管の内面および内管の外套面に合わせて適合化された形状を有する少なくとも1つの成形体を射出成形またはプレス成形する方法ステップと、
C)成形体を焼結する方法ステップと、
D)成形体を外管の中に配置する方法ステップと、
E)内管を成形体の中に配置する方法ステップと、
F)内管および外管の第1の端面を電気絶縁性物質の上に配置する方法ステップとを含んでおり、このとき内管が成形体を外管の内面に向かって押圧する。
【0029】
このとき方法ステップB)では、成形体の収縮を考慮に入れたうえで、外管の内面に合わせて成形体が適合化される。成形体の材料の組成によっては、方法ステップC)での焼結中に成形体の容積の収縮が生じることがある。したがって方法ステップB)では、成形体が適合化されるべき外管の内面および内管の外套面にとっては大きすぎるが焼結後に内面と外套面に合わせて適合化される形状を焼結前に有する成形体が、射出成形またはプレス成形される。
【0030】
それにより、成形体と内管の間で、および成形体と外管の内面の間で、熱的および電気的な広い接触面が保証される。
【0031】
さらに、成形体を製造するための方法ステップB)では、Ba1−x−yTi1−a−bMnの構造のセラミック充填材料と母材とを有するセラミック出発材料が準備される。
【0032】
10ppmよりも少ない金属不純物を含むセラミック出発材料を製作するために、摩減を防止するための硬質コーティングを有する工具を用いてこれを製作することができる。硬質コーティングは、たとえばタングステンカーバイドでできていてよい。セラミック材料と接触する工具の全表面が、硬質コーティングでコーティングされていてよい。
【0033】
このようにして、焼結によりセラミックPTC材料に移行させることができるセラミック充填材料を母材と混合し、加工してグラニュールにすることができる。このグラニュールを、次の加工のために射出成形またはプレス成形して成形体にすることができる。
【0034】
セラミック充填材料が沈積する、セラミック材料よりも低い融点を有している母材は、セラミック材料に対して20質量%よりも低い割合を有することができる。母材は、ろう、樹脂、熱可塑性樹脂、水溶性ポリマーの群から選択された材料を含むことができる。酸化防止剤や軟化剤のようなその他の添加物も、同じく存在していてよい。
【0035】
方法ステップB)は、
B1)セラミック出発材料を準備するステップと、
B2)出発材料を射出成形またはプレス成形して形状を与えるステップと、
B3)母材を取り出すステップとを有することができる。
【0036】
方法ステップC)での焼結中にセラミック出発材料は、電気抵抗の正の温度係数を有する成形体の材料へと移行する。
【0037】
方法ステップD)およびE)では、外管の内面と内管の外套面との間で成形体がクランプ力により固定される。
【0038】
方法ステップF)で内管と外管を電気絶縁性物質の上に配置することにより、内管と外管の間で摩擦接合式の結合が生起される。
【0039】
さらに、加熱システムの加熱モジュールとしての、または回路システムの過負荷保護モジュールとしての、機能モジュールの利用法が提供される。
【0040】
それにより、内管の中および/外管の周囲を通って案内される媒体を効率的に加熱する、たとえば循環式湯沸かし器や加熱システムの接続部材として利用することができる加熱モジュールが提供される。成形体に電圧を印加することで、電気抵抗の正の温度係数に基づいて成形体が加熱され、その熱を内管と外管へ放出することができる。このとき成形体は、自動調節式の挙動を有している。成形体の温度がクリティカルな値に達すると、成形体の抵抗も上昇し、それによって少ない電流しか成形体に流れなくなる。それにより成形体のそれ以上の加熱が妨げられるので、熱出力の追加の電子制御を準備しなくてすむ。このような加熱モジュールにより、内管の中および/または外管の周囲で案内される媒体を、成形体により間接的に加熱することができる。加熱モジュールは、内管の中および/または外管の外に配置されたコンポーネントを加熱するのにも同様に利用することができる。
【0041】
外管の内面および内管の外套面に合わせて形状接合式に配置された成形体を使用することで、加熱モジュールの効率を従来の加熱モジュールと比較して改善することが可能である。成形体と内管および成形体と外管の間の広い面積での熱的および電気的な接触が提供され、それによって好都合な表面・容積比率が成立するからである。
【0042】
さらに、内管の中および/または外管の周囲で案内される加熱されるべき媒体と、または内管の中および/または外管の外に配置されるコンポーネントと、成形体との間に直接的な接触が存在しない。それにより、加熱されるべき媒体によって成形体が腐食性の攻撃を受けたり、媒体によって溶解するのを回避することができ、および/または成形体の材料が、加熱されるべき媒体または加熱されるべきコンポーネントを汚染するのを回避することができる。
【0043】
外管の外部に配置されたコンポーネントを加熱するために、内管の外套面と成形体の間の接触面は、成形体と外管の内面との間の接触面よりも狭くてよい。さらに内管の厚みは外管の厚みよりも小さくてよい。それにより、いっそう強く外方へと向かうヒートシンクが形成され、このヒートシンクが外管を通じての高い熱排出を惹起し、それに対して内管を通しては少ない熱しか排出されない。そのような加熱モジュールは、たとえば電熱カートリッジとして利用することができる。
【0044】
さらに、高い電流が流れる回路システムの過負荷保護モジュールを提供することができる。内管、成形体、および外管の上に説明した成形により、成形体を通じての低い電圧降下のための少ない抵抗につながる成形体の広い断面が実現される。それと同時に、スペースを節約する小型のモジュールの設計形態が具体化される。それにより、少ないスペースしか利用できないときでも、過負荷保護が要求される消費電力の大きい多数の電子回路に、PTCを含む可逆的な自動調節式の過負荷保護モジュールを装備することができる。
【0045】
図面と実施例を参照しながら、上述した対象物についてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】機能モジュールの断面を示す模式的な側面図である。
【図2】機能モジュールの模式的な三次元の前面図である。
【図3】機能モジュールの模式的な三次元の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、機能モジュールの断面の模式的な側面図を示している。外管10と内管30の間には、少なくとも1つの成形体20が配置されている。図1では一例として、相前後して配置された2つの成形体20が示されているが、ただ1つの成形体20や、2つを超える成形体を相前後して内管30と外管10の間に配置することもできる。
【0048】
成形体20は、電気抵抗の正の温度係数を有するセラミックを含んでおり、Ba1−x−yTi1−a−bMnの構造をもつ材料を含んでいる。
【0049】
外管10は接触部材15と導電接続されており、内管30は接触部材35と導電接続されている。接触部材15および35は互いに別々に電気絶縁性物質40を貫いて突出しており、それによって外部で電源に接続されると同時に、内管30と外管10の間の短絡を回避することができる。このとき外管10と内管30は金属または合金から成形されており、成形体20の電極としての役目をする。
【0050】
機能モジュールはたとえば加熱モジュールとして成形されていてよい。その場合、内管30の内部および/または外管10の外部に、電圧が印加されたときに成形体40のPTC効果によって間接的に加熱される媒体が通される。機能モジュールは、たとえばコネクタのような加熱されるべきコンポーネントを包囲するために利用することもできる。接触部材15および35を介しての電気接触によって成形体20に電流が生起されると、ただちに加熱プロセスが始まる。
【0051】
内管30と外管10は、第1の端面50と第2の端面60をそれぞれ有している。図面を見やすくするために、図1から図3では、機能モジュールの同じ側に位置する内管と外管の第1の端面には1つの符号が付されている。第2の端面も同様である。
【0052】
内管は、第1の端面50における内管の直径が、第2の端面60における直径より大きくなるように成形された外套面を有している。同様に、外管の内面の第1の端面50における直径も、内面の第2の端面における直径よりも大きく成形されている。さらに内管30の外套面には間隙70(ここには図示せず)があり、内管30は弾性作用をもつように成形されている。さらに電気絶縁性物質40により、内管30と外管10の間で摩擦接合式の結合が生起される。そのようにして成形体20を、内管によって外管10へ押し付けることができる。それにより、接着結合や追加のコンポーネントを一切必要としない、固定的ではない恒常的なクランプ接触が成立するので、異なる材料で生じる場合がある膨張を補償することができ、機械的応力が機能モジュールに発生することがない。
【0053】
図2は、機能モジュールの模式的な三次元の前面図を示している。ここでは、内管30のクランプ力を生じさせる、内管30の外套面の間隙70を見ることができる。さらに、一例として接続ラグを備える薄板として成形された接触部材15および35が示されている。
【0054】
図3には、図2に準ずる機能モジュールの裏面図が三次元の模式図として示されている。ここでは、市販の平形コネクタまたはクリンプ接続部と接続可能である接触部材15および35が前面にある。外管10の中にある成形体20は見えていない。第1の端面50には、機能モジュールの内部に内管30の一部が見えている。
【0055】
各図面に示す実施形態は任意に改変することができる。さらに、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、ここに挙げていない別の構成も許容することを考慮すべきである。
【符号の説明】
【0056】
10 外管
15 接触部材
20 成形体
30 内管
35 接触部材
40 電気絶縁性物質
50 第1の端面
60 第2の端面
70 間隙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能モジュールにおいて、
第1の端面(50)、第2の端面(60)、および内面を有する外管(10)と、
第1の端面(50)、第2の端面(60)、および外管(10)の内部に配置された外套面を有する内管(30)と、
外管(10)の内面と内管(30)の外套面の間で形状接合式に配置され、電気抵抗の正の温度係数を有する材料を有する少なくとも1つの成形体(20)とを含んでおり、
外管(10)の第1の端面(50)と内管(30)の第1の端面(50)は電気絶縁性物質(40)の上に配置されており、成形体(20)は外管(30)と内管(10)の間でクランプ力により固定されている機能モジュール。
【請求項2】
内管(30)は内管(30)の長手方向に間隙(70)を有している、先行請求項に記載の機能モジュール。
【請求項3】
外管(10)の内面は直径を有しており、前記直径は第1の端面(50)から第2の端面(60)に向かって先細になっている、請求項1または2に記載の機能モジュール。
【請求項4】
内管(30)の外套面は直径を有しており、前記直径は第1の端面(50)から第2の端面(60)に向かって先細になっている、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項5】
外管(10)の材料と内管(30)の材料は金属または合金を含んでいる、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項6】
内管(30)は弾性作用をもつように成形されている、請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項7】
内管(30)と外管(10)は摩擦接合式に結合されている、請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項8】
外管(10)は第1の接触部材(15)、内管(30)は第2の接触部材(35)をそれぞれ電流の生成のために有しており、第1の接触部材(15)と第2の接触部材(35)は絶縁性物質(40)を貫いて突出している、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項9】
内面の先細と外套面の先細は内管(30)の回転軸および外管(10)の回転軸に対して1°から10°を含む範囲から選択された角度を有している、請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項10】
成形体(20)は0.3mmから3mmを含む範囲から選択された厚みを有している、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項11】
成形体(20)はBa1−x−yTi1−a−bMnの構造を有するセラミック材料を含んでおり、x=0から0.5、y=0から0.01、a=0から0.01、b=0から0.01、Mは2価のカチオンを含んでおり、Dは3価または4価のドナーを含んでおり、Nは5価または6価のカチオンを含んでいる、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項12】
成形体(20)は−30℃から340℃の範囲を含むキュリー温度を有している、請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項13】
成形体(20)は3Ωcmから30000Ωcmの範囲内にある抵抗を25℃で有している、請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の機能モジュール。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の機能モジュールを製造する方法において、
A)第1の端面(50)および内面を有する外管(10)と、第1の端面(50)および外套面を有する内管(30)とを準備する方法ステップと、
B)外管(10)の内面および内管(30)の外套面に合わせて適合化された形状を有する少なくとも1つの成形体(20)を射出成形またはプレス成形する方法ステップと、
C)成形体(20)を焼結する方法ステップと、
D)成形体を外管(10)の中に配置する方法ステップと、
E)内管(30)を成形体(20)の中に配置する方法ステップと、
F)内管(30)および外管(10)の第1の端面(50)を電気絶縁性物質(40)の上に配置する方法ステップとを含んでおり、
このとき内管(30)が成形体(20)を外管(10)の内面に向かって押圧する方法。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の機能モジュールの利用法において、加熱システムの加熱モジュールまたは回路システムの過負荷保護モジュールとしての利用法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−501331(P2013−501331A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523301(P2012−523301)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061139
【国際公開番号】WO2011/015535
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】