説明

機能的に選択されたCTL細胞およびNK細胞の診断的および治療的応用

【解決手段】本発明は、標的細胞の溶解を誘導できるものとして選択されたエフェクタ細胞(例えばCTL細胞およびNK細胞)の使用に基づく新規の治療および診断の手法を提起する。具体的には、本発明は、免疫系のエフェクタ細胞株をそれらの溶解特性にしたがってどのように選択するかを教示する。本発明は、また、治療用ワクチンの活性をチェックするための診断手順を前掲のものに対してどのように改善できるかを教示する。最後に、本発明は、このアプローチを使用して現時点で使用されている細胞療法をどのように改善できるかを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的細胞の溶解を誘導できるものとして選択されたエフェクタ細胞(例えばCTL細胞およびNK細胞)の使用に基づく新規の治療および診断の手法を提起する。具体的には、本発明は、免疫系のエフェクタ細胞株をそれらの溶解特性にしたがってどのように選択するかを教示する。本発明は、また、治療用ワクチンの活性をチェックするための診断手順を前掲のものに照らしてどのように改善できるかを教示する。最後に、本発明は、このアプローチを使用して現時点で使用されている細胞療法をどのように改善できるかを示す。
【0002】
以下において、「エフェクタ細胞」という用語、またはより一般的には「エフェクタ」という用語は、「標的」粒子に対して効果を有する粒子(細胞または一般的微生物)を意味するものと理解され、ここで、「標的」粒子は、エフェクタによって誘導された変化をその上に発現させる細胞または一般的微生物として定義される。
【背景技術】
【0003】
免疫系の重要な動作特性のいくつかは、「レア」と見なされる細胞群の作用によって決定される。この文脈において、「レア」とは、既知の亜集合内において千分の1またはそれ未満の頻度を有する細胞の亜集合を意味するものと理解される。例えば、腫瘍性のものなどの疾病の進行は、適切な特質を有する標的細胞の溶解を誘導する特性を持つ免疫系細胞の亜群によって対比できることが知られている。このようなエフェクタ細胞がレアであることも、等しく知られており、したがって、この作用は、適切な治療手段によって刺激されない限り、あまり効果的でない。
【0004】
治療の分野において、CTL細胞およびNK細胞は、現在では、「限界への」希釈によるクローン選択と組み合わせた事前精製を通じて分離されている(10)。これらの戦略は、有効であり、実用的な成功を収めているものの、複雑で、冗長で、なおかつ高価である。さらに、多くの場合は、攻撃される標的細胞(例えば腫瘍に属するもの)の受容体の特質が知られていない、または一部のみ知られているので、クローン選択の戦略は、必ずしも作動できるとは限らない。
【0005】
この点について、
1. 腫瘍特異的ペプチドが知られているケースでは、腫瘍特異的CTLの集団の事前選択が可能であることが知られており、既に治療手順(11)に記載されている。
2. 腫瘍細胞特異的CTLは、ほとんどのケースでは、ほぼ1/1,000〜1/10,000の程度で患者内に存在することが知られている(12)。
3. 腫瘍特異的CTLをその中で特定できるCTLの集団を、免疫学的技法によって分離することが可能である(13)。
4. 単一CTLは、続く生化学分析に利用できる均一集団を発生させるために、in-vitroで増加させることができ(14)、腫瘍の免疫療法のためにもし十分に増加されたならば、それらは、悪性の細胞に対して特異的に維持されるはずである(15)。
5. 標的細胞の溶解を誘導できるその他のエフェクタ細胞にも、CTL分離の戦略と全く同様の戦略を適用できる。
6. 免疫療法におけるCTL(および類似のエフェクタ細胞)の使用は、腫瘍の治療に限定されず、その他の病変に関してでもよく、なかでもとりわけ、ウィルス性の病変(例えばAIDS)および細菌感染に起因する病変が挙げられる。
【0006】
CTLについて検討された事項は、腫瘍細胞の溶解の誘導に対して特に活性であって、その使用が実現される限り、とりわけNK細胞にも適用される。
【0007】
これらの検討事項を踏まえると、標的細胞に対して高度に溶解性のCTLクローンを妥当な時間内に効率的に選択することを可能にする方法が、治療の分野において非常に重要である。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、T細胞傷害性リンパ球(CTL)(1)および適切な細胞標的の溶解を誘導できるその他の細胞(代表的なものはナチュラルキラー細胞NK)(2)の媒介による標的細胞(例えば腫瘍細胞)の溶解をリアルタイムで監視ならびに定量化することによって免疫系細胞の機能的選択を行うための方法を教示する。このような方法は、CTL活性およびその他の溶解細胞のための、現在入手可能なものより高い能力を有する革新的分析アッセイに基づく。したがって、本発明は、診断の分野に直ちに応用することができる。さらに、このような方法は、高活性を有するエフェクタ細胞(代表的なものはCTLまたはNK)のクローンを分離するための効果的戦略として提起される。したがって、本発明は、治療の分野において重要な用途がある。
【0009】
具体的に言うと、本発明は、ヒトから事前に収集された免疫系細胞の選択のための方法であって、腫瘍患者の病状の診断的/予後的チェックにとって重要な情報を取得するのに特に有用であり、a)事前に収集された免疫系細胞をそれぞれの標的粒子と相互作用させるステップであって、上記相互作用に起因する標的粒子の変化は、免疫系細胞の所望特性の指標である、ステップと、b)標的粒子に対する相互作用の効果をチェックするステップと、c)標的粒子との相互作用を経た免疫系細胞のなかから、上記標的粒子の変化を誘導ししたがってそれらの標的粒子に対してエフェクタ細胞として機能するものを選択するステップと、を含む方法に関する。
【0010】
さらに、本発明にしたがった方法は、溶解メカニズムの著しい有効性によって上流において単核細胞の不均一集団(流入リンパ領域で循環しているまたは「溜まっている」)から選択された抗腫瘍エフェクタのクローンを作成するために、ステップc)の終了時に選択された免疫系細胞を増加させるステップも、含むことができる。
【0011】
本発明のさらなる態様にしたがうと、増加のステップは、連続する段階によって実施され、これは、1つの段階と、それに続く段階との間に、最適な特質を持つエフェクタの再選択を恐らくは不安定なクローン集合のex-vivo増幅中に実施し、具体的には、少なくとも1つの上記恐らくは不安定なクローン集合に対してステップa)、b)、およびc)を繰り返す。
【0012】
本発明は、さらに、恐らくは樹状細胞による刺激後に治療目的でin-vivo再注入するのに適したキャリアの中にステップa)、b)、およびc)を通して選択された免疫系細胞ならびに/またはそれらのクローンを含む薬物を調製するための上記方法の使用に関する。
【0013】
最後に、本発明は、エフェクタ細胞の選択および上記タイプの薬物の調製のためにエフェクタ細胞および標的細胞をそれらの生物活性を変えることなく操作することを可能にする小型デバイスの使用、ならびに選択され増加された溶解性エフェクタ細胞のin-vivo再注入によって治療できる病変の治療のための薬物を調製するための選択され増加された溶解性エフェクタ細胞の使用であって、薬物は、いずれも実質的に同程度の溶解活性を有する事前に選択されたエフェクタ細胞および/または事前に選択されたエフェクタ細胞のクローンのみを含むこと、を特徴とする使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
CTL活性の分析のために現在最も使用されている方法は、溶解された細胞からのCr51の放出に基づくものである(3)。非放射性ユーロピウム(Eu3+)の放出に基づくもの(4)、蛍光マーカ(例えばカルセイン)の放出に基づくもの(5)、エステラーゼ活性の分析に基づくもの、アネキシンVまたはβ−ガラクトシダーゼの使用に基づくものなどのその他の方法が、近年整えられてきている。インピーダンス電子分析に基づくその他の方法もまた、Acea Biosciencesによって市販化されており、これは、免疫系細胞によって誘導される細胞集合体に対する溶解の効果をリアルタイムでチェックすることを可能にする(6,7)。
【0015】
これらの方法には、いくつかの重大な欠点がある。場合によっては、これらの方法は、放射性分子の使用に基づいており(3)、常に、個々の細胞のレベルではなく「平均の」結果を決定する(4,5)。FACS(蛍光活性化セルソータ)分析(8)が使用できる場合は、これは、多数の細胞と、複雑でなおかつ高価な器具とを必要とする。これらの分析では、いずれも、リアルタイムの評価が効果的でない。
【0016】
これらの検討事項に照らすと、このような分析を単一細胞および標的細胞に向かう高溶解性クローンのレベルに拡大することによって、エフェクタ細胞(例えばCTL)の媒介による細胞崩壊をリアルタイムでなおかつ効果的に監視することを可能にする方法が、診断および治療の分野において確実に非常に重要である。
【0017】
この点について、
1. CTL標的細胞は、様々な超生体色素を使用して染色できることを知られており、このような色素のなかには、溶解されたおよび/または損傷された場合に細胞の外に放出できるものがある(カルセイン(5)は、これらの超生体色素に属する)。
2. CTL標的細胞は、複雑な構造(ミトコンドリアや細胞核など)を識別したとえ損傷された場合でも細胞の外に放出されない様々な超生体色素を使用して染色できることを知られている(9)。
3. 決定された特質を明白に示す細胞の割合を自動的に定量化する目的で、適切なデータ処理プログラムおよび撮像手順が使用できる。
【0018】
リアルタイムな細胞操作に関し、最近、いくつかの技術が提供されている。例えば、ピンセットレーザは、細胞を中に含有することができる光ケージを作成すること、およびそれらのケージを移動させて細胞を互いに接触させることを可能にする(17)。さらに、誘電泳動(DEP)に基づく実験室チップデバイスは、生物要素をプログラム式に変位させるのに非常に有用であることを知られている(18〜21)。具体的に言うと、アレイ電極からなるデバイスは、単一細胞または単一細胞群を操作できる。
【0019】
アレイ電極に基づく実験室チップの一例が、(21)に示されている。本発明の根底には、高度に細胞傷害性のCTLを先ずは識別するため、次いで分離するための効果的な方法を開発することを目的とし、したがって、免疫療法的戦略を通じて腫瘍性の病変を治療するのに有用である、CTL、NK、および標的腫瘍細胞を操作するためのリアルタイムな手法の使用があり、これらの手法は、単一細胞も変位させることができる。
【0020】
実験手順
リンパ芽球様細胞系(LCL)が、ヒトBリンパ球をEpstein-Barrウィルス(EBV)株B95.8に感染させた後に得られた(26)。EBNA1タンパク質のaa407−417に対応するEBV特異的ペプチドHPV GEADYFEY(HPV)が、刺激のために使用された。HLA−B35ドナーの抹消血からのリンパ球(PBL)が、RPMI−1640培地、10%のFCS(Hyclone)を入れた24穴培養皿の穴ごとに、3.5×106の濃度で固定化され、HPVペプチド(10μM)で刺激された。培養物は、7日後および14日後に再度刺激され、培地は、10U/mlのrIL−2(Chiron)で補われた。14日目および21日目には、T細胞の培養物が、適切な細胞毒性アッセイ(51Cr放出)を使用してCTL活性によって分析された(3)。
【0021】
得られた結果に関する見解
このような研究の結果は、図1〜6に報告された実施例に示されている。実施例は、例示目的で与えられたものであり、発明の範囲をどのように制限することも意図していない。図1では、図の右側に示された複合体を生成することによって単一の標的腫瘍細胞を攻撃するように方向付けられた3つのCTL(赤い矢印)の変位が報告されており、図中、CTLは赤で、標的細胞は緑で表されている。
【0022】
驚くことに、アレイ電極を含む実験室チップ上において変位されたCTLは、標的腫瘍細胞に接触でき、それらを非常に短時間(8〜20分の間)で溶解できることがわかった。細胞がカルセインでマーキングされた場合は、それらの細胞は、無傷であれば蛍光を発し、CTLによって損傷されたならば蛍光を失う(図2および図3)。ミトコンドリア用またはDNA用の色素を使用した二重染色を行うことによって、CTLによって損傷された細胞は、カルセインの蛍光を失い、ミトコンドリア用またはDNA用の特定の色素の1つを維持する。したがって、(恐らくは撮像プログラムを使用した)蛍光顕微鏡分析を通じて、活性CTLを不活性CTLから区別することが可能である。非選択CTLは、ペプチドを事前に取り込まれていないLCLに対しては溶解活性を示さない。
【0023】
他方、近年記載されているように(22〜25)、DEPによって操作された細胞は、自身の表現型および自身の分化特徴を維持する。本発明にしたがうと、細胞溶解活性および光信号(蛍光)検出もまた、この種の操作によって変更されないことがわかった。このアプローチは、したがって、活性CTLクローン、および決定された細胞標的に対して細胞溶解活性を示すその他の細胞集団の、即時的な識別ならびに続く分離および増加に適している。
【0024】
この実演で使用される光学的撮像法に加えて、インピーダンス測定法(6)もまた、単一細胞の状態を高いレベルの正確さでチェックすることを可能にすることが知られている。本実施形態で提示される光学的技法は、したがって、より一般的な方法の単なる例証であることを意図したものである。
【0025】
図2は、CTLとの相互作用後における、進行した溶解状態にある細胞の詳細を示している。具体的に言うと、図の右側では、3つのCTL(黒い矢印)によって溶解された標的細胞を観察できる(緑の矢印)。図3(パネルA)は、CTL/標的細胞集合体における溶解の動態を示している。Bでは、事前に選択されたものでないCTLが溶解性でないことが指摘される。この戦略は、CTLとの接触後における溶解の動態を分析すること、および高い細胞溶解活性を持つCTLパターンを識別することを可能にすることがわかる。
【0026】
図4Aは、カルセインによるマーキングが、EBVペプチドを取り込まれた(LCL)HLA−B35リンパ球に対するCTLによる溶解メカニズムや特異的認識を変更しないことを示している。図4Bには、また、このメカニズムに対して誘電泳動もマンニトール含有緩衝剤も何ら影響を及ぼさないことが示され、その結果は、他によって遺伝子発現プロフィール(37)およびK562の増殖能(35,36)についてチェックされた結果と一致し、誘電泳動によって変更されない結果となる。
【0027】
使用された実験条件(マンニトール緩衝剤と、誘電泳動を通した移動)での認識反応および溶解の特異性の維持が、さらに、図5および図6に示された実験でチェックされた。図6には、やはり限られた数の細胞(数=25,30,20,27)から開始するCLTによるLCLの特異的溶解に続く、蛍光強度変動の動態も示されている。これは、DEP処理の開始後8〜10分以内に、既に指摘することができる。結論として、驚くことに、この実験的背景では免疫反応の特異性が維持されたことがわかった。実際は、存在する細胞の数が極めて少ない場合でも選択的挙動が生じるかどうかは、全く不明である。特に、この種の操作が生じる環境は、その他のどの手法でも生じる細胞どうしの集合現象を阻害する。にもかかわらず、免疫反応の選択性および特異性の発見は、本特許の一連の重要な教示内容に対して道を開くものである。
【0028】
細胞傷害性エフェクタ(報告された実施例ではCTLであるがNK細胞およびその他でもよい)がex-vivoでリアルタイムで列挙可能であるという事実、およびこの分析が「代用評価項目」(例えばエフェクタの表面特異的マーカの発現、リンホカインの放出、分化抗原の発現など)ではなく単一細胞レベルにおける溶解有効性のオンラインかつリアルタイムな定量的読み取りに基づくものであるという事実は、革新的でなおかつ非常に重要である。実際、所定の抗原を認識する全てのTリンパ球が等しく溶解性なのではないこと(2,28)、および成熟表現型リンパ球の割合がワクチン接種中に増大すること(29)が知られている。評価項目としての直接的細胞毒性の使用は、代用評価項目の使用と比べて臨床予後に大きく相関すること、および特異的免疫の誘導においてワクチン製剤の有効性をより正確に監視できるようにすることが予測される。さらに、抗腫瘍Tリンパ球の存在は、最近ワクチン接種されていない患者の疾病の再発およびぶり返しに付随してしばしば観察される(30)。
【0029】
操作後に細胞を回復させる既知の技術(33)であるこの手順は、治療的な関わりを有している。高い溶解活性を持つエフェクタ細胞の分離および回復は、生化学的研究を行うことおよび選択集合を増加させることを目的とした高度に選択された細胞の「in-vitro」培養を可能にする。これらの戦略は、いずれも、腫瘍の免疫療法において深い意義を持っている。
【0030】
実際、単核細胞の不均一集団(流入リンパ領域で循環しているまたは「溜まっている」)からの高選択性細胞傷害性エフェクタの分離は、(a)溶解メカニズムの著しい有効性ゆえに上流において選択された抗腫瘍エフェクタのクローン増加と、(b)ex-vivo増幅中における恐らくは不安定なクローン集団のエフェクタの再選択とを可能にする。恐らくは樹状細胞による刺激後に治療目的でin-vivo再注入するための技術が、利用可能である(31)。これらのエフェクタの局所的および/または系統的な再注入の有効性、ならびに自己注入の採用もまた、経時的に監視でき、免疫状態および疾病の経過と相関させることができる(31)。
【0031】
高度に溶解性の細胞をin-vitroで増加させ、もし必要であれば表現型を変更して、それらを腫瘍を患っている患者に再注入すること(養子細胞移植療法)の実現性は、複数の研究の課題であった(28〜30、32)。この実験的戦略では、高溶解活性を持つエフェクタ細胞の迅速な識別、および治療的重要性を有するが遺伝子安定性は維持するような細胞取り込みを生じる能力が、依然として制限要因となる。
【0032】
本特許の戦略的課題は、高溶解活性を持つ細胞の選択手順の時間短縮および改善と両立可能であり、一方からは標的腫瘍抗原の識別を、もう一方からは免疫療法に使用可能な細胞の増加を容易にする。標的細胞の溶解を誘導する作用を持つ可能性がある有用な細胞株を機能的に選択しうるものとして、例えば、(32)で提案された方法を考慮すると、本手法によって得られる選択の質の向上を、より正当に評価することができる。(32)の技法は、腫瘍組織内に湿潤して発癌性細胞に溶解活性を及ぼすことができるTILすなわち腫瘍内湿潤リンパ球の細胞株の存在を観察することから開始する。この場合もやはり、患者内に見られるTILの数は、疾病の寛解を得るために必要とされるよりも少ない。手順は、すると、以下の、1)患者から生検を得るステップと、2)所望の細胞に適した栄養因子および増殖因子のin-vitro注入を可能にするように組織を処理するステップと、3)増殖ステップの終了後に、TILの細胞株を精製するおよび腫瘍細胞を除去するステップと、4)このようにして得られた細胞を患者に再注入するステップと、によって要約できる。このようにして得られたTILは、溶解活性を示すのが一部のみであることを知られており、したがって、患者に再注入される細胞の量は、望ましくない副作用を制限するため上回ることができないので、この療法は、有効性に限界がある。本特許で提案される手法は、1)エフェクタ細胞の選択は、抹消血内に存在する細胞系にも広げることができ、TILに限定されないこと、2)機能的選択は、溶解能を知られた1組の株を生じること、3)関係した細胞系の安定性を各種増加ステップで監視できるゆえに、これらの細胞系の増加手順の改善を可能にすること、および4)療法に必要とされる細胞取り込みを減少させ、したがって、患者に再注入される同じ物質材料上に、より狙いを定めた作用を提供すること、ゆえに、本明細書で議論された手法にともなう制約を、大幅に減少させる。3)の点は、一定回数に及ぶ増加後に溶解表現型を変化させることを知られているCTLタイプの細胞系の増加に関する技術状態を、大幅に向上させる。所望の溶解特徴を有する単一細胞を入手できるのが選択手順の下流でありなおかつおよそ数百万細胞程度の治療的結合価を有する細胞取り込みの実現が必要とされるような極端なケースでは、約25または30の増加サイクルが必要とされる。
【0033】
このサイクル数は、関与している細胞の遺伝的安定性を維持しないものであり、したがって、異なる溶解表現型を持つ亜集合が生成される。提示された発明は、この問題をどのように解決するかを教示している。つまり、細胞の機能的選択は、増殖手順中の異なるステージにおいて繰り返すことができ、例えば、10または12の増殖サイクル後には、数千個の細胞が入手可能である。細胞系の精製は、上で開示された機能的選択の拡大適用を通じて復活させることができる。つまり、生検によって得られた標的細胞系を維持すること、および望ましくない表現型を有する溶解性細胞を排除するために提示の方法を繰り返すことが可能である。この増加レベルでの溶解性細胞の排除は、電子的技法に基づく選択技術との間で整合性が取れており、したがって、純粋な系が再び得られる。10または12に等しいサイクル数に及ぶさらなる増加は、治療的応用に適した数の溶解性細胞を生成する。たとえこの時点での細胞数が、溶解性の表現型の安定性を単一細胞レベルで検査することを阻むような数であっても、表現型を制御できないような増殖サイクルの数は、大幅に減少されているので、したがって、細胞は、元の細胞の正確な複製であると見なすことができる。
【0034】
本発明は、さらに、エフェクタ細胞(この場合はCTL)の生物活性を変化させない細胞操作に適した任意のデバイスの使用を想定している。
【0035】
他方で、本発明は、標的細胞を溶解できる各タイプの細胞(NK細胞を含む)の分離に関する。
【0036】
最後に、本発明は、以上のように、エフェクタ細胞(NKまたはCTL)の細胞溶解活性の主な標的にすることができる、急性型および慢性型の、腫瘍性の病変、感染性の病変、自己免疫性の病変、および炎症性の病変を含む、全ての病変に適用される。
【0037】
最後に、これまでに言及されてきた公開文献を参照符号付きで示した文献一覧表が提供され、これらの内容は、本明細書の所要部分に参照によって組み込まれるものとする。
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【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】A. 標的腫瘍細胞(緑の矢印)を攻撃するように方向付けされたCTLの変位(3つのCTL:赤い矢印)。 B. CTLと標的細胞との複合体。
【図2】CTL(黒い矢印)と1つの標的細胞(緑の矢印)との相互作用:標的細胞は、進行した溶解状態にある。
【図3】A. 標的細胞の溶解の動態。 B. 事前に活性化されなかったCTL。
【図4】A. Cr51放出アッセイにおいて溶解%を通じて測定された、CTLの溶解活性に対するカルセインの効果。カルセインが存在する場合(左側)およびカルセインが不在の場合(右側)における標的LCL(EBVペプチドを取り込まれたB35)の特異的溶解が、黒い棒グラフで報告され、ペプチドを取り込まれていないLCLによって表される制御が、白い棒グラフで報告されている。 B.CTLの溶解活性に対するマンニトール緩衝剤の効果(Cr51放出アッセイ)。マンニトール含有緩衝剤内の場合(左側)および標準的な緩衝剤内の場合(RPMI、右側)における標的LCLの特異的溶解が、黒い棒グラフで報告され、ペプチドを取り込まれていないLCLによって表される制御が、白い棒グラフで報告されている。
【図5】DEPによる変位後およびカルセインの取り込み後における、マンニトール緩衝剤内におけるEBVペプチドを取り込まれた標的LCLの特異的溶解の、SmartSlide(登録商標)上における検出。A〜Dのパネル:HPV特異的CTLによるHPV陽性LCLの溶解が、10分後および20分後に検出されている。E〜Hのパネル:反対に、EBV特異的CTLは、ペプチドを取り込まれていないLCLを溶解させない。
【図6】報告データは、3つの実験の平均である。標準的な緩衝剤(RPM)内における15分間(パネルB)および30分間(パネルC)に及ぶ共培養後、EBVペプチドを取り込まれたLCL−B35の特異的CTLによる溶解に起因して、蛍光信号(カルセイン)の経時的な減少が検出された。並列制御検出(Aにおける白い棒グラフおよびCにおける白抜き記号)は、溶解が特異的であることを示しており、実際、LCLにEBVペプチドが取り込まれていない場合は、溶解は生じず、この場合、信号強度の経時的減少は最小である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトから事前に収集された免疫系細胞の選択のための方法であって、腫瘍患者の病状の診断的/予後的チェックにとって重要な情報を取得するのに特に有用であり、
a)事前に収集された免疫系細胞をそれぞれの標的粒子と相互作用させるステップであって、前記相互作用に起因する標的粒子の変化は、免疫系細胞の所望特性の指標である、ステップと、
b)標的粒子に対する相互作用の効果をチェックするステップと、
c)標的粒子との相互作用を経た免疫系細胞のなかから、前記標的粒子の変化を誘導ししたがってそれらの標的粒子に対してエフェクタ細胞として機能するものを選択するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
標的粒子で得ることができる前記変化は、事前に知られていること、を特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
細胞は、それらのエフェクタ/標的溶解特性によって選択され、前記免疫系細胞の所望特性は、まさに、細胞および微生物からなる群より選択される標的粒子を溶解させる特性であること、を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記相互作用のステップおよび前記選択のステップは、抹消血内、炎症性腫瘍湿潤物内、流入リンパ節領域内、およびその他の任意の病巣またはアクセス可能生体液内における細胞傷害性エフェクタ(T細胞やNK細胞など)の存在を定量化することを可能にするように実施されること、を特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法であって、
前記相互作用のステップおよび前記選択のステップは、微小残存病変を決定することを可能にするように実施され、同時に、危険な状態にある患者内における抗腫瘍性のTエフェクタおよびNKエフェクタの細胞溶解活性を直接的になおかつリアルタイムに測定すること、を特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3または4に記載の方法であって、
前記相互作用のステップおよび前記選択のステップの少なくとも1つは、エフェクタ細胞および標的細胞または微生物をそれらの生物活性を変えることなく操作することを可能にする任意のタイプの小型デバイスを使用して実施されること、を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項3ないし5のいずれかに記載の方法であって、さらに、
溶解メカニズムの著しい有効性によって上流において単核細胞の不均一集団(流入リンパ領域で循環しているまたは「溜まっている」)から選択された抗腫瘍エフェクタのクローンを作成するために、ステップc)の終了時に選択された免疫系細胞を増加させるステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記増加のステップは、続く段階によって実施され、これは、1つの段階と、それに続く段階との間に、最適な特徴を持つエフェクタの再選択を恐らくは不安定なクローン集合のex-vivo増幅中に実施し、具体的には、少なくとも1つの前記恐らくは不安定なクローン集合に対してステップa)、b)、およびc)を繰り返すこと、を特徴とする方法。
【請求項9】
恐らくは樹状細胞による刺激後に治療目的でin-vivo再注入するのに適したキャリアの中に前記ステップa)、b)、およびc)を通して選択された免疫系細胞ならびに/またはそれらのクローンを含む薬物を調製するための請求項1ないし8のいずれかに記載の方法の使用。
【請求項10】
請求項9に記載の使用であって、
前記薬物は、関心対象である活性が標的細胞を溶解することからなるような各細胞タイプを使用して得られること、を特徴とする使用。
【請求項11】
請求項8または9に記載の使用であって、
選択され増加された溶解性エフェクタ細胞の注入によって治療できる各タイプの病変の治療のための薬物を調製するための使用。
【請求項12】
所望のタイプおよび強度の活性を有するエフェクタ細胞の選択を実施するためにエフェクタ細胞および標的細胞をそれらの生物活性を変えることなく操作することを可能にする任意のタイプの小型デバイスの使用。
【請求項13】
選択され増加された溶解性エフェクタ細胞の注入によって治療できる各タイプの病変にin-vivo再注入するための薬物の調製のためにエフェクタ細胞および標的細胞をそれらの生物活性を変えることなく操作することを可能にする小型デバイスの使用であって、
前記薬物は、いずれも実質的に同程度の溶解活性を有する事前に選択されたエフェクタ細胞および/または事前に選択されたエフェクタ細胞のクローンを含むこと、を特徴とする使用。
【請求項14】
選択され増加された溶解性エフェクタ細胞のin-vivo再注入によって治療できる病変の治療のための薬物を調製するための、選択され増加された溶解性エフェクタ細胞の使用であって、
前記薬物は、いずれも実質的に同程度の溶解活性を有する事前に選択されたエフェクタ細胞および/または事前に選択されたエフェクタ細胞のクローンのみを含むこと、を特徴とする使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−533043(P2009−533043A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504846(P2009−504846)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000954
【国際公開番号】WO2007/116309
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508127694)シリコン・バイオシステムズ・エス.ピー.エー. (6)
【氏名又は名称原語表記】SILICON BIOSYSTEMS S.P.A.
【出願人】(508307838)
【氏名又は名称原語表記】GAMBARI, Roberto
【Fターム(参考)】