説明

欠品検査方法

【課題】基板上に電子部品が実装されているか否か等、被検査面における被検査対象物の存否を的確に検査できる欠品検査方法を提供する。
【解決手段】被検査面(基板21上面)における被検査対象物22の存否をカメラ11で取り込んだ輝度情報によって検査する欠品検査方法であって、被検査対象物22の表面と被検査面(基板21上面)とのうち、いずれか一方の面をその面からの反射光32がカメラ11に入射しにくい凹凸面22bとする。他方の面は、その面からの反射光32がカメラ11に入射しやすい平坦面とする。被検査対象物22の存否によってカメラ11の撮像画像の輝度に大きな高低差が生じるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査面における被検査対象物の存否、例えば基板上の電子部品の有無をカメラにより自動判定するための欠品検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子回路基板の製造工程において、所定の基板上に電子部品が実装されているか否かを検査する方法にカメラを用いた検査方法がある。
従来のこの種の技術としては、特許文献1に記載のものがあった。
これは、図10(a),(b)に示すように、光源101による光が照射された、電子部品103が実装された基板104〔図10(a)〕と、実装されていない基板105〔図10(b)〕との輝度情報をカメラ102で各々取り込み、それらを比較して電子部品103の欠品を検査するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−201603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術では、得られた輝度情報において、電子部品103が実装された基板104と、実装されていない基板105との輝度差が小さく、電子部品103の欠品を検査できないことがある。
【0005】
本発明の課題は、所定の基板上に電子部品が実装されているか否か等、被検査面における被検査対象物の存否を的確に検査できる欠品検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、被検査面における被検査対象物の存否をカメラで取り込んだ輝度情報によって検査する欠品検査方法であって、前記被検査対象物の表面と前記被検査面とのうち、いずれか一方の面をその面からの反射光が前記カメラに入射しにくい表面状態とし、他方の面をその面からの反射光が前記カメラに入射しやすい表面状態としたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の欠品検査方法において、被検査対象物の表面を、その面からの反射光がカメラに入射しにくい表面状態としたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の欠品検査方法において、被検査面を、その面からの反射光がカメラに入射しにくい表面状態としたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の欠品検査方法において、反射光がカメラに入射しにくい表面状態は凹凸面であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の欠品検査方法において、被検査対象物は電子部品であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの請求項に記載の欠品検査方法において、被検査面は電子回路基板面であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の欠品検査方法において、電子部品は電子回路素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被検査面における被検査対象物の存否をカメラで取り込んだ輝度情報によって検査する欠品検査方法であって、被検査対象物の表面と被検査面とを、それらの面相互間で反射光量に大きな相違が生じるような表面状態としたので、被検査面における被検査対象物の存否を的確に検査できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る欠品検査方法の説明図である。
【図2】同上第1実施形態における回路素子実装時の検査の様子を示す図で、(a)は側面図、(b)は回路基板、回路素子部分の上面図である。
【図3】同上第1実施形態における回路素子非実装時(欠品時)の検査の様子を示す図で、(a)は側面図、(b)は回路基板部分の上面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る欠品検査方法の説明図である。
【図5】同上第2実施形態における回路素子実装時の検査の様子を示す図で、(a)は側面図、(b)は回路基板、回路素子部分の上面図である。
【図6】同上第2実施形態における回路素子非実装時(欠品時)の検査の様子を示す図で、(a)は側面図、(b)は回路基板部分の上面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る欠品検査方法の要部説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る欠品検査方法の要部説明図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る欠品検査方法の要部説明図である。
【図10】従来技術の説明図で、(a)は電子部品実装時、(b)は電子部品非実装時(欠品時)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明の第1実施形態に係る欠品検査方法の説明図である。
この図1において、11はCCDカメラ等のカメラ、12はLED等からなる光源である。光源12は、図示例ではカメラ11を中心にこれを取り巻くように複数のLEDを配置してなる環状の光源であるが、複数のLEDを線上に配列したものを1〜複数列配置して光源12としてもよい。光源12としての機能を果たせるならば、1つのLEDを配置したものであってもよい。LED以外のランプを光源12として用いてもよい。
【0010】
図1は、被検査面であるプリント基板等の電子回路基板(以下、回路基板と略記する。)21の上面に、被検査対象物である電子部品、ここではIC、LSI等の電子回路素子(以下、回路素子と略記する。)22が実装されている状態を示している。
図示例において回路素子22は、その端子部22aが回路基板21上面の素子取付け部21a上に形成された半田部21bに半田付けされることにより実装される。
カメラ11及び光源12は、回路素子22の取付け領域を含む回路基板21の上面及び実装される回路素子22の上面に光31を照射可能に、回路基板21の上方側に配設されている。
この第1実施形態において、回路素子22の上面は、光源12からの光(入射光31)の反射光32〔図2(a)参照〕がカメラ11に入射しにくい表面状態、図示例では凹凸面22bとされている。なお回路基板21上面は、通常の回路基板面(平坦面)のままであり、光源12からの光31の反射光32〔図3(a)参照〕がカメラ11に入射しやすい表面状態となっている。
【0011】
図1に示す構成において、光源12を点灯すると、そこからの光31は回路基板21方向に直進する〔図1、図2(a)参照〕。
いま、図2(a),(b)に示すように、回路基板21に回路素子22が実装されていると、回路素子22の上面が凹凸面22bとされているので、回路素子22上面への入射光31は乱反射する。
すなわち、入射光31は180°方向転換するのではなく、図2(a)中の破線で示すように側方に反射する。したがって、カメラ11に入射する反射光32の量は減少し、カメラ11で取り込まれる反射光量も減少して、その撮像画像の輝度は低くなる。
【0012】
一方、図3(a),(b)に示すように、回路基板21に回路素子22が実装されていない場合には、回路素子22上面への入射光31は乱反射せずに正反射する。
すなわち、図3(a)中の破線で示すように、入射光31はほぼ180°方向転換して反射光32となり、カメラ11に入射する反射光32の量はあまり減少しない。したがって、カメラ11に取り込まれる反射光量もあまり減少せず、カメラ11の撮像画像の輝度は、回路基板21に回路素子22が実装されている場合〔図2(a)参照〕に比べて著しく高い。
【0013】
したがって、回路基板21に回路素子22が実装されている場合と実装されていない場合におけるカメラ11の撮像画像の輝度を予め測定しておくことによって、回路基板21に回路素子22が実装されているか否かが的確に検査できる。
具体的には、カメラ11の撮像画像の輝度が著しく高ければ回路基板21に回路素子22が実装されてなく、上記の撮像画像の輝度が低ければ回路基板21に回路素子22が実装されていると、的確に検査できる。したがって、撮像画像の輝度値にしきい値を設定する等によって精度の高い検査の自動化が容易に実現できる。
【0014】
図4は、本発明の第2実施形態に係る欠品検査方法の説明図である。
この第2実施形態においては、回路素子22の上面は通常の回路素子上面(平坦面)のままであり、光源12からの光(入射光31)の反射光32がカメラ11に入射しやすい表面状態となっている。一方、回路基板21の上面の回路素子22の実装面は、光源12からの光31の反射光32〔図6(a)参照〕がカメラ11に入射しにくい表面状態、図示例では凹凸面21cとされている。
【0015】
図4に示す構成において、光源12を点灯すると、そこからの光31は回路基板21方向に直進する〔図4、図5(a)参照〕。
いま、図5(a),(b)に示すように、回路基板21に回路素子22が実装されていると、回路素子22の上面が平坦面であるので、回路素子22上面への入射光31は乱反射せずに正反射する。
すなわち、図5(a)中の破線で示すように、入射光31はほぼ180°方向転換して反射光32となり、カメラ11に入射する反射光32の量はあまり減少しない。したがって、カメラ11に取り込まれる反射光量もあまり減少せず、カメラ11の撮像画像の輝度は、回路基板21に回路素子22が実装されていない場合〔図6(a)参照〕に比べて著しく高い。
【0016】
一方、図6(a),(b)に示すように、回路基板21に回路素子22が実装されていない場合には、回路基板21上面への入射光31は乱反射する。
すなわち、入射光31は180°方向転換するのではなく、図6(a)中の破線で示すように側方に反射する。したがって、カメラ11に入射する反射光32の量は減少し、カメラ11で取り込まれる反射光量も減少して、カメラ11の撮像画像の輝度は回路基板21に回路素子22が実装されている場合〔図5(a)参照〕に比べて低くなる。
【0017】
したがって、回路基板21に回路素子22が実装されている場合と実装されていない場合におけるカメラ11の撮像画像の輝度を予め測定しておくことによって、回路基板21に回路素子22が実装されているか否かが的確に検査できる。
具体的には、カメラ11の撮像画像の輝度が著しく高ければ回路基板21に回路素子22が実装されていて、上記の撮像画像の輝度が低ければ回路基板21に回路素子22が実装されていないと、的確に検査できる。したがって、撮像画像の輝度値にしきい値を設定する等によって精度の高い検査の自動化が容易に実現できる。
【0018】
なお、上述した第1、第2実施形態いずれの場合も、図2、図3あるいは図5、図6に示すように、回路基板21上面からカメラ11及び光源12までの高さが欠品検査中、一定であると、回路基板21上面の回路素子22の有無によって光源12からの光の反射面位置に回路素子22高さ寸法分の高低差が生じる。しかし、回路基板21上面からカメラ11及び光源12までの高さ寸法に対する回路基板21の高さ寸法は、実際には図1、図4に模式的に示した程、大きくはない。したがって、回路基板21上面の回路素子22の有無によって、上記撮像画像の輝度に高低差を生じさせることは可能である。また、輝度の高低差がより大きくなるように、カメラ11及び光源12の高さ位置、光源12の明るさ、凹凸面21c,22bの形態等が調整、設定される。
【0019】
上述した第1、第2実施形態によれば、回路素子22又は回路基板21の上面を、光源12からの光31の反射光32がカメラ11に入射しにくい凹凸面22b又は21cとした。その一方で、回路基板21又は回路素子22の上面を、光源12からの光31の反射光32がカメラ11に入射しやすい平坦面とした。
したがって、カメラ11の撮像画像の輝度の高低差(輝度差)を大きくすることができ、これにより、回路基板21に回路素子22が実装されているか否かを的確に検査できる。またこれにより、精度の高い検査の自動化が容易に実現できる。
特に、第1、第2実施形態によれば、従来のカメラ11(画像)を用いた検査では欠品検査が困難であった色彩の回路素子22についても、つまり回路素子22(光31受光面)の色彩を問わずに、欠品検査が可能になるという大なる効果がある。
【0020】
なお、上述した第1実施形態では、回路素子22の凹凸面22bを断面二等辺三角形が連続する形態としたが、この形態のみに限定されることはない。要するに、図2(a)に示すように、光源12からの光31の反射光32がカメラ11に入射しにくい表面状態にされていればよい。
したがって、例えば図7に示すように、回路素子22の凹凸面22bを断面直角三角形が連続する形態としてもよく、あるいは図8に示すように、回路素子22の上面全体を1つの傾斜面22cとして形成してもよい。
【0021】
更に、図9に示すように、回路素子22の凹凸面22bは第1実施形態(図1)と同様であるが、この凹凸面22bに丁度嵌り合う凸凹面91aを下面に有し、上面が平坦面91bとされたアダプタ91を回路素子22の凹凸面22b上に被着形成するようにしてもよい。この場合、アダプタ91は、例えば透明なエポキシ系樹脂等、透光性合成樹脂で形成され、また、このアダプタ91を上記凹凸面22b上に被着するための接着材も透光性を有する接着材が用いられる。
このようなアダプタ91を用いれば、回路素子22に凹凸面22bを有していても、回路素子22のロボットによる搬送が、アダプタ91の平坦面91bを真空吸着することによって可能となり、本検査前の表面実装時における回路素子(被検査対象物)22の搬送が容易になる。
本発明欠品検査方法は、その原理を用いて設備の調整時、定期校正時に、キャリブレーションを行う際にも用いることができる。
【符号の説明】
【0022】
11:カメラ、12:光源、21:電子回路基板(被検査面)、21c,22b:凹凸面、22:電子回路素子(被検査対象物)、31:光源からの光(入射光)、32:反射光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査面における被検査対象物の存否をカメラで取り込んだ輝度情報によって検査する欠品検査方法であって、
前記被検査対象物の表面と前記被検査面とのうち、いずれか一方の面をその面からの反射光が前記カメラに入射しにくい表面状態とし、他方の面をその面からの反射光が前記カメラに入射しやすい表面状態としたことを特徴とする欠品検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の欠品検査方法において、被検査対象物の表面を、その面からの反射光がカメラに入射しにくい表面状態としたことを特徴とする欠品検査方法。
【請求項3】
請求項1に記載の欠品検査方法において、被検査面を、その面からの反射光がカメラに入射しにくい表面状態としたことを特徴とする欠品検査方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の欠品検査方法において、反射光がカメラに入射しにくい表面状態は凹凸面であることを特徴とする欠品検査方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の欠品検査方法において、被検査対象物は電子部品であることを特徴とする欠品検査方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの請求項に記載の欠品検査方法において、被検査面は電子回路基板面であることを特徴とする欠品検査方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の欠品検査方法において、電子部品は電子回路素子であることを特徴とする欠品検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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