説明

欠陥検査装置、欠陥検査方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】 疑似欠陥が存在しない領域の検査を確実に行い、自動検査での検査結果を利用して、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる欠陥検査装置、欠陥検査方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】 自動検査工程31では、撮像検査阻害要因判定部は、アライメントエラー、コンタクトエラーおよび付着異物などの撮像検査阻害要因の有無を判定する。撮像検査領域判定部は、判定された撮像検査阻害要因に応じて、検査領域および非検査領域を判定する。画像処理装置14は、撮像画像に基づいて、撮像検査領域判定部によって判定された検査領域の欠陥を検出し、検査結果を表示制御装置4に送る。目視検査工程32では、表示部8は、目視検査作業者に自動検査での非検査領域と検出された欠陥とを表示する。目視検査作業者は、表示部8の情報に従って目視検査を行い、検査結果を入力部9で入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造工程における欠陥を検出する欠陥検査装置、欠陥検査方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、およびエレクトロルミネセンス(Electro-
Luminescence:略称「EL」)表示パネル等のフラットパネルディスプレイ、つまり平面表示装置は、軽量、薄型、および低消費電力などの特性を有しており、これらの特性を活かして各分野で、たとえば家電製品や情報端末装置などのディスプレイとして幅広く使用されている。
【0003】
このような平面表示装置(以下「表示パネル」という)の製造現場では、各製造工程において電気的動作の検査や、表示パネルを点灯させて検査するパネル点灯検査などの種々の検査が行われ、製品の品質が管理されている。
【0004】
パネル点灯検査では、表示パネルを実際に点灯させて、輝点や黒点などの点欠陥、輝線や黒線などの線欠陥、および表示パネルのむら等の欠陥の有無を判定している。具体的には、欠陥の種類ごとに、その欠陥を検出するための点灯パターンを予め用意しておき、この点灯パターンを順次表示パネルに表示させることによって、欠陥の有無を検査している。
【0005】
従来技術によるパネル点灯検査では、上述したように表示パネルに表示された点灯パターンを、検査員が目視でチェックすることによって欠陥の有無を検査する目視検査が行われている。しかしながら、目視検査は、検査員の個人差によって判定結果にばらつきがあることや、検査員ごとに処理能力の差があることなどの問題を有している。
【0006】
これらの問題を解決するため、パネル点灯検査を自動で行う自動検査装置の導入が進んでいる。自動検査装置を用いることによって、目視検査における判定結果や処理能力がばらつくという問題を解決し、迅速に点灯検査を行うことが可能になる。自動検査装置は、点欠陥や線欠陥などの判定基準を数値化することができる検査に関しては、一定の判定基準に従って検査を行うことができるので、特に適している。
【0007】
自動検査は、このような利点を有する反面、表示パネルの表示面上にほこり等の異物が付着した場合に、疑似欠陥として検出してしまうという問題がある。これに対し、目視検査では、表示パネルを観察する角度を変える、表面を触る、あるいは清掃するなどの対処方法によって、付着物であるのか欠陥であるのかを区別することができ、人手がかかる反面、表面付着異物による疑似欠陥の検出を回避することができる。
【0008】
また、自動検査は、表示パネルのアライメント調整や表示信号入力のためのコンタクト部の調整を自動で行うため、調整に失敗したことによって検査を失敗する可能性があるのに対し、目視検査では、アライメントやコンタクトの調整に失敗しても、作業員が手動で再調整することができるので、確実に検査を行うことができる。
【0009】
そこで、パネル点灯検査では、自動検査によって検査を行い、その検査結果に応じて、欠陥と判定された箇所を、再度目視検査を行う欠陥検査方法が実施されている。
【0010】
自動検査の検査結果を用いて、目視検査による再検査を省力化する従来技術として、特許文献1に記載される欠陥検査システムがある。この欠陥検査システムは、自動検査で撮像された液晶パネルの画像データのうち、判定基準外と判定された液晶パネルの画像データを、目視検査の際に参照できるようにすることによって、目視検査の手間を削減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−289733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
自動検査では、検査対象である表示パネルを、検査するための位置に載置し、欠陥検査装置に電気的に接続するセッティングを自動で行う際に、検査用の表示信号を表示パネルに入力することができないコンタクト不良や、表示パネルの位置付けに失敗するアライメント不良、および異物の表面付着等のトラブルが発生する場合がある。
【0013】
そのようなトラブルが発生した場合、検査範囲全体を通常通り検査すると、大量の疑似欠陥を検出する可能性がある。たとえば、コンタクト不良の場合は、表示信号の入力に失敗した表示パネルの表示エリアの画素は、正常の輝度で点灯することができないため、疑似欠陥として検出される。また、アライメント不良の場合は、表示パネルの表示面の位置がずれるため、本来は検査範囲外である表示面の周縁の部分が検査範囲に入ってしまい、周縁の部分は疑似欠陥として検出される。
【0014】
自動検査で疑似欠陥を大量に検出した場合、検出された欠陥に関するデータのデータ量が増大し、そのデータの処理や転送に、時間や記録容量を要する等の負荷が増大する。負荷が許容量を超えるオーバーフローが発生すると、後続する表示パネルの検査が滞り、あるいは欠陥検査装置の処理能力を超えてしまうため、自動検査での欠陥検出を中断する必要がある。自動検査での欠陥検出を中断している間、欠陥を検出することができず、また、目視検査において、自動検査での検査結果を利用することができない。
【0015】
オーバーフローが発生した際に、自動検査で、検査範囲全体の欠陥検出を中断すると、検査範囲の中で疑似欠陥が存在しない範囲の欠陥も検出されないので、見掛け上は、欠陥が全く存在しない良品パネルとされる。したがって、自動検査でオーバーフローが発生した表示パネルは、良品パネルと区別することができないため、良品パネルと同一の検査基準で目視検査した場合、真の欠陥を検出することができない恐れがある。また、仮にオーバーフローが発生した表示パネルであることを事前に目視検査作業員に通知しておいた場合であっても、目視検査時に自動検査の結果を利用することができないため、表示パネル全体を目視検査する必要がある。
【0016】
また、仮にオーバーフローすることなく、大量の疑似欠陥を含む検査結果が得られた場合、さらに負荷がかかることになるうえに、疑似欠陥を大量に検出する箇所においては、検査結果中で真の欠陥の情報が、大量の疑似欠陥に埋もれてしまい、真の欠陥であるのか疑似欠陥であるのかの判別をすることができない。検査範囲中に疑似欠陥が発生しない箇所がある場合も、疑似欠陥発生箇所との境界が不明であるため、結局表示パネル全体を自動検査の結果を利用せずに目視検査する必要がある。
【0017】
このように、従来技術による欠陥検査装置では、自動検査時にトラブルが発生した場合、疑似欠陥の大量検出によって自動検査での負荷が増大して、検査結果が利用できなくなる。さらに、目視検査の際に、自動検査の結果を利用することができないまま、表示パネル全体を目視検査する必要があるため、労力を要するという問題がある。
【0018】
本発明の目的は、疑似欠陥が存在しない領域の検査を確実に行い、自動検査での検査結果を利用して、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる欠陥検査装置、欠陥検査方法、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部とを含む欠陥検査装置であって、
撮像検査部は、
表示装置の表示面を撮像する撮像部と、
撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する阻害要因判定部と、
阻害要因判定部によって判定された阻害要因に応じて、撮像検査部が欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査部が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定部と、
撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出部とを含み、
目視検査部は、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示部と、
作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力するための入力部とを含むことを特徴とする欠陥検査装置である。
【0020】
また本発明は、前記阻害要因判定部は、撮像検査前に前記撮像検査部または表示装置の検査準備状態に基づいて阻害要因を判定し、
前記領域判定部は、阻害要因の種類に応じて検査領域と非検査領域とを判定することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部とを含む欠陥検査装置であって、
撮像検査部は、
表示装置の表示面を撮像する撮像部と、
撮像検査部が欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査部が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定部であって、撮像画像を用いて、撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する検査領域判定部と、
撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出部とを含み、
目視検査部は、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示部と、
作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力するための入力部とを含むことを特徴とする欠陥検査装置である。
【0022】
また本発明は、前記阻害要因判定部を含み、
前記検査領域判定部は、前記阻害要因判定部が撮像検査前に前記撮像検査部または表示装置の検査準備状態に基づいて判定した阻害要因に応じて、検査領域と非検査領域とを判定する第1の判定工程を実行した後に、さらに撮像画像を用いて、撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する第2の判定工程を実行し、第1の判定工程と第2の判定工程との両方で検査領域と判定した領域を新たな検査領域と判定し、新たな検査領域を除く残余の領域を新たな非検査領域と判定することを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記欠陥検出部は、検査領域でのみ欠陥検出を行い、非検査領域では欠陥検出を行わないことを特徴とする。
【0024】
また本発明は、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部とを含む欠陥検査装置で実行される撮像検査工程と目視検査工程とを含む欠陥検査方法であって、
撮像検査工程は、
表示装置の表示面を撮像する撮像工程と、
撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する阻害要因判定工程と、
阻害要因判定工程で判定された阻害要因に応じて、撮像検査工程で欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査工程で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定工程と、
撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出工程とを含み、
目視検査工程は、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定工程で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示工程と、
作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する入力工程とを含むことを特徴とする欠陥検査方法である。
【0025】
また本発明は、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部と、コンピュータとを含む欠陥検査装置の該コンピュータに、
表示装置の表示面を撮像する撮像工程と、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する阻害要因判定工程と、阻害要因判定工程で判定された阻害要因に応じて、撮像検査工程で欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査工程で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定工程と、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出工程とを含む撮像検査工程と、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定工程で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示工程と、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する入力工程とを含む目視検査工程とを実行させるためのプログラムである。
また本発明は、前記プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、欠陥検査装置は、撮像検査部および目視検査部を含む。撮像検査部は、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する。目視検査部は、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する。さらに、撮像検査部は、撮像部と、阻害要因判定部と、検査領域判定部と、欠陥検出部とを含む。撮像部は、表示装置の表示面を撮像する。阻害要因判定部は、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する。検査領域判定部は、阻害要因判定部によって判定された阻害要因に応じて、撮像検査部が欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査部が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する。欠陥検出部は、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する。また、目視検査部は、提示部と、入力部とを含む。提示部は、目視検査を行う作業員のために、検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する。そして、入力部は、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する。したがって、表示装置の表示面のうち、疑似欠陥が存在しない領域の検査を自動検査で確実に行い、自動検査での検査結果を利用して目視検査を行うことができ、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる。
【0027】
また本発明によれば、前記阻害要因判定部は、撮像検査前に前記撮像検査部または表示装置の検査準備状態に基づいて阻害要因を判定する。そして、前記領域判定部は、阻害要因の種類に応じて検査領域と非検査領域とを判定する。したがって、撮像画像を用いないので、処理の負荷を低減することができる。
【0028】
また本発明によれば、欠陥検査装置は、撮像検査部および目視検査部を含む。撮像検査部は、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する。目視検査部は、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する。さらに、撮像検査部は、撮像部と、検査領域判定部と、欠陥検出部とを含む。撮像部は、表示装置の表示面を撮像する。検査領域判定部は、撮像検査部が欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査部が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定し、撮像画像を用いて、撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する。欠陥検出部は、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する。また、目視検査部は、提示部と、入力部とを含む。提示部は、目視検査を行う作業員のために、検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する。そして、入力部は、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する。したがって、阻害要因を検出することなく、検査領域と非検査領域とを判定することができ、表示装置の表示面のうち、疑似欠陥が存在しない領域の検査を自動検査で確実に行い、自動検査での検査結果を利用して目視検査を行うことができ、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる。
【0029】
また本発明によれば、欠陥検査装置は、阻害要因判定部を含む。検査領域判定部は、阻害要因判定部が撮像検査前に前記撮像検査部または表示装置の検査準備状態に基づいて判定した阻害要因に応じて、検査領域と非検査領域とを判定する第1の判定工程を実行した後に、さらに撮像画像を用いて撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する第2の判定工程を実行し、第1の判定工程と第2の判定工程との両方で検査領域と判定した領域を新たな検査領域と判定し、新たな検査領域を除く残余の領域を新たな非検査領域と判定することを特徴とする、したがって、表示装置の設置状態だけでなく、撮像画像も併用するので、疑似欠陥の検出をより防止することができる。
【0030】
また本発明によれば、前記欠陥検出部は、検査領域でのみ欠陥検出を行い、非検査領域では欠陥検出を行わないので、自動検査部では、疑似欠陥の検出を防止することができる。
【0031】
また本発明によれば、欠陥検査方法は、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部とを含む欠陥検査装置で実行される撮像検査工程と目視検査工程とを含む。撮像検査工程は、撮像工程と、阻害要因判定工程と、検査領域判定工程と、欠陥検出工程とを含む。さらに、撮像工程では、表示装置の表示面を撮像する。阻害要因判定工程では、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する。検査領域判定工程では、阻害要因判定工程で判定された阻害要因に応じて、撮像検査工程で欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査工程で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する。欠陥検出工程では、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する。また、目視検査工程は、提示工程と、入力工程とを含む。提示工程では、目視検査を行う作業員のために、検査領域判定工程で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する。そして、入力工程では、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する。したがって、表示装置の表示面のうち、疑似欠陥が存在しない領域の検査を自動検査で確実に行い、自動検査での検査結果を利用して目視検査を行うことができ、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる。
【0032】
また本発明によれば、表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部と、コンピュータとを含む欠陥検査装置の該コンピュータに、表示装置の表示面を撮像する撮像工程と、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する阻害要因判定工程と、阻害要因判定工程で判定された阻害要因に応じて、撮像検査工程で欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査工程で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定工程と、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出工程とを含む撮像検査工程と、目視検査を行う作業員のために、検査領域判定工程で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示工程と、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する入力工程とを含む目視検査工程とを実行せるためのプログラムとして提供することができる。
【0033】
また本発明によれば、前記プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態である検査システム1の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】自動検査装置3の概略の構成を示す斜視図である。
【図3】非検査領域を決定する他の方法を説明するための図である。
【図4】目視検査工程32で被検査パネルPに表示される点灯パターンの表示順の一例を示す図である。
【図5】自動検査結果の表示例を示す図である。
【図6】自動検査工程31での自動検査処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】目視検査工程32での目視検査処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔システムの概要〕
図1は、本発明の一実施形態である検査システム1の要部の構成を示すブロック図である。欠陥検査装置である検査システム1は、検査対象である表示パネル(以下「被検査パネル」という)Pの自動検査を行う自動検査工程31と、自動検査工程31で自動検査を行った結果を表わす自動検査結果を格納するデータ記憶装置2と、被検査パネルPの目視検査を行う目視検査工程32とを含む構成である。本発明に係る欠陥検査方法は、検査システム1で実行される。自動検査工程31は、撮像検査工程である。
【0036】
すなわち、検査システム1では、自動検査工程31で被検査パネルPの自動検査を行い、自動検査結果をデータ記憶装置2に記憶し、目視検査工程32でデータ記憶装置2に記憶された自動検査結果を用いて、被検査パネルPの目視検査を行う構成である。このように自動検査工程31の自動検査結果を用いて目視検査を行う機能を有する構成であれば、自動検査工程31と目視検査工程32とは、必ずしも連続して行う必要はなく、自動検査工程31と目視検査工程32との間に他の工程を含んでもよい。
【0037】
なお、データ記憶装置2は、自動検査結果の書き込みおよび読み出しが可能な記憶装置であれば特に限定されるものではなく、たとえばハードディスク装置や半導体メモリ等をデータ記憶装置2として適用することができる。また、検査システム1では、データ記憶装置2が自動検査工程31および目視検査工程32の何れにも属していない構成であるが、データ記憶装置2は、自動検査工程31および目視検査工程32のうちのいずれかに1つ含まれる構成であってもよい。データ記憶装置2が工程に属する、あるいはデータ記憶装置2が工程に含まれるとは、データ記憶装置2がその工程で用いられる装置であるということである。
【0038】
表示装置である被検査パネルPは、検査システム1で欠陥の有無が検査される検査対象の表示パネルである。被検査パネルPは、表示面に複数の画素を備え、各画素を点灯または非点灯にすることで画像を表示するものであればよく、特に限定されない。たとえば、被検査パネルPとしては、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、およびエレクトロルミネセンス(Electro-Luminescence:略称「EL」)表示パネル等を適用することができる。
【0039】
検査システム1は、被検査パネルPの各画素が正常に点灯状態および非点灯状態になるか否かを検査する。すなわち、検査システム1は、被検査パネルPの各画素が正常に点灯状態および非点灯状態にならない場合に、被検査パネルPに欠陥があると判定する。被検査パネルPに発生し得る欠陥は、複数の種類があり、各欠陥を検出するための所定の点灯パターンを被検査パネルPに表示させて欠陥の有無を検査する。
【0040】
自動検査工程31には、自動検査装置3が含まれており、目視検査工程32には、表示制御装置4、およびパネル点灯装置5が含まれている。撮像検査部である自動検査装置3は、被検査パネルPの欠陥の有無を自動的に検出する自動検査を行い、当該自動検査の結果、つまり自動検査結果をデータ記憶装置2に書き込む。自動検査装置3の詳細については後述する。
【0041】
目視検査部である表示制御装置4は、パネル点灯装置5によって、点灯パターンを被検査パネルPに表示させる。表示制御装置4は、検査結果取得部6、表示制御部7、表示部8、および入力部9を含んで構成される。
【0042】
検査結果取得部6は、表示制御装置4のインターフェース部であり、データ記憶装置2から自動検査結果を読み出し、読み出した自動検査結果を表示制御部7に送る。検査結果取得部6は、データ記憶装置2に有線通信または無線通信によって接続されるが、データ記憶装置2から自動検査結果を取得できるものであれば特に限定されない。
【0043】
表示制御部7は、検査結果取得部6から自動検査結果を受け取り、パネル点灯装置5に各点灯パターンの表示指示を送ると同時に、自動検査結果を、目視検査を行う作業員(以下「目視検査作業員」という)に表示することによって目視検査を補助する補助情報の表示指示を、表示部8に送る。
【0044】
提示部である表示部8は、目視検査作業員に対して、自動検査で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を表示する。表示部8は、補助情報を検査システム1の目視検査作業員が視認することできるように表示するものであればよく、特に限定されない。たとえば、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置、液晶表示装置、またはEL表示装置等を表示部8として適用することができる。
【0045】
入力部9は、目視検査結果を入力する入力装置であり、具体的には、マウスやキーボードなどによって構成される。入力部9は、自動検査で検出した欠陥を目視検査で再検査し、目視検査で最終判定した欠陥の良否判定や、自動検査で検出されなかった欠陥を目視検査で新たに検出した場合に、欠陥の種類や位置などを、視検査作業員が入力するために用いられる。
【0046】
〔自動検査工程〕
図2は、自動検査装置3の概略の構成を示す斜視図である。図2に基づいて、自動検査装置3の詳細について説明する。自動検査工程31では、自動検査装置3によって、各検査項目について被検査パネルPを自動的に検査する自動検査が行われる。
【0047】
自動検査装置3は、搬送コンベヤ11と、撮像部である撮像装置12と、ステージ13と、欠陥検出部である画像処理装置14と、図示しない撮像検査阻害要因判定部とを含んで構成される。自動検査装置3は、これらの構成要素と有線通信または無線通信によって接続されている。自動検査装置3は、これらの構成要素を統括して制御する図示しない自動検査装置制御部を備えている。自動検査装置制御部は、被検査パネルPが欠陥を有しているか否かを検出し、検出結果をデータ記憶装置2に書き込み格納する。
【0048】
次に、自動検査装置3の動作について説明する。自動検査装置3では、まず自動検査装置制御部が、搬送コンベヤ11に指示を送り、被検査パネルPを撮像装置12の撮像領域まで搬送させ、被検査パネルPが撮像装置12の撮像領域に到達すると、搬送コンベヤ11を停止させる。被検査パネルPは、点灯パターンが表示される表示面が撮像装置12の撮像面と平行になるように、搬送コンベヤ11上に配置されている。搬送コンベヤ11は、被検査パネルPの表示面と撮像装置12の撮像面とが平行な状態を保った状態で被検査パネルPを搬送する。
【0049】
自動検査装置3は、搬送コンベヤ11によって、被検査パネルPをパネル積載部15に搬送し、パネル積載部15上でアライメントおよびコンタクトの調整を行った後、被検査パネルPの欠陥検査を実施する。パネル積載部15は、被検査パネルPを停止した状態で、アライメントおよびコンタクトの調整、ならびに欠陥の検査が行われる検査基準位置、いわゆる検査ポジションのことである。パネル積載部15は、専用の検査ステージであってもよいし、搬送コンベヤ11上で検査を行う場合は、検査ステージを省略して、搬送コンベヤ11上に設けられてもよい。
【0050】
自動検査装置制御部は、アライメント部を含む。アライメント部は、自動検査装置3によって検査を行う前に、被検査パネルPの位置を検査基準位置にあわせるアライメント調整を行う。アライメント調整を行う理由は、被検査パネルPをパネル積載部15に搬送したとき、搬送誤差による位置ずれが発生することがあるので、パネル積載部15に対する被検査パネルPの位置ずれを補正し、検査基準位置と被検査パネルPの表示面とのずれを補正するためである。
【0051】
アライメント調整は、被検査パネルPのアライメントマークや表示面の角など、被検査パネルPの特定の箇所を示す特徴のある箇所である特徴箇所を、撮像装置12で撮像し、特徴箇所を予め登録しておいた検査基準位置に合わせ込むように、被検査パネルPを移動させる。このときに、特徴箇所の撮像に失敗した場合は、正確な位置調整を行うことができず、アライメントエラーとする。
【0052】
自動検査装置制御部は、コンタクト調整部を含む。コンタクト調整部は、アライメント調整後に、表示信号を入力するための外部電極を、パネル端子部に接触させるコンタクト調整を行う。被検査パネルPを点灯させるためには、被検査パネルPに電圧を印加する必要がある。パネル端子部は、この電圧を被検査パネルPに印加するための外部電極と接触させるための端子からなるコンタクト部であり、被検査パネルPに含まれる。パネル端子部は、被検査パネルPの非表示エリアに設けられ、パネル端子部から表示面の各画素への配線が引き出されている。外部電極は、たとえばコンタクト針によって構成され、自動検査装置3に含まれる。コンタクト針がコンタクト部に押圧されて、各画素を駆動するための表示信号の電圧がコンタクト針からコンタクト部に印加される。
【0053】
コンタクト針の折れ、汚れ、または位置ずれなどのコンタクトエラー、つまりコンタクト不良によって、電気的な接触不良が発生すると、コンタクト不良に起因する点灯不良となる。コンタクト不良が発生した箇所では、表示面の点灯輝度が正常値から変化し、極端な場合は完全に点灯しない非点灯の状態となる。コンタクト不良が発生している部分は、輝度値が正常値から変化するため、疑似欠陥として検出される画素の数が増大する。疑似欠陥とは、欠陥ではないが、欠陥として検出され、欠陥とみなされた部分である。
【0054】
図2では、被検査パネルPを1つだけ記載しているが、1つの被検査パネルPについて、全検査項目の検査が終了した後、次の検査対象の被検査パネルPが搬送コンベヤ11によって搬送されてくる。このように、自動検査装置3は、複数の被検査パネルPの欠陥検査を順次、自動的に行うことができる。
【0055】
続いて、自動検査装置制御部は、自動検査装置3に含まれる図示しないパネル点灯装置によって、被検査パネルPに点灯パターンを表示させるとともに、撮像装置12に指示を送り、被検査パネルPに表示された点灯パターンの画像を撮像させる。撮像装置12が撮像した撮像画像は、画像処理装置14に送られる。
【0056】
阻害要因判定部である撮像検査阻害要因判定部は、撮像検査阻害要因の有無を判定する。阻害要因である撮像検査阻害要因は、撮像画像に基づく検査を行う際に、欠陥を誤検出することなく、欠陥の有無を判定することを妨げる要因であり、たとえば後述するアライメントエラー、コンタクトエラーおよび異物の付着などの要因である。
【0057】
画像処理装置14は、図示しない撮像検査領域判定部を含む。検査領域判定部である撮像検査領域判定部は、撮像検査阻害要因判定部によって判定された撮像検査阻害要因に応じて、自動検査工程31(以下「自動検査」という)での検査領域と非検査領域とを決定する。検査領域と非検査領域とを決定することを、以下判定するともいう。検査領域は、被検査パネルPの表示面の領域のうち、自動検査で検査対象とする領域である。非検査領域は、被検査パネルPの表示面の領域のうち、自動検査で検査対象としない領域である。
【0058】
画像処理装置14は、被検査パネルPに表示されている点灯パターンの画像を、撮像装置12によって撮像した撮像画像を解析し、欠陥の有無を調べる。画像処理装置14は、各検査項目の検査結果である自動検査結果をデータ記憶装置2に書き込み格納する。画像処理装置14は、たとえば被検査パネルPの撮像画像の輝度値を、閾値を用いて判定することによって欠陥を検出する。
【0059】
撮像装置12は、エリアセンサタイプでもラインセンサタイプでもよい。ラインセンサタイプを採用する場合には、被検査パネルPの表示面の全面を撮像するために、撮像装置12と被検査パネルPとを相対的に移動させる必要がある。たとえば、撮像装置12を被検査パネルPの表示面に対して平行に移動させる機構を、ステージ13に設ければよい。この場合、ステージ13上で撮像装置12を移動させながら撮像することによって、被検査パネルPの表示面の全面を撮像することができる。また、撮像装置12をステージ13に固定し、被検査パネルPを搬送コンベヤ11で移動させながら撮像することによって、被検査パネルPの表示面の全面を撮像するようにしてもよい。
【0060】
[検査領域および非検査領域の判定]
アライメント部は、アライメント撮像部と、アライメント動作部およびアライメント判定部とを含む。アライメント撮像部は、アライメント調整の基準となる特徴箇所を撮像する。アライメント動作部は、特徴箇所が所定の位置になるように被検査パネルPの4辺を押圧することによって、被検査パネルPを検査基準位置に合うように位置調整する。アライメント判定部は、位置調整の成否に基づいて、アライメントエラーが発生したか否かの判定を行う。具体的には、たとえば、アライメント撮像部が特徴箇所の撮像に失敗した場合にアライメントエラーが発生したと判定する。アライメントエラーが発生した場合はアライメント調整を行わずに被検査パネルPが置かれた置き位置で検査を行う。アライメント判定部は、判定結果を撮像検査領域判定部に通知する。アライメント判定部は、撮像検査阻害要因判定部に含まれる。
【0061】
撮像検査領域判定部は、アライメントエラーが発生した場合、パネル積載部15に対する被検査パネルPの実際の位置ずれ誤差を考慮せずに、一律に被検査パネルPの置き位置誤差の範囲を非検査領域と判定する。置き位置誤差の範囲は、検査前に事前に設定しておく。置き位置誤差とは、被検査パネルPの位置ずれ誤差の最大の誤差である。
【0062】
すなわち、被検査パネルPの位置ずれによって、撮像画像の全領域のうち、被検査パネルPの表示面の周縁の部分の画像が検査領域に含まれると、疑似欠陥を検出してしまう。したがって、アライメントエラーが発生した場合、疑似欠陥の検出を防ぐためには、撮像画像の全領域のうち、被検査パネルPの位置がずれたことによって、表示面の周縁の部分が撮像画像に含まれる可能性がある領域を非検査領域とし、撮像画像の全領域のうち、残余の領域を検査領域とすればよい。
【0063】
被検査パネルPの置き位置誤差の範囲については、具体的には、多数の被検査パネルPで搬送テストを行い、被検査パネルPごとに位置ずれ量を計測すれば、実験的および統計的に調べることができる。被検査パネルPの位置ずれ量が最大となる場合に、撮像画像の全領域のうち、検査基準位置にある表示面と、位置ずれによって表示面の周縁とが重なる範囲を非検査領域と設定すれば、疑似欠陥の検出を防止しつつ、検査領域の減少を最小限にすることができる。たとえば、図3(a)に示すように、被検査パネルPの表示面42外の十字型のアライメントマーク48の中心点を所定の検査位置49にあわせるように位置調整する場合であって、アライメントエラーが発生した場合は、所定の検査位置49からx方向に0〜Δx、y方向に0〜−Δyの範囲で位置ずれが生じる場合は、図示したように表示面42の左端からΔxの領域、および表示面42の上端からΔyの領域を非検査領域40と判定するように設定すればよい。
【0064】
アライメントエラーの有無によって非検査領域を判定する方法では、欠陥検出を行う前に、撮像画像を用いずに、撮像検査準備状態異常の有無を判定し、撮像検査準備状態異常があると判定した場合、撮像検査準備状態異常の種類に応じて、検査領域と非検査領域とを判定することを特徴としている。撮像検査準備状態異常とは、被検査パネルPの検査前に判定される検査状態の異常であり、たとえばアライメントエラー、コンタクトエラーおよび異物付着など、すべての疑似欠陥の原因となるトラブル全般のことである。すなわち、検査準備状態である撮像検査準備状態とは、疑似欠陥に関与する自動検査装置3または被検査パネルPの状態である。撮像検査とは、撮像画像を用いる検査である。上記した例は、阻害要因がアライメントエラーである場合に、阻害要因判定部であるアライメントエラー判定部が、表示装置、つまり被検査パネルPの設置状態に基づいて阻害要因であるアライメントアラーの有無を判定し、判定結果に基づいて検査領域と非検査領域とを判定する例である。上記の方法であれば、撮像検査前に撮像画像を用いずに非検査領域40の判定を行うため、判定処理の負荷を低減することができる。
【0065】
図3(b)および図3(c)は、阻害要因がアライメントエラー以外の場合に上記と同様の概念で非検査領域を決定する方法を説明するための図である。図3(b)は、コンタクト部ごとにコンタクトエラー検知部を有する場合の例であり、この場合阻害要因がコンタクトエラーであり、コンタクトエラー検知部が阻害要因判定部に該当する。図3(b)に示した被検査パネルPは、被検査パネルPの縦方向、つまり走査線方向に直交する方向に、コンタクト部41A〜41Dが配置され、横方向、つまり走査線方向に、コンタクト部41E〜41Lが配置されている。
【0066】
コンタクト部41A〜41Dは、表示面42を横方向に分割されたエリアに電圧を印加し、コンタクト部41E〜41Lは、表示面42を縦方向に分割されたエリアに電圧を印加する。各コンタクト部に、外部電極とパネル端子部との間の接触抵抗を計測してコンタクトエラーを検知するコンタクトエラー検知部が設けられており、コンタクト部それぞれのコンタクトエラーを検出することができる。
【0067】
たとえば、コンタクト部41Cおよびコンタクト部41Iでコンタクトエラーが検出された場合、コンタクトエラー検知部は、判定結果を撮像検査領域判定部に通知する。そしてこの場合は、撮像検査領域判定部はコンタクト部41Cが電圧を印加するエリアと、コンタクト部41Iが電圧を印加するエリアとを合わせたエリアを非検査領域43と判定する。
【0068】
図3(c)は、欠陥検査を開始する前に表示面を撮像装置12によって撮像した撮像画像に基づいて、表示面に付着する異物の有無と、異物がある場合に異物の位置を検出する異物検出部を有する場合の例である。この場合、阻害要因が表示面42の付着異物であり、阻害要因判定部が検査開始前の撮像部に該当する。通常、被検査パネルP点灯状態の撮像検査にて検出される欠陥には、画素が電気的な欠陥等により点灯表示を正常に行うことができない画素の表示不良と、被検査パネルPの表面上の異物付着とが含まれる。しかし、上記の検査開始前の撮像はバックライトからの光照射を伴わない非点灯状態で行うため、真欠陥を含む画素の表示不良を除外して、疑似欠陥である被検査パネルPの表面上の異物付着を選択的に検出することができる。したがって、事前に被検査パネルPをバックライトからの光照射を伴わない非点灯状態で撮像することにより被検査パネルPの表面上の異物付着を判定することができる。
【0069】
表示面42は、複数の分割エリア44に分割されている。異物検出部は、分割エリア44ごとに異物の有無、および異物がある場合そのサイズを判定する。たとえば、所定の大きさ以上の異物45があると判定した場合は、所定の大きさ以上の異物45が存在する分割エリアを非検査領域46とする。
【0070】
上記においては、撮像検査前に検査準備状態より撮像検査阻害要因を判定し、前記判定結果に基づいて検査領域を判定する方法について説明した。次に、別の検査領域決定方法として、撮像画像(以下「撮像検査画像」ともいう)を撮像したうえで、撮像検査画像に基づいて検査領域を決定する方法について説明する。以下に示す例は、撮像検査画像に基づいて検査領域を判定する方法によって、撮像検査阻害要因の有無や種類を判定することなく検査領域を決定する例である。したがって、アライメント判定部、コンタクトエラー検知部および異物検出部等の撮像検査阻害要因判定部を有しない場合にも適用することができる。
【0071】
撮像検査画像に基づいて検査領域を決定する方法においては、まず初めに、被検査パネルPを検査位置にある状態で、アライメントやコンタクトの調整を実施し、被検査パネルPに検査パターンを表示させたうえで、被検査パネルPを撮像装置12により撮像する。次に、撮像画像より検査領域を判定する。表示面42は、複数の分割エリア44に分割されている。検査領域判定部は、分割エリア44ごとに、各分割エリア44内の特徴量が閾値以上または以下であるかを判定し、判定結果に基づき分割エリア44ごとに検査領域または非検査領域47を判定する。たとえば、図3(d)に示すように、4×8の32個のエリアに分割して各々のエリアごとに判定し、非検査エリア47と検査エリアを決定すればよい。
【0072】
特徴量は、たとえば輝度値や欠陥数である。輝度値で算出する場合は、エリアごとの輝度値の値を、閾値を用いて判定するだけなので、演算負荷は非常に軽減されるが、疑似欠陥の発生を確実に判定するには、実際に欠陥数を判定する方が精度よく判定することができる。欠陥数を判定に用いる場合は、エリアごとに欠陥数の上限値を設定し、上限数を上回る場合は、欠陥の検出を行わない非検査領域と判定する。換言すれば、撮像画像を細かいエリアに分割して、上限値をエリアごとに行うことによって、被検査パネルP全体が上限値を超えることを防ぐこととなる。
【0073】
また、被検査パネルP全体を1つのエリアとして、輝度値または欠陥数の判定を行ってもよい。被検査パネルP全体を1つのエリアとして判定する場合、被検査パネルP全体が非検査領域となるので、被検査パネルP全体が上限値を超える従来技術の場合と大差ないが、被検査パネルP全体が非検査領域であることを、目視検査作業員に通知することができるという効果がある。したがって、全体で欠陥が全くない良品の被検査パネルPと、全体が非検査領域とされた被検査パネルPとの区別がつくので、良品の被検査パネルPは、目視検査せずに、全体が非検査領域とされた被検査パネルPのみを目視検査するといった運用が可能になる。
【0074】
非検査領域を決定する方法として、撮像画像を用いない方法と、撮像画像を用いる方法との2種類を説明したが、それぞれ次のような特長がある。
【0075】
撮像画像を用いない方法は、撮像画像をエリアごとに判定する必要がないので、比較的演算処理等の負荷が少ない。しかし、適用するためには、被検査パネルPの撮像検査阻害要因判定部を備えている必要がある。被検査パネルPの撮像検査阻害要因判定部とは、たとえばアライメントエラー判定部、コンタクトエラー検知部および異物検出部である。
【0076】
撮像画像を用いる方法は、比較的演算処理等の負荷が大きいが、被検査パネルPの設置状態を検出する機構を備えていない場合にも適用することができる。したがって、コストや時間などを考慮して適宜選択、あるいは組み合わせることが望ましい。
【0077】
たとえば、コンタクト不良の検出に、撮像画像を用いない方法を用いて行うこともできる。しかし、そのためには、たとえばコンタクト不良の有無をコンタクト針ごとに電気的に判定する機構、たとえばコンタクトエラー検知部を備える必要があり、自動検査装置3が煩雑になり、コストも増大するという問題がある。また、アライメント不良の検出に、撮像画像を用いる方法を用いて行うこともできるが、この場合は、上述したように演算処理等の負荷が増大し、検査時間が長くなるという問題がある。
【0078】
撮像画像を用いない方法と撮像画像を用いる方法とを組み合わせるには、まず撮像画像を用いない方法で検査領域と非検査領域とを判別し、さらに撮像画像を用いない方法で残余の検査領域を、撮像画像を用いる方法で検査領域と非検査領域とに判別し、撮像画像を用いない方法および撮像画像を用いる方法の両方で検査領域と判定された領域を、最終的な検査領域とし、それ以外の領域を非検査領域とする方法を用いると、演算処理の増大を最小減に抑えつつ、正確な判定を行うことができる。
【0079】
〔目視検査工程〕
図4は、目視検査工程32で被検査パネルPに表示される点灯パターンの表示順の一例を示す図である。自動検査結果を用いて、図4に基づいて目視検査を行う方法について説明する。自動検査結果を用いて目視検査を行うことによって、目視検査に要する時間を短縮することができる。
【0080】
まず、自動検査と同様に、被検査パネルPの搬送を行い、続いてアライメント調整およびコンタクト調整を自動で行う。次に、表示制御装置4は、パネル点灯装置5によって点灯パターンを被検査パネルPに表示させる。作業員は、点灯パターンを確認する。点灯パターンは、たとえば欠陥K1のための点灯パターンT1、欠陥K2のための点灯パターンT2、欠陥K3のための点灯パターンT3、・・・および欠陥Knのための点灯パターンTnの順序で表示される。欠陥K1〜Knは、欠陥の種類を示す。
【0081】
作業員は、コンタクト状態やパネルの表示パターンを目視で確認を行い、コンタクト不良による表示不良が発生していると判断される場合は、コンタクト部を手動で調整する。また作業員は、アライメント状態や表示パターンを目視で確認を行い、アライメント不良による表示不良が発生していると判断される場合は、被検査パネルPの設置位置を手動で調整することによって対処する。また、作業員は、検出する欠陥については被検査パネルPを観察する角度を変える、被検査パネルPの表示面を触る、あるいは被検査パネルPの表示面を清掃するなどして、付着物であるのか欠陥であるのかを判別する。このように、目視検査工程32では、手動で撮像検査阻害要因が消滅するように調整を行うことができるので、疑似欠陥の発生を防止して正確に欠陥を検出することができる。
【0082】
図5は、自動検査結果の表示例を示す図である。図5(a)は、正常な検査結果の表示例50aである。表示例50aは、被検査パネルPを模式的に表す画像上に、被検査パネルPの表示領域を示す領域線51、位置の目安を示す補助線52、および欠陥を表す欠陥マーク53が表示されている。
【0083】
図5(b)は、コンタクト不良が発生した場合の検査結果の表示例50bである。表示例50bには、被検査パネルPを模式的に表す画像上に、コンタクト不良に起因する非検査領域を示すマーク55が示され、さらに、被検査パネルPを模式的に表す画像の枠外にコンタクト不良の原因を示す表示、たとえば「コンタクトエラー」の表示56が示されている。マーク55で示される非検査領域は、たとえばコンタクト部が複数の部分に区切られているが、その1つの部分でコンタクトエラーが発生し、コンタクトエラーが発生した部分に表示信号が与えられたときに点灯すべき画素の領域である。
【0084】
図5(c)は、アライメント不良が発生した場合の検査結果の表示例50cである。アライメント不良に起因する非検査領域を示すマーク57が示され、さらに、被検査パネルPを模式的に表す画像の枠外にアライメント不良の原因を示す表示、たとえば「アライメントエラー」の表示58が示されている。マーク57で示される非検査領域は、アライメントの調整時に位置ずれが発生しているために、被検査パネルPの表示面の周縁が撮像装置12の撮像範囲に入るために、疑似欠陥が検出される可能性のある領域である。
【0085】
表示制御装置4は、目視検査作業員(以下「作業員」という)に対して自動検査での検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を含む補助情報を、表示部8に表示させる。補助情報には、自動検査での検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報以外に、非検査領域が存在する場合は、非検査領域とした判定理由を表示させてもよいし、検出欠陥情報、すなわち、自動検査で検出した欠陥の種類や座標を同時に表示させてもよい。
【0086】
具体的には、図5に示したように、被検査パネルPを模式的に表す画像上に、補助情報を表示させる方法が望ましい。区分情報は、たとえば図5(b)に示したマーク55、および図5(c)に示したマーク57である。判定理由は、たとえば図5(b)に示した表示56、および図5(c)に示した表示58である。欠陥の種類は、図5(a)に示した欠陥マーク53の形状であり、欠陥の座標は、図5(a)に示した補助線52に対する欠陥マーク53の位置で示される。欠陥の種類は、検査に用いる点灯パターンによって判断することができる。
【0087】
続いて、作業員は、表示部8に表示された補助情報に基づいて、パネル点灯装置5によって点灯パターンを表示させた被検査パネルPを目視で観測することによって欠陥を検出する。欠陥の検出は、作業員の目視感度の個人差の影響をできるだけ抑制するために、事前に欠陥判定の閾値となるサンプルの輝度値を作業員に教育する。作業員は、閾値となるサンプルの輝度値よりも輝度が高い箇所、あるいは低い箇所を欠陥と判定する。
【0088】
以下、作業員が検査する非検査領域を、自動検査での非検査領域と同じ非検査領域として表記するが、作業員が検査する非検査領域は、被検査パネルPの領域であり、被検査パネルPの座標系の原点と自動検査で撮像した撮像画像の座標系の原点とを一致させたとき、自動検査での非検査領域と同じ位置にくる領域である。すなわち、作業員が検査する非検査領域は、補助情報として表示されている非検査領域のマークが示す領域に一致する領域である。
【0089】
まず、作業員は、補助情報によって自動検査結果における検査領域と非検査領域との区分を把握する。自動検査での非検査領域は、自動検査結果を利用することができないため、作業員は、非検査領域全体を注意深く検査する。自動検査の検査領域は、自動検査結果を用いて目視検査を行う。自動検査結果の目視検査への活用方法は、検査工程の運用形態によって異なる。
【0090】
たとえば、第1の方法として、自動検査で検出した欠陥の位置を表す座標を補助情報として表示させる場合に、作業員は、自動検査結果が正しいか誤っているかを判定するとともに、新規の欠陥の検出も行う方法がある。この場合、自動検査で全欠陥中の大多数を検出しているので、自動検査での判定の再確認と、自動検査で検出漏れとなった少数の欠陥を検出すればよい。したがって、自動検査の結果を用いない方法に比べて目視検査の作業効率を向上させることができる。
【0091】
第2の方法として、自動検査で検出した欠陥座標を補助情報に表示させる場合に、作業員は、自動検査結果が正しいか誤っているかを判定するのみで、新規の欠陥の検出を行わない方法がある。この場合、第1の方法に比べて、さらに作業効率を向上させることができるが、自動検査で検出漏れとなった欠陥については、最終的に未検出となってしまうため、自動検査での検査に高い検出精度が要求される。
【0092】
第3の方法として、自動検査での検査領域については、自動検査結果が正しいか誤っているかの判定を含めて、検査領域では目視検査で一切の作業を行わない方法がある。すなわち、非検査領域が無い被検査パネルPは目視検査を一切行わず、非検査領域がある被検査パネルPは非検査領域のみ目視検査を行って検査領域は一切目視検査を行わない。この場合は、自動検査で検出した欠陥の情報を表示する必要はなく、検査領域と非検査領域との区分を表示させればよい。この方法は、第2の方法よりもさらに作業効率を向上させることができるが、第2の方法と同様に、自動検査で検出漏れとなった欠陥については、最終的に検出漏れとしてしまうだけでなく、さらに自動検査の疑似欠陥を欠陥として検出してしまう。したがって、自動検査で疑似欠陥を検出しないように、第2の方法よりも、自動検査で検査により高い欠陥判定精度が要求される。
【0093】
第1〜3の方法のうちいずれの方法を用いるかは、自動検査の精度および必要とする最終判定精度、ならびに目視検査の作業効率などを考慮して適宜決定すればよい。
【0094】
作業員は、目視検査終了後、入力部9を用いて、目視検査の検査結果を入力する。検査結果の入力方法としては、自動検査で検出されずに目視検査で新規に発見した欠陥については、欠陥の位置座標および種類を入力する。自動検査結果の再確認を行う場合は、自動検査で検出された結果ごとに再確認の確認結果を入力する。たとえば、表示部8に表示される自動検査の欠陥情報にカーソルを合わせて、自動検査結果の正誤判定を入力し、誤判定の場合は正しい判定結果を入力する。検査システム1は、以上の処理が終わった段階で被検査パネルPを検査システム1から搬出する。
【0095】
図6は、自動検査工程31での自動検査処理の処理手順を示すフローチャートである。自動検査装置3の電源が投入され、動作準備が完了するとステップA1に移る。
【0096】
ステップA1では、搬送コンベヤ11は、被検査パネルP(図では「パネル」という)をステージ13に搬送する。ステップA2では、アライメント動作部は、被検査パネルPのアライメントをデフォルト位置、つまり検査基準位置に一致するように調整する。ステップA3では、アライメント判定部は、アライメントの成否を判定する。ステップA4では、コンタクト調整部は、検査信号、つまり表示信号入力用のコンタクトを調整する。すなわち、コンタクト針を外部電極に押圧するように調整する。
【0097】
ステップA5では、画像処理装置に含まれるパネル点灯装置は、被検査パネルPに検査信号を入力し、検査パターン、つまり点灯パターンを表示する。ステップA6では、撮像装置12は、点灯パターンを表示させた状態の被検査パネルPを撮像し、撮像画像を取得する。ステップA7では、画像処理装置14は、撮像画像に基づいて、撮像検査領域判定部が判定した検査領域の欠陥を検出する。そして、検出した検査結果を、表示制御装置4に送る。ステップA8では、搬送コンベヤ11は、被検査パネルPを自動検査工程31から搬出し、目視検査工程32に送り、自動検査処理を終了する。
【0098】
ステップA10〜A12は、ステップA4〜A6と平行して処理される。ステップA3が処理された後、ステップA10が起動され、ステップA10では、撮像検査領域判定部は、アライメントの成否に基づいて、非検査領域を判定し、ステップA11に進む。ステップA6が処理された後、ステップA11が起動され、ステップA11では、撮像検査領域判定部は、撮像画像に基づいて、非検査領域を判定し、ステップA12に進む。ステップA11が処理された後、ステップA12が起動され、ステップA12では、撮像検査領域判定部は、デフォルトの検査領域、つまり撮像画像の全領域から、ステップA10,A12で判定された非検査領域を除外した領域を検査領域と判定し、検査領域を画像処理装置14に送る。
【0099】
ステップA3〜A6は、阻害要因判定工程である。ステップA6は、撮像工程である。ステップA10〜A12は、検査領域判定工程である。ステップA7は、欠陥検出工程である。
【0100】
図7は、目視検査工程32での目視検査処理の処理手順を示すフローチャートである。表示制御装置4およびパネル点灯装置5の電源が投入され、動作準備が完了するとステップB1に移る。
【0101】
表示制御装置4は、図2に示した自動検査装置3の搬送コンベヤ11およびステージ13、ならびに自動検査装置制御部に含まれるアライメント部およびコンタクト調整部と同じ構成要素を含み、以下同じ名称および参照符を用いて説明する。
【0102】
ステップB1では、搬送コンベヤ11は、被検査パネルPをステージ13に搬送する。ステップB2では、アライメント動作部は、被検査パネルPのアライメントをデフォルト位置、つまり検査基準位置に調整する。ステップB3では、コンタクト調整部は、検査信号、つまり表示信号入力用のコンタクトを調整する。すなわち、コンタクト針を外部電極に押圧するように調整する。ステップB4では、パネル点灯装置5は、被検査パネルPに検査信号を入力し、検査パターン、つまり点灯パターンを表示する。
【0103】
ステップB5では、目視検査作業者は、アライメントおよびコンタクトの状態を確認し、状態不良の場合は手動で調整する。ステップB6では、表示部8は、目視検査作業者に自動検査での非検査領域と、検出された欠陥とを含む補助情報を表示する。ステップB7では、目視検査作業者は、表示部8に表示された補助情報に従って目視検査を行い、検査結果を入力部9によって入力する。ステップB8では、搬送コンベヤ11は、被検査パネルPを搬出し、目視検査処理を終了する。
ステップB6は、提示工程である。ステップB7は、入力工程である。
【0104】
上述した実施形態では、表示制御装置4の搬送コンベヤ11、ステージ13、アライメント部およびコンタクト調整部を、自動検査装置3の搬送コンベヤ11、ステージ13、アライメント部およびコンタクト調整部と独立した構成要素としたが、これらの構成要素は、自動検査装置3と表示制御装置4とで共用する構成要素としてもよい。
【0105】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0106】
最後に、自動検査装置3および表示制御装置4の各構成要素、特に、画像処理装置14および表示制御部7は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のように中央処理装置(Central Processing Unit):略称「CPU」)を用いて、CPUでプログラムを実行することによって実現してもよい。
【0107】
すなわち、自動検査装置3および表示制御装置4は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、前記プログラムを記憶するリードオンリーメモリ(Read Only
Memory:略称「ROM」)、前記プログラムを展開して記憶するランダムアクセスメモリRAM(Random Access Memory:略称「RAM」)、前記プログラムおよび各種データを記憶する記憶装置、あるいは記録媒体などを備えている。また、プログラムを実行することによって実現される自動検査装置3および表示制御装置4は、前記プログラムのプログラムコード、たとえば実行形式プログラム、中間コードプログラム、あるいはソースプログラムをコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、自動検査装置3および表示制御装置4に装着し、そのコンピュータ、たとえばCPUやMPU(Micro Processing
Unit)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0108】
上述したプログラムコードを記録した記録媒体としては、たとえば、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magneto Optical Disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)/CD−R(Compact Disk
Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(
Erasable Programmable Read Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable
Programmable Read Only Memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0109】
また、自動検査装置3および表示制御装置4を通信ネットワークと接続可能に構成し、上述したプログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されるものではなく、たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated
Services Digital Network)、VAN(Value Added Network)、CATV(Community
Antenna Television)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されるものではなく、たとえば、IEEE(Institute of
Electrical and Electronic Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルテレビジョン(TV)回線、電話線、ADSL(Asymmetric
Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)やリモートコントローラのような赤外線、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、802.11無線、HDR(High Data Rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上述したプログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0110】
このように、検査システム1は、自動検査装置3および表示制御装置4を含む。自動検査装置3は、被検査パネルPの表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、被検査パネルPの欠陥を検査する。表示制御装置4は、自動検査装置3による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する。さらに、自動検査装置3は、撮像装置12と、撮像検査阻害要因判定部と、撮像検査領域判定部と、画像処理装置14とを含む。撮像装置12は、被検査パネルPの表示面を撮像する。撮像検査阻害要因判定部は、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する撮像検査阻害要因を判定する。撮像検査領域判定部は、撮像検査阻害要因判定部によって判定された撮像検査阻害要因に応じて、自動検査装置3が欠陥の検査を行う検査領域と、自動検査装置3が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する。画像処理装置14は、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する。また、表示制御装置4は、表示部8と、入力部9とを含む。表示部8は、目視検査を行う作業員のために、撮像検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する。そして、入力部9は、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する。したがって、被検査パネルPの表示面のうち、疑似欠陥が存在しない領域の検査を自動検査で確実に行い、自動検査での検査結果を利用して目視検査を行うことができ、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる。
【0111】
さらに、撮像検査阻害要因判定部は、撮像検査前に自動検査装置3または被検査パネルPの検査準備状態に基づいて撮像検査阻害要因を判定する。そして、前記領域判定部は、撮像検査阻害要因の種類に応じて検査領域と非検査領域とを判定する。したがって、撮像画像を用いないので、処理の負荷を低減することができる。
【0112】
さらに、検査システム1は、自動検査装置3および表示制御装置4を含む。自動検査装置3は、被検査パネルPの表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、被検査パネルPの欠陥を検査する。表示制御装置4は、自動検査装置3による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する。さらに、自動検査装置3は、撮像装置12と、撮像検査領域判定部と、画像処理装置14とを含む。撮像装置12は、被検査パネルPの表示面を撮像する。撮像検査領域判定部は、自動検査装置3が欠陥の検査を行う検査領域と、自動検査装置3が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定し、撮像画像を用いて、撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する。画像処理装置14は、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する。また、表示制御装置4は、表示部8と、入力部9とを含む。表示部8は、目視検査を行う作業員のために、撮像検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する。そして、入力部9は、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する。したがって、撮像検査阻害要因を検出することなく、検査領域と非検査領域とを判定することができ、被検査パネルPの表示面のうち、疑似欠陥が存在しない領域の検査を自動検査で確実に行い、自動検査での検査結果を利用して目視検査を行うことができ、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる。
【0113】
さらに、検査システム1は、撮像阻害要因判定部を含む。撮像検査領域判定部は、撮像検査阻害要因判定部が撮像検査前に自動検査装置3または被検査パネルPの検査準備状態に基づいて判定した撮像検査阻害要因に応じて、検査領域と非検査領域とを判定する第1の判定工程を実行した後に、さらに撮像画像を用いて撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する第2の判定工程を実行し、第1の判定工程と第2の判定工程との両方で検査領域と判定した領域を新たな検査領域と判定し、新たな検査領域を除く残余の領域を新たな非検査領域と判定する。したがって、被検査パネルPの設置状態だけでなく、撮像画像も併用するので、疑似欠陥の検出をより防止することができる。
【0114】
さらに、画像処理装置14は、検査領域でのみ欠陥検出を行い、非検査領域では欠陥検出を行わないので、自動検査部では、疑似欠陥の検出を防止することができる。
【0115】
さらに、欠陥検査方法は、被検査パネルPの表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、被検査パネルPの欠陥を検査する自動検査装置3と、自動検査装置3による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する表示制御装置4とを含む検査システム1で実行される自動検査工程31と目視検査工程32とを含む。自動検査工程31は、図6に示したフローチャートのステップA3〜A7,A10〜A12を含む。さらに、ステップA6では、被検査パネルPの表示面を撮像する。ステップA3〜A6では、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する撮像検査阻害要因を判定する。ステップA10〜A12では、ステップA3〜A6で判定された撮像検査阻害要因に応じて、自動検査工程31で欠陥の検査を行う検査領域と、自動検査工程31で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する。ステップA7では、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する。また、目視検査工程32は、図7に示したフローチャートのステップB6,B7を含む。ステップB6では、目視検査を行う作業員のために、ステップA10〜A12で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する。そして、ステップB7では、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する。したがって、被検査パネルPの表示面のうち、疑似欠陥が存在しない領域の検査を自動検査で確実に行い、自動検査での検査結果を利用して目視検査を行うことができ、疑似欠陥による負荷の増大と検査精度低下を防ぐことができる。
【0116】
さらに、被検査パネルPの表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、被検査パネルPの欠陥を検査する自動検査装置3と、自動検査装置3による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する表示制御装置4と、コンピュータとを含む検査システム1の該コンピュータに、被検査パネルPの表示面を撮像するステップA6と、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する撮像検査阻害要因を判定するステップA3〜A6と、ステップA3〜A6で判定された撮像検査阻害要因に応じて、自動検査工程31で欠陥の検査を行う検査領域と、自動検査工程31で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定するステップA10〜A12と、撮像画像に基づいて、欠陥を検出するステップA7とを含む自動検査工程31と、目視検査を行う作業員のために、ステップA10〜A12で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示するステップB6と、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力するステップB7とを含む目視検査工程32とを実行せるためのプログラムとして提供することができる。
【0117】
さらに、前記プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として提供することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 検査システム
2 データ記憶装置
3 自動検査装置
4 表示制御装置
5 パネル点灯装置
6 検査結果取得部
7 表示制御部
8 表示部
9 入力部
11 搬送コンベヤ
12 撮像装置
13 ステージ
14 画像処理装置
31 自動検査工程
32 目視検査工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部とを含む欠陥検査装置であって、
撮像検査部は、
表示装置の表示面を撮像する撮像部と、
撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する阻害要因判定部と、
阻害要因判定部によって判定された阻害要因に応じて、撮像検査部が欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査部が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定部と、
撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出部とを含み、
目視検査部は、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示部と、
作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力するための入力部とを含むことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記阻害要因判定部は、撮像検査前に前記撮像検査部または表示装置の検査準備状態に基づいて阻害要因を判定し、
前記領域判定部は、阻害要因の種類に応じて検査領域と非検査領域とを判定することを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部とを含む欠陥検査装置であって、
撮像検査部は、
表示装置の表示面を撮像する撮像部と、
撮像検査部が欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査部が欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定部であって、撮像画像を用いて、撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する検査領域判定部と、
撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出部とを含み、
目視検査部は、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定部によって判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示部と、
作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力するための入力部とを含むことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項4】
請求項2に記載の阻害要因判定部を含み、
前記検査領域判定部は、前記阻害要因判定部が撮像検査前に前記撮像検査部または表示装置の検査準備状態に基づいて判定した阻害要因に応じて、検査領域と非検査領域とを判定する第1の判定工程を実行した後に、さらに撮像画像を用いて、撮像画像のエリア全体または撮像画像を分割したエリアごとに特徴量を算出し、特徴量に基づいてエリアごとに検査領域と非検査領域とを判定する第2の判定工程を実行し、第1の判定工程と第2の判定工程との両方で検査領域と判定した領域を新たな検査領域と判定し、新たな検査領域を除く残余の領域を新たな非検査領域と判定することを特徴とする請求項3記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記欠陥検出部は、検査領域でのみ欠陥検出を行い、非検査領域では欠陥検出を行わないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部とを含む欠陥検査装置で実行される撮像検査工程と目視検査工程とを含む欠陥検査方法であって、
撮像検査工程は、
表示装置の表示面を撮像する撮像工程と、
撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する阻害要因判定工程と、
阻害要因判定工程で判定された阻害要因に応じて、撮像検査工程で欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査工程で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定工程と、
撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出工程とを含み、
目視検査工程は、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定工程で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示工程と、
作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する入力工程とを含むことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項7】
表示装置の表示面に表示される画像を撮像した撮像画像に基づいて、表示装置の欠陥を検査する撮像検査部と、撮像検査部による検査の後に、作業員に目視による目視検査を行わせるための情報を処理する目視検査部と、コンピュータとを含む欠陥検査装置の該コンピュータに、
表示装置の表示面を撮像する撮像工程と、撮像画像に基づいて欠陥の検査を行うことを阻害する阻害要因を判定する阻害要因判定工程と、阻害要因判定工程で判定された阻害要因に応じて、撮像検査工程で欠陥の検査を行う検査領域と、撮像検査工程で欠陥の検査を行わない非検査領域とを判定する検査領域判定工程と、撮像画像に基づいて、欠陥を検出する欠陥検出工程とを含む撮像検査工程と、
目視検査を行う作業員のために、検査領域判定工程で判定された検査領域と非検査領域との区分を表す区分情報を提示する提示工程と、作業員によって目視で欠陥検出が行われた結果を入力する入力工程とを含む目視検査工程とを実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−107912(P2012−107912A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255397(P2010−255397)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】