説明

次亜ハロゲン酸と組み合わせる、N−ハロゲン化アミノ酸およびN,N−ジハロゲン化アミノ酸

本発明は、活性な殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の化合物および組成物、並びに治療におけるこれら組成物の新規な使用を提供する。本発明はまた、該新規な化合物および組成物の使用方法をも提供する。本発明は更に、これらの化合物の製造方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、殺病原性微生物性(germicidal)、および抗ウイルス性の化合物;該アミノ酸をベースとする組成物;ハロゲンを放出する能力を有するそれらの誘導体;並びに、療法におけるこれら組成物の新規な使用に関する。別の変形においては、本発明は、活性な殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、殺病原性微生物性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の化合物;組成物;並びに、微生物の死滅および療法におけるそれら組成物の新規な使用に関する。それらの価値がある性質のために、本発明の新規な生成物および組成物は、動物の健康(例えば、畜産および農業を含む)において広範囲な利用方法(例えば、価値がある種のストック保存)をも有する。
【0002】
本明細書はまた、新規な化合物および組成物の使用方法をも記載する。本明細書は更に、これらの化合物の製造方法を記載する。より具体的には、これらハロゲン化アミノ酸およびそれらの誘導体もまた、本明細書中でアミノ酸と呼ぶ。天然のアミノ酸の例としては、タウリン、ホモタウリン、アラニン、β−アラニン、オルニチン、およびγ−グルタミン酸、またはγ−アミノ酪酸(GABA)である。該ハロゲン化アミノ酸の製造のための非天然アミノ酸出発物質の非限定的な例としては、1−アミノ−1−メチルエタンスルホン酸、1−アミノ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸、1,1−ジメチル−2−アミノ−2−カルボキシ−エタンスルホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、2−アミノ−5−ホスホノパンタン(pantanoic)酸、アミノエチルホスホン酸ジエステル(例えば、1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸、1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸、1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、ロイシンホスホン酸、4−アミノ−4−ホスホノ酪酸、(±)−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、(±)−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、dl−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸、2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸、アラニンボロン酸、β−アラニンボロン酸、またはロイシンボロン酸のジエチルエステル)、およびそれらの塩を含む。
【0003】
これらの出発物質は、それらのエステルまたは塩の形態で使用することができる。該ホスホン酸の低級アルキルエステルは、本発明のジハロアミノホスホン酸およびそれらの誘導体の製造において好ましいエステルである。本明細書中で使用する用語「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0004】
N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸の出発物質は、通常公知の化合物であるか、あるいは公知の方法によって製造することができる。これらの物質は、Tetrahedron: Asymmetry 1997, 8(13), FEMS Microbiol. Lett., 70, 23-28 (1990), Synth. Commun. 2725-2731 (1994), FEMS Microbiol. Lett. 108, 225-230 (1993), Neurosci. Lett. 21: 77-92 (1981), Br. J. Pharmacol. 75, 65、および例えば、Prof. R. Noyori Nobel Lecture 「Asymmetric Catalysis: Science and Opportunities」(2001年12月8日), (www. nobel. se/chemistry/laureates/2001/noyori-lecture. pdf)中に記載されている。
【0005】
多数のN−ハロゲン化アミノ酸およびN,N−ジハロゲン化アミノ酸が知られる。これらのアミノ酸に関して、我々は、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、抗真菌性、および抗ウイルス性の性質を有する新規な組成物を提供する。
【0006】
本発明はまた、多数の新規なN,N−ジハロゲン化アミノ酸、並びに殺菌性、抗菌性、殺病原性微生物性、抗感染性、殺胞子性、抗微生物性、抗真菌性、および抗ウイルス性の性質を有するそれらの誘導体にも関する。
【背景技術】
【0007】
感染症を排除する能力について知られる体内の免疫細胞、好中球、およびマクロファージは、微生物、および異常な細胞または新生物(癌性)細胞を破壊し、そして炎症性応答を調節する、反応性酸素代謝産物を生成することができる。好中球は、炎症性の刺激、細菌感染症、および/または他の膜の変化に対する応答として活性化され得る。結果として、それらは、スーパーオキシドラジカル(例えば、HOO、O、およびOH)を生成する。酸性条件下、生理学的な濃度が100〜150mMの場合に、以下の反応式に従って(Weiss S. J., Klein R., Slivka A., Wei M.による, J. Clin. Invest. 1982, Sept.; 70(3): 598-607)、
【数1】

クロリドイオン(Cl)はHによって酸化され、これは、ミエロペルオキシダーゼ(好中球中の酵素)によって触媒されて、次亜塩素酸(HOCl)を与える。
【0008】
HOClの生理学的な生成は、生化学的なシグナルの複雑なネットワークによるフィードバック阻害によって厳密に制御される。HOClは、10個の活性化された好中球当たりの濃度が2×10−7Mで生成する(Lapenna D., Cuccurullo F. Gen.による, Pharmacol. 1996 Oct.; 27(7): 1145-7)。このHOClの量は、約150×10個の大腸菌を殺すと見積もられる。HOClが生成後に、そのものは、複雑な細胞システム内で多数の酸化可能な基質と反応することによって素早く分解する。従って、反応性の酸素代謝産物の濃度は、数時間内で検出不可能なレベルにまで低下すると予想される。しかしながら、好中球はそれらのHOClを使用して、大量のかなり長時間生存する酸化体(例えば、N−クロロアミン)を生成することができる。これらの長時間生存する酸化体は、環境のpHに依存して、タウリンのモノクラミン(NCT、またはN−クロロタウリン)、およびタウリンのジクロロアミン(NNDCT、またはN,N−ジクロロタウリン)として生成する。これらの酸化体は強力な抗微生物剤であり、そしてこれは、防御システム内で、並びに宿主の体内においてサイトカインおよび成長因子をモジュレートする際に、重要な役割を果たす。
【0009】
(関連分野の記載)
独国特許出願番号4041703、W. Gottardiは、N−クロロタウリンのアルカリ金属塩を記載する。該出願は、N−クロロタウリンを純粋な物質としてだけではなく、インシチュで製造する場合には希釈溶液の形態としても単離することは不可能であると記載する。その後の研究により、N−クロロタウリンが以下に記載する通り製造することができることが確立された。該独国特許出願はまた、結晶性形態でのN−クロロタウリンの純粋なアルカリ金属塩の製造をも記載する。ヒトへの医学的な利用方法におけるこれらの塩の消毒剤および殺菌剤としての使用もまた開示されている。該独国出願は、タウリンをアルカリ金属クロラミドと反応させることによるアルカリ金属塩(例えば、N−クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム(クロロアミンB)またはN−クロロ−4−メチル−ベンゼンスルホンアミドナトリウム(クロロアミンT))の製造を記載する。クロロアミンBおよびクロロアミンTは、メルクインデックス, 13版, 2001, Entries 2084および2085, 356頁に例示されている。
【0010】
WO0222118において、W. Gottardiらは、真菌感染症、例えば急性または慢性の鼻副鼻腔炎、または他の真菌感染症(例えば、耳炎、皮膚炎、気管支炎、多様な形態の肺炎(例えば、ニューモシスチスカリニ))、性器の感染症(例えば、膣炎、子宮内膜症、バルニティス(Balnitis))、胃腸管の真菌感染症(例えば、口内炎、食道炎、腸炎)、または尿道の真菌感染症(例えば、腎盂腎炎(Pyelonephrititis)、尿管炎、膀胱炎、または尿道炎)の処置に有用な、N−クロロタウリン(特に、そのナトリウム塩の形態)を記載している。
【0011】
最近、van Gelderらは、N,N−ジクロロタウリンを粉末として製造し、そして単離した(Gelder, N. M.; Bowers, R.による, Synthesis and characterization of N,N-dichlorinated amino acids: taurine, Homotaurine, GABA and L-Leucine, J. Neurochemical Research. 2001; 26: 575-578)。これらの特許(米国特許第6,451,761 B1号(2002年9月22日、van GelderおよびBowersによる, 「N'N'-dichlorinated omega-amino acids and uses thereof」)は、アミノ酸を血液脳関門を横切ってCNSに達するように修飾分野を記載する。N−クロロタウリン(NCT)およびN,N−ジクロロタウリン(NNDCT)は、それらのUVスペクトルによって同定することができる。NNDCTは、302mMで最大吸光度を有し、モル吸光率は332.9M−1cm−1であった。これらの値は、Gottardi, W.; Nagl, M.による, Arch. Pharm. Med. Chem. 2002, 9, 411-42由来のものである。NCTは、252nmで最大吸光度を有し、モル吸光率は415M−1cm−1である。
【0012】
Juan M. Anteloらによる, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 2000, 2109-2114は、N−クロロタウリンの可逆な不均一化反応における一般的な酸−塩基の触媒反応を記載している。該筆者はまた、pHが2〜2.5でのN−クロロタウリンの不均一化によるN,N−ジクロロタウリンの溶液の製造、およびpH=1.88でのN,N−ジクロロタウリンの安定性をも記載している。N,N−ジクロロタウリンの損失は、100時間後で5%以下であった。
【0013】
Mainnemareによる米国特許公開2004/00022871(2004年2月5日公開)は、(i)少なくとも1つのハロゲン化化合物、および(ii)双性イオン化合物および/またはアミノ酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の少なくとも1つのN−ハロゲン化誘導体、を含有する医薬組成物を記載する。該ハロゲン化化合物は次亜塩素酸アルカリ性金属であり、次亜塩素酸ナトリウムが好ましく、そして該N−ハロゲン化化合物はタウリンのN−ハロゲン化誘導体である。該米国公報により含まれるアミノ酸は、天然アミノ酸、後者の誘導体およびアナログであり得る。米国特許公開2004/0022871の開示は、本明細書の一部を構成する。この米国特許公報の医薬組成物は、哺乳動物においてミエロペルオキシダーゼ活性の実質的な刺激を示すことなく、抗炎症性、免疫調節性の効果、および組織治癒刺激を有すると記載されている。これらの医薬組成物の次亜塩素酸力価は、利用可能な塩素(特に、アルカリ金属の次亜塩素酸(特に、次亜塩素酸ナトリウム))のリットル当たり1モル以下である。その最小力価は、約1ピコモル/リットル以上である。これらの組成物のN−クロロアミンの力価は約5モル/リットル以下であり、最小は0.01フェトモル/リットルである。
【発明の開示】
【0014】
(発明の概要)
本発明のいずれかの他の態様または特徴(該特徴等が好ましいと特徴付けられたりまたは好ましいと特徴付けられていないにもかかわらず)は、本発明のいずれかの他の態様または特徴(該他の特徴等が、好ましいと特徴付けられたりまたは好ましいと特徴付けられていないにもかかわらず)と組み合わせることができる、と理解する。例えば、好ましいと記載する特徴(例えば、pHの範囲、ある組成物(例えば、具体的な式のあるN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸)についての具体的なpH)を、本発明から逸脱することなく、別の組成物(別の具体的な式のN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸)と組み合わせることができる。この記載はまた、いずれかの置換基の組み合わせに適用する。例えば、好ましいと特徴付けられる置換基は、好ましいと特徴付けられていないずれかの他の置換基と組み合わせることができる。用語「含む」または「含有する」は、本明細書の文書において相互交換可能にオープン用語として使用する。従って、最も広い態様において、本発明は、式(I):
A−C(R)R(CH)−C(YZ)−X' (I)
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体、および特許請求の範囲中で同定するハロゲン化化合物を含有するかまたは含む医薬組成物を提供する。上記式中、Aはハロゲン、HalNH−、またはHalN−であり、ここで、Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれ;Rは、炭素炭素の単結合または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレン基であり;Rは、水素、低級アルキル基、または−COOH基であり;Rは、水素または低級アルキルであり;nは、0または1〜13の整数であるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;Yは、水素、低級アルキル、−NH、または−NHalであり;そして、Zは、水素または低級アルキルであり;そして、X'は、水素、−COOH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、または−B(OH)である。Rが二価のシクロアルキレン基である場合には、nは整数11を超えない。すなわち、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11であり得る。言い換えれば、酸性基Xを含むアミノ酸は、16個までの鎖内原子を有する。二価のシクロアルキレン基または二価の基−(CH)−においては、1個の水素は、−NHHalまたは−NHalによって置換され得る。本発明のN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸は3個までの−NHHal基または−NHal基を含み得るが、1または2個の−NHHal基または−NHal基を有するN,N−ジハロアミノ酸が好ましい。1個の−NHal基を有するN,N−ジハロアミノ酸が最も好ましい。この基は、酸性基R(Rが−COOHである場合)またはX'のアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、イプシロン−など、オメガ−の位置であり得る。
【0015】
式Iの化合物の誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、および置換基X'が結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体を含む。この点で、用語「低級」とは、1〜6個(1〜4個が好ましい)の炭素原子を有する残基を含む。
【0016】
好ましい実施態様において、Rは炭素炭素の単結合であり、nは0または1〜7の整数(0または1〜5の整数がより好ましく、0または1〜3の整数(すなわち、1、2、または3である)が最も好ましい)である。n=4、n=5、n=6、n=7、n=8、またはn=9であるN,N−ジハロアミノ酸もまた関心が持たれる。
【0017】
本発明の組成物は、液体形態(例えば、液剤)で使用することができることが多い。その場合には、N−ハロ−アミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸、またはその誘導体は、該N−ハロ−アミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の飽和濃度まで1モルまたはそれ以上である。本明細書中で使用する、更に溶媒を含有する組成物は水を含んで水性組成物を形成し得て、そして該溶媒は水性および有機性の溶媒、並びにそれらの組み合わせを含み得る。本発明の好ましい組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度が0.1〜100mMの間であり、そしてpHの範囲がpH2.0、3〜約4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5である、組成物を含む。該pHは、当該分野において知られる様々な緩衝液系によって容易に調節することができる。上記の各組成物の1つのある態様において、Halは、臭素、塩素、またはヨウ素である。別の態様において、Halは、臭素または塩素である。
【0018】
別の組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度が0.1〜50mMの間であり、そしてpHの範囲が約2〜約7、約3〜約6、3〜約4.8、約3〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5である。緩衝液系を使用して、pHを所望する値に調節することができる。
【0019】
本発明はまた、式(II):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体、および特許請求の範囲に記載するハロゲン化化合物を含む、新規な殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺病原性微生物性、殺胞子性、消毒性、抗ウイルス性、および抗真菌性の組成物をも提供する。
【0020】
該式中、Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、水素または低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、−NH、または−NHalであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである。上記各組成物の1つのある態様において、Halは、臭素、塩素、またはヨウ素である。別の態様において、Halは、臭素または塩素である。
【0021】
式IIの化合物の誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、および置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体を含む。この点で、用語「低級」とは、1〜6個(1〜4個が好ましい)の炭素原子を有する残基を含む。
【0022】
式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)、もしくは(IV)の化合物、またはそれらの誘導体の医薬的に許容し得る塩は、医薬的に許容し得るカチオンとの塩を含む。式(IIA)、(III)、(IIIA)、および(IV)の化合物を、以下に記載する。N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸の塩は、−COOH基、−CONH基、−SOH基、または−SONH基との塩基の塩を含む。医薬的に許容し得る塩はまた、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、およびいずれかの有機アミンの塩をも含む。アルカリ金属塩、Mg塩、Ca塩、およびAl塩が、関心が持たれる。アルカリ金属塩が特に関心が持たれ、特にリチウム塩、ナトリウム塩、またはカリウム塩が挙げられる。
【0023】
酸付加塩の例としては、塩基性残基(例えば、アミン)の鉱酸または有機酸の塩;酸性残基(例えば、カルボン酸)のアルカリまたは有機塩基の塩を含むが、これらに限定されない。医薬的に許容し得る塩は例えば、ハイドロハライド塩、硫酸塩、メト硫酸塩(methosulfates)、メタン硫酸塩、トルエンスルホン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、乳酸塩などを含むが、これらに限定されない。
【0024】
適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, 1418頁、またはThe Merck Index, Thirteenth Edition, 2001, Published by Merck Research Laboratories Division of Merck & Co., Inc., MISC-22頁およびMISC-23頁(これらは、本明細書の一部を構成する)中において知られる。
【0025】
置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の医薬的に許容し得る酸付加塩は、それ以外に、塩酸、スルホン酸、リン酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、および他の酸との塩を含む。
【0026】
式(I)、(II)、(IIA)(III)、(IIIA)、および(IV)の化合物の更なる誘導体は、−COOH基もしくは−SOH基の低級アルカノールとのエステル、および置換基Xが結合する炭素原子と結合するアミノ基の低級アルカノイル誘導体を含む。
【0027】
式(I)、(II)、(IIA)(III)、(IIIA)、および(IV)の化合物の更なる誘導体はまた、アミノ酸分子のある基が保護基によって保護されているN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸をも含む。「保護基」とは、(a)反応性の基が所望しない化学反応に関与することを防止し;および、(b)反応性の基の保護がもはや必要とされなくなった後に容易に除去することができる、化学的な基を意味する。
【0028】
「アミノ−保護基」とは、特に断らなければ、ある化学反応によって改変される反応性のアミノ基を保存する保護基を意味する。アミノ保護基の非限定的な例は、ホルミル基;または2〜4個の炭素原子を有する低級アルカノイル基、特にアセチル基、プロピオニル基、トリチル基もしくは置換トリチル基(例えば、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基(例えば、4,4'−ジメトキシトリチル、または4,4'−ジメトキシトリフェニルメチル基))、トリフルオロアセチル、N−(9−フルオレニル−メトキシカルボニル)もしくは「FMOC」基、アリルオキシカルボニル基;あるいは、ハロカーボネート(例えば、(C〜C12)アリール低級アルキルカーボネート)由来の他の保護基(例えば、ベンジルクロロカーボネート由来のN−ベンジルオキシカルボニル基)(例えば、ベンジルオキシカルボニル(CBZ基))、またはビフェニルアルキルハロカーボネート、第3級アルキルハロカーボネート(例えば、tert−ブチルハロカーボネート、特にtert−ブチルクロロカーボネート)、またはジ(低級)アルキルジカーボネート(特に、ジ(t−ブチル)−ジカーボネート))由来の他の保護基;並びに、フタリル基を含む。
【0029】
本明細書中に記載する本発明はまた、式:
HalNH−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (IIA)
(式中、Hal、R、R、n、Y、Z、およびXは、上記の意味を有する)で示されるN−モノハロアミノ酸;およびそれらの誘導体を含有する組成物をも含む。式IIA(式中、Rは低級アルキルまたは−COOH基であって;Rは低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成する)の化合物;および、それらの誘導体、並びに特許請求の範囲に記載するハロゲン化化合物が好ましい。上記各組成物の1態様において、Halは、臭素、塩素、またはヨウ素である。別の態様において、Halは臭素または塩素である。
【0030】
式IIAの化合物の誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体を含む。この態様において用語「低級」は、1〜6個(1〜4個が好ましい)炭素原子を有する残基を含む。
【0031】
式(IIA)の化合物の医薬的に許容し得る塩は、医薬的に許容し得るカチオンとの塩を含む。該N−ハロアミノ酸の塩は、−COOH基および−SOH基と塩基の塩を含む。1変形において、該N−ハロアミノ酸の塩は、−CONH2基および−SO2NH2基を有する化合物の塩を含む。医薬的に許容し得る塩はまた、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、マグネシウム塩、もしくはカルシウム塩、およびいずれかの有機アミン塩をも含む。アルカリ金属塩、Mg塩、Ca塩、およびAl塩が好ましい。該アルカリ金属塩が特に好ましく、特にリチウム塩、ナトリウム塩、またはカリウム塩が挙げられる。
【0032】
酸付加塩の例としては、塩基性残基(例えば、アミン)の鉱酸もしくは有機酸の塩;酸性残基(例えば、カルボキシル酸)のアルカリもしくは有機塩基の塩などを含むが、これらに限定されない。医薬的に許容し得る塩としては、ハロゲン化水素塩、硫酸塩、メト硫酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、乳酸塩などを含むが、これらに限定されない。
【0033】
適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, 頁1418、またはThe Merck Index, 13版, 2001(Merck Research Laboratories Division of Merck & Co., Inc.によって発行), 頁MISC-22およびMISC-23(これは、本明細書の一部を構成する)中に知られる。
【0034】
置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の医薬的に許容し得る酸付加塩は、そのほかに、塩酸、スルホン酸、ホスホン酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、および他の酸との塩を含む。
【0035】
式(IIA)の化合物の更なる誘導体は、置換基Xが結合する炭素原子と結合するアミノ基の低級アルカノールおよび低級アルカノイル誘導体との−COOH基または−SO基のエステルを含む。
【0036】
式(IIA)の化合物の更なる誘導体はまた、アミノ酸分子の特定の基が保護基によって保護されたN−ハロ−アミノ酸をも含む。「保護基」とは、(a)所望しない化学反応に関与することから反応性基を保存し;そして、(b)該反応性基の保護がもはや必要としない後には容易に除去することができる、化学基を意味する。適当な保護基は、本明細書中に上記する。N−ハロ−アミノ酸(例えば、N−フルオロ−アミノ酸)は、保護または非保護のアミンおよびそれらの誘導体のフルオロ化について当該分野において知られる様々な方法を用いて製造することができる。同様に、該N,N−ジフルオロ−アミノ酸はまた、当該分野において知られる方法を用いて製造することができる。例えば、R. P. SinghおよびK. M. Shreeveによる, Chem. Commun., 2001, 1196-1197 (2001), およびV. V. Rozhkov, K. N. Makarov, R. G. Kostyanovskyによる, 「N-Fluorination of aziridinecarboxylates via fluorolysis of their N-aminomethyl derivatives」, Mendeleev Commun., 1998, 66-67、およびそれらの中に引用されている文献を参照。
【0037】
本明細書中で使用する用語「組成物」とは、本発明の様々な形態(例えば、固体(例えば、粉末、粉末とその他との混合物)、乳液、懸濁液、並びに溶液を含む)の化合物または組成物を意味する。
【0038】
1態様において、該組成物およびそれらの使用は、公知のN,N−ジハロアミノ酸もしくはN−ハロアミノ酸またはそれらの誘導体を含む。別の態様において、該組成物およびそれらの使用は、新規なN,N−ジハロアミノ酸もしくはN−ハロアミノ酸またはそれらの誘導体を含む。いずれの場合においても、該組成物は酸性形態(すなわち、pHが7以下(例えば、6.8)、pHが約2〜約7の間、pHが2.0〜6.8の間、2.5〜6.5の間、2.5〜6.0の間、2.5〜5.0の間、3.0〜5.0の間、またはpHが約3.5)で保つことができる。異なる状況下では、pHは5以下(すなわち、pHの範囲が、約3〜4.5、3.5〜4.5、またはpHが約3.5)に保つことができる。組成物のpHが酸性である組成物が好ましいが、pHの選択は、多数の因子(例えば、N,N−ジハロアミノ酸またはN−ハロアミノ酸の具体的な使用(インビトロまたはインビボ)、処置する感染症のタイプ(例えば、該感染症は、細菌、酵母菌、真菌、またはウイルスを原因とする)、感染症の部位(例えば、眼、喉頭、尿道、またはいずれかの標的組織もしくは臓器の感染症)、該感染症の激しさ、または患者の感受性などを含む)に依存する。上記の通り、所望するpHを、当該分野の当業者にとってよく知られる緩衝液系の適当な選択によって容易に達成することができる。
【0039】
本発明の組成物についてのある例において、7〜9の間のpHは適当であり得る。特定の改変において、該組成物は、中性、わずかに塩基性、または塩基性の形態で保つことができる;すなわち、pHが約7(例えば7.2)、例えばpHが約7〜約9の間(すなわち、pHが7.0〜7.2、pHが約7.2〜約7.5、pHが約7.5〜約8、pHが約8〜約8.5、pHが約8.5〜約9、またはpHが約8)である。再度、必要とされるpHが、当該分野における当業者にとって知られる適当な緩衝液系を用いることによって達成することができる。該所望するpHは、該化合物および組成物の安定性、並びにそれらの意図する使用方法にいくらか依存し得る。
【0040】
別の態様において、本発明の溶液は、N,N−ジハロアミノ酸またはN−ハロアミノ酸を濃度の範囲が0.1〜100ミリモル(mM)で含む。
【0041】
更なる態様において、該組成物は、等張性であってそして生理学的にバランスがとれている。
【0042】
N,N−ジハロアミノ酸またはN−ハロアミノ酸は、それらは有意な殺菌性の活性を有する酸化能力を維持するという理由でHOClとは有意に相違するが、その上、HOClよりも毒性が低い。N,N−ジハロアミノ酸またはN−ハロアミノ酸はまた、影響を受ける標的分子を酸化する前にある距離で分散するのに十分に安定でもある。n=0または5までの整数を有する、低分子量の本発明のN,N−ジハロアミノ酸またはN−ハロアミノ酸はより親水性分子である。
【0043】
驚くべきことに、本発明の組成物のN,N−ジハロアミノ酸またはN−ハロアミノ酸は、強い殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性を有するが、それらは低い細胞毒性を有する、ことを見出した。そのことは、該組成物が酸性である場合には、特に真実である。従って、該N,N−ジハロ−アミノ酸またはN−ハロアミノ酸をハロゲン化化合物(例えば、次亜ハロゲン酸(HOCl、HOBr、またはHOI)またはその塩と組み合わせることによって、得られる二成分組成物の低レベルの細胞毒性を保つことができる。
【0044】
更なる態様において、本発明の組成物は、細菌、微生物、病原性微生物(germ)、胞子、真菌、およびウイルスの感染症または混入を治療または予防するための組成物として使用可能であるという要求を満たすために安定化する。1態様において、本明細書中に開示する組成物は十分に安定であるように製造することができ、あるいは、該組成物は意図する使用方法のために長期間の安定性および有効期間(少なくとも2週間であり、少なくとも1ヶ月が好ましく、少なくとも3ヶ月が好ましく、少なくとも6ヶ月がより好ましく、少なくとも12ヶ月がより好ましく、そして少なくとも約24ヶ月が最も好ましい)を有するように製造することができる。本明細書中に開示する組成物についての意図する使用方法に応じて、該組成物は、室温でもしくは約25℃で、または室温以下(例えば、約20℃、約15℃、または約10℃)で保存することができる。
【0045】
別の態様において、組成物の安定化は、細菌、微生物、胞子、真菌、およびウイルスの感染症または混入を制御するのに十分な安定性を保証する容器中に該組成物を保存することによって供される。
【0046】
本発明は、式(III):
A−C(R)R(CH)−C(YZ)−X' (III)
[式中、
Aは、水素またはHalN−であり、Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、炭素炭素の単結合、または3〜6個の炭素原子を有する二価の(C〜C)シクロアルキレン基であり;Rは、水素、低級アルキル、および−COOH基であって、Rは、低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜13の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、−NH、または−NHalであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、X'は、水素、−COOH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、または−B(OH)である]
で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体、および特許請求の範囲に記載するハロゲン化化合物を含む医薬組成物を提供する。Rが二価の(C〜C)シクロアルキレン基である場合には、nは整数11を超えない。言い換えれば、酸性基X'を含有するアミノ酸は、16個までの鎖内原子を有する。場合により、二価の(C〜C)シクロアルキレン基または二価の基−(CH)−においては、1個の水素は−NHalによって置換され得る。本発明のN,N−ジハロアミノ酸は3個までの−NHal基を含み得るが、1または2個の−NHal基を有するN,N−ジハロアミノ酸が好ましい。1個の−NHal基を有するN,N−ジハロアミノ酸が最も好ましい。この基は、酸性基R(Rが−COOHである場合)またはX'のアルファ−、ベータ−、ガンマ−、デルタ−、イプシロン−など、オメガ−の位置に存在し得る。式IIIの−NHal基が−NHHal基で置き代えられる[式(IIIA)]N−モノハロアミノ酸(特に、N−モノクロロアミノ酸)、およびそれらの誘導体をも含む。
【0047】
式IIIまたはIV(これらは以下に示す)の化合物の誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、置換基XまたはX'が結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体、およびそれらのN−モノハロアミノ酸誘導体を含む。この点で用語「低級」とは、1〜6個(1〜4個が好ましい)の炭素原子を有する残基を含む。
【0048】
好ましい実施態様において、Rは、炭素炭素の単結合であり、nは0または1〜7の整数(0または1〜5の整数がより好ましく、0または1〜3の整数が最も好ましい)である。
【0049】
別の態様において、式(IV):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (IV)
によって示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を含有する、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性を有する組成物を提供する。上記式中、Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHであり;該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、および置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体からなる群から選ばれる。
【0050】
別の態様において、式(IV)(式中、Rが、水素または低級アルキルであり;nが、0、1、または2であり;Yが、水素または低級アルキルであり;Zが、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−SOHまたは−SONHである)で示される新規なN,N−ジハロアミノ酸、またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、および低級アルカノールとのエステルからなる群から選ばれる)を含有する上記の組成物を提供する。
【0051】
更なる態様において、式(IV)で示される新規なN,N−ジハロアミノ酸を含有する上記の組成物は、YおよびZが水素であり;Xが−SOHである組成物であり、ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩からなる群から選ばれる。別の態様において、Halはクロロである。
【0052】
好ましい誘導体は、医薬的に許容し得る塩である。
【0053】
別の態様において、上記の組成物は、以下の化合物またはその誘導体を含み、ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、および低級アルカノールとのエステルからなる群から選ばれる。
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジヨードタウリン;
N−ヨードタウリン;
N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン;
N−クロロ−2−メチルタウリン;
N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル-β−アラニン;
N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル-β−アラニン;
N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N,N−ジクロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;
N−クロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;
N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;
N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;
N−クロロアミノトリメチレンホスホン酸;
N,N−ジブロモ−2−アミノ−5−ホスホノパンタン酸(pantanoic acid);
N−ブロモ−2−アミノ−5−ホスホノパンタン酸;
N,N−ジクロロアミノエチルホスホン酸ジエステル(例えば、ジエチルエステル);
N−クロロアミノエチルホスホン酸ジエステル(例えば、ジエチルエステル);
N,N−ジクロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸;
N−クロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸;
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸;
N,N−ジクロロ−1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸;
N−クロロ−1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸;
N,N−ジクロロ−ロイシンホスホン酸;
N−クロロ−ロイシンホスホン酸;
N,N−ジクロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;
N−クロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;
(±)N,N−ジクロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
(±)N−クロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N,N−ジクロロ(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N−クロロ(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;
N,N−ジクロロ−d,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;
N−クロロ−d,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;
N,N−ジクロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;
N−クロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;
N,N−ジクロロ−ロイシンボロン酸;
N−クロロ−ロイシンボロン酸;
N,N−ジクロロ−β−アラニンボロン酸;もしくは、
N−クロロ−β−アラニンボロン酸、
または、それらの医薬的に許容し得る塩もしくはエステル。
【0054】
別の態様において、式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)、もしくは(IV)のモノ−もしくはジ−ハロアミノ酸、またはそれらの誘導体を含有する、本明細書中に記載する組成物は、Halがクロロであり、そして該ハロゲン化化合物中のハロゲンが塩素である組成物である。更なる別の態様において、本明細書中に記載する組成物は、式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)、もしくは(IV)のモノ−もしくはジ−ハロアミノ酸、またはHalがブロモもしくはクロロであるそれらの誘導体、および該ハロゲンがブロモまたはクロロであるハロゲン化化合物を含む。
【0055】
別の態様において、本発明の組成物は更に、医薬的に許容し得る担体を含む。
【0056】
本発明のホスホン酸またはボロン酸は、2個の異なる炭素原子と結合する少なくとも2個のヒドロキシル基を有する、10個までの炭素原子を有するジヒドロキシ化合物(これは、脂環式または環式であり得る)と組み合わせることができる。例えば、エチレングリコール、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、マンニトール、ジエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、グリセロール、ジエタノールアミン、ピナコール、または他の同様なジヒドロキシ化合物が挙げられる。ある場合には、この組み合わせは、本発明のボロン酸またはホスホン酸の安定性を増大する。
【0057】
再び、本発明について記載する全ての特徴、特性、および範囲(いずれかの態様において、関心があるともしくは特にあると、またはそうでないと記載する)は、互いに組み合わせることができる。例えば、本明細書中に示す式中の関心ある置換基は、別のより広義に定義され、強調するものでない本明細書中に記載する置換基と組み合わせることができる。例えば、−SOHである置換基Xは、水素以外の置換基YまたはZと組み合わせることができる。
【0058】
従って、本発明は、式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)、もしくは(IV)のハロアミノ酸、またはそれらの誘導体が次亜ハロゲン酸誘導体由来のハロゲン化化合物または次亜ハロゲン酸誘導体の供給源と組み合わせた、医薬組成物を含む。該次亜ハロゲン酸誘導体は、次亜ハロゲン酸、または次亜ハロゲン酸の供給源、もしくはその次亜ハロゲン酸の塩(特に、次亜塩素酸のナトリウムまたはカリウム)を含む。該医薬組成物は、抗炎症性、免疫調節性、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の効果、並びに哺乳動物におけるミエロペルオキシダーゼ活性の実質的な刺激を示さない組織治癒刺激を有する。これらの医薬組成物の次亜塩素酸の力価は、使用可能な塩素(特に、アルカリ金属の次亜塩素酸(特に、次亜塩素酸ナトリウム))のリットル当たり1モル以下である。その最小の力価は、約1ピコモル/リットル以上である。これらの組成物のN−クロロアミン力価は、約5モル/リットル以下であり、最小は0.01フェトモル/リットルである。また、次亜塩素酸誘導体において、該クロロ、ブロモ、およびヨードの誘導体が好ましい。より好ましい化合物は、クロロおよびブロモの誘導体である。該クロロ誘導体が最も好ましい。
【0059】
(N−ハロアミノ酸、N,N−ジハロアミノ酸、およびその誘導体の製造方法)
N−ハロアミノ酸およびN,N−ジハロアミノ酸、並びにそれらの誘導体は、アミノ酸またはその誘導体(このものから、該ハロゲン化アミノ酸を製造する)を、アミノ酸のアミノ基上の1または2個の水素原子の、1または2個のハロゲン原子(すなわち、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード原子である)による置換を生じる反応条件下で、ハロゲン供給源と反応させることによって製造する。これらの製造方法は、当該分野の化学者にとって知られる。
【0060】
本発明の1態様において、出発物質として使用するアミノ酸としては、例えばタウリン、ホモタウリン、β−アラニン、オルニチン、γ−グルタミン酸、γ−アミノ酪酸(GABA)、1−アミノ−1−メチルエタンスルホン酸、1−アミノ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸、または1,1−ジメチル−2−アミノ−2−カルボキシ−エタンスルホン酸、およびその他を含む。例えば、アミノトリメチレンホスホン酸またはその塩、2−アミノ−5−ホスホノパンタン(pantanoic)酸またはその塩、アミノ化(1R,2S)−(1,2−エポキシプロピル)ホスホン酸(または、アミノ化ホスホマイシン)、アミノエチルホスホン酸ジエステル(例えば、ジエチルエステル)、1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸、1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸、1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸、ロイシンホスホン酸、4−アミノ−4−ホスホノ酪酸、(±)−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、(+)−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸、d,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸、または2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸を使用することができる。別の態様において、これら出発物質は、それらのエステルまたは塩の形態で使用することができる。別の態様において、該ホスホン酸の低級アルキルエステルは、本発明のハロホスホン酸およびそれらの誘導体の製造のための好ましいエステルである。全てのこれらの出発物質は、よく知られているか、商業的に入手可能であるか、またはよく知られる製造方法によって製造可能であるかのいずれかである。該出発物質の多数は、例えばシグマ−アルドリッチ社から、商業的に入手可能である。
【0061】
以下の非排他的なハロゲン供給源を用いて、N−ハロアミノ酸およびそれらの誘導体を製造することができる;HOClもしくはその塩(例えば、NaOClまたはKOCl)、N−ハロアリールスルホンアミド塩(ここで、該アリール基は、1もしくは2個の芳香族環と合わせて6〜15個の炭素原子を含み、6〜10個、もしくは6〜8個の炭素原子および1個の芳香族環を含み、例えばN−ハロベンゼン−スルホンアミド、もしくはN−ハロ−4−アルキルベンゼンスルホンアミドを含み、ここで、該アルキル基は、炭素数が1〜4個である低級アルキル(例えば、メチルまたはエチル)である)。該N−ハロベンゼン−スルホンアミドまたはN−ハロ−4−アルキルベンゼンスルホンアミドは、それらの塩(例えば、アルカリ塩、例えば、それらのナトリウム塩またはカリウム塩)の形態で使用することが多い。最もよく使用される試薬は、容易に商業的に入手可能であるという理由で、ナトリウム塩の形態であるN−クロロベンゼンスルホンアミドおよびN−クロロ−4−メチル−ベンゼンスルホンアミドである。他の非限定的なハロゲン放出性の剤または供給源は、HClO、N−クロロ−スクシンイミド、またはN−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド、Cl、Br、I、塩化チオニル、ホスゲン、PCl、PCl、およびクロル化剤(例えば、水泳プール中で使用されるもの)、または該剤の組み合わせであり得る。
【0062】
他のアミノ酸出発物質としては例えば、2,2−ジメチルハイポタウリン、1,1,2,2−テトラメチル−ハイポタウリン、2,2−ジメチルタウリン、1,1,2,2−テトラメチルタウリン、2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン、および3,3−ジメチルホモタウリンを含む。
【0063】
該ハロゲン供給源の1分子が1個のハロゲンを放出する場合には、該ハロゲン供給源の少なくとも1もしくは2個の分子における該アミノ酸または誘導体分子の各出発アミンについて明らかに、所望するハロゲン化を達成するために、使用される。N−ハロアミノ酸およびそれらの誘導体の製造に関するより詳細は、実施例において記載する。
【0064】
商業的に入手できない場合には、本発明の化合物の製造のためのホスホン酸出発物質は、当該分野における当業者にとってよく知られる方法に従って製造することができる。例えば、Yuan, C.らによる, New Strategy for the Synthesis of Functionalized Phosphonic Acids, Heteroatom Chem. 1997, 8 (2) 102-122; Yuan, C.らによる, New strategy for the Synthesis of Functionalized Phosphonic Acids, Pure Appl. Chem. 1996, 68(4), 907-12; A Versatile Route to Substituted Organophosphonic Acids, J. Am. Chem. Soc., 1990, 31, 2933; G. M. Kosolapoffによる, The Synthesis of Phosphonic and Phosphinic Acids, Organic Reactions, 6巻 (1951)、およびそれらの中の引用文献を参照。
【0065】
ボロン酸出発物質およびそれらのエステルは、例えばAcros Organics社(Fischer Scientific)またはRyscor Science, Inc.社(Raleigh, North Carolina)およびその他の会社から商業的に入手することができ、あるいは、当該分野における当業者にとって知られる方法に従って製造することができる。例えば、Webb, K. S.およびLevy D.による, Tetrahedron Lett. 1995, 36, 5117;Suzuki, A.による, Pure Appl. Chem. 1994, 66, 213;Miyaura, N.およびSuzukiによる, A. Chem. Rev. 1995, 95, 2457-2483;Suzuki, A.による, J. Organometallic Chem. 1999, 576, 147-168;Kamatani, A.およびOverman, L. E.による, J. Org. Chem. 1999, 64, 8743-8744, Yang, W.;Gao, S.;Wang, B.による, 「Boronic Acid Compounds as Potential Pharmaceutical Agents」, Med. Res. Rev. 2003, 23, 346-368, およびそれらの中の引用文献、並びにBrown, H. C.;Midland, M. M.;Levy, A. B.;Kramer, G. W.による, 「Organic Synthesis via Boranes」, Wiley-Interscience: New York, 1975を参照。
【0066】
本発明に記載する化合物はまた、該化合物の個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)、並びにラセミ混合物を含み得る。個々の異性体(例えば、純粋なR、S、RR、SS、RS、SRなど)は、異性体混合物を光学活性な分割剤を用いて処理することによって、ジアステレオ異性体の化合物の1対を得ることができる。ジアステレオ異性体の化合物は分離することができ、そして該光学的に純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーを、当該分野においてよく知られる方法を用いて単離することができる。ジアステレオマーは別個の物理学的な性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有するので、それらは、これらの相違点の利点を用いることによって容易に分離することができる。該ジアステレオマーは、クロマトグラフィー、または好ましくは、溶解度の差違に基づく分離もしくは分割の方法によって分離することができる。それらのラセミ混合物から化合物の立体異性体の分割に利用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilenによる, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981)、およびそれら中の引用文献において知ることができる。
【0067】
N,N−ジハロアミノ酸を製造するための典型的な反応式(N,N−ジクロロアミノ酸の製造について例示する)は、以下の通り示すことができる:
【数2】

式中、R、R、n、X、YおよびZは、上記の意味を有する。
【0068】
様々なN−ハロアミノ酸の製造が必要とされる場合に、上記の反応は、単に、中性またはアルカリ性の条件下で、2当量の代わりに1当量のNaOClを使用することによって改変することができる。
【0069】
該アミノ酸出発物質を、低級アルカノール(例えば、メタノールまたはエタノール)中に溶解し、そして酸性とする。この溶液に、NaOCl水溶液を加える。該反応により、該アミノ基のクロル化、および塩化ナトリウムの沈降を生じる。該溶媒を低温(例えば、30℃以下)で蒸発させ、そして残渣を得る。該残渣を溶媒中に溶かし、そしてN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸を、水性の低級アルカノール層と混和しない溶媒を用いる抽出によって単離する。同様に、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸は、該アミノ酸出発物質をHOClと反応させることによって製造することができる。
【0070】
従って、該ブロモアナログはまた、ハロゲン化剤としてNaOBrを用いて製造することができる。
【0071】
J Marcinkiewiczらによる2000(J. of Inflammatory Research 49, 280-289)によれば、NNDCT(N,N−ジクロロタウリン)は、HOClをタウリンとpH5で反応させることによって溶液中で製造することができる。NNDCTはまた、ブンテ(Bunte)塩(HNCHCHS−SOH)(Chinakeらによる, Oxyhalogen-sulfur chemistry: kinetics and mechanism of the oxidation of a Bunte salt 2-aminoethanethiolsulfuric acid by chlorite. Phys. Chem. Chem. Phys. 2001; 3: 4957-4964)、およびハイポタウリン(HNCHCHSOH)のクロライト(ClO)による酸化(Martincigh, B. S.; Mundoma, C.; Simoyi, R. H.による; Antioxidant chemistry: Hypotaurine-taurine oxidation by chlorite. J. Phys. Chem. A. 1998; 102: 9838-9846)において得ることもできる。
【0072】
該反応を、式1〜6において示す。
【数3】

N−クロロタウリンは不均化して、酸性溶液中でN,N−ジクロロタウリンおよびタウリンを生成する。
【数4】

HOClは、残りのハイポタウリンを素早く酸化して、タウリンを与えるか、
【数5】

あるいは、ハイポタウリンを酸化して、N−クロロハイポタウリンを与えることができる。
【数6】

非常に高い酸性条件下で、HOClはN−クロロハイポタウリンをN,N−ジクロロタウリンに酸化する。
【数7】

【0073】
低酸性条件下で、該反応はN−クロロハイポタウリンレベルで停止することができる。
【0074】
該アミノ基が結合する炭素原子と結合する少なくとも1個の低級アルキル基を有する化合物は、より安定なモノ−およびジ−ハロゲン化アミノ酸である。
【0075】
これらの化合物は、以下の通り製造することができる:
【化1】

【0076】
N,N−ジハロアミノ酸の誘導体は、該アミノ基を本明細書中に開示するアミノ基保護剤を用いて保護し(例えば、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)誘導体を形成することによる)、続いて、スルホニルクロリド(これは、例えば低級アルキルアミン(例えば、メチルアミン)を用いてスルホンアミドに変換することができる)を形成することによって製造することができる。同様に、該スルホニルクロリドをベンジルアミンと反応させることができ、そして得られるベンジルスルホンアミドを−SONH基に変換することができる。その後に、該保護基は、本来当該分野における化学者にとって知られる方法によって除去し得る。使用することができる適当な保護基の包括的なリストは、T. W. Greeneによる, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3版, John Wiley & Sons, Inc. 1999において知ることができる。
【0077】
2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸の製造に関する1方法の代表的な例を、以下の反応式中に示す。
【化2】

【0078】
化合物2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸の製造に関する代表的な方法を、実験の項中で提示する。
【0079】
本発明の化合物の医薬的に許容し得る塩は、これらの化合物の遊離の酸または塩基の形態を定量またはそれ以上の量の適当な塩基または酸と、水もしくは有機溶媒またはそれら2つの混合物(通常は例えば、非水性基質(例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール))中で反応させることによって製造し得る。本発明の塩はまた、例えばイオン交換によっても製造し得る。
【0080】
塩はまた、本来知られる他の方法(例えば、W. Gottardiによる, 独国特許出願番号4041703中に記載されている方法に類似する方法を含む)で、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸と反応させることによっても製造し得る。
【0081】
N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸のナトリウム塩は、炭酸水素ナトリウムの存在下で、該ナトリウム塩を硫酸低級ジアルキル(例えば、硫酸ジメチルまたは硫酸ジエチル)と反応させることによって、低級アルキルエステルに変換し得る。
【0082】
置換基XまたはX'が−CO−NHであるアミドは、当該分野における化学者にとってよく知られる方法で製造する。
【0083】
(N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸および誘導体を含有する組成物の使用方法)
該N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸およびそれらの誘導体は、かなり低濃度で微生物を死滅する抗微生物剤であり、そしてこのものは、有意な高濃度において真核生物によって耐容であり得る。好しい該N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸において、ハロは、クロロ、ブロモ、およびヨードである。治療学的な活性および好ましい治療係数のこの範囲は、インビボでの病原体の破壊におけるクロロアミンの生理学的な役割を考慮すると、絶対的な臨界である。生体組織、軟らかい組織、および敏感な組織(例えば、眼、皮膚、または他の感覚領域)に適用される抗微生物性製品の場合には、その安全性および有効性が損なわれることはあり得ない。従って、感染症を処置するためのヒトにおける該製品の使用は、我々の肯定的な結果によって支持される。
【0084】
式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)、または(IV)の化合物、およびハロゲン化化合物を含有する本明細書中に記載する組成物は、以下の可能な適用領域を有する:コンタクトレンズクレンザー、細菌失活、眼科、通常の外科製剤(腫瘍学を含む)、外科装置の消毒、医学的なデバイスおよび装置の消毒、歯科装置の消毒、並びに食品衛生における適用(例えば、表面領域の消毒を含む)。それはまた、ワクチン製剤(保存的なおよび強力なアジュバントとして)中で、DNAおよびRNAの両方のクラスのウイルス(例えば、HIVウイルス、A型肝炎ウイルス、呼吸器多核体ウイルス、アデノウイルス、ウエストナイルウイルス、HSV−1、HSV−2、SARS、インフルエンザウイルス、およびパラ−インフルエンザウイルス、ピコルナウイルス、およびワクシニアウイルス(ポックスウイルスについてのモデル)を含む)のウイルス失活のための殺ウイルス効果を有する化合物としても有用である。加えて、これらの化合物はまた、真菌感染症、例えば急性もしくは慢性の鼻副鼻腔炎、または他の真菌感染症(例えば、耳炎、皮膚炎、気管支炎、肺炎(例えば、ニューモシスチスカリニ))、性器の真菌感染症(例えば、膣炎、子宮内膜症、バルニティス)、胃腸管の真菌感染症(例えば、口内炎、食道炎、腸炎)、または尿道の真菌感染症(例えば、腎盂腎炎(Pyelonephrititis)、尿管炎、膀胱炎、または尿道炎)の処置においても有用である。その上、本明細書中に記載する組成物は、多数の他の微生物(例えば、大腸菌、動物伝染病病原菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、乳酸桿菌、酵母菌、バンコマイシン耐性菌、カビ、および胞子(例えば、炭疽菌の胞子およびアカントアメーバの嚢胞を含む))に対する抗微生物性活性を有する。特に、本発明の溶液は、いくつかの異なる炭疽菌の菌株の処置において有用であり得る。バンコマイシン耐性菌、MRSA、およびその他は、本発明の組成物によって容易に破壊される。歯周病に関係しそして本発明の組成物によって破壊される細菌の例は、バクテロイデス・ジンジバリス(Bacteriodes gingivalis)、B.インターメディウス(B. intermedius)、アクチノマイセス・アクチノマイセテムコミタンス(Actinomyces actinomycetemcomitans)、およびB.フォルシツス(B. forsythus)を含む。乳腺炎(乳牛の乳房(cow udder)の炎症)に関係しそして本発明の組成物によって破壊される細菌の例は、ストレプトコッカス・アガラクチア、およびストレプトコッカス・インファンタリウス(Streptococcus infantarius)を挙げられる。該組成物はバイオフィルムを破壊し、従って、これはプランクトン形態およびバイオフィルム中の両方で増殖する微生物に対して有効である。
【0085】
本発明の更なる態様において、様々な医学的な疾患の処置(ここで、該処置は、創傷治癒の促進、開口創傷における病原体の減少、創傷の汚染除去、創傷ベッドの灌注/調製、眼の消毒もしくは汚染除去、口腔消毒、鼻咽頭療法、抗真菌療法、眼科、歯科口腔外科、耳科学上の適用、肺感染症における病原体の減少、火傷における病原体の減少、洗浄、移植用の臓器中の感染負荷の減少、自己もしくは人工の組織移植における細菌負荷の減少、口腔消毒、抗真菌性療法、嚢胞性線維症もしくはバイオフィルムを与える他の疾患のためのバイオフィルムの処置、ウイルス感染症の処置、皮膚疾患の処置、並びに組織の修復および再生からなる群から選ばれる)のための方法を提供し、ここで、該方法は、処置が必要とされる部位(例えば、外科手術の前および後、循環器系、腫瘍学における切除する固形腫瘍)に本発明の溶液を適用することによる、本発明の溶液の使用を含む。
【0086】
例えば、およそサイズが25平方cmの慢性創傷における使用用量は、活性成分の2〜200mgを含有する溶液の30mLのレンジであり得る。ここで、該活性成分はNNDCTであり、そして該溶液は、1日当たり1〜10回、あるいは創傷を有効に処置するのに必要と見なすときに、使用することができる。ある場合には、該組成物は、0.1〜100mMの活性成分を含み得る。他の使用方法における用量は、該抗微生物活性が必要とされる場所および感染の激しさに応じて、局所領域に調節される。
【0087】
(本発明の組成物)
1態様において、溶液形態の組成物は、浸透圧的にバランスがとれており、そして最小の細胞毒性を有する。別の態様において、該組成物は浸透圧的にバランスがとれてなく、そして最小の細胞毒性を有する。
【0088】
別の態様において、本明細書中に記載する組成物は、治療係数が約1,000〜約5,000を有する。これは、37℃で1時間での大腸菌ATCC 11229についてのそれらの最小殺菌濃度に対する、L929マウス肺上皮細胞および原発性(primary)ヒト線維芽細胞の両方についての1時間でのそれらの50%阻害性濃度細胞毒性係数(IC50)の比率によって決まる。
【0089】
本発明の組成物は非毒性であって、そして抗菌性性質を有するために、それらは、抗微生物性性質が所望されるいずれかの使用方法において有用である。該使用方法としては例えば、創傷、火傷、および口内炎の処置;灌注;様々な真菌感染症(例えば、爪真菌症(指およびつま先における真菌爪感染症)の処置;組織部位の洗浄(例えば、手術の前後);眼科使用方法(例えば、コンタクトレンズ洗浄溶液;または、眼科外科の前、その間、もしくは後での眼の灌注);皮膚学上の使用方法、微生物感染症、口唇ヘルペス、面皰の顔面クレンジング、乾癬;および、当該分野の当業者にとって容易に明らかな多数の使用方法(例えば、歯科使用方法(例えば、歯肉炎または歯周炎の処置を含む)、および動物の健康上の使用方法(例えば、乳腺炎の処置を含む))を含むが、これらに限定されない。例えば、医学的な設備、装置、臓器の保存、インプラント消毒、デバイス、または食物(肉、果物、野菜に限定されない)を含む表面、および食物の接触表面、上の病原体の排除または減少(例えば、細菌バイオフィルムの排除または減少を含む)をも含む。同様な使用方法において使用する多数の抗感染性組成物と異なって、本発明の組成物は、副作用が最小から全くない。
【0090】
式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)、または(IV)で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸およびそれらの誘導体、並びにハロゲン化化合物を含む本発明の組成物は、様々な使用方法(例えば、絆創膏または創傷被覆材を含む)中で含有することができる。生理学的にバランスのとれた酸性溶液の形態である組成物は、創傷処置プロトコールにおいて特別に設計した絆創膏と組み合わせて使用し得る。該特殊化した絆創膏としては、開口または「ウィンドウ」(局所用の処置物質(例えば、本発明の溶液)は、そこから適用し得る)を含み得る。該組成物はまた、包帯剤を妨害することなく、湿気および滅菌の環境を保つことを所望する使用方法(例えば、火傷の処置)において使用することができる。該1例において、穿孔処理チューブを該包帯剤および外側の絆創膏またはラップの間に置く。定期的に、該組成物は該チューブを通過し、従って、該包帯を新しい抗微生物性溶液を用いて灌注する。
【0091】
本明細書中に、容器中にパッケージされた本発明の組成物を含有する製品をも開示する。本発明の組成物と接触する容器の表面は、酸化剤と反応しない物質からなる。
【0092】
N−ハロアミノ酸およびN,N−ジハロアミノ酸、並びにそれらの誘導体の溶解度は、患者によって使用されるのに実用的である異なる形態のパッケージングの使用を可能とする。該溶液は、いくつかの1回使用用の20〜40mLまたは30mLの透明または琥珀色ガラスボトル(これは、テフロン加工のスクリューキャップを有する)中にパッケージングし、そして気密を保証するためにテープで封することができる。1態様において、同じ溶液を、250mLの琥珀色ガラスボトルまたは250mLの非反応性のプラスチックボトル中にパッケージングし得る。しかしながら、より大きな用量は火傷の処置において実用的であるという理由で、5リットルまでのボトルを使用することができる。これらの容器中での保存は、本明細書中に詳細に記載する組成物の使用に要求される長期間の安定性を保証する。例えば、冷蔵庫中に保存するバイアル中での本明細書中に記載する濃度範囲内のN,N−ジクロロタウリンの溶液は、3ヶ月後に時間t=0で、N,N−ジクロロタウリンのわずか13%の損失を有する。加えて、パッケージングは、デュアルチャンバーシステム(ここでは、成分Aを成分Bと混合して、最終生成物である、ハロゲン化化合物と混合したN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を生成する)を含み得る。該組成物は、適当な濃度で使用し、そして非刺激性であって、該活性化合物を意図する作用部位に運搬するのに適当なビヒクルまたは担体(例えば、ローション剤、液剤、クリーム剤、乳剤、軟膏、鎮静剤(balms)、ペースト剤、スプレー剤、エアロゾル剤、ゲル剤、パッチ剤、固形剤、スティック剤、水溶液、有機溶媒)、または他の成型組成物を運搬する。通常、該担体システムは、液剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤、固形剤、エアロゾル剤であると記載することができる。運搬はまた、運搬のための特別な手段(例えば、ペッサリーまたは坐剤)をも含むことができる。該組成物はまた、医学的なデバイス(例えば、カテーテル、ステント、ペースメーカー、ニードル、またはチューブ)中またはその上に、活性薬または不活性な前駆体としても含有することもできる。
【0093】
1態様において、本発明の溶液は、1回使用用の容器中に保存し得る。別の態様において、本発明の溶液は、様々な異なるサイズ、配置、および本明細書中に開示する所望する使用方法に適当な異なる容量を有する、1回使用用の容器中に保存し得る。ある使用方法においては例えば、本発明の溶液は、1回使用用の30mLで場合により廃棄可能な容器中に保存し得る。1態様において、本発明の組成物は、不活性ガス下、室温で、医薬的に許容し得る賦形剤と一緒の粉末として保存し得る。
【0094】
本発明の組成物は、以下の医薬的に許容し得る担体;等張性を達するための塩化ナトリウム、緩衝剤、安定化剤、溶媒、芳香剤(経口または鼻咽頭の投与、および食品産業の場合)、保存剤、希釈剤、膨張剤、および他の補助的な物質または賦形剤を含み得る。使用することができる医薬的に許容し得る担体および賦形剤の具体例は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, A. Gennaro編, 20版, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA; Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones編, 1992);Advances in Pharmaceutical Sciences 7巻 (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity編, 1995)(これらは、本明細書の一部を構成する)中に記載されている。通常、水、適当な油、生理食塩水、低級アルコール、およびグリコール(例えば、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール)は、溶液に適当な担体であり得る。1態様において、溶液は、水溶性または水性媒質可溶形態(例えば、塩)中で、適当な安定化剤、必要ならば緩衝物質と一緒に、活性成分を含む。加えて、溶液は、保存剤(例えば、ベンザルコニウムクロリド、メチル−もしくはプロピル−パラベン、およびクロロブタノール)を含み得る。適当な医薬的な担体は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(これは、本分野における上記の標準的な教科書である)中に記載されている。
【0095】
該組成物は更に、それらが本発明のN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸の安定性または機能を妨害しない限り、他の活性成分(例えば、他の抗菌剤)を含み得る。
【0096】
本発明の組成物中でのN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸の量または濃度は、広範囲にわたって変え得る。例えば、組成物は、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸の組成の0.001〜100重量%を含み得る。100%の場合には、該組成物は、いずれかの担体物質を有しない粉末の形態で適用し得る。該組成物の典型的な範囲は、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸の組成の0.1〜95重量%、例えば0.1〜50重量%、0.1〜10重量%、0.5〜5重量%を含む。溶液の場合に、通常、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸の低濃度を使用する。例えば、リンスまたはスプレーの場合には、1〜2%の濃度が適当であり得る。別の態様において、本明細書中に開示する化合物および組成物の濃度は、該組成物の約0.01重量%〜20重量%であり得る。
【0097】
鼻咽頭の適用の場合には、pHが2〜8である(3.5〜5が好ましい)N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその塩、およびハロゲン化化合物の0.5〜5%(例えば、1%)溶液を含有する鼻腔使用用のカテーテルを、各処置について約5〜50mL(例えば、10〜15mL)の溶液を用いて、数週間にわたって使用し得る。各処置後に、該すすぎ溶液は吸引して除く。
【0098】
本発明は、(i)少なくとも1つのハロゲン化化合物、および(ii)本明細書中に記載するアミノ酸から選ばれる少なくとも1つの化合物の少なくとも1つのN−ハロゲン化誘導体またはN,N−ジハロゲン化誘導体、を含有する医薬組成物を含む。より具体的には、該組成物は、式(I)、(II)、(IIA)、(III)、(IIIA)、(IV)のN−ハロゲン化誘導体もしくはN,N−ジハロゲン化誘導体、またはそれらの誘導体を含む。1態様において、該ハロゲン化化合物は次亜ハロゲン酸アルカリ金属(例えば、次亜塩素酸ナトリウム)であるが、次亜ハロゲン酸がより好ましく、次亜塩素酸が最も好ましい。これら二成分の医薬組成物は、抗炎症性、免疫調節性、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の効果、並びに哺乳動物中でのミエロペルオキシダーゼ活性の実質的な刺激を示さない組織治癒刺激を有する。これら医薬組成物の次亜塩素酸の力価は、使用可能な塩素(特に、アルカリ金属の次亜塩素酸(特に、次亜塩素酸ナトリウム)または次亜塩素酸)のリットル当たり1モル以下である。その最小の力価は、約1ピコモル/リットル以上である。これら組成物のN−クロロアミンまたはN,N−ジクロロアミンの力価は約5モル/リットル以下であり、最小は0.01フェトモル/リットルである。
【0099】
本発明の二成分の組成物は、ある使用に適当である賦形剤または担体と組み合わせることができる。適当な賦形剤または担体を本出願中に開示するが、しかし、教科書(例えば、レミングトン(Remington))を調べることによっても知ることができる。液体組成物の場合には、他の非酸化性の適合可能な担体をも使用することができるが、水が好ましい賦形剤または担体である。いくつかの水性組成物は、浸透圧性(等張性)の精製水を含む。他の組成物は、浸透圧の平衡化(balancing)を必要としない。該水性組成物はまた、該ハロゲン化化合物、および本明細書中に記載するアミノ酸から選ばれる化合物の少なくとも1つのN−ハロゲン化誘導体もしくはN,N−ジハロゲン化誘導体と適合し得て並びに該組成物が置かれる用途と適合し得る、多様な剤をも含む。該組成物がヒトまたは動物への医薬的な使用および投与を予定する場合には、該賦形剤または担体は、医薬的に許容し得なければいけなく(例えば、実質的に非毒性である)、そして該医薬組成物の意図する使用を妨害してはいけない。当該分野の当業者は、該組成物の性質が変わりまたは改変され得ることに注意する。該改変とは例えば、安定化剤を含有することによる安定性;pH調節剤(例えば、緩衝剤、塩基または酸)を含有することによる、pH;密度に影響を及ぼす剤(例えば、密度を低下する希釈剤、または水よりも高い密度を有する密度増大剤による、密度;可溶化剤を加えることによる、溶解度;例えば、生体適合性高分子を加えることによって粘性を増大するか、または低い粘性プロファイルを有する剤を加えることによって粘性を低下するかのいずれかによって、粘性に影響を及ぼす剤を加えることによる、粘性;二成分のハロゲン化成分によっては酸化されない適合性の染料または着色剤を加えることによる、着色;適当な表面活性物質または界面活性剤を加えることによる、湿潤性;例えば、特定の用途またはユーザーのために該組成物の使用を容易とするために、魅力的な匂いまたは芳香を示す剤を加えることによる、二成分組成物の嗅覚または味覚の性質、に関する影響であり得る。
【0100】
該二成分組成物の製造は、その形態(固体、液体、または気体の形態である)に依存する。固体の組成物は、粉末またはゲルの形態であり得る。半固体の組成物は、軟膏またはクリーム剤の形態であり得る。液体組成物は、溶液、乳液、もしくは懸濁液、または油の形態であり得る。気体の組成物は、エアロゾルの形態であり得る。医薬的な用途についての該製剤の詳細は、Remington; details for such preparations for consumer products can be found in 「The Chemical Formulary」, H. Bennett編, Chemical Publishing Company (1998), XXXIV巻中で知ることができる。
【0101】
(本発明の組成物の具体的な使用方法)
1態様において、本発明の組成物は、局所的に投与しまたは使用する。
【0102】
本発明の酸性溶液は、深い創傷(これは、通常の薬物療法および局所適用処置には応答しない)を有する多数の患者を処置する際に使用し得る。1態様において、本発明は、様々な医学的な病気の処置のための方法(例えば、創傷治癒の促進、開口創傷における病原体の減少、創傷の汚染除去、眼の消毒もしくは汚染除去、口腔消毒、抗真菌処置、眼使用方法、肺感染症における病原体の減少、火傷における病原体の減少、洗浄、移植用臓器中の感染性負荷の減少、自己もしくは人工の組織移植中での細菌負荷の減少、口腔消毒、抗真菌性療法、嚢胞性線維症および関連疾患のためのバイオフィルムの処置、ウイルス感染症の処置、皮膚疾患の処置、並びに組織の修復および再生)を提供する。ここで、該方法は、本発明の溶液を処置が必要とされる部位に適用することによる、該溶液の使用を含む。本発明の溶液を用いて処置し得るバイオフィルムの非限定的な例は、総説の標題「Is there a role for quorum signals in bacterial biofilms?」(S. KjellebergおよびS. Molinによる, PMID: 12057677(PubMed-indexed for MEDLINE))中に引用されているものを含む。
【0103】
本発明の溶液は、細菌の負荷を減少するのに有効であり、従って、創傷治癒を改善し得る。該溶液は十分に許容され、創傷組織の肉芽形成を改善し、先行技術の溶液と比較して壊死組織切除の必要性を減少し得て(患者はそれらの処置の間に痛みが減少すると報告されている)、そしてサイトカイン調節による炎症性応答を潜在的に弱めることができる。Mainnemare A, Megarbane B, Soueidan A, Daniel A, Chapple IL. Hypochlorous acid and taurine-N-monochloramine in periodontal diseases. J. Dent. Res. 2004年 11月; 83(11): 823-31の総説を参照。
【0104】
(口腔ケア)
本発明の酸性溶液を用いて、患部をすすぐことによって、口内炎(口腔の潰瘍)または口唇ヘルペス(cold sores)を処置し得る。例えば、該溶液を、口唇ヘルペスに1日3〜4回、毎回2〜3回の適用で浸漬し、そして該溶液を該口唇ヘルペスと20〜30秒間接触させることによって、使用し得る。該溶液はまた、歯科口腔衛生における口腔のすすぎ液として、および感染症を制御するために使用し得る。この場合に、該溶液は、咽頭感染症と闘うための含嗽用液として使用し得る。該溶液は、より特定の領域については綿棒の補助で適用し得る。該溶液は、患者の要求および症状に従って、1日に1回〜数回使用し得る。
【0105】
(歯科用機器のケア)
本発明の具体的な洗浄薬または消毒薬の選択は、製品のラベルの主張(claim(s))および説明書、並びに政府の規制によって指導されている、大きな判断事項である。1つの液体化学組成物は、ある歯科の診療または施設における全ての消毒の要求を満足することはできないかもしれない。無機次亜ハロゲン酸化合物と組み合わせてN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸を含有する液体組成物の現実的な使用は、多数の因子(例えば、要求される微生物の死滅の程度;処理する表面、物品もしくはデバイスの性質および組成;並びに、使用可能な薬剤の費用、安全性および使用の容易さを含む)の考慮に依存する。全ての状況をカバーするより高い大きさの効力を有する適当な製品を選択することは、より有利となり得る。
【0106】
米国において、液体の化学性殺菌薬(消毒薬)は、EPAおよびFDAによって規制されている。ヘルスケアの設定において、EPAは周囲環境的な表面(家政および臨床上の接触表面)において使用する消毒薬を規制しており、そしてFDAは重要なおよびやや重要な患者のケアデバイスで使用する液体化学滅菌剤/高レベルの消毒薬を規制している。臨床的な接触表面(例えば、電灯のハンドル、X線撮影−光線ヘッド、または引き出しのノブ)または家政の表面(例えば、床、壁、またはシンク)上での使用を意図する消毒薬は、1947年(1996年改正)の連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法(the Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act)(FIFRA)の当局下での殺虫剤プログラム部門抗微生物薬課(the Antimicrobials Division, Office of Pesticide Programs), EPAによる州際通商において規制されている。FIFRA下では、有害生物(例えば、微生物を含むが、しかし、生きているヒトまたは動物の中またはその上での微生物を除く)を防止し、破壊し、忌避し、または移動させることを意図するいずれかの物質または物質の混合物は、販売または配布の前に規制されなければいけない。登録を得るために、製造主は、各製品の安全性および有効性に関する具体的なデータを提出しなければいけない。
【0107】
本発明の製剤は、微生物の活性、安定性、並びに動物およびヒトへの毒性について許容される方法を使用することによって調べることができる。これらのデータは、提唱されたラベルでEPAに提出されなければいけない。EPAが、該製品が不合理な副作用を引き起こすことなく使用することができると結論付ける場合には、該製品およびそのラベルは、EPA登録番号を与えられ、そして該製造主は、米国において該製品を販売しそして配布することができる。FIFRAは、各製品上のラベルの指導に従うことを、製品のユーザーに要求する。表題:「そのラベルと相反する本製品の使用は、連邦法の違反である」は、使用上の指導の下で全てのEPAに登録された製品のラベル上に存在する。このことは、歯科ヘルスケアの施設は安全面での注意および各登録された製品のラベル上の使用上の指導に従わなければいけないことを意味する。具体的な希釈、接触時間、使用方法、または使用上のいずれかの他の条件に従わないことは、該製品の誤用であると考える。
【0108】
1976年の食品・医薬品・化粧品法医療機具追加条項(Medical Devices Amendment to the Food, Drug, and Cosmetic Act)の当局下、FDAは、化学的な殺菌薬が特別な医学デバイス(例えば、デンタルユニットウォーターラインまたはフレキシブルな内視鏡)での使用のために宣伝されそして市販されている場合には、該化学的な殺菌薬を規制する。特別なデバイスでの使用のために市販されている本発明の液体化学組成物は、該特別な医学デバイスを消毒するために使用する場合には、規制の目的のために、医学デバイスそのものを考える。また、ある装置またはデバイスに関するこのFDA規制当局は、製造主は該デバイスの安全なおよび有効な使用のための適当な説明書を付してユーザーに供するよう義務を課されていると指図している。これらの説明書は、再利用可能な医学デバイスとして市販される場合には、該品目を洗浄し、消毒し、または滅菌する方法を含まなければいけない。
【0109】
疾病管理センター(The Center for Disease Control)CDCは、周囲環境的な表面を消毒し、あるいは医学設備を滅菌しまたは消毒することを推奨し、そしてDHCPは、特定の微生物または場所に対する使用のための該製品を入手することができない場合以外には、EPAおよびFDAによって承認された製品を使用すべきである。しかしながら、登録または承認された製品を特定の病原体または使用状況のために入手することができない場合には、DHCPは、様々な化学的な殺菌薬についての非登録または非承認(例えば、オフラベル)の使用に関する具体的なガイダンスに従うよう助言する。例えば、ある新生の病原体(例えば、ノーウォークウイルス)、潜在的なテロリズム病原体(例えば、天然痘またはペスト菌)、またはクロイツフェルト・ヤコブ病病原体に対して具体的に使用するための抗微生物製品は登録されていない。
【0110】
分類化の1問題点は、どのようにEPAおよびFDAが消毒薬を分類するかの点での相違である。FDAは、CDCと同一の基本的な用語法および分類化のスキームを採用して、医学的なデバイスを分類化し(すなわち、重要、やや重要、および重要でない)、そして表面を処理するための抗菌性効力(すなわち、滅菌、並びに高−、中−、および低−レベルの消毒)を定義している。EPAは、消毒薬の登録の際に、製造主の微生物活性の主張に基づいて、周囲環境的な表面の消毒薬を登録する。EPAがCDCガイドラインにおいて使用される用語:中−および低−レベルの消毒薬を使用しないので、この相違はユーザーの側に混乱を招いている。
【0111】
結核菌に対する効力は、実質的なベンチマークとして認識されている。しかしながら、該殺結核菌の主張は、殺菌力価を測定するためのベンチマークとしてだけ使用される。結核は、周囲環境的な表面を介しては伝染せず、むしろ風媒性の経路によって伝染する。従って、周囲環境的な表面上での該製品の使用は、結核の広がりを防止するのに役に立たない。しかしながら、マイコバクテリアは植物性の細菌、ウイルス、および真菌中での耐性の最大の内因性レベルを有するとの理由で、ラベル上に殺結核菌の主張を付して指摘する場合には、本発明の組成物は、広いスペクトルの病原体(例えば、低い耐性の生物(例えば、血液由来の病原体(例えば、HBV、HCVおよびHIV))を失活することができると考えられる。それは、マイコバクテリアに対する該製品の特別な効力よりもむしろ、この広いスペクトル能力であって、そしてこれは、表面消毒のための殺結核菌性化学品の使用を指図するプロトコールおよび規制の基準である。
【0112】
EPAはまた、関心あるこれら生物に対するそれらのラベルされた用途により、消毒薬製品を以下の通りリストする:
リストB.マイコバクテリウム菌種に対して有効な殺結核菌性製品。
リストC.ヒトHIV−1ウイルスに対して有効な製品。
リストD.ヒトHIV−1ウイルスおよびHBVに対して有効な製品。
リストE.マイコバクテリウム菌種、ヒトHIV−1ウイルス、およびHBVに対して有効な製品。
リストF.HCVに対して有効な製品。
【0113】
微生物は、消毒および滅菌化に対する耐性の点で多岐にわたり、このことは、EPAの指摘する生物スペクトルと比較して高−、中−、および低−レベルであると、CDCが消毒薬を指摘することが可能とする。しかしながら、この一般的な指針に対する例外が存在し、そして製造主のラベルの主張および説明書は常にフォローされるべきである。
【0114】
(歯科のケアおよび衛生)
歯周部の疾患は、顎における骨および歯と連結する歯肉および支持組織に影響を及ぼす疾患を記載するのに使用する一般的な用語である。「Periodontal Disease」, Ray Williams, New England Journal of Medicine 322: 373-382, 1990を参照。歯肉炎(該疾患の早期)および歯周炎は、特定の細菌および該疾患への宿主の反応によって生じる。例えば、アクチノマイセスの増加およびまたフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusibacterium nucleatum)、ラクトバチルス種、ベイロネラ、およびトレポネーマの種の存在は、歯肉炎を生じるのに関係する。成人の歯周炎は、バクテロイデス・ジンジバリス、B.インターメディウス、アクチノマイセス・アクチノマイセテムコミタンス、およびB.フォルシツスに関係する。多数の他の種がまた、活性な歯周病に関与し得る。
【0115】
通常考える抗菌治療は、口腔細菌によって生じる歯周(歯ぐき(gum))の疾患と闘うのを助けるための抗生物質の使用である。典型的には、抗生物質は、スケーリングおよび歯根プランニング(planing)と組み合わせて使用する。ある歯科医は、最後の頼りとしてのみ抗菌治療を使用し、一方で他の者はそれをより多く使用する。ある場合には、抗菌治療は該歯周病を排除することができる。他の場合には、歯周の手術がなお必要とされる。しかしながら、本発明の組成物の使用は、歯科的な使用方法のために製剤化される本発明の組成物(本明細書中、「歯科組成物」と呼称する)の使用は、抗生物質の耐性、胃腸管の不快感、またはアレルギー性影響を誘発しない抗生物質の使用を超える重要な利点を有する。
【0116】
歯周病を有するほとんどの人々が、抗菌治療を受けていない。この治療形態は通常、特定の状況のために使用される;例えば、
・壊死性の潰瘍性歯肉炎(NUG)(15〜35歳の人々においてほとんど起こる、珍しい高悪性度の歯周病の形態);
・速い進行性の歯周病;
・他のタイプの処置に応答しない歯周病;
・弱まった免疫系または他の重大な医学的な病気を有する患者;
を含む。
【0117】
しかしながら、本発明の歯科組成物の使用は抗生物質を用いる処置を含まないという理由で、本発明の歯科組成物は、微生物の感染またはプラーク(歯上に蓄積する細菌の集まり)(これは、虫歯の原因であり得る)をコントロールするのにより多く使用することができる。口腔は多数の異なる細菌菌株を含むが、唯一の特定の菌株はう歯を生じると考えられる。本発明の歯科組成物は、口腔中で見られる多数の細菌に対して、特に酸産生性の細菌(これは、歯の減衰を生じる細菌(例えば、ストレプトコッカス突然変異体)である)に対して有効である。本発明の組成物は、滑面の減衰、窩および裂溝の減衰、並びにエナメル質の減衰をコントロールしまたは防止するのに有効である。患者が口腔中に特に活発に減衰を生じる細菌を有する場合には、歯科医は、口腔洗浄剤(これは、歯の減衰を生じる細菌を死滅するために、数週間にわたる本発明の歯科組成物を含む)を処方することがある。
【0118】
本発明の歯科組成物はまた、歯髄炎(歯髄の有痛性炎症)の同時処置のため、根尖周囲膿瘍(これは、細菌性感染症から発生する膿または蜂巣炎の集まりである)の処置のためにも有用である。本発明の歯科組成物は、抗生物質と組み合わせて使用することができる。
【0119】
本発明の歯科組成物はまた、細菌の蓄積によって生じる歯周病(例えば、歯肉炎、ウイルス感染症が原因のヘルペス性歯肉口内炎、ホルモン変化が原因の妊娠の歯肉炎、歯ぐきが歯上で膨潤している(完全に出現することはない)歯冠周囲炎、白血病の歯肉炎、または歯冠周囲炎(歯の支持構造にまで広がるタイプの歯肉炎)の処置に適当であり得る。
【0120】
本発明の歯科組成物は、実施される専門的な歯科衛生(これは、歯科衛生士による患者における、スケーリングを用いた歯もしくはポケットの洗浄の間、または専門的なケアの後のいずれかである)と組み合わせて使用することができる。
【0121】
本発明の組成物を選択する前に、歯科医は細菌の試料を採取し、そしてそれを研究室に運ぶことを決定することができる。該研究室は細菌を増殖し、それらを同定し、そして本発明の組成物の濃度または製剤がそれらに対して最善に作用するかどうかを測定する。次いで、歯科医または歯周病専門医(periodontist)は、感染について最も有効である歯科組成物を処方するためにこの情報を使用する。しかしながら、本発明の歯科組成物は細菌が影響を及ぼす歯科疾患を死滅するのに非常に有効であるとの理由で、このステップは多くの場合省略することができる。
【0122】
歯周病の治療は、全身的にまたは局所的に与えることができる。局所治療は歯科医の椅子において行ない、そしてこれは口腔の患部中に該歯科組成物を直接に置くことを含む。いくつかのタイプの局所治療が存在し、例えば以下のものを含む:
・ゲル−歯科医は、本発明の組成物を含有するゲルを歯ぐきの下に注入する。該領域をシールし、そして漏出を防止するために特別な絆創膏で覆う。7〜10日後に、歯科医は該絆創膏およびいくつかの残留ゲルを除く。
・チィップ−歯科医は、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸を含有する歯科組成物を含有するチィップを歯ぐきの下に置く。該チィップは7〜10日間で溶解する。
・粉末−歯科医は、本発明の組成物を含有する粉末を歯ぐきの下に吹きかける(squirt)。該粉末は、3週間で溶解する。
・リボン−歯科医は、絹糸様ファイバーを歯ぐきの下に置き、このものはN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸をゆっくりと放出する。該リボンを約10日後に除く。
・ミクロスフェア−本発明の組成物は、生腐食性もしくは生分解性ミクロスフェア、微粒子、またはマイクロカプセルとして適合性キャリヤー物質中で製剤化し、これらは歯ぐきポケット中に置かれ、そして該組成物をゆっくりと放出する。該キャリヤー高分子は、N−クロロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸およびハロゲン化化合物に対して実質的に耐性でなければいけなく、そして経時で溶解する。該高分子の例は、Medical Plastics and Biomaterials Magazine, 3月, 1998年, 頁30中のJ. C. Middleton, A. J. Tiptonによる記事において知ることができる。
【0123】
抗菌治療は通常、1〜2週間続く。一旦、歯科医がN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸およびハロゲン化化合物を含有する組成物を使用すると決定すると、例えば、該患者は最初に、スケーリングおよび歯根プランニングを受ける。この方法は、歯ぐきラインの下からプラークおよび石(歯石)を除き、そしてプラークが容易に蓄積し得る歯根上のいずれかの突発的な(bump)または変則的な領域を滑らかにする。スケーリングおよび歯根プランニング後に、歯科医はいくつかのタイプの局所抗菌治療を処方し得る。
【0124】
(アフタケア)
歯科医は、治療が有効であるかどうかを観察するために、2または3ヶ月後に患者を再度調べる。該疾患がN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸およびハロゲン化化合物を含有する組成物を用いる処置に対して応答しない場合には、次の段階は、いくつかの因子(例えば、該疾患の激しさを含む)に依存する。該歯科医は、抗生物質またはスケジュール歯周部手術(schedule periodontal surgery)を処方し得る。ある患者は、それらの疾患が応答する前に、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸およびハロゲン化化合物の処置を数回受け得る。他の者は、それらの疾患をコントロール下に保つために長期間の抗生物質の治療を必要とする。患者が歯周病についての十分な処置を受けた後では、それは、再発の防止を助けるのに重要である。浸透性の歯科用絹糸はまた、患部領域と、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸およびハロゲン化化合物を含有する組成物との連続的な接触を与えるように、歯科医による往診後に使用することができる。維持療法は、歯科医または歯周専門医への規則的な往診を含み;これは通常、歯周専門医により処置される人々の場合に2〜4ヶ月毎、および歯肉炎を処置される人々の場合には6ヶ月毎である。
【0125】
本発明の歯科組成物は、抗生物質治療のリスク(例えば、抗生物質耐性、または抗生物質薬物療法に対するアレルギー反応もしくは副作用(例えば、発疹、ほてり、蕁麻疹、または胃の不調(stomach upset))を回避する利点を有する。他のタイプの感染症と同様に、抗生物質の不適当な使用により、生物はこれらの薬物療法の効果に耐性となり得る。予防学的な治療の一部として、患者は、口腔すすぎのための溶液としてまたはアプリケーターを用いた歯肉(gum)(ポケット)への直接的な使用方法として、該組成物を使用することができる。
【0126】
(眼治療)
本発明の生理学的にバランスのとれた酸性溶液は、生理食塩水の代わりに使用し得て、異物を除去し、すすぎ、または眼を灌注するのに使用し得る。そのものはまた、眼および周囲組織を消毒するために、手術の前または後に典型的に適用し得る。該溶液は、患者の要求および症状に従って、1日に1回または数回使用し得る。該溶液は、必要に応じて、眼の中にそのものを直接に点滴することによって適用し得る。そのものはまた、ガーゼを浸漬し、そして該飽和ガーゼを眼に1分間または数分間、適用することによって適用し得る。そのものはまた、眼を飽和ガーゼを用いて静かに拭くことによって、眼を洗浄するのに使用し得る。該溶液はまた小さい眼用ウォッシャー中にそそぎこともでき、次いで該ウォッシャーを眼の上で反転し、眼瞼を数回、開きそして閉じる。
【0127】
本発明の生理学的にバランスのとれた酸性溶液は、眼の消毒または汚染除去の処置のために使用し得る。加えて、そのものは、新生児の眼の消毒における硝酸銀の代替物として使用し得る。
【0128】
本発明の溶液は、成人および小児の眼を洗浄するために使用し得る。例えば、様々なウイルス感染症、細菌もしくは真菌の感染症、または病原体を、本発明の溶液を用いて有効に処置することができる。本発明の溶液を用いて十分に処置することができる病原体の非限定的な例としては、クラミジアトラコーマ病原体、淋病、並びに他の細菌、真菌、およびウイルスの感染症を含む。本発明の組成物は、外科的な消毒の前および後に本質的に使用することができる。
【0129】
読者は、本発明の溶液が多数の異なる種類の創傷(例えば、糖尿病性潰瘍、壊疽、静脈内潰瘍、褥瘡性潰瘍、圧迫潰瘍、噛みつきに起因する創傷、急性外傷性創傷、外科的な創傷、および火傷を含むが、これらに限定されない)の処置における使用方法を有することを知るであろう。本発明の組成物はまた、灌注溶液(例えば、歯、歯周、および眼の処置の間)としても有用である。本発明の組成物はまた、組織部位の手術の前および後の洗浄に、並びに口内炎の処置のための含嗽用液としても、使用し得る。
【0130】
(皮膚消毒用の溶液の使用方法)
本発明の溶液はまた、感染している皮膚を処置するのにも使用し得る。感染症の医学的な徴候を示している患者の皮膚において、本発明の溶液は、感染している皮膚の領域に直接に適用し得る。当該分野において知られる適用の標準的な方法を用いる、該患部の皮膚上への該溶液の少なくとも1回の適用後には、該溶液の消毒性の性質に注目することができる。
【0131】
(肺感染症における病原体の減少)
本発明の溶液は、肺感染症における病原体の減少のために使用し得る。例えば、様々なウイルスまたは細菌および真菌の感染症が、本発明の溶液を用いて有効に処置し得る。本発明の溶液を用いて有効に処置し得る非限定的な感染症の例は、肺中に存在する炭疽菌の胞子、および肺中の肺炎の原因となる細菌(例えば、ストレップ(strep)細菌などを含む)の減少を含む。
【0132】
(産婦人科における本発明の使用方法)
本発明の組成物は、婦人科の感染症(例えば、泌尿器感染症など)の処置のために使用し得る。例えば、様々な微生物、酵母菌(例えば、モニリア症、カンジダアルビカンスなど)、細菌感染症、HSV−2、HIV、または他の病原体は、本発明の溶液を用いて有効に処置し得る。場合により、本発明の溶液の適用は、婦人科の感染症の処置のための他の薬物療法と一緒に使用し得る。例えば、性病と予想される妊娠中の女性患者における産道の洗浄液としての使用、および潜在的には、病院の分娩室内での誕生後の赤ん坊の表面(right)における入浴および洗浄の溶液としての使用、または透析室内でのカテーテルおよびシャントの消毒剤としての使用。
【0133】
(局所的な感染症の処置としての使用方法)
本発明の化合物は、それらを局所的な感染症において使用するためのクリーム剤、軟膏剤、またはローション剤中に含有させることによって、該疾患を処置するために使用し得る。該クリーム剤、軟膏剤、またはローション剤は、広範囲な皮膚疾患に使用し得て、そして本発明の化合物の抗微生物性活性を皮膚の外側(表皮)の真下に存在する微生物にまで運搬するために、浸透エンハンサーを含有し得る。
【0134】
(外科手術部位の感染症を予防するための使用方法)
本発明の等張性溶液は、外科手術部位の感染症の発症(これは、しばしば長期の入院、時には死亡を生じる)を予防するために、外科手術の間に灌注液として使用し得る。生理食塩水の代わりの本発明の溶液の使用は、特に、感染症の割合が10%程と高いこともあり得る胃の外科手術および長期間の手術の場合に、該感染症の危険を実質的に低下し得る。
【0135】
(医学的なデバイスおよび外科手術の道具の消毒のための使用方法)
本発明の溶液は、医学的なデバイスおよび外科手術の道具の表面上の病原体を減少して、該道具およびデバイスを使用するかまたはそれらをインプラントされる患者の感染症を予防するのに使用し得る。該溶液はまた、カテーテルおよびシャントのエントリーポート上で起こる感染症(これは、該感染症に特に起こり易い)の減少または排除のためにも使用し得る。
【0136】
(表面の消毒のための使用方法)
本発明の溶液は、室内の表面、ビヒクルの内部、または他のそれら大きく制限された空間に、直接的に、または霧を作るデバイス(エアゾール適用)からの運搬によって適用して、存在すると予想され得る感染性病原体を減少しまたは排除し得る。それらの適用の場合には、そのものは、感染性病原体が検出された手術室、部屋、ビヒクル、および生物戦薬剤が撒布された他の表面を除染するのに使用し得る。
【0137】
(食物の安全性を改善するための使用方法)
本発明の溶液は、食物(例えば、肉、果物、および野菜を含むが、これらに限定されない)上の病原体を減少するのに使用し得る。該溶液は食物への洗浄液または霧として適用し得て、あるいは該食物を該溶液中に液浸し得る。タウリンは該適用方法の主な残留物であり、そしてタウリンはヒトの食物において安全であると考えられている必須栄養素である。
【0138】
本発明の溶液はまた、それら表面および道具から食物への病原体の移動を防止するために、食物の製造において使用される表面および装置へも適用し得る。
【0139】
(抗微生物性保存剤としての使用方法)
本発明の化合物は、適当な量の該化合物を製造時の該溶液中に含有させることによって、微生物が、注射および注入での使用、並びに眼での使用を意図する溶液中で生存することができないことを確認するための手法として使用し得る。
【0140】
(抗微生物剤としての使用方法)
本発明の溶液は、外科医および看護士の手を安全に且つすばやく消毒して、手術中に感染性病原体を運ぶという危険を低下する手法として使用し得る。加えて、本発明の溶液は、外科的な切開の領域における患者の皮膚(手術の前および後)から感染性病原体を排除するのに使用し得る。
【0141】
(創傷治癒の方法)
長期間の非治癒性創傷を患っている患者は、本発明の酸性組成物を用いて、1日基準で、典型的には1日に約1または2回処置する。
【0142】
本発明の溶液は、以下の通り使用し得る:ガーゼ物質またはガーゼパッドを、そのものを飽和とするために十分な量の溶液を用いて予め浸漬し、次いでそのものを圧迫して、過剰な量の溶液を除去する。このことにより、本発明の溶液と反応しそしてその有効性を低下するであろうガーゼ中に存在する種を除去する。この操作の後に、該ガーゼを浸潤するが、浸漬はしない。次いで、更なる溶液を適用して該ガーゼを完全に湿潤し、次いでこのものを該創傷に直ぐに適用する。別法においては、該ガーゼを該創傷に適用して、次いで更なる溶液を適用する。典型的には、該創傷部位を該溶液に浸漬したガーゼを用いて詰め、そして場合によりワセリンガーゼを該詰めた創傷の頂部に適用して、そのものが湿性を保ちそして混入する微生物がないようにすることができる。次いで、該創傷部位を、当該分野において標準である創傷包帯を用いて包む。該溶液はまた、そのものを創傷部位上に直接にそそぐことによって創傷を洗浄して、機械的な方法によるいずれかの壊死性組織を除去するのに使用し得て、そしてまたクレンザーまたは灌注液としても使用し得る。
【0143】
該患者はまた、「創傷治癒キット」(NovaCal社によって供される)の使用を可能とし得る。このものは、包帯を除去する必要なしに、本発明の溶液を創傷部位上に周期的にそそぐことが可能である。このキットは、使用の簡便さ、携帯可能性を供し、そして該創傷の再感染への/再感染からの曝露を著しく低下する。該創傷治癒キットは、本発明の溶液および絆創膏物質を含有するパッケージを含む。該キットは、本発明の溶液、および該溶液と組み合わせて使用するための特殊化した絆創膏を含有するパッケージを含む。該特殊化した絆創膏は、該創傷を処置する間、該創傷の周囲の皮膚を乾燥したままに保つ。更に、患者はコンティニュイング・ケア・アト・ホーム(continuing care at home)を受けながら、該絆創膏を医院または病院内で適用し得て;医師の指示の下、家で適用しそして使用し得て;あるいは、小さい損傷の場合には、該創傷ケアキットを患者単独による「一般用(over the counter)」処置として使用し得る。
【0144】
(特定の用途のためのパッケージング)
本発明の別の態様において、本発明の溶液は、個々の1回使用容器中に該溶液を含むようにパッケージングし得る。該1回使用容器は、例えば包帯の1回の交換における適用またはその等価物のために使用し得る。本発明の該1回使用容器は、通常使用する絆創膏と組み合わせて使用し得る。本発明の別の態様において、創傷治癒キットは、本発明の溶液の1回使用容器を、様々な使用方法のために特殊化された絆創膏と一緒に含み得る。
【0145】
本発明の別の態様において、本発明の溶液は、第3の混合用チャンバーがあるなしの、以下の図式:
【化3】

において示す、デュアルチャンバー装置またはパッケージングを使用することによって、インシチュで製造し得る。
【0146】
該デュアルチャンバーは、2個のシリンジまたはポーチから構成し得る。pH 3.5で濃度が3.2mMを有するNNDCT溶液を製造するために、例えば、チャンバーAを12.8mM NaOCl溶液で充填し、チャンバーBは酸性化した1.8% 生理食塩水中に溶解した3.3mM タウリンで充填する。チャンバーB中の該溶液の酸性は1M HClを用いて調節し、その結果、該2個のチャンバー中の該溶液を、通常の運搬用チューブまたは混合用チャンバーCのいずれかの中で混合し、該反応は所望するNNDCT濃度およびpH値を与える。タウリンが酸性溶液中で安定であって、そしてNaOClが室温で安定であるという理由で、上記のオン−サイト(on-site)製造方法の使用により、NNDCT溶液の安定性の問題を回避することができる。
【0147】
(本発明の態様)
本発明の1態様において、式(I):
A−C(R)R(CH)−C(YZ)−X'
[式中、Aは、水素、HalNH−、またはHalN−であり;Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであるが、クロロ、ブロモ、およびヨードが好ましく;Rは、炭素炭素の単結合、または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレン基であり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、水素または低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜13の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、−NH、−NHHal、または−NHalであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、X'は、水素、−COOH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、または−B(OH)であり;但し、Rが二価のシクロアルキレン基であり、nが0または11以上の整数である場合には、該二価の基Rまたは二価の基−(CH)−は、場合により−NHHalまたは−NHalで置換される]で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基X'が結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);およびハロゲン化化合物、を含有する医薬組成物を提供する。
【0148】
別の態様において、Rは低級アルキルである。別の態様において、Rは炭素炭素の単結合であり、nは0または1〜7の整数である。更に別の態様において、nは0または1〜5の整数である。上記態様の1変形において、nは0または1〜3の整数である。
【0149】
別の態様において、N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸は1または2個の−NHHal基または−NHal基を含むか、あるいはN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸は1個の−NHHal基または−NHal基を含む、医薬組成物を提供する。上記態様の1変形において、−NHHal基または−NHal基はX'基に対してアルファ−、ベータ−、またはガンマ−位に存在する。別の態様において、Aは−NHHalまたは−NHalである。更に別の態様において、−NHHal基または−NHal基は二価の基Rまたは−(CH)−と結合する。上記の別の態様において、Halはクロロである。
【0150】
本発明の1態様において、誘導体は医薬的に許容し得る塩である。
【0151】
別の態様において、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を0.01mM〜1Mまたは0.1〜100mMの間の濃度で有し、そしてpHの範囲を約3〜約4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5で有する、医薬組成物を提供する。
【0152】
本発明の別の態様において、式(II):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、HalN−基は、HalHN−基で置き代えられ[式(IIA)];Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、水素または低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);ハロゲン化化合物;および、医薬的に許容し得る担体を含有する、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性を有する組成物であって、該組成物は、N,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を0.01mM〜1Mまたは0.1〜100mMの間の濃度で有し、そしてpHの範囲を約3〜約4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5で有する、該医薬組成物を提供する。
【0153】
更に別の態様において、式(II):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、HalN−基は、HalHN−基で置き代えられ[式(IIA)];Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、水素または低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);ハロゲン化化合物;および、医薬的に許容し得る担体を含有する、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性を有する安定化組成物であって、該組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を0.01mM〜1Mまたは0.1〜50mMの間の濃度で有し、そしてpHの範囲を約2〜約7、3〜6、3〜4.8、3〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5で有する、該医薬組成物を提供する。
【0154】
上記の1態様において、組成物は、殺菌剤、抗菌剤、抗感染剤、抗微生物剤、殺胞子剤、消毒剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤にとって必要とされる長期間の安定性を保証する容器中にある。
【0155】
更に別の態様において、式(II):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、HalN−基は、HalHN−基で置き代えられ[式(IIA)];Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、水素または低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);ハロゲン化化合物;および、医薬的に許容し得る担体を含有する医薬組成物であって、該組成物は、pHの範囲を約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5で有し、そして、該組成物は、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性を有する、該医薬組成物を提供する。1変形において、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度は、0.01mM〜約1M、または0.1〜100mMの間を有し、0.3〜50mMの間が好ましい。別の態様において、組成物は安定化した形態である。更に別の態様において、組成物は、殺菌、抗菌、抗感染、抗微生物、殺胞子、消毒、抗真菌、または抗ウイルスの使用によって必要とされる長期間の安定性を保証する容器中で保存する。
【0156】
本発明の1態様において、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の使用のための医薬の製造における、式(II):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、HalN−基は、HalHN−基で置き代えられ[式(IIA)];Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、水素または低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);ハロゲン化化合物;および、医薬的に許容し得る担体を含有する組成物であって、該組成物は、pHの範囲を約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5を有する該医薬組成物を提供する。
【0157】
別の変形において、組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度が、0.01mM〜約1M、0.1〜100mM、または0.3〜50mMの間を有する。別の変形において、医薬は、殺菌、抗菌、抗感染、抗微生物、殺胞子、消毒、抗真菌、または抗ウイルスの使用によって必要とされる長期間の安定性を保証する容器中にある。
【0158】
1変形において、哺乳動物における、細菌、微生物、胞子、真菌、またはウイルスの活性が原因である感染症を予防しまたは治療する方法であって、該方法は、式(II):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、HalN−基は、HalHN−基で置き代えられ[式(IIA)];Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、水素または低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である)の殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の量;ハロゲン化化合物の殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の量;並びに、医薬的に許容し得る担体、を投与することを含む、該方法を提供する。別の変形において、組成物は、pHの範囲が約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5である。別の態様において、組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度を0.1〜100mMまたは0.3〜50mMの間で有する。本発明の更に別の態様において、組成物は安定化した形態である。
【0159】
本発明の別の態様において、組成物は、殺菌、抗菌、抗感染、抗微生物、殺胞子、消毒、抗真菌、または抗ウイルスの使用によって必要とされる長期間の安定性を保証する容器中にある。1態様において、組成物は、等張性でありそして生理学的にバランスがとれている。
【0160】
別の態様において、組成物は、1時間での大腸菌についてのその最小殺菌濃度に対する、1時間でのL929マウス肺上皮細胞および原発性ヒト線維芽細胞の両方についてのそのIC50の比率によって定義される治療係数を、約1,000〜約5,000で有する。
【0161】
1態様において、式(IV):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (IV)
[式中、Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);およびハロゲン化化合物、を含有する、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、消毒性、抗真菌性、殺胞子性、および抗ウイルス性の活性を有する組成物を提供する。式(IV)の1変形において、HalN−基は、HalHN−基で置き代えられる。1変形において、Rは、水素または低級アルキルであり;nは、0、1または2であり;Yは、水素または低級アルキルであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−SOHまたは−SONHである該アミノ酸またはその誘導体であって、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩または低級アルカノールとのエステルからなる群から選ばれる。上記の別の態様において、該組成物は医薬的に許容し得る担体を含む。
【0162】
上記組成物の1態様において、pHの範囲は、約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5である。上記の別の態様において、組成物は等張性であって、そして生理学的にバランスがとれている。
【0163】
本発明の1態様において、N,N−ジハロアミノ酸は、N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン;N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン;N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン;N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン;N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N,N−ジヨードタウリン;N−ヨードタウリン;N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン;N−クロロ−2−メチルタウリン;N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β-アラニン;N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β-アラニン;N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;N,N−ジクロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;N−クロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;N−クロロアミノトリメチレンホスホン酸;N,N−ジブロモ2−アミノ−5−ホスホノパンタン酸;N−ブロモ2−アミノ−5−ホスホノ−ペンタン酸;N,N−ジクロロアミノエチルホスホン酸ジエステル(例えば、ジエチルエステル);N−クロロアミノエチルホスホン酸ジエステル(例えば、ジエチルエステル);N,N−ジクロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸;N−クロロ1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸;N,N−ジクロロ1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸;N−クロロ1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸;N,N−ジクロロ1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸;N−クロロ−1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸;N,N−ジクロロロイシンホスホン酸;N−クロロロイシンホスホン酸;N,N−ジクロロ4−アミノ−4−ホスホノ−酪酸;N−クロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;(±)N,N−ジクロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;(±)N−クロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;N,N−ジクロロ(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;N−クロロ(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;N,N−ジクロロd,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;N−クロロd,l−2−アミノ−3−ホスホノ−プロピオン酸;N,N−ジクロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;N−クロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;N,N−ジクロロロイシンボロン酸;N−クロロロイシンボロン酸;N,N−ジクロロ−β−アラニンボロン酸;および、N−クロロ−β−アラニンボロン酸;並びに、それらの誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、および低級アルカノールとのエステルからなる群から選ばれる)からなる群から選ばれる要素である。
【0164】
本発明の更に別の態様において、細菌、微生物、胞子、真菌もしくはウイルスの増殖、または感染症および感染源の繁殖を制御しまたは防止する方法であって、該方法は、有効な量の本発明の組成物を増殖または繁殖の該制御または防止に必要な領域、空間または物質へ適用することを含む、該方法を提供する。1変形において、組成物のpHは、約2〜約7、3.0〜6.8、3〜6、3〜5の間、または約3.5である。
【0165】
上記方法の1態様において、N,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体はインシチュで製造する。上記方法の1変形において、処置する物質は、食物、動物の餌、外科的な装置、外科的な設備、医学的なデバイス、およびそれらの目的に使用する設備からなるクラスから選ばれる。
【0166】
1態様において、本発明は、式(IV):
HalN−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (IV)
[式中、Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;Rは、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、Rは、低級アルキルであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;nは、0または1〜3の整数であり;Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]で示されるN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);および、ハロゲン化化合物を提供する。
【0167】
N,N−ジハロアミノ酸の1変形において、Rは、水素または低級アルキルであり;nは、0、1、または2であり;Yは、水素または低級アルキルであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−SOHまたは−SONHである、該アミノ酸またはその誘導体であって、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、および低級アルカノールとのエステルからなる群から選ばれる。
【0168】
別の1変形において、YおよびZは水素であり;Xは−SOHである、該アミノ酸または該誘導体であって、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩からなる群から選ばれる。
【0169】
本発明の1態様において、該組成物は、N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン;N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン;N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン;N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン;N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸、またはその医薬的に許容し得る塩からなる群から選ばれる。
【0170】
N,N−ジハロアミノ酸の1変形において、Halはクロロである該アミノ酸、またはその医薬的に許容し得る塩である。
【0171】
別の態様において、本発明のN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を含有する医薬組成物を提供する。
【0172】
更に別の態様において、哺乳動物における細菌、微生物、胞子、真菌、またはウイルスの活性を原因とする感染症の予防または治療方法であって、該方法は、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の量の本発明のN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸を投与することを含む。
【0173】
別の変形において、本発明は、細菌、微生物、胞子、真菌もしくはウイルスの増殖、または感染症および感染源の繁殖を制御しまたは予防するための方法であって、該方法は、有効な量の本発明のN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸を、該増殖または繁殖の制御または防止に必要な領域、空間または物質へ適用することを含む該方法を提供する。
【0174】
1変形において、該組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度を、0.01mM〜1M、0.1〜100mM、または0.3〜50mMの間で有し、そして、pHの範囲を、約3〜約4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5で有する。
【0175】
別の態様において、該組成物は安定化した形態であって、該組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度を0.1〜100mMまたは0.1〜50mMの間を有し、そして、pHの範囲を、約2〜約7、3〜6、3〜4.8、3〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5で有する。該pHは、当該分野の当業者にとってよく知られる適当な緩衝液系を用いて調節することができる。1変形において、該組成物は、殺菌、抗菌、抗感染、抗微生物、殺胞子、消毒、抗真菌、または抗ウイルスの使用によって必要とされる長期間の安定性を保証する容器中にある。
【0176】
本発明の1態様において、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性な組成物の製造における、本発明のN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸をハロゲン化化合物と組み合わせた使用を提供する。別の態様において、次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物を含有する、上記の組成物を提供する。上記の1変形において、該組成物は酸性である。
【0177】
上記の方法の変形において、該方法は更に、次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物の使用を含む。上記の方法の1変形において、該投与する組成物は酸性である。
【0178】
様々な方法を、本発明の化合物を製造するために開発することができる。これらの化合物を製造するための代表的な方法を実施例に提示する。しかしながら、本発明の化合物はまた、他の合成経路(例えば、有機化学の分野においてよく知られる合成経路)によっても製造することができる。本発明の化合物のいくつかはキラル中心を有する。本発明の化合物の製造により、異なる立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の混合物の製造を与え得る。特定の立体化学が具体的に示されない限り、化合物についての記載は、異なる可能な立体異性体の全てを包含することを意図する。本発明の化合物はまた、該化合物の有利塩基形態を医薬的に許容し得る無機または有機の酸と反応させることによって、医薬的に許容し得る酸付加塩として製造することもできる。該塩基付加塩はまた、該酸を医薬的に許容し得る無機または有機の塩基と反応させることによって製造することもできる。
【実施例】
【0179】
(実施例1)
(製造方法)
試薬:全ての溶液は、脱イオン水またはミリポア(Millipore)水を用いて製造した。NaOCl(6%)溶液は、VWR社から購入した。タウリンは、シグマ社から購入した。NaClおよびHClは、試薬−グレードとした。
【0180】
(N,N−ジクロロタウリン(NNDCT)の製造およびキャラクタリゼーション)
この研究において、NNDCTは、タウリン粉末をHOCl溶液(pH 3.5)中に、HOCl/タウリンの比率を2で溶解することによって製造した。
【数8】

【0181】
pH3.5の0.9% NaCl中の1.6mM NNDCT溶液(1L)を調製するために、1000mLのメスフラスコ中に、NaCl(8.6g)を加え、次いでミリポア水(500mL)を該フラスコに加えて、該塩を溶解した。1M HCl(2mL)を該NaCl溶液中に加え、続いて0.158M NaOCl(22mL)を加えた。該溶液を混合した。次いで、タウリン(0.267g)を該フラスコに加え、そして該メスフラスコを、ミリポア水を用いてマークまで満たした。該溶液を5分間撹拌した。
【0182】
NNDCTは、300nmで最大吸光度を有し、モル吸光率は370M−1cm−1であった。OCl溶液(pH 9.5)を該タウリン溶液中に加えると、N−クロロタウリン(NCT)(ClHN−CH−CH−SO)が唯一の生成物であった。
【数9】

【0183】
NNDCTおよびNCTは、分光光度的に識別可能である。NCTは、252nmで最大吸光度を有する。NNDCTの収率は、300nmでのその吸光度から算出した。この製造方法により、収率91%のNNDCTを得た。ヨウ素滴定法により、I/NNDCTの比率は2を与えた。このことは、NNDCTがHOClの2酸化当量を保持していることを示唆する。NNDCT中の両方の塩素分子は、IをIに酸化することができた。NNDCTは溶液中で分解するが、そのものは低温でより安定であった。NNDCT溶液(pH 3.5)における安定性の研究は、3個の温度:4℃、室温、および40℃で行なった。該溶液は、アンプル中で封した。3個の温度でのNNDCTの安定性は、以下の順序であった:4℃>室温>40℃。4週間の間、冷蔵庫(4℃)中で保存する場合には、5.4%のNNDCTが損失した([NNDCT]初期=1.47mM)。
【0184】
N,N−ジクロロタウリンは、pHの範囲が1〜10で水に非常に可溶である。N,N−ジクロロタウリンは、UV分光学によって同定され、そして定量的に測定し得た。N,N−ジクロロタウリンは、300nmで最大UV吸光度を有し、モル分光率は370M−1cm−1であった。
【0185】
NNDCTは、揮発性ではなかった。0.9% 生理食塩水(pH 3.5)中の1.47mM溶液を、2個のガラスボトル中に満たした。一方のボトルは密に封し、そして他方は雑に封した。室温での4週間後に、2個のボトル中のNNDCTの濃度には差違はなかった。
【0186】
NNDCTの純粋な粉末形態の単離および不活性雰囲気下での保存は、NNDCTについてのより安定な供給源を供した。加えて、丸剤型式中でのNNDCTの固体マトリックスの再構築は、NNDCTの安定化を補助した。この丸剤製剤は、意図する医薬的な適用方法における使用の容易さを供する(コンタクトレンズの消毒、他の適用方法)一方で、分解を防止するために選ばれた。
【0187】
(実施例2)
(抗微生物性活性)
(殺菌性活性)
殺菌性活性を測定するために、我々は大腸菌(ATCC 11229)を使用した。細菌培養物を滅菌生理食塩水中で希釈して、接種菌液を調製した。様々な被験物品を、既に1.0×10〜2.0×10コロニー形成単位(CFU)/細菌のmLを含有する個々のチューブに移し、そして静かに渦巻くことによって混合し、次いで37℃で1または24時間インキュベートした。被験物品を防腐剤として使用する場合にはインビボで産生することができるという条件をできる限り模倣しようとする試みに際しては、ペトリ皿での細菌プレーティングを、中和剤を加えることなく、設計した曝露時の直後に行ない、そして別個に中和剤(コントロールとして)を加えた。従って、曝露時の1〜24時間後に、0.1mLを取り出し、そしてプレートした。プレートを37℃でインキュベートし、そして細菌の数を直接的なコロニー計数によって計数して、生存している細菌をCFU/mL単位で数えた。正の増殖コントロールは、滅菌0.9% 生理食塩水を用いて調製した。全ての被験物品を、3回試験した。該結果を表にして、様々なpHレベルでのHOCl、OCl、NNDCT、および0.9% 生理食塩水の抗微生物性の有効性の範囲の比較を示した。pH 3.5で、NNDCTは、60分間の場合では有効な抗微生物性の濃度の範囲は0.0149〜1.49mMの間を、24時間の場合では有効な抗微生物性の濃度の範囲は0.000149〜1.49mMの間を示し、一方で、HOClの場合の有効な抗微生物性の濃度は60分間の場合では0.016mMで、24時間の場合では0.0016mMで開始した。pH 3.5の場合には、NNDCTは、大腸菌に対してHOClより良いか、あるいは同程度に有効であった。
【0188】
これらの研究において初めて、我々は、様々な被験物品と比較して、N−クロロアミンの殺菌性および細胞毒性のプロファイルを実証した(平行して)。N−クロロタウリン(NCT)およびN,N−ジクロロタウリン(NNDCT)の両方を、上記の方法に従って、pHをコントロールしたNaClの0.9% 生理学的な濃度で製造した。これらの溶液は、それらの生物学的な活性を分析する前に、それらの物理化学的な性質について試験した。NCTおよびNNDCTの希釈溶液は無色であり、等張性であり、そして例外的に速い抗微生物性活性を示した。これらの酸化体の産生は、pH−依存性であると考えられる。NCTは、アルカリ性のpHで専ら生成し、一方で、NNDCTは酸性pH中で生成した。
【0189】
pH 5.0および3.5の本発明の溶液中のNNDCT、並びにpH 9.5のNCTを用いる比較の抗微生物性アッセイは、37℃で60分間の曝露時間内で、pH 5.0のNNDCTよりもpH 3.5のNNDCTの場合に約300倍以上の細菌(大腸菌)死滅の効力を、およびpH 9.5のNCTと比較してpH 3.5のNNDCTの場合に1000倍以上の死滅の効力を示した(表1)。
表1:製品のまとめ:
【表1】

MBCとは、最小殺菌濃度である。
【0190】
該抗微生物性の活性および死滅時間は、濃度依存であるだけでなく、またpHを低下することによって著しく増大した。NCTは、等濃度基準でNNDCTよりも1000倍の因子で抗微生物性が低い。
【0191】
(実施例3)
(細胞毒性アッセイ)
細胞毒性は、比色定量アッセイシステム(これは、Scudieroらによって最初に記載され、3'−(フェニルアミノ−カルボニル)−3,4−テトラゾリウム−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン酸水和物(XTT)を使用する)、プロチェック(ProCheck)(登録商標)細胞生存率アッセイ(これは、ヒトおよび他の腫瘍セルラインを用いる、培養物中の細胞増殖および薬物感受性についての可溶性テトラゾリウム/ホルマザンのアッセイの評価であり、Scudiero DA, Shoemaker RAH, Paul KD, Monks A, Tierney S, Nofziger TH, Currens MJ, Seniff D, Boyd MRによる, Cancer Res. 1988 Sep 1; 48(17): 4827-33によって記載)によって評価した。細胞生存率を測定するための同様な方法が、他の研究者によって使用されている。3個の細胞タイプを使用した:ダルベッコ変法イーグル培地、並びに対応する増殖因子および抗生物質を有するケラチノサイト限定(defined)培地中で培養した、マウス肺上皮細胞(L929)、原発性ヒト皮膚線維芽細胞、および原発性ヒトケラチノサイト細胞。細胞をトリプシン処理し、顕微鏡下で計数し、そして平底96ウェルプレートのウェル当たり1000〜2000個の細胞を播種した。細胞を37℃で終夜増殖した。翌日に、組織培地を除去し、そして細胞を新しい培地で1回ですすぎ、次いで組織培地(50μL)中に放置した。被験物品を2倍の希釈物として調製し、そして200μLを4−ウェルの各セット中に加えた(ウェル当たりの総量=250μL)。細胞を被験物品に室温で60分間、曝露した。該曝露時の直後に、各ウェルの被験物品を除去し、そして細胞を新しい培地(250μL)を用いて餌を与えた。プレートは、37℃で18〜20時間、インキュベートした。翌日、培地を再び取り出し、そして10/100μLのXTT−試薬を含有する新しい培地(100μL/ウェル)を用いて置き代えた。細胞を、着色の発生が得られるまで、増殖条件(5%CO、37℃での加湿したインキュベーター)下でインキュベートし、光から防止した。吸光度を、モレキュラー・デバイス・サーモマックス・プレートリーダー(Molecular Device ThermoMax Plate reader)を用いて、750nmを対照波長として450nmで読み取った(培地のみのアッセイブランクウェル上のプレートをブランクとする)。XTT試薬を与えた未処置の細胞だけが、正の細胞増殖コントロールとして機能した。
【0192】
細胞抑制濃度毒性係数(CCI50)を測定する(細胞の50%がなお生存する時点を測定する)場合に、NNDCTのCCI50は7mMであり、そしてHOClのCI50(IC50=0.8mM)、ベタジン(IC50=0.01mM)、またはOCl(IC50=0.66mM)の場合よりも、XTTアッセイにおいて原発性ヒト皮膚線維芽細胞の実質的により高い細胞生存率を示した。同様な結果は、マウス肺上皮細胞(L929)について行なったXTTアッセイにおいて達成された。ここで、NNDCTの場合に90%以上の生存率が7mMの濃度で観察され、それに対して濃度が0.6mMでのOClおよび濃度が0.02mMでのベタジンの場合には、50%よりも実質的に低い生存率を観察した。
【0193】
(細胞毒性および治療係数)
NNDCTは、米国薬局方標準細胞アッセイ(United States Pharmacopoeia's standard cell assay)(マウス肺上皮細胞、L929)、並びに原発性ヒト皮膚細胞を使用するインビトロでの安全性試験を厳密に行なった。我々は、NNDCTが、他の防腐性被験物品(HOCl、およびポビドン−ヨウ素)と比較して、両方の細胞タイプ:原発性ヒト線維芽細胞およびL929細胞において非常に低い細胞毒性を有することを発見した(以下を参照)。細胞毒性が大きな問題であるポビドンヨウ素と違って、NNDCTは非常に安全な毒性プロファイルを有して、細胞と適合し得ることを示した。実際には、該治療係数(TI)(これは、NNDCTの場合の最小殺菌濃度(MBC)に対する、アッセイ細胞によって許容される濃度の比率(インビトロ細胞毒性、またはIC50)として定義する)は、HOClおよびポビドン−ヨウ素の場合にそれぞれ約300および7であるのと比較して、約5,000であった(表2)。
表2.最小殺菌濃度(MBC)および治療係数データのまとめ
【表2】

大腸菌(ATCC11229)についての最小殺菌濃度(MBC);
治療係数;および、原発性ヒト皮膚線維芽細胞。
【0194】
特に、眼、慢性非治癒性創傷、および火傷の患者においてより安全な局所消毒剤としてのNNDCTの適用は、大きな利点であり得る。その理由は、大きな毒性の副作用を有する他の消毒剤の使用は、ヘルスケア当局(healthcare authorities)によって非常に反対されているためである。食物の安全性はまた大きな健康問題であるので、広範囲な消毒剤としてのNNDCTの適用は、食品会社にまで拡張し得る。
【0195】
(実施例4)
(2−アミノ−2−メチルプロパンスルホン酸の製造)
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(アルドリッチ社製、5.0g、1.0当量)をDCM(100mL)中に溶かし、BOC無水物(14.6g、67mmol、1.2当量)を0℃で数回にわけて加え、そして該混合物をrtで終夜撹拌した。該溶液を、氷浴を除かずに、終夜ゆっくりと昇温させた。溶媒を回転蒸発によって除去した。EtOAc(50mL)を加え、続いて水(50mL)を加えた。該有機層を分離し、そしてこのものを水およびブラインを用いて1回以上洗浄し、次いで乾燥し(NaSOを使用)、そして濃縮して粗生成物(12g)を得た。
【0196】
DCM(100mL)中の該BOC保護アミノアルコール(10.0g、52.5mmol、1.0当量)の溶液に、トリエチルアミン(TEA、11mL、7.5mmol、、1.5当量)を加えた。該反応混合物を0℃まで冷却し、そしてDCM(40mL)中のメタンスルホニルクロリド(4.4mL、58mmol、1.1当量)の溶液を滴下した。該混合物を室温まで昇温させ、そして30分間撹拌した。出発物質はTLCによって観察されなかった。水を加え、そしてDCMを分離した。該有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、およびブラインを用いて洗浄した。次いで、該有機層を乾燥し(MgSOを使用)、そして濃縮して粗生成物(12.6g)を得て、そしてこのものをフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、きれいな生成物(6.35g)を得た。
【0197】
上記から得た精製BOC−アミノスルホネート(6.35g、23.7mmol、1.0当量)を丸底(RB)フラスコに加え、そしてジオキサン中の4N HCl(30mL、118.5mmol、5当量)を加えた。室温で終夜撹拌後に、出発物質はtlcによって観察されなかった。溶媒を回転蒸発によって除去し、そしてDCM(10mL)を加え、次いで蒸発させた。該白色固体を真空下に30分間置き、そして更に精製することなく次の工程に使用した。
【0198】
亜硫酸ナトリウム(4.25g、33.7mmol、1.5当量)を水(33mL)中に溶解し(1M溶液)、このものを出発アミン塩酸塩中間体(4.6g、22.5mmol、1.0当量)に室温で加えた。終夜で撹拌後に、沈降物を集め、そしてこのものをメタノールで数回洗浄して白色固体(4.2g)を得た。この物質を水中に溶解し、そしてエタノールを加え、そして室温で6時間放置した。沈降物を集め、そして母液を蒸発させて白色固体(2.2g)を得て、このものを水洗して(2×5mL)、そして真空下で放置してナトリウム塩としての目的の純粋な生成物(1.2g)を得た。該目的の生成物を元素分析によって同定した。
【0199】
本発明のN−モノハロアミノ酸はまた、文献中に記載する通り製造することができる:X. L. Armesto, M. Canle L., M. V. Garcia、およびJ. A. Santaballaによる, Chemical Society Reviews, 1998, 27巻, 453; Juan M. Antelo, Florencio Arce, Paula Calvo, Juan CrugeirasおよびAna Riosによる, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 2000, (10), 2109-2114; J. M. Antelo; F. Arceによる, J. Crugeiras, M. Parajo Journal of Physical Organic Chemistry, 10巻, Issue 8, 頁631-636。
【0200】
(実施例5)
例えば、N,N−ジクロロ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸の製造方法を、以下に記載する。
工程1:1,1−ジメチルエタンスルホン酸の製造(Braghiroli, D.; Bella, M. D.による, Tetrahedron Letters, 1996, 37, 7319-7322)
【0201】
1,1−ジメチルエタンスルホン酸は、2−ヒドロキシイソブチロニトリル(アセトンシアノヒドリン)の1−アミノ−2−メチル−2−プロパノールへの還元、続く(Boc)Oを用いる保護によって製造した。メシル化および該保護基の除去後に、得られた塩酸塩を亜硫酸ナトリウムと反応して、1,1−ジメチルエタンスルホン酸を得た。
【0202】
工程2.1,1−ジメチルエタンスルホン酸のクロル化
0.9% NaCl溶液(pH 3.5)中の1.6mM N,N−ジクロロ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸(NNDC−DMESA)(1L)を製造するために、1000mLのメスフラスコ中にNaCl(8.6g)を加え、次いで該フラスコにミリポア水(500mL)を加えて、該塩を溶解した。該NaCl溶液中に1M HCl(2mL)を加え、続いて0.158M NaOCl(22mL)を加えた。該溶液を混合した。次いで、該フラスコ中に1,1−ジメチルエタンスルホン酸(0.355g)を加え、そして該メスフラスコをミリポア水を用いてマークまで満たした。該反応が完結するまで(これは、例えばUVまたはNMRによって示される)、該溶液を撹拌した。我々は、N,N−クロル化オルニチン、N,N−ジクロロホモタウリン、およびN,N−ジクロロアラニンを製造した。全てのこれらのジクロロ化合物は、非常に似たUVスペクトル(λ最大値=〜300nm)およびモル吸光率を有した。
【0203】
(ジクロロ−アミノ酸化合物の製造方法)
酸性HOCl溶液中に、定量のアミノ酸またはそれらの塩(粉末)を加えた(HOCl:アミノ酸のモル比=2:1)。次いで、該混合物の溶液を約15分間撹拌した。得られた溶液のpHは、出発HOCl溶液のpHよりも低かった。該生成物を同定し、そして該反応の完結をUV−可視(vis)分光光度計によって追跡した。該溶液のpHを、塩酸または水酸化ナトリウム溶液を用いて所望するpH値まで調節した。該溶液の濃度は、λ最大値での対応するモル吸光率を用いることによって、UV分光光度計を用いて測定した。より詳細な方法は、以下の実施例中に記載する。
【0204】
(実施例6)
(0.05M ジクロロホモタウリン溶液(1L)の製造)
工程1.0.1M HOCl(pH<5)(1L)を製造した。
工程2.工程1のHOCl溶液中にホモタウリンナトリウム(3−アミノ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、MW=161.13)(8.06g)を加えた。該溶液を約15分間撹拌した。
工程3.工程2の溶液の一部を取り出し、そして100倍希釈した。該生成物を同定するために、該希釈溶液のUVスペクトル(これは、303nmでλ最大値を有する)を測定した(添付する表を参照)。
工程4.工程2において得られる該溶液のpHを、NaOHまたはHClを用いて所望するpHにまで調節した。
工程5.ジクロロホモタウリンの濃度を測定するために、工程3の方法を繰り返した(モル吸光率は329.0M−1cm−1であり、添付する表を参照)。
表:N,N−ジクロロおよびN,N−ジブロモ−アミノ酸化合物のモル吸光率
【表3】

Gottardi, W.; Nagl, M.による, Arch. Pharm. Pharm. Med. Chem. 2002, 9, 411-421;
Thomas, E.; Bozeman, P.; Jefferson, M.; King, C.による, J. Bio. Chem. 1995, 7, 2906-2913;
本研究における測定値;
オルニチンに対する塩素化剤の4:1モル比を基準とする。
【0205】
(実施例7)
我々の発見の結果は、0.9% 生理食塩水(pH 3.5)中でのNNDCTの抗微生物性活性を支持する。これらの抗微生物性活性は、μM単位のレンジで考慮され得るべきであると測定され、そして濃度および曝露時間を増大することによって有意に増大した。それに対して、細胞毒性は、mM単位のレンジで1000倍以上の大きいレンジで観察された。我々は、NNDCT処置細胞が該処置に対して許容であり得て、そして我々のXTTアッセイにおいて未処置コントロール細胞と比較して、正常な細胞増殖周期を受けることができることを示した。
【0206】
(実施例8)
pH 3.0、3.5、4.0、および5.0で濃度が1.49mMを有するNNDCT溶液を製造した。該溶液のスペクトルおよび濃度は、UV−可視分光光度計を用いて測定した。該結果は、NNDCT溶液のスペクトルおよび濃度がpHの範囲が3.0〜5.0で変わらないことを示した。
【0207】
(製造法)
1000mL メスフラスコ中にNaCl(8.8g)、1.0M HCl(2mL)、およびタウリン(0.278g)を加え、続いて該フラスコ中に脱イオン水(約800mL)を加えた。該フラスコを振り混ぜて、NaClおよびタウリンの粉末を溶解した。次いで、0.15Mの該NaOCl溶液(22mL)を該フラスコ中に加えた。該フラスコを脱イオン水を用いてマークまで満たした。該溶液を磁気撹拌バーと一緒に5分間撹拌した。得られた溶液の濃度およびpHを、UV可視分光光度計および新たに較正したベックマン(Beckman)pHメータを用いて測定した。この溶液は、濃度が1.49mMおよびpH値が3.85であった。上記のNNDCT溶液(pH=3.85)(100mL)を250mL ビーカー中にピペットし、1.0M HCl溶液(0.09mL)をこの溶液に加え、そして撹拌した。この溶液の最終的なpHは、3.0であった。pH 3.85の溶液であるNNDCT(100mL)を250mL ビーカー中にピペットし、5.0M NaOH溶液(0.003mL)を該溶液中に加え、そして撹拌した。この溶液の最終的なpHは、4.85であった。
【0208】
pH値を変えた溶液を、pHの範囲が3〜5内で同様な方法で製造した。適当に保存する場合には、全ての溶液が安定性を示した(それらのUVスペクトルによって示される)。
【0209】
(該モノハロ−アミノ酸化合物の一般的な製造方法)
アミノ酸または該アミノ酸の塩(粉末)を、OX:アミノ酸のモル比率が1:1であるリン酸緩衝液(例えば、pH 7.4)中の塩基性OX(X=Cl、Br)溶液(pH>8)またはOX(X=Cl、Br)溶液に加えた。該混合物の溶液を約15分間撹拌した。該生成物を同定し、そして該反応の完結をUV−ビス分光計によって追跡した。該溶液のpHを塩酸または水酸化ナトリウム溶液を用いて、目的のpH値にまで調節した。該溶液の濃度を、λ最大値での対応するモル吸光度を用いることによって、UV分光計を用いて測定した。より詳細な方法は以下の実施例中に記載する。
【0210】
(実施例9)
(0.05Mモノクロロホモタウリン溶液(1L)の製造)
工程1:pH>8を有する0.05M NaOCl溶液(1L)を調製した。
工程2:工程1における該NaOCl溶液中に、ホモタウリンナトリウム(3−アミノ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、MW=161.13)(8.06g)を加えた。該溶液を約15分間撹拌した。
工程3:工程2の溶液のアリコートを採取し、そして100倍に希釈した。該生成物を同定するために、該希釈溶液のUVスペクトルを測定した(これは、252nmでのλ最大値を有する)(以下の表を参照)。
工程4:工程2で得られた溶液のpHを、NaOHまたはHClを用いて目的のpHにまで調節した。
工程5:工程3の操作を繰り返して、該モノクロロホモタウリンの濃度を測定した(モル吸光度は368M−1cm−1である、以下の表を参照)。
表:モノクロロ−アミノ酸化合物のモル吸光度
【表4】

Thomas EL.; Grisham MB, Jefferson MM.による, Meth. Enzymol. 1986, 132, 669-71。
本研究における測定値。
【0211】
上記の方法に従ってそして適当なアミノ酸出発物質を選択することにより、以下のN−ハロアミノ酸を製造することができる:N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン、N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリンなど。(段落[0054]における、非排他的で代表的な化合物のリストを参照)。
【0212】
(実施例10)
(等張性の次亜塩素酸およびN,N−ジクロロ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸の1:1混合物の相乗的な抗ウイルス効果)
等量のヒトアデノウイルスタイプ5(Ad5、McEwen菌株)を、以下の3個の試料の各々と混合した。該混合物を37℃で1時間インキュベートし、次いでこのものを組織培地(失活2%ウシ胎児血清を含有する、ダルベッコ改変イーグル培地[DMEM])中で希釈した。次いで、該混合物を上記と同じ希釈液を用いて10倍段階希釈で希釈した。各希釈混合物(0.1mL)を、12ウェルプレート(セルソース社製、ATTC)中で増殖させたA549細胞単層上に播種させ、そして1時間吸着させた。該接種物を除き、そして該単層を希釈剤を用いてすすぎ、そしてアガロース/DMEMを表面を覆うように適用した。該プレートを、5%CO雰囲気下、37℃で6日間インキュベートした。次いで、該単層を固定化させ、染色し、そして該プラークをカウントした。
【表5】

略号:NNDCDMES:N,N−ジクロロ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸、
DESTR:破壊された単層;
TNTC:カウントするのには非常に莫大な量のプラーク。
【0213】
試料3についての結果は、希釈後に、N,N−ジクロロ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸および次亜塩素酸の1:1等張性混合物が、次亜塩素酸(試料2)またはN,N−ジクロロ−1,1−ジメチルエタンスルホン酸(試料1)の単独の場合の抗ウイルス効果と比較して、アデノウイルスに対する相乗的な抗ウイルス効果を有することを示す。
【0214】
(実施例11)
(創傷治癒のための溶液)
HOCl(2mM);
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン(20mM);
NaCl(0.9%);
水(100mL)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I):
A−C(R)R(CH)−C(YZ)−X'
[式中、
Aは、水素、HalNH−、またはHalN−であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
Rは、炭素炭素の単結合、または3〜6個の炭素原子を有する二価のシクロアルキレン基であり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、水素または低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜13の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、−NH、−NHHal、または−NHalであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
'は、水素、−COOH、−CONH、−SOH、−SONH、−P(=O)(OH)、または−B(OH)であり;
但し、
Rが二価のシクロアルキレン基であり、nが0または11以上の整数である場合には、該二価の基Rまたは二価の基−(CH)−は、場合により−NHHalまたは−NHalで置換される]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基X'が結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);および、
(b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物、
を含有する、医薬組成物。
【請求項2】
は低級アルキルである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
Rは炭素炭素の単結合であり、nは0または1〜7の整数である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
nは0または1〜5の整数である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
nは0または1〜3の整数である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸は1または2個の−NHHal基または−NHal基を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸は1個の−NHHal基または−NHal基を含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
−NHHal基または−NHal基はX'基に対してアルファ−、ベータ−、またはガンマ−位に存在する、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
Aは−NHHalまたは−NHalである、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項10】
−NHHal基または−NHal基は二価の基Rまたは−(CH)−と結合する、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項11】
Halはクロロであって、そして次亜ハロゲン酸は次亜塩素酸である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
誘導体は医薬的に許容し得る塩であって、そして該次亜ハロゲン酸は塩の形態で存在する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を0.01mM〜1Mまたは0.1〜100mMの間の濃度で有し、そしてpHの範囲は約2〜約7、約3〜約4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項14】
(a)式(II):
−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、
は、−NHHal基または−NHal基であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、水素または低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜3の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);および、
(b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物;
(c)医薬的に許容し得る担体、
を含有する、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性を有する組成物であって、
該組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を0.01mM〜1Mまたは0.1〜100mMの間の濃度で有し、そしてpHの範囲は約2〜約7、約3〜約4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5である、該医薬組成物。
【請求項15】
(a)式(II):
−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、
は、−NHHal基または−NHal基であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、水素または低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜3の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);および、医薬的に許容し得る担体;
(b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物、
を含有する、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性を有する安定化組成物であって、
該組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体を0.01mM〜1Mまたは0.1〜50mMの間の濃度で有し、そしてpHの範囲は約2〜約7、約3〜約6、3〜4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5である、該医薬組成物。
【請求項16】
組成物は、殺菌剤、抗菌剤、抗感染剤、抗微生物剤、殺胞子剤、消毒剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤としてのその使用にとって十分な長期間の安定性および有効期間を保証する容器中で保存する、請求項14記載の組成物。
【請求項17】
(a)式(II):
−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、
は、−NHHal基または−NHal基であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、水素または低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜3の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);(b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物;および、(c)医薬的に許容し得る担体、
を含有する医薬組成物であって、
該組成物は、pHの範囲が約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5であり、そして、
該組成物は、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性を有する、
該医薬組成物。
【請求項18】
N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度は、0.01mM〜約1M、または0.1〜100mMの間を有する、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
安定化した形態である、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
組成物は、殺菌剤、抗菌剤、抗感染剤、抗微生物剤、殺胞子剤、消毒剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤としてのその使用にとって十分な長期間の安定性および有効期間を保証する容器中で保存する、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
(a)式(II):
−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、
は、−NHHal基または−NHal基であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、水素または低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜3の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物;および、(c)医薬的に許容し得る担体、
を含有する組成物の、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の使用のための医薬の製造における使用であって、
該組成物は、pHの範囲が約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5である、該使用。
【請求項22】
組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度が、0.01mM〜約1M、0.1〜100mM、または0.3〜50mMの間を有する、請求項21記載の使用。
【請求項23】
医薬は、殺菌剤、抗菌剤、抗感染剤、抗微生物剤、殺胞子剤、消毒剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤としてのその使用にとって十分な長期間の安定性および有効期間を保証する容器中で保存する、請求項21記載の使用。
【請求項24】
哺乳動物における、細菌、微生物、胞子、真菌、またはウイルスの活性が原因である感染症を予防しまたは治療する方法であって、
該方法は、(a)式(II):
−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (II)
[式中、
は、−NHHal基または−NHal基であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、水素または低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜3の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である)の殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の量;(b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物の殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の量;並びに、(c)医薬的に許容し得る担体、を投与することを含む、該方法。
【請求項25】
組成物は、pHの範囲が約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度は、0.01mM〜1M、0.1〜100mM、または0.3〜50mMの間を有する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
組成物は安定化した形態である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
組成物は、殺菌剤、抗菌剤、抗感染剤、抗微生物剤、殺胞子剤、消毒剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤としてのその使用にとって十分な長期間の安定性および有効期間を保証する容器中で保存する、請求項24記載の方法。
【請求項29】
等張性でありそして生理学的にバランスがとれている、請求項14記載の組成物。
【請求項30】
(a)式(IV):
−C(R)−(CH)−C(YZ)−X (IV)
[式中、
は、−NHHal基または−NHal基であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜3の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);および、(b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物、を含有する、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、消毒性、抗真菌性、殺胞子性、および抗ウイルス性の活性を有する組成物。
【請求項31】
は、水素または低級アルキルであり;nは、0、1または2であり;Yは、水素または低級アルキルであり;Zは、水素または低級アルキルであり;そして、Xは、−SOHまたは−SONHである、請求項30記載の組成物あるいはその誘導体であって、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、および低級アルカノールとのエステルからなる群から選ばれる、該組成物。
【請求項32】
YおよびZが水素である場合には、Xが−SOHである、請求項31記載の組成物またはその誘導体であって、該誘導体は医薬的に許容し得る塩からなる群から選ばれる、該組成物。
【請求項33】
組成物は医薬的に許容し得る担体を含む、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
pHの範囲が、約2〜約7、3〜6、3〜5の間、または約3.5である、請求項30記載の組成物。
【請求項35】
組成物は等張性であってそして生理学的にバランスがとれている、請求項30記載の組成物。
【請求項36】
N−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸は、N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン;N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン;N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン;N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン;N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;N,N−ジヨードタウリン;N−ヨードタウリン;N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン;N−クロロ−2−メチルタウリン;N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β-アラニン;N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β-アラニン;N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;N,N−ジクロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;N−クロロ−2−メチル−2−アミノ−エタンスルホン酸;N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;N−クロロアミノトリメチレンホスホン酸;N,N−ジブロモ2−アミノ−5−ホスホノパンタン酸;N−ブロモ2−アミノ−5−ホスホノ−ペンタン酸;N,N−ジクロロアミノエチルホスホン酸ジエステル;N−クロロアミノエチルホスホン酸ジエステル;N,N−ジクロロ−1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸;N−クロロ1−アミノ−1−メチルエタンホスホン酸;N,N−ジクロロ1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸;N−クロロ1−アミノ−2−メチルエタンホスホン酸;N,N−ジクロロ1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸;N−クロロ−1−アミノ−2−メチルプロパンホスホン酸;N,N−ジクロロロイシンホスホン酸;N−クロロロイシンホスホン酸;N,N−ジクロロ4−アミノ−4−ホスホノ−酪酸;N−クロロ−4−アミノ−4−ホスホノ酪酸;(±)N,N−ジクロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;(±)N−クロロ−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;N,N−ジクロロ(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;N−クロロ(+)2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸;N,N−ジクロロd,l−2−アミノ−3−ホスホノプロピオン酸;N−クロロd,l−2−アミノ−3−ホスホノ−プロピオン酸;N,N−ジクロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;N−クロロ−2−アミノ−8−ホスホノオクタン酸;N,N−ジクロロロイシンボロン酸;N−クロロロイシンボロン酸;N,N−ジクロロ−β−アラニンボロン酸;および、N−クロロ−β−アラニンボロン酸;並びに、それらの医薬的に許容し得る塩、およびエステルからなる群から選ばれる要素である、請求項30記載の組成物。
【請求項37】
細菌、微生物、胞子、真菌もしくはウイルスの増殖、または感染症および感染源の繁殖を制御しまたは防止する方法であって、
該方法は、有効な量の請求項1記載の組成物を増殖または繁殖の該制御または防止に必要な領域、空間または物質へ適用することを含む、該方法。
【請求項38】
組成物のpHは、約2〜約7、3.0〜6.8、3〜6、3〜5の間、または約3.5である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体はインシチュで製造する、請求項24記載の方法。
【請求項40】
N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体はインシチュで製造する、請求項37記載の方法。
【請求項41】
処置する物質は、食物、動物の餌、外科的な装置、外科的な設備、医学的なデバイス、およびそれらの目的に使用する設備からなるクラスから選ばれる、請求項37記載の方法。
【請求項42】
(a)式(IV):
−C(R)−(CH)−C(YZ)−X
[式中、
は、−NHHal基または−NHal基であり;
Halは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードからなる群から選ばれるハロゲンであり;
は、水素、低級アルキル、または−COOH基であって、
は、低級アルキルであるか;あるいは、
およびRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成し;
nは、0または1〜3の整数であり;
Yは、水素、低級アルキル、または−NHであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−COOH、−CONH、−SOH、または−SONHである]
で示されるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体
(ここで、該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、低級アルカノールとのエステル、または置換基Xが結合する炭素原子と結合する−NH基の低級アルカノイル誘導体である);および、(b)次亜ハロゲン酸またはその塩からなる群から選ばれるハロゲン化化合物、を含有する、医薬組成物。
【請求項43】
は、水素または低級アルキルであり;
nは、0、1、または2であり;
Yは、水素または低級アルキルであり;
Zは、水素または低級アルキルであり;そして、
Xは、−SOHまたは−SONHである、
N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体であって、
該誘導体は、医薬的に許容し得る塩、および低級アルカノールとのエステルからなる群から選ばれる、
請求項42記載の医薬組成物。
【請求項44】
YおよびZは水素であり;
Xは−SOHである、
N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸であって、
該誘導体は、医薬的に許容し得る塩からなる群から選ばれる、
請求項43記載の医薬組成物。
【請求項45】
N−クロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N−ジクロロ−2,2−ジメチルタウリン;
N−クロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジクロロ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−ブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−2,2−ジメチルタウリン;
N−ブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N,N−ジブロモ−1,1,2,2−テトラメチルタウリン;
N−クロロ−2−メチルタウリン;
N,N−ジクロロ−2−メチルタウリン;
N−クロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン;
N,N−ジクロロ−2,2,3,3−テトラメチル−β−アラニン;
N−クロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N,N−ジクロロ−3,3−ジメチルホモタウリン;
N−クロロ−1−メチル−エタンスルホン酸;および、
N,N−ジクロロ−1−メチル−エタンスルホン酸
からなる群から選ばれるN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸、またはその医薬的に許容し得る塩である、
請求項43記載の医薬組成物。
【請求項46】
Halはクロロである、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸、またはその医薬的に許容し得る塩である、請求項41記載の医薬組成物。
【請求項47】
(a)請求項42記載のN−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体;および、(b)次亜ハロゲン酸またはその塩、を含有する、医薬組成物。
【請求項48】
哺乳動物における細菌、微生物、胞子、真菌、またはウイルスの活性を原因とする感染症の予防または治療方法であって、
該方法は、殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の量の請求項42記載の医薬組成物を投与することを含む、該方法。
【請求項49】
細菌、微生物、胞子、真菌もしくはウイルスの増殖、または感染症および感染源の繁殖を制御しまたは予防するための方法であって、
該方法は、有効な量の請求項42記載の医薬組成物を、該増殖または繁殖の制御または防止に必要な領域、空間または物質へ適用することを含む、該方法。
【請求項50】
N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度は、0.01mM〜1M、0.1〜100mM、または0.3〜50mMの間を有し、そして、pHの範囲は、約2〜7、3〜約4.8、3.0〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5である、請求項47記載の組成物。
【請求項51】
組成物は、N−ハロアミノ酸もしくはN,N−ジハロアミノ酸またはその誘導体の濃度が、0.01mM〜1M、0.01mM〜1M、0.1〜100mM、または0.1〜50mMの間を有し、そして、pHの範囲は、約2〜約7、3〜6、3〜4.8、3〜4.5、3.5〜4.5の間、または約3.5である、安定化した形態である、請求項47記載の組成物。
【請求項52】
組成物は、殺菌剤、抗菌剤、抗感染剤、抗微生物剤、殺胞子剤、消毒剤、抗真菌剤、または抗ウイルス剤としてのその使用にとって十分な長期間の安定性および有効期間を保証する容器中で保存する、請求項47記載の組成物。
【請求項53】
殺菌性、抗菌性、抗感染性、抗微生物性、殺胞子性、消毒性、抗真菌性、および抗ウイルス性の活性の組成物の製造における、(a)請求項42記載のN−ハロアミノ酸またはN,N−ジハロアミノ酸;および、(b)次亜ハロゲン酸またはその塩、の使用。

【公表番号】特表2008−531479(P2008−531479A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553252(P2007−553252)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/002875
【国際公開番号】WO2006/081392
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(302058613)ノバベイ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】NOVABAY PHARMACEUTICALS,INC.
【Fターム(参考)】