説明

次亜リン酸塩を安定化するためのプロセス

次亜リン酸塩を安定化させるためのプロセスであって、a)次亜リン酸塩を、4〜11、好ましくは5〜8の制御されたpH値のもとで少なくとも1回洗浄する工程であって、この次亜リン酸塩は、水溶液および/または固体状態にある工程と、b)この次亜リン酸塩を、減圧下で乾燥し、揮発物を除去する工程とを含むプロセスが提供される。このプロセスは、次亜リン酸塩からの、より具体的には応用例の難燃剤における危険な量のホスフィンの形成を防止するまたは最小にすることができる。ポリマーと、上記のプロセスによって安定化された次亜リン酸塩とを含む難燃性ポリマー組成物も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜リン酸塩を安定化するためのプロセス、より具体的には難燃剤(本願明細書中、以下では「FR」とも呼ばれる)として使用される次亜リン酸塩を安定化するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン不含の難燃剤添加剤は、環境に優しいままでありながらFR特性を提供するその能力のため、強化および未強化のポリマー、より具体的には熱可塑性ポリマーにおいてますます興味が持たれている。それらのハロゲン不含の難燃剤の中で、次亜リン酸塩または無機のホスフィン酸塩は、ポリマーに対する良好なFR添加剤として知られている。しかしながら、ホスフィン酸塩は、例えば特許文献1で触れられているように、それらが加えられたポリマーの分解を引き起こす可能性がある。さらに、次亜リン酸塩は、次亜リン酸塩が加工される高温でホスフィンを生成する傾向を有することが公知であり、ホスフィンは、例えば特許文献2で触れられているように、自然発火性であり、非常に毒性が高く、強い刺激を有する。
【0003】
特許文献2によって教示される提案された解決策は、ホスフィンを抑制する添加剤(とりわけ、特定のポリマー、アミド、イミド、シアヌレート、ホスファジンであることができる)を添加することにより、生成したホスフィンを捕捉除去することである。その方法の欠点は、そのホスフィンの生成を防止することなくホスフィンを中和することしかできない別の添加剤がポリマー組成物に添加されるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/010812号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0173572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、上記の欠点および早期不安定性をまったく有しないか、またははるかに低い程度にしか有しない次亜リン酸塩を手にするという、FR剤の市場において絶えないニーズが存在する。危険な量のホスフィンを生成しないために十分に安定化された次亜リン酸塩を提供するというニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実際、広範な研究開発の後、本出願人は、驚くべきことに、次亜リン酸塩から、より具体的にはFRとしての次亜リン酸塩の応用例における、ホスフィンの形成を防止するか、または少なくとも、最小にすることができる、次亜リン酸塩のための安定化プロセスを見出し開発した。
【0007】
本発明は、次亜リン酸塩を安定化させるためのプロセスであって、
a)次亜リン酸塩を、4〜11、好ましくは5〜8の範囲の制御されたpH値のもとで少なくとも1回洗浄する工程であって、この次亜リン酸塩は、水溶液および/または固体状態にある工程と、
b)この次亜リン酸塩を、減圧下で乾燥し、揮発物を除去する工程と
を含むプロセスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、実際に、次亜リン酸塩を安定化させるためのプロセスであって、
a)次亜リン酸塩を、4〜11、好ましくは5〜8の範囲の制御されたpH値のもとで少なくとも1回洗浄する工程であって、この次亜リン酸塩は、水溶液および/または固体状態にある工程と、
b)この次亜リン酸塩を、減圧下で乾燥し、揮発物を除去する工程と
を含むプロセスに関する。
【0009】
工程a)を2回または3回実施することが推奨される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、このプロセスは、工程a)の後に、
a1)当該次亜リン酸塩を、水と混和性の有機溶媒で少なくとも1回洗浄する工程
をさらに含む。
【0011】
工程a)の有機溶媒は、好ましくは、アセトン、メタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、およびアセトニトリルを含む群から選択される。
【0012】
工程a)の出発の次亜リン酸塩は、水溶液の形態にあることができ、反応器に入れられ、無機酸または有機酸と混合され、pHが4〜6.5、好ましくは5〜6の値に設定されているスラリーが得られうる。
【0013】
この酸は、好ましくは次亜リン酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、塩化水素酸および硫酸を含む群から選択され、より好ましくは、この酸は次亜リン酸である。
【0014】
本発明の別の態様によれば、工程a)の出発の次亜リン酸塩は、水溶液の形態にあり、反応器に入れられ、無機塩基または有機塩基と混合され、pHが7.5〜11、好ましくは8〜10の値に設定されているスラリーが得られる。
【0015】
その場合、塩基は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムを含む群から選択され、さらにより好ましくは、この塩基は水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシウムである。
【0016】
好ましくは、出発の次亜リン酸塩は、酸化カルシウム、水および次亜リン酸の反応に由来する。
【0017】
当該プロセスは回分式、連続式または半連続式であることができ、不活性雰囲気下での閉鎖系または開放系で実施することができる。
【0018】
この不活性な雰囲気は、例えば、二酸化炭素、アルゴン、または窒素であってもよい。本発明のプロセスは、大気圧下で、加圧下でまたは真空下で実施することができる。
【0019】
本発明を何らかの理論的解釈に結びつけることなく、早期不安定性のほとんどは問題を含む不純物の存在に起因するように思われる。従って、ARC(Adiabatic Reaction Calorimeter(断熱反応熱量計))およびTGA(熱重量分析)などの熱分析ツールを使用して残留する不純物を検出することによって、この次亜リン酸塩の質をチェックすることは興味深い可能性がある。
【0020】
この試験は、これまでに記載した加熱プロセスの間のどの段階でも実施することができる。
【0021】
生成物の質をチェックするための別の方法は、生成物単独またはプラスチックと混合された生成物に対して高温で安定性試験を実施して、試験の間に生成したホスフィンの量を測定することである。この生成物がポリアミドなどのプラスチックと配合されるときに生成したホスフィンの量を測定することも可能である。
【0022】
当該次亜リン酸塩は、好ましくは、式(1)のものである:
【化1】

式中、nは1、2または3であり、Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタンおよび亜鉛からなる群から選択される金属である。好ましくは、Mはカルシウムまたはアルミニウムである。処理対象の次亜リン酸塩は、いずれの製造プロセスによって製造されたものであってもよい。この次亜リン酸塩、特に、次亜リン酸カルシウムは、米国特許第5225052号明細書に教示されているように、例えば、アルカリ条件下で黄リン(P)を水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムおよび水と反応させることにより、調製することができる。
【0023】
カルシウム塩または中国特許第CN101332982号明細書に教示されているように単に石灰と、次亜リン酸との反応により次亜リン酸カルシウムを得ることも可能である。例えば、石灰懸濁液が、次亜リン酸を用いて単に中和され、不純物が濾過によって除去され、生成物がこれまでに記載されたのと同様にして単離される。
【0024】
最後に、他の次亜リン酸金属塩または次亜リン酸からイオン交換プロセスによって次亜リン酸カルシウムを得ることも可能でありうる。
【0025】
また、本発明は、ポリマー、より具体的には熱可塑性ポリマー、を難燃性にするための当該安定化された次亜リン酸塩の使用にも関する。
【0026】
本発明は、難燃性ポリマー組成物であって、ポリマーと、この組成物の総重量に基づき0.1〜30重量%の、本発明のプロセスによって熱的に安定化されている次亜リン酸塩とを含む難燃性ポリマー組成物に関する。
【0027】
当該熱可塑性ポリマーは、好ましくは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートおよびブレンドまたはポリマーブレンドである。これらとしては、モノオレフィンまたはジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、モノオレフィンもしくはジオレフィンの、互いとのまたは他のビニル単量体とのポリマー、ポリスチレンおよびそれらのコポリマー、ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ジアミンおよびジカルボン酸から、および/もしくはアミノカルボン酸もしくは対応するラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミドが挙げられる。
【0028】
熱可塑性ポリマーは、プラスチック成形用組成物を得るために、充填剤および強化材ならびに/または他の添加剤をさらに含むことができる。本発明は、以下の実施例によってさらに例証される。
【実施例】
【0029】
CaHypo COM:CaHypo COMは、Shanghai lingfeng chemical reagent co.,ltdから供給されている市販等級の次亜リン酸カルシウムから製造した。
CaHypo HT:Cahypo High Temperature(処理した生成物)
【0030】
実施例1
CaHypo COM(102g)を反応器に入れ、水(161g)と混合した。次いで、50% 次亜リン酸(34g)をゆっくり加え、この混合物を30分間十分に撹拌し、pHを4〜6に制御した。次いで、このスラリーを濾過し、75gの固体を得た。この固体を、水(40g)、次いでアセトン(75g)で洗浄した。57.8gの乾燥前の固体をこのようにして得て、減圧下、室温で一晩の揮発物のエバポレーション後に、最終的に56gの乾燥CaHypo−HTを得た。
【0031】
実施例2:熱的熟成試験
2gのCaHypo COMおよびCaHypo HT(実施例1から得た)を秤量し、別々のガラスバイアルに入れた。次いで、これらのバイアルを、空気中で290℃に予め加熱したオーブンの中に入れた。その後、色の変化を比較するために、これらの試料の写真を経時的に撮影した。得た写真は、以下に示すように、CaHypo HTが、普通のCaHypo化学等級ほどには急速に色を変えないということを明瞭に示す。CaHypo COM材料は、1〜5時間の間で著しく黄化し始めたが、一方で、CaHypo HTは8時間までは黄化しなかった。CaHypoの黄化は、典型的には赤リンの形成に起因し、この形成自体は、ホスフィンの形成と関連する。
【0032】
結果を下記の表1にまとめる。
【表1】

【0033】
実施例3:ホスフィン生成 − スクラバー検出
この実験のために、2gのCaHypo(COMまたは実施例1からのHT)を、アルゴンの流れのもとで300℃で30分間加熱した。発生したガスを5% 過酸化水素溶液に吹き込み、発生した可能性があるホスフィンを洗浄した。次いで、スクラバー溶液をイオンクロマトグラフィ(IC)によって分析し、リン酸塩のレベルを求めた。次に、生成したホスフィンを、検出したすべてのリン酸塩はホスフィンに由来すると仮定して、算出した。CaHypo COMについては、1gのCaHypoあたり合計555.8ppmのホスフィンを検出したが、一方、CaHypo HTについては1gのCaHypoあたり235ppmのホスフィンしか検出しなかった。つまり、これらの条件下では、CaHypo HTによって生成したホスフィンの量は、市販の製品と比べて、約60%減少した。
【0034】
実施例4
この実験のために、2gのCaHypo(COMまたは実施例1からのHT)を、アルゴンの流れのもとで298℃に加熱した。発生したガスをガス袋に捕集し、Caltecチューブを使用してホスフィンの濃度を経時的に測定した。結果(表2)は、CaHypo HTを用いて生成したホスフィンの量は、最大で34倍低いことを明瞭に示し、これは、市販のCaHypoと比べて、生成したホスフィンの量の97%減少に相当する。
【表2】

【0035】
実施例5:水洗浄
CaHypo COM(275g)を1Lのプラスチック瓶に入れ、水(119g)およびセラミック球(293g)と混合した。得られた混合物を4時間回転させ、pHを4〜6に制御した。次いで、ふるいを用いてこの球を分離した。白色固体を、水(40g)で、次いでアセトンで3回洗浄し、242gの乾燥前のCaHypo−HTを得た。最終生成物を減圧下、室温で乾燥し、あらゆる揮発物を除去し、240gの生成物を得た。
【0036】
実施例6:ガス中のPHを測定するホスフィン生成
この実験のために、2gのCaHypo(COMまたは実施例5からのHT)を、アルゴンの流れのもとで298℃に加熱した。発生したガスをガス袋に捕集し、Caltecチューブを使用してホスフィンの濃度を経時的に測定した。結果(表3)は、CaHypo HTを用いて生成したホスフィンの量は、最大で140倍低いことを明瞭に示し、これは、市販のCaHypoと比べて、生成したホスフィンの量の99.3%減少に相当する。
【表3】

【0037】
実施例7:ガス中のPHを測定するホスフィン生成 − CaHypo + PA 6,6
この実験では、6gのPA6,6をガラス管に入れ、アルゴンを流しながら、298℃で3時間加熱した。次に、2gのCaHypo(COMまたは実施例5からのHT)を加えた。このあと、発生したガスをガス袋に捕集し、Caltecチューブを使用してホスフィンの濃度を経時的に測定した。結果(表4)は、CaHypo HTを用いて生成したホスフィンの量は、最大で74倍低いことを明瞭に示し、これは、市販のCaHypoと比べて、生成したホスフィンの量の98.7%減少に相当する。
【表4】

【0038】
実施例8:CaOおよびHPAからのCaHvpo−HTの調製
不活性雰囲気下で酸化カルシウム(39.2g、0.7mol)を水(398g)と混合した。pHをモニターしながら、50% 次亜リン酸(129g、0.98mol)を室温でゆっくり加えた。pHを5〜7に調整し、この溶液を3時間沸騰させた。次いで、この混合物を冷却し、その一部を濾過し、284gを得た。この濾液を6.5〜7にpH調整し、減圧下で水を留去し、252gの留出分を得た。冷却後、この溶液を濾過し、8.6gのCaHypo−HTを得た。この生成物を、真空下、90℃で一晩乾燥した。
【0039】
2gのこのようにして得られた生成物を、発生したガスをホスフィンについて分析しながら、アルゴン下で298℃に加熱することにより、物質をホスフィン生成について試験した。結果は、30分後、生成したホスフィンの全量は0.007mLと低いことを示し、これは、同じ条件でCaHypo COMについて検出した量よりも51倍低い。つまり、ホスフィン生成は、市販のCaHypoと比べて98.1%減少した。
【0040】
実施例9:再結晶処理
CaHypo COM(418g)を、不活性雰囲気下で水(3012g)に溶解させ、加熱して還流させた。石灰を使用してこの溶液のpHを9〜10に調整し、この混合物を2時間還流させた。室温まで冷却後、この溶液を濾過した。次に、50% 次亜リン酸を使用して濾液を6〜7にpH調整し、次いで再度濾過した。CaHypoが沈殿するまで、得られた溶液を減圧下で濃縮した。このようにして得られた固体を室温で濾別し、307gの乾燥前の物質を得た。生成物を減圧下、120℃で6時間乾燥した後、297gの生成物を得た。
【0041】
実施例10:ガス中のPHを測定するホスフィン生成
この実験のために、2gのCaHypo(COMまたは実施例9からのHT)をアルゴンの流れのもとで298℃に加熱した。発生したガスをガス袋に捕集し、Caltecチューブを使用してホスフィンの濃度を経時的に測定した。結果(表5)は、CaHypo HTを用いて生成したホスフィンの量は、最大で70倍低いことを明瞭に示し、これは、市販のCaHypoと比べて、生成したホスフィンの量の98.6%減少に相当する。
【表5】

【0042】
実施例11:ガス中のPHを測定するホスフィン生成 − 細粉化した試料
実施例9で得たCaHypo HTは、100ミクロンを超える粒径を有することが判明した。この生成物の一部を、50ミクロン未満の粒径に到達するように、湿式ボールミル粉砕を使用して細粉化した。このようにして得られた物質を、次に、2gをアルゴン下で298℃に加熱し、発生したガスをホスフィンについて分析することにより、ホスフィン発生について試験した。結果を、同じ条件でCaHypo COMを用いて得た結果と比べて表6にまとめる。CaHypo HTを用いると、生成したホスフィンの量は35倍低く、これは市販の製品と比べて97.3%減少に相当する。この実験は、CaHypo HTの粒径を調整してもその性能は変わらないということを示す。
【表6】

【0043】
実施例12:CaHypo HTの配合および射出成形
実施例11の試料(細粉化したCaHypo HT)を、それが安全に配合できるかを検証するために、押出機および射出成形機で試験した。上記生成物を、260℃の最大加工温度を用いて、30%のガラス繊維を含有するポリアミド6,6に配合した。2つの配合物、10%のCaHypo HTおよび20%のCaHypo HTを試験した。両方の場合、押出は問題なく進行した。この実験の間、0.05ppmの検出レベルを有するCaltecチューブを使用して、ホスフィンレベルを検出した。排出口ガスの試料を分析したところ、ホスフィンを検出することはできず、これは、ホスフィンのレベルは0.05ppm未満であることを示す。
【0044】
これらの2つの配合物を、次に、270℃の温度を用いて射出成形し、0.8mmの試験片を調製した。このプロセスの間でもホスフィンを測定し、0.05ppm未満であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜リン酸塩を安定化させるためのプロセスであって、
工程a)前記次亜リン酸塩を、4〜11、好ましくは5〜8の範囲の制御されたpH値のもとで少なくとも1回洗浄する工程であって、前記次亜リン酸塩は、水溶液および/または固体状態にある工程と、
工程b)前記次亜リン酸塩を、減圧下で乾燥し、揮発物を除去する工程と
を含むプロセス。
【請求項2】
工程a)は2回または3回実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
工程a)の後に、
a1)前記次亜リン酸塩を、水と混和性の有機溶媒で少なくとも1回洗浄する工程
をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程a)の前記有機溶媒は、アセトン、メタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、およびアセトニトリルを含む群から選択される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
工程a)の出発の次亜リン酸塩は、水溶液の形態にあり、反応器に入れられ、無機酸または有機酸と混合され、pHが4〜6.5、好ましくは5〜6の値に設定されているスラリーが得られる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記酸は、次亜リン酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、塩化水素酸および硫酸を含む群から選択される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記酸は次亜リン酸である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
工程a)の出発の次亜リン酸塩は、水溶液の形態にあり、反応器に入れられ、無機塩基または有機塩基と混合され、pHが7.5〜11、好ましくは8〜10の値に設定されているスラリーが得られる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムを含む群から選択される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記塩基は水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシウムである、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記出発の次亜リン酸塩は、酸化カルシウム、水および次亜リン酸の反応に由来する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記次亜リン酸塩は式(1)のものであり、
【化1】

式中、
nは1、2または3であり、
Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタンおよび亜鉛からなる群から選択される金属である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
Mはカルシウムまたはアルミニウムである、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
難燃性ポリマー組成物であって、ポリマーと、前記組成物の総重量に基づき0.1〜30重量%の、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のプロセスによって安定化された次亜リン酸塩とを含む、難燃性ポリマー組成物。
【請求項15】
前記ポリマーは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートおよびブレンドまたはポリマーブレンドから選択される熱可塑性ポリマーである、請求項14に記載の難燃性ポリマー組成物。

【公表番号】特表2013−508249(P2013−508249A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534511(P2012−534511)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/CN2009/074584
【国際公開番号】WO2011/047511
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(510019093)ロディア チャイナ カンパニー、リミテッド (6)
【Fターム(参考)】