説明

歌唱評価装置、歌唱評価方法及びコンピュータプログラム

【課題】歌唱技術向上の動機付けを一の歌唱者に与え、効果的な歌唱訓練を可能にする歌唱評価装置を提供する。
【解決手段】カラオケ曲データを再生している間に行われた歌唱の音声データを取得する取得手段と、該取得手段にて取得した音声データを評価する評価手段とを備え、複数の歌唱者夫々の歌唱技術を評価する歌唱評価装置に、再生手段によるカラオケ曲データの再生前に、歌唱練習を行う一の歌唱者を受け付ける歌唱者受付手段と、該歌唱者受付手段にて受け付けた歌唱者を識別する歌唱者識別情報、及び該歌唱者の音声データに対する前記評価手段による評価結果を対応付けて記憶する記憶手段と、前記歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する歌唱評価、及び前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果を重畳的又は並列的に表示した図表を生成する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歌唱の音声データに対する各種評価を行う歌唱評価装置、歌唱評価方法、及びコンピュータを前記歌唱評価装置として機能させるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
歌唱終了時に歌唱評価を点数表示するカラオケ採点機能を備えたカラオケ装置が実用化されている。また、個人の歌唱に対する評価情報を記憶しておき、記憶した評価情報をグラフ化して表示する音楽再生装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、特許文献2には、トランペットなどの管楽器を用いた演奏全体に亘って、各音の高低を直感的に把握することを可能にするチューニング装置が開示されている。該チューニング装置は、評価対象の時間領域又は周波数範囲を受け付け、受け付けた時間領域にて発せられた音又はその周波数範囲に属する音についてのみ模範ピッチからのずれ量を評価し、出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−22293号公報
【特許文献2】特開2009−75187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術においては、自己の歌唱に対する評価と、他者の歌唱に対する評価とを比較することによって、歌唱技術向上の動機付けを与え、他者との比較による効果的な歌唱訓練を実現することはできなかった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、一の歌唱者の音声データに対する歌唱評価と、他の歌唱者の音声データに対する評価結果とを対比可能に表示した図表を生成することにより、歌唱技術向上の動機付けを一の歌唱者に与え、効果的な歌唱訓練を可能にする歌唱評価装置、歌唱評価方法、及びコンピュータを前記歌唱評価装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る歌唱評価装置は、カラオケ曲データを再生する再生手段と、該再生手段にてカラオケ曲データを再生している間に行われた歌唱の音声データを取得する取得手段と、該取得手段にて取得した音声データを評価する評価手段とを備え、複数の歌唱者夫々の歌唱技術を評価するようにしてある歌唱評価装置において、前記再生手段によるカラオケ曲データの再生前に、歌唱練習を行う一の歌唱者を受け付ける歌唱者受付手段と、該歌唱者受付手段にて受け付けた歌唱者を識別する歌唱者識別情報、及び該歌唱者の音声データに対する前記評価手段による評価結果を対応付けて記憶する記憶手段と、前記歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果、及び前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果を表示した図表を生成する手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る歌唱評価装置は、評価結果確認用の複数の異なるモデル音データ、及び該モデル音データ夫々に対する評価結果を対応付けて記憶しており、前記歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果又は前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを特定する特定手段と、該特定手段にて特定されたモデル音データを再生する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る歌唱評価装置は、評価結果の変更を受け付ける手段と、変更後の評価結果に対応するモデル音データを特定する手段とを備え、特定されたモデル音データを再生するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る歌唱評価装置は、一の評価結果を得た評価結果確認用の一のモデル音データを記憶しており、前記歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果又は前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを、前記一のモデル音データに基づいて生成する生成手段と、該生成手段にて生成されたモデル音データを再生する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る歌唱評価装置は、評価結果の変更を受け付ける手段と、変更後の評価結果に対応するモデル音データを生成する手段とを備え、生成されたモデル音データを再生するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る歌唱評価装置は、日時を計時する時計手段を備え、前記記憶手段は、音声データを取得したときに前記時計手段が計時した日時を、該音声データに対応付けて記憶するようにしてあり、前記歌唱者受付手段にて受け付けた歌唱者の音声データに対する評価結果を時系列で表示した図表を生成する手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る歌唱評価方法は、カラオケ曲データを再生し、該カラオケ曲データが再生されている間に行われた歌唱の音声データを取得し、取得した音声データを評価することによって、複数の歌唱者夫々の歌唱技術を評価する歌唱評価方法において、カラオケ曲データの再生前に、歌唱練習を行う一の歌唱者を受け付け、受け付けた歌唱者を識別する歌唱者識別情報、及び該歌唱者の音声データに対する評価結果を対応付けて記憶手段に記憶し、受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果、及び前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果を表示した図表を生成することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、カラオケ曲データが再生されている間に行われた音声データを評価させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、歌唱者を識別する歌唱者識別情報、及び該歌唱者の音声データに対する評価結果を対応付けさせるステップと、コンピュータに、一の歌唱者の音声データに対する評価結果、及び他の歌唱者の音声データに対する評価結果を表示した図表を生成させるステップとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、歌唱者受付手段が歌唱練習を行う一の歌唱者を受け付ける。複数の歌唱者夫々の歌唱に対する評価結果と、当該歌唱者とを対応付けるためである。そして、再生手段はカラオケ曲データの再生を行い、取得手段は、該カラオケ曲データの再生中に前記一の歌唱者が行った歌唱の音声データを取得する。評価手段は、一の歌唱者の音声データに対する評価を行う。記憶手段は、一の歌唱者を識別する歌唱者識別情報と、該一の歌唱者の音声データに対する評価結果を対応付けて記憶する。一の歌唱者以外の歌唱者についても同様の処理が実行される。次いで、歌唱評価装置は、歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果と、記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果を表示した図表を生成する。従って、一の歌唱者は、自己の評価結果と、他の歌唱者の評価結果とを対比することが可能になる。
【0016】
本発明にあっては、評価結果確認用の複数の異なるモデル音データと、該モデル音データ夫々に対する評価結果とを対応付けて記憶している。特定手段は、一の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを特定し、特定されたモデル音データは再生される。モデル音データは、一の歌唱者自身の音声データではないため、自己の音声に対する気恥ずかしさを覚えることは無く、該歌唱者はより客観的に自己の歌唱技術を分析することが可能になる。
また、特定手段は、記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを特定し、特定されたモデル音データを再生するようにしても良い。
【0017】
本発明にあっては、評価結果の変更を受け付け、特定手段は、変更後の評価結果に対応するモデル音データを特定する。特定されたモデル音データは再生される。変更された評価結果を受けることができるよう、歌唱技術を向上させた場合、歌唱技術がどのように改善されるのかを確認することが可能になる。
【0018】
本発明にあっては、一の評価結果を得た評価結果確認用の一のモデル音データを記憶している。生成手段は、一の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを、前記一のモデル音データに基づいて生成し、生成されたモデル音データは再生される。モデル音データは、一の歌唱者自身の音声データではないため、自己の音声に対する気恥ずかしさを覚えることは無く、該歌唱者はより客観的に自己の歌唱技術を分析することが可能になる。
また、生成手段は、記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを生成し、生成されたモデル音データを再生するようにしても良い。
【0019】
本発明にあっては、評価結果の変更を受け付け、生成手段は、変更後の評価結果に対応するモデル音データを生成する。生成されたモデル音データは再生される。変更された評価結果を受けることができるよう、歌唱技術を向上させた場合、歌唱技術がどのように改善されるのかを確認することが可能になる。
【0020】
本発明にあっては、歌唱者識別情報と、音声データと、該音声データを取得したときに時計手段が計時した日時とを対応付けて記憶手段に記憶させる。そして、評価結果を時系列で表示した図表を生成する。従って、評価結果の時系列変化を確認することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、歌唱技術向上の動機付けを一の歌唱者に与え、効果的な歌唱訓練を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施の形態に係るカラオケ装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図2】楽曲DBのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。
【図3】評価結果履歴DBのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。
【図4】モデル音DBのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。
【図5】歌唱練習に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】歌唱者受付画面、練習メニュー画面の一例を示した模式図である。
【図7】教則動画の一例を示した模式図である。
【図8】歌唱練習に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】歌唱練習画面等の一例を示した模式図である。
【図10】歌唱音声データの確認画面の一例を示した模式図である。
【図11】歌唱評価分析に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】歌唱評価分析に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】評価結果表示画面の一例を示した模式図である。
【図14】評価結果表示画面の一例を示した模式図である。
【図15】評価結果表示画面の一例を示した模式図である。
【図16】評価結果表示画面の一例を示した模式図である。
【図17】歌唱音域測定画面の一例を示す模式図である。
【図18】変形例に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の本実施の形態に係るカラオケ装置(歌唱評価装置)は、歌唱者によって行われた歌唱を評価し、複数の歌唱者毎に評価結果を蓄積する機能を有し、一の歌唱者の歌唱に対する評価結果と、他の歌唱者の歌唱に対する評価結果とを対比可能にグラフ表示することによって、歌唱技術向上の動機付けを一の歌唱者に与え、効果的な歌唱訓練を可能にするものである。
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施の形態に係るカラオケ装置1の一構成例を模式的に示すブロック図である。カラオケ装置1は、家庭用テレビゲームのコンピュータにて実現されるものであり、該カラオケ装置1の各構成部の動作を制御する制御部10、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備える。制御部10には、バスを介してROM11、RAM12、外部記憶装置13、映像出力部14、内部記憶装置15、音声出力部16、音声入力部17、遠隔操作信号受信部18、通信部19及び時計部20が接続されている。なお、言うまでもなく、カラオケ装置1を専用機として構成しても良い。
【0025】
制御部10は、ROM11及び後述の内部記憶装置15に記録されたコンピュータプログラム3をRAM12に読み出して実行することにより、本発明に係る後述の歌唱評価方法を実施し、カラオケ装置1として動作する。なお、制御部10が歌唱評価処理、音声再生処理等を実行する例を説明するが、言うまでもなく、各種処理を歌唱評価回路、MIDI音源等のハードウェアにて実現するように構成しても良い。
【0026】
ROM11は、コンピュータの動作に必要な制御プログラムを記憶したマスクROM、EEPROM等の不揮発性メモリである。
【0027】
RAM12は、制御部10の演算処理を実行する際に生ずる各種データを一時記憶するDRAM、SRAM等の揮発性メモリである。
【0028】
外部記憶装置13は、本発明の実施の形態1に係るコンピュータプログラム3をコンピュータ読み取り可能に記録したDVD(Digital Versatile Disc)−ROM,BD(Blu-ray Disc),CD(Compact Disc)−ROM等の記録媒体2からコンピュータプログラム3、その他の各種データを読み取る光ディスクドライブである。なお、光ディスクドライブは、外部記憶装置13の一例であり、ハードディスク、フレキシブルディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等からデータを読み書きする装置で外部記憶装置13を構成しても良い。
【0029】
内部記憶装置15は、コンピュータを、カラオケ装置1として機能させるためのコンピュータプログラム3を記憶するハードディスク、不揮発性半導体メモリ等である。なお、通信網Nに接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係るコンピュータプログラム3をダウンロードするようにしても良い。
また、内部記憶装置15は、楽曲DB(Data Base)15a、指導コメントDB15b、評価結果履歴DB15c、モデル音DB15d、及び教則動画DB15eを記憶する。各種データベースの詳細は後述する。
【0030】
映像出力部14は、制御部10にて与えられた各種メニュー画面、歌詞画像、歌唱評価結果を表示するための画像データを、表示部4で表示可能な映像信号に変換し、該映像信号を表示部4へ出力する回路である。表示部4は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT等である。
【0031】
音声出力部16は、制御部10にて与えられた音声データをスピーカ5で出力可能な音声信号に変換し、該音声信号をスピーカ5へ出力する回路である。なお、言うまでも無く、音声出力部16及び音声入力部17を、一のコネクタ、例えばHDMIコネクタで構成しても良い。
【0032】
音声入力部17は、例えば音声データが入力されるUSBポートであり、USBケーブルを介してマイク6が接続されている。マイク6は、歌唱者によって行われた歌唱を集音してアナログの音声信号に変換し、該音声信号を増幅及びAD変換し、AD変換されたデジタルの音声データを音声出力部16へ出力する。以下、歌唱者によって行われた歌唱の音声データを歌唱音声データという。
【0033】
遠隔操作信号受信部18は、カラオケ装置1の動作を操作するためのリモコン7から送信された遠隔操作信号を受信し、受信した遠隔操作信号に係るデータを制御部10に与える回路である。
【0034】
通信部19は、有線又は無線の通信網Nを介して接続された外部のカラオケサーバ8との間で、カラオケの楽曲データ、各種サービスに係るデータを送受信するインタフェースであり、通信部19による各種情報の送受信は制御部10によって制御される。
【0035】
時計部20は、歌唱評価を行った日時を計時しており、制御部10からの求めに応じて、計時結果を制御部10に与える回路である。
【0036】
図2は、楽曲DB15aのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。楽曲DB15aの表(ファイル)は、複数の列(フィールド)、例えば「楽曲ID」列、「練習内容」列、「レベル」列、「楽曲データ」列、「技法コメントデータ」列、「模範音データ」列等から構成されており、各行(レコード)は、各列に対応した情報を有する。
【0037】
「楽曲ID」列は、複数の異なる練習用の楽曲データに固有の情報を格納する。
「練習内容」列は、各楽曲データによる歌唱練習の内容、例えば、発声、裏声、リズム、ビブラート等の種別を示したデータを格納する。
「レベル」列は、練習内容の難易度を示したデータ、例えば、レベル1〜レベル4等を示したデータを格納する。
【0038】
「楽曲データ」列は、更に複数の項目に区分されており、歌唱練習用の伴奏データ(カラオケ曲データ)、歌詞データ、主旋律データを格納している。なお、楽曲データの構造は特に限定されず、伴奏データ、歌詞データ及び主旋律データを一の楽曲ファイルで構成しても良いし、別個のファイルで構成し、各ファイルを対応付けて管理するようにしても良い。
伴奏データは、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データであり、音のオンオフを指定するデータ、音高を指定する音高データ、音量を指定する音量データ(ベロシティ)、楽器の制御データ、音を出力する楽器を指定する音色データ、時系列順に再生される各音の時間間隔を指定する時間データ(デルタタイム)等で構成されている。
主旋律データは、伴奏に合わせて歌唱すべき音の旋律、つまり、主旋律を構成する音のオンオフを示すデータ、音高データ、音量データ、時系列順に再生される主旋律の各音の時間間隔を示した時間データ等で構成されている。なお、時間間隔を示した時間データに変えて、伴奏データの開始時点からの経過時間を示したデータを用いても良い。また、主旋律データは、伴奏に合わせて歌唱すべきビブラートの時機、音高、音高の振れ幅及び周期性を示したビブラートデータ、裏声で歌唱すべき時機を示した裏声データ等を含む。なお、ビブラートデータを、主旋律データと別データで構成しても良い。また、主旋律データは、必ずしも複雑なものである必要は無く、例えば、リズム感を重点的に練習することを目的とする場合、音高が一定の音をオンオフさせるだけの単純なものであっても良い。
【0039】
「技法コメントデータ」列は、伴奏に合わせた歌唱に採用すべき技法をコメントするための文字データ及び該技法を採用すべきタイミングを示した時間データを格納する。
「模範音データ」列は、伴奏に合わせて歌唱すべき模範となる模範音データを格納する。模範音データは、例えばMIDIデータ、PCM(pulse code modulation)データ等である。
なお、上述の各種データは、予め内部記憶装置15が記憶しておいても良いし、通信網Nを通じてカラオケサーバ8から取得する構成でも良い。
【0040】
指導コメントDB15bは、代表的な評価結果パターンを格納した評価結果と、各評価結果に対する助言、指導内容を格納した指導コメントデータとを対応付けて記憶している。
【0041】
図3は、評価結果履歴DB15cのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。評価結果履歴DB15cの表は、複数の列、例えば「評価ID」列、「歌唱者ID」列、「評価結果」列、「評価日時」列、「公開可否」列等から構成されており、各行は、各列に対応した情報を有する。
【0042】
「評価ID」列は、複数の歌唱音声データ夫々に対する評価結果を識別するための固有の情報を格納する。
「歌唱者ID」列は、歌唱評価された歌唱者を識別するための情報を格納する。
「評価結果」列は、更に複数の項目に区分されており、発声、裏声、リズム及びビブラートに関する評価を夫々格納している。各評価は、100点満点で管理されているが、言うまでも無く、これに限定されるものではない。
「評価日時」列は、歌唱評価を行った日時を格納する。
「公開可否」列は、歌唱評価を公開しても良いか否かを示すデータを格納する。公開の可否は、各歌唱者によって指定される。より具体的には、歌唱者はリモコン7を操作することによって、公開の可否を指定することができ、カラオケ装置1の制御部10は、遠隔操作信号受信部18及びリモコン7にて、公開の可否を受け付け、受け付けた公開の可否を、「公開可否」列に格納する。なお、公開の可否は、評価結果単位で指定しても良いが、歌唱者単位で指定するように構成しても良い。
【0043】
図4は、モデル音DB15dのレコードレイアウトの一例を概念的に示す説明図である。モデル音DB15dの表は、複数の列、例えば「モデル音ID」列、「評価結果」列、「モデル音データ」列等から構成されており、各行は、各列に対応した情報を有する。
「モデル音ID」列は、複数のモデル音データ夫々を識別するための固有の情報を格納する。
「評価結果」列は、代表的な評価結果パターンを格納する。例えば、発声、裏声、リズム及びビブラートに関する評価点数として20点,40点,60点,80点又は100点を与えた場合に考えられる5×5×5×5=625通りの評価結果を格納する。
「モデル音データ」列は、各評価結果に対応する評価結果確認用のモデル音データ、つまり歌唱評価を行った場合、当該評価結果が与えられるべき音声データを格納する。
【0044】
教則動画DB15eは、楽曲IDと、該楽曲IDに係る楽曲データを用いた歌唱の練習方法、歌唱技術等を指南する教則動画データとを対応付けて記憶している。
【0045】
図5は、歌唱練習に係る制御部10の処理手順を示すフローチャート、図6は、歌唱者受付画面、練習メニュー画面の一例を示した模式図、図7は、教則動画の一例を示した模式図である。制御部10は、内部記憶装置15から歌唱者受付画面データを読み出し、読み出した歌唱者受付画面データを、映像出力部14を通じて表示部4へ出力することによって、歌唱者受付画面を表示部4に表示させる(ステップS11)。表示部4に画像を表示させる処理方法は、ステップS11で説明した処理方法と同様であるため、以下ではその詳細は省略して説明する。
次いで、制御部10は、歌唱練習を行う一の歌唱者を、遠隔操作信号受信部18を通じて受け付ける(ステップS12)。
【0046】
図6(a)は、歌唱者受付画面の一例を示した模式図である。歌唱者受付画面は、複数の歌唱者夫々に対応した顔画像を並べて表示したものであり、歌唱者は、リモコン7を用いて顔画像を選択することによって、歌唱練習を行う一の歌唱者を選択することができる。
【0047】
次いで、制御部10は、練習メニュー画面データを読み出し、練習メニュー画面を表示部4に表示させる(ステップS13)。
【0048】
図6(b)は、練習メニュー画面の一例を示した模式図である。練習メニュー画面は、「教則動画視聴モード」、「デイリー練習モード」、「検定モード」「適正音域測定モード」の文字を並置してなり、歌唱者は、リモコン7を用いて、いずれかのモードを選択することができる。「教則動画視聴モード」は、歌唱の練習方法、歌唱技術等を指南する教則動画を再生するモードである。「デイリー練習モード」は、練習内容及びレベル別に重点的な歌唱練習を行うモードである。「検定モード」は、歌唱者の総合的な歌唱技術を評価するモードである。「適正音域測定モード」は、歌唱者の声域の測定を行うモードである。
【0049】
次いで、制御部10は、遠隔操作信号受信部18を通じてリモコン7の操作状態を監視し、教則動画視聴モードが選択されたか否かを判定する(ステップS14)。教則動画視聴モードが選択されたと判定した場合(ステップS14:YES)、制御部10は、内部記憶装置15から教則動画データを読み出し、読み出した教則動画データを図7に示すように再生する(ステップS15)。より詳細には、制御部10は、複数の練習内容及びレベルを表示部4に表示し、一の練習内容及びレベルを受け付ける。そして、制御部10は、受け付けた練習内容及びレベルに対応した教則動画データを教則DBにて検索し、検索された教則動画データを内部記憶装置15から読み出し、再生するように構成されている。
【0050】
ステップS15の処理を終えた場合、又は教則動画視聴モードが選択されていないと判定した場合(ステップS14:NO)、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、デイリー練習モードが選択されたか否かを判定する(ステップS16)。デイリー練習モードが選択されたと判定した場合(ステップS16:YES)、制御部10は、サブルーチンを呼び出し、歌唱練習に係る処理を実行する(ステップS17)。
【0051】
図8は、歌唱練習に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャート、図9は、歌唱練習画面等の一例を示した模式図、図10は、歌唱音声データの確認画面の一例を示した模式図である。ステップS17で歌唱練習に係るサブルーチンが呼び出された場合、制御部10は、内部記憶装置15から練習内容等選択画面データを読み出し、練習内容等選択画面を表示部4に表示させ、練習内容及びレベルを受け付ける(ステップS31)。
【0052】
図9(a)は、練習内容等選択画面の一例を示した模式図である。練習内容等選択画面は、「発声」、「裏声」、「リズム」及び「ビブラート」等の練習内容を縦方向に並べて表示し、各練習内容の難易度を示したレベル「1」、「2」、「3」及び「4」を横方向に並べて表示したものである。各レベルを示した数字は升目で囲まれており、白抜きの升目で囲まれた練習内容及びレベルは、選択可能な項目を示しており、ハッチング付きの升目で囲まれた練習内容及びレベルは、選択不能な項目を示している。初回の歌唱練習では、レベル「1」の練習内容しか選択できないが、過去に行った歌唱に対する評価結果が良好であった場合、上位レベル「2」、「3」及び「4」の項目を順次選択することが可能になる。升目を囲んだ太線はカーソルであり、当該升目に対応する練習内容及びレベル、例えば練習内容「発声」及びレベル「1」が選択されていることを示している。
歌唱者は、リモコン7を操作することによって、カーソルを移動させ、所望の練習内容及びレベルを選択することができ、制御部10は、遠隔操作信号受信部18を通じて、選択された練習内容及びレベルを受け付ける。
【0053】
次いで、制御部10は、図9(b)に示すように、水平方向の五本の平行線を表示してなる線譜画像91aを表現した線譜画像データを生成し、線譜画像91aを表示部4に表示させる(ステップS32)。そして、制御部10は、ステップS31で選択された練習内容及びレベルに応じた楽曲データを内部記憶装置15から読み出し、読み出された楽曲データ、特に主旋律データ及び歌詞データに基づいて、旋律ブロック91b,91cを生成し、該旋律ブロック91b,91cを線譜画像91aに重畳させる(ステップS33)。旋律ブロック91bは、線譜における音高方向寸法が所定長、線譜における時間軸方向の寸法が歌唱すべき音の長さに対応した幅である矩形状の画像である。また、旋律ブロック91cは、特にリズムの練習を意識すべき箇所を示す画像であり、白抜き円画像の内側にバツ印が描かれたものである。なお、旋律ブロック91cは、線譜における音高方向寸法が所定長、線譜における時間軸方向の寸法がリズム練習において歌唱すべき所定の音の長さに対応した幅を有する。旋律ブロック91b,91cは、主旋律の音高及び再生時間に対応した位置に重畳される。なお、前記所定長は、線譜と、旋律ブロック91b,91cとを判別できる長さであれば良い。旋律ブロック91b上には、歌詞が表示される。
また、制御部10は、伴奏の進行位置を示した伴奏進行位置表示線91dを、線譜画像91a上に重畳させる。更に、制御部10は、技法コメントデータに基づいて、線譜画像91aの外側、特に上側に技法コメントを重畳させ、下側には音階などを重畳させる。
【0054】
なお、図9では旋律ブロック91c上に歌詞を表示させていないが、必要であれば、旋律ブロック91c上にも歌詞を表示しても良い。また、線譜画像91aに、二種類の旋律ブロック91b,91cを混在して表示させているが、リズムの練習を重点的に行う場合、旋律ブロック91cのみを表示し、リズム以外の発声、裏声などの練習を重点的に行う場合、旋律ブロック91bのみを表示しても良い。更に、旋律ブロック91bの横幅を、歌唱すべき音の長さに応じて長短させる構成であるが、旋律ブロック91bを横方向に並置された1又は複数の小ブロックにて構成し、歌唱すべき音の長さに応じて並置する小ブロックの数を増減させるようにしても良い。更にまた、円形の旋律ブロック91cを例示しているが、リズムを取って歌唱すべき音の長さに応じて、横方向の寸法を長短させるように構成しても良い。更にまた、旋律ブロック91b,91cの形状として矩形及び円形を例示したが、言うまでもなく、これらに限定されるものでは無く、歌唱すべき音の旋律を表現可能な形状であれば、他の形状を採用しても良い。
【0055】
次いで、制御部10は、ステップS31で受け付けた練習内容及びレベルに対応する模範音データを内部記憶装置15から読み出し、図9(b)に示すように、該練習内容及びレベルに対応する伴奏データ及び模範音データを再生する(ステップS34)。ステップS34の処理によって、歌唱者は、練習内容を確認することができる。
【0056】
次いで、制御部10は、図9(c)に示すように、伴奏データを再生しながら、歌唱者が行った歌唱の音声データを、音声データ入力部を通じて取得する(ステップS35)。取得した音声データは、内部記憶装置15又はRAM12に書き込まれる。
【0057】
歌唱練習を終えた場合、つまり伴奏データの再生を終了した場合、制御部10は、歌唱音声データを確認すべく再生し(ステップS36)、歌唱練習に係る処理を終える。ステップS36の処理によれば、歌唱者は、自分の歌唱音声を確認することができる。なお、歌唱者の指示に応じて、歌唱音声データを複数回再生するようにしても良い。
【0058】
より具体的には、制御部10は、図10(a),(b)に示すように、水平方向の五本の平行線を表示してなる線譜画像91aを表現した線譜画像データを生成し、線譜画像91aを表示部4に表示させる。そして、制御部10は、ステップS31で選択された練習内容及びレベルに応じた楽曲データを内部記憶装置15から読み出し、読み出された楽曲データ、特に主旋律データ及び歌詞データに基づいて、旋律ブロック91b,91cを生成し、該旋律ブロック91b,91cを線譜画像に重畳させる。旋律ブロック91b,91cの詳細は、上述と同様である。次いで、制御部10は、ステップS35で取得した歌唱音声データを再生する。なお、制御部10は、再生済み箇所の旋律ブロック91b,91cの色を、未再生箇所の旋律ブロック91b,91cの色と異なる色に変更する。旋律ブロック91b,91c中、ハッチングを付した部分は、再生済み箇所を示している。
【0059】
また、図10(b)に示すように、ビブラート位置においては、制御部10は、旋律ブロック91bの内外で同一態様の音声波形91gを生成し、該音声波形91gを線譜画像91a及び旋律画像上に重畳させる。音声波形91gは、歌唱音声の周波数、即ち音高を表現した波形であり、線譜画像91a上の位置が上方である場合、高音、下方である場合、低音となる。また、音声波形91gの態様は、例えば、青色の太線である。
そして、制御部10は、音声波形91gと異なる態様で、ビブラートデータが示す振れ幅及び周期性に基づいて、ビブラート音声波形91fを生成し、該ビブラート音声波形91fを、線譜画像及び旋律ブロック91b上に重畳させる。ビブラート音声波形91fの態様は、例えば、赤色の破線である。上述の処理によれば、歌唱者は、歌唱音声データのビブラート歌唱された箇所の音声波形91gと、模範となるビブラート音声波形91fとを明瞭かつ直感的に比較することができる。特に、ビブラート音声波形91fは破線で表現されているが、歌唱者は、通常、破線で表現された波形部分を直感的に模範となる音声波形であると認識することができる。また、後述するように、ビブラート位置以外の部分においては、旋律ブロック91b,91c上の音声波形91eは、青色の細線で表現されるため、歌唱者は、青色の太線で表現された音声波形91gを、歌唱者の音声波形であると直感的に認識することができる。
図10(a),(b)に示すように、非ビブラート位置においては、制御部10は、歌唱音声データに基づいて、旋律ブロック91b,91cの内外で異なる態様の音声波形91eを生成し、該音声波形91eを線譜画像及び旋律画像上に重畳させる。音声波形91eは、旋律ブロック91b,91c上で、青色の細線であり、旋律ブロック91b,91c外で、赤色の細線である。
【0060】
図5に示すように、歌唱練習に係る処理を終えた場合、制御部10は、次いでサブルーチンを呼び出し、歌唱評価分析に係る処理を実行する(ステップS18)。
【0061】
図11及び図12は、歌唱評価分析に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャート、図13乃至図16は、評価結果表示画面の一例を示した模式図である。
【0062】
制御部10は、歌唱音声データ及び楽曲データに基づいて、歌唱評価を行う(ステップS51)。歌唱評価は、主旋律データ及び歌唱音声データに基づいて、歌唱音声及び主旋律における音高、音量、リズム等を比較することによって、発声、リズム等を評価する。また、ビブラートすべき時機においては、ビブラートデータに基づいて、歌唱音声の音高が、特定の音高範囲内で、特定の周波数範囲で上下動しているか否かを判断することによって、ビブラートに関する評価を行う。特定の音高範囲は、ビブラートデータが示すビブラートの振れ幅によって定まり、特定の周波数範囲は、ビブラートが示すビブラートの周期性によって特定される。更に、裏声データに基づいて、裏声で歌唱すべき時機において、音高、音量が安定しているか否かに基づいて、裏声に関する評価を行う。
【0063】
そして、制御部10は、ステップS51で得られた評価結果を内部記憶装置15に記憶させる(ステップS52)。具体的には、制御部10は、評価結果履歴DB15cの「歌唱者」ID列に、ステップS12で受け付けた歌唱者を特定する歌唱者IDを格納し、「評価結果」列に、「発声」、「裏声」、「リズム」及び「ビブラート」に関する評価結果を格納する。また、制御部10は、時計部20が計時している日時を、「評価日時」列に格納する。
【0064】
次いで、制御部10は、評価結果に基づく総合評価点、評価結果に対応する指導コメントを表した採点発表画像データを生成し、採点発表画像を表示部4に表示させる(ステップS53)。
図13(a)は、採点発表画像の一例を示した模式図である。採点発表画像は、「採点発表」の文字と、総合評価点と、評価結果に対する指導コメントとを表示した画像である。制御部10は、例えば、「発声」、「裏声」、「リズム」及び「ビブラート」の総合得点を100点満点に換算し、総合評価点として算出する。また、制御部10は、ステップS51で行った評価結果に基づいて、指導コメントDB15bから、該評価結果に対応する指導コメントデータを検索する。そして、制御部10は、総合評価点と、指導コメントデータとを含む採点発表画像を生成する。
【0065】
次いで、制御部10は、分析方法選択タブを有し、評価結果の詳細を示すためのトレーニング結果画像データを生成し、トレーニング結果画面を表示部4に表示させる(ステップS54)。
図13(b)は、トレーニング結果画面の一例を示す模式図である。トレーニング結果画面は、タブを有する3枚のシートを重ね合わせたような画像である。第1のシートは、「個人」の文字が表示されたタブを有し、個人の評価結果をレーダーチャートにて表示するものである。第2のシートは、「履歴」の文字が表示されたタブを有し、図16に示すように、個人の評価結果の履歴を表示するものである。第3のシートは、「比較」の文字が表示されたタブを有し、図15に示すように、一の歌唱者の歌唱に対する評価結果と、他の歌唱者の歌唱に対する評価結果とをレーダーチャートに重畳させて表示するものである。
【0066】
次いで、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視することによって、個人タブが選択されたか否かを判定する(ステップS55)。なお、初期状態では、個人タブが選択された状態にある。個人タブが選択されたと判定した場合(ステップS55:YES)、制御部10は、ステップS12で受け付けた一の歌唱者の歌唱音声データに対する評価結果を表した図表、例えば図13(b)に示すようなレーダーチャートを生成し、表示部4に表示させる(ステップS56)。レーダーチャートに表示される項目は、評価結果の項目と同様、「発声」、「裏声」、「リズム」及び「ビブラート」である。
なお、レーダーチャートは、評価結果を表示する図表の一例であり、グラフの種類は特に限定されない。例えば、評価結果を棒グラフ、円グラフ、散布図で表現しても良い。
【0067】
次いで、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、評価結果の変更指示があったか否かを判定する(ステップS57)。例えば、歌唱者は、レーダーチャートに表示された評価結果の線分又はプロットをドラッグすることによって、評価結果を変更することができる。評価結果の変更指示があったと判定した場合(ステップS57:YES)、制御部10は、図14中、太線で描かれた菱形で示すように、レーダーチャートに表示されている評価結果を変更する(ステップS58)。なお、白抜き矢印は、変更された評価結果の項目を示している。
【0068】
ステップS58の処理を終えた場合、又はステップS57で評価結果の変更指示が無かったと判定した場合(ステップS57:NO)、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、モデル音の再生指示があったか否かを判定する(ステップS59)。例えば、歌唱者は、レーダーチャートをクリック操作することによって、モデル音の再生指示を行うことができる。モデル音の再生指示があったと判定した場合(ステップS59:YES)、制御部10は、ステップS51で得られた評価結果に基づいて、モデル音DB15dから該評価結果に対応するモデル音データを特定し(ステップS60)、特定されたモデル音データを読み出して再生する(ステップS61)。
【0069】
ステップS61の処理を終えた場合、又はモデル音の再生指示が無かったと判定した場合(ステップS59:NO)、若しくはステップS55で個人タブが選択されていないと判定した場合(ステップS55:NO)、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、比較タブが選択されたか否かを判定する(ステップS62)。比較タブが選択されたと判定した場合(ステップS62:YES)、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、比較対象の歌唱者を受け付ける(ステップS63)。そして、制御部10は、ステップS12で受け付けた歌唱者の歌唱に対する評価結果と、ステップS63で受け付けた歌唱者の歌唱に対する評価結果とを重畳的又は並列的に表示した図表、例えば図15に示すようなレーダーチャートを生成し、生成したレーダーチャートを表示部4に表示する(ステップS64)。
図15中、実線で描かれた菱形は、ステップS12で受け付けた歌唱者の歌唱に対する評価結果を示しており、破線で描かれた菱形は、ステップS63で受け付けた歌唱者の歌唱に対する評価結果を示している。
なお、図15においては、評価結果を重畳的に表示しているが、各評価結果を対比することが可能であれば、該評価結果を並列的に表示するように構成しても良い。例えば、各評価結果を並列的に棒グラフ表示しても良い。
【0070】
なお、比較タブが選択された場合においても、上述のステップS57〜61と同様の処理を実行し、評価結果の分析を行うことができるように構成しても良い。この場合、他者の評価結果に対応するモデル音データを再生するように構成すると良い。
【0071】
ステップS64の処理を終えた場合、又は比較タブが選択されていないと判定した場合(ステップS62:NO)、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、履歴タブが選択されたか否かを判定する(ステップS65)。履歴タブが選択されたと判定した場合(ステップS65:YES)、ステップS12で受け付けた歌唱者の評価結果の履歴を表示した図表、例えば図16に示すような折れ線グラフを生成し、表示部4に表示させる(ステップS66)。
折れ線グラフの横軸は、歌唱評価を行った日時、縦軸は、評価結果を示す点数である。菱形印、四角印、三角印及びバツ印でプロットされた折れ線グラフは、それぞれ「発声」、「裏声」、「リズム」及び「ビブラート」に関する評価結果の履歴を示している。
【0072】
ステップS66の処理を終えた場合、又は履歴タブが選択されていないと判定した場合(ステップS65:NO)、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、分析を終了するか否かを判定する(ステップS67)。分析を終了しないと判定した場合(ステップS67:NO)、制御部10は、処理をステップS55へ戻す。分析を終了すると判定した場合(ステップS67:YES)、制御部10は、歌唱評価分析に係る処理を終える。
【0073】
図5に示すように、歌唱評価分析に係る処理を終えた場合、又はデイリー練習モードが選択されていないと判定した場合(ステップS16:NO)、制御部10は、リモコン7の操作状態を監視し、検定モードが選択されたか否かを判定する(ステップS19)。検定モードが選択されたと判定した場合(ステップS19:YES)、制御部10は、歌唱者の歌唱技術を検定する(ステップS20)。
歌唱技術の検定は、発声、裏声、リズム及びビブラートなどの歌唱技術を検定可能な伴奏データを再生し、歌唱音声データを取得し、取得した歌唱音声データを評価することによって行う。検定の際に得られた評価結果についても、図11〜図16で示した歌唱評価分析を行っても良い。
【0074】
ステップS20の処理を終えた場合、又は検定モードが選択されていないと判定した場合(ステップS19:NO)、制御部10は、リモコン7の操作の状態を監視し、適正音域測定モードが選択されたか否かを判定する(ステップS21)。適正音域測定モードが選択されたと判定した場合(ステップS21:YES)、制御部10は、歌唱者毎に異なる声域を分析する適正音域測定に係る処理を実行する(ステップS22)。
【0075】
図17は、歌唱音域測定画面の一例を示す模式図である。図17(a)は、歌唱者の高音側の音域測定画面であり、図17(b)は、歌唱者の低音側の音域測定画面である。制御部10は、歌唱練習前に歌唱者の音域を測定する旨を表示部4に表示させる。次いで、制御部10は、図17(a)に示すように、線譜画像91a上に、時間軸進行方向(図17中右方向)に向かって低音から高音に変化する音高ガイドラインを重畳させた画像データを生成し、表示部4に表示させる。音高ガイドラインは、低音になるほど寒色、高音になるほど暖色になるように段階的に変化した色を有している。そして、制御部10は、音声入力部17を通じて音声データを取得し、取得した音声データの音高を測定し、該音高に対応する音高ガイドライン上に音符画像を重畳させる。更に、測定して得られた音高に対応するガイドラインを蛍光色、太線等でなぞったような画像に変更する。そして、音声データの入力が停止した場合、又は所定時間が経過した場合、測定された最高の音高を音域の上限として記憶する。
同様に、制御部10は、図17(b)に示すように、線譜画像91a上に、時間軸進行方向(図17中右方向)に向かって高音から低音に変化する音高ガイドラインを重畳させた画像データを生成し、表示部4に表示させる。そして、制御部10は、音声入力部17を通じて音声データを取得し、取得した音声データの音高を測定し、該音高に対応する音高ガイドライン上に音符画像を重畳させる。そして、音声データの入力が停止した場合、又は所定時間が経過した場合、測定された最低の音高を音域の下限として記憶する。
【0076】
ステップS22の処理を終えた場合、又は適正音域測定モードが選択されていないと判定した場合(ステップS21:NO)、制御部10は、歌唱練習を終えるか否かを判定する(ステップS23)。歌唱練習を終えないと判定した場合(ステップS23:NO)、制御部10は、処理をステップS14へ戻す。歌唱練習を終えると判定した場合(ステップS23:YES)、制御部10は、歌唱練習に係る処理を終える。
【0077】
本実施の形態にあっては、歌唱練習後、歌唱音声データに対する歌唱評価を行い、評価結果をレーダーチャートに表示するように構成されているため、歌唱者は、自己の歌唱に対する評価結果を、レーダーチャートを用いて客観的に分析することができる。
特に、自己の歌唱に対する評価結果と、他の歌唱者の歌唱に対する評価結果とを対比可能にレーダーチャート表示する構成であるため、他者の歌唱との対比によって歌唱技術向上の動機付けを一の歌唱者に与え、効果的な歌唱訓練が可能になる。
例えば、一の歌唱者が自分よりも歌唱技術が優れている他の歌唱者のように歌唱できるようになりたいと考えている場合、該他の歌唱者の評価結果と対比させることによって、どの歌唱技術が優れているのか、どの程度歌唱技術を向上させれば良いのか、つまり現時点の歌唱技術と、到達点の歌唱技術との隔たりを明瞭、客観的かつ視覚的に把握することができ、歌唱技術向上の目標、方向性を明確化することができる。
【0078】
また、評価結果に対応したモデル音データを再生するように構成されているため、自己の歌唱音声を再生する場合に比べて、自己の音声に対する気恥ずかしさを覚えることは無く、客観的に自己の歌唱技術を分析することが可能になる。
【0079】
更に、評価結果を変更し、変更後の評価結果に対応するモデル音データを再生することができるように構成されているため、歌唱技術向上後の歌唱音声を確認することができ、歌唱技術向上の動機付けをより効果的に与えることができる。
【0080】
更にまた、評価結果の履歴を折れ線グラフ表示することができるように構成されているため、歌唱練習の効果を明瞭、客観的かつ視覚的に把握することができる。
【0081】
更にまた、線譜画像に旋律ブロック91b,91cと、歌唱の音声波形とを重畳させるように構成されているため、歌唱音声と、模範となる旋律とを明瞭、客観的かつ視覚的に対比することができる。
【0082】
更にまた、ビブラートをかけて歌唱された歌唱音声の音声波形91gと、模範となるビブラート音声波形91fとを明瞭、客観的かつ視覚的に対比し、自己のビブラートの良否を把握することができる。
【0083】
更にまた、ビブラートをかけて歌唱すべき時機の歌唱の音声波形91gを、線譜及び旋律ブロック91b上に同一の波形線種又は重畳態様で重畳する。従って、ビブラート歌唱位置においては、旋律ブロック91bから音高が外れても、その旨は表示されず、歌唱者に誤解を与えることを防止することができる。
【0084】
更にまた、旋律ブロック91b上に歌詞が表示される構成であるため、旋律及び歌詞を一目で把握することができる。
【0085】
(変形例)
変形例に係るカラオケ装置1は、モデル音データの再生に係る処理のみが上記実施の形態とは異なるため、以下では主に上記相異点について説明する。図18は、変形例に係る制御部10の処理手順を示すフローチャートである。
【0086】
図11におけるステップS59でモデル音の再生指示があったと判定した場合(ステップS59:YES)、制御部10は、内部記憶装置15が記憶している基準モデル音データを読み出す(ステップS160)。基準モデル音データは、一の評価結果を得た評価結果確認用の音声データであって、音高、音量、リズム等を適宜変更できる形式のデータである。例えば、「発声」、「裏声」、「リズム」及び「ビブラート」の各項目について、100点の評価結果が得られる音声データである。以下、前記一の評価結果を基準評価結果という。
【0087】
次いで、制御部10は、ステップS51で得られた評価結果と、基準評価結果とを比較する(ステップS161)。そして、制御部10は、比較結果に基づいて、基準モデル音データの内容、即ち音高、音量、リズム等を変更してなるモデル音データを生成し(ステップS162)、生成されたモデル音データを再生する(ステップS163)。例えば、比較の結果、ステップS51で得られた評価結果の方が、音高の評価結果が10点低い場合、基準モデル音データの音高を、10点の差分だけずらした音声データを、モデル音データとして生成する。
【0088】
ステップS163の処理を終えた場合、制御部10は、上述のステップS62以降の処理を実行する。
【0089】
変形例にあっては、実施の形態と同様の効果を奏し、かつモデル音データの記憶量を削減することができる。また、より細かく、評価結果を反映したモデル音データを再生することができる。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1 カラオケ装置(歌唱評価装置)
2 記録媒体
3 コンピュータプログラム
4 表示部
5 スピーカ
6 マイク
7 リモコン
8 カラオケサーバ
10 制御部
11 ROM
12 RAM
13 外部記憶装置
14 映像出力部
15 内部記憶装置
15a 楽曲DB
15b 指導コメントDB
15c 評価結果履歴DB
15d モデル音DB
15e 教則動画DB
16 音声出力部
17 音声入力部
18 遠隔操作信号受信部
19 通信部
20 時計部
N 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ曲データを再生する再生手段と、該再生手段にてカラオケ曲データを再生している間に行われた歌唱の音声データを取得する取得手段と、該取得手段にて取得した音声データを評価する評価手段とを備え、複数の歌唱者夫々の歌唱技術を評価するようにしてある歌唱評価装置において、
前記再生手段によるカラオケ曲データの再生前に、歌唱練習を行う一の歌唱者を受け付ける歌唱者受付手段と、
該歌唱者受付手段にて受け付けた歌唱者を識別する歌唱者識別情報、及び該歌唱者の音声データに対する前記評価手段による評価結果を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果、及び前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果を表示した図表を生成する手段と
を備えることを特徴とする歌唱評価装置。
【請求項2】
評価結果確認用の複数の異なるモデル音データ、及び該モデル音データ夫々に対する評価結果を対応付けて記憶しており、
前記歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果又は前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを特定する特定手段と、
該特定手段にて特定されたモデル音データを再生する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の歌唱評価装置。
【請求項3】
評価結果の変更を受け付ける手段と、
変更後の評価結果に対応するモデル音データを特定する手段と
を備え、
特定されたモデル音データを再生するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の歌唱評価装置。
【請求項4】
一の評価結果を得た評価結果確認用の一のモデル音データを記憶しており、
前記歌唱者受付手段にて受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果又は前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果に対応するモデル音データを、前記一のモデル音データに基づいて生成する生成手段と、
該生成手段にて生成されたモデル音データを再生する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の歌唱評価装置。
【請求項5】
評価結果の変更を受け付ける手段と、
変更後の評価結果に対応するモデル音データを生成する手段と
を備え、
生成されたモデル音データを再生するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の歌唱評価装置。
【請求項6】
日時を計時する時計手段を備え、
前記記憶手段は、
音声データを取得したときに前記時計手段が計時した日時を、該音声データに対応付けて記憶するようにしてあり、
前記歌唱者受付手段にて受け付けた歌唱者の音声データに対する評価結果を時系列で表示した図表を生成する手段を備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の歌唱評価装置。
【請求項7】
カラオケ曲データを再生し、該カラオケ曲データが再生されている間に行われた歌唱の音声データを取得し、取得した音声データを評価することによって、複数の歌唱者夫々の歌唱技術を評価する歌唱評価方法において、
カラオケ曲データの再生前に、歌唱練習を行う一の歌唱者を受け付け、
受け付けた歌唱者を識別する歌唱者識別情報、及び該歌唱者の音声データに対する評価結果を対応付けて記憶手段に記憶し、
受け付けた一の歌唱者の音声データに対する評価結果、及び前記記憶手段が記憶している他の歌唱者の音声データに対する評価結果を表示した図表を生成する
ことを特徴とする歌唱評価方法。
【請求項8】
コンピュータに、カラオケ曲データが再生されている間に行われた音声データを評価させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、歌唱者を識別する歌唱者識別情報、及び該歌唱者の音声データに対する評価結果を対応付けさせるステップと、
コンピュータに、一の歌唱者の音声データに対する評価結果、及び他の歌唱者の音声データに対する評価結果を表示した図表を生成させるステップと
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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