説明

止血テープおよびそのディスペンサー

【課題】抗血液凝固治療を受けている患者の小さい傷からの出血を封止するデバイスの提供。
【解決手段】多孔性基材20、該多孔性基材に塗布された第一のヒドロゲル前駆体30および第二のヒドロゲル前駆体40、ならびに該多孔性基材の少なくとも1つの面に配置された剥離シート60a、を備える、止血テープ10。上記多孔性基材は発泡体であり、繊維性材料から作製され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2009年11月10日に出願された米国仮出願番号61/259,836の利益および優先権を主張する。この米国仮出願の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、止血テープに関し、そしてより特定すると、剥離シートに取り外し可能に付着された多孔性基材を備え、この多孔性基材に第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体が塗布されている、止血テープに関する。
【背景技術】
【0003】
心臓発作および脳卒中の予防における抗凝固性薬物の使用は、普通であり得る。これらの薬物の作用様式は、血液の低粘稠化および凝固の阻止を包含する。心臓発作または脳卒中の予防に関しては有用であるが、これらの薬物は、患者における重篤な出血の危険性を増大させる。
【0004】
抗血液凝固薬を服用している患者について、毎日の活動(例えば、髭剃り)は、切れ目および傷をもたらし得、これらは、出血を止めることが困難である。擦り傷または小さい傷は、過剰な出血をもたらし得る。小さい負傷さえも、出血について注意されなければならない。
【0005】
小さい傷の出血を止める目的で、抗血液凝固薬を服用している患者はしばしば、出血が止まるまでその傷に一定の圧力を付与するように指示される。その出血が20分以内に止まらない場合、その患者は、圧力を付与し続け、そして最も近い応急処置室に行くようにさらに指示され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、抗血液凝固治療を受けている患者の小さい傷からの出血を封止するデバイスが有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
多孔性基材;
該多孔性基材に塗布された第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体;ならびに
該多孔性基材の少なくとも1つの面に配置された剥離シート、
を備える、止血テープ。
(項目2)
上記多孔性基材が発泡体である、上記項目に記載の止血テープ。
(項目3)
上記多孔性基材が繊維性材料から作製されている、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目4)
上記多孔性基材が酸化セルロースから作製されている、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目5)
上記第一のヒドロゲル前駆体が、粒子、発泡体、フィルムおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目6)
上記第二のヒドロゲル前駆体が、粒子、発泡体、フィルムおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目7)
上記剥離シートがシリコーンベースの材料から作製されている、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目8)
裏打ちシートをさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目9)
接着剤をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目10)
上記テープがロール状である、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目11)
少なくとも1つのさらなる止血剤をさらに含む、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目12)
上記少なくとも1つのさらなる止血剤が、フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、アルブミン、凝血因子、アルブミン、エラスチン、トロンビン、トロンビノゲン、デキストラン、アルギネート、セルロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
(項目13)
少なくとも1つの棘をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の止血テープ。
【0008】
(摘要)
本開示は、テープおよびテープディスペンサーに関する。これらのテープは、多孔性基材、第一のヒドロゲル前駆体、第二のヒドロゲル前駆体および剥離シートを備える。この第一のヒドロゲル前駆体およびこの第二のヒドロゲル前駆体は、この多孔性基材に塗布される。この剥離シートは、この多孔性基材に取り外し可能に付着される。
【0009】
(要旨)
本開示は、止血テープを記載し、この止血テープは、多孔性基材;第一のヒドロゲル前駆体;第二のヒドロゲル前駆体;および剥離シートを備える。この第一のヒドロゲル前駆体およびこの第二のヒドロゲル前駆体は、この多孔性基材に塗布され得る。ある実施形態において、この第一のヒドロゲル前駆体およびこの第二のヒドロゲル前駆体のうちの少なくとも一方は、粒子形態でこの多孔性基材に塗布され得る。ある実施形態において、このテープが創傷上に配置され得、そして患者の生理学的流体に曝露されるまで、この第一のヒドロゲル前駆体は、この第二のヒドロゲル前駆体から空間的に離されて、この第一のヒドロゲル前駆体とこの第二のヒドロゲル前駆体とが互いに反応することを防止し得る。水分(生理学的流体が挙げられる)に対するこのテープの曝露は、この第一のヒドロゲル前駆体を、この多孔性基材を通して移動させてこの第二のヒドロゲル前駆体と反応させ得る。この剥離シートは、この多孔性基材に取り外し可能に付着されて、このテープが尚早に貼り付くことを防止し得る。例えば、創傷に貼付される前に取り扱われる場合、または巻軸に巻き付けられてテープロールを形成している間である。ある実施形態において、本明細書中に記載されるテープは、止血特性を示すのみでなく、接着特性もまた示す。
【0010】
本開示は、止血テープを貯蔵および分配するためのパッケージをさらに記載する。ある実施形態において、このパッケージは、ハウジングおよび止血テープのロールを備える、テープディスペンサーであり得る。このテープは、多孔性基材、この多孔性基材に塗布された第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体、ならびに剥離シートを備える。このディスペンサーはまた、このハウジングに配置された第一の支持具、およびこのハウジングに配置された第二の支持具を備え、この第一の支持具は、止血テープのロールを支持するためのものであり、そしてこの第二の支持具は、ロールからこの第二の支持具上に延びるある長さの止血テープを受け取るように構成されている。切断部材が、このハウジングに作動可能に結合される。この切断部材は、このロールからのある長さのテープの少なくとも一部分を分離するように構成されている。
【0011】
別の実施形態において、止血テープディスペンサーが開示され、この止血テープディスペンサーは、基部および少なくとも1つの側壁を有するハウジングを備える。このハウジングは、積み重ねられた構成の複数の止血テープを受け取るように構成される。各テープは、多孔性基材、この多孔性基材に塗布された第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体、ならびに剥離シートを備える。裏打ちシートもまた、このテープに追加され得る。近位端および遠位端を有する付勢部材が、このハウジング内に配置される。この付勢部材の遠位端は、このハウジングの基部の近くに配置され、そしてこの付勢部材の近位端は、第一の支持部材の下方に配置される。この第一の支持部材は、止血テープのスタックを支持する。保持部材が、この少なくとも1つの側壁の近位端に配置されて、止血テープをこのハウジング内に保持する。開口部が、この保持部材の遠位に配置されて、このテープがこのハウジングから横方向に取り出されることを可能にする。
【0012】
別の実施形態において、止血テープディスペンサーが記載され、この止血テープディスペンサーは、止血テープのロールを受け取るように構成されたハウジングを備え、このロールは、裏打ちシートおよび多孔性基材を備える。この多孔性基材は、第一のヒドロゲル前駆体、第二のヒドロゲル前駆体、および剥離シートを含む。このディスペンサーは、このハウジングに配置された第一の支持部材を有し、この第一の支持部材は、この止血テープのロールを支持するためのものである。第二の支持部材が、このハウジングに配置され、そしてこの第一の支持部材から延びるある長さの止血テープを受け取るように構成される。このディスペンサーはまた、この第二の支持部材の近くに配置されるスロットを備え、このスロットは、この止血テープの通過のために構成され、この多孔性基材をこの裏打ちシートから取り外すことを可能にする。第三の支持部材が、このハウジングに配置され、そしてこの第三の支持部材は、この第二の支持部材から延びるある長さの裏打ちシートを受け取るように構成される。このディスペンサーはまた、このハウジングに回転可能に配置されてこの第三の支持部材に接続されたホイール部材を備え得、このホイール部材は、ある長さのテープをこの第一の支持部材およびこの第二の支持部材から引き出すために回転可能である。
【0013】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に与えられた本開示の一般的な説明および以下に与えられる実施形態の詳細な説明と一緒になって、本発明の原理を説明する役に立つ。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、抗血液凝固治療を受けている患者の小さい傷からの出血を封止するデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1A〜Eは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図1B】図1A〜Eは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図1C】図1A〜Eは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図1D】図1A〜Eは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図1E】図1A〜Eは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図2】図2は、本開示の別の実施形態の多孔性基材の側面図を示す。
【図3】図3は、本開示のなお別の実施形態の多孔性基材の側面図を示す。
【図4A】図4A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図4B】図4A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図4C】図4A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、多孔性基材への第一のヒドロゲル前駆体の塗布を概略的に示す。
【図5A】図5A〜Dは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含む粒子の塗布を概略的に示す。
【図5B】図5A〜Dは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含む粒子の塗布を概略的に示す。
【図5C】図5A〜Dは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含む粒子の塗布を概略的に示す。
【図5D】図5A〜Dは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含む粒子の塗布を概略的に示す。
【図6A】図6A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含むフィルムの塗布を概略的に示す。
【図6B】図6A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含むフィルムの塗布を概略的に示す。
【図6C】図6A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含むフィルムの塗布を概略的に示す。
【図7A】図7A〜Bは、第一のヒドロゲル前駆体を含む発泡体と発泡体多孔性基材との同時の形成を概略的に示す。
【図7B】図7A〜Bは、第一のヒドロゲル前駆体を含む発泡体と発泡体多孔性基材との同時の形成を概略的に示す。
【図8A】図8A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含む粒子の塗布を概略的に示す。
【図8B】図8A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含む粒子の塗布を概略的に示す。
【図8C】図8A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含む粒子の塗布を概略的に示す。
【図9A】図9A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含むフィルムの塗布を概略的に示す。
【図9B】図9A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含むフィルムの塗布を概略的に示す。
【図9C】図9A〜Cは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるような、第一のヒドロゲル前駆体がすでに塗布されている多孔性基材への、第二のヒドロゲル前駆体を含むフィルムの塗布を概略的に示す。
【図10】図10は、ロール構成のテープの側面図を示す。このロール構成のテープは、本開示の実施形態のうちの少なくとも1つに記載されるように、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体が塗布されており、そして剥離シートおよび裏打ちシートが多孔性基材に付着している。
【図11】図11は、本開示のなお別の実施形態による、本明細書中に記載されるテープのうちの1つを受け取るように設計および構成されたディスペンサーの側面図を示す。
【図12A】図12A〜Bは、本開示のなお別の実施形態による、本明細書中に記載されるテープのうちの1つを受け取るように設計および構成されたディスペンサーの側面図を示す。
【図12B】図12A〜Bは、本開示のなお別の実施形態による、本明細書中に記載されるテープのうちの1つを受け取るように設計および構成されたディスペンサーの側面図を示す。
【図13A】図13A〜Cは、本開示の別の実施形態による、本明細書中に記載される個々のテープのスタックを受け取るように設計および構成されたディスペンサーを示す。
【図13B】図13A〜Cは、本開示の別の実施形態による、本明細書中に記載される個々のテープのスタックを受け取るように設計および構成されたディスペンサーを示す。
【図13C】図13A〜Cは、本開示の別の実施形態による、本明細書中に記載される個々のテープのスタックを受け取るように設計および構成されたディスペンサーを示す。
【図14A】図14A〜Cは、本開示のなお別の実施形態による、本明細書中に記載される個々のテープを分配するように設計および構成されたディスペンサーを示す。
【図14B】図14A〜Cは、本開示のなお別の実施形態による、本明細書中に記載される個々のテープを分配するように設計および構成されたディスペンサーを示す。
【図14C】図14A〜Cは、本開示のなお別の実施形態による、本明細書中に記載される個々のテープを分配するように設計および構成されたディスペンサーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示に従う止血テープは、剥離シートに付着した多孔性基材を備え、ここでこの多孔性基材は、この多孔性基材に塗布された第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体を備える。使用中に、生理学的流体への曝露の際に、この第一のヒドロゲル前駆体とこの第二のヒドロゲル前駆体とが反応して、止血を提供し、そしてこのテープを損傷組織に接着させる。いくつかの実施形態において、このテープは、組織(例えば、器官)の周りに巻かれ得る。いくつかの実施形態において、この第一のヒドロゲル前駆体およびこの第二のヒドロゲル前駆体は、コントラスト色素、表面テクスチャー、着色または他の視覚的手掛りの付与により、互いから区別可能であり得る。いくつかの実施形態において、この第一のヒドロゲル前駆体およびこの第二のヒドロゲル前駆体は、多孔性基材の異なる部分に配置され得る。開いた創傷との接触の際に、この多孔性基材は生理学的流体(例えば、血液)を吸収し得、そしてこの第一のヒドロゲル前駆体は、この流体に溶解され得る。この流体がこの多孔性テープに染み込み、この多孔性テープを横切って移動するにつれて、この流体は、溶解した第一のヒドロゲル前駆体をこのテープに沿ってこのテープを通して運ぶ。最終的に、この流体は、このテープを通って、この多孔性基材の第二の部分(この部分に、第二のヒドロゲル前駆体が塗布され得る)に達するために充分に移動し、これによって、この第二のヒドロゲル前駆体を溶解する。次いで、この第一のヒドロゲル前駆体とこの第二のヒドロゲル前駆体とが反応して、生体適合性架橋材料を形成し得、これによって、このテープを組織に接着させ得、そして止血を補助し得る。
【0017】
このテープの多孔性基材は、その表面の少なくとも一部分にわたって、開口部または細孔を有する。以下により詳細に記載されるように、多孔性基材を形成するために適切な材料としては、繊維構造体(例えば、編まれた構造体、織られた構造体、不織構造体など)および/または発泡体(例えば、連続気泡発泡体もしくは不連続気泡発泡体)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、これらの細孔は、この多孔性基材の厚さ全体にわたって相互接続するために充分な数およびサイズであり得る。織られた布、編まれた布および連続気泡発泡体は、これらの細孔がこの多孔性基材の厚さ全体にわたって相互接続するために充分な数およびサイズであり得る構造体の実証例である。他の実施形態において、これらの細孔は、この多孔性基材の厚さ全体にわたって相互接続しない。不連続気泡発泡体または融合不織材料は、これらの細孔がこの多孔性基材の厚さ全体にわたって相互接続しないかもしれない構造体の実証例である。発泡体多孔性基材の細孔は、この多孔性基材の厚さ全体にわたって広がり得る。なお他の実施形態において、これらの細孔は、この多孔性基材の厚さ全体にわたって広がらないかもしれず、むしろ、この多孔性基材の厚さの一部分に存在し得る。いくつかの実施形態において、これらの開口部または細孔は、多孔性基材の表面の一部分に配置され得、この多孔性基材の他の部分は、非多孔性テクスチャーを有する。本開示を読む当業者は、多孔性基材についての他の細孔分布パターンおよび構成を想定する。
【0018】
多孔性基材が繊維性である場合、これらの繊維は、編むためまたは織るために適切なフィラメントまたは糸であり得るか、あるいはステープルファイバー(例えば、不織材料を調製するために頻繁に使用される繊維)であり得る。これらの繊維は、任意の生体適合性材料から作製され得る。従って、これらの繊維は、天然材料または合成材料から形成され得る。これらの繊維が形成される材料は、生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。天然材料、合成材料、生体吸収性材料および非生体吸収性材料の任意の組み合わせを使用して、繊維を形成し得ることが、もちろん理解されるべきである。繊維または発泡体が作製され得る材料のいくつかの非限定的な例としては、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、多糖類、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、生体高分子、ポリマー薬物、ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンドおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
多孔性基材が繊維性である場合、この多孔性基材は、繊維性構造体を形成するために適切な任意の方法(編むこと、織ること、不織技術、湿式紡糸、通電紡糸、押し出し、共押し出しなどが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して形成され得る。繊維性構造体を作製するために適切な技術は、当業者の知識の範囲内である。
【0020】
ある実施形態において、多孔性基材は、酸化セルロースの繊維から作製され得る。このような材料は公知であり、そしてSURGICEL(登録商標)の商標名のもとで市販されている酸化セルロース止血材料が挙げられる。酸化セルロース止血材料を調製する方法は、当業者に公知であり、そして例えば、米国特許第3,364,200号;同第4,626,253号;同第5,484,913号;および同第6,500,777号に開示されている。これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0021】
多孔性基材が発泡体である場合、この多孔性基材は、発泡体またはスポンジを形成するために適切な任意の方法(組成物の凍結乾燥またはフリーズドライが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して、形成され得る。この発泡体は、架橋していても架橋していなくてもよく、そして共有結合またはイオン結合を含み得る。発泡体を作製するために適切な技術は、当業者の知識の範囲内である。
【0022】
この多孔性基材は、少なくとも0.1cmの厚さ、いくつかの実施形態においては、約0.2cm〜約1.5cmの厚さであり得る。この多孔性基材は、少なくとも0.1cmの幅、いくつかの実施形態においては、約0.2cm〜約10cmの幅であり得る。他の実施形態において、本明細書中に記載されるテープは、細長いストリップに製造され得、これは、巻軸に巻かれ得る。例えば、このテープは、巻かれ得る長いストリップに製造され得、その寸法は、約0.5cmの幅および少なくとも約10cmの長さであり得る。このテープの長さおよび幅は、このテープにより覆われることが意図される創傷のサイズに従って変動し得ることが、想定される。
【0023】
この多孔性基材の細孔のサイズは、約2μm〜約300μm、いくつかの実施形態においては、約50μm〜約150μmであり得る。この基材の細孔は、この基材に任意の様式で配置され得ることが想定される。例えば、これらの細孔は、無作為な様式で構成されても均一な様式で構成されてもよい。いくつかの実施形態において、これらの細孔は、ハニカム形状の多孔性基材を作製するように、アルギン酸銅を使用して形成され得る。なお他の実施形態において、これらの細孔は、この多孔性基材に勾配を生じるように構成され得る。この勾配は、この多孔性基材が、生理学的流体を吸収し、そして第一のヒドロゲル前駆体を第二のヒドロゲル前駆体の方へと運ぶ生理学的流体の移動を方向付ける能力を、さらに高め得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、このテープは、非変性コラーゲンまたは加熱もしくは他の任意の方法によりそのらせん構造を少なくとも部分的に失ったコラーゲンから作製され得る。このらせん構造を少なくとも部分的に失ったコラーゲンは、主として、加水分解されていないα鎖からなり、その分子量は、100kDaに近い。用語「非変性コラーゲン」とは、そのらせん構造を失っていないコラーゲンを意味する。テープのために使用されるコラーゲンは、天然コラーゲンであってもアテロコラーゲン(atelocollagen)(顕著には、ペプシン消化によって、および/または上に規定されたように穏やかな加熱後に得られるような)であってもよい。このコラーゲンは、酸化、メチル化、エチル化、スクシニル化、または他の任意の公知のプロセスによって、事前に化学修飾され得る。このコラーゲンはまた、任意の適切な架橋剤(例えば、ゲニピン(genipin)、イソシアネート、およびアルデヒド)で架橋され得る。このコラーゲンはまた、任意の適切な生分解性材料および/または非生分解性材料と組み合わせられ得る。
【0025】
ある実施形態において、このテープは、2g/l〜50g/lの濃度のコラーゲンの酸水溶液を、4℃〜25℃の初期温度でフリーズドライさせることにより得られ得る。この溶液中のコラーゲンの濃度は、約1g/l〜約30g/l、ある実施形態においては、約10g/lであり得る。この溶液は、有利には、約6〜8のpHまで中和され得る。
【0026】
このテープはまた、様々なそれぞれの量(空気:水の体積は、約1〜約10まで変動する)のある体積の空気の存在下で乳化された、コラーゲンまたは加熱コラーゲンの溶液から調製された流体泡状物をフリーズドライさせることにより、得られ得る。
【0027】
多孔性基材には、第一のヒドロゲル前駆体が塗布されており、そして第二のヒドロゲル前駆体が塗布されている。用語「第一のヒドロゲル前駆体」および「第二のヒドロゲル前駆体」は、各々、架橋分子(例えば、ヒドロゲル)の網目構造を形成するための反応に関与し得るポリマー、官能性ポリマー、高分子、低分子、または架橋剤を意味する。
【0028】
ある実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体または第二のヒドロゲル前駆体のうちの少なくとも一方は、約1000Da以下の低分子であり得、そして「架橋剤」と称され得る。架橋剤は、水溶液中で少なくとも1g/100mLの溶解度を有し得る。架橋した分子は、イオン結合または共有結合、物理的力、あるいは他の引力によって架橋され得る。
【0029】
ある実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体または第二のヒドロゲル前駆体のうちの少なくとも一方は、高分子であり得、そして「官能性ポリマー」と称され得る。高分子は、架橋剤と組み合わせて反応させられる場合、分子量がこの低分子架橋剤より少なくとも5倍〜50倍大きくあり得、そして約60,000Da未満であり得る。いくつかの実施形態において、分子量が架橋剤より7倍〜30倍大きくあり得る高分子が使用され得、そしていくつかの実施形態において、分子量に約10倍〜約20倍の差があり得る高分子が使用され得る。さらに、高分子の5,000〜50,000の分子量が有用であり得る。用語「ポリマー」とは、本明細書中で使用される場合、少なくとも3つの反復する基から形成される分子を意味する。
【0030】
第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の各々は、多官能性であり得、そのことは、各ヒドロゲル前駆体が、2つ以上の求電子性官能基または求核性官能基を含み、その結果、例えば、第一のヒドロゲル前駆体上の求核性官能基が、第二のヒドロゲル前駆体上の求電子性官能基と反応して、共有結合を形成し得ることを意味する。第一のヒドロゲル前駆体または第二のヒドロゲル前駆体のうちの少なくとも一方は、2つより多くの官能基を含み、その結果、求電子性−求核性反応の結果として、これらの前駆体が一緒になって、架橋ポリマー生成物を形成する。このような反応は、「架橋反応」と称される。
【0031】
ある実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の各々は、求核性前駆体と求電子性前駆体との両方が架橋反応において使用される限り、1つのみのカテゴリーの官能基(求核性基のみ、または求電子性官能基のみのいずれか)を含む。従って、例えば、第一のヒドロゲル前駆体が求核性官能基(例えば、アミン)を有する場合、第二のヒドロゲル前駆体は、求電子性官能基(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド)を有し得る。他方で、第一のヒドロゲル前駆体が求電子性官能基(例えば、スルホスクシンイミド)を有する場合、第二のヒドロゲル前駆体は、求核性官能基(例えば、アミンまたはチオール)を有し得る。従って、官能性ポリマー(例えば、タンパク質、ポリ(アリルアミン)、スチレンスルホン酸、またはアミン末端を有する二官能性ポリ(エチレングリコール)(「PEG」)もしくは多官能性PEG)が使用され得る。
【0032】
第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体は、生物学的に不活性かつ水溶性であるコアを有し得る。このコアが水溶性であるポリマー領域である場合、使用され得るポリマーとしては、ポリエーテル(例えば、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリエチレンオキシド−co−ポリプロピレンオキシド(「PPO」)、コポリエチレンオキシドブロックコポリマーまたはランダムコポリマー))、およびポリビニルアルコール(「PVA」);ポリ(ビニルピロリジノン)(「PVP」);ポリ(アミノ酸)、ポリ(サッカリド)(例えば、デキストラン、キトサン、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒアルロン酸)、ならびにタンパク質(例えば、アルブミン、コラーゲン、カゼイン、およびゼラチン)が挙げられる。ポリエーテル、そしてより特定すると、ポリ(オキシアルキレン)またはポリ(エチレングリコール)すなわちポリエチレングリコールが、特に有用である。このコアが本質的に低分子である場合、種々の親水性官能基のうちの任意のものが、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体を水溶性にするために使用され得る。例えば、ヒドロキシル、アミン、スルホネートおよびカルボキシレートなどの官能基(これらは、水溶性である)は、この前駆体を水溶性にするために使用され得る。さらに、スベリン酸のN−ヒドロキシスクシンイミド(「NHS」)エステルは、水に不溶性であるが、スルホネート基をスクシンイミド環に付加することによって、スベリン酸のNHSエステルは、そのアミン基に対する反応性に影響を与えることなく、水溶性にされ得る。
【0033】
第一のヒドロゲル前駆体と第二のヒドロゲル前駆体との反応から生じる生体適合性の架橋ポリマーが生分解性または生体吸収性であることが望ましい場合、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体のうちの1つ以上は、官能基の間に存在する生分解性結合を有し得る。この生分解性結合はまた、必要に応じて、これらの前駆体のうちの1つ以上の水溶性コアとして働き得る。代案において、またはさらに、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体の官能基は、これらの前駆体間の反応の生成物が生分解性結合を生じるように選択され得る。各アプローチについて、生分解性結合は、得られる生分解性生体適合性架橋ポリマーが、所望の期間で分解するか、溶解するか、または吸収されるように選択され得る。ある実施形態において、生理学的条件下で非毒性生成物に分解する生分解性結合が選択され得る。
【0034】
生分解性結合は、キレートであり得るか、または化学的もしくは酵素的に加水分解可能もしくは吸収性であり得る。例示的な化学的加水分解可能生分解性結合としては、グリコリド、dl−ラクチド、l−ラクチド、カプロラクトン、ジオキサノン、およびトリメチレンカーボネートの、ポリマー、コポリマーおよびオリゴマーが挙げられる。例示的な酵素的加水分解可能生分解性結合としては、メタロプロテイナーゼおよびコラーゲナーゼにより切断可能なペプチド結合が挙げられる。さらなる例示的な生分解性結合としては、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(酸無水物)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カーボネート)、ポリ(サッカリド)、およびポリ(ホスホネート)の、ポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0035】
ある実施形態において、生分解性結合は、エステル結合を含み得る。いくつかの非限定的な例としては、コハク酸、グルタル酸、プロピオン酸、アジピン酸、またはアミノ酸のエステル、ならびにカルボキシメチルエステルが挙げられる。
【0036】
ある実施形態において、多官能性求核性ポリマー(例えば、トリリジン)が、第一のヒドロゲル前駆体として使用され得、そして多官能性求電子性ポリマー(例えば、複数のNHS基で官能基化されたマルチアームPEG)が、第二のヒドロゲル前駆体として使用され得る。複数のNHS基で官能基化されたマルチアームPEGは、例えば、4つ、6つ、または8つのアームを有し得、そして約5,000〜約25,000の分子量を有し得る。適切な第一の前駆体および第二の前駆体の他の多くの例は、米国特許第6,152,943号;同6,165,201号;同6,179,862号;同6,514,534号;同6,566,406号;同6,605,294号;同6,673,093号;同6,703,047号;同6,818,018号;同7,009,034号;および同7,347,850号に記載されており、これらの各々の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0037】
第一のヒドロゲル前駆体は、多孔性基材の第一の部分に塗布され得、そして第二のヒドロゲル前駆体は、多孔性基材の第二の部分に塗布され得る。例えば、これらの前駆体は、乾燥形態(例えば、粒子状物質)、または固体状態もしくは半固体状態(例えば、フィルム)、あるいは泡状物として、塗布され得る。いくつかの実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体または第二のヒドロゲル前駆体のうちの少なくとも一方は、この多孔性基材に、フィルムとして塗布され得る。いくつかの実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体が塗布された基材の第一の部分は、第二のヒドロゲル前駆体が塗布された多孔性基材の第二の部分から空間的に離され得る。第一のヒドロゲル前駆体と第二のヒドロゲル前駆体とを互いから空間的に離すことによって、そのテープが創傷上に配置されて患者の生理学的流体に曝露されるまで、これらの前駆体が互いに反応することが防止される。
【0038】
第一のヒドロゲル前駆体は、当業者に公知である任意の適切な方法を使用して、多孔性基材に塗布され得る。例えば、第一のヒドロゲル前駆体は、多孔性基材を形成する前に、この多孔性基材に組み込まれ得る。別の非限定的な例において、第一のヒドロゲル前駆体は、多孔性基材の形成後、多孔性基材の細孔内または多孔性基材の表面に配置され得る。さらなる実施形態において、多孔性基材は、第一のヒドロゲル前駆体の塗布前にカレンダー処理され得、これによって、第一の前駆体が、このカレンダー処理プロセスにより作製されたこの基材の開口部内に浸透することを可能にする。なお他の実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体は、この多孔性基材に溶液として塗布され得、引き続いて、その溶媒を蒸発または凍結乾燥され得る。
【0039】
第二のヒドロゲル前駆体は、同様に、当業者に公知である任意の適切な方法を使用して、多孔性基材に塗布され得る。いくつかの実施形態において、止血テープを形成し得る任意の濃度、寸法および構成で、コーティングがこの基材に塗布され得ることが想定される。ある実施形態において、第二のヒドロゲル前駆体コーティングは、多孔性基材の細孔に浸透し得る。このコーティングは、非多孔性層または多孔性層を形成し得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体は、溶液として多孔性基材に塗布され得る。いくつかの実施形態において、第二のヒドロゲル前駆体は、溶液として多孔性基材に塗布され得る。第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体は、任意の適切な溶媒に可溶化され得る。適切な溶媒のいくつかの例としては、水、生理食塩水、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、C〜Cアルカノール、プロピレングリコール、アセトン、アルキルエステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル)、アルキルケトン(例えば、メチルエチルケトン)、ジアルキルアミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン、環状アルキルアミド(例えば、カプロラクタム)、デシルメチルスルホキシド、オレイン酸、プロピレンカーボネート、芳香族アミド(例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド)、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンなどが挙げられるが、これらに限定されることは意図しない。一旦、第一のヒドロゲル前駆体溶液および/または第二のヒドロゲル前駆体溶液が多孔性基材に塗布されたら、その溶媒がこの多孔性基材から除去され得、多孔性基材内に配置された第一のヒドロゲル前駆体および/または第二のヒドロゲル前駆体を、粒子形態または脱水形態で残し得る。溶媒は、溶媒を乾燥または除去するために適切な任意の方法を使用して除去され得る。
【0041】
本明細書中に記載される止血テープは、生理学的流体(例えば、汗、血液、粘液、唾液など)、ならびに任意の水および生理食塩水と接触して配置される場合に、自己接着する。これらのテープは、生理学的流体が第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体と相互作用した後に、創傷および/または周囲の皮膚に接着する。ある実施形態において、これらの流体は、これらの流体が多孔性基材を通過する際に、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体を溶解して混合する。
【0042】
他の実施形態において、これらのテープは、棘付きの繊維またはフィラメントを備え得る。これらの棘は、これらのテープの任意の部分に付与され得る。これらの棘は、これらのテープが組織に接着する能力を高め得る。これらの棘はまた、これらのテープが組織に巻き付けられる場合に、このテープの他の部分に接着する能力を高め得ることが想定される。例えば、棘付きテープは、この棘付きテープの第一の部分がこの棘付きテープの第二の部分の上に重なり、そしてこの第一の部分の棘がこのテープの第二の部分に接着し得るように、器官の周りに巻かれ得る。
【0043】
これらのテープは、生理学的流体と接触する場合に自己接着し得るが、いくつかの実施形態において、これらのテープは、接着層をさらに備え得る。いくつかの実施形態において、この接着層は、この多孔性基材の、創傷に面する方の表面に配置されて、生理学的流体とこのテープ内の第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体との相互作用の前に、このテープに、初期接着特性を提供し得る。他の実施形態において、接着層は、この多孔性基材の、創傷ではない方に面する方の表面に配置されて、支持層をこのテープに付着し得る。なお他の実施形態において、本明細書中に記載されるテープは、1つより多くの接着層を備え得る。この接着層は、このテープの一部分に、連続的な様式または不連続な様式で付けられ得、そして任意の適切なパターンまたは濃度を呈し得る。
【0044】
この接着層は、多孔性基材に接着するために適切な任意の接着材料を含む。この接着材料は、いずれの特定の材料にも特に限定されない。しかし、いくつかの実施形態において、この接着層は、医療用途のために適切な感圧性接着剤を含む。いくつかの非限定的な例としては、アクリルベースの接着剤、ゴムベースの接着剤、シリコーンベースの接着剤、およびこれらの2つ以上のブレンドが挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態において、この接着層は、約10μm〜約200μmの厚さを有する連続フィルムとして、この多孔性基材の表面に形成され得る。他の実施形態において、この接着層は、多孔性基材への接着のために適切な任意のパターン、形状または厚さを示す不連続フィルムとして、この多孔性基材の表面に形成され得る。
【0046】
多孔性基材に加えて、本明細書中に記載される止血テープは、この多孔性基材の少なくとも一部分を覆って配置された剥離シートを備える。この剥離シートは、創傷への付着の前に、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体を含む多孔性基材との接触または相互作用を防止するように設計され得、これによって、このテープを意図されない表面に尚早に付着させる恐れなしに、このテープを取り扱うことを可能にする。この剥離シートは、この多孔性基材の少なくとも1つの表面に取り外し可能に付着され得る。この剥離シートはまた、多孔性基材の1つの部分が多孔性基材の別の部分と接触することを防止しながら、任意の様式でこのテープが折り畳まれるか、巻かれるか、または捻られることを可能にし、これによって、このテープがそれ自体に貼り付くことを防止する。この剥離シートは、多孔性基材、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体と非反応性である、任意の生体吸収性材料または非生体吸収性材料から作製され得る。いくつかの例としては、ポリラクトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、金属化ポリマーフィルム、金属箔、シリコーンベースの材料、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ヒアルロン酸、デキストラン、多糖類、ゼラチン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
この剥離シートは、多孔性基材に取り外し可能に付着され得る。取り外し可能であることにより、この剥離シートは必要に応じて、この多孔性基材上に配置され得、そして/またはこの多孔性基材上で再配置され得、またはこの多孔性基材から外され得る。この剥離シートは、取り外し可能に配置可能であり得る。いくつかの実施形態において、剥離シートは、多孔性基材に付着される前に形成され得る。例えば、剥離シートは、シリコーンでコーティングされた紙フィルムであり得、これは、多孔性基材に取り外し可能に付着される前に、適切なサイズの形状にされる。他の実施形態において、この剥離シートは、多孔性基材と接触している間に形成され得る。
【0048】
この剥離シートは、多孔性基材の少なくとも1つの表面に配置されて、この多孔性基材が水、生理食塩水、水分または他の生理学的流体と接触することを防止し得る。いくつかの実施形態において、この多孔性基材は、上の剥離シートと下の剥離シートとの間に配置され得る。他の実施形態において、この多孔性基材は、この多孔性基材の全面を囲み、かつ水分および流体がこの多孔性基材に到達することを防止する、剥離シート内に封入され得る。この剥離シートは、任意の形状またはサイズの多孔性基材に適応するように形成され得ることが想定される。なお他の実施形態において、剥離シートは、裏打ちシートの上に配置され得る。
【0049】
裏打ちシートは、多孔性基材の、創傷ではない方に面する方の表面に付着され得る。一般に、裏打ちシートは、支持を提供し得、そしてまた創傷に付着された後に多孔性基材のための保護覆いとして働き得る、任意の材料(織材料または不織材料、合成材料または天然材料、多孔性材料または非多孔性材料、穿孔材料または非穿孔材料、弾性材料または非弾性材料)から作製され得る。適切な材料のいくつかの非限定的な例としては、例えば、セロファン、酢酸セルロース、エチルセルロース、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリトリメチレンカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリビニリデンクロリド、生体高分子(例えば、コラーゲン、エラスチン、デキストラン、アルギネート、キトサン、ケラチン)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ある実施形態において、この裏打ちシートは、フィルムの形態であり得る。他の実施形態において、この裏打ちシートは、布であり得る。この裏打ちシートは、水分の蒸気、液体、気体および/または細菌の増殖に対して、不透過性であり得る。この裏打ちシートは、不透明であっても透明であってもよい。この裏打ちシートの幅および厚さは、使用される多孔性基材のサイズおよび形状に従って変動する。
【0050】
この裏打ちシートは、多孔性基材にしっかりと付着され得る。いくつかの実施形態において、この裏打ちシートは、多孔性基材に付着させられる前に形成され得る。他の実施形態において、この裏打ちシートは、多孔性基材と接触している間に形成され得る。いくつかの実施形態において、裏打ちシートをこの多孔性基材にしっかりと付着させるために、接着剤が使用され得る。
【0051】
組織の支持および止血を提供することに加えて、これらのテープはさらに、生物活性薬剤を送達するために使用され得る。従って、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの生物活性薬剤が、このテープの任意の部分(多孔性基材、第一のヒドロゲル前駆体、第二のヒドロゲル前駆体、裏打ち材料、剥離シート、接着層が挙げられる)に組み合わせられ得、そして/またはこのテープに別に塗布され得る。これらの薬剤は、前駆体と自由に混合され得るか、または任意の種々の化学結合を介して前駆体に繋留され得る。これらの実施形態において、本発明のテープはまた、生物活性薬剤の送達のためのビヒクルとして働き得る。
【0052】
用語「生物活性薬剤」とは、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして臨床用途を有する任意の物質または物質混合物を包含する。その結果、生物活性薬剤は、それ自体が薬理活性を有しても有さなくてもよい(例えば、色素または香料)。あるいは、生物活性薬剤は、治療効果または予防効果を提供する任意の薬剤、組織成長、細胞増殖、細胞分化に影響を与えるかまたは関与する化合物、抗接着化合物、生物学的作用(例えば、免疫応答)を惹起することが可能であり得る化合物であり得るか、あるいは1つ以上の生物学的プロセスにおいて他の任意の役割を果たし得る。生物活性薬剤は、任意の適切な形態(例えば、フィルム、粉末、液体、ゲルなど)で、本発明のテープに適用され得ることが想定される。
【0053】
本開示に従って利用され得る生物活性薬剤のクラスの例としては、接着防止薬剤;抗菌薬;鎮痛薬;解熱薬;麻酔薬;鎮痙薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;心臓血管薬剤;診断剤;交感神経様作用薬;コリン様作用薬;抗ムスカリン薬;鎮痙薬;ホルモン;増殖因子;成長因子;筋弛緩薬;アドレナリン作用性ニューロン遮断薬;抗腫瘍薬;免疫原性薬剤;免疫抑制薬;胃腸薬;利尿薬;ステロイド;脂質;リポ多糖類;多糖類;血小板活性化薬物;凝固因子および酵素が挙げられる。生物活性薬剤の組み合わせが使用され得ることもまた意図される。
【0054】
本開示のテープ中に生物活性薬剤として含有され得る適切な抗菌剤としては、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク、および銀スルファジアジンが挙げられる)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質およびペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシン(lactoferricin)B)が、本開示のテープによる送達のために適切な生物活性薬剤として含有され得る。
【0055】
本開示に従うテープに塗布され得る他の生物活性薬剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性避妊薬;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管薬剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬剤;化学療法剤、エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的薬剤が挙げられる。
【0056】
テープに含有され得る適切な生物活性薬剤の他の例としては、ウイルスおよび細胞;ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、アナログ、ムテイン、およびその活性フラグメント(例えば、免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン));血液凝固因子;造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリスロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および癌抑制因子;血液タンパク質;フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン;性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質;TGF−β;タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。
【0057】
ここで図1A〜図1Eを参照すると、第一のヒドロゲル前駆体が多孔性基材の細孔内に塗布され、そして第二のヒドロゲル前駆体が多孔性基材の第二の部分に塗布される順序が示されている。図1Aにおいて、多孔性基材20は、内部に規定された複数の細孔25を有する発泡体である。溶媒に溶解した第一のヒドロゲル前駆体を含有する溶液35が、容器19内に貯蔵される。多孔性基材20が溶液35に浸漬され、そして溶液35内に完全に沈められる。取り出されると、この基材が乾燥され、溶媒を溶液35から除去し、そして図1Bに示されるように、第一のヒドロゲル前駆体30を含有する粒子を、基材20の細孔25内に堆積させる。
【0058】
図1Cにおいて、第一のヒドロゲル前駆体を含む多孔性基材20は、第二のヒドロゲル前駆体の融解物45と接触させられる。冷却されると、第二のヒドロゲル前駆体の融解物45は固化して、基材20の少なくとも一部分を覆うフィルム40を形成する。第二の前駆体のフィルム40の塗布後、このテープは、任意の所望のサイズおよび形状に切り取られ得る。図1Dのテープ10は、粒子30の形態の第一のヒドロゲル前駆体が多孔性基材20の第一の部分22に塗布され、そしてフィルム40の形態の第二のヒドロゲル前駆体が多孔性基材20の第二の部分24に塗布されて示されている。
【0059】
図1Eにおいて、第一の剥離シート60aが、テープ10の一部分に取り外し可能に付着されている。第一の剥離シート60aは、テープ10のフィルム40に取り外し可能に付着されることが示されている。いくつかの実施形態において、第一の剥離シートは、テープの多孔性基材の部分に取り外し可能に付着され得る。いくつかの実施形態において、第二の剥離シートが、テープの異なる部分に取り外し可能に付着される(図5Dを参照のこと)。
【0060】
いくつかの実施形態において、接着剤は、テープの一部分に取り外し可能に付着される前に、剥離シートに塗布され得る。いくつかの実施形態において、この剥離シートは、この剥離シートが形成されている間に、このテープに取り外し可能に付着され得る。
【0061】
図2のテープ110は、多孔性基材120がメッシュ材料であり、粒子の形態の第一のヒドロゲル前駆体130およびフィルムの形態の第二のヒドロゲル前駆体140が塗布されていること以外は、図1A〜図1Eの順序に示される様式と類似の様式で調製され得る。図1A〜図1Eに示される発泡体または図2に示されるメッシュの代りに、不織材料(図示せず)が多孔性基材として使用され得ることが、想定される。
【0062】
図3のテープ210は、多孔性基材220がメッシュ材料であり、コーティングの形態の第一のヒドロゲル前駆体230およびフィルムの形態の第二のヒドロゲル前駆体240が塗布されていること以外は、図1A〜図1Eの順序に示される様式と類似の様式で調製され得る。第一のヒドロゲル前駆体のコーティング230は、多孔性基材220を、第一のヒドロゲル前駆体の溶液、または第一のヒドロゲル前駆体の融解物に浸漬することによって、形成され得る。あるいは、第一のヒドロゲル前駆体は、基材への塗布前にフィルム形成ポリマーと組み合わせられて、コーティング230を提供し得る。本開示を読む当業者は、第一のヒドロゲル前駆体を含有するコーティングを基材に塗布するための他の方法および材料を予測する。
【0063】
ここで図4A〜図4Cを参照すると、第一のヒドロゲル前駆体が多孔性基材の第一の部分に塗布され得る順序が示されている。図4Aにおいて、多孔性基材320は、内部に規定された複数の細孔325を有する発泡材料であり得、少なくとも第一の部分322および第二の部分324を含む。溶媒に溶解した第一のヒドロゲル前駆体を含有する溶液335が、容器319に貯蔵され得る。多孔性基材320は、第一の部分322が溶液335の方に面し、そして第二の部分324が溶液335ではない方に面するように、溶液335上で配置され得る。
【0064】
図4Bにおいて、多孔性基材320を図4Aの矢印により表されるように溶液335の方向に移動させることによって、多孔性基材320の第一の部分322が部分的に溶液335に沈められる。多孔性基材320の第一の部分322のみが溶液335と接触し、その結果、充分な量の溶液335が、多孔性基材320の第一の部分322の細孔325に塗布され得、これらの細孔を満たし得る。取り出されると、このテープが乾燥させられ、溶液335から溶媒を除去し、そして図4Cに示されるように、第一のヒドロゲル前駆体を含有する粒子330を第一の部分322に堆積させる。粒子330は、第一のヒドロゲル前駆体を乾燥形式で含有し、そして第一の部分322に空間的に制限される。
【0065】
図5A〜図5Dにおいて、溶媒に溶解した第二のヒドロゲル前駆体を含有する溶液345が多孔性基材320の第二の部分324に塗布される順序が示されており、ここで第一のヒドロゲル前駆体を含有する粒子330が予め、基材320の第一の部分322に組み込まれている(図4A〜図4Cを参照のこと)。多孔性基材320は、第二の部分324が溶液345の方に面し、そして第一の部分322が溶液345ではない方に面するように、溶液345の上で配置される。
【0066】
図5Bに見られるように、多孔性基材320を図5Aの矢印により表されるように溶液345の方向に移動させることによって、多孔性基材320の第二の部分324が部分的に溶液345に沈められる。多孔性基材320の第二の部分324のみが溶液345と接触し、その結果、充分な量の溶液345が、第二の部分324に塗布され得る。取り出されると、このテープが乾燥させられ、第二のヒドロゲル前駆体を含有する第二の粒子340を第二の部分324に堆積させる。粒子340は、第二のヒドロゲル前駆体を乾燥形式で含有し、そして第二の部分324に空間的に制限される。図5Cの多孔性基材320は、第一のヒドロゲル前駆体がこの多孔性基材の第一の部分に塗布され、そして第二のヒドロゲル前駆体がこの多孔性基材の第二の部分に塗布され、この基材の第一の部分がこの多孔性基材の第二の部分から空間的に離れていることが示されている。
【0067】
図5Dにおいて、剥離シート360aが、多孔性基材320の第一の表面322aに取り外し可能に付着されている。さらに、裏打ちシート370aを多孔性基材320にしっかりと付着させるために、接着剤が第二の表面324aに塗布され得る。
【0068】
代替の実施形態において、第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体は、異なる形態でテープに塗布され得る。例えば、図6A〜図6Cにおいて、第一のヒドロゲル前駆体を含有する粒子430が第一の部分422に塗布されており、そして第二の部分424が、支持体429に塗布された第二のヒドロゲル前駆体を含有するフィルム形成溶液445の方に面している、上記粒子430を含有する多孔性基材が示されている。
【0069】
図6Bにおいて、多孔性基材420を図6Aの矢印により示される方向に移動させることによって、多孔性基材420の第二の部分424が、フィルム形成溶液445と接触させられ、そして/または部分的に沈められる。多孔性基材420の第二の部分424のみが、フィルム形成溶液445と接触し、その結果、充分な量の材料445が、第二の部分424に塗布され得る。フィルム形成溶液445は、(熱の付与ありまたはなしで)固化されて、第二の部分424の少なくとも一部分にわたってフィルムを形成する。図6Cの多孔性基材420は、粒子の形態の第一のヒドロゲル前駆体がこの基材の第一の部分に塗布されており、そしてフィルムの形態の第二のヒドロゲル前駆体がこの多孔性基材の第二の部分に塗布されており、この基材の第一の部分がこの多孔性基材の第二の部分から空間的に離れていることが示されている。
【0070】
ここで図7A〜図7Bを参照すると、多孔性基材および第一のヒドロゲル前駆体を含む多孔性層が、一緒に形成されることが示されている。図7Aにおいて、容器519は、多孔性基材を形成する予定の第一の溶液525、および第一のヒドロゲル前駆体を含有する第二の溶液535を含み、これらの2つの溶液は、実質的に別々の層のままである。これらの2つの溶液は、当業者に公知である任意の方法を使用して凍結乾燥されて、図7Bに示されるような多孔性基材を形成し、この多孔性基材は、凍結乾燥した第一の溶液525から作製された第一の多孔性基材520、およびこれに接続された、凍結乾燥した第二の溶液535から作製された第二の多孔性層530を備える。第二の多孔性層530は、第一のヒドロゲル前駆体を含み、そして第一の部分522を介して第一の多孔性基材520に結合して、2層の多孔性材料を有するテープを形成する。
【0071】
図8A〜図8Cにおいて、第二のヒドロゲル前駆体を含有する溶液545が多孔性基材520の第二の部分524に塗布される順序が示されており、多孔性基材520は、多孔性である第一のヒドロゲル前駆体を含む多孔性基材530をすでに有しており、この多孔性基材530は、第一の部分522で多孔性基材520に結合する。多孔性基材520は、第二の部分524が溶液545の方に面し、そして第一の部分522および第二の多孔性層530が溶液545ではない方に面するように、溶液545の上で配置される。
【0072】
図8Bに示されるように、多孔性基材520の第二の部分524は、多孔性基材520を、図8Aの矢印により表されるように溶液545の方向に移動させることによって、溶媒に溶解した第一のヒドロゲル前駆体を有する溶液545に部分的に沈められる。多孔性基材520の第二の部分524のみが溶液545と接触し、その結果、充分な量の溶液545が、第二の部分524に塗布され得る。除去されると、このテープは乾燥させられるか、または溶媒を除去するように乾燥させられて、粒子540を第二の部分524に堆積させる。第二の粒子540は、第二のヒドロゲル前駆体を乾燥形式で含有し、そして第二の部分524に空間的に制限される。図8Cの多孔性基材520は、発泡体の形態の第一のヒドロゲル前駆体がこの基材の第一の部分に塗布され、そして粒子の形態の第二のヒドロゲル前駆体がこの多孔性基材の第二の部分に塗布され、この基材の第一の部分がこの多孔性基材の第二の部分から空間的に離れていることが示されている。
【0073】
代替の実施形態において、図7Bに示されるような多孔性基材は、第二のヒドロゲル前駆体を含有するフィルム形成材料と組み合わせられ得る。図9A〜図9Cに示されるように、多孔性基材620は、第一の部分622および第二の部分624を備え、第一のヒドロゲル前駆体を含有する第二の多孔性層630が、第一の部分622において多孔性基材620に接続されている。第二の部分624は、支持体629に塗布されたフィルム形成溶液645に面することが示されている。フィルム形成材料645は、第二のヒドロゲル前駆体および溶媒を含有する。
【0074】
図9Bにおいて、多孔性基材620の第二の部分624は、多孔性基材620を、図9Aの矢印により表される方向に移動させることによって、フィルム形成溶液645に接触し、そして/または部分的に沈められる。多孔性基材620の第二の部分624のみがフィルム形成溶液645と接触し、その結果、充分な量の材料645が、第二の部分624に塗布され得る。フィルム形成溶液645は、第二の部分624の少なくとも一部分にわたってフィルムを形成する。図9Cの多孔性基材620は、発泡体の形態の第一のヒドロゲル前駆体がこの基材の第一の部分に塗布され、そしてフィルムの形態の第二のヒドロゲル前駆体がこの多孔性基材の第二の部分に塗布され、この基材の第一の部分がこの多孔性基材の第二の部分から空間的に離れていることが示されている。
【0075】
図6〜図9に示されるようなテープは、図1〜図5において先に提供されたような、任意の数の剥離シートに取り外し可能に付着され得、そして裏打ちシートにしっかりと付着され得ることが理解されるべきである。裏打ちシートおよび剥離シートの任意の組み合わせが、本明細書中に記載されるテープを形成する際に利用され得る。
【0076】
図1および図4〜図9に示されるような発泡体よりむしろ、多孔性基材は、繊維性構造体(すなわち、織られた構造体、編まれた構造体、または不織構造体)であり得ることが、さらに理解されるべきである(図2および図3を参照のこと)。第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体は、発泡体多孔性基材20に関して上に記載された技術と実質的に同じ技術を使用して、繊維性多孔性基材に塗布され得る。剥離シートおよび/または裏打ちシートもまた、発泡体多孔性基材20に関して上に記載された技術と実質的に同じ技術を使用して、繊維性多孔性基材に付着され得る。従って、上に記載された発泡体多孔性基材を用いる場合と同様に、多孔性基材が繊維性である場合、剥離シートは、多孔性構造体が望ましくない表面に尚早に接着することを防止し、そして裏打ちシートは、自己接着繊維性構造体に、さらなる支持および保護を提供する。
【0077】
ここで図10を参照すると、巻軸1050上のロール構成のテープ1110が示されている。第一のヒドロゲル前駆体1030および第二のヒドロゲル前駆体1040が、上に記載された方法のうちの任意のものを利用して、多孔性基材1020に塗布される。裏打ちシート1070は、多孔性基材1020の第一の面に付着される。剥離シート1060は、多孔性基材1020の第二の面に取り外し可能に付着される。ロール構成において、剥離シート1060は、多孔性基材1020と裏打ちシート1070との隣接する層が相互作用することを防止する。裏打ちシート1070および剥離シート1060は、互いに相互作用しない材料から作製され得、これによって、剥離シート1060が基材1020から取り外し可能に付着する能力を維持し得る。
【0078】
ここで図11を参照すると、本開示に従う止血テープディスペンサーが図示されており、大まかに2000として示されている。ディスペンサー2000は、ハウジング2100を備え、このハウジングは、ロール構成のテープ2010を貯蔵および分配するように構成され得る。ハウジング2100は、キャップ2110、第一の支持部材2120、第二の支持部材2130および少なくとも1つの切断部材2140を備え得る。テープ2010は、巻軸2012の周りに巻かれたロール構成である。巻軸2012は、ハウジング2100内で第一の支持部材2130の周りに配置される。他の実施形態において、テープ2010は、第一の支持部材2130の周りに直接巻かれたロール構成であり得る。
【0079】
ディスペンサー2000のハウジング2100は、任意の材料から作製され得る。いくつかの実施形態において、ハウジング2100は、当業者に明らかであるように、適切なプラスチック材料から成形され、そして切断部材2140は、金属から通常スタンピングにより形成され得る。いくつかの実施形態において、ハウジング2100は、1つ以上の個々に成形された部品から作製されるか、または1つの部品として同時成形され得る。
【0080】
キャップ2110は、ハウジング2100に旋回可能に接続され得、そして開位置(図12A)から閉位置(図12B)へと旋回するように設計され得る。この閉位置において、キャップ2110は、水分または液体がハウジング2100に浸透することを防止する。キャップ2110は、当業者に公知である任意の様式で、ハウジング2100の周りで旋回し得る。いくつかの実施形態において、キャップ2110は、フリップトップの蓋であり得、これは、蝶番2115を介してハウジング2100の任意の面に接続され得る。
【0081】
第一の支持部材2120は、ハウジング2100に配置され得る。第一の支持部材2120は、ロール構成のテープ2010を支持するために使用され得る。第二の支持部材2130もまた、ハウジング2100に配置され得る。第二の支持部材2130は、ロールから延びるある長さのテープ2010を受け取るように構成され得る。このハウジングは、止血テープを適切に貯蔵および分配するために必要とされるのと同じ、任意の数の支持部材を備え得ることが想定される。支持部材は、支持部材の間にある長さのテープを延ばすために適切なハウジングの任意の部分に沿って配置され得ることが、さらに想定される。
【0082】
ハウジング2100はまた、切断部材2140を備える。切断部材2140は、ハウジング2100と作動可能に結合され、そしてある長さのテープ2010の少なくとも一部分をロールから分離するように構成される。切断部材2140は、テープを任意の種々のより小さい断片に分離し得る、鋭利または鋸歯状の縁部である。切断部材2140は、ハウジング2100と一緒に形成され得るか、またはハウジング2100とは別に形成され得る。いくつかの実施形態において、ある長さのテープは、切断または分離を容易にするために、ミシン目を入れられ得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、切断部材2140は、第二の支持部材2130に結合される。このような実施形態において、ある長さのテープ2010の、第二の支持部材2130により受け取られる部分は、切断部材2140に押し付けられて、この長さのテープ2010をロールから分離し得る。
【0084】
他の実施形態において、図12A〜図12Bに示されるように、少なくとも1つの切断部材2240がキャップ2210に結合される。このような実施形態において、キャップ2210は、開位置(図12A)から閉位置(図12B)へと移動させられて、ある長さのテープ2310の第二の支持部材2230により受け取られた部分を、切断部材2240に押し付け得、そしてこの長さのテープ2310をロールから分離し得る。テープ2310のロールは、第一の支持部材2220に配置される。ある実施形態において、切断部材2240は、ハウジング2200とキャップ2210との両方に配置され得、そして閉位置に力を加えられる場合に、互いに係合するように設計され得る。図12Bに示されるように、テープ2310は、キャップ2210によりディスペンサー2200封入されて、テープ2310が尚早に水分または他の流体に曝露されることを防止する。
【0085】
図13A〜図13Cに示されるように、止血テープディスペンサー3000は、ハウジング3100を備え、このハウジングは、積み重ねられた構成のテープ3010を貯蔵および分配するように構成される。ハウジング3100は、基部3135、基部3135から延びる少なくとも1つの側壁3150、キャップ3110、付勢部材3125、保持部材3130、第一の支持部材3120、および開口部3160を備え得る。少なくとも1つの側壁3150は、基部3135から近位に延びて、テープ3010を積み重ねられた構成または折り畳まれた構成で受容するために適切な空洞を形成する。
【0086】
テープ3010の複数の個々のストリップが、第一の支持部材3120と保持部材3130との間に積み重ねられ得る。裏打ちシート3070が、止血テープ3010の上部を覆う。剥離シート3060が、テープ3010の下を覆う。図13Bおよび図13Cに示されるように、保持部材3130は、ハウジング3100の側壁3150の近位端の近くに配置され、そして空洞内に内向きに延び、これによって、側壁の外周の一部分に沿った縁部を提供する。この保持部材は、テープ3010がハウジング3100の上を通って近位に逃れることを防止する。
【0087】
付勢部材3125(例えば、ばね)が、基部3135と第一の支持部材3120との間に配置され、付勢部材3125の遠位端3125bが基部3135の近くに配置され、そして付勢部材3125の近位端3125aが第一の支持部材3120の近くに配置される。付勢部材3125は、第一の支持部材3120を基部3135から離すように移動させて、テープ3010を保持部材3130および開口部3160に向けて押し付けるように設計される。
【0088】
開口部3160は、保持部材3130に対して遠位である側壁3150の部分の内側に規定される。開口部3160は、テープ3010がハウジング3100から横方向に引き抜かれることを可能にするように構成される。ハウジング3100からのテープ3010の個々のストリップの取り出しは、付勢部材3125が第一の支持部材3120を保持部材3130の方に向けて近位に移動させることを可能にし、これによって、止血テープ3010の次のストリップを保持部材3130と当接する関係で開口部3160に配置することが、想定される。
【0089】
キャップ3110は、蝶番3115を介してハウジング3100に旋回可能に接続され得る。キャップ3110は、開位置(図示される)から閉位置(図示されない)へと動くように設計され得る。キャップ3110は、保持部材3130および開口部3160を覆うように構成され得、これによって、テープ3010をハウジング3100内に封入する。
【0090】
使用者は、自分の指をこの開口部に沿って配置し得、そして止血テープ3010をディスペンサー3000から横方向に引き抜き得る。裏打ちテープ3070は、テープ3010がディスペンサー3000から引かれる際にテープ3010を保護し、一方で、剥離シート3060は、創傷への付着の前に使用者により取り除かれ得る。
【0091】
ディスペンサーの別の実施形態が、図14A〜図14Cに示されている。ディスペンサー4000は、ハウジング4100、第一の支持部材4020、複数のガイドピン4120、4122、4124、第二の支持部材4030、第三の支持部材4040、スロット4060、およびホイール部材4150を備える。テープ4010のロール(裏打ちシート4070を備える)が、第一の支持部材4020に配置される。ある長さのテープ4010が第一の支持部材4020と第三の支持部材4040との間に延びる。この第三の支持部材は、ホイール部材4150に接続される。
【0092】
ホイール部材4150(例えば、サムホイール)は、テープ4010を第一の支持部材4020からガイドピン4120、4122を回って、第二の支持部材3040に向けて引き出すために回転させられ得る。第二の支持部材は、スロット4160をわずかに通って延びる。スロット4160において、テープ4010は裏打ちシート4060から分離し、そしてハウジング4100から引き出され、一方で、裏打ちシート4060は、止血テープなしで、ガイドピン4124を回って第三の支持部材4040上へと引かれ続ける。
【0093】
図14Bに示されるように、ホイール部材4150の少なくとも一部分、および裏打ちシート4060を伴う第二の支持部材4030は、ディスペンサーの外側から見える。ホイール部材4150が回転させられるにつれて、裏打ちシート4060が第二の支持部材4030を回って引かれ、そしてテープ4010がデバイス4000からの取り出しのために露出する。
【0094】
いくつかの実施形態において、ディスペンサーは窓を備え得、この窓は、使用者がハウジング内に貯蔵されたテープの少なくとも一部分を見ることを可能にする。この窓は、ハウジングの任意の部分に配置され得る。図14Cに示されるように、窓4200は、サムホイール4150の近くに配置されて、裏打ちシート4060が第三の支持部材4040上に引かれる際にこの裏打ちシートを使用者が見ることを可能にする。ある実施形態において、裏打ちシート4060は、裏打ちシート4060の端部が到達すると色を有し得、その結果、使用者は、このテープがいつなくなるかを知る。
【0095】
ある実施形態において、これらのディスペンサーは、単回使用であっても、再充填可能であってもよい。いくつかの実施形態において、このハウジングはまた、乾燥剤(図示せず)を備え得る。この乾燥剤は、水分を吸収するために適切な任意の材料から作製され得る。例えば、この乾燥剤は、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、モンモリロナイト粘土、またはモレキュラーシーブを含み得る。
【0096】
使用中に、ある長さの止血テープがこのディスペンサーから引き出され得、そしてこのディスペンサーの切断部材によってロールから分離され得る。ある実施形態において、個々に予め切断されたテープセグメントが、上記のように取り出され得る。剥離シートは、この止血テープから取り外され得る。この止血テープは、第一のヒドロゲル前駆体が創傷に面した状態で創傷上に配置され得る。創傷に接触すると、この創傷の近くの生理学的流体がこの止血テープの多孔性基材部分に入り、これによって、第一のヒドロゲル前駆体を溶解する。この流体がこの止血テープを横切って染み込み、そして/または移動して、この第一のヒドロゲル前駆体をこの多孔性基材を通して運ぶ。この流体が第二のヒドロゲル前駆体に達すると、この第二のヒドロゲル前駆体が溶解し、そしてこの第一のヒドロゲル前駆体と相互作用して、生体適合性の架橋材料を形成し、この材料が、このテープを組織に接着させ、そしてこの創傷に止血を提供する。
【0097】
創傷への付着の際に、この止血テープは、この創傷の止血を行い得る。本明細書中で使用される場合、用語「止血」とは、出血の停止または休止を意味する。止血は、この止血テープの付着の部位において、約120秒未満で起こり得る。いくつかの実施形態において、止血は、約15秒未満で起こり得る。なお他の実施形態において、止血は、約5秒未満で起こり得る。ある実施形態において、接着剤がテープの一部分に沿って配置され得、この接着剤は、この創傷に接触して、組織への即時の接着を提供し、このテープが創傷の流体を吸収して第一のヒドロゲル前駆体と第二のヒドロゲル前駆体とを混合する時間を与える。
【実施例】
【0098】
トリリジンの飽和ホウ酸緩衝溶液を調製する。この溶液は、溶液1ミリリットルあたり20.6ミリグラムのトリリジンを含有する。この溶液のpHは、約9.2である。酸化セルロースの多孔性シートをこの溶液に浸漬し、次いで、乾燥させるために棚に固定する。この棚を真空オーブンに入れる。このオーブンを約50mトルまでポンプで減圧し、そして約25℃の温度で約3日間維持し、その水分レベルを2重量%未満まで低下させる。約15,000の分子量を有する8アームN−ヒドロキシスクシンイミジル官能基化ポリエチレングリコールを、ホットプレート上で約50℃で融解する。乾燥させたトリリジン含有酸化セルロースシートを、この融解したPEG成分と接触させる。冷却後、このPEG成分は、多孔性シートの片面にフィルムを形成する。
【0099】
紙から作製され、シリコーン材料でコーティングされた、第一の剥離シートおよび第二の剥離シートを、この多孔性シート上に配置する。第一の剥離シートを多孔性シートのフィルム側に配置する。第二の剥離シートを多孔性基材のフィルムの反対側の面に配置する。
【0100】
得られた生成物を、約0.5cmの幅および約75cmの長さを有する長いストリップに切断し、乾燥させ、そして巻軸に巻く。この巻いたテープを滅菌し、そして密封されたディスペンサーに包装する。
【0101】
使用において、この密封されたディスペンサーを開き、そしてこのテープの一部分をその容器から分配する。剥離シートをこのテープから除去し、そしてこのテープを、出血している創傷に、PEGフィルム面を創傷に当てて付着させる。数秒以内で、このテープはこの組織に接着し、そして止血が起こる。
【0102】
種々の改変が本明細書中に開示される実施形態に対してなされ得ることが理解される。例えば、2つより多くの前駆体が多孔性基材に塗布されて、止血テープを形成し得る。別の例として、第一の前駆体および第二の前駆体が、各々フィルムとして、多孔性基材に塗布され得る。従って、当業者は、特許請求の範囲の趣旨および範囲内で、他の改変を予測する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性基材;
該多孔性基材に塗布された第一のヒドロゲル前駆体および第二のヒドロゲル前駆体;ならびに
該多孔性基材の少なくとも1つの面に配置された剥離シート、
を備える、止血テープ。
【請求項2】
前記多孔性基材が発泡体である、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項3】
前記多孔性基材が繊維性材料から作製されている、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項4】
前記多孔性基材が酸化セルロースから作製されている、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項5】
前記第一のヒドロゲル前駆体が、粒子、発泡体、フィルムおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項6】
前記第二のヒドロゲル前駆体が、粒子、発泡体、フィルムおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項7】
前記剥離シートがシリコーンベースの材料から作製されている、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項8】
裏打ちシートをさらに備える、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項9】
接着剤をさらに備える、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項10】
前記テープがロール状である、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなる止血剤をさらに含む、請求項1に記載の止血テープ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのさらなる止血剤が、フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、アルブミン、凝血因子、アルブミン、エラスチン、トロンビン、トロンビノゲン、デキストラン、アルギネート、セルロース、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の止血テープ。
【請求項13】
少なくとも1つの棘をさらに備える、請求項1に記載の止血テープ。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図13C】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図14C】
image rotate


【公開番号】特開2011−101797(P2011−101797A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251343(P2010−251343)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】