説明

歩数計

【課題】得られた歩行信号が歩行によって生じた信号か否かを適切に判断できるようにすること。
【解決手段】歩行パルス検出部102は歩行に対応するセンサ101からの歩行信号をデジタル信号に変換して出力し、加速度ピークレベル検出部106は歩行信号のピークレベル信号を出力する。処理部103は、ピークレベル検出部106から入力された今回のピークレベル信号と記憶部105に記憶したピークレベル信号のデータとが記憶部105に記憶された判定基準値以上相違するとき、歩行パルス検出部102から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた信号と判断し、前記今回のピークレベル信号と前記ピークレベル信号のデータとが所定値以上相違しないときは、歩行パルス検出部102から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた歩行ではないと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の腕や腰等の身体に装着して、あるいは、使用者が携帯するバッグ等に収納して使用し、前記使用者の歩数を測定する歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者の腕や腰に装着して、あるいは使用者が携帯するバッグ等に収納して使用し、前記使用者の歩数を測定する歩数計が開発されている。前記歩数計では、センサによって歩行を検出して対応する歩行信号を出力し、前記歩行信号を計数することによって歩数測定を行うように構成されている。
ユーザーアプリケーションによっては、ユーザが長期間使用して歩行経過に関するデータを保存するような歩数計(特許文献1、2参照)は、歩行距離や現在位置などをユーザ同士で競い合ったりするなどゲーム性を持たせることが出来る。
【0003】
しかし、歩数計の場合は実際に装着して歩行を行わなくとも、意図的に振動を与えれば歩数として認識してしまうため、ゲームの信頼性を損ねて商品価値が発揮できないことが考えられる。特に、適当な往復運動を加えることの出来る回転装置などに歩数計を取り付けた場合は、容易に歩数データを進めることが出来るため、歩数を競い合うための信頼性がまったくないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−296139号公報
【特許文献2】特開2000−227341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記問題に鑑み成されたもので、得られた歩行信号が歩行によって生じた信号か否かを適切に判断できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、歩行に対応する歩行信号を出力する検出手段と、前記検出手段から入力された歩行信号に基づいて前記歩行信号に関するデータを算出する算出手段と、前記歩行信号に関するデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した歩行信号に関するデータに基づいて、前記検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じた歩行信号か否かを判断する判断手段とを備えて成ることを特徴とする歩数計が提供される。
【0007】
検出手段は、歩行に対応する歩行信号を出力する。算出手段は、前記検出手段から入力された歩行信号に基づいて前記歩行信号に関するデータを算出する。記憶手段は、前記歩行信号に関するデータを記憶する。判断手段は、記憶手段に記憶した歩行信号に関するデータおよび前記記憶手段に記憶されている判定基準値に基づいて、検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じた歩行信号か否かを判断する。
【0008】
ここで、前記検出手段は、前記各歩行信号の加速度ピークレベルであるピークレベル信号を出力するピークレベル検出手段を有すると共に、前記記憶手段には前記算出手段が算出した歩行信号のピークレベル信号に関するデータが記憶されて成り、前記判断手段は、前記ピークレベル検出手段から入力された今回のピークレベル信号と前記記憶手段に記憶したピークレベル信号のデータとが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた信号と判断するように構成してもよい。
【0009】
また、前記判断手段は、前記ピークレベル検出手段から入力された今回の歩行信号のピークレベル信号と前記記憶手段に記憶した直近の複数のピークレベル信号の平均値とが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じたと判断するように構成してもよい。
【0010】
また、前記算出手段は、前記歩行信号のピッチを算出すると共に、前記記憶手段には前記算出手段が算出した歩行信号のピッチに関するデータが記憶されて成り、前記判断手段は、前記検出手段から入力された今回の歩行信号のピッチと前記記憶手段に記憶したピッチのデータとが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた信号と判断するように構成してもよい。
【0011】
また、前記判断手段は、前記検出手段から入力された今回の歩行信号のピッチと前記記憶手段に記憶した直近の複数のピッチの平均値とが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じたと判断するように構成してもよい。
【0012】
また、前記検出手段は前記各歩行信号の加速度ピークレベルであるピークレベル信号を出力するピークレベル検出手段を有すると共に、前記算出手段は前記歩行信号のピッチを算出し、前記記憶手段には前記算出手段が算出した歩行信号のピークレベル信号に関するデータ及び歩行信号のピッチに関するデータが記憶されて成り、前記判断手段は、前記ピークレベル検出手段から入力された今回のピークレベル信号と前記記憶手段に記憶したピークレベル信号のデータとが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違し、且つ、前記検出手段から入力された今回の歩行信号のピッチと前記記憶手段に記憶したピッチのデータとが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた信号と判断するように構成してもよい。
【0013】
また、前記判断手段は、前記ピークレベル検出手段から入力された今回の歩行信号のピークレベル信号と前記記憶手段に記憶した直近の複数のピークレベル信号の平均値とが所定値以上相違し、且つ、前記検出手段から入力された今回の歩行信号のピッチと前記記憶手段に記憶した直近の複数のピッチの平均値とが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じたと判断するように構成してもよい。
また、前記算出手段は、前記判断手段が歩行によって生じたものではないと判断した歩行信号については、算出した歩数から差し引くように構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、得られた歩行信号が歩行によって生じた信号か否かを適切に判断することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る歩数計のブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る歩数計のフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る歩数計のフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る歩数計のブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る歩数計のフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る歩数計のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る歩数計の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る歩数計の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
先ず、本発明の実施の形態に係る歩数計の基本概念について説明する。
図7は、本実施の形態に係る歩数計の説明図であり、使用者の身体(例えば腰)に加速度センサを装着して、意識的に一定速度になるように歩行した場合に得られた特性図である。横軸は経過時間、縦軸は使用者の身体に装着した加速度センサの出力信号(加速度レベルに対応)である。
【0017】
加速度センサからは、時間経過とともに、点で示した出力信号が出力される。また、実線は、加速度センサから出力される複数のピーク信号の移動平均である。
図7から解るように、使用者が意識的に一定速度で歩行した場合でも、センサから出力される信号のピーク信号レベルは一定範囲で変動する。
【0018】
図8は、本実施の形態に係る歩数計の他の説明図であり、図7の場合と同様に、使用者の身体(例えば腰)に加速度センサを装着して、意識的に一定速度になるように歩行した場合に得られた特性図である。
横軸は経過時間、縦軸は加速度センサから出力される歩行信号のピッチ(単位時間当たりの歩数)である。
【0019】
加速度センサからは、時間経過とともに、点で示した出力信号が出力される。また、実線は、加速度センサから出力される複数の歩行信号の移動平均である。
図8から解るように、使用者が意識的に一定速度で歩行した場合でも、センサから出力される歩行信号のピッチは一定範囲で変動する。
【0020】
このように、実際の歩行では、加速度センサから出力される歩行信号のピークレベルやピッチが一定範囲で変動する。これに対して、機械によって歩数計に適当な往復運動を加えた場合、センサから出力される歩行信号のピークレベルやピッチはあまり変動せず、略一定になる。
本発明の実施の形態に係る歩数計は、かかる点に着目して成されたものであり、歩行信号のピークレベルやピッチの変動の程度に基づいて、実際の歩行によって生じた歩行信号か否かを判断するようにしている。
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る歩数計について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る歩数計のブロック図である。
図1において、歩数計は、センサ101、歩行パルス検出部102、処理部103、表示部104、記憶部105、加速度ピークレベル検出部106を備えている。
センサ101は、加速度センサによって構成され、使用者の歩行(走行を含む)に対応するアナログ形式の歩行信号を出力する。歩行パルス検出部102は、センサ101からの歩行信号を所定閾値によって二値化してデジタル形式の歩行信号として出力する。
【0022】
処理部103は中央処理装置(CPU)等によって構成され、歩行パルス検出部102からの歩行信号に基づく歩数算出処理等の後述する処理を行う。
表示部104は、歩数データ等を表示する。記憶部105は、ランダムアクセスメモリ(RAM)によって構成されており、歩行関連データを記憶する。歩行関連データとしては、例えば、累積歩数、加速度ピークレベルデータ、判定基準値等がある。
加速度ピークレベル検出部106は、例えばピークホールド回路によって構成されており、センサ101から入力された各歩行信号のピークレベルを検出し、該ピークレベルを表すピークレベル信号を処理部103に出力する。
【0023】
ここで、センサ101、歩行パルス検出部102及び加速度ピークレベル検出部106は検出手段を構成している。加速度ピークレベル検出部106はピークレベル検出手段を構成している。また、処理部103は算出手段及び判断手段を構成し、表示部104は表示手段を構成し又、記憶部105は記憶手段を構成している。
検出手段は、そのセンサ101で生じたアナログ信号形式の歩行信号を二値化し、デジタル信号形式の歩行信号として出力することができる。また、検出手段は、各歩行信号の加速度ピークレベルであるピークレベル信号を出力するピークレベル検出手段を有することができる。
【0024】
算出手段は、検出手段から入力された歩行信号に基づいて、歩数やピークレベル信号等の歩行信号に関連するデータを算出することができる。また、算出手段は、判断手段が歩行によって生じたものではないと判断した歩行信号については、算出した歩数から差し引くことができる。
記憶手段は、算出手段が算出した歩行信号に関するデータを記憶することができる。また、記憶手段は、算出手段が算出した歩行信号のピークレベル信号に関するデータを記憶することができる。
【0025】
判断手段は、記憶手段に記憶した歩行信号に関するデータに基づいて、検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じた歩行信号か否かを判断することができる。また、判断手段は、ピークレベル検出手段から入力された今回のピークレベル信号と記憶手段に記憶したピークレベル信号のデータとが記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、検出手段から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた信号と判断することができる。また、判断手段は、ピークレベル検出手段から入力された今回の歩行信号のピークレベル信号と記憶手段に記憶した直近の複数のピークレベル信号の平均値とが記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じたと判断することができる。
【0026】
図2は、本第1の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。また、図3は、図2のフローチャートにおける一部処理の詳細を示すフローチャートである。
以下、図1〜図3を用いて、本第1の実施の形態の動作を詳細に説明する。
センサ101は、使用者の歩行に対応する歩行信号を出力する。前記歩行信号は、歩行によって生じた加速度に比例するアナログ信号である。
【0027】
歩行パルス検出部102は、センサ101からの歩行信号を所定閾値に基づいて二値化したデジタル信号形式の歩行信号を出力する。
また、加速度ピークレベル検出部106は、各歩行信号の加速度ピークレベルであるピークレベル信号を出力する。
処理部103は、歩行パルス検出部102からの歩行信号の有無をチェックし(ステップS201)、歩行信号がない場合には歩行信号の有無チェックを繰り返し、歩行信号がある場合には、記憶部105に記憶している累積歩数に1加算した後、加速度ピークレベルを検出する(ステップS202)。
【0028】
次に、処理部103は、加速度ピークレベル検出部106が今回検出した歩行信号のピークレベルと記憶部105に記憶した加速度レベルデータとの比較処理(ステップS203)、及び、比較結果が記憶部105に格納されている所定の判定基準内か否かの判断処理(ステップS204)から成る処理ステップS205の処理を行う。
処理部103は、前記比較結果が前記判定基準内の場合には、ピークレベル変動が一定値より小さいため歩行による歩行信号ではないと判断して処理ステップS201に戻る。
【0029】
一方、処理部103は、前記比較結果が前記判定基準外の場合には、ピークレベル変動が一定値より大きいため、歩行による歩行信号であると判断して、今回検出した歩行信号のピークレベルを記憶部105に記憶して加速度レベルデータを更新し(ステップS206)、表示部104が歩数データを表示するように制御する(ステップS207)。表示部104には現在の累積歩数が表示される。
【0030】
次に、図3を用いて処理ステップS205の詳細処理を説明すると、処理部103は、歩行パルス検出部102からの歩行信号の有無をチェックし(ステップS201)、歩行信号がある場合には、今回(即ち最新)の歩行信号の加速度ピークレベル(歩行信号のピークレベル)を検出する(ステップS202)。
次に、処理部103は、記憶部105に順次記憶している所定数(例えば最新の5個)の加速度ピークレベルデータの移動平均を算出し(ステップS301)、前記移動平均と最新の加速度ピークレベルとを比較する(ステップS302)。
【0031】
処理部103は、前記比較結果が記憶部105に記憶されている判定基準地に示される一定比率内と判断した場合には(ステップS303)、処理部103内の判定カウンタ(図示せず)に1加算した後(ステップS304)、前記判定カウンタの計数値と記憶部105に記憶した判定値とを比較する(ステップS305)。
【0032】
ここで、処理ステップS303において、歩行による歩行信号の場合でも偶々一定比率内に入る場合が考えられ、このような場合に歩行による歩行信号ではないと判断するのは誤りであるため、一定比率内に入る回数が連続して所定回数(判定値)になった場合にのみ、歩行による歩行信号ではないと判断するようにしている。前記判定値はこのような観点から設定した前記所定回数であり、例えば5回に設定する。
【0033】
処理部103は、前記判定カウンタの計数値と前記判定値が一致した場合(ステップS306)、前記判定値に相当する歩数は歩行による歩数ではないと判断して、累積歩数データから前記判定値に相当する歩数を差し引いた後、処理ステップS201へ戻る(ステップS307)。このように、記憶部105に記憶した歩数から前記判定値に相当する歩数を差し引いているため、歩行によらない歩数の算入を防止でき、正確な歩数測定が可能になる。
処理部103は、処理ステップS306において、前記判定カウンタの計数値と前記判定値が一致しない場合、処理ステップS206へ移行する。
【0034】
一方、処理部103は、処理ステップS303において一定比率内に入らない場合、歩行による歩行信号と判断して、前記判定カウンタを初期値にリセットした後(ステップS308)、処理ステップS206へ移行する。この場合は、処理装置103が算出している歩数から判定値を差し引く必要はない。
【0035】
以上述べたように本第1の実施の形態に係る歩数計によれば、ピークレベル信号の変動が所定の基準範囲外のとき、歩行による歩行信号と判断し、ピークレベル信号の変動が所定の基準範囲内のとき、歩行による歩行信号ではないと判断しているため、得られた歩行信号が歩行によって生じた信号か否かを適切に判断することが可能になる。
【0036】
また、機械による歩行データの捏造を抑制することが可能になるため、歩数測定を正確に行うことが可能になる。
また、使用者が機械等により歩数や歩行距離などを不正に進めることが出来なくなり、歩数計の測定結果が実際の使用者の歩行によるものであるという信頼性を高めることが出来る。
【0037】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る歩数計のブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付している。
前記第1の実施の形態では、歩行信号のピークレベルの変動に基づいて歩行による歩行信号か否かを判断するようにしたが、本第2の実施の形態では、歩行信号のピッチ(歩/分)の変動に基づいて歩行による歩行信号か否かを判断するようにしている。したがって、図4に示した歩数計は加速度ピークレベル検出部を備えていない。
【0038】
尚、図4において、センサ101及び歩行パルス検出部102は検出手段を構成し、処理部103は算出手段及び判断手段を構成し、表示部104は表示手段を構成し、記憶部105は記憶手段を構成している。
検出手段は、そのセンサ101で生じたアナログ信号形式の歩行信号を二値化し、デジタル信号形式の歩行信号として出力することができる。
【0039】
算出手段は、検出手段から入力された歩行信号に基づいて歩行信号に関するデータを算出する。また、算出手段は、歩行信号のピッチを算出することができる。
記憶手段は、算出手段が算出した歩行信号に関するデータを記憶することができる。また、記憶手段は、算出手段が算出した歩行信号のピッチに関するデータを記憶することができる。
【0040】
判断手段は、記憶手段に記憶した歩行信号に関するデータに基づいて、検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じた歩行信号か否かを判断することができる。また、判断手段は、検出手段から入力された今回の歩行信号のピッチと記憶手段に記憶したピッチのデータとが記憶部105に記憶されている判定基準値以上相違するとき、検出手段から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた信号と判断することができる。また、判断手段は、算出手段によって算出された今回の歩行信号のピッチと記憶手段に記憶した直近の複数のピッチの平均値とが前記判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じたと判断することができる。
【0041】
図5は、本第2の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。また、図6は、図5のフローチャートにおける一部処理の詳細を示すフローチャートである。
以下、図4〜図6を用いて、本第2の実施の形態の動作を詳細に説明する。
センサ101は、使用者の歩行に対応する歩行信号を出力する。前記歩行信号は、歩行によって生じた加速度に比例するアナログ信号である。
【0042】
歩行パルス検出部102は、センサ101からの歩行信号を所定閾値に基づいて二値化したデジタル信号形式の歩行信号を出力する。
処理部103は、歩行パルス検出部102からの歩行信号の有無をチェックし(ステップS501)、歩行信号がない場合には歩行信号の有無チェックを繰り返し、歩行信号がある場合には、記憶部105に記憶している累積歩数に1加算した後、今回の歩行信号の歩行ピッチを算出する(ステップS502)。
【0043】
次に、処理部103は、前記算出した歩行ピッチ部106が今回算出した歩行ピッチと記憶部105に記憶した歩行ピッチデータとの比較処理(ステップS503)、及び、比較結果が所定の判定基準内か否かの判断処理(ステップS504)から成る処理ステップS505の処理を行う。
処理部103は、前記比較結果が前記判定基準内の場合には、歩行ピッチ変動が一定値より小さいため歩行による歩行信号ではないと判断して処理ステップS501に戻る。
【0044】
一方、処理部103は、前記比較結果が前記判定基準値外の場合には、歩行ピッチ変動が一定値より大きいため、歩行による歩行信号であると判断して、今回検出した歩行信号の歩行ピッチを記憶部105に記憶して歩行ピッチデータを更新し(ステップS506)、表示部104が歩数データを表示するように制御する(ステップS507)。表示部104には現在の累積歩数が表示される。
【0045】
図6を用いて処理ステップS505の詳細処理を説明すると、処理部103は、歩行パルス検出部102からの歩行信号の有無をチェックし(ステップS501)、歩行信号がある場合には、記憶部105に記憶している所定数(例えば最新の5個)の歩行ピッチデータの移動平均を算出し(ステップS601)、前記移動平均と最新の歩行信号の歩行ピッチとを比較する(ステップS602)。
処理部103は、前記比較結果が記憶部105に記憶されている判定基準値にしめされる一定比率内の場合には(ステップS603)、処理部103内の判定カウンタ(図示せず)に1加算した後(ステップS604)、前記判定カウンタの計数値と記憶部105に記憶した判定値とを比較する(ステップS605)。
【0046】
ここで、処理ステップS603において、歩行による歩行信号の場合でも偶々一定比率内に入る場合が考えられ、このような場合に歩行による歩行信号ではないと判断するのは誤りであるため、一定比率内に入る回数が連続して所定回数(判定値)になった場合にのみ、歩行による歩行信号ではないと判断するようにしている。前記判定値はこのような観点から設定した前記所定回数であり、例えば5回に設定する。
【0047】
処理部103は、前記判定カウンタの計数値と前記判定値が一致した場合(ステップS606)、前記判定値に相当する歩数は歩行による歩数ではないと判断して、累積歩数データから前記判定値に相当する歩数を差し引いて処理ステップS501へ戻る(ステップS607)。このように、記憶部105に記憶した歩数から前記判定値に相当する歩数を差し引いているため、歩行によらない歩数の算入を防止でき、正確な歩数測定が可能になる。
【0048】
処理部103は、処理ステップS606において、前記判定カウンタの計数値と前記判定値が一致しない場合、処理ステップS506へ移行する。
一方、処理部103は、処理ステップS603において一定比率内に入らない場合、歩行による歩行信号と判断して、前記判定カウンタを初期値にリセットした後(ステップS608)、処理ステップS506へ移行する。
【0049】
以上述べたように本第2の実施の形態に係る歩数計によれば、歩行ピッチの変動が所定の基準範囲外のとき、歩行による歩行信号と判断し、歩行ピッチの変動が所定の基準範囲内のとき、歩行による歩行信号ではないと判断しているため、前記第1の実施の形態と同様に、得られた歩行信号が歩行によって生じた信号か否かを適切に判断することが可能になるという効果を奏する。
また、機械による歩行データの捏造を抑制することが可能になるため、歩数測定を正確に行うことが可能になる等の効果を奏する。
【0050】
前述した実施の形態は種々の変更が可能である。例えば、前記第1の実施の形態では歩行信号のピークレベルの変動に基づいて歩行による歩行信号か否かを判断し、前記第2の実施の形態では歩行ピッチの変動に基づいて歩行による歩行信号か否かを判断するようにしたが、歩行信号のピークレベル及び歩行ピッチの双方の変動が所定範囲内かあるいは所定範囲外かに基づいて、歩行による歩行信号か否かを判断するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
腕や腰等の使用者の身体に装着して使用する歩数計をはじめ、携帯用バッグ等に収容し携帯して使用する歩数計等、各種の歩数計に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
101・・・センサ
102・・・歩行パルス検出部
103・・・処理部
104・・・表示部
105・・・記憶部
106・・・加速度ピークレベル検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の歩行運動に対応する歩行信号を出力する検出手段と、前記検出手段から入力された歩行信号に基づいて前記歩行信号に関するデータを算出する算出手段と、前記歩行信号に関するデータとともに歩行による歩行信号と歩行によらない歩行信号を判別するための判定基準値を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した歩行信号に関するデータに基づいて、前記検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じた歩行信号か否かを判断する判断手段とを備え、
前記算出手段は、前記歩行信号のピッチを算出すると共に、前記記憶手段には前記算出手段が算出した歩行信号のピッチに関するデータが記憶されて成り、
前記判断手段は、前記検出手段から入力された今回の歩行信号のピッチと前記記憶手段に記憶したピッチのデータとが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号は歩行によって生じた信号と判断することを特徴とする歩数計。
【請求項2】
前記判断手段は、前記検出手段から入力された今回の歩行信号のピッチと前記記憶手段に記憶した直近の複数のピッチの平均値とが前記記憶手段に記憶されている判定基準値以上相違するとき、前記検出手段から入力された今回の歩行信号が歩行によって生じたと判断することを特徴とする請求項1記載の歩数計。
【請求項3】
前記算出手段は、前記判断手段が歩行によって生じたものではないと判断した歩行信号については、算出した歩数から差し引くことを特徴とする請求項1又は2記載の歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−150836(P2012−150836A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99907(P2012−99907)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2007−229837(P2007−229837)の分割
【原出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】