説明

歩行型作業機

【課題】ハンドルポストにボンベ収納部(カセットガスボンベ)およびキャリーハンドルを設けることが可能な歩行型作業機を提供する。
【解決手段】歩行型作業機10は、作業機本体11の後部11aから後上方へ立ち上がるハンドルポスト16に、このハンドルポスト16に沿った向きでカセットガスボンベ21が設けられ、このカセットガスボンベ21の燃料でガスエンジン12を駆動するものである。この歩行型作業機10は、ハンドルポスト16に設けられるとともに、カセットガスボンベ21を取り囲むように形成された運搬用のキャリーハンドル22を備えている。このキャリーハンドル22は、把持可能なグリップ45を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルポストに沿った向きでカセットガスボンベが設けられ、このカセットガスボンベの燃料でガスエンジンを駆動する歩行型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型作業機のなかには、作業機本体の後部からハンドルポストが後上方へ立ち上げられ、ハンドルポストの外周壁上部からキャリーハンドルが上方に向けて延出されたものがある。
キャリーハンドルのグリップ部を掴んで(把持して)歩行型作業機を持ち上げて運搬可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、歩行型作業機のなかには、作業機本体にガスエンジンが搭載され、作業機本体の後部からハンドルポストが後上方へ立ち上げられ、ハンドルポストの外周壁上部にボンベ収納部が設けられ、ボンベ収納部にカセットガスボンベが収納されたガスエンジン搭載型作業機が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2002−272202号公報
【特許文献2】特開平10−131809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のキャリーハンドルは、ハンドルポストの外周壁上部から上方に向けて延出されている。
一方、特許文献2のガスエンジン搭載型作業機は、ハンドルポストの外周壁上部にボンベ収納部が設けられている。
このように、キャリーハンドルやボンベ収納部は、両部材ともにハンドルポストの外周壁上部に設けられている。
【0005】
よって、ガスエンジン搭載型作業機のハンドルポストに、キャリーハンドルを取り付ける場合、ボンベ収納部が邪魔になる。
このため、ガスエンジン搭載型作業機のハンドルポストに、ボンベ収納部やキャリーハンドルの両方を取り付けることができる作業機の実用化が望まれていた。
【0006】
本発明は、ハンドルポストにボンベ収納部(カセットガスボンベ)およびキャリーハンドルを設けることが可能な歩行型作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、作業機本体の後部から後上方へ立ち上がるハンドルポストに、このハンドルポストに沿った向きでカセットガスボンベが設けられ、このカセットガスボンベの燃料でガスエンジンを駆動する歩行型作業機において、前記ハンドルポストに設けられるとともに、前記カセットガスボンベを取り囲むように形成された運搬用のキャリーハンドルを備え、前記キャリーハンドルは、把持可能なグリップを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記カセットガスボンベおよび前記キャリーハンドル間に、前記カセットガスボンベを押さえるボンベカバーが開閉自在に設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3において、前記グリップは、前記カセットガスボンベの左右の側部側から作業機前方に向けて徐々に広がるように延出された左右のグリップ部を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、歩行型作業機を運搬する際に、歩行型作業機の左右側に立った2人で歩行型作業機を運搬できれば、運搬の負担を軽減することが可能になる。
よって、歩行型作業機の左右側に立った2人が把持し易い形状にキャリーハンドルを形成することが好ましい。
そこで、請求項3において、グリップに左右のグリップ部を備えた。そして、左右のグリップ部をカセットガスボンベの左右の側部側から作業機前方に向けて徐々に広がるように延ばした。
【0011】
請求項4において、前記グリップは、前記左右のグリップ部のそれぞれの前端部に渡って設けられた中央グリップ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、運搬用のキャリーハンドルをハンドルポストに設け、キャリーハンドルに把持可能なグリップを備えた。
これにより、グリップを把持することで、歩行型作業機を持ち上げて運搬することができる。
【0013】
さらに、運搬用のキャリーハンドルをカセットガスボンベを取り囲むように形成することで、ハンドルポストにボンベ収納部およびキャリーハンドルの両部材を設けることができる。
加えて、運搬用のキャリーハンドルをカセットガスボンベを取り囲むように形成した。
これにより、カセットガスボンベをキャリーハンドルで保護することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、カセットガスボンベおよびキャリーハンドル間にボンベカバーを開閉自在に設けた。
これにより、ボンベカバーを開放した際に、キャリーハンドルにボンベカバーを当接させて、ボンベカバーの開放量を好適に確保することができる。
このように、ボンベカバーの開放量を好適に確保することで、カセットガスボンベを容易に着脱でき、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、左右のグリップ部をカセットガスボンベの左右の側部側から作業機前方に向けて徐々に広がるように延ばした。
よって、左グリップ部と右グリップ部との間の間隔を比較的大きく確保したので、歩行型作業機の左右側に立った2人が左右のグリップ部を把持する際に、2人の手が互いに干渉することを防止できる。
【0016】
加えて、左グリップ部を作業機前方に向けて左外側に傾斜させ、右グリップ部を作業機前方に向けて右外側に傾斜させることができる。
歩行型作業機の左側に立った人が右手で左グリップ部を把持する際に、右手の甲を左グリップ部に合わせて前向きに傾かせることができる。よって、左グリップ部を持ち上げ易い状態に右手の姿勢を保つことができる。
【0017】
一方、歩行型作業機の右側に立った人が左手で右グリップ部を把持する際に、左側に立った人と同様に、左手の甲を右グリップ部に合わせて傾斜させることができる。よって、右グリップ部を持ち上げ易い状態に左手の姿勢を保つことができる。
これにより、歩行型作業機の左右側に立った2人が、左右のグリップ部をそれぞれ把持し易くなり(持ち易くなり)、歩行型作業機を2人で持ち運ぶ際の運搬性を高めることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、左右のグリップ部のそれぞれの前端部に渡って中央グリップ部を設けた。
左右のグリップ部を作業機前方に向けて徐々に広がるように延ばすことで、左右のグリップ部の前端部間の間隔を比較的大きく確保することができる。
これにより、中央グリップ部の長さ寸法を比較的大きく確保することが可能になり、中央グリップ部が把持し易くなり(持ち上げ易くなり)、歩行型作業機を1人で持ち運ぶ際の運搬性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は操作者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
なお、本実施の形態では歩行型作業機として歩行型耕耘機を例示するが、歩行型作業機はこれに限定するものではない。
【0020】
図1は本発明に係る歩行型作業機を示す側面図である。
歩行型作業機10は、耕耘機本体11の上端部に搭載されたガスエンジン12と、ガスエンジン12の下方に設けられたフェンダ13と、フェンダ13の下方に耕耘軸14を介して設けられた複数の耕耘爪15と、耕耘機本体11の後部11aに設けられたハンドルポスト16と、ハンドルポスト16に設けられた操作ハンドル17と、ハンドルポスト16に設けられたボンベ収納部(ボンベ保持部)18と、ボンベ収納部18に収容されたカセットガスボンベ21と、ハンドルポスト16に設けられたキャリーハンドル22とを備えている。
【0021】
この歩行型作業機10は、ガスエンジン12をカセットガスボンベ21の燃料で駆動し、ガスエンジン12の動力を耕耘軸14に伝達し、耕耘軸14を回転することにより、複数の耕耘爪15で土壌を耕耘しながら、作業者が操作ハンドル17を握った状態で走行する歩行型耕耘機である。
ガスエンジン12は、カセットガスボンベ21から導き出された燃料ガスを供給することで駆動するガスエンジンである。
【0022】
図2は本発明に係る歩行型作業機のボンベ収納部およびキャリーハンドルを示す側面図である。図3は本発明に係るボンベ収納部およびキャリーハンドルを示す斜視図である。
ハンドルポスト16は、作業機本体の後部から後上方へ立ち上がるように延出された筒状部材である。
ハンドルポスト16の上端部16aに左右の支持ブラケット23を介して操作ハンドル17が支持されている。また、ハンドルポスト16の上半部25に、この上半部25に沿った向きでボンベ収納部18が設けられている。
さらに、ハンドルポスト16の略中央周壁部26に運搬用のキャリーハンドル22が設けられている。
【0023】
操作ハンドル17は、図3に示すように正面視で略U字状に形成された筒状の部材である。
この操作ハンドル17は、下端部17aがハンドルポスト16の上端部16aに左右の支持ブラケット23を介して取り付けられ、左右の上端部(後端部)17bにそれぞれ左右のグリップ27,28(図1参照)が設けられている。
【0024】
ボンベ収納部18は、ハンドルポスト16の上半部25に沿った向きで設けられたベース31と、ベース31に回動自在に設けられたボンベカバー32とを備えている。
【0025】
ベース31は、口金支え部(図示せず)を備えている。この口金支え部は、カセットガスボンベ21の口金部を着脱自在に支持可能な部材である。
カセットガスボンベ21の口金部を口金支え部に取り付けることで、カセットガスボンベ21がハンドルポスト16の上半部25に沿った向きで設けられる。
【0026】
カセットガスボンベ21は、容器本体34内に、ブタンを主成分とする液化ブタン(以下、「液状の燃料ガス」という)を充填した市販のガスボンベである。
このカセットガスボンベ21は、図3に示すように、容器本体34の口金部から噴射ノズルが突出されている。
この噴射ノズルを容器本体34側に押し込むことで、容器本体34内に蓄えられた液状の燃料ガスを噴射ノズルから供給流路35に導き出すことができる。
【0027】
ボンベカバー32は、カセットガスボンベ21およびキャリーハンドル22間に配置され、カセットガスボンベ21を押付け可能な閉位置P1と、カセットガスボンベの取付/取外し可能な開位置P2(図6参照)とに回動可能なカバーである。
ボンベカバー32は、閉位置P1に保持された状態で、上半部25に沿った向きに配置されている。
【0028】
このボンベカバー32は、ベース31に回動自在に設けられたメインカバー36と、メインカバー36の先端部36aに回動自在に設けられたサブカバー37と、サブカバー37に設けられた係止爪38とを備えている。
【0029】
メインカバー36は、図示しないばね部材で閉位置P1に保持可能に構成されている。
このメインカバー36を閉位置P1に保持することで、メインカバー36がカセットガスボンベ21に当接する。
よって、メインカバー36でカセットガスボンベ21を押さえ付けることができる。
【0030】
また、サブカバー37は、メインカバー36の先端部36aに支持ピン41を介して回動自在に支持され、図示しないばね部材で閉位置P1に保持可能に構成されている。
このサブカバー37を閉位置P1に保持することで、サブカバー37がカセットガスボンベ21に当接する。
よって、サブカバー37でカセットガスボンベ21を押さえ付けることができる。
【0031】
一方、メインカバー36をメインばね部材(図示せず)に抗して開位置P2(図6参照)まで開放し、かつ、サブカバー37をサブばね部材(図示せず)に抗して開位置P2まで開放した状態で係止爪38がキャリーハンドル22に係止される。
よって、メインカバー36およびサブカバー37が開位置P2に保持される。
【0032】
よって、メインカバー36およびサブカバー37を開放した際に、キャリーハンドル22に各カバー36,37を当接させた状態に保持し、各カバー36,37の開放量を好適に確保することができる。
このように、メインカバー36およびサブカバー37の開放量を好適に確保することで、カセットガスボンベ21を容易に着脱することが可能になる。
なお、キャリーハンドル22に係止爪38を係止させる例については、図6で詳しく説明する。
【0033】
図4は本発明に係る歩行型作業機のハンドルポストからボンベ収納部を分解した状態を示す斜視図である。図5は図4のキャリーハンドルを示す平面図である。
キャリーハンドル22は、チューブ(筒体)を折り曲げて一体に形成された部材である。
このキャリーハンドル22は、ハンドルポスト16の略中央周壁部26のうち、左右の壁部位26a,26bに左右の水平ベース43,44が溶接でそれぞれ取り付けられ、ボンベカバー32の上方にグリップ45が配置されている。
【0034】
具体的には、キャリーハンドル22は、左右の壁部位26a,26bにそれぞれ設けられた左右の水平ベース43,44と、左水平ベース43に設けられた左脚部46と、右水平ベース44に設けられた右脚部47と、左右の脚部46,47に設けられたグリップ45とを備えている。
【0035】
左水平ベース43は、左壁部位26aから外側に向けて水平に延出された部位である。
この左水平ベース43は、ボンベ収納部18の下方に位置し、外端部43aがボンベ収納部18の左側部18aの外側に位置している。
右水平ベース44は、左水平ベース43と同軸上に、右壁部位26bから外側に向けて水平に延出された部位である。
この右水平ベース44は、ボンベ収納部18の下方に位置し、外端部44aがボンベ収納部18の右側部18bの外側に位置している。
左右の水平ベース43,44は左右対称に形成された部材である。
【0036】
左脚部46は、左水平ベース43の外端部43aから上方に延出された部位である。
この左脚部46は、ボンベ収納部18のうち、左側部18aの外方に位置している。
右脚部47は、右水平ベース44の外端部44aから上方に延出された部位である。
この右脚部47は、ボンベ収納部18のうち、右側部18bの外方に位置している。
左右の脚部46,47は左右対称に形成された部材である。
【0037】
グリップ45は、左右の脚部46,47の各上端部46a,47aに設けられ、平面視で略コ字状に形成された把持可能な部位である。
このグリップ45は、左右の脚部46,47にそれぞれ設けられた左右のグリップ部51,52と、左右のグリップ部51,52に設けられた中央グリップ部53とを備える。
【0038】
左グリップ部51は、左脚部46の上端部46aから作業機前方に向けて徐々に外側に傾斜するように傾斜角θで水平に延出された把持可能な部位である。
右グリップ部52は、右脚部47の上端部47aから作業機前方に向けて徐々に外側に傾斜するように傾斜角θで水平に延出された把持可能な部位である。
【0039】
よって、左右のグリップ部51,52は、左右の脚部46,47の上端部46a,47a(すなわち、カセットガスボンベ21の左右の側部21a,21b側)から作業機前方に向けて徐々に広がるように水平に延出された左右対称の部材である。
左右のグリップ部51,52は、ボンベ収納部18の上方に位置し、平面視で略ハ字状に形成されている。
【0040】
左右のグリップ部51,52を平面視で略ハ字状に形成することで、左グリップ部51と右グリップ部52との間の間隔Lを比較的大きく確保することができる。
よって、歩行型作業機10の左右側に立った2人が左右のグリップ部51,52を把持する際に、2人の手が互いに干渉することを防止できる。
【0041】
加えて、左グリップ部51を作業機前方に向けて左外側に傾斜角θで傾斜させることで、歩行型作業機10の左側に立った人が右手で左グリップ部51を持ち上げ易くすることができる。
一方、右グリップ部52を作業機前方に向けて右外側に傾斜角θで傾斜させることで、歩行型作業機10の右側に立った人が左手で右グリップ部52を持ち上げ易くすることができる。
なお、左右のグリップ部51,52を平面視で略ハ字状に形成した理由は、図7(a)で詳しく説明する。
【0042】
中央グリップ部53は、左グリップ部51の前端部51aおよび右グリップ部52の前端部52aに渡って車幅方向に水平に設けられた把持可能な部位である。
この中央グリップ部53は、ボンベ収納部18の上方に位置している。
また、中央グリップ部53は、左右のグリップ部51,52を平面視で略ハ字状に形成することで長さを、間隔Lと同様に比較的大きく確保できる。
【0043】
このように、中央グリップ部53の長さ寸法を比較的大きく確保することで、中央グリップ部53を把持し易くできる(持ち上げ易くできる)。
なお、中央グリップ部53の長さを比較的大きく確保した理由は、図7(b)で詳しく説明する。
【0044】
以上説明したように、キャリーハンドル22は、略中央周壁部26の左右の壁部位26a,26bに左右の水平ベース43,44がそれぞれ設けられ、また左右の水平ベース43,44がボンベ収納部18の下方に配置され、さらに左右の脚部46,47がボンベ収納部18の左右の側方に配置され、加えてグリップ45がボンベ収納部18の上方に配置されている。
【0045】
よって、キャリーハンドル22は、カセットガスボンベ21を取り囲むように形成されている。
このように、運搬用のキャリーハンドル22をカセットガスボンベ21を取り囲むように形成することで、ハンドルポスト16にボンベ収納部18およびキャリーハンドル22の両部材を設けることが可能になる。
【0046】
さらに、運搬用のキャリーハンドル22に把持可能なグリップ45を備えた。
これにより、グリップ45を把持することで、歩行型作業機10を持ち上げて運搬することができる。
【0047】
加えて、運搬用のキャリーハンドル22は、左右の水平ベース43,44、左右の脚部46,47、左右のグリップ部51,52および中央グリップ部53でボンベ収納部18(すなわち、カセットガスボンベ21)を取り囲むように形成されている。
これにより、カセットガスボンベ21をキャリーハンドル22で保護することができる。
【0048】
つぎに、歩行型作業機10のボンベカバー32を開位置P2に保持する例を図6に基づいて説明する。
図6は本発明に係る歩行型作業機をボンベカバーを開位置に保持する例を説明する図である。
メインカバー36をメインばね部材(図示せず)に抗して開位置P2まで開放するとともに、サブカバー37をサブばね部材(図示せず)に抗して開位置P2まで開放する。
メインカバー36がキャリーハンドル22の中央グリップ部53に当接する。
これにより、メインカバー36およびサブカバー37の開放量を好適に確保することができる。
【0049】
さらに、メインカバー36がキャリーハンドル22の中央グリップ部53に当接した際に、係止爪38の先端部38aを弾性変形させて中央グリップ部53に係止させることが可能である。
よって、メインカバー36およびサブカバー37を開位置P2に保持することができる。
これにより、メインカバー36およびサブカバー37の開放量を好適に確保した状態を保つことができるので、カセットガスボンベ21を容易に着脱することが可能になる。
【0050】
なお、係止爪38の先端部38aによる中央グリップ部53への係止を解除する際には、サブカバー37を支持ピン41を軸にして開位置P2から反時計回り方向に移動する。
よって、係止爪38の先端部38aが下方に移動して、先端部38aが中央グリップ部53から離れる。
これにより、メインカバー36をメインばね部材(図示せず)のばね力で閉位置P1方向に移動することができる。
【0051】
ついで、歩行型作業機10をキャリーハンドル22を用いて運搬する例を図7に基づいて説明する。
図7(a),(b)は本発明に係る歩行型作業機をキャリーハンドルを用いて運搬する例を説明する図である。
(a)は歩行型作業機10を左右側の2人で運搬する場合を説明し、(b)は歩行型作業機10を1人で運搬する場合を説明する。
【0052】
(a)において、左右のグリップ部51,52は平面視で略ハ字状に形成されている。よって、左グリップ部51と右グリップ部52との間の間隔Lが比較的大きく確保されている。
これにより、歩行型作業機10の左側に立った運搬者61が左グリップ部51を把持し、かつ、歩行型作業機10の右側に立った運搬者62が右グリップ部52を把持する際に、左右の運搬者61,62のそれぞれの手61a,62aが互いに干渉することを防止できる。
【0053】
加えて、左グリップ部51が作業機前方に向けて左外側に傾斜角θ(図5参照)で傾斜されている。
左側の運搬者61が右手61aで左グリップ部51を把持した際に、右手61aの甲61bが左グリップ部51に合わせて前向きに傾く。
【0054】
よって、右手61aの甲61bが横向きの場合(すなわち、左グリップ部51がハンドルポスト16と平行に配置された場合)と比べて、左グリップ部51を持ち上げ易い状態に右手61aの姿勢を保つことができる。
これにより、左側の運搬者61が右手61aで左グリップ部51を持ち上げ易くすることができる。
【0055】
左グリップ部51と同様に、右グリップ部52が作業機前方に向けて右外側に傾斜角θ(図5参照)で傾斜されている。
右側の運搬者62が左手62aで右グリップ部52を把持した際に、左手62aの甲62bが右グリップ部52に合わせて前向きに傾く。
【0056】
よって、左手62aの甲62bが横向きの場合(すなわち、右グリップ部52がハンドルポスト16と平行に配置された場合)と比べて、右グリップ部52を持ち上げ易い状態に左手62aの姿勢を保つことができる。
これにより、右側の運搬者62が左手62aで右グリップ部52を持ち上げ易くすることができる。
【0057】
このように、左右のグリップ部51,52を作業機前方に向けて外側に傾斜角θ(図5参照)で傾斜することで、左右側の運搬者61,62が、左右のグリップ部51,52をそれぞれ把持し易くなり(持ち易くなり)、歩行型作業機10(図1参照)を2人で持ち運ぶ際の運搬性を高めることができる。
【0058】
(b)において、左右のグリップ部51,52を平面視で略ハ字状に形成することで、中央グリップ部53の長さを、間隔Lと同様に比較的大きく確保できる。
このように、中央グリップ部53の長さ寸法を比較的大きく確保することで、例えば、左側の運搬者61は右手61aで中央グリップ部53を把持し易くできる(持ち上げ易くできる)。
これにより、歩行型作業機10(図1参照)を1人で持ち運ぶ際の運搬性を高めることができる。
【0059】
なお、前記実施の形態で示したキャリーハンドル22、ボンベカバー32、グリップ45、左グリップ部51、右グリップ部52、中央グリップ部53などは例示した形状に限定するものではなく、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ハンドルポストに沿った向きでカセットガスボンベが設けられ、このカセットガスボンベの燃料でガスエンジンを駆動する歩行型作業機への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る歩行型作業機を示す側面図である。
【図2】本発明に係る歩行型作業機のボンベ収納部およびキャリーハンドルを示す側面図である。
【図3】本発明に係るボンベ収納部およびキャリーハンドルを示す斜視図である。
【図4】本発明に係る歩行型作業機のハンドルポストからボンベ収納部を分解した状態を示す斜視図である。
【図5】図4のキャリーハンドルを示す平面図である。
【図6】本発明に係る歩行型作業機をボンベカバーを開位置に保持する例を説明する図である。
【図7】本発明に係る歩行型作業機をキャリーハンドルを用いて運搬する例を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
10…歩行型作業機、11…作業機本体、11a…作業機本体の後部、12…ガスエンジン、16…ハンドルポスト、21…カセットガスボンベ、21a,21b…カセットガスボンベの左右の側部、22…キャリーハンドル、32…ボンベカバー、45…グリップ、51…左グリップ部、52…右グリップ部、53…中央グリップ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機本体の後部から後上方へ立ち上がるハンドルポストに、このハンドルポストに沿った向きでカセットガスボンベが設けられ、このカセットガスボンベの燃料でガスエンジンを駆動する歩行型作業機において、
前記ハンドルポストに設けられるとともに、前記カセットガスボンベを取り囲むように形成された運搬用のキャリーハンドルを備え、
前記キャリーハンドルは、把持可能なグリップを有することを特徴とする歩行型作業機。
【請求項2】
前記カセットガスボンベおよび前記キャリーハンドル間に、前記カセットガスボンベを押さえるボンベカバーが開閉自在に設けられたことを特徴とする請求項1記載の歩行型作業機。
【請求項3】
前記グリップは、前記カセットガスボンベの左右の側部側から作業機前方に向けて徐々に広がるように延出された左右のグリップ部を有することを特徴とする請求項1記載の歩行型作業機。
【請求項4】
前記グリップは、前記左右のグリップ部のそれぞれの前端部に渡って設けられた中央グリップ部を有することを特徴とする請求項1記載の歩行型作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−268401(P2009−268401A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121192(P2008−121192)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】