説明

歩行型作業機

【課題】バッテリーの取り扱いを容易にする歩行型作業機を構成する。
【解決手段】エンジンを備えた機体から後方に左右のハンドル杆6が延設され、一方のハンドル杆6に操作レバーを有する作業操作部を備え、他方のハンドル杆6にはスタータモータに電力を供給するバッテリー7を有する電源部Eを備えた。電源部Eは、バッテリー7を嵌め込まれるケース41と、このケース41の上方を覆うバッテリーカバー42とを有し、バッテリーカバー42をケース41の後端から後方に張り出したオーバーハング部Xからハーネス46を後方に引き出し、このハーネス46をケース41の下方からハンドル杆6に沿って配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力を得るエンジンが機体に備えられ、作業車が握る左右のハンドル杆が前記機体から延出する形態で備えられている歩行型作業機に関し、詳しくは、バッテリーを備える構成に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された歩行型作業機として特許文献1には、機体の前部位置にエンジンを備え、この機体から後方に延出する形態で左右のハンドル杆を備え、左右のハンドル杆の基端位置で機体の上部位置にバッテリーを備え、このバッテリーを覆うバッテリーカバーを備えた構成が示されている。
【0003】
また、特許文献2には、機体の前部位置にボンネットに覆われる位置にエンジンを配置し、このエンジンの近傍にスタータモータ(文献ではセルモータ)を備え、エンジンの側面位置でボンネットに覆われる位置にバッテリーを備えた構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−2758号公報
【特許文献2】特開平06‐292401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歩行型作業機の一例として耕耘機を例に挙げると、耕耘機は雨水や土埃等の塵埃に晒されやすい環境で使用されるものである。また、小型の耕耘機であってもスタータモータによりエンジンを始動させため、特許文献1、2にも記載されるようにバッテリーを備える構成も考えられている。これらの特許文献に記載されるようにバッテリーは、雨水や塵埃から保護するためにカバーやボンネットに覆われる位置に配置される。
【0006】
異なる観点から考えると、耕耘機は冬場等、農作業が行われない期間には使用されず、この期間にバッテリーが放電することもある。このような状況に対処するため、耕耘作業を行う場合には、作業に先立ってバッテリーの充電も必要となる。しかしながら、カバーやボンネットの内部にバッテリーを備える構成のものでは、充電を行うためにカバーやボンネットを取り外す必要があり手間が掛かる面において改善の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、バッテリーの取り扱いを容易にする歩行型作業機を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、駆動力を得るエンジンが機体に備えられ、左右のハンドル杆が前記機体から延出する形態で備えられている歩行型作業機であって、前記左右のハンドル杆の一方のハンドル杆の延出端側に作業用の操作具が備えられ、他方のハンドル杆の延出端側にバッテリーが着脱自在に備えられている点にある。
【0009】
この構成によると、左右のハンドル杆のうち操作具を備えていないハンドル杆にバッテリーを備えるので、スタータモータ等の電気機器とバッテリーとを接続するハーネスが、操作具に連係するワイヤやケーブルに接触する不都合を解消できる。また、ハンドル杆の延出端にバッテリーを備えるので、機体前部にバッテリーを備える構成と比較すると、地面から高い位置にバッテリーが配置されることになり、このバッテリーへの泥土や塵埃の付着を抑制できる。更に、ハンドル杆にバッテリーを着脱自在に備えるので、例えば、エンジンやミッションケースの近傍にバッテリーを配置する構成と比較すると、近傍の部材に妨げられることなくバッテリーの着脱を容易に行える。
従って、バッテリーの取り扱いを容易にする歩行型作業機が構成された。
【0010】
本発明は、前記バッテリーが、前記エンジンを始動させるスタータモータに電力を供給するように構成されている点にある。
【0011】
これによると、バッテリーの電力をスタータモータに供給することによりエンジンの始動が可能となり、例えば、リコイルスタータを人為的に操作してエンジンを始動するものと比較してエンジンの始動を容易に行える。
【0012】
本発明は、前記バッテリーを上方から嵌め込む形態で支持するケースが、前記他方のハンドル杆に備えられると共に、平面視で前記ケースより大きい寸法のカバーが前記ケースの上側に着脱自在に備えられ、このカバーのうち、平面視で前記ケースの端部から突出するオーバーハング部の位置から前記バッテリーに電気的に接続するハーネスが引き出されても良い。
【0013】
これによると、バッテリーの上側に配置されるカバーが平面視でケースより大きい寸法であるため、雨水や塵埃がバッテリーに触れる不都合を抑制でき、カバーを取り外すことでバッテリーをケースから取り外すことも可能となる。また、オーバーハング部の位置からハーネスが引き出されているためハーネスとバッテリーとの接続部に雨水が直接的に触れることもない。
【0014】
本発明は、前記オーバーハング部が、前記ケースから後方に突出する位置に形成されると共に、前記ハーネスが、前記ケースの後端から前記ケースの下方に引き出され、この下方位置から前記ハンドル杆に沿う領域に配置されても良い。
【0015】
これによると、バッテリーの後方に引き出されたハーネスが、ケースの下側に配置されることで、ハーネスに作業者の手が触れることや、雨水や塵埃が上方から触れる不都合を抑制する状態でバッテリーの電力を機体に送ることができる。
【0016】
本発明は、前記ハーネスの中間部分に分離自在に連結するカプラーが備えられ、このカプラーが前記ケースの下方に配置されても良い。
【0017】
これによると、カプラーを分離状態にすることで、バッテリーをハンドル杆から取り外し、作業者の自宅で充電することも可能になり、また、カプラーをケースの下側に配置することで、カプラーに雨水や塵埃が上方から降りかかる不都合を抑制して導通不良や漏電を回避でき、このカプラーの保護も実現する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】歩行型耕耘機の全体側面図である。
【図2】歩行型耕耘機の全体平面図である。
【図3】電源部の構成を示す横断平面図である。
【図4】電源部の構成を示す縦断側面図である。
【図5】電源部の構成を示す縦断背面図である。
【図6】電源部の分解斜視図である。
【図7】操作レバーをデフロック非作業走行位置と非作業走行位置とに設定した状態の作業操作部の平面図である。
【図8】トラックの荷台に歩行型耕耘機を積載した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、前部位置にエンジン1を備え、このエンジン1の駆動力を左右の車輪2とロータリ耕耘装置3とに伝えるミッションケース4を備え、ミッションケース4の上部位置に燃料タンク5を備えて機体が構成されると共に、この機体から後方に延出する形態で左右のハンドル杆6を備え、右側のハンドル杆6の後端側に作業操作部Wを配置し、左側のハンドル杆6の後端側の電源部Eにバッテリー7を備えて歩行型作業機の一例として歩行型耕耘機が構成されている。
【0020】
この歩行型耕耘機は、左右のハンドル杆6は後端位置を横向き姿勢の連結杆6Aによって連結した構造を有しており、左右のハンドル杆6に跨るように基端が揺動自在に支持されるクラッチ操作具8が備えられ、機体の上部から後方に向けて主変速レバー9が備えられている。クラッチ操作具8は非操作状態で図1に示すように側面視で起立姿勢に維持されるようにバネ付勢され、この起立姿勢で主クラッチ機構Cを切り状態にし、上端側を後方に揺動操作して連結杆6Aの上面に重なる位置に操作することで、主クラッチ機構Cを入り状態に維持する。主クラッチ機構Cの構成については後述する。
【0021】
〔機体の構成〕
ミッションケース4は、縦向き姿勢の主ケース部4Aと、この主ケース部4Aの後面側から下方に向けて分岐する形態の作業ケース部4Bとを一体形成した構成を有し、主ケース部4Aの下端には左右方向に突出する車軸11が備えられ、作業ケース部4Bの下端には左右方向に突出するロータリ軸12が備えられている。
【0022】
ロータリ耕耘装置3は、ロータリ軸12に備えられる複数の耕起爪13と、複数の耕起爪13の上部を覆うロータリカバー14と、上下方向の位置調整が自在な抵抗棒15と、ロータリカバー14の後端から下方に垂れ下がるゴム板製の整地カバー16とを備えている。
【0023】
ミッションケース4の上端位置の左側面にはエンジン1からの駆動力が伝えられる入力プーリ27を備えており、主ケース部4Aには入力プーリ27からの駆動力を車軸11に伝える伝動機構を内蔵し、この伝動機構にギヤ式の走行変速機構(図示せず)を備えている。また、主ケース部4Aの下端部には伝動機構から左右の車軸11に駆動力を伝えるデファレンシャルギヤ(図示せず)を内蔵している。このデファレンシャルギヤは、左右の車軸11の独立した回転(差動)を許す非デフロック状態と、左右の車軸を一体回転させるデフロック状態とに切換自在なデフロック機構(図示せず)を備えている。作業ケース部4Bには入力プーリ27からの駆動力をロータリ軸12に伝える伝動機構を内装し、この伝動機構は、作業変速機構(図示せず)と、伝動機構における伝動と遮断との切換を行う作業クラッチ機構(図示せず)とを備えている。
【0024】
前述した走行変速機構と作業変速機構とは、駆動速度の変更と、駆動方向の正逆の変更とが可能に構成され、これらは主変速レバー9によって変速操作される。主変速レバー9は図2に示されるレバーガイド19のガイド孔に沿って操作自在に構成され、この主変速レバー9を操作することで、走行変速機構の変速操作による走行速度の変速が実現し、作業変速機構の変速操作によるロータリ軸12の駆動速度の設定が実現する。
【0025】
主ケース部4Aの前部に前方に延出する形状の支持フレーム21が連結され、この支持フレーム21にエンジン1が搭載されている。このエンジン1の左側にエンジン1の駆動力を取り出す出力プーリ26を備え、エンジン1の前部位置にスタータモータ22を備え、右側面にハンドル23Aの引き操作でエンジン1を始動させるリコイルスタータ23を備え、左側面には排気音の消音を行うマフラー24を備えている。
【0026】
前述した主クラッチ機構Cは、エンジン1の出力プーリ26と、ミッションケース4の上部位置の入力プーリ27と、これらに巻回する無端ベルト28と、無端ベルト28の張力を制御するテンションプーリ29とを備えている。この主クラッチ機構Cは機体に対して揺動自在に支承されたテンションアーム(図示せず)の揺動端に対してテンションプーリ29が支持され、このテンションアームとクラッチ操作具8とが操作ワイヤ(図示せず)によって連係している。このような構成から、クラッチ操作具8を非操作位置に設定することにより無端ベルト28に作用する張力が解除され主クラッチ機構Cが動力遮断状態(クラッチ切り状態)となり、クラッチ操作具8を操作位置に設定することで無端ベルト28に張力を作用させて主クラッチ機構Cが伝動状態(クラッチ入り状態)となる。
【0027】
図1に示すように、左右のハンドル杆6の後端側の下面にロープフック51が備えられている。このロープフック51は、図8に示す如く、歩行型耕耘機をトラックの荷台52に積載して運搬する場合に、夫々のロープフック51に対してロープ53を巻き付ける状態で、そのロープ53を荷台52に固定することにより、複数の歩行型耕耘機でも姿勢の安定化が実現する。
【0028】
〔作業操作部〕
図7に示すように、作業操作部Wには、右側のハンドル杆6に溶接により固定されたガイドプレート31を備えると共に、操作具として操作レバー32と、エンジンスタートボタン33と、操作具としてのスロットルレバー34と、エンジン停止ボタン35とが備えられている。
【0029】
操作レバー32は、上端にグリップ32Aを有しておりガイドプレート31のガイド溝31Gに挿通する形態で備えられている。具体的な構成は図面に示していないが、操作レバー32の操作力をデフロック機構に伝える第1操作ワイヤ36と、この操作レバー32の操作力を作業クラッチ機構に伝える第2操作ワイヤ37とを備えている。また、ガイド溝31Gは、デフロック機構を非デフロック状態に設定すると共に作業クラッチ機構を切り状態にする非作業走行位置P1と、デフロック機構をデフロック状態に設定すると共に作業クラッチ機構を切り状態にするデフロック非作業走行位置P2と、デフロック機構をデフロック状態に設定すると共に作業クラッチ機構を入り状態にする作業位置P3とが形成されている。
【0030】
つまり、図7(b)に示すように、操作レバー32を非作業走行位置P1に設定することにより、作業クラッチ機構を切り状態に設定してロータリ耕耘装置3を非駆動状態に設定しながら、デフロック機構を非デフロック状態に設定して左右の車輪2に速度差を生ずる形態での走行(旋回可能な走行)を可能にする。また、図7(a)に示すように、操作レバー32をデフロック非作業走行位置P2に設定することにより、作業クラッチ機構を切り状態に設定してロータリ耕耘装置3を非駆動状態に設定しながら、デフロック機構をデフロック状態に設定して直進性能の良い走行を可能にする。更に、操作レバー32を作業位置P3に操作することにより、作業クラッチ機構を入り状態に設定してロータリ耕耘装置3を駆動し、かつ、デフロック機構をデフロック状態にして直進性能の良い走行を可能にする。
【0031】
エンジンスタートボタン33は押し操作型の電気スイッチとして構成され、押し操作された場合にバッテリー7の電力をスタータモータ22に供給することによりエンジン1の始動を実現する。スロットルレバー34は縦軸芯を中心にして揺動自在に支持され、操作位置に対応したエンジン回転速度を得るようにエンジン1のスロットルとワイヤ(図示せず)により連結している。
【0032】
エンジン停止ボタン35は、停止位置Sと運転位置Tとに回転自在、かつ、上下方向に移動自在に支持されるとノブとして構成され、ガイドプレート31の下側には、エンジン停止ボタン35の回転位置と、上下位置とを検出するスイッチ(図示せず)を備えている。このエンジン停止ボタン35は停止位置Sの方向に向けてバネ付勢され、エンジン1の始動時には押し込みながら運転位置Tに回転操作することで、機械的に運転位置Tに保持されエンジン1の始動が可能となる。この後、エンジン1が稼動する状態においてエンジン停止ボタン35を押し込み操作した場合には、このエンジン停止ボタン35が停止位置Sまで回転しエンジン1を強制的に停止させる。
【0033】
特に、エンジン1の稼動時において操作レバー32を非作業走行位置P1の方向に操作した場合でも、エンジン停止ボタン35に手が誤って接触しないようにグリップ32Aの形状を上端側で横方向に張り出すように形成している。尚、グリップ32Aが、操作レバー32の延出側端部に形成された棒状やボール状である場合には、グリップを握った手の小指側の部位がエンジン停止ボタン35に誤って触れることもあるが、グリップ32Aが横方向に延びる形状にすることで誤操作を解消しているのである。
【0034】
〔電源部〕
図3〜図6に示すように、電源部Eは、左側のハンドル杆6の後端側に溶接固定されたケース41と、このケース41の上方の開口を閉じるバッテリーカバー42とを備えている。ケース41は上方からバッテリー7を嵌め込む形態で支持する機能を有し、バッテリー7を支持した状態でケース41の上方をバッテリーカバー42で覆い、ノブ付ボルト43で固定できるように構成されている。
【0035】
ケース41は、平面視で前後方向に長い長方形となる底壁41Aと、これらに連設される4つの側壁41Bとを有すると共に、前位置と後位置との側壁41Bの外方に張り出す連結片41Cを備え、この連結片41Cには貫通孔が形成されると共に、下面にナット44が溶接固定されている。底壁41Aには一対の嵌合孔41Hが形成され、この底壁41Aの一部を、底壁41Aと平行姿勢で下方に突出する突出壁41Dが形成され、この突出壁41Dには、下面側に樹脂製のハーネスホルダ45を支持する係止孔41Eが形成されている。また、嵌合孔41Hは、ケース41の底壁41Aに形成された孔部に嵌め込まれたゴムリング41Haの孔部で形成されている。
【0036】
バッテリー7は、リチウムイオン型やニッケル水素型のものが用いられると共に、底面にはケース41の嵌合孔41Hに嵌り込む嵌合突起7Aが形成され、長手方向の一方の端部にバッテリー7に電気的に接続するハーネス46が備えられている。このハーネス46の中間部分にはバッテリー側の第1連結体47Aと機体側の第2連結体47Bとで分離自在に構成されるカプラー47が備えられている。尚、カプラー47は防水型に構成されている。
【0037】
バッテリー7はケース41の上方の開口から下方に嵌め込む形態で備えられるものであり、この挿入時においてハーネス46の接続位置をバッテリー7の後端側に適正にセットするためにケース41の嵌合孔41Hと嵌合突起7Aの位置との位置が決められ、嵌合孔41Hに嵌合突起7Aが嵌め込まれた状態では嵌合突起7Aがゴムリング41Haの孔部の内周に接触してガタツキが防止される。また、バッテリー7を、前後関係を逆向きにしてケース41に嵌め込んだ場合には嵌合突起7Aが嵌合孔41Hに嵌合せず適正な位置まで嵌め込まれないように、ケース41の前後方向の中央位置を基準にして非対象となる位置に嵌合孔41Hが形成され、バッテリー7には対応する位置に嵌合突起7Aが形成されている。更に、バッテリー7の前後関係を逆にしてケース41に嵌め込んだ場合には、嵌合突起7Aがケース41の底壁41Aに当接するためバッテリー7が適正な位置より高い位置にセットされ、バッテリーカバー42をノブ付ボルト43によって固定しようとしても、ノブ付ボルト43がナット44に螺合せず、バッテリー7が適正な姿勢にないことを作業者に認識させるように構成されている。
【0038】
バッテリーカバー42は、略矩形となる上壁42Aと、この上壁42Aの外周部分から下方に向けて延出された縦壁42Bとが形成されると共に、上壁42Aにはノブ付ボルト43が挿通する一対の貫通孔42Cが形成されている。このカバーの上壁42Aは、平面視においてケース41の前後方向の寸法より充分に長い寸法を有すると共に、ケース41の横幅方向の寸法より少し長い寸法を有しており、ケース41に連結した状態で、ケース41の側壁41Bの外方を覆う位置に配置され、バッテリーカバー42の縦壁42Bの後方側と前方側とにオーバーハング部Xが形成される。
【0039】
ケース41にバッテリー7を嵌め込み、バッテリーカバー42を取り付けた状態では、ケース41の後方側に形成されるオーバーハング部Xから後方にハーネス46が引き出される形態となり、このハーネス46をケース41の下側においてハーネスホルダ45に弾性的に挟持され、この部位から機体に引き込まれる形態で配置される。このようにハーネス46を配置する場合に、ケース41の下側にカプラー47が配置される。
【0040】
ケース41の形状はバッテリー7を嵌め込み可能な形状であれば良く、平面視で矩形に形成されるものでなくても良い。また、ケース41に対してヒンジを介して揺動開閉自在にバッテリーカバー42を備えることや、ケース41に対してスライド式に開閉自在にバッテリーカバー42を備える構成を採用しても良い。
【0041】
このように電源部Eが構成されることにより、エンジンスタートボタン33の押し操作により、電源部Eのバッテリー7の電力をスタータモータ22に供給してエンジン1の始動が可能となる。また、バッテリー7の充電を行う場合には、カプラー47を分離し、バッテリーカバー42を取り外し、ケース41からバッテリー7を取り出し、一般家庭において充電器により充電することが可能となる。
【0042】
また、電源部Eは、左右のハンドル杆6のうち、操作レバー32やスロットルレバー34を備えていないハンドル杆6の延出端側に備えられているので、バッテリー7に接続するハーネス46を操作レバー32に連係する第1操作ワイヤ36や第2操作ワイヤ37、あるいは、アクセル設定用のワイヤ等に接触する不都合を解消する。また、ハンドル杆6の延出端にバッテリー7を備えることにより、バッテリー7の着脱も容易に行える。更に、ハンドル杆6は後端側ほど対地レベルが高いため、耕起作業時に地面の泥土や塵埃が飛散する場合でも、これらがバッテリー7に付着する不都合を解消できる。
【0043】
また、バッテリー7がケース41に収容された状態で、このケース41のサイズより充分に大きいサイズのバッテリーカバー42によって上方が覆われると共に、ハーネス46の基端部分がオーバーハング部Xで覆われるため、バッテリー7とハーネス46の基端部分の保護を確実に行い雨水や塵埃の浸入も阻止できる。そして、ハーネスホルダ45によってハーネス46が支持されるためハーネス46の垂れ下がりが抑制され、カプラー47がケース41の下方側に配置されるためこのカプラー47に雨水が直接的に降りかかる不都合を抑制できる。
【0044】
この歩行型耕耘機では、リコイルスタータ23を備えているため、例えば、バッテリー7が放電状態にある場合にはバッテリー7の電力を用いずに、人為的な操作でエンジン1を始動することも可能となる。また、この歩行型耕耘機では、エンジン1の駆動力により発電を行うオルタネータやダイナモを備えない構成であるが、これらを備え、エンジン1の駆動力で発電した電力をバッテリー7に充電するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、機体から延出する形態で左右のハンドル杆が備えられている歩行型作業機に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 エンジン
6 ハンドル杆
7 バッテリー
22 スタータモータ
32 操作具(操作レバー)
34 操作具(スロットルレバー)
41 ケース
42 カバー
46 ハーネス
47 カプラー
X オーバーハング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を得るエンジンが機体に備えられ、左右のハンドル杆が前記機体から延出する形態で備えられている歩行型作業機であって、
前記左右のハンドル杆の一方のハンドル杆の延出端側に作業用の操作具が備えられ、他方のハンドル杆の延出端側にバッテリーが着脱自在に備えられている歩行型作業機。
【請求項2】
前記バッテリーが、前記エンジンを始動させるスタータモータに電力を供給するものである請求項1記載の歩行型作業機。
【請求項3】
前記バッテリーを上方から嵌め込む形態で支持するケースが、前記他方のハンドル杆に備えられると共に、平面視で前記ケースより大きい寸法のカバーが前記ケースの上側に着脱自在に備えられ、このカバーのうち、平面視で前記ケースの端部から突出するオーバーハング部の位置から前記バッテリーに電気的に接続するハーネスが引き出されている請求項1又は2記載の歩行型作業機。
【請求項4】
前記オーバーハング部が、前記ケースから後方に突出する位置に形成されると共に、前記ハーネスが、前記ケースの後端から前記ケースの下方に引き出され、この下方位置から前記ハンドル杆に沿う領域に配置されている請求項3記載の歩行型作業機。
【請求項5】
前記ハーネスの中間部分に分離自在に連結するカプラーが備えられ、このカプラーが前記ケースの下方に配置されている請求項4記載の歩行型作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−250555(P2012−250555A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122312(P2011−122312)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】